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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166767
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】基地局装置及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20221026BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221026BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221026BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20221026BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H04W72/12 130
H04W16/28
H04W72/04 136
H04W64/00 110
H04W64/00 171
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072190
(22)【出願日】2021-04-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】230120499
【弁護士】
【氏名又は名称】藤江 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100201385
【弁理士】
【氏名又は名称】中安 桂子
(72)【発明者】
【氏名】中田 恒夫
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB01
5J062CC11
5K067AA33
5K067BB21
5K067DD11
5K067DD17
5K067DD34
5K067DD43
5K067DD44
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF03
5K067FF16
5K067GG11
5K067HH22
5K067JJ13
5K067JJ52
5K067JJ54
(57)【要約】
【課題】
基地局装置からの無線通信を利用した測位は、端末装置の存在エリア、ビームフォーミング設定、受信環境等によって測位精度に影響を受け、単一の基地局装置の単一の信号によって、複数の端末装置の位置精度を確保することが難しい。
【解決手段】
本発明の基地局装置10は、複数のビームフォーミング設定情報を取得するビームフォーミング設定情報取得部101と、複数の前記ビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成する測位用参照信号生成部105と、複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部102と、前記スケジュール情報に基づいて、複数の前記測位用参照信号をそれぞれ送信する送信部106と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビームフォーミング設定情報を取得するビームフォーミング設定情報取得部(101)と、
複数の前記ビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成する測位用参照信号生成部(105)と、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部(102)と、
前記スケジュール情報に基づいて、複数の前記測位用参照信号をそれぞれ送信する送信部(106)と、を有する、
基地局装置(10)。
【請求項2】
前記送信部は、さらに前記スケジュール情報を送信する、
請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記スケジュール情報は、前記測位用参照信号の送信期間又は送信時刻である、
請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
複数のビームフォーミング設定情報に基づき基地局装置からそれぞれ送信された複数の測位用参照信号を受信する受信部(201)と、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部(202)と、
前記スケジュール情報に基づき、複数の前記測位用参照信号の中から、当該端末装置自身が用いる前記測位用参照信号を選択する測位用参照信号選択部(204)と、
選択した前記測位用参照信号の受信状況を測定する受信状況測定部(205)と、
特定位置、及び前記特定位置における受信伝搬路の状態又は推定結果が紐づけられた受信マップであって、前記選択部で選択した前記測位用参照信号に対応する前記受信マップを取得する受信マップ取得部(207)と、
前記受信状況測定部の測定結果と前記受信マップに基づき、当該端末装置の位置を取得する位置取得部(209)と、を有する、
端末装置(20)。
【請求項5】
前記スケジュール情報は、前記測位用参照信号の送信期間又は送信時刻である、
請求項4記載の端末装置。
【請求項6】
前記スケジュール情報は、前記基地局装置から受信することにより取得する、
請求項4記載の端末装置。
【請求項7】
前記受信マップは、前記受信マップを生成する受信マップサーバ装置(30)から受信することにより取得する、
請求項4記載の端末装置。
【請求項8】
前記スケジュール情報は、前記受信マップサーバ装置から受信することにより取得する、
請求項7記載の端末装置。
【請求項9】
さらに、当該端末装置自身の周辺の受信環境を検出する受信環境検出部(203)を備え、
前記測位用参照信号選択部は、前記スケジュール情報に加え、前記受信環境に基づいて前記測位用参照信号を選択する、
請求項4記載の端末装置。
【請求項10】
当該端末装置は、移動体に搭載されている、
請求項4~9に記載の端末装置。
【請求項11】
基地局装置で実行される測位用参照信号送信方法であって、
複数のビームフォーミング設定情報を取得し(S201)、
複数の前記ビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成し(S204)、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得し(S202)、
前記スケジュール情報に基づいて、複数の前記測位用参照信号をそれぞれ送信する(S205)、
測位用参照信号送信方法。
【請求項12】
基地局装置で実行可能な測位用参照信号送信プログラムであって、
複数のビームフォーミング設定情報を取得し(S201)、
複数の前記ビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成し(S204)、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得し(S202)、
前記スケジュール情報に基づいて、複数の前記測位用参照信号をそれぞれ送信する(S205)、
測位用参照信号送信プログラム。
【請求項13】
端末装置で実行する測位方法であって、
複数のビームフォーミング設定情報に基づき基地局装置からそれぞれ送信された複数の測位用参照信号を受信し(S303)、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得し(S301)、
前記スケジュール情報に基づき、複数の前記測位用参照信号の中から、当該端末装置自身が用いる前記測位用参照信号を選択し(S302)、
選択した前記測位用参照信号の受信状況を測定し(S304)、
特定位置、及び前記特定位置における受信伝搬路の状態又は推定結果が紐づけられた受信マップであって、前記選択部で選択した前記測位用参照信号に対応する前記受信マップを取得し(S305)、
前記受信状況測定部の測定結果と前記受信マップに基づき、当該端末装置の位置を取得する(S306)、
測位方法。
【請求項14】
端末装置で実行可能な測位プログラムであって、
複数のビームフォーミング設定情報に基づき基地局装置からそれぞれ送信された複数の測位用参照信号を受信し(S303)、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得し(S301)、
前記スケジュール情報に基づき、複数の前記測位用参照信号の中から、当該端末装置自身が用いる前記測位用参照信号を選択し(S302)、
選択した前記測位用参照信号の受信状況を測定し(S304)、
特定位置、及び前記特定位置における受信伝搬路の状態又は推定結果が紐づけられた受信マップであって、前記選択部で選択した前記測位用参照信号に対応する前記受信マップを取得し(S305)、
前記受信状況測定部の測定結果と前記受信マップに基づき、当該端末装置の位置を取得する(S306)、
測位プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置及び端末装置、そしてこれらの装置で実行する方法及びこれらの装置で実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置情報サービスとして、GPS(Global Positioning System)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)がよく知られている。GNSSはGPS衛星のような測位衛星からの電波及び電波で搬送される信号データを用いて、地球上の端末装置の絶対位置を取得する。端末装置として車両を想定した場合、さらに車両の車速信号、加速度センサ、ジャイロセンサと併用することによって、現在位置を精度よくかつ逐次求めることができる。
【0003】
このGNSSは受信可能な測位衛星の数や天空の衛星配置の状態で大きくその位置精度が変動する場合があり、また都市部ではマルチパスの影響で大きく位置精度が劣化する場合がある。また、トンネル、高架下、又は山間部等ではそもそもGNSSが受信できない場合がある。
【0004】
一方、地上では、大容量のセルラ通信や、車車間通信及び路車間通信のようなV2X、等の無線通信が普及している。
【0005】
そこで、GNSSを用いた測位を補完するため、又はさらに位置精度を向上するために、測位にこれらの無線通信を利用する技術がある。
例えば、特許文献1では、無線通信を行う無線送信機(基地局装置)の信号を利用する。特許文献1において、基地局装置から送信される信号の、移動経路沿いの受信状況の軌跡を測定して受信電波マップとして登録しておき、測位を行う無線通信装置(端末装置)は自身が搭載される車両が走行中の経路に対応する受信電波マップを取得し、自身が測定した受信状況の軌跡とマッチングすることにより端末装置の位置を推定する技術の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-257306公報(特許第5641073号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本発明者は、以下の課題を見出した。
先行技術のような無線通信を利用した測位は、端末装置が存在するエリアや基地局装置のビームフォーミング設定等によって測位精度に影響を受ける。したがって、先行技術のような、単一の基地局装置からの単一の信号を用いた場合、基地局装置周辺のエリア全体において、所望の位置精度を確保することは難しい。
【0008】
本発明は、端末装置が無線通信を用いて測位を行うのに適した情報を生成、提供することにより、GNSSが利用できない場合においても測位を可能にすること、又は端末装置の測位の精度を上げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の基地局装置(10)は、
複数のビームフォーミング設定情報を取得するビームフォーミング設定情報取得部(101)と、
複数の前記ビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成する測位用参照信号生成部(105)と、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部(102)と、
前記スケジュール情報に基づいて、複数の前記測位用参照信号をそれぞれ送信する送信部(106)と、を備える。
【0010】
本開示の端末装置(20)は、
複数のビームフォーミング設定情報に基づき基地局装置からそれぞれ送信された複数の測位用参照信号を受信する受信部(201)と、
複数の前記測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部(202)と、
前記スケジュール情報に基づき、複数の前記測位用参照信号の中から、当該端末装置自身が用いる前記測位用参照信号を選択する測位用参照信号選択部(204)と、
選択した前記測位用参照信号の受信状況を測定する受信状況測定部(205)と、
特定位置、及び前記特定位置における受信伝搬路の状態又は推定結果が紐づけられた受信マップであって、前記選択部で選択した前記測位用参照信号に対応する前記受信マップを取得する受信マップ取得部(207)と、
前記受信状況測定部の測定結果と前記受信マップに基づき、当該端末装置の位置を取得する位置取得部(209)と、を備える。
【0011】
なお、特許請求の範囲、及び本項に記載した発明の構成要件に付した括弧内の番号は、本発明と後述の実施形態との対応関係を示すものであり、本発明を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0012】
上述のような構成により、本発明は、GNSSが利用できない場合においても測位を可能にすること、又は端末装置の測位の精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態の全体構成を示す図
図2】本開示の実施形態で生成する測位用参照信号及び受信電波マップを説明する説明図
図3】本開示の実施形態における測位用参照信号及び受信電波マップを用いた測位について説明する説明図
図4】本開示の実施形態の基地局装置の構成例を示すブロック図
図5】本開示の実施形態のビームフォーミング設定情報を説明する説明図
図6】本開示の実施形態のスケジュール情報を説明する説明図
図7】本開示の実施形態の測位用参照信号を説明する説明図
図8】基地局装置が端末装置へ測位用参照信号を送信する様子を説明する説明図
図9】基地局装置が端末装置へスケジュール情報を送信する様子を説明する説明図
図10】本開示の実施形態の端末装置の構成例を示すブロック図
図11】本開示の実施形態の受信マップサーバ装置の構成例を示すブロック図
図12】本開示の実施形態のマップスコアの例を説明する説明図
図13】本開示の実施形態のマップスコアの例を説明する説明図
図14】本開示の実施形態の信号諸元情報を説明する説明図
図15】本開示の実施形態の端末装置の測位プロセスにおける受信マップサーバ装置、基地局装置、及び端末装置の動作を示すフローチャート
図16】本開示の実施形態の端末装置の測位プロセスにおける受信マップサーバ装置、基地局装置、及び端末装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
特許請求の範囲の従属項に記載の構成及び方法は、特許請求の範囲の独立項に記載の発明において任意の構成及び方法である。従属項に記載の構成及び方法に対応する実施形態の構成及び方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成及び方法は、本発明において任意の構成及び方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成及び方法も、本発明の構成及び方法の例示であるという意味で、本発明において任意の構成及び方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成及び方法となる。
【0017】
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
【0018】
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせても良い。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせても良い。
【0019】
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成及び方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
【0020】
1.総論
(1)全体構成
図1を用いて、本実施形態で用いる装置及びこれらの相互関係を示す全体構成をまず説明する。
【0021】
基地局装置10は、端末装置20が無線通信を用いて測位を行うために必要な情報を提供する装置である。具体的には、基地局装置10は、複数のビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成し、生成した複数の測位用参照信号を端末装置20に向けて送信する。複数の測位用参照信号は、それぞれのスケジュール情報に基づき送信される。
【0022】
端末装置20は、基地局装置10及び受信マップサーバ装置30から提供される情報を用いて測位を行う装置である。具体的には、測位用参照信号を基地局装置10から受信するとともに受信電波マップを受信マップサーバ装置30から受信し、測位用参照信号の受信状況の測定結果と受信電波マップに基づき、端末装置20の現在位置を取得する。
【0023】
なお、端末装置20は、スケジュール情報に基づき複数の測位用参照信号の中から測位に利用する測位用参照信号を選択しているが、スケジュール情報は、基地局装置10、受信マップサーバ装置30、又はその他の装置から取得することができる。
【0024】
図1では、端末装置20は、「移動体」である車両に「搭載された」車載端末として説明するが、必ずしも端末装置20は車載端末に限定しない。人間や動物が携帯するものでもよいし、船舶や航空機に搭載される端末であってもよい。航空機はドローンのような無人の航空機であってもよい。
ここで、
「移動体」とは、移動可能な物体をいい、移動速度は任意である。また移動体が停止している場合も当然含む。例えば、自動車、自動二輪車、自転車、歩行者、船舶、航空機、及びこれらに搭載される物を含み、またこれらに限らない。
「搭載された」、とは、移動体に直接固定されている場合の他、移動体に固定されていないが移動体と共に移動する場合も含む。例えば、移動体に乗った人が所持している場合、移動体に載置された積荷に搭載されている場合、が挙げられる。
【0025】
受信マップサーバ装置30は、端末装置20が測位に用いるための受信電波マップを管理し、端末装置20に提供している。また、受信マップサーバ装置30は、受信電波マップと共に測位用参照信号のスケジュール情報を送信してもよい。
【0026】
プローブ端末装置40は、受信電波マップを生成するために必要な情報を収集して受信マップサーバ装置30に送信する装置である。
【0027】
次に、各装置を接続するための通信方式について説明する。
【0028】
基地局装置10は、端末装置20及びプローブ端末装置40と所定の無線通信方式を用いて無線通信を行う。無線通信には、相手方を特定した通信であるユニキャストやマルチキャストの他、相手方を特定しないブロードキャストの態様を含む。
【0029】
無線通信の方式は、参照信号を挿入可能な任意の方式でよい。例えば、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)等を用いることができる。また、無線通信方式は電波によるものの他、光波や音波によるものでもよい。基地局装置10は、これらの通信方式のいずれかに対応した装置である。
以下の本実施形態では、セルラ通信で広く用いられているOFDMAの通信方式を用いることを前提として説明する。
【0030】
受信マップサーバ装置30は、基地局装置10と有線通信を用いて通信を行う。受信マップサーバ装置30と基地局装置10との間には図示しないゲートウェイ装置が設けられ、受信マップサーバ装置30が接続されるインターネット網と基地局装置10が接続されるバックボーン回線とが接続されている。もちろん、受信マップサーバ装置30はインターネット網ではなくバックボーン回線に直接接続されていてもよい。また、受信マップサーバ装置30は基地局装置10と有線通信ではなく無線通信を用いて通信を行ってもよい。
【0031】
受信マップサーバ装置30は、端末装置20及びプローブ端末装置40と無線通信又は/及び有線通信を用いて通信を行う。無線通信の方式は、既存若しくは新規を問わず任意の方式を用いることができる。有線通信の方式には、例えば、LAN(Local Area Network)やインターネット、固定電話回線を用いることができる。有線通信を用いる場合としては、端末装置が搭載される車両が自宅やその他の場所にある駐車場に停止している場合や、修理工場に収容されている場合が想定される。
この他、受信マップサーバ装置30は、基地局装置10を介して端末装置20及びプローブ端末装置40と通信を行ってもよい。
【0032】
なお、図1では、1つの受信マップサーバ装置30、1つの基地局装置10、1つの端末装置20、1つのプローブ端末装置40が描かれているが、これらの装置はそれぞれ複数あってもよい。
また、受信マップサーバ装置30と基地局装置10は、一体として構成されてもよい。すなわち、基地局装置10は、受信マップサーバ装置30の機能の全部又は一部を有していてもよい。さらに、端末装置20とプローブ端末装置40は、一体として構成されてもよい。すなわち、端末装置20は、プローブ端末装置40の機能の全部又は一部を有していてもよい。
【0033】
各装置及び各装置間で送受信される信号や情報の詳細は各論で説明する。
【0034】
(2)測位用参照信号及び受信電波マップ
図2を用いて、本実施形態の測位用参照信号及び受信電波マップについて説明する。
【0035】
まず、図2(a)を用いて、測位用参照信号について説明する。
測位用参照信号は、基地局装置10から端末装置20へ送信される信号であり、端末装置20が自身の位置を推定するために用いる信号である。図2(a)においてRSが測位用参照信号である。
【0036】
尚、以下では、位置を推定する技術は測位と同義として説明を進める。
【0037】
基地局装置10は複数の端末装置20と個別に無線通信を確立する一方、通信品質の測定、通信パラメータ、同期情報等のような各端末装置20に共通する共通情報を報知する。測位用参照信号は共通情報として提供してもよいし、個々の端末装置20に対し、個々の端末装置20に固有の情報として提供してもよい。
【0038】
測位用参照信号は基地局装置10が生成する任意の信号である。例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の通信ならば、測位用参照信号用に割当てられたOFDMシンボル内で強度及び位相を既定の値で一定とするか、既定の系列に従う形で変動させる。ただし通信における参照信号のようにこの情報に基づく処理(伝搬路推定や同期のための補正等)を端末装置20において行うことは必須ではないため、測位用参照信号は端末装置20にとって既知であることも必須ではない。
【0039】
また、基地局装置10は、複数のアンテナ素子への送信ウェイトを変えることによって、送信ビームの指向特性、つまりビームフォーミング設定を変えることができる。
【0040】
そこで、図2(a)に示すように、基地局装置10は、各測位用参照信号に対し任意のビームフォーミング設定を適用する。基地局装置10は、ビームフォーミング設定を変更することで、指向性を絞って所望のエリアに測位用参照信号を集中させたり、逆に指向性を一様にしてなるべく広いエリア内の端末装置20に受信させることが可能である。
【0041】
図2(a)は、特定のビームフォーミング設定が適用された測位用参照信号RSが、端末装置20によって、地点Aから地点Bへ移動するまでの間受信可能である状況を示している。
【0042】
次に、図2(b)を用いて、受信電波マップについて説明する。
【0043】
図2(b)は、図2(a)の測位用参照信号に対応する受信電波マップを示す。
図2(b)は3軸グラフであり、横軸は道路上の位置を表し、縦軸は測位用参照信号を受信した際の受信状態情報、例えば受信強度や位相、伝搬遅延、到来方向等を表す。
【0044】
道路上の位置は道路の2次元的な方位を考慮しない道路の経路上での位置を表している。例えば、地図上では地点Aから地点Bに向かって大きく曲折していた場合、図2(b)における線分ABは、地点Aから地点Bまでの軌跡上の長さを表すことになる。
【0045】
また、奥行き方向は周波数を示す。例えば、無線通信方式としてOFDMを用いた場合、複数のサブキャリア、すなわち複数の異なる周波数で同時に信号を送信することができる。一般にサブキャリアの周波数が異なれば、受信状態は異なる。そこで、例えば、測位用参照信号として周波数方向に連続する12個のサブキャリアを用いた場合、道路上の地点ごとに12個の周波数方向の受信強度の値を有することになる。
【0046】
図2(b)の受信電波マップの例では、受信電波マップは、地点Aから地点Bまでの間に受信強度を測定した測定点として10個の格子点を有し、さらに各格子点において12個のサブキャリアについて受信強度を測定した場合は周波数方向に12個の格子点を有することになるので、受信電波マップは、地点Aから地点Bまでの間で120個の格子点を有し、これらの各格子点に受信強度をマッピングしたデータとなる。
したがって、道路上の位置は1次元であるが、図2(b)の受信電波マップは2次元配列のデータである。
【0047】
ビームフォーミング設定により同一の位置、同一の周波数であっても受信強度は変動しうるので、例えば、測位用参照信号のビームフォーミング設定のパラメータを変更することにより、受信電波マップは異なるものになる。本実施形態では、基地局装置10毎に複数のビームフォーミング設定が可能であるので、ビームフォーミング設定毎に受信電波マップが生成されている。
【0048】
さらに、受信電波マップは、後述するように、天候状況、地形状態、端末装置20の状態等の受信環境ごとに生成してもよい。
【0049】
図2(b)では、1次元の道路上の位置に対しての受信電波マップであるが、もちろん2次元地図の各格子点についての受信電波マップであってもよい。この場合の受信電波マップは、周波数も考慮すると3次元配列のデータとなる。
【0050】
なお、受信電波マップは、本実施形態では特定の位置における基地局装置10が送信する電波の電波伝搬路の状態等の集合を指すが、電波の他、光波や音波を用いることができる。すなわち、受信光波マップや受信音波マップを用いることができる。これらを合わせて「受信マップ」と呼ぶ。
【0051】
(3)測位用参照信号及び受信電波マップを用いた測位
図3を用いて、本実施形態における測位用参照信号及び受信電波マップを用いて位置を推定する測位の技術について説明する。
【0052】
まず図3(a)を用いて、移動に伴う受信状態情報による測位について説明する。
【0053】
端末装置20が、地点Aから地点Bまで道路上を移動する間に、図2(a)に示すビームフォーミング設定の測位用参照信号RSを受信する場合を想定する。この場合、端末装置20においては、地点Aから地点Bまでの移動に伴う受信強度を測定することにより受信強度測定パターンQが得られる。
【0054】
一方、端末装置20が、あらかじめ、測位用参照信号RSについての受信電波マップを有しているとすると、この受信電波マップの受信強度測定パターンMDと移動に伴う受信強度測定パターンQをパターンマッチングすることによって、図3(a)に示すように、端末装置20の道路上の位置である地点Bを求めることができる。
【0055】
次に、図3(b)を用いて、複数の周波数における受信強度測定パターンによる測位について説明する。
【0056】
端末装置20は、地点Bにおいて、図2(a)に示すビームフォーミング設定の測位用参照信号RSを複数のサブキャリアにおいて、すなわち複数の異なる周波数で受信する。端末装置20においては、地点Bにおいて複数の周波数における受信強度測定パターンFが得られる。
【0057】
一方、端末装置20が、あらかじめ、測位用参照信号RSについての受信電波マップを有しているとすると、この受信電波マップから求めた各位置における複数の周波数における受信強度測定パターンMFと受信強度測定パターンFをパターンマッチングすることによって、図3(b)に示すように、端末装置20の道路上の位置である地点Bを求めることができる。
【0058】
この測位用参照信号及び受信電波マップを用いた測位は、GNSSのような衛星測位が不可能な場所でも行うことが可能であり、また、適当なビームフォーミング設定の測位用参照信号を選択し、その受信電波マップを用いることで、例えば1m以内の誤差で絶対位置を正確に求めることができる。
また、複数の周波数における受信強度測定パターンによる測位においては、例えば、端末装置20が地点Aから地点Bまでの間の領域内に存在する等、概略の位置情報さえ得られれば、端末装置20が移動せず静止していても、端末装置20の絶対位置を正確に求めることができる。
【0059】
適当なビームフォーミング設定の測位用参照信号を選択するには、例えばマップスコアを利用することができるが、この点に関しては後述する。
【0060】
さらに、図3(a)の移動に伴う受信強度測定パターンによる測位と、図3(b)の複数の周波数における受信強度測定パターンによる測位を組み合わせることで、さらなる測位の精度向上も期待できる。
【0061】
なお、図3(a)では、地点Aから地点Bまでの間でパターンマッチングを行ったが、特定の地点での受信強度の測定値と受信電波マップでの値とを比較するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、複数のビームフォーミング設定毎に測位用参照信号が生成されるので、端末装置20は複数の中から測位に利用する測位用参照信号を選択することができる。そこで、端末装置20は、選択した測位用参照信号に対応する受信電波マップを取得する必要がある。測位用参照信号の選択や受信電波マップの取得に必要な情報については、後述の基地局装置10及び端末装置20の構成の項で説明する。
【0063】
以上のように、GNSSのような衛星測位を利用することなく、測位用参照信号の測定結果と、その測位用参照信号に対応する受信電波マップを比較することで、端末装置20の絶対位置を求めることができる。
【0064】
2.各論1:基地局装置10
(1)基地局装置10の構成
図4を用いて、本実施形態の基地局装置10の構成について説明する。
基地局装置10は、ビームフォーミング設定情報取得部101、スケジュール情報取得部102、通信用信号生成部104、測位用参照信号生成部105、多重化部108、及び送信部106から構成される。測位用参照信号生成部105は、参照信号フォーマット保存部103、及びウェイト乗算部107から構成される。多重化部108はアンテナの数に対応した数が設けられている。
【0065】
ビームフォーミング設定情報取得部101は、送信部106から送信する複数の測位用参照信号を生成するための複数のビームフォーミング設定情報を「取得する」。ビームフォーミング設定情報は、送信部106から送信する測位用参照信号のビーム形状を特定する情報であり、本実施形態では送信ウェイトで示される情報である。
もちろん、これ以外の情報で特定するようにしてもよい。例えば、物理的な位相器の設定情報や、アンテナ素子自体の向きや反射物との相対位置等の状態により特定してもよい。
ここで、「取得する」とは、他の装置から受信して取得する場合の他、自身で生成して取得する場合、自身の記憶装置から読み出すことにより取得する場合も含む。
【0066】
ビームフォーミング設定情報は、基地局装置10が自ら生成してもよいし、他の装置から受信するようにしてもよい。本実施形態では、受信マップサーバ装置30で生成、送信されたビームフォーミング設定情報を受信することにより取得している。
【0067】
図5は、本実施形態のビームフォーミング設定情報の具体例である。
ビームフォーミング設定情報は、複数の組からなるビームフォーミング設定を含んでおり、各ビームフォーミング設定には、識別ID、基地局ID、及び送信ウェイトの情報が含まれている。
識別IDは、ビームフォーミング設定を特定する情報である。基地局IDは、ビームフォーミング設定に基づき生成された測位用参照信号を送信する基地局装置10を特定する情報である。送信ウェイトは、パイロット信号に乗ずるウェイトを示す情報である。図5では送信ウェイトを直接記載しているが、送信ウェイトが特定できる情報であればよい。
【0068】
スケジュール情報取得部102は、複数の測位用参照信号の送信スケジュールを示す「スケジュール情報」を取得する。スケジュール情報は、本実施形態では、複数の測位用参照信号それぞれの「送信期間」又は「送信時刻」である。
スケジュール情報取得部102は、本実施形態では上位層処理部に含まれる。上位層処理部は、スケジュール情報の収容・取得の他、通信データの加工や、通信リソースの割り当てを行う。
ここで、
「送信期間」とは、送信の開始タイミング及び送信の終了タイミングを直接的又は間接的に示す場合の他、送信の開始タイミング及び送信する時間的長さを直接的又は間接的に示す場合も含む。データフレーム中のスロット番号やシンボル番号等により送信する期間を特定する場合も含む。
「送信時刻」とは、送信を開始する時刻の他、送信を開始するタイミングが特定できる情報であればばよい。
【0069】
スケジュール情報は、基地局装置10が自ら生成してもよいし、他の装置から受信するようにしてもよい。本実施形態では、受信マップサーバ装置30で生成、送信されたスケジュール情報を受信することにより取得している。
【0070】
図6は、本実施形態のスケジュール情報の具体例である。本実施形態では、スケジュール情報の識別ID、基地局ID、送信期間を示す使用シンボル、送信時刻の情報が含まれている。
識別IDは、図5のビームフォーミング設定情報の識別IDと対応している。基地局IDはスケジュール情報が適用される基地局装置10を特定する情報である。使用シンボルは、送信期間の一例であり、基地局装置10が送信するデータフレーム中における測位用参照信号の位置であるシンボルを特定する情報である。送信時刻は、測位用参照信号が送信される時刻を特定する情報である。
【0071】
なお、本実施形態では、使用シンボル及び送信時刻の両方をスケジュール情報に含めているが、いずれか一方でもよい。
【0072】
参照信号フォーマット保存部103は、参照信号の生成に必要な参照信号情報(フォーマット)を保存している。参照信号として本実施形態では、固定の値をとるパイロット信号を使用しているが、基地局が生成できる信号であればどのような信号でもよい。例えば、3GPPセルラシステムにおいては、端末装置・基地局装置双方にとって既知である信号が参照信号として用いられる。これらは固定の場合もあるが、基地局装置を識別するための物理セル識別子(PCI、セルID)などを基に予め定められた、端末装置・基地局装置双方にとって既知である系列を用いて互いに直交化し、参照信号用のリソースを再利用可能とした信号が用いられる場合もある。本発明の参照信号にはこのような、既に他用途に向けて実装済みのものを流用してもよいし、新たに定義してもよい。
【0073】
通信用信号生成部104は、送信するデータを符号化して、デジタル信号を生成する。
スケジュール情報を基地局装置10から端末装置20に送信する場合は、上位層処理部においてスケジュール情報を収容する無線リソースの決定および収容データの反映が行われる。
【0074】
測位用参照信号生成部105は、複数のビームフォーミング設定情報をそれぞれ用いて複数の測位用参照信号を生成する。具体的には、測位用参照信号生成部105のウェイト乗算部107は、参照信号フォーマット保存部103から取得した参照信号情報に基づき生成した参照信号に対し、ビームフォーミング設定情報取得部101で取得した送信ウェイトを乗算する。
【0075】
多重化部108は、通信用信号生成部104が生成した通信用信号(任意に、ビームフォーミング設定情報の識別IDと、対応するスケジュール情報を伝達する信号を含む)及び測位用参照信号を、それぞれ上位層処理部が決定した無線リソースに割り当てる。
【0076】
各アンテナへの入力信号に対する送信ウェイトを設定することによって、アンテナ全体で形成されるビーム形状を調整することができる。例えば、複数のアンテナのうち、両端のアンテナに対応する送信ウェイトの振幅値を下げて、中央のアンテナに対応する送信ウェイトの振幅値を上げると、指向性を広げることができる。又は、各アンテナへの入力信号の位相を変えるように送信ウェイトを設定することで、ビーム方向を変えることができる。
【0077】
図4では、アンテナ及び多重化部108は各3個であるが、それよりも少なくても多くてもよい。
【0078】
送信部106は、多重化部108から出力された、通信用信号および測位用参照信号が多重化されたデジタル信号を逆フーリエ変換してベースバンドのOFDM信号を生成し、さらにこれをアナログ信号に変換し、搬送周波数にアップコンバートしてRF信号を生成し、生成したRF信号をアンテナに出力することにより送信する。
【0079】
(2)測位用参照信号の送信の具体例
図7及び図8を用いて、測位用参照信号の詳細を説明する。
まず、図7を用いて、測位用参照信号の送信期間について説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、基地局装置10a、基地局装置10b、基地局装置10cがそれぞれ送信するデータフレームにおける、測位用参照信号の送信タイミングの説明図である。ここでの送信期間とは、データフレームの中のシンボル位置、又は/及び、スロット位置である。このような測位用参照信号の配置は、上位層処理部で実行される。
【0080】
図7(a)で示す基地局装置10aが送信するデータフレームは一定のデータ期間を1単位とするサブフレームの列から構成される。サブフレームはさらに単数又は複数個のスロットから構成される。本実施形態では、3GPPのNR(New Radio)に倣い、サブフレームは1msec、サブフレーム中のスロットは0.5msec、1スロットは14シンボルで構成されるとする(サブキャリア間隔が30kHzの場合)。
【0081】
測位用参照信号はサブフレームの周期に合わせて繰り返して送信される。図7(a)では、測位用参照信号は、1msecの周期で繰り返して送信されている。もっとも、測位用参照信号は、全てのサブフレームや全てのスロットで送信される必要はない。
【0082】
また、基地局装置10aは1サブフレーム内に、図5で示されるビームフォーミング設定情報に基づき、識別IDがa1~a3の3種類のビームフォーミング設定を有する測位用参照信号を送信している。また、図6で示されるスケジュール情報の使用シンボルに基づき、識別IDがa1~a3の3種類の測位用参照信号が、連続する3つのシンボルであるシンボル♯1、シンボル♯2、及びシンボル♯3に割り当てられている。図7(a)の場合、3種類の測位用参照信号はそれぞれ1/14msecで切り替わりながら送信されることになる。
【0083】
基地局装置10b及び基地局装置10cに関しても、図7(b)、図7(c)で示すとおり、基地局装置10aの場合と同様に、ビームフォーミング設定情報及びスケジュール情報に基づき、送信される測位用参照信号及び送信される測位用参照信号の使用シンボルが設定される。すなわち、それぞれ識別IDがb1~b3、c1~c3の3種類の測位用参照信号がスロット中のシンボルに割り当てられる。
【0084】
基地局装置10aにおいては、図6で示されるスケジュール情報の送信時刻に基づき、午前8時からは、識別IDがa1~a3の3種類のビームフォーミング設定を有する測位用参照信号が、午前9時からは、識別IDがa4~a6の3種類のビームフォーミング設定を有する測位用参照信号が、シンボル♯1、シンボル♯2、及びシンボル♯3で送信される。基地局基地局装置10b及び基地局装置10cも同様である。
【0085】
なお、スケジュール情報の送信時刻に応じて、使用するシンボルやスロットの数を変更するようにしてもよい。例えば、図7では3つのシンボルを使用していたが、2つまたは4つ以上のシンボルとしてもよい。
また、サブフレーム毎に常にシンボルやスロットを使用する必要はない。例えば、5サブフレーム毎に1回シンボルを使用するようにしてもよい。例えば、渋滞が予想される朝や夕方の時間帯は、使用するシンボルやスロットの周期を長くすることにより、送信する測位用参照信号の頻度を減らすようにしてもよい。渋滞中は車両の移動速度は遅くなるので、受信電波マップとの照合に必要な時間方向のサンプル密度も小さくて済む。そして余ったリソースを通信用のリソースに回すことにより、電波の有効利用が可能となる。
また、同じシンボルで、スロット毎やサブフレーム毎に異なる測位用参照信号を送信するようにしてもよい。
【0086】
次に、図8を用いて、各送信期間で送信される測位用参照信号について説明する。
図8において、上段はシンボル♯1、中段はシンボル♯2、及び下段はシンボル♯3のタイミングで測位用参照信号が基地局装置10から送信される様子を示す。
【0087】
シンボル♯1においては、基地局装置10aからは識別IDがa1の測位用参照信号、基地局装置10bからは識別IDがb1の測位用参照信号、基地局装置10cからは識別IDがc1の測位用参照信号が送信される。
【0088】
これにより、各基地局装置10から、同一シンボルのタイミングで、異なる測位用参照信号が送信される。
【0089】
シンボル♯2においては、各基地局装置10からそれぞれシンボル♯1の測位用参照信号とは異なるビームフォーミング設定の測位用参照信号が送信される。
シンボル♯3おいても同様である。
【0090】
これにより、各基地局装置10は、それぞれ各シンボルで異なるビームフォーミング設定の測位用参照信号を送信することができる。図8のように、各基地局装置10は、ビームフォーミング設定を変えて測位用参照信号を生成することで、より広い範囲に測位用参照信号を送信することができる。あるいは、同じ範囲に異なるビームフォーミング設定の複数の測位用参照信号を送信することができる。
【0091】
図8で送信される各測位用参照信号は、すでに説明した通り、シンボル♯1、シンボル♯2、シンボル♯3が1/14msecごとに切り替わり、また1msecの周期で繰り返す。
【0092】
例えば、端末装置20aは、少なくとも基地局装置10aから、識別IDがa1の測位用参照信号をシンボル♯1のタイミングで受信することができる。
端末装置20bは、少なくとも基地局装置10cから、識別IDがc3の測位用参照信号をシンボル♯3のタイミングで受信することができる。
このように、各シンボルで異なるビームフォーミング設定の測位用参照信号が送信されているので、端末装置20aや端末装置20bは、測位用参照信号を受信する機会を得ることができる。
【0093】
例えば、端末装置20cは、基地局装置10aから、識別IDがa2及び識別IDがa3の測位用参照信号をシンボル♯2及びシンボル♯3のタイミングで受信することができる。
端末装置20dは、基地局装置10cから、識別IDがc1の測位用参照信号をシンボル♯1のタイミングで、基地局装置10bから、識別IDがb3の測位用参照信号をシンボル♯3のタイミングで受信することができる。
このように、各基地局装置10から各シンボルで異なるビームフォーミング設定の測位用参照信号が送信されているので、端末装置20cや端末装置20dでは、同じ基地局装置10や異なる基地局装置10から複数の測位用参照信号を受信することができる。そして、受信状況が良い方の測位用参照信号や、受信できた複数の測位用参照信号の全てを用いて、測位を行うことができる。
【0094】
また、各々の端末装置20は、例えば1msecという一定周期で同一の測位用参照信号を受信することができることになる。
【0095】
また、各基地局装置10から出力する測位用参照信号の送信期間は必ずしも同期する必要はない。例えば、図7で、基地局装置10a、基地局装置10b、基地局装置10cのシンボルは同期されていなくてもよい。
【0096】
(3)スケジュール情報の送信の具体例
スケジュール情報は、基地局装置10が測位用参照信号の送信に必要な情報であるとともに、端末装置20が複数の測位用参照信号を識別するために必要な情報でもある。端末装置20はスケジュール情報をどの装置から取得してもよいが、ここでは基地局装置10が端末装置20にスケジュール情報を送信する場合について説明する。
【0097】
図9(a)は、基地局装置10が送信する無線フレームである。
スケジュール情報は、この無線フレームの物理層を用いて送信される場合、例えば、3GPPのNR無線規格においては、全端末に同じ情報を送信する場合はPBCH(Physical Broadcast Channel)を用いることができる。一方特定のユーザに通知する場合は、PDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)などを用いることができる。または、より上位層のRRC(Radio Resource Control)、MAC―CE(MAC Control Element)などのシグナリグ手段を用いて通知することもできる。
【0098】
送信するスケジュール情報は、例えば図6で示されるようなスケジュール情報である。なお、図6は基地局装置10aが送信する測位用参照信号のスケジュール情報であるが、基地局装置10aは、自身が送信する測位用参照信号のスケジュール情報に加え、隣接する基地局装置10のスケジュール情報や、所定の範囲内の基地局装置10のスケジュール情報を送信してもよい。
【0099】
図9(b)は、基地局装置10a、基地局装置10b、基地局装置10cがスケジュール情報を送信する様子を示している。図中では、スケジュール情報を識別IDで記載している。それぞれの基地局装置10は、自身が送信する測位用参照信号のスケジュール情報を送信しているが、それに加えて隣接する基地局装置10が送信する測位用参照信号のスケジュール情報を送信している。このように隣接する基地局装置10の測位用参照信号のスケジュール情報を送信することにより、端末装置20は将来受信する測位用参照信号を予測することができる。
【0100】
なお、図6で示されるスケジュール情報のうち、送信時刻は必ずしも送信する必要はない。送信時刻を知らなくても端末装置20は測位用参照信号を受信することは可能である。
【0101】
(4)小括
以上、本実施形態の基地局装置10によれば、複数のビームフォーミング設定をそれぞれ用いた複数の測位用参照信号を送信するので、端末装置20が利用できる測位用参照信号の幅が広がる結果、端末装置20の測位の精度を上げることができる。
また、端末装置20では、複数の測位用参照信号から測位精度の良好な測位用参照信号を選択して利用することができる。
【0102】
3.各論2:端末装置20
図10を用いて、本実施形態の端末装置20の具体的な構成について説明する。
端末装置20は、第1の通信部201、スケジュール情報取得部202、受信環境検出部203、測位用参照信号選択部204、受信状況測定部205、第2の通信部206、受信マップ取得部207、測位用センサ部208、位置取得部209から構成される。
【0103】
第1の通信部201は、基地局装置10と無線通信を行い、基地局装置10から複数の測位用参照信号を受信する。
【0104】
スケジュール情報取得部202は、測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を「取得する」。スケジュール情報が基地局装置10から送信される場合は、第1の通信部201を介してスケジュール情報を取得する。スケジュール情報が受信マップサーバ装置30から送信される場合は、第2の通信部206を介してスケジュール情報を取得する。
ここで、「取得する」とは、他の装置から受信して取得する場合の他、自身で生成して取得する場合、自身の記憶装置から読み出すことにより取得する場合も含む。
【0105】
受信環境検出部203は、端末装置20の周辺の受信環境を取得する。受信環境には、天候状況、地形状況、道路状況、端末装置20の移動状況等が挙げられる。例えば、受信環境検出部203が有する天候センサ2031は、雨滴検出、温湿度検出、及び太陽光検出等により、晴天、雨天、及び降雪等の天候状況を検出する。
【0106】
また、受信環境検出部203は、端末装置20の移動状況として、端末装置20の現在の概略位置を、後述する位置取得部209や測位用センサ部208から取得してもよい。例えば、数km四方の大まかな領域としての緯度経度情報、又は走行している道路等の情報でもよい。
【0107】
測位用参照信号選択部204は、スケジュール情報取得部202で取得したスケジュール情報を参照し、複数の測位用参照信号の中から、端末装置20が用いる測位用参照信号を選択する。選択方法の例として、選択時の直前の一定期間の平均受信強度が最も大きい測位用参照信号を選択することが挙げられる。
なお、さらに受信環境検出部203の検出結果に基づき、端末装置20が用いる測位用参照信号を選択してもよい。
また、測位用参照信号選択部204は、複数の測位用参照信号を選択してもよい。
【0108】
受信状況測定部205は、選択した測位用参照信号の受信状況を測定する。受信状況は、受信電波マップで用いられる受信電波伝搬路の状態又は推定結果と同一の指標であればよい。例えば、受信状況を表す指標として、受信強度を用いる。
【0109】
第2の通信部206は、受信マップサーバ装置30と通信を行い、受信マップサーバ装置30から受信電波マップを受信する。例えば、受信マップサーバ装置30に受信電波マップ要求を送信し、受信マップサーバ装置30から要求に対応する受信電波マップを受信する。あるいは、受信マップサーバ装置30から一定間隔でブロードキャスト送信されている受信電波マップを受信するようにしてもよい。
なお、受信マップサーバ装置30からスケジュール情報を受信する場合は、第2の通信部206でスケジュール情報を受信する。
受信電波マップの詳細は、受信マップサーバ装置30の項で説明する。
【0110】
第1の通信部201と第2の通信部206は、異なる通信方式を用いてもよいし、同じ通信方式を用いてもよい。また、同じ通信方式を用いる場合は、物理的に1つの通信部としてもよい。
【0111】
受信マップ取得部207は、測位用参照信号選択部204で選択した測位用参照信号に対応する受信電波マップを取得する。具体的には、受信マップ取得部207は、第2の通信部206を介して受信マップサーバ装置30に対し、選択した測位用参照信号に対応する受信電波マップの要求を送信する。ブロードキャスト送信されている受信電波マップを受信している場合は、測位用参照信号選択部204で選択・特定された受信電波マップを選択することにより取得してもよい。
なお、既に受信している受信電波マップを図示しないメモリから読み出すことにより取得してもよい。
【0112】
測位用センサ部208は、端末装置20の位置、走行軌跡、及び走行距離を求めるための複数のセンサからなる。例えば、GNSS2081により、複数の測位衛星からの電波を受信した場合には、端末装置20の絶対位置を検出する。車輪パルス2082は、車輪の回転に基づくパルスを出力するので、パルスを計数することにより、端末装置20の移動距離を求めることができる。ジャイロ2083は、端末装置20の回動による角速度を検出できるので、その値を積分することで角度を求めることができる。
【0113】
位置取得部209は、受信状況測定部205の測定結果と、受信マップ取得部207で取得した受信電波マップに基づき、端末装置20の位置を取得する。以下、具体的に説明する。
【0114】
位置取得部209は、移動距離生成部2091、マップ比較用データ生成部2092、データマッチング部2093、及び現在位置計算部2094から構成される。
位置取得部209は、1.(3)で説明した、移動に伴う受信強度測定パターンによる測位、又は複数の周波数における受信強度測定パターンによる測位を行う。
【0115】
移動距離生成部2091は、測位用センサ部208の出力に基づき、車両の移動距離を求める。例えば、車輪パルス2082のパルスを計数して、ある地点を起点とした移動距離を求める。
【0116】
マップ比較用データ生成部2092は、受信電波マップと比較するためのマップ比較用データを生成する。
例えば、受信状況測定部205で測定された受信強度、及び移動距離生成部2091から求めた移動距離から、図3(a)に示すような移動に伴う受信強度測定パターンを求める。
または、受信状況測定部205で周波数ごとに測定した受信強度から、図3(b)に示すような複数の周波数における受信強度測定パターンを求める。この場合は、移動距離生成部2091の出力を用いることは任意である。
【0117】
データマッチング部2093は、マップ比較用データと受信電波マップを比較することにより測位を行い、端末装置20の位置を求める。具体的には、図3に示すように、移動に伴う受信強度測定パターン、又は複数の周波数における受信強度測定パターンと、受信電波マップをパターンマッチングする。
【0118】
現在位置計算部2094は、データマッチング部2093で求める端末装置20の位置、及び測位用センサ部208で求める端末装置20の位置に基づき、端末装置20の現在位置を求める。
例えば、GNSS2081が測位衛星の電波を受信し、最新の端末装置20の絶対位置を取得した場合には、現在位置計算部2094は、その位置を端末装置20の現在位置とする。GNSS2081が測位衛星の電波を受信できない場合は、現在位置計算部2094は、データマッチング部2093で求めた端末装置20の位置を端末装置20の現在位置とする。
【0119】
現在位置計算部2094は、GNSS2081で求める位置とデータマッチング部2093で求める位置に対して、適当な重み付けにより重み付け平均を求めることで、端末装置20の現在位置を求めるようにしてもよい。
【0120】
なお、測位用参照信号選択部204が複数の測位用参照信号を選択した場合、位置取得部209は、受信状況測定部205から得られる各測位用参照信号の測定結果と、各測位用参照信号の受信電波マップに基づき、位置を求めてもよい。
例えば、それぞれの測位用参照信号のうち、最も信頼性の高い測位用参照信号による測位結果を採用してもよい。あるいは、それぞれの測位用参照信号による測位結果に対して、所定の演算、例えば平均や重みづけ平均、微分、2値化等を施した値を用いるようにしてもよい。
【0121】
以上の構成より、本実施形態の端末装置20によれば、複数の測位用参照信号の中から選択した測位用参照信号を用いて端末装置20の現在位置を求めることができるので、端末装置20が利用できる測位用参照信号の幅が広がる。その結果、端末装置20が測位可能な領域を広げることができる。また、端末装置20の測位の精度を上げることができる。
また、本実施形態の端末装置20によれば、GNSS2081が測位衛星を受信できない場合であっても、端末装置20の現在位置を求めることができる。
さらに、本実施形態の端末装置20は、GNSS2081で求める位置、及びデータマッチング部2093で求める位置の両方の情報を用いることができるので、より高精度に端末装置20の現在位置を求めることができる。
【0122】
4.各論3:受信マップサーバ装置30
(1)受信マップサーバ装置30の構成
受信マップサーバ装置30は、受信電波マップを端末装置20に提供する装置である。
加えて、本実施形態では、受信マップサーバ装置30において、受信電波マップに基づき、基地局装置10が測位用参照信号を生成するために用いるビームフォーミング設定情報を生成し、基地局装置10に送信している。
さらに、本実施形態では、受信マップサーバ装置30において、受信電波マップに基づき、基地局装置10が測位用参照信号を送信する送信スケジュールを示すスケジュール情報を生成し、基地局装置10に送信している。
なお、本実施形態では、ビームフォーミング設定情報やスケジュール情報を受信マップサーバ装置30で生成しているが、これは一例であり、基地局装置20や他の装置で生成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、受信電波マップの情報に基づき、ビームフォーミング設定情報やスケジュール情報を生成しているが、これは一例であり、他の情報に基づき生成するようにしてもよい。
【0123】
図11を用いて、本実施形態の受信マップサーバ装置30の構成について説明する。
受信マップサーバ装置30は、受信電波マップ保存部301、情報生成部302、第1のサーバ送信部303、第2のサーバ送信部304、サーバ受信部305、及び受信電波マップ生成・更新部306から構成される。
【0124】
受信マップサーバ装置30は、本実施形態では完成品としてのサーバ装置の形態を想定しているが、これに限らない。例えば、部品の形態としては、半導体回路や半導体モジュール、半完成品の形態としてはECU、完成品の形態としては、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、スマートフォン、携帯電話が挙げられる。また、物理的な装置ではなく、サーバ仮想化環境上の仮想マシンであってもよい。
【0125】
また、受信マップサーバ装置30は移動体に搭載されてもよい。受信マップサーバ装置30が移動体に搭載される場合は、直接車両同士が通信を行う車車間通信や、基地局装置10等を介して間接的に車両同士が通信を行う車車間通信において実現される。
【0126】
受信電波マップ保存部301は、端末装置20が自身の位置を推定するために用いる信号である測位用参照信号ごとに、特定位置、及びその特定位置における測位用参照信号の受信電波伝搬路の状態又は推定結果が紐づけられた受信電波マップを保存する。受信電波マップは、例えば地図上又は道路上の格子点毎に期待される受信状態をマッピングしたものである。さらに特定の位置ごとに異なる周波数における電波伝搬路の状態又はその推定結果の集合を追加したものでもよい。例えば、異なるサブキャリアである複数のチャネル毎に電波伝搬路の状態をマッピングしたものを含む。
【0127】
受信状態を表す指標としては、例えば、サブチャネルごとの受信強度や位相の他、複数のサブチャネルに対する総合的な指標であるRSSI(Received Signal Strength Indicator)、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)、SNR(Signal to Noise Ratio)、SIR(Signal to Interference Ratio)、BER(Bit Error Rate)、CNR(Carrier to Noise Ratio)、伝搬遅延、到来方向等が挙げられる。
なお、本実施形態の説明では、受信状態を表す指標として受信強度を用いて説明するが、これに限定する意図ではない。
【0128】
情報生成部302は、受信電波マップ保存部301に保存される受信電波マップに基づき、基地局装置10が今後送信する測位用参照信号のビームフォーミング設定を示すビームフォーミング設定情報を生成する。
また、情報生成部302は、受信電波マップ保存部301に保存される受信電波マップに基づき、基地局装置10が今後送信する測位用参照信号の送信スケジュールを示すスケジュール情報を生成する。
これらの詳細は(3)で後述する。
【0129】
第1のサーバ送信部303は、情報生成部302で生成したビームフォーミング設定情報を基地局装置10に送信する。さらに、情報生成部302で生成したスケジュール情報を基地局装置10に送信するようにしてもよい。
【0130】
第2のサーバ送信部304は、端末装置20からの要求に基づき、要求された測位用参照信号に対応する受信電波マップを、端末装置20に送信する。さらに、情報生成部302で生成したスケジュール情報を端末装置20に送信するようにしてもよい。
【0131】
端末装置20からの要求とは、端末装置20の側で特定した測位用参照信号に対応する受信電波マップを要求することである。具体的には、端末装置20からの要求として受信マップサーバ装置30へ該当する測位用参照信号の識別IDが送られる。その場合、第2のサーバ送信部304は、その識別IDの測位用参照信号に対応する受信電波マップを、端末装置20に送信する。
なお、第2のサーバ送信部304は、端末装置20からの要求に基づかず、自発的かつ周期的に、全ての測位用参照信号に対応する受信電波マップを端末装置20に対して送信してもよい。
【0132】
サーバ受信部305は、プローブ端末装置40から、プローブデータを受信する。
【0133】
受信電波マップ生成・更新部306は、プローブデータに基づき、受信電波マップを新規に生成し、又は更新する。
【0134】
(2)受信電波マップ保存部301に保存されている受信電波マップ
受信電波マップ保存部301は、道路領域ごとに、例えば道路上の3km間隔の領域ごとに受信電波マップを保存している。また、受信電波マップ保存部301は、道路領域をパラメータとするとともに、さらに同一の道路領域において測位用参照信号のビームフォーミング設定の識別情報をパラメータとして、複数の受信電波マップを保存している。
【0135】
さらに、受信電波マップ保存部301は、受信環境をパラメータとして、受信環境ごとに受信電波マップを保存してもよい。受信環境は、「天候状況」、「道路状況」、「端末装置20の移動状況」、の少なくとも1つを含む。
ここで、「天候状況」は、例えば、晴天、雨天、及び降雪等の天候状態の他、例えば、雨量、積雪量、気温、湿度、及び風速等の天候に関する計測値を含む。また、「天候状況」は、現在の状況に限定せず、近未来を予測した状況であってもよい。
「道路状況」は、例えば、舗装、及び未舗装等の道路面の状況、街路樹の有無、及び高架下道路等の道路近傍の状況、並びに、道路渋滞、工事等の道路上の事物及び車両の状況を含む。
「端末装置の移動状況」は、端末装置の概略位置の他、端末装置が移動体に搭載された場合には、例えば、移動速度、及び移動方向等の移動特性、並びに走行している車線等、端末装置の道路に対する位置を含む。
【0136】
例えば、天候状況として、少なくとも、晴天、雨天、及び降雪等のような大枠の天候状態に区分けして、あらかじめ受信電波マップを別々に保存する。空気中の水分による電波の吸収により受信強度が変動しても、その変動に対応した受信電波マップが提供できる。
【0137】
例えば、道路状況として、あらかじめ道路渋滞の有無で受信電波マップを別々に保存する。道路渋滞に伴う車両の増減で受信強度が変動しても、その変動に対応した受信電波マップが提供できる。
【0138】
例えば、端末装置20の移動状況として、あらかじめ移動速度領域ごとに受信電波マップを別々に保存する。なお移動速度領域とは、上限速度及び下限速度又はそれらのうち一つが定められた速度幅をいう。端末装置20が走行する移動速度領域に対応した受信電波マップが提供できる。移動速度領域が異なることによる車体の姿勢の変動、また受信信号に対するドップラーシフトや時間選択性フェージングの影響量の変動に対応した受信電波マップが提供できる。
【0139】
(3)情報生成部302の構成の詳細
情報生成部302は、マップスコア算出部307、測位用参照信号選択部308、ビームフォーミング設定情報生成部309から構成される。情報生成部302は、さらにスケジュール情報生成部310を有していてもよい。
【0140】
マップスコア算出部307は、受信電波マップ保存部301に保存されている受信電波マップに基づき、マップスコアを算出する。受信電波マップ保存部301には通常複数の受信電波マップが保存されているので、複数の受信電波マップについてそれぞれ、マップスコアを算出する。
マップスコアとは、受信電波マップを測位に用いる際に、位置精度や信頼度から決まる評価値である。マップスコアが大きい受信電波マップを使用するほど、高い測位精度が期待できる。したがって、このマップスコアによる評価が、期待推定精度の評価に相当する。
【0141】
図12及び図13を用いて、マップスコアの例を説明する。
図12は、同一の道路の領域に対して得られた、異なるビームフォーミング設定である2種類の測位用参照信号に対するプローブデータと、このプローブデータを用いて生成された受信電波マップとの関係を示す。横軸は道路上の位置であり、縦軸は受信強度である。プローブデータは複数のプローブ車両からそれぞれ取得した場合を想定しており、そのばらつきの範囲を箱ひげ図で示している。受信電波マップは、サーバ受信部305でプローブ端末装置40から受信したプローブデータを用いて、受信電波マップ生成・更新部306で生成されたものである。
MD1及びMD2はこれらのプローブデータの回帰により得られた受信電波マップの曲線である。di(i=1~6)は各点におけるプローブデータのうち最も乖離が大きいものと受信電波マップとの差分である。
【0142】
図12の例では、(a)より(b)の方がばらつきが小さく、受信電波マップMD1を用いて測位するよりも、MD2を用いて測位する方が信頼度が高いといえ、より高い測位精度が期待できる。
例えば、以下の式1により、この場合のスコアであるScore1を計算することができる。
【0143】
(式1)
【0144】
式1において、nはサンプル点数である。
【0145】
図13は、同一の道路の領域に対して得られた、異なるビームフォーミング設定に基づく2種類の測位用参照信号の受信電波マップを示す。横軸は道路上の位置であり、縦軸は受信強度である。MD3及びMD4が受信電波マップである。そして、MD3及びMD4において、道路領域に対応して、任意の点から所定の距離までの断片が観念できる。図13の例では、受信電波マップを等間隔のサブ領域に分割し、サブ領域10個に相当する受信電波マップの部分を断片としている。サブ領域の長さ、及び断片の長さである断片長は、任意に設定することができる。
【0146】
MD3で示される受信電波マップは、どのサブ領域を始点とした断片同士も形状が類似しないので、パターンマッチングにおいて誤りが発生しにくい。これに対し、MD4で示される受信電波マップは同じ形状の断片が随所に現れており、例えばaで示される断片同士の形状、及びbで示される断片同士の形状が類似しているため、パターンマッチングにおいて誤りが発生しやすい。したがってMD4を用いて測位するよりも、MD3を用いて測位する方が、より高い測位精度を期待できる。
【0147】
この場合のスコアであるScore2の計算方法として、次の例が挙げられる。
第1に、所定の断片長を有する任意の2つの断片同士の軌跡間のユークリッド距離のうち最小のものを、Score2とすることができる。
第2に、許容できる軌跡間のユークリッド距離の最小値を定め、この最小値を上回る最短の断片長の逆数を、Score2とすることができる。
【0148】
マップスコア算出部107は、例えばScore1又はScore2のいずれかをマップスコアを求める式としてもよいし、Score1とScore2の積をマップスコアとしてもよい。
【0149】
測位用参照信号選択部308は、以上のマップスコアに基づき、各道路領域において、基地局装置10から送信する測位用参照信号を選択する。以下、図14の信号諸元情報の例を用いて、測位用参照信号選択部308の機能を具体的に説明する。
なお、信号諸元情報とは、ビームフォーミング設定情報、スケジュール情報をはじめ、測位用参照信号に関する情報をいう。
【0150】
例えば、受信電波マップ保存部301に保存される受信電波マップには、道路領域R1において受信可能な測位用参照信号の受信電波マップが含まれる。その受信電波マップが複数存在する場合には、受信電波マップのマップスコアを比較する。そして、測位用参照信号選択部308は、最もマップスコアが大きい受信電波マップに対応する測位用参照信号を道路領域R1における測位用参照信号として選択する。
【0151】
例えば、道路領域R1で受信可能な測位用参照信号のうち、識別IDがa1である測位用参照信号が最大値のマップスコア(0.8)を有するとする。このため、図14の信号諸元情報においては、道路領域R1の測位用参照信号として、識別IDがa1の測位用参照信号が少なくとも選択される。
【0152】
測位用参照信号選択部308により、道路領域R2からR9に関しても同様に、それぞれの道路領域で受信可能な測位用参照信号の受信電波マップのマップスコアに基づき、測位用参照信号が選択される。
【0153】
なお、測位用参照信号選択部308は、同一の道路領域において、複数の測位用参照信号を選択してもよい。
【0154】
測位用参照信号選択部308で選択した測位用参照信号に関する情報は、図14に示す通り、信号諸元情報として整理される。
【0155】
識別IDは、測位用参照信号を特定する情報であり、図5図6で説明したものと同じである。また、測位用参照信号に対応する受信電波マップにも同一の識別IDが付されて、受信電波マップ保存部301に保存される。したがって、この識別IDに基づき、受信電波マップ保存部301から、測位用参照信号に対応する受信電波マップを取り出すことができる。
【0156】
基地局IDは、測位用参照信号を送信する基地局装置の識別情報であり、図5図6で説明したものと同じである。
【0157】
送信ウェイトは、ビームフォーミング設定情報に相当し、図5で説明したものと同じである。なお、図14では送信ウェイトを直接示しているが、送信ウェイトを特定することができる情報であればよい。例えば、規定のコードブックがある場合、送信ウェイトに対応するIDを用いることができる。既定のコードブックに定められていない場合は、新たなIDを定義すればよい。このような情報を総称して、送信ウェイト識別情報と呼ぶ。
【0158】
使用Chは測位用参照信号が使用するサブキャリアを示す。例えば、Ch1からCh10までの10個を使用する場合は、Ch1からCh10までのそれぞれに対応するサブキャリアの周波数で測位用参照信号が送信されることを示す。
なお、測位用参照信号は、異なる周波数のサブキャリアにより時間的に並列して送信してもよいし、時系列にサブキャリアを変えて送信してもよい。
【0159】
道路領域は、道路の特定領域であって、測位用参照信号が受信可能な道路領域を示す。
【0160】
送信時刻は、スケジュール情報に相当し、図6で説明したものと同じである。なお、本実施形態では、信号諸元情報に含まれるスケジュール情報は送信時刻のみであり、送信期間である使用シンボルは基地局装置10が決定する。もちろん、使用シンボルも受信マップサーバ装置30で特定したものを信号諸元情報に含めるようにしてもよい。
【0161】
マップ状態は、測位用参照信号に対応する受信電波マップの状態を示す。例えば、最新のプローブデータが十分収集された受信電波マップであるなら○、受信電波マップが不完全又は古い等の原因で更新が必要なものは△、受信電波マップが生成されていないものは×という記号で状態が示される。
【0162】
マップスコアは、マップスコア算出部307で算出されたスコアである。
【0163】
天候状態は、プローブ端末装置40でプローブデータが収集された際の天候状態である。測位用参照信号とその測位用参照信号に対応する受信電波マップを使用する際の推奨される天候状態を示す。
【0164】
なお、信号諸元情報は、各道路領域に対して、複数の測位用参照信号の情報から構成されてもよい。
【0165】
例えば、図14の例では、道路領域R1について、識別IDがa1の測位用参照信号の他、識別IDがa7の測位用参照信号の情報を有する。識別IDがa7の測位用参照信号は、識別IDがa1の測位用参照信号よりも、マップスコアが低いが、送信ウェイトが異なっている。
さらに、図14の例では、天候状態が雨である測位用参照信号として、識別IDがa8の測位用参照信号の情報を有する。
【0166】
信号諸元情報には、その他の情報を含めてもよい。例えば、測位用参照信号を送信する際の総送信電力であるビーム強度を含めてもよい。
【0167】
ビームフォーミング設定情報生成部309は、測位用参照信号選択部308で選択された測位用参照信号に基づき、基地局装置10へ送信するビームフォーミング設定情報を生成する。本実施形態では、図14の信号諸元情報から、識別ID、基地局ID、及び送信ウェイトを抽出することによりビームフォーミング設定情報を生成する。
【0168】
第1のサーバ送信部303は、ビームフォーミング設定情報を基地局装置10に送信する。
【0169】
スケジュール情報生成部310は、測位用参照信号選択部308で選択された測位用参照信号に基づき、基地局装置10へ送信するスケジュール情報を生成する。本実施形態では、図14の信号諸元情報から、識別ID、基地局ID、及び送信時刻を抽出することによりスケジュール情報を生成する。
【0170】
第1のサーバ送信部303は、スケジュール情報を基地局装置10に送信する。
なお、スケジュール情報を、第2のサーバ送信部304から端末装置20に送信するようにしてもよい。
【0171】
(4)小括
以上、本実施形態の受信マップサーバ装置30によれば、測位用参照信号ごとに受信電波マップを有しているので、端末装置20に対し、より測位精度の高い測位用参照信号に対応する受信電波マップを提供することができる。
また、スコアの高い受信電波マップに基づきビームフォーミング設定情報を生成するので、ビームフォーミング設定情報の提供を受けた基地局装置10は、より測位精度の高い測位用参照信号を送信することができる。
さらに、スコアの高い受信電波マップに基づきスケジュール情報を生成するので、スケジュール情報の提供を受けた基地局装置10は、より測位精度の高い測位用参照信号を送信することができる。
そして、スケジュール情報は端末装置20にも提供することができるので、端末装置20は予め測位用参照信号のスケジュール情報を知ることができる。
そして、端末装置20が存在するエリア及び受信環境等に応じて、各端末装置20の測位に適した情報を基地局装置10に提供することが可能であり、各端末装置20の測位精度の向上に資することができる。
【0172】
5.各論4:各装置の動作
端末装置20での測位プロセスには、受信マップサーバ装置30及び基地局装置10が関与する。以下、図15及び図16のフローチャートを用いて、本実施形態の端末装置20の測位プロセスにおける受信マップサーバ装置30、基地局装置10、及び端末装置20の動作を説明する。
なお、本実施形態では、端末装置20がスケジュール情報を基地局装置10から受信する場合について説明する。
【0173】
受信マップサーバ装置30において、受信電波マップ保存部301に、測位用参照信号ごとに、あらかじめ受信電波マップを保存しておく(S101)。
マップスコア算出部307は、受信電波マップ保存部301に保存されている受信電波マップに基づき、マップスコアを算出する(S102)。
測位用参照信号選択部308は、各道路領域において、マップスコアに基づき、基地局装置10から送信する測位用参照信号を1つ又は複数選択する(S103)。
ビームフォーミング設定情報生成部309は、測位用参照信号選択部308で選択された測位用参照信号に基づき、基地局装置10へ送信するビームフォーミング設定情報(図中では、BF情報と記載)を生成する(S104)。
スケジュール情報生成部310は、測位用参照信号選択部308で選択された測位用参照信号に基づき、基地局装置10へ送信するスケジュール情報を生成する(S105)。
第1のサーバ送信部303は、ビームフォーミング設定情報を基地局装置10に送信する(S106)。
第1のサーバ送信部303は、スケジュール情報を基地局装置10に送信する(S107)。
【0174】
基地局装置10において、ビームフォーミング設定情報取得部101は、受信マップサーバ装置30からビームフォーミング設定情報を取得する(S201)。
スケジュール情報取得部102は、受信マップサーバ装置30からスケジュール情報を取得する(S202)。
送信部106は、受信マップサーバ装置30から受信したスケジュール情報を端末装置20に送信する(S203)。
【0175】
端末装置20において、スケジュール情報取得部202は、基地局装置10から第1の通信部201を介してスケジュール情報を取得する(S301)。
測位用参照信号選択部204は、スケジュール情報及び受信環境に基づき、基地局装置10から送信される測位用参照信号の中から、自身が利用する測位用参照信号を選択する(S302)。
【0176】
基地局装置10において、測位用参照信号生成部105は、ビームフォーミング設定情報に基づき、測位用参照信号を生成する(S204)。
送信部205は、S203で送信したスケジュール情報に基づき、測位用参照信号を端末装置20に送信する(S205)。
【0177】
端末装置20において、第1の受信部201は、複数の測位用参照信号を受信する(S303)。
受信状況測定部205は、測位用参照信号選択部204で選択した測位用参照信号の受信状況を測定する(S304)。
【0178】
受信マップサーバ装置30において、第2のサーバ送信部304は、端末装置20からの要求に応じて、受信電波マップを端末装置20に送信する(S108)。
【0179】
端末装置20において、受信マップ取得部207は、第2の通信部206を介して、受信マップサーバ装置30から受信電波マップを取得する(S305)。
位置取得部209は、受信状況の測定結果と、受信マップ取得部207から取得した受信電波マップに基づき、端末装置20の位置を取得する(S306)。
【0180】
なお、以上の動作は、それぞれの装置における方法を示すだけでなく、それぞれの装置で実行可能なプログラムの処理手順を示すものである。
そして、これらの処理は、図15及び図16で示した順序には限定されない。すなわち、あるステップでその前段のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0181】
6.総括
以上、本発明の実施形態における基地局装置、端末装置、及び受信マップサーバ装置についての特徴について説明した。
各実施形態で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
【0182】
実施形態の説明に用いたブロック図は、装置の構成を機能毎に分類及び整理したものである。それぞれの機能を示すブロックは、ハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせで実現される。また、機能を示したものであることから、かかるブロック図は方法の発明、及び当該方法を実現するプログラムの発明の開示としても把握できるものである。
【0183】
各実施形態に記載した処理、フロー、及び方法として把握できるブロック、については、一のステップでその前段の他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えても良い。
【0184】
各実施形態、及び特許請求の範囲で使用する、第1、第2、乃至、第N(Nは整数)、の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
【0185】
各実施形態における端末装置は、車両に搭載される装置として説明したが、本発明は、特許請求の範囲で特に限定する場合を除き、車両用以外の専用又は汎用の装置も含むものである。
【0186】
各実施形態における端末装置は、車両に搭載される装置として説明したが、歩行者が所持する装置であってもよい。
【0187】
本発明の端末装置の形態の例として、以下のものが挙げられる。
部品の形態として、半導体素子、電子回路、モジュール、マイクロコンピュータが挙げられる。
半完成品の形態として、電子制御装置(ECU(Electric Control Unit))、システムボードが挙げられる。
完成品の形態として、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、サーバが挙げられる。
その他、通信機能を有するデバイス等を含み、例えばビデオカメラ、スチルカメラ、カーナビゲーションシステムが挙げられる。
【0188】
本発明の基地局装置、端末装置、及び受信マップサーバ装置に、アンテナや通信用インターフェースなど、必要な機能を追加してもよい。
【0189】
本発明の基地局装置、端末装置、及び受信マップサーバ装置は、各種サービスの提供を目的とするために用いられることが想定される。かかるサービスの提供に伴い、本発明の装置が使用され、本発明の方法が使用され、又は/及び本発明のプログラムが実行されることになる。
【0190】
加えて、本発明の基地局装置、端末装置、及び受信マップサーバ装置は、各実施形態で説明した構成及び機能を有する専用のハードウェアで実現できるだけでなく、メモリやハードディスク等の記録媒体に記録した本発明を実現するためのプログラム、及びこれを実行可能な専用又は汎用CPU及びメモリ等を有する汎用のハードウェアとの組み合わせとしても実現できる。
【0191】
専用や汎用のハードウェアの非遷移的実体的記録媒体(例えば、外部記憶装置(ハードディスク、USBメモリ、CD/BD等)、又は内部記憶装置(RAM、ROM等))に格納されるプログラムは、記録媒体を介して、あるいは記録媒体を介さずにサーバから通信回線を経由して、専用又は汎用のハードウェアに提供することもできる。これにより、プログラムのアップグレードを通じて常に最新の機能を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明の基地局装置及び受信マップサーバ装置は、主に道路上を走行する車両に搭載される装置と通信をすることで測位のためのサービスを提供することを想定しているが、電動機付自転車、鉄道はもちろん、歩行者、船舶、航空機等、移動する移動体全般へのサービスに適用することが可能である。
本発明の端末装置は、主として車両に搭載される装置として説明したが、その車両には自動二輪車が含まれる他、電動機付自転車、鉄道はもちろん、歩行者、船舶、航空機等、移動する移動体全般に適用することが可能である。また、携帯電話やタブレット、ゲーム機等、様々な用途に用いられる装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0193】
10 基地局装置、20 端末装置、30 受信マップサーバ装置、40 プローブ端末装置、101 ビームフォーミング設定情報取得部、102 スケジュール情報取得部、105 測位用参照信号生成部、106 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16