(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166777
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】クリームチーズ様加工品
(51)【国際特許分類】
A23C 20/02 20210101AFI20221026BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20221026BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20221026BHJP
A23L 29/244 20160101ALI20221026BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20221026BHJP
【FI】
A23C20/02
A23L29/256
A23L29/238
A23L29/244
A23L29/269
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072202
(22)【出願日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】植西 洋平
(72)【発明者】
【氏名】狩野 香織
【テーマコード(参考)】
4B001
4B041
【Fターム(参考)】
4B001AC01
4B001AC03
4B001AC08
4B001AC15
4B001AC45
4B001BC01
4B001BC07
4B001BC08
4B001EC01
4B001EC05
4B001EC99
4B041LC03
4B041LH02
4B041LH07
4B041LH08
4B041LH10
4B041LH16
4B041LK07
4B041LK14
4B041LK18
4B041LK23
4B041LK25
4B041LK50
4B041LP01
(57)【要約】
【課題】 発酵工程を経なくても製造をすることができて、クリームチーズのような滑らかな食感で、適度な柔らかさ、少し柔らかい、又は少し固い食感のクリームチーズを提供する。
【解決手段】 澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品であり、大豆蛋白を6~17質量%、澱粉を0~0.9質量%、増粘剤を0~0.35質量%、融点が15~50℃の油脂を13~45質量%、有機酸、香料及び水を含有することを特徴とするクリームチーズ様加工品、さらに、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを10質量%以下含有するクリームチーズ様加工品、並びにクリームチーズ様加工品の製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品であり、大豆蛋白を6~17質量%、澱粉を0~0.9質量%、増粘剤を0~0.35質量%、融点が15~50℃の油脂を13~45質量%、有機酸、香料及び水を含有することを特徴とするクリームチーズ様加工品。
【請求項2】
さらに、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを10質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のクリームチーズ様加工品。
【請求項3】
前記油脂の10℃におけるSFCが30~90である、請求項1又は2に記載のクリームチーズ様加工品。
【請求項4】
卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のクリームチーズ様加工品。
【請求項5】
前記増粘剤が、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タラガム、及びグルコマンナンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のクリームチーズ様加工品。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクリームチーズ様加工品を含有する食品。
【請求項7】
澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品の製造方法であって、クリームチーズ様加工品の全量を100質量部とした場合、大豆蛋白を6~17質量部、澱粉を0~0.9質量部、増粘剤を0~0.35質量部、融点が15~50℃の油脂を13~45質量部、有機酸、香料及び水を混合してO/W乳化物を調製し、該O/W乳化物を80~100℃で加熱処理した後、冷却することを特徴とするクリームチーズ様加工品の製造方法。
【請求項8】
前記混合時に、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを10質量%以下混合することを特徴とする請求項7に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
【請求項9】
前記油脂の10℃におけるSFCが30~90である、請求項7又は8に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
【請求項10】
原料に、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を使用しないことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
【請求項11】
前記増粘剤が、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タラガム、及びグルコマンナンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリームチーズ様加工品、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、チーズの栄養価を高めるために、原料に大豆蛋白や豆乳を添加した栄養強化チーズの開発が行われてきた(特許文献1、特許文献2)。
また、特許文献3~5には、豆乳に乳酸菌を添加して、乳酸発酵して得られるチーズ様食品について記載されている。
【0003】
確かに、チーズ原料に大豆蛋白や豆乳を添加したチーズは、それを摂取することにより、チーズにはない大豆由来の栄養成分も摂取できるというメリットはあった。しかしながら、原料としてチーズを使用していることから、特定原材料である乳に由来するアレルゲン物質が必ず含まれてしまい、一般食品としての利用は可能であるが、特定原材料によるアレルギーを考慮した食品としては利用できないものであった。
また、特許文献3~6のチーズ様食品は、大豆の栄養成分を摂取でき、かつ、特定原材料である乳や小麦を含有しないが、製造において乳酸発酵という工程が必須であるため、乳酸菌や発酵技術が必要で、また、製造時間も長くなってしまうため、製造コストの点で必ずしも満足するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-275600号公報
【特許文献2】特開2004-129648号公報
【特許文献3】特開平3-112445公報
【特許文献4】特開平7-236417号公報
【特許文献5】WO2009/001443
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、原料に乳由来のアレルゲン物質である特定原材料を、原料に使用している場合のみならず、原料に使用していない場合であっても製造することができ、かつ、発酵工程を経なくても製造をすることができ、しかも、クリームチーズのような滑らかな食感で、適度な柔らかさ、少し柔らかい、又は少し固い食感のクリームチーズ様食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、澱粉及び/又は増粘剤を使用し、大豆蛋白を6~17質量%、澱粉を0~0.9質量%、増粘剤を0~0.35質量%、融点が15~50℃の油脂を13~45質量%、有機酸、香料及び水を使用することにより、発酵をしなくても、クリームチーズのような滑らかな食感で、適度な柔らかさ、少し柔らかい、又は少し固い食感のクリームチーズが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下に関するものである。
〔1〕澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品であり、大豆蛋白を6~17質量%、澱粉を0~0.9質量%、増粘剤を0~0.35質量%、融点が15~50℃の油脂を13~45質量%、有機酸、香料及び水を含有することを特徴とするクリームチーズ様加工品。
〔2〕さらに、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを10質量%以下含有することを特徴とする〔1〕に記載のクリームチーズ様加工品。
〔3〕前記油脂の10℃におけるSFCが30~90である、〔1〕又は〔2〕に記載のクリームチーズ様加工品。
〔4〕卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないことを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載のクリームチーズ様加工品。
〔5〕前記増粘剤が、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タラガム、及びグルコマンナンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載のクリームチーズ様加工品。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載のクリームチーズ様加工品を含有する食品。
〔7〕澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品の製造方法であって、クリームチーズ様加工品の全量を100質量部とした場合、大豆蛋白を6~17質量部、澱粉を0~0.9質量部、増粘剤を0~0.35質量部、融点が15~50℃の油脂を13~45質量部、有機酸、香料及び水を混合してO/W乳化物を調製し、該O/W乳化物を80~100℃で加熱処理した後、冷却することを特徴とするクリームチーズ様加工品の製造方法。
〔8〕前記混合時に、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを10質量%以下混合することを特徴とする〔7〕に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
〔9〕前記油脂の10℃におけるSFCが30~90である、〔7〕又は〔8〕に記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
〔10〕原料に、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を使用しないことを特徴とする〔7〕~〔9〕のいずれか1つに記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
〔11〕前記増粘剤が、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タラガム、及びグルコマンナンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものであることを特徴とする〔7〕~〔10〕のいずれか1つに記載のクリームチーズ様加工品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用している場合のみならず、原料に使用していない場合であっても製造することができるので、消費者に対して、一般の食品としてのみならず、特定原材料によるアレルギーを考慮した食品としての提供も可能となる。
また、発酵工程を経なくてもクリームチーズ様加工品を製造できるため、製造時間の短縮、及び製造コストの低減を図ることができる。
さらに、本発明によると、クリームチーズのような滑らかな食感で、適度な柔らかさ、少し柔らかい、又は少し固い食感のクリームチーズを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び/又は増粘剤を含有するクリームチーズ様加工品であり、大豆蛋白を6~17質量%、澱粉を0~0.9質量%、増粘剤を0~0.35質量%、融点が15~50℃の油脂を13~45質量%、有機酸、香料及び水を含有するものである。
そして、本発明のクリームチーズ様加工品は、原料として、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用した場合であっても、又は原料に使用していない場合であっても製造することができる。
また、本発明のクリームチーズ様加工品は、チーズの製造に必要な発酵工程を経なくても製造できるものである。
したがって、本発明のクリームチーズ様加工品は、消費者に対し、一般の食品としてのみならず、特定原材料によるアレルギーを考慮した食品としての提供も可能となる。
ここで、卵に由来する物質とは、例えば、卵、卵黄、卵白等が挙げられる。乳に由来する物質とは、例えば、牛乳、チーズ、バター等が挙げられる。そばに由来する物質とは、例えば、そば、そば茶等が挙げられる。落花生に由来する物質とは、例えば、落花生、落花生蛋白等が挙げられる。えびに由来する物質とは、例えば、えび、蛯油等が挙げられる。かにに由来する物質とは、例えば、かに、かにエキス等が挙げられる。
【0010】
〔分離大豆蛋白〕
まず、本発明に使用する分離大豆蛋白について説明をする。
分離大豆蛋白は、脱脂大豆を中性から弱アルカリ性で水抽出後、おからを分離し、得られた抽出液を大豆蛋白の等電点付近の酸性に調整して沈殿物を生じさせることでホエー成分を分離し、沈殿物を溶解、中和後、乾燥することによって製造することができる。
このように、分離大豆蛋白は、脱脂大豆から製造することができるが、市販品を使用することもできる。分離大豆蛋白の市販品としては、例えば、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ソルピー5000H」や商品「ソルピー6000H」が挙げられる。
【0011】
クリームチーズ様加工品中の分離大豆蛋白の含量は、6~17質量%であり、7~15質量%であることが好ましく、8~12質量%であることがさらに好ましい。分離大豆蛋白の含量が6質量%未満であると、保形性のあるクリームチーズ様加工品が得られないからである。また、分離大豆蛋白の含量が12質量%を超えると、粘度が高くなるので作業性が悪くなり、また、舌触りが悪いボソボソしたものになってしまうからである。
【0012】
〔澱粉〕
次に、本発明に使用する澱粉について説明をする。
本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び/又は増粘剤を含有する。
すなわち、本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び増粘剤の少なくとも一方を含有させる必要があり、どちらも含有しないクリームチーズ様加工品は、本発明の効果を奏さない。
澱粉としては、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、米澱粉等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
澱粉は、市販品を使用することができる。澱粉の市販品としては、例えば、グリコ栄養食品(株)販売の小麦澱粉(商品名「銀鱗」)、東海澱粉(株)販売の馬鈴薯澱粉(商品名「ビホロ」)、王子コーンスターチ(株)販売のコーンスターチ(商品名「ファインテックス」)、松谷化学(株)販売のタピオカ澱粉(商品名「ばら」)等が挙げられる。
【0013】
クリームチーズ様加工品中の澱粉の含量は、0~0.9質量%であり、0~0.8質量%であることが好ましく、0.3~0.8質量%であることがさらに好ましい。
澱粉の含量が、1質量%以上だと、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得ることができないからである。
また、上述したが、本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び増粘剤の少なくとも一方を含有させる必要があるため、澱粉の含量が0質量%の場合、必ず増粘剤を含有させる必要がある。
【0014】
〔増粘剤〕
次に、本発明に使用する増粘剤について説明をする。
本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び/又は増粘剤を含有する。
すなわち、本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び増粘剤の少なくとも一方を含有させる必要があり、どちらも含有しないクリームチーズ様加工品は、本発明の効果を奏さない。
増粘剤としては、寒天、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、タラガム、グルコマンナン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
増粘剤は、市販品を使用することができる。増粘剤の市販品としては、例えば、伊那食品工業(株)販売の寒天(商品名「ウルトラ寒天」)、伊那食品工業(株)販売のキサンタンガム(商品名「V10K」)、三菱ケミカルフーズ(株)販売のローカストビーンガム(商品名「A120」)等が挙げられる。
【0015】
クリームチーズ様加工品中の増粘剤の含量は、0~0.35質量%であり、0~0.3質量%であることが好ましく、0.1~0.3質量%であることがさらに好ましい。
増粘剤の含量が、0.4質量%以上だと、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得ることができないからである。
また、上述したが、本発明のクリームチーズ様加工品は、澱粉及び増粘剤の少なくとも一方を含有させる必要があるため、増粘剤の含量が0質量%の場合、必ず澱粉を含有させる必要がある。
【0016】
〔融点が15~50℃の油脂〕
次に、本発明に使用する油脂について説明をする。
本発明に使用する油脂は、融点が15~50℃、好ましくは20~40℃、より好ましくは20~35℃、さらに好ましくは20~30℃の食用油脂である。
本発明における油脂は、かかる融点の油脂であれば特に限定されないが、ラウリン系油脂、パーム系油脂等が挙げられる。ここで、ラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸が35質量%以上の油脂であり、例えば、ヤシ油、パーム核油や、これらの分別油、エステル交換油、水素添加油等が挙げられる。また、パーム系油脂とは、パーム油及びパーム油を原料に分別されてできる油脂や、それらをエステル交換して得られる油脂であり、例えば、パーム油分別軟質部(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、パーム油中融点画分(以下、「PMF」ともいう)等や、それらの水素添加油、エステル交換油等が挙げられる。
また、本発明における油脂は、所望の融点をもつ油脂であれば、複数の油脂の混合物でもよく、上記のラウリン系油脂とパーム系油脂から選ばれる2種以上の混合油脂も使用することができる。本発明における油脂は、パーム油中融点画分(PMF)、ヤシ油、及びパーム核油から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
【0017】
さらに、本発明における油脂は、10℃におけるSFCが30~90であることが好ましく、40~90であることがより好ましく、60~90であることがさらに好ましく、70~90であることがさらにより好ましい。油脂のSFCがかかる範囲にあると、より滑らかな食感のクリームチーズ様加工品を得ることができるからである。
【0018】
本発明において、油脂の融点とは「上昇融点」を指す。上昇融点は、公益社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2013年版「2.2.4.2-1996融点(上昇融点)」の方法に準じて測定することができる。また、本発明における油脂が複数種の油脂の混合物(混合油脂)である場合、本発明における融点は、混合油脂の上昇融点である。
また、本発明における油脂のSFC(固体脂含量)は、公益社団法人 日本油化学会 基準油脂分析試験法2013年版「2.2.9-2013固体脂含量(NMR法)に従って測定することができる。
【0019】
クリームチーズ様加工品中の融点が15~50℃油脂の含量は、13~45質量%であり、15~40質量%であることが好ましく、25~36質量%であることがさらに好ましい。
融点が15~50℃の油脂の含量が、13質量%未満、及び45質量%より多いと、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得ることができないからである。
【0020】
〔香料〕
本発明のクリームチーズ様加工品は、その香りをクリームチーズに似せるために、香料を添加する。香料は、市販品を使用することができ、油性であっても、水性であっても良い。使用する香料としてはクリームチーズ風味のものが好ましいが、ミルク風味やバター風味等、クリームチーズに似た香りに調整できる香料であれば、どのような香りの香料であっても使用することができる。
ただし、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用しないクリームチーズ様加工品を製造する場合には、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含まない香料を使用する必要がある。
クリームチーズ様加工品中の香料の含量は、求めるクリームチーズ様加工品の香りの強さとの関係で調整すれば良く、例えば、0.1~2質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましく、0.2~0.8質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
〔有機酸〕
本発明のクリームチーズ様加工品は、その食味をクリームチーズに似せるために、有機酸を添加して酸味を調整する。有機酸は、市販品を使用することができる。有機酸として、例えば、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸等が挙げられ、それらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明のクリームチーズ様加工品に使用する有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸が好ましく、クエン酸及びリンゴ酸の両方を含むものがより好ましい。
クエン酸とリンゴ酸を併用する場合、クエン酸とリンゴ酸の質量比(クエン酸/リンゴ酸)は、30/70~70/30であることが好ましく、40/60~60/40であることがより好ましく、45/55~55/45であることがさらに好ましい。
クエン酸及びリンゴ酸を、かかる範囲で併用すると、クエン酸のみ、又はリンゴ酸のみを使用した場合よりも、酸味がよりマイルドになるからである。
クリームチーズ様加工品中の有機酸の含量は、求めるクリームチーズ様加工品の酸味の強さとの関係で調整すれば良く、例えば、0.1~1質量%であることが好ましく、0.1~0.8質量%であることがより好ましく、0.1~0.5質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
〔水〕
本発明のクリームチーズ様加工品は水を含有する。
クリームチーズ様加工品中の水の含量は、他の成分の配合量により変わってくるが、40~80質量%であることが好ましく、45~70質量%であることがより好ましく、50~60質量%であることがさらに好ましい。
しい。
【0023】
〔中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール〕
次に、本発明に使用する中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールについて説明をする。
本発明のクリームチーズ様加工品には、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを使用することもできる。
ここで、中鎖脂肪酸とは、炭素数が6~12の脂肪酸のことを言う。中鎖脂肪酸は、特に、エネルギー効率と風味の点から、炭素数が8であるn-オクタン酸、及び炭素数が10であるn-デカン酸から選ばれる1種又は2種であることが好ましい。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールは、構成脂肪酸の全てが中鎖脂肪酸であるトリグリセリドのことで、中鎖脂肪酸トリグリセリド、又は略して、MCTとも言う。
そして、グリセリンに炭素数8の直鎖脂肪酸(n-オクタン酸)及び炭素数10の直鎖脂肪酸(n-デカン酸)が結合した中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの中でも、その構成脂肪酸の質量比が、n-オクタン酸:n-デカン酸=57:43~87:13であるものが好ましく、n-オクタン酸:n-デカン酸=60:40~85:15であるものがより好ましく、n-オクタン酸:n-デカン酸=70:20~80:20であるものがさらに好ましく、n-オクタン酸:n-デカン酸=72:28~78:22であるものがさらにより好ましい。
【0024】
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの構成脂肪酸を確認、定量する方法としては、例えば、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの構成脂肪酸をメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーにより定量分析する方法(例えば、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法2013年版 2.4.2.3-2013 脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)が挙げられる。
また、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールのトリアシルグリセロール組成を確認、定量する方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー法(JAOCS,vol70,11,1111-1114(1993))が挙げられる。
【0025】
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールは、公知の方法で製造することもできる。
例えば、ヤシ油やパーム核油由来の炭素数6~12の中鎖脂肪酸とグリセリンとを触媒下、好ましくは無触媒下で、好ましくは減圧下で120~180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造することができる。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを構成する脂肪酸の割合を調整する方法としては、例えば、あらかじめ所望の割合のn-オクタン酸(C8)とn-デカン酸(C10)とを準備し、それらをグリセリンとエステル結合させる方法が挙げられる。
【0026】
本発明に使用する中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールは、市販品を使用することができる。
市販品として、例えば、日清オイリオグループ(株)販売の商品「O.D.O」、「スコレー64G」「スコレーMC」等が挙げられる。なお、「O.D.O」の構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=75:25で、「スコレー64G」の構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=60:40で、スコレーMCの構成脂肪酸組成目安は、C8:C10=85:15である。
【0027】
本発明のクリームチーズ様加工品中の中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールの含量は、10質量%以下であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを含有させることで、得られるクリームチーズ様加工品の固さをやわらかくすることができるので、配合量を調整することで、クリームチーズ様加工品の固さを調整することができる。
【0028】
〔その他の原料〕
上述した原料以外のその他の原料として、融点が15~50℃の油脂及び中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール以外の油脂、デキストリン、乳化剤、セルロース及びその誘導体、果実、肉類、魚介類、着色料、保存料や、チーズ等の乳製品、アーモンド等のナッツ類、食塩、こしょう等の調味料等を使用することができる。
融点が15~50℃の油脂及び中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール以外の油脂としては、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、オリーブ油等が挙げられる。
ただし、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質、いわゆる特定原材料を、原料に使用しないクリームチーズ様加工品を製造する場合には、使用する他の原料として、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含まないものを使用する必要がある。
クリームチーズ様加工品中のその他の原料の含量は、例えば、0~10質量%であることが好ましく、0~5質量%であることがより好ましく、0~3質量%であることがさらに好ましい。
【0029】
〔クリームチーズ様加工品〕
本発明のクリームチーズ様加工品は、市販のクリームチーズのような滑らかな食感で、適度な柔らかさ、少し柔らかい、又は少し固い食感のクリームチーズ様食品である。
本発明のクリームチーズ様加工品の固さは、テクスチュロメーターにより測定した最大荷重(g)により評価することができる。クリームチーズ様加工品の固さが固いほど、最大荷重の値が大きくなり、クリームチーズ様加工品の固さが柔らかいほど、最大荷重の値が小さくなる。
テクスチュロメーターとして、例えば、英弘精機(株)製の装置「TA.XT.plus Texture Analyser」)が挙げられる。
本発明のクリームチーズ様加工品の最大荷重(g)は、50~1000gであることが好ましく、100~500gであることがより好ましく、120~350gであることがさらに好ましい。
本発明のクリームチーズ様加工品は、クリームチーズと同じように、食品及び食品原料として使用することができる。具体的には、そのままクリームチーズ類似食品として食することもできるし、パンや菓子に載せたり、又は練り込んだり、ピザの原料にしたりすることもできる。
【0030】
〔クリームチーズ様加工品の製造方法〕
次に、本発明のクリームチーズ様加工品の製造方法について説明をする。
本発明の製造方法は、クリームチーズ様加工品の全量を100質量部とした場合、大豆蛋白を6~17質量部、澱粉を0~0.9質量部、増粘剤を0~0.35質量部、融点が15~50℃の油脂を13~45質量部、有機酸、香料及び水を混合してO/W乳化物を調製し、該O/W乳化物を80~100℃で加熱処理した後、冷却するクリームチーズ様加工品の製造方法である。
具体的には、例えば、分離大豆蛋白と水を混合して撹拌をする。得られた分離大豆蛋白含有水溶液を撹拌しているところへ、融点が15~50℃の油脂を添加して、O/W乳化物を調製する。その後、O/W乳化物を撹拌し、澱粉、増粘剤、香料、有機酸を添加すし、O/W乳化物を得る。
得られたO/W乳化物を、耐熱袋や耐熱容器等に入れて、80~100℃で、20~60分間加熱処理後、冷却することによりクリームチーズ様加工品を製造することができる。
中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを配合する場合には、例えば、融点が15~50℃の油脂添加時に、中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールも添加することができる。
【0031】
加熱処理を行うのは、加熱により殺菌をすることができるからである。
冷却は、加熱処理したO/W乳化物を入れた耐熱袋や耐熱容器を水につけて冷却するのが好ましい。また、室温で放冷したり、冷蔵庫(3~4度)に入れて冷却することもできる。
クリームチーズ様加工品の形態は、いろいろな形態を採ることができるが、例えば、シート状、ブロック状、スティック状、球状等が挙げられる。
【0032】
次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0033】
〔原料について〕
・クリームチーズ様加工品の製造に使用した原料
表1に、後述するクリームチーズ様加工品の製造に使用した原料を示す。
また、使用したパーム油中融点画分(以下「PMF」ともいう)の融点は29℃、10℃におけるSFCは72.0、菜種油及び中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール(MCT)は、両方とも0℃で液状なので融点は0℃未満、10℃におけるSFCは0である。
【0034】
【0035】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例1~3、比較例1~3)〕
表2に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を製造した。
具体的には、撹拌容器に一部の水及び分離大豆蛋白を入れて、カッターミキサー(回転数:約1500rpm)で撹拌している間に、パーム油中融点画分、及び水をゆっくり添加して乳化し、O/W乳化物を得た(撹拌時間5分)。
次に、カッターミキサー(回転数:約3000rpm)で撹拌し、寒天、香料、クエン酸を添加した(撹拌時間10分)。
得られた混合物を、耐熱袋(縦10cm、横20cm、厚さ1cm)に入れて、90℃で30分間加熱処理後、耐熱袋を冷水につけて冷却し、クリームチーズ様加工品を製造した(実施例1)。
また、実施例1の寒天を配合せず、水の量を変えた以外は実施例1と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(比較例1)。
また、実施例1の寒天を小麦澱粉に代えて、香料、クエン酸と一緒に添加し、水の量を変えた以外は実施例1と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(実施例2)。
また、実施例1のパーム油中融点画分を小麦澱粉に代えて、寒天、香料、クエン酸と一緒に添加し、水の量を変えた以外は実施例1と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(比較例2)。
【0036】
撹拌容器に一部の水及び分離大豆蛋白を入れて、カッターミキサー(回転数:約1500rpm)で撹拌している間に、パーム油中融点画分、及び水をゆっくり添加して乳化し、O/W乳化物を得た(撹拌時間5分)。
次に、カッターミキサー(回転数:約3000rpm)で撹拌し、小麦澱粉、寒天、香料、クエン酸を添加した(撹拌時間10分)。
得られた混合物を、耐熱袋(縦10cm、横20cm、厚さ1cm)に入れて、90℃で30分間加熱処理後、耐熱袋を冷水につけて冷却し、クリームチーズ様加工品を製造した(実施例3)
また、実施例3の分離大豆蛋白を生タイプの全脂大豆粉に代えた以外は実施例3と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(比較例3)。
【0037】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について食感を評価した。具体的には、滑らかさ及び柔らかさの2つの視点について、表3の評価基準を用いて評価を行った。食感の滑らかさ及び固さの評価は、雪印メグミルク(株)製造の商品「クリームチーズ」の食感を基準にして行った。
評価結果が◎又は○のものはクリームチーズ様加工品としての商品価値があると判断し、△又は×のものは、クリームチーズ様加工品としての商品価値がないと判断した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0038】
【0039】
【0040】
表2の結果から、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得るためには、澱粉及び増粘剤の少なくとも一方を配合する必要があることがわかった。
また、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得るためには、油脂も必須の成分であることがわかった。
また、分離大豆蛋白を生タイプの全脂大豆粉に代えると、食感が滑らかなクリームチーズ様加工品を得られないことがわかった。
【0041】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例4、5、比較例4、5)〕
分離大豆蛋白の適正量を調べるために、表4に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を、実施例3と同様の方法で製造した(実施例4、5、比較例4、5)。
なお、効果の比較の参考のために、表4には、上述した実施例3の配合及び評価を記載しておく。
【0042】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
また、製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0043】
【0044】
表4の結果から、クリームチーズ様加工品の配合において、分離大豆蛋白の含量を5.0質量%、又は20.0質量%とした場合、滑らか食感のクリームチーズ様加工品を得ることができず、一方、分離大豆蛋白の含量を10質量%にすると、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
【0045】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例6、7、比較例6)〕
澱粉の適正量を調べるために、表5に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を、実施例3と同様の方法で製造した(実施例6、7、比較例6)。
なお、効果の比較の参考のために、表5には、上述した実施例1及び実施例3の配合及び評価を記載しておく。
【0046】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0047】
【0048】
表5の結果から、クリームチーズ様加工品の配合において、澱粉の含量を1.0質量%とした場合、滑らか食感のクリームチーズ様加工品を得ることができず、一方、澱粉の含量を0.5質量%にすると、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
【0049】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例8、9、比較例7)〕
増粘剤の適正量を調べるために、表6に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を、実施例3と同様の方法で製造した(実施例8、9、比較例7)。
なお、効果の比較の参考のために、表6には、上述した実施例2及び実施例3の配合及び評価を記載しておく。
【0050】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0051】
【0052】
表6の結果から、クリームチーズ様加工品の配合において、増粘剤の含量を0.4質量%とした場合、滑らか食感のクリームチーズ様加工品を得ることができず、一方、増粘剤の含量を0.2質量%にすると、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
【0053】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例10、11、比較例8)〕
油脂の適正量を調べるために、表7に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を、実施例3と同様の方法で製造した(実施例10、11、比較例8)。
なお、効果の比較の参考のために、表7には、上述した実施例2及び実施例3の配合及び評価を記載しておく。
【0054】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0055】
【0056】
表7の結果から、クリームチーズ様加工品の配合において、油脂の含量を0質量%、又は50.0質量%とした場合、滑らか食感のクリームチーズ様加工品を得ることができず、一方、油脂の含量を33.3質量%にすると、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
【0057】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例12、13)〕
有機酸としてリンゴ酸を使用した表8に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を、実施例3と同様の方法で製造した(実施例12、13)。
なお、効果の比較の参考のために、表8には、上述した実施例3の配合及び評価を記載しておく。
また、配合表の下に、クエン酸とリンゴ酸の質量比(クエン酸/リンゴ酸)を記載しておく。
【0058】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0059】
【0060】
表8の結果から、有機酸として、クエン酸の代わりにリンゴ酸を使用した場合であっても、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
さらに、有機酸として、クエン酸とリンゴ酸を、クエン酸/リンゴ酸=50/50の割合で配合すると、クリームチーズのように滑らか食感で、適度な柔らかさのあるクリームチーズ様加工品が得られ、クエン酸のみ、又はリンゴ酸のみを使用した場合よりも、酸味がよりマイルドになることがわかった。
【0061】
〔クリームチーズ様加工品の製造(実施例14~18、比較例9)〕
小麦澱粉以外の澱粉、寒天以外の増粘剤、パーム油中融点画分以外の油脂を使用した場合も、本発明の効果を奏するクリームチーズ様加工品を作ることができるかどうかを調べるために、表9に示す配合で、卵、乳、そば、落花生、えび、又はかにに由来するアレルゲン物質を含有しないクリームチーズ様加工品を製造した。
具体的には、実施例3の小麦澱粉を馬鈴薯澱粉、又はコーンスターチに代えた以外は実施例3と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(実施例14、実施例15)。
また、実施例3の寒天をキサンタンガム、又はローカストビーンガムに代えた以外は実施例3と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(実施例16、実施例17)。
また、実施例3のパーム油中融点画分の一部を中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールに代えた以外は実施例3と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(実施例18)。
また、実施例3のパーム油中融点画分を菜種油に代えた以外は実施例3と同様の方法でクリームチーズ様加工品を製造した(比較例9)。
【0062】
〔クリームチーズ様加工品の食感の評価〕
製造したクリームチーズ様加工品について実施例1で行った評価と同様の方法で食感を評価した。食感の評価結果を配合の下に示す。
【0063】
【0064】
表9の結果から、澱粉として、馬鈴薯澱粉、又はコーンスターチを使用しても、本発明の効果を奏するクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
また、増粘剤として、キサンタンガム、又はローカストビーンガムを使用しても、本発明の効果を奏するクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
さらに、油としてパーム油中融点画分、及び中鎖脂肪酸トリアシルグリセロールを使用しても、本発明の効果を奏するクリームチーズ様加工品が得られることがわかった。
一方、油脂として、融点が15~50℃でない菜種油のみを使用すると、本発明の効果を奏するクリームチーズ様加工品が得られないことがわかった。
【0065】
〔クリームチーズ様加工品の固さの測定〕
製造したクリームチーズ様加工品の固さを調べるために、テクスチュロメーター(英弘精機(株)製、装置名「TA.XT.plus Texture Analyser」)で、実施例3及び実施例18のクリームチーズ様加工品の最大荷重(g)を測定した。
また、比較として、表10に示す市販のクリームチーズ、及び通常のチーズの最大荷重(g)を測定した。
最大荷重は、20℃の部屋で、表11に示すテクスチュロメーター測定条件で測定した。測定サンプルは、縦約30mm、横約30mm、高さ約15mmの直方体に切断したものを使用し、1つのサンプルについて3回測定をし、その平均値を、測定サンプルの最大荷重(g)の値とした。
表12に、各サンプルの最大荷重の測定結果を示す。
実施例1、2、4~17のクリームチーズ様加工品については、その最大荷重を測定していないが、食感評価結果が◎評価の実施例12~17のクリームチーズ様加工品を食した時の固さは、実施例3のクリームチーズ様加工品を食した時の固さとほぼ同じであった。
また、食感評価結果が○(少し柔らかい)評価の実施例1、2、4、6、8、及び10のクリームチーズ様加工品を食した時の固さは、実施例3のクリームチーズ様加工品を食した時の固さよりは少し柔らかく、実施例18クリームチーズ様加工品を食した時の固さよりも少し固いものであった。
また、食感評価結果が○(少し固い)評価の実施例5、7、9、及び11のクリームチーズ様加工品を食した時の固さは、実施例3のクリームチーズ様加工品を食した時の固さよりも少し固く、商品「キリクリームチーズ」を食した時の固さよりも少し柔らかいものであった。
【0066】
【0067】
【0068】