(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166759
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】美容方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20221026BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20221026BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221026BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20221026BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/02
A61Q19/08
A61K8/34
A61K8/60
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/73
A61K8/9789
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072165
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】渡部 翔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB052
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC392
4C083AC482
4C083AC582
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】
本発明は、ナイアシンアミドの浸透性が向上する美容方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)~(E)を含有する皮膚外用剤1を塗布した後に、下記(F)~(H)を含有する皮膚外用剤2を塗布する美容方法。
(A)グリセリン
(B)ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド
(C)ホスホリルコリン基含有重合体
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)シロキクラゲ多糖体
(F)ナイアシンアミド
(G)エーデルワイス抽出物
(H)オドリコソウ抽出物
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(E)を含有する皮膚外用剤1を塗布した後に、下記(F)~(H)を含有する皮膚外用剤2を塗布する美容方法。
(A)グリセリン
(B)ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド
(C)ホスホリルコリン基含有重合体
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)シロキクラゲ多糖体
(F)ナイアシンアミド
(G)エーデルワイス抽出物
(H)オドリコソウ抽出物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミドの浸透性が向上する美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトは加齢に伴い、シミ、しわ、たるみといった様々な老化現象があらわれる。これらの原因として、皮膚のバリア機能の低下、水分量の低下、ターンオーバーの乱れ、コラーゲンおよびエラスチン等の産生量の減少または分解や変質が知られている。これらを予防、改善するために、多種多様な提案がされている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
ナイアシンアミドは水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、ニコチン酸アミドとも呼ばれる。肌荒れ改善効果、美白効果、抗老化効果等が知られており、ナイアシンアミドを配合した化粧料等は多く上市されている。
【0004】
ナイアシンアミドと特定の植物エキスを併用することにより老化防止効果を発揮する皮膚外用剤など様々な研究がおこなわれている(特許文献4)。しかしながら、ナイアシンアミドの浸透性については課題が残っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4780817号公報
【特許文献2】特開2001-261568号公報
【特許文献3】特開2005-8571号公報
【特許文献4】特願2020-141481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ナイアシンアミドの浸透性が向上する美容方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
下記(A)~(E)を含有する皮膚外用剤1を塗布した後に、下記(F)~(H)を含有する皮膚外用剤2を塗布する美容方法。
(A)グリセリン
(B)ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド
(C)ホスホリルコリン基含有重合体
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)シロキクラゲ多糖体
(F)ナイアシンアミド
(G)エーデルワイス抽出物
(H)オドリコソウ抽出物
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容方法は、ナイアシンアミドの浸透性が向上する効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の美容方法は、下記(A)~(E)を含有する皮膚外用剤1を塗布した後に、下記(F)~(H)を含有する皮膚外用剤2を塗布するものである。
(A)グリセリン
(B)ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド
(C)ホスホリルコリン基含有重合体
(D)高重合ポリエチレングリコール
(E)シロキクラゲ多糖体
(F)ナイアシンアミド
(G)エーデルワイス抽出物
(H)オドリコソウ抽出物
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
[グリセリン]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1に配合するグリセリンは、通常皮膚外用剤に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0012】
本発明においてグリセリンの配合量は、皮膚外用剤1全量に対して1~40質量%が好ましく、さらに1~25質量%が好ましい。
【0013】
[ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1に配合するポリオキシアルキレンアルキルグルコシドは、例えば、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選択される1種又は2種のアルキレンオキサイドを、アルキルグルコシドに付加したものを使用することができ、その平均付加モル数としては、1~30モル程度が好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドにおけるアルキル基としては、炭素数1~4のものが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましい例である。ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドの好ましい具体例としては、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドが挙げられ、より具体的には、POE(10)メチルグルコシド、POE(20)メチルグルコシド、POP(10)メチルグルコシド及びPOP(20)メチルグルコシド等が挙げられる。これらのポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、肌なじみの良さの観点からPOE(10)メチルグルコシドを用いることが最も好ましい。なお、本明細書において、ポリオキシエチレンをPOEと略記し、ポリオキシプロピレンをPOPと略記し、かっこ内の数はその平均付加モル数である。市販品としては、マクビオブライドMG-10E、マクビオブライドMG-20E、マクビオブライドMG-10P(いずれも日油社製)、GLUCAME-10LFG、GLUCAMEP-10(いずれもLUBRIZOLADVANCEDMATERIALS社製)等が挙げられる。
【0014】
本発明においてポリオキシアルキレンアルキルグルコシドの配合量は、皮膚外用剤1全量に対し、0.0001~20質量%が好ましく、さらに0.001~5質量%が好ましい。
【0015】
[ホスホリルコリン基含有重合体]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1に配合するホスホリルコリン基含有重合体は、通常皮膚外用剤に配合し得るものであればいずれのものも使用することができる。1種を単独で、又は2種以上を併用して組み合わせて使用してもよい。かかるホスホリルコリン基含有重合体としては、具体的には、化粧品成分表示名称として、ポリクオタニウム-51(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体)、ポリクオタニウム-65(2-メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ナトリウム共重合体)、ポリクオタニウム-64(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体)、ポリクオタニウム-61(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体)等が挙げられる。本発明においては効果の点からポリクオタニウム-51を用いることが好ましい。市販品としては、LIPIDURE-PMB、LIPIDURE-B(いずれも日油社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明においてホスホリルコリン基含有重合体の配合量は、皮膚外用剤1全量に対し、0.00001~5質量%が好ましく、さらに0.00001~1質量%が好ましい。
【0017】
[高重合ポリエチレングリコール]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1に配合する高重合ポリエチレングリコールは、化粧品表示名称でPEG-100、PEG-135、PEG-150、PEG-180、PEG-200、PEG-220、PEG-240、PEG-350、PEG-400、PEG-450、PEG-800、PEG-2M、PEG-5M、PEG-7M、PEG-9M、PEG-14M、PEG-18M、PEG-20M、PEG-23M、PEG-25M、PEG-45M、PEG-65M、PEG-90M等が例示される。これらのなかでも、本発明の効果の点からPEG-150を用いることがより好ましい。市販品としてはPEG 6000、PEG 6000P(いずれも日油社製)等が挙げられる。
【0018】
本発明において高重合ポリエチレングリコールの配合量は、皮膚外用剤1全量に対し、0.01~10質量%が好ましく、さらに0.1~5質量%がより好ましい。
【0019】
[シロキクラゲ多糖体]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1に配合するシロキクラゲ多糖体は、シロキクラゲ科(Tremellaceae)に属するキノコから溶媒を用いて抽出される水溶性多糖類である。
【0020】
抽出溶媒としては水、エタノールなどの低級アルコール、1,3-ブチレングリコールやジプロピレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの溶媒は一種又は二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、水、熱水、又は水と任意の割合で混合可能な溶媒、例えば、エタノールや1,3-ブチレングリコールとの混液を用いるのが好ましく、熱水を用いるのがより好ましい。抽出方法は特に限定されないが、例えば、抽出のための溶媒とシロキクラゲを混合して加温抽出する方法が挙げられる。得られた抽出物はそのまま用いられるか、適宜濃縮したものや噴霧乾燥や凍結乾燥などによって粉末状に乾燥したものを用いることもできる。
【0021】
また、市販のものを用いることもでき、例えばTremoist-TP、Tremoist-SL(日本精化社製)、白キクラゲ多糖体-P(オリザ油化社製)、HyaCare Tremella(エボニックジャパン社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明におけるシロキクラゲ多糖体の配合量は、皮膚外用剤1全量に対し、シロキクラゲ多糖体純分として0.00001~3質量%が好ましく、0.00005~2質量%がより好ましい。
【0023】
[ナイアシンアミド]
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤2に配合するナイアシンアミドは、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、ニコチン酸アミドとも呼ばれる。
【0024】
本発明で使用するナイアシンアミドは通常皮膚外用剤に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。
【0025】
本発明におけるナイアシンアミドの配合量は、皮膚外用剤2全量に対して0.001~20質量%、好ましくは0.01~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%である。
【0026】
[エーデルワイス]
エーデルワイス(学名:Leontopodium alpinum)は、キク科ウスユキソウ属に属する高山植物である。
【0027】
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤2に配合するエーデルワイス抽出物は、通常皮膚外用剤に配合されるものを用いることができる。植物から直接抽出したものを用いても、市販のエーデルワイス抽出物を用いてもよい。市販のエーデルワイス抽出物としては、EDELWEISS GC(アルバフロール社)、EDELWEISS EP、EDELWEISS B(以上、DSMニュートリションジャパン社)等が挙げられる。
【0028】
本発明におけるエーデルワイス抽出物の配合量は、皮膚外用剤2全量に対し、0.00001~5質量%が好ましく、0.00001~1質量%がさらに好ましい。
【0029】
使用し得るエーデルワイスの構成部位としては、例えば、葉、茎、花、蕾、地上全草等が挙げられるが、好ましくは地上全草である。
【0030】
[オドリコソウ]
オドリコソウ(学名:Lamium album)は、シソ科オドリコソウ属に分類される多年草の植物である。
【0031】
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤2に配合するオドリコソウ抽出物は、通常皮膚外用剤に配合されるものを用いることができる。植物から直接抽出したものを用いても、市販のオドリコソウ抽出物を用いてもよい。市販のオドリコソウ抽出物としては、ファルコレックス オドリコソウB(一丸ファルコス社)等が挙げられる。
【0032】
本発明におけるオドリコソウ抽出物の配合量は、皮膚外用剤2全量に対し、0.00001~5質量%が好ましく、0.00001~1質量%がさらに好ましい。
【0033】
使用し得るオドリコソウの構成部位としては、例えば、葉、茎、花、蕾、地上全草等が挙げられるが、好ましくは地上全草である。
【0034】
上記皮膚外用剤2に配合する抽出物を調製する際には、生の植物をそのまま、若しくは乾燥させて用いる。抽出溶媒としては、水、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級アルコール、1,3-ブチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、アセトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水,リン酸緩衝液,リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。上記溶媒による抽出物は、そのままでも用いることができるが、濃縮、乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解したり、或いはそれらの皮膚生理機能向上作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマトグラフィーによる分画処理を行った後に用いてもよい。また、抽出物を酸、アルカリ、酵素などを用いて加水分解したものを用いてもよい。また保存のため、精製処理の後凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~30倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温または還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0035】
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤には、上述の成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、色素、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0036】
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、水系、油系、乳化型等いずれの剤型でもよい。
【0037】
本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤は定法により調製することができる。
【実施例0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り配合量は質量%で示す。
【0039】
まず、皮膚外用剤2に用いる植物抽出物の調製方法を示す。
【0040】
[エーデルワイス抽出物]
乾燥エーデルワイスの地上部を70容量%のエタノール水溶液に浸漬後、ろ過したろ液を濃縮し、溶媒を留去した。55容量%のグリセリンにエキス純分として7.5質量%となるように添加することにより、エーデルワイス抽出物を調製した。
【0041】
[オドリコソウ抽出物]
乾燥オドリコソウの地上部を50容量%の1,3-ブチレングリコールに浸漬後、ろ過し、溶媒を留去した。50容量%の1,3-ブチレングリコールにエキス純分として1質量%となるように添加することにより、オドリコソウ抽出物を調製した。
【0042】
表1および表2に示す処方にて、本発明の美容方法に使用する皮膚外用剤1および皮膚外用剤2を常法により調製した。
【0043】
【0044】
【0045】
[ナイアシンアミド浸透性試験]
フランツセルを用いて、皮膚外用剤2中のナイアシンアミドの皮膚浸透性を評価した。経皮拡散試験用Strat-M(登録商標)メンブレン(メルク社製)を浸透膜とし、皮膚外用剤1を2μL/cm2となるように指で均一に塗布した後、皮膚外用剤2を10mL添加した場合を実施例1、皮膚外用剤2のみを10mL添加した場合を比較例1とした。各方法において1時間後のレセプター溶液中のナイアシンアミド濃度(ppm)を測定した。
結果を表3に示す。
【0046】
【0047】
表3に示した通り、皮膚外用剤2のみを塗布した場合と比較して、皮膚外用剤1を塗布した後に皮膚外用剤2を塗布する美容方法を用いることによりナイアシンアミドの浸透性が3.7倍向上した。