(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166803
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】弾性シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/24 20060101AFI20221026BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20221026BHJP
F16J 15/00 20060101ALI20221026BHJP
B65H 5/22 20060101ALI20221026BHJP
B26F 1/44 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
B65H29/24 D
B26D3/00 601E
F16J15/00 C
B65H5/22 B
B26F1/44 J
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184705
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2021550011の分割
【原出願日】2021-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】598124249
【氏名又は名称】エア・ウォーター・マッハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 健二
(72)【発明者】
【氏名】寺川 学
【テーマコード(参考)】
3C060
3F049
【Fターム(参考)】
3C060AA06
3C060BA01
3C060BB12
3C060BC04
3C060BD01
3C060BE09
3C060BG15
3F049AA02
3F049AA06
3F049FC01
3F049FC07
3F049FC22
3F049FC23
3F049LA15
3F049LB12
(57)【要約】
【課題】弾性シートの目的位置への配置が容易な弾性シート搬送装置を提供すること。
【解決手段】第1弾性シート搬送装置5の搬送機構56は、吸着面71および吸気口72を備える吸着部73と、吸気口72に連通する吸気機構74と、吸着部73および吸気機構74を移動させる吸着部移動機構75と、吸気機構74、吸着部移動機構75を駆動制御する搬送制御部123を備える。搬送制御部123は、吸着部移動機構75を駆動制御して吸着部73の吸着面71を供給位置Dに配置された弾性シート2に対向させ、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて、吸着面71に吸着する。その後、搬送制御部123は、吸着部移動機構75を駆動して吸着部73を第1打抜き位置Aに対向させ、吸気機構74の駆動を停止する。これにより、弾性シート2を吸着面71から落下させて、第1打抜き位置Aに配置する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置にある弾性シートを吸着して移動させ、吸着の解除によって前記第1位置とは異なる第2位置に配置する搬送機構を有し、
前記搬送機構は、第1吸着面および当該第1吸着面に設けられた第1吸気口を備える第1吸着部と、前記第1吸気口に連通する第1吸気機構と、前記第1吸着部を移動させる第1吸着部移動機構と、前記第1吸気機構および前記第1吸着部移動機構を駆動制御する第1搬送制御部と、を備え、
前記第1搬送制御部は、前記第1位置に前記弾性シートが配置されると、前記第1吸着面を前記弾性シートに隙間を開けて対向させて前記第1吸気機構を駆動して当該第1吸着面に前記弾性シートを吸着し、前記第1吸着部を移動させて前記第1吸着面を前記第2位置に対向させ、しかる後に、前記第1吸気機構を停止させることを特徴とする弾性シート搬送装置。
【請求項2】
前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有するエジェクターを備えることを特徴とする請求項1に記載の弾性シート搬送装置。
【請求項3】
前記第1吸着面は、前記弾性シートを吸着したときに当該弾性シートの外周縁に接触する枠状部分を備え、
前記第1吸気口は、前記枠状部分の内周側に位置し、
前記枠状部分の表面は、粗面であり、十点平均粗さをRとした場合に、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性シート搬送装置。
8μm ≦ R
【請求項4】
前記第1吸着面は、導電性の金属からなる金属部分を備えることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の弾性シート搬送装置。
【請求項5】
前記弾性シートは、エラストマー製であることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の弾性シート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性シートを所定の目的位置に精度よく搬送する弾性シート搬送装置に関する。また、弾性シート用搬送機構によって搬送された弾性シートを弾性シート打抜き装置で打抜いてシール材などを製造する弾性シート打抜きシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
シール材として用いられるOリングの中には、エラストマー製の弾性シートを打抜いて製造されるものがある。特許文献1には、環状の製品部とバリ部とを一体に成形した弾性シートをダイの表面に配置し、パンチで製品部を打抜いてOリングを製造するOリングの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性シートをダイの表面にセットする際に、弾性シートの位置が予めダイの表面に設定した打抜き位置からズレていると、弾性シートを正確に打抜くことができない。従って、弾性シートの位置が打抜き位置からズレている場合には、弾性シートをダイの表面から剥がして、打抜き位置に再配置しなければならない。ここで、弾性シートは、撓みやすい。また、弾性シートによっては、粘着性を備えるものもある。従って、弾性シートの位置が打抜き位置からズレてしまうと、弾性シートの再配置に手間がかかり、弾性シートの打抜き作業が遅滞する。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、弾性シートの目的位置への配置が容易な弾性シート搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の弾性シート搬送装置は、第1位置にある弾性シートを吸着して移動させ、吸着の解除によって前記第1位置とは異なる第2位置に配置する搬送機構を有し、前記搬送機構は、第1吸着面および当該第1吸着面に設けられた第1吸気口を備える第1吸着部と、前記第1吸気口に連通する第1吸気機構と、前記第1吸着部を移動させる第1吸着部移動機構と、前記第1吸気機構および前記第1吸着部移動機構を駆動制御する第1搬送制え御部と、を備え、前記第1搬送制御部は、前記第1位置に前記弾性シートが配置されると、前記第1吸着面を前記弾性シートに隙間を開けて対向させて前記第1吸気機構を駆動して当該第1吸着面に前記弾性シートを吸着し、前記第1吸着部を移動させて前記第1吸着面を前記第2位置に対向させ、しかる後に、前記第1吸気機構を停止させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、搬送機構の第1吸着部は、第1吸着面を弾性シートに押し付けた状態で当該弾性シートを第1吸着面に吸引するのではなく、第1吸着面を弾性シートから離間させた状態で、弾性シートを上方に吸引して、第1吸着面に吸着する。従って、弾性シートを吸着する際に、第1吸着面を弾性シートに押し付けることがない。よって、弾性シートの変形や、破れを防止或いは抑制できる。また、弾性シートが第1吸着面に貼り付くことを防止できる。さらに、摩擦などにより、弾性シートが帯電することを防止或いは抑制できる。従って、帯電により弾性シートが第1吸着面に貼り付くことを防止できる。よって、
第1吸気機構を停止したときに、弾性シートが第1吸着面から離間させることが容易であり、弾性シートを第2位置に配置することが容易となる。
【0008】
本発明において、前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有するエジェクターを備えるものとすることができる。エジェクターでは、空気流入口から吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量を大きくすることが容易である。従って、空気流入口が第1吸気口に連通するエジェクターを用いて第1吸着部の第1吸気口から空気を吸い込めば、第1吸着部は、第1吸着面を弾性シートから離間させた状態でテーブル表面にある弾性シートを上方に吸引して、吸着することが容易となる。
【0009】
本発明において、前記第1吸着面は、前記弾性シートを吸着したときに当該弾性シートの外周縁に接触する枠状部分を備え、前記第1吸気口は、前記枠状部分の内周側に位置し、前記枠状部分の表面は、粗面であり、十点平均粗さをRとした場合に、以下の条件式を満たすものとすることができる。
8μm ≦ R
このようにすれば、第1吸着面の枠状部分が粗面なので、エジェクターの駆動によって第1吸着部が第1吸着面に弾性シートを吸着しているときに、第1吸着面の枠状部分と、この枠状部分に接触する弾性シートの外周縁との間を、空気が流れる。すなわち、第1吸着面に弾性シートが吸着されているときに、第1吸着面と弾性シートとの間に、弾性シートの外周側から、第1吸気口が存在する枠状部分の内周側に向かう気流が発生する。これにより、第1吸着面と弾性シートとが密着状態となることがないので、エジェクターの駆動を停止したときに、第1吸着面から弾性シートが離間しやすい。よって、弾性シートを第2位置に配置することが容易となる。ここで、条件式を満たせば、エジェクターの駆動によって第1吸着部が第1吸着面に弾性シートを吸着したときに、第1吸着面と弾性シートとの間に空気を流すことが容易となる。言い換えれば、第1吸着面の十点平均粗さの値が条件式の下限値を下回った場合には、第1吸着面と弾性シートとの間を空気が流れ難くなる。
【0010】
本発明において、前記第1吸着面は、導電性の金属からなる金属部分を備えるものとすることができる。このようにすれば、弾性シートが静電気などによって帯電している場合でも、その電荷を金属部分から第1吸着部の側に逃がすことができる。
【0011】
本発明において、前記弾性シートは、エラストマー製とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の弾性シート搬送装置によれば、搬送機構の第1吸着部は、第1吸着面を弾性シートに押し付けた状態で当該弾性シートを第1吸着面に吸引するのではなく、第1吸着面を弾性シートから離間させた状態で、弾性シートを上方に吸引して、第1吸着面に吸着する。従って、弾性シートを吸着する際に、第1吸着面を弾性シートに押し付けることがない。よって、弾性シートの変形や、破れを防止或いは抑制できる。また、弾性シートが第1吸着面に貼り付くことを防止できる。さらに、摩擦などにより、弾性シートが帯電することを防止或いは抑制できる。従って、帯電により弾性シートが第1吸着面に貼り付くことを防止できる。よって、第1吸気機構を停止したときに、弾性シートが第1吸着面から離間させることが容易であり、弾性シートを第2位置に配置することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】弾性シート打抜きシステムを上方から見た場合の平面図である。
【
図5】弾性シート移動機構および搬送機構の説明図である。
【
図6】テーブルおよび位置決め機構の斜視図である。
【
図8】弾性シート打抜きシステムの動作のフローチャートである。
【
図9】位置決め機構による弾性シートの位置決め動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明を適用した弾性シート打抜きシステムを説明する。
【0015】
(全体構成)
図1は、弾性シート打抜きシステムの正面図である。
図2は、所定の高さから下方に向かって弾性シート打抜きシステムを見た場合の説明図である。
図2は、
図1のJ-J線の高さ位置から下方を見た場合である。
図3(a)は、弾性シートの平面図である。
図3(b)は、
図3(a)のK-K線断面図である。本例の弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2を、2台の弾性シート打抜き装置3、4で順番に打抜いてOリングなどの環状のシール材を製造する。
【0016】
図1に示すように、弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2を打抜くための第1弾性シート打抜き装置3と、第1弾性シート打抜き装置3が打抜いた弾性シート2を更に打抜くための第2弾性シート打抜き装置4を有する。また、弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2を第1弾性シート打抜き装置3に供給する第1弾性シート搬送装置5と、弾性シート2を第1弾性シート打抜き装置3から第2弾性シート打抜き装置4に搬送する第2弾性シート搬送装置6と、を有する。さらに、弾性シート打抜きシステム1は、第1弾性シート打抜き装置3、第2弾性シート打抜き装置4、第1弾性シート搬送装置5、第2弾性シート搬送装置6を連携して駆動させる制御部7を有する。
【0017】
第1弾性シート打抜き装置3は、第1プレート部11および第1プレート部11から下方に突出する第1パンチ部12を備える第1パンチプレート13と、第1パンチプレート13の下方に配置された第1ダイプレート18と、を備える。第1ダイプレート18は、上下方向から見た場合に第1パンチ部12と重なる位置に第1パンチ部12の先端部分を受け入れ可能な第1穴部19を備える。第1ダイプレート18のダイプレート表面18aには、第1打抜き位置Aが設定されている。
【0018】
また、第1弾性シート打抜き装置3は、第1パンチプレート13を昇降させる第1昇降機構21と、第1昇降機構21を駆動制御する第1打抜き制御部22を備える。第1打抜き制御部22は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。第1打抜き制御部22は、打抜き対象の弾性シート2が第1打抜き位置Aに配置されると、第1パンチプレート13を上方から第1ダイプレート18に接近させる。これにより、第1弾性シート打抜き装置3は、第1パンチ部12により弾性シート2を打抜いて、第1パンチ部12の先端部分を第1穴部19に挿入する。また、第1打抜き制御部22は、弾性シート2の打抜きが完了すると、第1パンチプレート13を第1ダイプレート18から上方に離間させる。第1パンチ部12によって打抜かれた弾性シート2の打抜き部分は、第1穴部19の下方に位置する第1回収箱24に回収される。
【0019】
第2弾性シート打抜き装置4は、第1弾性シート打抜き装置3が打抜いた弾性シート2を打抜く。第2弾性シート打抜き装置4は、第1弾性シート打抜き装置3と対応する構成を備える。従って、第2弾性シート打抜き装置4の説明では、第2弾性シート打抜き装置4と対応する対応する構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0020】
第2弾性シート打抜き装置4は、第2プレート部11および第2プレート部11から下方に突出する第2パンチ部12を備える第2パンチプレート33と、第2パンチプレート13の下方に配置された第2ダイプレート18と、を備える。第2パンチ部12と第1弾性シート打抜き装置3の第1パンチ部12とは、上下方向から見た場合の輪郭形状が相違する。第2ダイプレート18は、上下方向から見た場合に第2パンチ部12と重なる位置に第2パンチ部12の先端部分を受け入れ可能な第2穴部19を備える。第2ダイプレート18のダイプレート表面18aには、第2打抜き位置Bが設定されている。
【0021】
また、第2弾性シート打抜き装置4は、第2パンチプレート13を昇降させる第2昇降機構21と、第2昇降機構21を駆動制御する第2打抜き制御部22と、を備える。第2打抜き制御部22は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。第2打抜き制御部22は、弾性シート2が第2打抜き位置Bに配置されると、第2パンチプレート13を上方から第2ダイプレート18に接近させる。これにより、第2弾性シート打抜き装置4は、第2パンチ部12により弾性シート2を打抜いて、第2パンチ部12の先端部分を第2穴部19に挿入する。また、第2打抜き制御部22は、弾性シート2の打抜きが完了すると、第2パンチプレート13を第2ダイプレート18から上方に離間させる。第2パンチ部12によって打抜かれた弾性シート2の打抜き部分は、第2穴部19の下方に位置する第2回収箱24に回収される。
【0022】
第1弾性シート搬送装置5は、テーブル51と、弾性シート2をテーブル51のテーブル表面51aに設定された載置領域Cに供給する供給機構52を備える。
図2に示すように、供給機構52は、予め設定した滞留位置Eにおいて、弾性シート2を積層した状態で保持するストッカー53を備える。また、供給機構52は、ストッカー53からテーブル51に弾性シート2を移動させる弾性シート移動機構54を備える。
【0023】
また、第1弾性シート搬送装置5は、テーブル表面51aの載置領域Cに配置された弾性シート2を載置領域C内の供給位置(第1位置)Dに位置決めする位置決め機構55を備える。さらに、第1弾性シート搬送装置5は、供給位置Dに位置決めされた弾性シート2を吸着して移動させ、吸着の解除によって第1弾性シート打抜き装置3の第1打抜き位置Aに配置する搬送機構56を有する。
【0024】
第2弾性シート搬送装置6は、第1弾性シート打抜き装置3の第1打抜き位置Aにある弾性シート2を吸着して移動させ、吸着の解除によって第2弾性シート打抜き装置4の第2打抜き位置Bに配置する。第2弾性シート搬送装置6により搬送される弾性シート2は、第1弾性シート打抜き装置3によって打抜かれた打抜き済みの弾性シート2である。
【0025】
図1に示すように、テーブル51、第1弾性シート打抜き装置3、および第2弾性シート打抜き装置4は、この順番で一方向に配列されている。
図2に示すように、テーブル51と、滞留位置Eにあるストッカー53とは、テーブル51、第1弾性シート打抜き装置3、および第2弾性シート打抜き装置4の配列方向と直交する方向に配列されている。以下では、テーブル51、第1弾性シート打抜き装置3、および第2弾性シート打抜き装置4の配列方向をX方向とする。テーブル51およびストッカー53の配列方向をY方向とする。また、上下方向をZ方向とする。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する方向である。また、X方向において、第2弾性シート打抜き装置4が位置する側をX1方向、その反対方向をX2方向とする。Y方向において、ストッカー53が位置する側をY1方向、その反対方向をY2方向とする。また、下方をZ1方向、上方をZ2方向とする。
【0026】
(弾性シート)
図3に示すように、弾性シート2は、その厚み方向から見た場合の輪郭形状が、正方形
である。弾性シート2の輪郭は、互いに対向して平行に延びる第1辺58aおよび第2辺58bと、互いに対向して第1辺58aおよび第2辺58bと直交する方向に平行に延びる第3辺58cおよび第4辺58dを備える。なお、弾性シート2は、6角形形状を備える場合もある。この場合、弾性シート2は、互いに対向して平行に延びる第1辺58aおよび第2辺58bと、互いに対向して第1辺58aおよび第2辺58bと直交する方向に平行に延びる第3辺58cおよび第4辺58dと、第1辺58aおよび第3辺58cと交差する方向に延びて第1辺58aおよび第3辺58cを接続する第5辺と、第5辺と対向して第2辺58bと第4辺58dとを接続する第6辺と、を備える。
【0027】
また、弾性シート2は、環状のシール材となる複数の環状製品部60と、複数の環状製品部60を除いたバリ部61と、を備える。複数の環状製品部60は、弾性シート2の中央部分にマトリックス状に配列されている。各環状製品部60は、厚み方向から見た場合に円環状である。各環状製品部60の周方向の一部分を厚み方向に切断した断面は、円形である。
【0028】
バリ部61は、弾性シート2の外周縁に沿って全周に渡って設けられた枠状バリ部分61aを備える。枠状バリ部分61aは、一定幅で設けられている。複数の環状製品部60は、枠状バリ部分61aの内周側に位置する。また、バリ部61は、各環状製品部60の内側に位置する内側バリ部分61bと、枠状バリ部分61aの内周側において各環状製品部60の外側に位置する外側バリ部分61cと、を備える。内側バリ部分61bは、環状製品部60と隣接する位置にZ1方向およびZ2方向に突出する環状の内側突部を備える。内側突部の断面形状は、矩形であり、Z1方向およびZ2方向に向かって先細りとなる。外側バリ部分61cは、枠状バリ部分61aの内周側で連続するとともに、枠状バリ部分61aに連続する。外側バリ部分61cは、環状製品部60と隣接する位置にZ1方向およびZ2方向に突出する環状の外側突部を備える。外側突部の断面形状は、矩形であり、Z1方向およびZ2方向に向かって先細りとなる。
【0029】
ここで、第1弾性シート打抜き装置3は、弾性シート2から内側バリ部分61bを打抜く。第2弾性シート打抜き装置4は、内側バリ部分61bが打抜かれた弾性シート2から環状製品部60を打抜く。第2弾性シート打抜き装置4により打抜かれた環状製品部60は、環状のシール材となる。本例では、シール材は、Oリングである。
【0030】
弾性シート2は、エラストマー製である。本例では、弾性シート2は、熱硬化性エラストマーからなる。熱硬化性エラストマーは、弾性があり、撓みやすい。また、熱硬化性エラストマーは、粘着性を備える。熱硬化性エラストマーの線膨張係数は、1×10-4/℃~3×10-4/℃である。熱硬化性エラストマーの線膨張係数は、鉄の線膨張係数と比較して、10~40倍大きい。ここで、弾性シート2は、ラバーインジェクション成型機により製造される。すなわち、弾性シート2は、熱硬化性エラストマーを所定の成形温度とした金型に注入し、圧力をかけて成形される。弾性シート2は、熱硬化性エラストマーと同様の性質を備える。すなわち、弾性シート2は、弾性および粘着性を備える。また、弾性シート2は、鉄と比較して、線膨張係数が10~40倍大きい。
【0031】
(第1弾性シート搬送装置)
(供給機構)
図4は、供給機構52の説明図である。
図5(a)は、弾性シート移動機構54の吸着部の断面図である。
図5(b)は、弾性シート移動機構54の吸着部をZ1方向から見た場合の斜視図である。
図5(a)では、吸着部に弾性シート2が吸着されている状態を模式的に示す。
図4に示すように、ストッカー53内において、弾性シート2は、Z方向に積み重ねられている。弾性シート移動機構54は、ストッカー53の一番上の弾性シート2をテーブル51のテーブル表面51aに設定した載置領域C(
図2参照)に移動させる
。
【0032】
図4に示すように、ストッカー53は、角筒部65と、角筒部65の下端開口を封鎖する底板部66と、を備える。角筒部65は、X方向で対向する側板のそれぞれにZ方向に延びるスリット67を備える。弾性シート2は、角筒部65の内側に積層されている。底板部66は、昇降機構68により、角筒部65の内側をZ方向に昇降可能である。昇降機構68は、弾性シート移動機構54が弾性シート2を1枚移動させる毎に、底板部66を所定距離だけ上昇させる。弾性シート2は、第1辺58aおよび第2辺58bをX方向に向け、第3辺58cおよび第4辺58dをY方向に向けた姿勢でストッカー53に収容されている。ここで、
図2に示すように、滞留位置Eは、槽内の温度調節を行う温度調節機構70aを有する温度槽70内に設定されている。従って、ストッカー53は温度槽70内に位置する。弾性シート2は、温度槽70内で滞留する。
【0033】
次に、弾性シート移動機構54は、
図1、
図4に示すように、吸着面71(第2吸着面)および当該吸着面71に設けられた吸気口72(第2吸気口)を備える吸着部73(第2吸着部)と、吸気口72に連通する吸気機構74(第2吸気機構)と、吸着部73および吸気機構74を移動させる吸着部移動機構75(第2吸着部移動機構)と、を備える。また、
図1に示すように、弾性シート移動機構54は、吸着面71に複数枚の弾性シート2が吸着されたことを検出するための第1センサー76を備える。
【0034】
図4に示すように、吸着部73は、Z方向から見た場合の形状が矩形の吸引プレート81を備える。吸引プレート81は、その中央部分からZ2方向に突出する筒部82を備える。また、吸引プレート81は、
図5に示すように、下面の中央部分に正方形形状の凹部83を備える。凹部83をZ方向から見た場合の大きさは、弾性シート2よりも小さい。凹部83の中心部分には、吸引プレート81をZ方向に貫通する連通口84が設けられている。連通口84は筒部82に連通する。
【0035】
吸引プレート81の下面には、シート状の網部材85が固定されている。網部材85は、矩形であり、凹部83を下方から封鎖する。また、網部材85の外周縁には、シート状の枠体86が貼り付けられている。本例では、網部材85は、金網であり、導電性を備える。枠体86は、クレープ紙を基材とする。より具体的には、枠体86は、クレープ紙からなる基材および基材の一方面に設けられた粘着層を備えるテープを、網部材85の外周縁に枠状に貼り付けることにより構成されている。テープの表面、すなわち、枠体86の下面は、粗面である。ここで、枠体86の下面、および網部材85の下面は、弾性シート2を吸着するための吸着面71を構成する。従って、吸着面71は、粗面部分を備える。また、吸着面71は、導電性の金属部分を備える。吸着面71に設けられた吸気口72は、網部材85が備える多数の開口である。
【0036】
枠体86からなる吸着面71の枠状部分71aは、吸着面71に弾性シート2を吸着したときに弾性シート2の外周縁に接触する。枠状部分71aの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、次の条件式を満たす。
8μm ≦ R
本例では、R=50μmである。
【0037】
図4に示すように、吸気機構74は、エジェクター88を備える。エジェクター88は、空気流入口88aと、ディフューザーと、ディフューザーと空気流入口88aとを連通させるボディと、ボディに駆動流体を流入させて空気流入口88aからディフューザーに向かう気流を発生させる気流発生機構と、を備える周知のものである。エジェクター88は、空気流入口88aが吸引プレート81の筒部82に接続されている。これにより、エジェクター88の空気流入口88aは、吸引プレート81の筒部82、連通口84、およ
び凹部83を介して、網部材85の開口である吸気口72に連通する。
【0038】
図1に示すように、吸着部移動機構75は、吸着部73を支持する支持部91と、支持部91をY方向およびZ方向に移動させる支持部移動機構92と、を備える。支持部移動機構92は、モータなどの駆動源を備える。
図2に示すように、吸着部移動機構75は、予め設定した所定の搬送経路G1に沿って、吸着部73を移動させる。
【0039】
ここで、
図1に示すように、供給機構52は、吸気機構74および弾性シート移動機構54を駆動制御する搬送制御部93(第2搬送制御部)を備える。搬送制御部93は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。搬送制御部93は、弾性シート2をストッカー53からテーブル51に供給する際に、まず、吸着部移動機構75を駆動制御して吸着部73を移動させ、その吸着面71をストッカー53に積層された弾性シート2に隙間を開けて対向させる。次に、搬送制御部93は、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて、吸着面71に吸着するとともに、吸着部移動機構75を駆動して吸着部73を所定の搬送経路G1に従ってY2方向に移動させる。その後、搬送制御部93は、吸着部73を、その吸着面71がテーブル表面51aの載置領域Cに対向する位置に配置する。しかる後に、搬送制御部93は、吸気機構74の駆動を停止する。これにより、弾性シート2を吸着面71から落下させて、載置領域Cに供給する。
【0040】
第1センサー76は、吸着部73が移動する搬送経路G1の下方を当該搬送経路G1と交差する方向に横断する検査光を射出する検査光射出部76aを備える。第1センサー76は、搬送経路G1の検査光射出部76aとは反対側で検査光を受光する受光部76bを備える。搬送制御部93は、受光部76bからの出力に基づいて、吸着部73に複数枚の弾性シート2が吸引されているか、否かを判定する。
【0041】
(テーブルおよび位置決め機構)
図6は、テーブル51および位置決め機構の説明図である。
図2に示すように、テーブル51は、ストッカー53のY2方向に位置する。テーブル51は、金属製であり、水平なテーブル表面51aを備える。
図6に示すように、テーブル表面51aには、フッ素樹脂を含有するコーティング層99が設けられている。本例では、コーティング層99が含有するフッ素樹脂は、PTFEである。テーブル表面51aの中央部分には、供給機構52から供給される弾性シート2が載置される載置領域Cが設定されている。載置領域Cは、弾性シート2を厚み方向から見た場合の平面形状よりも広い領域である。また、載置領域Cの中央部分には、弾性シート2を位置決めするための供給位置Dが設定されている。供給位置Dは、弾性シート2の平面形状と対応する形状および大きさを備える領域である。載置領域Cには、複数の通気口101が設けられている。複数の通気口101は、マトリックス状に配列されている。本例では、複数の通気口101は、供給位置Dを含む矩形の領域に設けられている。ここで、本例では、供給機構52は、弾性シート2を、載置領域Cにおける供給位置Dからズレた位置に供給する。
【0042】
テーブル51には、弾性シート2がテーブル表面51aに供給されたことを検出する第2センサー103が設けられている。第2センサー103は、発光部と、受光部と、センシング部103aと、を備える。発光部と、受光部とは、光ファイバーにより接続されている。センシング部103aは、光ファイバーにおける発光部と受光部との間に設けられている。センシング部103aはテーブル表面51aの中央に設けられている。発光部と受光部とは、テーブル51の下方に配置されている。第2センサー103は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7に接続される。弾性シート2がテーブル表面51aに供給されると、受光部の受光量が変動する。これにより受光部からの出力が変化する。従って、制御部7は、第2センサー103からの出力に基づいて、テーブル表面51aに弾性シー
ト2が存在することを検出できる。
【0043】
位置決め機構55は、弾性シート2が載置領域Cに載置されると、弾性シート2を供給位置Dに位置決めする。位置決め機構55は、テーブル表面51aにおける載置領域Cに設けられた通気口101から空気を噴出させて弾性シート2をテーブル表面51aから浮上させる浮上機構105と、浮上した弾性シート2をテーブル表面51aに沿って移動させて供給位置DのZ2方向に位置する浮上位置Fに配置する配置機構106と、を有する。供給位置Dおよび浮上位置Fは、弾性シート2と平面形状に対向する形状の領域である。
【0044】
浮上機構105は、不図示のコンプレッサーおよび送気ポンプを備える。送気ポンプは、通気口101に連通しており、コンプレッサーからの圧縮空気を通気口101から噴き出す。ここで、浮上機構105により弾性シート2がテーブル表面51aから浮上した状態には、弾性シート2の全体がテーブル表面51aから離間しておらず、弾性シート2の一部分がテーブル表面51aに接触している状態が含まれる。従って、弾性シート2が浮上位置Fに配置された状態には、弾性シート2の一部分がテーブル表面51aに接触している状態が含まれる。
【0045】
配置機構106は、載置領域Cで浮上する弾性シート2の外周縁にX1方向から当接可能な第1配置部材111、載置領域Cで浮上する弾性シート2の外周縁にX2方向から当接可能な第2配置部材112、載置領域Cで浮上する弾性シート2の外周縁にY1方向から当接可能な第3配置部材113、および載置領域Cで浮上する弾性シート2の外周縁にY2方向から当接可能な第4配置部材114を備える。第1配置部材111、および第2配置部材112は、それぞれテーブル表面51aから起立してY方向に延びる板状の部材である。第3配置部材113、および第4配置部材114は、それぞれテーブル表面51aから起立してX方向に延びる板状の部材である。
【0046】
また、配置機構106は、テーブル51のZ1方向に、第1配置部材111を載置領域CのX1方向に離間する第1離間位置H1と浮上位置Fとの間でX方向に移動させる第1配置部材移動機構115、第2配置部材112を載置領域CのX2方向に離間する第2離間位置H2と浮上位置Fとの間でX方向に移動させる第2配置部材移動機構116と、第3配置部材113を載置領域CのY1方向に離間する第3離間位置H3と浮上位置Fとの間でY方向に移動させる第3配置部材移動機構117、および第4配置部材114を載置領域CのY2方向に離間する第4離間位置H4と浮上位置Fとの間でY方向に移動させる第4配置部材移動機構118を備える。各配置部材移動機構115~118は、テーブル表面51aに設けられたスリット119に沿って各配置部材111~114を移動させる。
【0047】
ここで、
図1に示すように、位置決め機構55は、浮上機構105、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4配置部材移動機構118を駆動制御して弾性シート2を供給位置Dに位置決めする位置決め制御部120を備える。より具体的には、位置決め制御部120は、浮上機構105を駆動制御する浮上機構制御部121と、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4配置部材移動機構118を駆動制御する移動制御部122と、を有する。位置決め制御部120は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。
【0048】
位置決め制御部120は、弾性シート2が載置領域Cに供給されると、浮上機構105を駆動して弾性シート2をテーブル表面51aから浮上させるとともに、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4
配置部材移動機構118を駆動して、第1離間位置H1にある第1配置部材111、第2離間位置H2にある第2配置部材112、第3離間位置H3にある第3配置部材113、および第4離間位置H4にある第4配置部材114を、同時に、浮上位置Fに向かって移動させる。これにより、弾性シート2は、各配置部材111~114に接触して供給位置Dに移動する。弾性シート2が浮上位置Fに配置されると、浮上機構制御部121は、浮上機構105を停止させる。これにより、弾性シート2は、浮上位置Fから下降して、供給位置Dに配置される。弾性シート2が供給位置Dに配置されると、移動制御部122は、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4配置部材移動機構118を駆動して、浮上位置Fにある第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4配置部材114のそれぞれを、第1離間位置H1、第2離間位置H2、第3離間位置H3、および第4離間位置H4に戻す。
【0049】
なお、位置決め制御部120は、弾性シート2が載置領域Cに供給される前に、浮上機構105を駆動してテーブル表面51aの通気口101から空気を噴出させてもよい。
【0050】
(搬送機構)
搬送機構56は、供給位置Dに位置決めされた弾性シート2を、第1弾性シート打抜き装置3の第1ダイプレート18に設定された第1打抜き位置Aに搬送する。搬送機構56は、供給機構52の弾性シート移動機構54と同様の構成を備える。従って、搬送機構56の説明では、弾性シート移動機構54と対応する構成には、同一名称および同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0051】
図1に示すように、搬送機構56は、吸着面71(第1吸着面)および当該吸着面71に設けられた吸気口72(第1吸気口)を備える吸着部73(第1吸着部)と、吸気口72に連通する吸気機構74(第1吸気機構)と、吸着部73および吸気機構74を移動させる吸着部移動機構75(第1吸着部移動機構)と、を備える。
図5(a)に示すように、吸着部73は、吸引プレート81を備える。吸引プレート81は、その中央部分からZ2方向に突出する筒部82を備える。また、吸引プレート81は、下面の中央部分に正方形形状の凹部83を備える。凹部83の中心部分には、吸引プレート81をZ方向に貫通する連通口84が設けられている。連通口84は筒部82に連通する。
【0052】
図5(b)に示すように、吸引プレート81の下面には、凹部83を下方から封鎖するシート状の網部材85が固定されている。網部材85の外周縁には、シート状の枠体86が貼り付けられている。網部材85は、金網であり、導電性を備える。枠体86の下面は、粗面である。枠体86の下面、および網部材85の下面は、弾性シート2を吸着するための吸着面71を構成する。従って、吸着面71は、粗面部分を備える。また、吸着面71は、導電性の金属部分を備える。吸着面71に設けられた吸気口72は、網部材85が備える多数の開口である。枠体86からなる吸着面71の枠状部分71aは、吸着面71に弾性シート2を吸着したときに弾性シート2の外周縁に接触する。枠状部分71aの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、R=50であり、上記の条件式を満たす。
【0053】
図5(a)に示すように、吸気機構74は、エジェクター88を備える。エジェクター88の空気流入口88aは、吸引プレート81の筒部82、連通口84、および凹部83を介して、網部材85の開口である吸気口72に連通する。
図1に示すように、吸着部移動機構75は、吸着部73を支持する支持部125と、支持部125をX方向およびZ方向に移動させる支持部移動機構126と、を備える。支持部移動機構126は、モータなどの駆動源を備える。
【0054】
ここで、
図1に示すように、搬送機構56は、吸気機構74および吸着部移動機構75
を駆動制御する搬送制御部123(第1搬送制御部)を備える。搬送制御部123は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。搬送制御部123は、テーブル51上で弾性シート2が供給位置Dに位置決めされると、吸着部移動機構75を駆動制御して吸着部73を移動させて、その吸着面71を供給位置Dに配置された弾性シート2に隙間を開けて対向させる。次に、搬送制御部123は、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて、吸着面71に吸着するとともに、吸着部移動機構75を駆動して吸着部73を所定の搬送経路G2に従ってY2方向に移動させる。その後、搬送制御部123は、吸着部73を、第1弾性シート打抜き装置3の第1ダイプレート18に設定された第1打抜き位置Aに対向させる。しかる後に、搬送制御部123は、吸気機構74の駆動を停止する。これにより、弾性シート2を吸着面71から落下させて、第1打抜き位置Aに配置する。
【0055】
(第2弾性シート搬送装置)
図7(a)は、第2弾性シート搬送装置6の吸着部73の断面図である。
図7(b)は、第2弾性シート搬送装置6の吸着部73をZ1方向から見た場合の斜視図である。
図7(a)では、吸着部に弾性シート2が吸着されている状態を模式的に示す。第2弾性シート搬送装置6は、第1弾性シート打抜き装置3の第1打抜き位置Aに配置された弾性シート2を、第2弾性シート打抜き装置4の第2ダイプレート18に設定された第2打抜き位置Bに搬送する。第2弾性シート搬送装置6は、第1弾性シート搬送装置5の弾性シート移動機構54および搬送機構56と対応する構成を備える。従って、第2弾性シート搬送装置6の説明では、弾性シート移動機構54および搬送機構56と対応する構成には、同一名称および同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0056】
図1に示すように、第2弾性シート搬送装置6は、吸着面71(第3吸着面)および当該吸着面71に設けられた吸気口72(第3吸気口)を備える吸着部73(第3吸着部)と、吸気口72に連通する吸気機構74(第3吸気機構)と、吸着部73および吸気機構74を移動させる吸着部移動機構75(第3吸着部移動機構)と、を備える。
図7に示すように、吸着部73は、吸引プレート81を備える。吸引プレート81は、その中央部分からZ2方向に突出する筒部82を備える。また、吸引プレート81は、下面の中央部分に正方形形状の凹部83を備える。凹部83の中心部分には、吸引プレート81をZ方向に貫通する連通口84が設けられている。連通口84は筒部82に連通する。
【0057】
吸引プレート81の下面には、凹部83を下方から封鎖するシート状の網部材85が固定されている。網部材85の外周縁には、シート状の枠体86が貼り付けられている。また、網部材85における枠体86の内周側には、シート状の矩形体87が貼り付けられている。矩形体87および枠体86の下面は、粗面である。径方向で矩形体87と枠体86とは離間しており、矩形体87と枠体86との間の隙間からは、網部材85が下方に露出する。網部材85において矩形体87と枠体86との間の隙間から露出する枠状の網部分85aは、吸着部73が弾性シート2を吸着する際に、弾性シート2の枠状バリ部分61aと対向する。網部材85において矩形体87と枠体86との間の隙間から露出する枠状の網部分85aの複数の開口は、吸気口72である。
【0058】
矩形体87の下面、枠体86の下面、および、網部材85において矩形体87と枠体86との間の隙間から露出する枠状の網部分85aの下面は、弾性シート2を吸着するための吸着面71を構成する。従って、吸着面71は、導電性の金属部分を備える。ここで、枠体86および矩形体87からなる吸着面71の枠状部分71aおよび矩形部分71bは、吸着面71に弾性シート2を吸着したときに、弾性シート2の中央部分および外周縁に接触する。枠状部分71aの表面および矩形部分71bの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、R=50であり、上記の条件式を満たす。
【0059】
吸気機構74は、エジェクター88を備える。エジェクター88の空気流入口88aは、吸引プレート81の筒部82、連通口84、および凹部83を介して、網部材85の開口である吸気口72に連通する。
【0060】
図1に示すように、吸着部移動機構75は、吸着部73を支持する支持部127と、支持部125をX方向およびZ方向に移動させる支持部移動機構128と、を備える。支持部移動機構128は、モータなどの駆動源を備える。本例では、搬送機構56の支持部移動機構126は、第2弾性シート搬送装置6の支持部移動機構128を兼ねる。すなわち、本例では、X方向において、供給位置D、第1打抜き位置A、第2打抜き位置Bは、等間隔で設定されている。また、テーブル表面51a、第1ダイプレート表面、および第2ダイプレート表面は、同じ高さに設定されている。これにより、搬送機構56の支持部移動機構126は、搬送機構56の支持部125と第2弾性シート搬送装置6の支持部125とを一定間隔で同時に移動させることにより、供給位置Dから第1打抜き位置Aへの弾性シート2の移動と、第1打抜き位置Aから第2打抜き位置Bへの弾性シート2の移動とを並行して行うことができる。
【0061】
ここで、第2弾性シート搬送装置6は、吸気機構74および吸着部移動機構75を駆動制御する搬送制御部124(第3搬送制御部)を備える。搬送制御部124は、弾性シート打抜きシステム1の制御部7と一体、または通信可能に設けられている。搬送制御部124は、第1弾性シート打抜き装置3において弾性シート2の内側バリ部分61bの打抜き動作が完了すると、吸着部移動機構75を駆動制御して吸着部73を移動させて、吸着面71を第1ダイプレート表面18aの第1打抜き位置Aにある弾性シート2に隙間を開けて対向させる。次に、搬送制御部124は、吸気機構74を駆動して、弾性シート2をZ2方向に吸い上げて、吸着面71に吸着する。また、搬送制御部124は、吸着部移動機構75を駆動して吸着部73を所定の搬送経路G3に従ってX1方向に移動させる。その後、搬送制御部124は、吸着部73を、第2弾性シート打抜き装置4の第2ダイプレート18に設定された第2打抜き位置Bに対向させる。しかる後に、搬送制御部124は、吸気機構74の駆動を停止する。これにより、弾性シート2を吸着面71から落下させて、第2打抜き位置Bに配置する。
【0062】
(弾性シート打抜きシステムの動作)
図8は、弾性シート打抜きシステム1の動作のフローチャートである。
図8に示すように、シール材を製造する際には、まず、弾性シート2をストッカー53に保持して滞留位置Eに配置する。これにより、弾性シート2を温度槽70内で滞留させる(ステップST1)。次に、弾性シート打抜きシステム1は、ストッカー53からテーブル51へ弾性シート2を搬送し(ステップST2)、テーブル51において、弾性シート2を供給位置Dに位置決めする(ステップST3)。その後、弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2を供給位置Dから第1弾性シート打抜き装置3の第1打抜き位置Aに搬送し(ステップST4)、第1弾性シート打抜き装置3により弾性シート2の内側バリ部分61bを打抜く(ステップST5)。しかる後に、弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2を第1打抜き位置Aから第2弾性シート打抜き装置4の第2打抜き位置Bへ搬送し(ステップST6)、第1弾性シート打抜き装置3により弾性シート2の環状製品部60を打抜く(ステップST7)。これにより、シール材の製造が完了する。
【0063】
(弾性シートの温度槽内での滞留)
ラバーインジェクション成型機により製造された弾性シート2は、ストッカー53に積載されて温度槽70内の滞留位置Eに配置される。これにより、弾性シート2は、所定時間以上、温度槽70内に滞留させられる。
【0064】
ここで、製造時の温度条件および圧力条件に起因して、弾性シート2の寸法には、製造
ロット毎に、バラツキが発生している場合がある。従って、製造ロットによっては、弾性シート2の寸法が、設計寸法に合致していないことがある。かかる問題に対して、本例では、温度槽70の槽内の温度を調節して、ストッカー53に収容された弾性シート2の寸法を変化させて、設計寸法に合致させる。
【0065】
弾性シート2の寸法を変化させる場合には、槽内の温度を、-50℃~60℃の範囲で調節する。槽内の温度を10℃上昇させたときに、弾性シート2の寸法は0.1%~0.3%大きくなる。なお、弾性シート2によっては、槽内の温度を調節することにより、弾性シート2の粘度を上昇させて、弾性シート2の剛性を高める場合がある。また、弾性シート2が静電気を帯びている場合に、槽内の温度を0℃以下とする場合もある。槽内の温度を0℃以下とした場合には、弾性シート2を温度槽70から外に搬送したときに、弾性シート2表面に結露が発生する。これにより、静電気が除去される。
【0066】
弾性シート2の寸法を設計寸法とすれば、ステップST3において、弾性シート2を、テーブル51上で精度よく位置決めすることができる。また、弾性シート2の寸法を設計寸法としておけば、ステップST5、ステップST7において、弾性シート2を第1弾性シート打抜き装置3の第1打抜き位置Aおよび第2弾性シート打抜き装置4の第2打抜き位置Bに精度よく配置することができるので、弾性シート2の所望の部分を精度よく打抜くことができる。
【0067】
(ストッカーからテーブルへの弾性シートの搬送)
シール材を製造する際には、搬送制御部93は、供給機構52の吸気機構74および弾性シート移動機構54を駆動制御して、ストッカー53にある弾性シート2を吸着部73の吸着面71に吸着し、吸着部73を所定の搬送経路G1(
図2参照)に沿って移動させ、吸着の解除によってテーブル51に設定された載置領域Cに供給する。
【0068】
ここで、吸着面71の吸気口72から空気を吸い込む吸気機構74は、吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量が大きいエジェクター88を備える。従って、搬送制御部93は、吸着部73の吸着面71を弾性シート2と隙間を開けて対向させた後に、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて吸着面71に吸着させることができる。これにより、吸着面71を弾性シート2に押し付けずに弾性シート2を吸着面71に吸引できるので、弾性シート2を吸着面71に吸着する際に、弾性シート2が変形したり、破れたりすることを防止できる。
【0069】
この一方、エジェクター88は、吸着面71の吸気口72から吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量が大きいので、吸着面71には、複数枚の弾性シート2が吸着される場合がある。この場合、吸着面71の側に位置する一枚目の弾性シート2と、1枚目の弾性シート2の吸着面71とは反対側に位置する2枚目の弾性シート2とは、吸着面71の面内方向でズレて吸着される。従って、2枚目の弾性シート2は、吸着面71から下方に垂れ下がる垂れ下がり部分を備えるものとなる。ここで、吸着部73が所定の搬送経路G1を移動しているときに2枚目の弾性シート2の垂れ下がり部分は、搬送経路G1の下方を横切る第1センサー76の検査光を遮光する。よって、第1センサー76の受光部76bに検査光が届かない場合に、搬送制御部93は、吸着面71に複数枚の弾性シート2が吸着されているものと判定できる。これにより、弾性シート打抜きシステム1は、弾性シート2のテーブル51への供給にエラーが発生したことを知得できる。
【0070】
また、吸着面71は、弾性シート2を吸着したときに弾性シート2の外周縁に接触する枠状部分71aを備え、吸気口72は、枠状部分71aの内周側に位置する。枠状部分71aは、粗面である。従って、エジェクター88の駆動によって吸着部73が吸着面71に弾性シート2を吸着しているときに、吸着面71の枠状部分71aと、この枠状部分7
1aに接触する弾性シート2の外周縁との間を、空気が流れる。言い換えれば、吸着面71に弾性シート2が吸着されているときに、吸着面71と弾性シート2との間に、弾性シート2の外周側から、吸気口72が存在する枠状部分71aの内周側に向かう気流が発生する。これにより、吸着面71と弾性シート2とが密着状態となることがないので、エジェクター88の駆動を停止したときに、吸着面71から弾性シート2が離間しやすい。よって、弾性シート2をテーブル51の載置領域Cに配置することが容易である。
【0071】
さらに、枠状部分71aの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、R=50μmであり、以下の条件式を満たす。
8μm ≦ R
【0072】
従って、エジェクター88の駆動によって吸着部73が吸着面71に弾性シート2を吸着しているときに、吸着面71と弾性シート2との間を空気が流れやすくなる。すなわち、十点平均粗さRが条件式の下限値を下回った場合には、吸着面71と弾性シート2との間を空気が流れ難くなる。
【0073】
また、吸着面71は、導電性の金属からなる金属部分を備える。従って、弾性シート2が静電気などによって帯電している場合でも、その電荷を金属部分から吸着部73の側に逃がすことができる。
【0074】
(テーブルに供給された弾性シートの位置決め)
図9は、弾性シート2がテーブル51上で位置決めされる動作の説明図である。
図9の一番上の図に示すように弾性シート2がテーブル51上に供給されると、位置決め制御部120は、第2センサー103からの出力により、弾性シート2が載置領域Cに配置されたことを取得する。弾性シート2が載置領域Cに配置されると、
図9の上から2番目の図に示すように、位置決め制御部120は、浮上機構105を駆動してテーブル表面51aの通気口101から空気を噴出させて、弾性シート2をテーブル表面51aから浮上させる。また、位置決め制御部120は、これと並行して、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4配置部材移動機構118を駆動して、第1離間位置H1にある第1配置部材111、第2離間位置H2にある第2配置部材112、第3離間位置H3にある第3配置部材113、および第4離間位置H4にある第4配置部材114を、同時に、浮上位置Fに向かって移動させる。
【0075】
本例では、供給機構52は、弾性シート2を、載置領域Cの供給位置Dからズレた位置に供給する。
図9では、供給機構52は、弾性シート2を第1離間位置H1にある第1配置部材111よりも、第2離間位置H2にある第2配置部材112に近い位置に供給している。従って、
図9の上から3番目の図に示すように、第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4離間位置H4は、時間差で弾性シート2に接触して、弾性シート2を供給位置Dに向かって移動させる。その後、
図9の上から4番目の図に示すように、第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4離間位置H4が供給位置Dに達すると、弾性シート2は、供給位置Dの上方に位置する浮上位置Fに配置される。第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4離間位置H4が供給位置Dに達すると、位置決め制御部120は、浮上機構105を停止させる。これにより、
図9の一番下の図に示すように、弾性シート2は、浮上位置Fから下降して、テーブル表面51aの供給位置Dに配置される。
【0076】
ここで、第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4配置部材114は、浮上している弾性シート2に時間差で当接する。従って、弾性シート2がテーブル表面51aの載置領域Cに供給されたときに、Z方向から見た場合の弾性シート2の姿勢に角度ズレが発生している場合でも、弾性シート2の姿勢の角度ズレを是正
できる。
【0077】
また、テーブル表面51aには、フッ素樹脂を含有するコーティング層99が設けられている。従って、載置領域Cに供給された弾性シート2がテーブル表面51aに貼り付いてしまうことを防止或いは抑制できる。よって、テーブル表面51aに供給された弾性シート2を浮上させることが容易となる。
【0078】
ここで、弾性シート2がテーブル表面51aから浮上した状態には、弾性シート2の全体がテーブル表面51aから離間しておらず、弾性シート2の一部分がテーブル表面51aに接触している状態が含まれる。弾性シート2の一部分がテーブル表面51aに接触している場合でも、弾性シート2が浮上しているので、弾性シート2はスティックスリップすることなくテーブル51上を移動する。また、弾性シート2の一部分がテーブル表面51aに接触している場合でも、テーブル表面51aにフッ素樹脂を含有するコーティング層99が設けられているので、弾性シート2がテーブル51上を移動しやすい。
【0079】
その後、弾性シート2が供給位置Dに配置されると、位置決め制御部120は、第1配置部材移動機構115、第2配置部材移動機構116、第3配置部材移動機構117、および第4配置部材移動機構118を駆動して、供給位置Dにある第1配置部材111、第2配置部材112、第3配置部材113、および第4配置部材114のそれぞれを、第1離間位置H1、第2離間位置H2、第3離間位置H3、および第4離間位置H4に戻す。
【0080】
(供給位置から第1弾性シート打抜き装置への弾性シートの搬送)
弾性シート2がテーブル表面51aの供給位置Dに位置決めされると、搬送制御部123は、搬送機構56の吸気機構74および吸着部移動機構75を駆動制御して、弾性シート2を吸着部73の吸着面71に吸着し、吸着部73を所定の搬送経路G2(
図2参照)に沿って移動させ、吸着の解除によって第1打抜き位置Aに配置する。
【0081】
ここで、搬送機構56において、吸着面71の吸気機構74から空気を吸い込む吸気機構74は、吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量が大きいエジェクター88を備える。従って、搬送制御部123は、吸着部73の吸着面71を弾性シート2と隙間を開けて対向させた後に、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて吸着面71に吸着させることができる。これにより、吸着面71を弾性シート2に押し付けずに弾性シート2を吸着面71に吸引できるので、弾性シート2を吸着面71に吸着する際に、弾性シート2が変形することを防止できる。
【0082】
また、吸着面71は、弾性シート2を吸着したときに弾性シート2の外周縁に接触する枠状部分71aを備える。吸気機構74は、枠状部分71aの内周側に位置する。枠状部分71aの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、R=50であり、上記の条件式を満たす。従って、エジェクター88の駆動によって吸着部73が吸着面71に弾性シート2を吸着しているときに、吸着面71の枠状部分71aと、この枠状部分71aに接触する弾性シート2の外周縁との間を、空気が流れる。これにより、吸着面71と弾性シート2とが密着状態となることがないので、エジェクター88の駆動を停止して吸着を解除したときに、吸着面71から弾性シート2が離間しやすい。よって、弾性シート2を第1打抜き位置Aに配置することが容易である。従って、弾性シート2を第1打抜き位置Aに正確に配置できる。
【0083】
さらに、吸着面71は、導電性の金属からなる金属部分を備える。従って、弾性シート2が静電気などによって帯電している場合でも、その電荷を金属部分から吸着部73の側に逃がすことができる。
【0084】
(第1弾性シート打抜き装置による内側バリ部分の打抜き)
弾性シート2が第1ダイプレート18のダイプレート表面18aに設定された第1打抜き位置Aに配置されると、第1打抜き制御部22は、第1パンチプレート13をZ2方向から第1ダイプレート18に接近させる。これにより、第1弾性シート打抜き装置3は、第1パンチ部12により弾性シート2を打抜いて、第1パンチ部12の先端部分を第1穴部19に挿入する。また、第1打抜き制御部22は、弾性シート2の打抜きが完了すると、第1パンチプレート13を第1ダイプレート18からZ2方向に離間させる。第1パンチ部12によって打抜かれた弾性シート2の打抜き部分である内側バリ部分61bは、第1穴部19の下方に位置する第1回収箱24(
図1参照)に回収される。
【0085】
本例では、弾性シート2は、ストッカー53から第1打抜き位置Aに搬送される前に、テーブル51に載置されて、テーブル51上で供給位置Dに位置決めされる。その後、供給位置Dに位置決めされた弾性シート2は、搬送機構56によって吸着されて移動し、吸着の解除によって第1打抜き位置Aに配置される。従って、弾性シート2は、テーブル51上の供給位置Dで位置決めされた位置決めの精度と同様な精度で、第1打抜き位置Aに配置される。よって、弾性シート2を第1打抜き位置Aに精度よく配置できる。この結果、第1弾性シート打抜き装置3は、弾性シート2の内側バリ部分61bを正確に打抜くことができる。
【0086】
ここで、弾性シート2は、撓みやすく、その粘着性によって互いが密着しやすい。従って、弾性シート2を、一旦、ストッカー53に収容すると、その後に弾性シート2の姿勢を修正することが困難である。従って、弾性シート2をストッカー53に整然と重ねて収容する作業は、手間がかかる。しかし、弾性シート2をストッカー53に整然と積載しておかなければ、弾性シート2が吸着部73に吸着される際に、吸着面71上で弾性シート2の位置が変動する。従って、弾性シート2をストッカー53から第1打抜き位置Aに搬送したときに、弾性シート2を第1打抜き位置Aに正確に配置することができないという問題がある。
【0087】
このような問題に対して、本例では、弾性シート2は、ストッカー53から第1打抜き位置Aに搬送される途中で、一旦、テーブル51上に配置されて、テーブル51上で供給位置Dに位置決めされる。そして、弾性シート2は、位置決めされた後に、搬送機構56の吸着部73に吸着されて、第1打抜き位置Aに搬送される。従って、供給機構52のストッカー53内に弾性シート2が整然と積層されていなくても、弾性シート2を第1打抜き位置Aに正確に供給できる。よって、ストッカー53に弾性シート2を積載する作業の手間を軽減できる。
【0088】
(第1弾性シート打抜き装置から第2弾性シート打抜き装置への弾性シートの搬送)
第1弾性シート打抜き装置3による弾性シート2の打抜きが完了すると、搬送制御部124は、第2弾性シート搬送装置6の吸気機構74および吸着部移動機構75を駆動制御して、弾性シート2を、吸着部73の吸着面71に吸着し、吸着部73を所定の搬送経路G3(
図2参照)に沿って移動させ、吸着の解除によって第2打抜き位置Bに配置する。
【0089】
ここで、
図7に示すように、第2弾性シート搬送装置6の吸着部73は、吸着面71において弾性シート2の枠状バリ部分61aと対向する枠状の対向領域に吸引口72を備える。これにより、吸着部73は、弾性シート2の外周縁部分を全周に渡って吸着面71に吸引できる。従って、弾性シート2における枠状バリ部分61aの内周側に第1弾性シート打抜き装置3が打抜いた孔が形成されていても、吸着部73は弾性シート2を吸着できる。また、吸着部73が弾性シート2の外周縁部分を全周に渡って吸引するので、吸着された弾性シート2に撓みが発生することを防止或いは抑制できる。従って、弾性シート2をダイプレート表面38aの第2打抜き位置Bに正確に配置できる。
【0090】
また、第2弾性シート搬送装置6において、吸着面71の第3吸気口から空気を吸い込む吸気機構74は、吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量が大きいエジェクター88を備える。従って、搬送制御部124は、吸着部73の吸着面71を弾性シート2と隙間を開けて対向させた後に、吸気機構74を駆動して弾性シート2を吸い上げて吸着面71に吸着させることができる。また、吸着面71は、弾性シート2を吸着したときに弾性シート2の外周縁に接触する枠状部分71aと、弾性シート2の枠状バリ部分61aよりも内周側に接触する矩形部分71bを備える。枠状部分71aおよび矩形部分71bは、粗面である。従って、吸着面71に弾性シート2が吸着されているときに、吸着面71と弾性シート2との間に、気流が発生する。これにより、吸着面71と弾性シート2とが密着状態となることがないので、エジェクター88の駆動を停止したときに、吸着面71から弾性シート2が離間しやすい。よって、弾性シート2を第2打抜き位置Bに配置することが容易である。従って、弾性シート2を第2打抜き位置Bに正確に配置できる。
【0091】
また、枠状部分71aの表面および矩形部分71bの表面は、十点平均粗さをRとした場合に、R=50であり、上記の条件式を満たす。従って、エジェクター88の駆動によって吸着部73が吸着面71に弾性シート2を吸着しているときに、吸着面71と弾性シート2との間を空気が流れやすい。
【0092】
また、吸着面71は、導電性の金属からなる金属部分を備える。従って、弾性シート2が静電気などによって帯電している場合でも、その電荷を金属部分から吸着部73の側に逃がすことができる。
【0093】
(第2弾性シート打抜き装置による環状製品部の打抜き)
弾性シート2が第2ダイプレート18のダイプレート表面18aに設定された第2打抜き位置Bに配置されると、第2打抜き制御部22は、第2パンチプレート13をZ2方向から第2ダイプレート18に接近させる。これにより、第2弾性シート打抜き装置4は、第2パンチ部12により弾性シート2を打抜いて、第2パンチ部12の先端部分を第2穴部19に挿入する。また、第2打抜き制御部22は、弾性シート2の打抜きが完了すると、第2パンチプレート13を第2ダイプレート18からZ2方向に離間させる。ここで、第2パンチ部12によって打抜かれた弾性シート2の打抜き部分である環状製品部60は、第2穴部19の下方に位置する第2回収箱24に回収される(
図1参照)。これにより、シール材の製造が完了する。
【0094】
(位置決め制御部の制御動作の変形例)
位置決め制御部120の移動制御部122は、弾性シート2が載置領域Cに配置されると、第1離間位置H1にある第1配置部材111および第3離間位置H3にある第3配置部材113をそれぞれ浮上位置Fに移動させ、しかる後に、第2離間位置H2にある第2配置部材112および第4離間位置H4にある第4配置部材114をそれぞれ浮上位置Fに移動させるものとしてもよい。このようにすれば、弾性シート2がテーブル表面51aの載置領域Cに供給されたときに弾性シート2の姿勢に角度ズレが発生している場合に、第1配置部材111および第3配置部材113と、第2配置部材112および第4配置部材114とを時間差で弾性シート2に当接するので、弾性シート2の姿勢の角度ズレを是正できる。この場合には、供給機構52は、テーブル表面51aに供給する弾性シート2を載置領域Cに供給する際に、意図して供給位置Dからズレた位置に供給する必要はない。
【0095】
(吸着部の変形例)
図10(a)は、変形例の吸着部の断面図である。
図10(b)は、変形例の吸着部をZ1方向から見た場合の斜視図である。
図10(a)では、吸着部に弾性シート2が吸着
されている状態を模式的に示す。
図10に示す変形例の吸着部は、第1弾性シート搬送装置5の弾性シート移動機構54の吸着部73および搬送機構56の吸着部73として、用いることができる。本例の吸着部73は、網部材85および枠体86に換えて、導電性の板金部材130を備える。本例の吸着部73は、網部材85および枠体86に換えて、導電性の板金部材130を備える。
図10に示すように、板金部材130は、吸引プレート81の下面に固定されて凹部83を下方から封鎖する。また、板金部材130は、Z方向から見た場合に凹部83と重なる位置に当該凹部83に連通する複数の吸気口72を備える。複数の吸気口72はマトリックス状に形成される。板金部材130において複数の吸気口72が形成されている領域は、Z方向から見た場合に、凹部83よりも小さい。吸気口72は、凹部83、連通口84、および筒部82を介してエジェクター88に連通する。板金部材130の下面は、粗面とする。
【0096】
ここで、板金部材130の下面は、吸着面71である。弾性部材において、複数の吸気口72が形成されている領域の外側の領域は、吸着面71に弾性シート2を吸着した時に弾性シート2の外周縁が接触する枠状部分71aである。枠状部分71aは、粗面である。このようにしても、弾性シート移動機構54の吸着部73、および搬送機構56の吸着部73と同様の作用効果を得ることができる。また、かかる変形例の吸着部73において、弾性シート2を吸着したときに、枠状バリ部分61aと対応する対向領域にのみ吸気口72を設ければ、第2搬送シート搬送装置の吸着部73に替えて用いることができる。図示を省略するが、この場合、凹部83を封鎖する板金部材130は、吸着面71の中央に吸気口72を備えない矩形部分を備え、矩形部分の外周側に吸気口72を備えない枠状部分を備え、矩形部分と枠状部分との間の矩形の領域に凹部83に連通する吸気口72を備えるものとする。矩形部分および枠状部分は、粗面である。このようにすれば、吸着部73は、第2弾性シート搬送装置6の吸着部73と同様の作用効果を得ることができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置にある弾性シートを吸着して移動させ、吸着の解除によって前記第1位置とは異なる第2位置に配置する搬送機構を有し、
前記搬送機構は、第1吸着面および当該第1吸着面に設けられた第1吸気口を備える第1吸着部と、前記第1吸気口に連通する第1吸気機構と、前記第1吸着部を移動させる第1吸着部移動機構と、前記第1吸気機構および前記第1吸着部移動機構を駆動制御する第1搬送制御部と、を備え、
前記第1搬送制御部は、前記第1位置に前記弾性シートが配置されると、前記第1吸着面を前記弾性シートに隙間を開けて対向させて前記第1吸気機構を駆動して当該第1吸着面に前記弾性シートを吸着し、前記第1吸着部を移動させて前記第1吸着面を前記第2位置に対向させ、しかる後に、前記第1吸気機構を停止させ、
前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有するエジェクターを備えることを特徴とする弾性シート搬送装置。
【請求項2】
前記第1吸着面は、前記弾性シートを吸着したときに当該弾性シートの外周縁に接触する枠状部分を備え、
前記第1吸気口は、前記枠状部分の内周側に位置し、
前記枠状部分の表面は、粗面であり、十点平均粗さをRとした場合に、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の弾性シート搬送装置。
8μm ≦ R
【請求項3】
前記第1吸着面は、導電性の金属からなる金属部分を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性シート搬送装置。
【請求項4】
前記弾性シートは、エラストマー製であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の弾性シート搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
ここで、弾性シートは、撓みやすい。従って、弾性シートを搬送機構の吸着部の吸着面に吸着する際に吸着面を弾性シートに押し付けると、弾性シートの変形や、破れが発生する。また、弾性シートを搬送機構の吸着部の吸着面に吸着する際に吸着面を弾性シートに押し付けると、弾性シートが第1吸着面に貼り付く。さらに、弾性シートを搬送機構の吸着部の吸着面に吸着する際に吸着面を弾性シートに押し付けると、摩擦などにより、弾性シートが帯電する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明の課題は、弾性シートを搬送機構の吸着部の吸着面に吸着する際に、吸着面を弾性シートに押し付けることがない弾性シート搬送装置を提供することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、本発明は、前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有するエジェクターを備える。エジェクターでは、空気流入口から吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量を大きくすることが容易である。従って、空気流入口が第1吸気口に連通するエジェクターを用いて第1吸着部の第1吸気口から空気を吸い込めば、第1吸着部は、第1吸着面を弾性シートから離間させた状態でテーブル表面にある弾性シートを上方に吸引して、吸着することが容易となる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置にある弾性シートを吸着して移動させ、吸着の解除によって前記第1位置とは異なる第2位置に配置する搬送機構を有し、
前記搬送機構は、第1吸着面および当該第1吸着面に設けられた第1吸気口を備える第1吸着部と、前記第1吸気口に連通する第1吸気機構と、前記第1吸着部を移動させる第1吸着部移動機構と、前記第1吸気機構および前記第1吸着部移動機構を駆動制御する第1搬送制御部と、を備え、
前記第1搬送制御部は、前記第1位置に前記弾性シートが配置されると、前記第1吸着面を前記弾性シートに隙間を開けて対向させて前記第1吸気機構を駆動して当該第1吸着面に前記弾性シートを吸着し、前記第1吸着部を移動させて前記第1吸着面を前記第2位置に対向させ、しかる後に、前記第1吸気機構を停止させ、
前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有するエジェクターを備え、
前記弾性シートは、エラストマー製であることを特徴とする弾性シート搬送装置。
【請求項2】
前記第1吸着面は、前記弾性シートを吸着したときに当該弾性シートの外周縁に接触する枠状部分を備え、
前記第1吸気口は、前記枠状部分の内周側に位置し、
前記枠状部分の表面は、粗面であり、十点平均粗さをRとした場合に、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の弾性シート搬送装置。
8μm ≦ R
【請求項3】
前記第1吸着面は、導電性の金属からなる金属部分を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性シート搬送装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、本発明は、前記第1吸気機構は、前記第1吸気口に連通する空気流入口を有する
エジェクターを備える。エジェクターでは、空気流入口から吸い込む空気の単位時間当たりの吸込量を大きくすることが容易である。従って、空気流入口が第1吸気口に連通するエジェクターを用いて第1吸着部の第1吸気口から空気を吸い込めば、第1吸着部は、第1吸着面を弾性シートから離間させた状態でテーブル表面にある弾性シートを上方に吸引して、吸着することが容易となる。本発明において、前記弾性シートは、エラストマー製である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】