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特開2022-166763パレット交換装置及びパレット交換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166763
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】パレット交換装置及びパレット交換方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/00 20060101AFI20221026BHJP
   B65G 57/30 20060101ALI20221026BHJP
   B65G 59/06 20060101ALI20221026BHJP
   B65G 37/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B65G57/00 A
B65G57/30
B65G59/06
B65G37/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072172
(22)【出願日】2021-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】511237081
【氏名又は名称】不二技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 豊
(72)【発明者】
【氏名】大西 直樹
(72)【発明者】
【氏名】青山 育巨
【テーマコード(参考)】
3F029
3F030
【Fターム(参考)】
3F029BA01
3F029BA09
3F029CB02
3F029DA02
3F029DA04
3F029DA05
3F029EA07
3F030AA09
3F030AB04
3F030EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】わずかな荷崩れが発生した状態でパレットを交換したとしても、荷物にダメージ/汚れを発生させにくいパレット交換装置及びパレット交換方法を提供する。
【解決手段】パレット交換装置100は第1のパレット1から第2のパレット2に荷物4を載せ替えるためのパレット交換装置であり、第1のパレット回収部40を有し、第2のパレット提供部10は、テーブル提供部20に第2のパレットを送り出すことができる第2のパレット送出機構11を含み、テーブル提供部は、第2のパレットの少なくとも上面の一部を覆うことができるテーブル3及び第2のパレットを、パレット交換部30に送り出すことができるテーブル送出機構21を含み、パレット交換部は、第1のパレットに積載された荷物を把持するクランプ機構31とテーブルをテーブル提供部に送り返すテーブル返送機構32を含み、かつテーブルの上面は浮力付与手段を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパレットから第2のパレットに荷物を載せ替えるためのパレット交換装置であって、
第2のパレット提供部、テーブル提供部、パレット交換部、及び第1のパレット回収部を有しており、
前記第2のパレット提供部は、前記テーブル提供部に第2のパレットを送り出すことができる第2のパレット送出機構を含み、
前記テーブル提供部は、第2のパレットの少なくとも上面の一部を覆うことができるテーブル及び第2のパレットを、前記パレット交換部に送り出すことができるテーブル送出機構を含み、
前記パレット交換部は、第1のパレットに積載された荷物を把持することができるクランプ機構、及び前記テーブルを前記テーブル提供部に送り返すことができるテーブル返送機構を含み、かつ
前記テーブルの上面は、浮力付与手段を有する、
パレット交換装置。
【請求項2】
前記浮力付与手段が、エア供給機構である、請求項1に記載のパレット交換装置。
【請求項3】
前記クランプ機構が、荷崩れを検知するセンサーを具備している、請求項1又は2に記載のパレット交換装置。
【請求項4】
前記パレット交換部は、第1のパレットを前記第1のパレット回収部に送り出すことができる第1のパレット送出機構をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のパレット交換装置。
【請求項5】
前記テーブル送出機構は、前記テーブルを押し出すことによって、前記パレット交換部にある第1のパレットを第1のパレット回収部に送り出すことができる、請求項1~3のいずれか一項に記載のパレット交換装置。
【請求項6】
前記パレット交換部が、第1のパレット及び/又は第2のパレットを上下に昇降することができる昇降装置を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載のパレット交換装置。
【請求項7】
荷物が積載された第1のパレットを前記パレット交換部に提供することができる荷積みパレット送出機構を含む、第1のパレット供給部をさらに有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のパレット交換装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のパレット交換装置を用いて、第1のパレットから第2のパレットに荷物を載せ替えるパレット交換方法であって、以下の工程(a)~(g)を少なくとも含む、パレット交換方法:
(a)前記パレット交換部において、前記クランプ機構を用いて、荷物が積載された第1のパレットの前記荷物を把持すること、
(b)前記パレット交換部において、荷物が積載されていない第1のパレットを、前記第1のパレット回収部に送り出すこと、
(c)前記テーブル提供部において、前記テーブル送出機構を用いて、前記パレット交換部の前記クランプ機構が把持している荷物の下に、前記浮力付与手段を使用しながら前記テーブルを送り出すこと、
(d)前記テーブルの下部に、第2のパレットを送り出すこと、
(e)前記テーブルを前記パレット交換部から移動させること、及び
(f)前記クランプ機構から荷物を開放すること、及び
(g)荷物を第2のパレット上に載置すること。
【請求項9】
前記工程(d)が、前記テーブル提供部において行われ、かつ少なくとも工程(c)の前に行われ、工程(c)は、前記テーブルとともに、前記第2のパレットを送り出す、請求項8に記載のパレット交換方法。
【請求項10】
前記工程(d)が、前記パレット交換部において行われ、かつ少なくとも工程(c)の後に行われる、請求項8に記載のパレット交換方法。
【請求項11】
前記工程(d)が、工程(c)と実質的に同時に行われる、請求項8に記載のパレット交換方法。
【請求項12】
前記工程(f)、(e)及び(g)が、この順で行われる、請求項8~11のいずれか一項に記載のパレット交換方法。
【請求項13】
前記工程(e)、(f)及び(g)が、この順で行われる、請求項8~11のいずれか一項に記載のパレット交換方法。
【請求項14】
前記工程(e)、(g)及び(f)が、この順で行われる、請求項8~11のいずれか一項に記載のパレット交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のパレットから第2のパレットに荷物を載せ替えるためのパレット交換装置及びパレット交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等では、荷物を搬送したりストックしたりする作業のために、パレットが広く用いられている。荷を載せたパレットは、フォークリフト、ローラコンベヤ等によって搬送され、トラックに積載されたり、倉庫にストックされたりする。
【0003】
パレットは、業者毎に保有されており、製造業者が製造した物を輸送する際には、製造業者の工場内のパレットを、卸売業者又は小売業者のパレットに積み替える必要がある。また、パレットには木製、合成樹脂製など、様々な材質及び形態があり、例えば、食品をストックするような場合、衛生上の観点から木製のパレットから合成樹脂製のパレットに積み替えられることもある。
【0004】
パレットの交換方法として、天地反転方式とスライド方式とが知られている。
【0005】
天地反転方式は、第1のパレット上の荷物を第2のパレットでサンドイッチして、第1のパレットと第2のパレットとの天地を反転させることによって、パレットの交換を行う方式である。天地反転方式は、荷物が反転するために、荷物内部の製品にダメージが発生する場合があり、また偶数回反転させないと、荷物の天地が逆のままになってしまうという課題がある。
【0006】
スライド方式には、単純スライド方式とクランプ方式とがある。
【0007】
単純スライド方式は、荷物又はパレットを押すことで、荷物を第1のパレットから第2のパレットに載せ替える方式である。単純スライド方式によれば、パレット交換装置の構成を簡素化することができる。しかしながら、荷物を第2のパレットに載せ替える際に、荷物と第2のパレットとの間に生じる摩擦力が大きいため、荷崩れが発生したり、摩擦によって荷物に汚れ及び/又はダメージが発生したりする等の課題があった。
【0008】
特許文献1は、このような単純スライド方式のパレット交換装置を開示している。
【0009】
クランプ方式は、クランプ装置によって積荷を浮かせた状態で、第1パレットから第2パレットに載せ替える方式である。クランプ方式によれば、荷崩れ等を抑制することができるとされている。しかしながら、積荷を浮かすためのクランプ装置が必要となり、パレット交換装置の構成が複雑となるという点が課題であるとされていた。
【0010】
特許文献2は、このようなクランプ方式のパレット交換装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015-013721号公報
【特許文献2】特開2019-026398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のクランプ方式では、荷崩れが抑制できるとされていたが、例えば荷物が複数のダンボール等からなる場合には、図7(a)に示すように、クランプ装置でしっかりと荷物を把持したとしても、図7(b)のように、わずかな荷崩れが発生する場合がある。この状態で、パレットを交換しようとすると、スライドしてきたパレットと荷物下面とが摩擦を起こし、上記の単純スライド方式と同様の課題が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、わずかな荷崩れが発生した状態でパレットを交換したとしても、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくいパレット交換装置及びパレット交換方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、以下の実施形態を含む本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
【0015】
1つの実施形態のパレット交換装置は、第1のパレットから第2のパレットに荷物を載せ替えるためのパレット交換装置であって、
第2のパレット提供部、テーブル提供部、パレット交換部、及び第1のパレット回収部を有しており、
前記第2のパレット提供部は、前記テーブル提供部に第2のパレットを送り出すことができる第2のパレット送出機構を含み、
前記テーブル提供部は、第2のパレットの少なくとも上面の一部を覆うことができるテーブル及び第2のパレットを、前記パレット交換部に送り出すことができるテーブル送出機構を含み、
前記パレット交換部は、第1のパレットに積載された荷物を把持することができるクランプ機構、及び前記テーブルを前記テーブル提供部に送り返すことができるテーブル返送機構を含み、かつ
前記テーブルの上面は、浮力付与手段を有する。
【0016】
このような実施形態においては、クランプ機構で把持された荷物にわずかな荷崩れが発生し、テーブルが荷物と接触したとしても、テーブルに浮力付与手段があるために、荷物とテーブルの間で摩擦が生じにくく、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくいため、好ましい。
【0017】
1つの実施形態のパレット交換装置は、前記浮力付与手段が、エア供給機構である。テーブル上面にエアが供給されていると、テーブル上に接触した荷物は、テーブル上を非常に滑らかに移動することができる。したがって、荷物とテーブルとが接触した状態でテーブルを移動させても、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくいため好ましい。
【0018】
1つの実施形態のパレット交換装置は、前記クランプ機構が、荷崩れを検知するセンサーを具備している。クランプ機構が荷崩れを検知するセンサーを具備している場合、荷崩れが発生している場合にのみ、浮力付与手段を稼働させることができ、また大きな荷崩れが発生している場合には、テーブルを移動させないことによって、荷物にダメージ及び/又は汚れを生じさせなくすることができるため好ましい。さらに、わずかな荷崩れが発生したことを検知した場合には、パレット交換装置の動作を逆順させて、荷崩れがない状態にしてから、再度パレット交換を実行することもできる。
【0019】
1つの実施形態のパレット交換装置は、前記パレット交換部が、第1のパレットを前記第1のパレット回収部に送り出すことができる第1のパレット送出機構をさらに含む。第1のパレット回収部に第1のパレットを送り出すためには、この実施形態のように、パレット交換部が第1のパレット送出機構を有していてもよい。それにより、所望のタイミングで第1のパレットを第1のパレット回収部に回収させることができる。
【0020】
1つの実施形態のパレット交換装置は、前記テーブル送出機構は、前記テーブルを押し出すことによって、前記パレット交換部にある第1のパレットを第1のパレット回収部に送り出すことができる。第1のパレット回収部に第1のパレットを送り出すためには、この実施形態のように、テーブルがパレット交換部に送り出され、テーブルで第1のパレットを押し出してもよい。それにより、パレット交換装置の構成を簡単化することができる。
【0021】
1つの実施形態のパレット交換装置は、前記パレット交換部が、第1のパレット及び/又は第2のパレットを上下に昇降することができる昇降装置を有している。この実施形態によれば、クランプの直下まで、第1のパレット及び第2のパレットを近づけて、荷物の受け渡しが可能になるため、荷物にダメージ及び/又は汚れを生じさせなくすることができて好ましい。
【0022】
1つの実施形態のパレット交換装置は、荷物が積載された第1のパレットを前記パレット交換部に提供することができる荷積みパレット送出機構を含む、第1のパレット供給部をさらに有する。この実施形態のように、第1のパレット供給部が存在することによって、パレット交換部に直接、荷物を積んだ第1のパレットをフォークリフト等で持っていく必要がなくなるため好ましい。
【0023】
1つの実施形態のパレット交換方法は、上記のようなパレット交換装置を用いて、第1のパレットから第2のパレットに荷物を載せ替えるパレット交換方法であって、以下の工程(a)~(g)を少なくとも含む、パレット交換方法:
(a)前記パレット交換部において、前記クランプ機構を用いて、荷物が積載された第1のパレットの前記荷物を把持すること、
(b)前記パレット交換部において、荷物が積載されていない第1のパレットを、前記第1のパレット回収部に送り出すこと、
(c)前記テーブル提供部において、前記テーブル送出機構を用いて、前記パレット交換部の前記クランプ機構が把持している荷物の下に、前記浮力付与手段を使用しながら前記テーブルを送り出すこと、
(d)前記テーブルの下部に、第2のパレットを送り出すこと、
(e)前記テーブルを前記パレット交換部から移動させること、及び
(f)前記クランプ機構から荷物を開放すること、及び
(g)荷物を第2のパレット上に載置すること。
【0024】
このような実施形態においては、クランプ機構で把持された荷物にわずかな荷崩れが発生し、テーブルが荷物と接触したとしても、テーブルに浮力付与手段があるために、荷物とテーブルの間で摩擦が生じにくく、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくいため、好ましい。
【0025】
1つの実施形態のパレット交換方法は、前記工程(d)が、前記テーブル提供部において行われ、かつ少なくとも工程(c)の前に行われ、工程(c)は、前記テーブルとともに、前記第2のパレットを送り出す。この実施形態は、テーブルの下に第2のパレットを送り出すための実施形態の1つである。
【0026】
1つの実施形態のパレット交換方法は、前記工程(d)が、前記パレット交換部において行われ、かつ少なくとも工程(c)の後に行われる。この実施形態は、テーブルの下に第2のパレットを送り出すための実施形態の他の1つである。
【0027】
1つの実施形態のパレット交換方法は、前記工程(d)が、工程(c)と実質的に同時に行われる。この実施形態は、テーブルの下に第2のパレットを送り出すための実施形態の他の1つである。
【0028】
1つの実施形態のパレット交換方法は、前記工程(f)、(e)及び(g)が、この順で行われる。この実施形態は、荷物を第2のパレットに載置するための実施形態の1つであり、工程(f)の後で、把持された荷物が前記テーブル上に一時的に載置される。クランプ機構の把持状態を開放状態にしてテーブル上に荷物を載置するか、又は荷物の自重によってクランプ機構からテーブル上に荷物を載置させたら、テーブルをパレット交換部から別の場所に移動させる。工程(e)において、テーブルを別の場所に移動させる際には、テーブルの浮力付与手段を使用しながら移動させることが好ましい。
【0029】
1つの実施形態のパレット交換方法は、前記工程(e)、(f)及び(g)が、この順で行われる。この実施形態は、荷物を第2のパレットに載置するための実施形態の1つであり、把持された荷物が第2のパレット上に直接載置されて、その後、クランプ機構から荷物を開放する。工程(e)において、テーブルの浮力付与手段を使用する必要はない。
【0030】
1つの実施形態のパレット交換方法は、工程(e)、(g)及び(f)が、この順で行われる。この実施形態は、荷物を第2のパレットに載置するための実施形態の1つであり、テーブルが移動することで荷物が第2のパレット上に移されて、その後、クランプ機構から荷物を開放する。工程(e)において、テーブルを別の場所に移動させる際には、テーブルの浮力付与手段を使用しながら移動させることが好ましい。この実施形態では、クランプ機構による荷物の把持は、荷物を支える程度であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明のパレット交換装置及びパレット交換方法によれば、わずかな荷崩れが発生した状態でパレットを交換したとしても、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明のパレット交換装置の1つの実施形態の上面図を示している。
図2図2は、図1のパレット交換装置の側面図を示している。
図3図3は、テーブルの浮力付与手段の1つの態様であるエア供給機構の拡大図を示している。
図4A図4Aは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。図4A(a)は、パレット交換装置の平面図を示しており、図4A(b)は、図4A(a)のパレット交換装置の側面図を示している。
図4B図4Bは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。
図4C図4Cは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。
図4D図4Dは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。
図4E図4Eは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。
図4F図4Fは、パレット交換方法の1つの工程を簡易的に示している。
図5A図5Aは、パレット交換方法の1つの実施形態の前半部分を示している。
図5B図5Bは、パレット交換方法の1つの実施形態の後半部分を示している。
図6A図6Aは、パレット交換方法の他の実施形態の前半部分を示している。
図6B図6Bは、パレット交換方法の他の実施形態の後半部分を示している。
図7図7は、クランプ機構によって把持されて荷物が荷崩れする様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照してさらに具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0034】
本明細書における各装置、機構、手段等について特に詳細な言及がない場合には、これらについては当業者であれば周知の機械的装置、機構、手段等を用いることができる。例えば、各送出機構等については、コンベア等の周知の機構を用いることができる。また、これらの機構等のための各種機械部品、例えばモータ、ベルト、制御装置等についても、当業者は理解することができる。
【0035】
《パレット交換装置100》
図1は、本発明のパレット交換装置の1つの実施形態の上面図を示している。図2は、図1のパレット交換装置の側面図を示している。パレット交換装置100が、製造工場で用いられる場合、第1のパレット1は、製造業者のパレットであり、第2のパレット2は、卸売業者又は小売業者のパレットに該当する。
【0036】
図1に示すように、本発明のパレット交換装置100は、第2のパレット提供部10、テーブル提供部20、パレット交換部30、及び第1のパレット回収部40を有しており、さらに第1のパレット供給部50及び第2のパレット回収部60を有していてもよい。
【0037】
〈第2のパレット提供部10〉
第2のパレット提供部10は、第2のパレット送出機構11によって、第2のパレット2をテーブル提供部20に提供する。
【0038】
第2のパレット2は、第2のパレット提供部10において積み上げられており、第2のパレット昇降機構12によって、必要な時に第2のパレット2を第2のパレット送出機構11に提供できるようになっている。
【0039】
〈テーブル提供部20〉
テーブル提供部20は、テーブル3及び第2のパレット2を、パレット交換部30に送り出すことができるテーブル送出機構21を含む。
【0040】
テーブル3は、第2のパレットの少なくとも上面の少なくとも一部を覆うことができ、それにより、第2のパレット2を、パレット交換部30に提供した時に、第2のパレット2が、荷物4に直接接触することを防止することができる。テーブル3を、パレット交換部30に送り出すときには、必ずしも第2のパレット2と組み合わせてある必要はなく、テーブル3のみをパレット交換部30に送り出して、その後、第2のパレット2を、テーブル3の下側に送り出してもよい。
【0041】
テーブル3は、図3に例示されるように、例えばエア供給による浮力付与手段3aを有している。これにより、テーブル3がパレット交換部30において荷物4の下部で擦れても、テーブル3と荷物4との間に発生する摩擦が小さくなるため、テーブル3上に接触した荷物4は、ダメージ及び/又は汚れを発生させにくい。
【0042】
図3に例示されるように、テーブル3は、第2のパレット2の少なくとも上面を覆うことができ、さらに第2のパレット2の両側面も覆うことができる。
【0043】
テーブル送出機構21は、テーブル3のみをパレット交換部30に送り出してもよく、パレット交換部30にテーブル3が存在する場合には、第2のパレット2のみをパレット交換部30に送り出してもよい。
【0044】
〈パレット交換部30〉
パレット交換部30は、第1のパレット1に積載された荷物4を把持することができるクランプ機構31、及びテーブル3をテーブル提供部20に送り返すことができるテーブル返送機構32を含む。
【0045】
図2では、クランプ機構31は、荷物4をサンドイッチして把持する機構が採用されているが、クランプ機構31は、荷物4を把持することができ、それにより第1のパレット1に積載された荷物4を、第1のパレット1から取り外すことができれば、特に限定されない。クランプ機構31は、荷物を持ち上げるための昇降装置34を有していてもよいが、構造を単純化するために、昇降装置34を有していなくてもよい。
【0046】
テーブル返送機構32は、テーブル3をテーブル提供部20に送り返すことができる。テーブル3は、テーブル送出機構21によってテーブル提供部20から送り出され、テーブル返送機構32によってパレット交換部30からテーブル提供部20に返送される。
【0047】
パレット交換部30には、さらに荷崩れを検知するセンサー33を具備していてもよい。例えば、センサー33は、クランプ機構31の下部において取り付けられており、例えばクランプ機構31のサンドイッチ構造の両側の下部で光学的に荷崩れを検知することができる。センサー33が荷崩れを検知した場合にのみ、テーブル3の移動時に浮力付与手段3aを用いることもできる。センサー33によって、荷崩れを検知した場合には、パレット交換装置100の動作を逆順させて、荷崩れがない状態にしてから、再度パレット交換を実行することもできる。この場合においては、逆順させる際に第1のパレット1に荷物を再度載置できるように、パレット交換部30に昇降装置34があることが特に好ましい。
【0048】
パレット交換部30は、さらに第1のパレット1及び/又は第2のパレット2を上下に昇降することができる昇降装置34を有していてもよい。これにより、荷物4を積載した第1のパレットを、クランプ機構31の下端部に近づけて、荷物4をクランプ機構31によって把持させることができる。また、第2のパレット2をクランプ機構31の下端部に近づけて、荷物4と第2のパレット2とを可能な限り接近させた状態で、クランプ機構31から荷物4を開放して、第2のパレット2に荷物4を載置することができる。
【0049】
パレット交換部30に昇降装置34がない場合には、荷物4を積載した第1のパレット1を、クランプ機構31の下端部に提供されるようにして、クランプ機構31によって、荷物4を把持する。そして、テーブル3の上面がクランプ機構31の下端部に近づくようにテーブル3を提供して、テーブル3を移動させて、第2のパレット2に荷物4を載置する。
【0050】
パレット交換部30には、さらに第1のパレット送出機構35を具備していてもよい。第1のパレット送出機構35は、第1のパレット1を第1のパレット回収部40に送り出すことができ、それにより、所望のタイミングで第1のパレットを第1のパレット回収部に回収させることができる。
【0051】
〈第1のパレット回収部40〉
パレット回収部40において、荷物4をクランプ機構31で取り外した第1のパレット1で回収する。
【0052】
第1のパレット回収部40は、第1のパレット引出機構41を具備していてもよく、これによりパレット交換部30から送られてきた第1のパレット1を第1のパレット回収部40にまで移動させてくることができる。
【0053】
第1のパレット回収部40では、第1のパレット昇降機構42によって、回収された第1のパレット1を積み上げて保管する。第1のパレット1が一定程度積み重なったら、フォークリフト等を使って、第1のパレット回収部40から、第1のパレット1を運び出すことができる。
【0054】
〈第1のパレット供給部50〉
図1に示すように、第1のパレット供給部50に、荷物4を積載した第1のパレット1を、例えばフォークリフト等によって運び込むことができる。第1のパレット供給部50は、荷物4を積載した第1のパレット1をパレット交換部30に送り出すことができる、第1の荷積みパレット送出機構(図示されていない)を有することができる。
【0055】
〈第2のパレット回収部60〉
図1に示すように、第2のパレット回収部60に、荷物4を積載した第2のパレット2を送り出し、それを例えばフォークリフト等によって運び出すことができる。第2のパレット回収部60は、荷物4を積載した第2のパレット2をパレット交換部30から第2のパレット回収部60にまで移動させてくることができる、第2の荷積みパレット引出機構(図示されていない)を具備していてもよい。
【0056】
《パレット交換方法》
本発明のパレット交換方法は、例えば上記のパレット交換装置を用いたパレット交換方法であり、したがって、本発明のパレット交換方法に関する構成については、本発明のパレット交換装置に関して説明した各構成を参照することができる。また、本発明のパレット交換装置は、本発明のパレット交換方法を実行するために必要な構成、例えば制御装置をさらに含むことができる。
【0057】
図4A図4Fは、本発明のパレット交換方法の1つの例を簡易的に示している。
【0058】
図4A(a)は、パレット交換装置の平面図を示しており、図4A(b)は、図4A(a)のパレット交換装置の側面図を示している。
【0059】
図4Aは、パレット交換部30に、荷物4が積載された第1のパレット1を提供する工程を示している。この実施形態では、すでに、テーブル3の下部に、第2のパレット2が送り出されている。
【0060】
図4Bは、クランプ機構31を用いて、荷物4が積載された第1のパレット1の荷物4を把持した状態を示している。ここでは、第1のパレット1から、クランプ機構31によって荷物4を分離させているというよりは、クランプ機構31によって荷物を弱く把持することによって、パレット交換部30から荷物4を移動させないようにしているという実施形態となっている。
【0061】
この実施形態では、クランプ機構31の下端と、第1のパレット1の上面とが実質的に同じ高さになっており、これによって、パレット交換部30において、パレットを昇降させるための昇降装置は不要となっている。
【0062】
図4Cは、荷物が積載されていない第1のパレット1を、第1のパレット回収部40に送り出すと共に、テーブル提供部20において、テーブル送出機構を用いて、パレット交換部30のクランプ機構31が把持している荷物4の下に、浮力付与手段3aを使用しながらテーブル3を送り出す工程を示している。
【0063】
この実施形態においては、テーブル3によって、第1のパレット1が、第1のパレット回収部40に押し出されている。テーブル3の下部にある第2のパレット2は、テーブル3とともにパレット交換部30に送り出される。
【0064】
この工程では、浮力付与手段3aを使用しながらテーブル3を移動させているため、荷物4の下面とテーブル3の上面との間では、大きな摩擦が発生せず、摩擦によって荷物に汚れ及び/又はダメージが発生することが少ない。
【0065】
また、テーブル3の上面は、クランプ機構31の下端及び第1のパレット1の上面と実質的に同じ高さになっている。
【0066】
図4Dは、図4Cのテーブル3がパレット交換部30にまで完全に移動している状態を示している。第1のパレット1は、パレット交換部30及び/又は第1のパレット回収部40にある送出機構によって、第1のパレット回収部40へと送り出される。
【0067】
図4Eは、テーブルを前記パレット交換部から移動させる工程を示しており、具体的には、浮力付与手段3aを使用しながらテーブル3を、テーブル提供部20へと送り返している。
【0068】
浮力付与手段3aを使用して、テーブル3を送り出すため、大きな摩擦が発生せず、摩擦によって荷物に汚れ及び/又はダメージが発生することが少ない。テーブル3の下には第2のパレット2が待機している。この場合において、第2のパレット2は、第1のパレット1と同じ寸法であってもよく、第1のパレット1よりも厚さが小さくてもよい。
【0069】
図4Eでは、テーブル3が移動して、荷物4がテーブル3に支えられていない箇所において、クランプ機構31によって荷物4が把持されていて、第2のパレット2には荷物4が載置されていない。しかし、テーブル3が移動して荷物4がテーブル3に支えられなくなると同時に、荷物4の自重によって、荷物4が第2のパレット2に載置されてもよい。
【0070】
図4Fは、テーブル3を、テーブル提供部20へと送り出した後に、荷物4が第2のパレット2に自重によって載置される工程を示している。この工程の後に、クランプ機構31を開放状態に変更して、第1のパレット1から第2のパレット2に荷物4を載せ替える方法が完了する。
【0071】
図5A及び図5Bは、本発明のパレット交換方法の1つの例を簡易的に示している。
【0072】
図5A(1)は、パレット交換部30において、クランプ機構31を用いて、荷物4が積載された第1のパレット1の荷物4を把持している工程を示している。
【0073】
図5A(2)は、パレット交換部30において、荷物4が積載されていない第1のパレット1を、第1のパレット回収部40に送り出す工程を示している。ここでは、図4A~Fに記載のパレット交換方法の場合とは異なり、クランプ機構31は、荷物4をしっかりと把持しており、荷物4が宙に浮いている状態となっている。
【0074】
図5A(3)は、テーブル3の下部に、第2のパレット2を送り出す工程を示している。この実施形態においては、パレット交換部30にテーブル3を送り出す前に、テーブル3の下部に、第2のパレット2を送り出しているが、この工程は、パレット交換部30にテーブル3を送り出す工程と実質的に同時に行われてもよく、すなわちパレット交換部30にテーブル3を送り出しながら、第2のパレット2をテーブル3の下部に送り出してもよく、又はパレット交換部30にテーブル3が送り出された後に、第2のパレット2をテーブル3の下部に送り出してもよい。
【0075】
図5B(4)は、テーブル提供部20において、テーブル送出機構21を用いて、パレット交換部30のクランプ機構31が把持している荷物4の下に、浮力付与手段3aを使用しながらテーブル3を送り出す工程を示している。図示されていないがテーブル3の下には、第2のパレット2が存在している。
【0076】
図5B(5)は、クランプ機構31から荷物4を開放して荷物4がテーブル3上に一時的に載置されている状態を示している。
【0077】
図5B(6)は、テーブル3をパレット交換部30から移動させて、荷物4をテーブル3から第2のパレット上に載置した状態を示している。テーブル3を移動させる際には浮力付与手段3aを使用しながら移動させることが好ましい。
【0078】
図6A及び図6Bは、本発明のパレット交換方法の1つの例を簡易的に示している。ここで示したパレット交換装置には、パレット交換部30は、昇降装置34を有している。
【0079】
図6A(1)は、パレット交換部30において、クランプ機構31を用いて、荷物4が積載された第1のパレット1の荷物4を把持している工程を示している。ここでは、クランプ機構31の把持位置まで、荷物4を積載した第1のパレット1を、昇降装置34を用いて持ち上げている。この実施形態では、テーブル3の下部に、すでに第2のパレット2が送り出されている。
【0080】
図6A(2)は、パレット交換部30において第1のパレット1を昇降装置34で降ろした状態を示している。ここでは、図4A~Fに記載のパレット交換方法の場合とは異なり、クランプ機構31は、荷物4をしっかりと把持しており、荷物4が宙に浮いている状態となっている。
【0081】
図6A(3)は、テーブル提供部20において、テーブル送出機構21を用いて、パレット交換部30のクランプ機構31が把持している荷物4の下に、浮力付与手段3aを使用しながらテーブル3を送り出す工程を示している。図示されていないがテーブル3の下には、第2のパレット2が存在している。この実施形態では、テーブル3を送り出すとともに、テーブル3で第1のパレット1を、第1のパレット回収部40に送り出している。また、この工程では、テーブル3の厚さと荷物4が浮いている高さとが実質的に同じとなっており、このような場合には、テーブル3を移動させる際には浮力付与手段3aを使用しながら移動させることが好ましい。
【0082】
図6B(4)は、第1のパレット1を、第1のパレット回収部40に移動させ、テーブル3を荷物4の下側に完全に移動させた状態を示している。
【0083】
図6B(5)は、テーブル3のみをテーブル提供部20に移動させて、第2のパレット2をパレット交換部30に残している状態を示している。テーブル3を移動させる際には浮力付与手段3aを使用しながら移動させることが好ましい。
【0084】
図6B(6)は、パレット交換部30において、昇降装置34を用いて第2のパレット2を持ち上げて、第2のパレット2をクランプ機構31の直下まで移動させた状態を示している。この後、クランプ機構31から荷物4を開放することによって、第2のパレット2の上に荷物4を載置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、わずかな荷崩れが発生した状態でパレットを交換したとしても、荷物にダメージ及び/又は汚れを発生させにくいパレット交換装置及びパレット交換方法を提供することができるため、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0086】
1 第1のパレット
2 第2のパレット
3 テーブル
3a 浮力付与手段
4 荷物
10 第2のパレット提供部
11 第2のパレット送出機構
12 第2のパレット昇降機構12
20 テーブル提供部
21 テーブル送出機構21
30 パレット交換部
31 クランプ機構
32 テーブル返送機構
33 センサー
34 昇降装置
40 第1のパレット回収部
41 第1のパレット引出機構
42 第1のパレット昇降機構
50 第1のパレット供給部
60 第2のパレット回収部
100 パレット交換装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6A
図6B
図7