IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社花園の特許一覧

特開2022-166761水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166761
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/12 20110101AFI20221026BHJP
   A01K 79/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
A01M29/12
A01K79/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072168
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】517354102
【氏名又は名称】株式会社花園
(74)【代理人】
【識別番号】100169133
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】名古谷 聡
【テーマコード(参考)】
2B105
2B121
【Fターム(参考)】
2B105LA02
2B105PA20
2B121AA06
2B121CC21
2B121CC28
2B121CC31
2B121EA30
2B121FA13
(57)【要約】
【課題】簡便な構成でレジャーとしての釣りに於いても使用可能で、マグロ等の魚類の釣りの際の食害を忌避することの出来る装置が求められていた。
【解決手段】水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置に於いて、粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させることを特徴とする、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置を用いるようにした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置であって、
粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、
該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、
対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させることを特徴とする、
水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項2】
該装置に用いられる粉体或いは液体は、
天然香料を主成分とするものであることを特徴とする、
請求項1記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項3】
該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料は、
ハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする、
請求項2記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項4】
該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材は、
籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする、
請求項3記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項5】
該透水部材は、
布、不織布或いは紙製であることを特徴とする、
請求項4記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項6】
該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材は、
籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする、
請求項3記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項7】
該含水部材は、
スポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする、
請求項6記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置。
【請求項8】
水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法であって、
粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、
該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、
対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させるため、該粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を仕掛けの針、重り或いは餌籠の近辺に設置したことを特徴とする、
水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項9】
該装置に用いられる粉体或いは液体は、
天然香料を主成分とするものであることを特徴とする、
請求項8記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項10】
該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料は、
ハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする、
請求項9記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項11】
該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材は、
籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする、
請求項10記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項12】
該透水部材は、
布、不織布或いは紙製であることを特徴とする、
請求項11記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項13】
該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材は、
籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする、
請求項12記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【請求項14】
該含水部材は、
スポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする、
請求項13記載の水中で用いる水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マグロ等の魚類の釣りの際、鮫等による食害は非常に頻度が高く、問題となっていた。レジャーとしての釣りに於いても、鮫等による食害は興趣を削ぎ、その価値を低下させる原因となっていた。
【0003】
また、サーフィン等の海洋レジャー時の鮫等による人的被害も甚大であり、対策が求められていた。
【0004】
これに対し、漁業分野では食害に対するさまざまな対策が講じられている。魚類、特に鮫など食害の頻度が高い軟骨魚類は頭部に電流を感知する感覚器官(ロレンチーニ器官)を有し、これを用いて捕食対象を捕捉する一助としている。ただし、かかる器官を有しているため電流に対しては非常に敏感であり、これを利用した忌避装置が提案されている。
【0005】
例えば、マグロの一本釣り漁等では道糸に予め装備された電撃用の機器が用いられており、マグロが針にかかるとこれを投入し、船上からの給電によって数百ボルトの電撃を加えてマグロの活動を止めるとともに鮫等の食害を防止することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006ー149275号公報
【特許文献2】特開2013ー169170号公報
【特許文献3】特許第6582307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、レジャーとしての釣りの場合、前記のような電撃装置を準備することはほとんど不可能であるばかりでなく、高電圧を海水中で用いることの危険性もあり、一般には用いられなかった。
【0008】
同様に、高電圧を用いない対策も検討されている。特許文献1或いは特許文献2では、漁業用の食害忌避装置が開示されている。特許文献1では、はえ縄漁に於いて電流により鮫を忌避する方法が開示され、特許文献2では天秤の両端に電極を設け、錘の中に電源(電池)を内蔵して電流を流し、鮫等の食害を忌避する態様が開示されている。
【0009】
しかし、簡便な構成でレジャーとしての釣りに於いても使用可能で、マグロ等の魚類の釣りの際の食害を忌避することの出来る装置は存在せず、これに対するニーズは大きかった。
【0010】
発明者は、かかる装置について継続的に研究開発を行い、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法について開示した。(特許文献3参照。)
【0011】
特許文献1で開示された発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置に於いて、粘弾性を有する材料よりなるチューブ状部材と、該チューブ状部材の一部に設けられ或いは内蔵された電源装置と、該チューブ状部材の外面の一部或いは全部に設けられた電極と、該チューブ状部材から延伸する対向電極を備えた紐状の部材と、該電極間に電圧を印加するための電源装置からの通電をオンオフするスイッチと、該チューブ状部材を輪状に連接するジョイント部材を備え、水中に投入して該電極間に電圧を印加することにより、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置であり、その使用方法である。また本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置に於いて、粘弾性を有する材料よりなるチューブ状部材と、該チューブ状部材の一部に設けられ或いは内蔵された電源装置と、該チューブ状部材の外面の一部に設けられた電極と、該チューブ状部材の外面の他の一部に設けられた対向電極と、該電極間に電圧を印加するための電源装置からの通電をオンオフするスイッチと、該チューブ状部材を輪状に連接するジョイント部材を備え、水中に投入して該電極間に電圧を印加することにより、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置であり、その使用方法である。
【0012】
このような装置に於いて、電源の低電圧・低電流化による安全性の向上、小型化、操作性の向上、低コスト化が図れたのであるが、さらなる簡素化、低コスト化を求めるニーズがあった。そこで、発明者らは、サメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物が高感度の電流を感知する感覚器官(ロレンチーニ器官)を有するとともに、非常に鋭敏な嗅覚を有することに着目し、本発明に至った。
【0013】
サメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物は、100万倍に希釈した血液の臭いをも海水中で検知し、獲物を探索していることが知られている。この鋭敏な嗅覚は、逆に経験的に接したことのない臭いをも鋭敏に感知し、これに不安感を抱き忌避する行動に繋がると考えられるからである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置に於いて、粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させることを特徴とする、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置である。
【0015】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体が天然香料を主成分とするものであることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料がハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、該透水部材が布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、該含水部材がスポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法に於いて、粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させるため、該粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を仕掛けの針、重り或いは餌籠の近辺に設置したことを特徴とする、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法である。
【0022】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体が天然香料を主成分とするものであることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料がハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、該透水部材が布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、該含水部材がスポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法は、簡便な構成で、且つ、環境負荷が小さく、レジャーとしての釣りに於いても使用可能でマグロ等の魚類の釣りの際の食害を忌避することの出来る器具を低コストで実現し、もって社会に資することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置に於いて、粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させることを特徴とする、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置である。
【0030】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体が天然香料を主成分とするものであることを特徴とする。
【0031】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料がハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする。
【0032】
また本発明は、該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする。
【0033】
また本発明は、該透水部材が布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、該含水部材がスポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0036】
また本発明は、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法に於いて、粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備え、該粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含み、対象生物の習性により人的被害或いは食害を低減させるため、該粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を仕掛けの針、重り或いは餌籠の近辺に設置したことを特徴とする、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置の使用方法である。
【0037】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体が天然香料を主成分とするものであることを特徴とする。
【0038】
また本発明は、該装置に用いられる粉体或いは液体に含まれる天然香料がハーブ類、精油或いはアロマオイルを含むことを特徴とする。
【0039】
また本発明は、該装置に用いられる粉体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態であることを特徴とする。
【0040】
また本発明は、該透水部材が布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【0041】
また本発明は、該装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態であることを特徴とする。
【0042】
また本発明は、該含水部材がスポンジ、布、不織布或いは紙製であることを特徴とする。
【実施例0043】
以下、本発明に係る、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法について説明する。
【0044】
本実施例では、マグロ釣りの為の仕掛けの重りと針の間の位置に、本発明に係る粉体或いは液体を収納し水中に成分を徐放する部材を備えるようにした。
【0045】
サメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物が高感度の電流を感知する感覚器官(ロレンチーニ器官)を有するとともに、非常に鋭敏な嗅覚を有する。サメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物は、100万倍に希釈した血液の臭いをも海水中で検知し、獲物を探索していることが知られている。この鋭敏な嗅覚は、逆に経験的に接したことのない臭いをも鋭敏に感知し、これに不安感を抱き忌避する行動に繋がるのである。
【0046】
ここで、使用する粉体或いは液体は対象生物が忌避する成分を含むようにするが、この際使用する物質の選択には注意が必要である。一般に、陸上での熊などの害獣を追い払うためにはアンモニアなどの化学物質を用いるが、水中でのサメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物にとってはアンモニアは餌となる魚類等の排泄物の臭いと感じられ、逆にこれら人的被害或いは食害を齎す生物を誘引するものとなってしまう可能性もある。
【0047】
また、徒に合成化学物質を海中に放出、分散することは、海洋生態系を乱し、環境負荷を増大することにもなりかねない。そこで本発明に於いては、、該装置に用いられる粉体或い液体に、天然香料を主成分とするものを用いている。また、特に陸上植物由来の香料はサメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物にとって未知の臭いであり、動物の本能として未知のものには危険があり、これを忌避する行動をとるから、結果的に鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する効果が得られる。
【0048】
本実施例に於いては、装置に用いられる液体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に含水部材に液体を含浸したものを収納した形態とし、含水部材としてスポンジを用いた。含浸させる天然香料を主成分とする液体は、ペパーミントから抽出したアロマオイルを用いた。
【0049】
ここで、マグロなどの硬骨魚類はその嗅覚がサメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物に比べて鈍感であり、仕掛けの近傍から香料成分が徐放されていても影響は小さい。これに対して、サメ類とエイ類を含む板鰓亜綱の動物は非常に鋭敏な嗅覚を有するから、針ががりしたマグロなどに近づこうとしてもその臭いに怯えて忌避行動を取るため、食害を減少させる効果がある。
【0050】
ここで、マグロなどの対象魚が針がかりして振動や糸の張力の増大が生じた際に徐放容器が解放される機構を備えることも、釣果の増大のために有効である。
【0051】
本実施例に於いては、天然香料を主成分とする液体としてペパーミントから抽出したアロマオイルを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、イランイラン、バニラ、シダー、マンダリンオレンジ、シナモン、レモングラス、ローズヒップなどをはじめとする各種アロマオイル、安息香樹脂、オレンジ油、松根油、スパイクナルド、蘇合香、テレビン油、乳香などの精油或いは樹脂なども好適に用いることができる。
【実施例0052】
ハーブ等の粉体を収納、保持、徐放する部材が籠状の部材に透水部材に粉体を収納した形態でも同様の効果が得られる。本実施例の場合、透水部材として不織布を用い、ラベンダーの粉体を収納して籠状の部材に収めて用いた。
【0053】
本実施例に於いても、実施例1と同様の効果が得られた。こで、マグロなどの対象魚が針がかりして振動や糸の張力の増大が生じた際に徐放容器が解放される機構を備えることが有効な点も同様である。
【0054】
本実施例に於いては、天然香料を主成分とする粉体としラベンダーの粉体を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バジル、ローズマリー、ミント、レモングラス、シナモン、レモングラス、レモンバームなどをはじめとする各種ハーブ類の粉体なども好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上述べてきたように、本発明に係る、水中に生息する鮫等の人的被害或いは食害を齎す生物を忌避する装置及びその使用方法は、簡便な構成で、且つ、環境負荷が小さく、レジャーとしての釣りに於いても使用可能でマグロ等の魚類の釣りの際の食害を忌避することの出来る器具を低コストで実現し、もって社会に資することが出来、産業上の利用可能性は大である。