(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166843
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
F02M 26/71 20160101AFI20221026BHJP
F02D 17/02 20060101ALI20221026BHJP
F02D 9/02 20060101ALI20221026BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20221026BHJP
F02M 26/17 20160101ALI20221026BHJP
【FI】
F02M26/71
F02D17/02 L
F02D9/02 S
F02M26/05
F02M26/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022069558
(22)【出願日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】21169650.5
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ブヴィル
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・シモン
【テーマコード(参考)】
3G062
3G065
3G092
【Fターム(参考)】
3G062AA01
3G062AA04
3G062BA06
3G062CA01
3G062EC01
3G062ED10
3G065AA01
3G065AA04
3G065EA01
3G065HA05
3G065HA06
3G092AA02
3G092AA17
3G092AA18
3G092AC01
3G092AC08
3G092AC10
3G092CA07
3G092DC05
3G092DC09
3G092DF01
3G092EA28
3G092FA17
3G092GA01
3G092HD07Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通常の動作モード及び2つの気筒休止モードをのそれぞれで動作可能な内燃機関システムを提供する。
【解決手段】吸気ライン10に接続された第1の入口31、EGRライン20に接続された第2の入口32、第1の吸気マニホールド6aに接続された第1の出口33、第2の吸気マニホールド6bに接続された第2の出口34を有する4方向弁である混合ユニット30を備え、第1の入口、第2の入口、第1の出口及び第2の出口が実質的にX型を形成し、第1の入口及び第2の入口が同軸に配置され、かつ第1の出口及び第2の出口が同軸に配置されて、第1の入口が第2の入口に対して斜めに対面し、かつ第1の出口が第2の出口に対して斜めに対面することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダ(4)を収容するシリンダブロック(3)、第1のグループのシリンダ(4a)に接続された第1の吸気マニホールド(6a)、第2のグループのシリンダ(4b)に接続された異なる第2の吸気マニホールド(6b)、並びに前記第1及び第2のグループのシリンダ(4a,4b)のそれぞれから排出された排気をそれぞれ受ける第1及び第2の排気マニホールド(8a,8b)を含んだ内燃機関(2)と、
吸気ライン(10)と、
前記第1及び第2の排気マニホールド(8a,8b)に接続されたEGRライン(20)と、
前記吸気ライン(10)に接続された第1の入口(31)、前記EGRライン(20)に接続された第2の入口(32)、前記第1の吸気マニホールド(6a)に接続された第1の出口(33)、並びに前記第2の吸気マニホールド(6b)に接続された第2の出口(34)を有する4方向弁を含んだ混合ユニット(30)と、
を備え、
前記吸気ライン(10)に接続された前記第1の入口(31)、前記EGRライン(20)に接続された前記第2の入口(32)、前記第1の出口(33)及び前記第2の出口(34)が実質的にX型を形成し、
前記吸気ライン(10)に接続された前記第1の入口(31)、及び前記EGRライン(20)に接続された前記第2の入口(32)が同軸に配置され、かつ前記第1の出口(33)及び前記第2の出口(34)が同軸に配置されて、前記吸気ライン(10)に接続された前記第1の入口(31)が前記EGRライン(20)に接続された前記第2の入口(32)に対して斜めに対面するとともに、前記第1の出口(33)が前記第2の出口(34)に対して斜めに対面することを特徴とする、
内燃機関システム(100)。
【請求項2】
前記4方向弁(30)は、前記4方向弁の前記第1の入口(31)及び第1の出口(33)と流体接続された第1の部分(38a)と、前記4方向弁の前記第2の入口(32)及び前記第2の出口(34)と流体接続された第2の部分(38b)と、を有し、前記第1及び第2の部分(38a,38b)が中央開口(38c)によって分けられ、前記中央開口(38c)がフラップ(39)によって選択的に閉じられる内室(38)を画定するハウジング(37)を備えた、
請求項1に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項3】
前記フラップ(39)が、前記内室(38)の内部で回転可能に動く、
請求項2に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項4】
前記フラップ(39)は、対称的な第1及び第2の羽根(39a,39b)に連結された中央ハブ(39c)を備えた、
請求項2又は3に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項5】
前記フラップ(39)が、フラップ軸(39d)の周りを回転するように構成され、
前記フラップ軸(39d)が、前記4方向弁のハウジング(37)の中央に配置されたハウジング軸(37c)と同軸に配置された、
請求項2~4のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項6】
前記羽根(39a,39b)が、前記フラップ軸(39d)からオフセットされた平面に延びる、
請求項4を引用する請求項5に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項7】
前記4方向弁(30)を制御するコントローラ(40)を備えた、
請求項1~6のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)を備えた車両(1)。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1つに記載の内燃機関システム(100)を動作させる方法であって、
A.以下の中から前記内燃機関システム(100)の動作モードを選択するステップと、
i.すべてのシリンダ(4a,4b)に燃料が供給される通常動作モード、
ii.前記第1のグループのシリンダ(4a)のシリンダに燃料が供給されないシリンダ休止モード、及び
iii.前記第2のグループのシリンダ(4b)のシリンダに燃料が供給されないシリンダ休止モード、
B.ステップA)において選択された動作モードに応じて、前記4方向弁(30)を制御するステップと、
を含んだ方法。
【請求項10】
前記通常動作モードi)では、前記第1の吸気マニホールド(6a)及び前記第2の吸気マニホールド(6b)に供給される吸気が、排気の同じ割合と空気の同じ割合を有している、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリンダ休止モードii)では、前記第2の吸気マニホールド(6b)に供給される吸気が新気を含んでいる、
請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の吸気マニホールド(6a)に供給される吸気が排気を含んでいる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シリンダ休止モードiii)では、前記第1の吸気マニホールド(6a)に供給される吸気が新気を含んでいる、
請求項9~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記第2の吸気マニホールド(6b)に供給される吸気が排気を含んでいる、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップB)において、前記4方向弁(30)が、
1.前記通常動作モードi)に対応する前記4方向弁の第1の構成、
2.前記シリンダ休止モードii)に対応する前記4方向弁の第2の構成、及び
3.前記シリンダ休止モードiii)に対応する前記4方向弁の第3の構成、
の中から選択された構成を達成するように制御される、
請求項9~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3つの動作モード、即ち、通常の動作モード及び2つの気筒休止モードのそれぞれで動作可能な内燃機関に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス及び建設機械などの大型車両に適用することができる。トラックについて本発明を説明するが、本発明は、この特定車両に限定されず、バス、建設機械及び乗用車などの他の車両でも使用することができる。本発明は、船舶やボートなどの他の輸送手段でも使用することができる。最後に、本発明は、発電機(genset)やすべての産業機械の形態のような、エンジンの非推進適用例で使用することができる。
【背景技術】
【0003】
大型車両のディーゼル形式のエンジンなどの車両の内燃機関のために、排気後処理システム(EATS)が通常備えられて、例えば、窒素酸化物(NOx)の放出を低減する。選択型触媒還元(SCR)コンバータなどのユニットを含むことができるそのようなシステムは、効率的に放出を低減するために比較的高い排気温度を必要とする。
【0004】
しかしながら、燃料消費を低減する手段は、エンジンからEATSへの熱損失を低減する可能性がある。従って、特に低負荷運転、低温の周囲温度、及び/又はコールドスタートにおいて、EATSは効率的に動作するのに十分な熱を得られない可能性がある。特に、SCR触媒は、通常、排気温度が高いときにより有効である。従って、排気温度を上昇させることは、NOx低減を向上してNOx放出を低減することを促進する。
【0005】
エンジンの排気温度を上昇させるために、既知の解決策は、一部のエンジンシリンダを休止、即ち、一部のエンジンシリンダにおける燃料供給及び空気吸入を遮断する。その結果、休止されたシリンダはもはや新気を吸引せず、(容積ポンプとして機能する)エンジンブロックに吸引される空気量はより小さくなる。副作用は、ターボチャージャの損失効率であるかもしれない。従って、動作中の各シリンダへと供給される質量空気流量は、通常の動作モードと比較して低下する可能性がある。これと同時に、エンジンシリンダへと噴射される全体の燃料流量は同じままであり、エンジンが同じ出力を伝達することを保証する。一部のシリンダが休止して燃料をもはや受け取らないので、残りのシリンダ、即ち、動作中のシリンダに噴射される燃料流量は数学的に多くなる。これらの条件下では、動作中のシリンダの内部の空気燃料比(AFR)が低く、排気温度が上昇する。
【0006】
排気温度を上昇させると、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のクリーニング、及びNOx放出低減などのいくつかの利点を持つことができる。
【0007】
排気温度の上昇に加えて、シリンダ休止は、燃料節約(特に、ガソリンエンジンの場合)などの他の有利な結果を持つことができる。
【0008】
しかしながら、従来の解決策は、エンジン構造がより複雑になるとともにエンジン周りの空き空間が少なくなり、エンジン組み立て、又はメンテナンス作業中の大きな欠点となる。
【0009】
特許出願EP/078906は、EGRラインに接続された第1の入口、吸気ラインに接続された第2の入口、第1の吸気マニホールドに接続された第1の出口、及び第2の吸気マニホールドに接続された第2の出口を持つ4方向弁を備えた混合ユニットを含む内燃機関システムを開示している。第1の入口はEGRラインに接続され、第2の出口は同軸に配置され、第2の入口は吸気ラインに接続され、かつ第1の入口は同軸に配置されて、EGRラインに接続された第1の入口が第2の出口に対して斜めに対面し、吸気ラインに接続された第2の入口が第1の出口に対して斜めに対面する。
【0010】
それにもかかわらず、この内燃機関システムのデザインは、理論的な計算に基づいている。この内燃機関システムは、エンジンに関して比較的簡単な構造を維持しつつ、エンジンシリンダに供給される新気及び排気の流れを制御することを可能にするとともに、システム全体寸法への影響を少なくするが、実際には、新気及び排気の流れを更に最適化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、少なくとも3つの動作モード、即ち、通常の動作モード、及び一部のエンジンシリンダが休止して既知の解決策の欠点が回避された2つの気筒休止モードのそれぞれで動作可能な内燃機関システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、以下の内燃機関システムによって達成される。内燃機関システムは、
複数のシリンダを収容するシリンダブロック、第1のグループのシリンダに接続された第1の吸気マニホールド、第2のグループのシリンダに接続された異なる第2の吸気マニホールド、並びに第1及び第2のグループのシリンダのそれぞれから排出された排気をそれぞれ受ける第1及び第2の排気マニホールドを含んだ内燃機関と、
吸気ラインと、
第1及び第2の排気マニホールドに接続されたEGRラインと、
吸気ラインに接続された第1の入口、EGRラインに接続された第2の入口、第1の吸気マニホールドに接続された第1の出口、及び第2の吸気マニホールドに接続された第2の出口を持つ4方向弁を含んだ混合ユニットと、
を備え、
吸気ラインに接続された第1の入口、EGRラインに接続された第2の入口、第1の出口、及び第2の出口が実質的にX型を形成し、
吸気ラインに接続された第1の入口、及びEGRラインに接続された第2の入口が同軸に配置されるとともに、第1の出口及び第2の出口が同軸に配置されて、吸気ラインに接続された第1の入口が、EGRラインに接続された第2の入口に対して斜めに対面し、第1の出口が第2の出口に対して斜めに対面することを特徴とする。
【0013】
特定のデザインを持つ4方向弁を含んだ混合ユニットを備えた内燃機関システムを提供することによって、その利点は、エンジンシリンダに供給される新気及び排気の流れの制御が改善されるということである。本当に、本発明者らは、実際のところ、4方向弁のデザインが新気及び排気の流れパターンに重要な影響を及ぼすことを発見した。吸気ラインに接続された第1の入口、及びEGRラインに接続された第2の入口が同軸に配置され、かつ第1の出口及び第2の出口が同軸に配置されているので、吸気ラインに接続された第1の入口がEGRラインに接続された第2の入口に対して斜めに対面し、第1の出口が第2の出口に対して斜めに対面して、新気及び排気の圧力低下の釣り合い、並びに新気及び排気の混合が、より等しい割合で実行される。4方向弁の特定のデザインは、すべての使用事例要件を保証しつつ、特定の新気及び排気の流れ特性の重要な利点を結合する。最後に、混合ユニットは、エンジンに関して比較的単純な構造を維持するとともに、システム全体の寸法に及ぼす影響を少なくする。
【0014】
一実施形態によれば、4方向弁は、内室を区画するハウジングを備えている。内室は、4方向弁の第1の入口及び第1の出口と流体接続する第1の部分と、4方向弁の第2の入口及び第2の出口と流体接続する第2の部分と、を有し、第1及び第2の部分は、中央の開口によって分けられ、中央の開口はフラップによって選択的に閉じられる。
【0015】
第1の部分及び第2の部分が、フラップの位置とは無関係に流体接続が定義される幾何学的な部分であると理解されたい。中央開口は、第1の部分と第2の部分との間で延びている平面、又は第1の部分と第2の部分とを互いに幾何学的に分ける平面であると考えることができる。第1の部分及び第2の部分は、フラップの位置に応じて、中央の開口を介して流体接続されている。例えば、中央の開口がフラップによって閉じられると、第1の入口が第1の出口とのみ流体接続することができ、第2の入口が第2の出口のみと流体接続することができる。フラップの位置に応じて、第1の入口が第1の出口のみと流体接続することができ、第2の入口が第2の出口のみと流体接続することができ、第1の入口が第2の出口のみと流体接続することができ、第2の入口が第1の出口のみと流体接続することができ、又は第1の入口が第1及び第2の出口の両方と流体接続することができ、かつ第2の入口が第1及び第2の出口の両方と流体接続することができる。
【0016】
一実施形態によれば、フラップは、内室の内部で回転可能に動かすことができる。好ましくは、フラップは、内室に配置されたシートと接触した状態で入り込んで構成に達することができる。この実施形態では、最小限の漏出を保証することができる。
【0017】
一実施形態によれば、フラップは、対称的な第1及び第2の羽根に接続された中央ハブを備えている。この実施形態では、フラップの対称性が新気及び/又は排気のよりよい配分を可能にすると考えられる。
【0018】
一実施形態によれば、フラップは、フラップ軸の周りを回転するように構成されている。このフラップ軸は、4方向弁のハウジングの中央に配置されたハウジング軸と同軸に配置されている。
【0019】
一実施形態によれば、羽根は、フラップ軸から離れて位置する平面に延びている。この実施形態では、フラップの平面の上方の流れ領域、即ち、新気の流れを含む領域が、フラップの平面の下方の流れ領域、即ち、特に通常の動作モードでの排気を含む領域よりも重要であると考えられる。従って、この利点は、特に新気の流れが排気よりも重要であるとき、低減された気流抵抗を提供することである。そして、フラップの平面から離れて位置させることによって、平面の接触で乱気流及び損失が低減する。流れは、第1又は第2の出口に入るフラップの形状とうまく結合する。
【0020】
一実施形態によれば、このシステムは、4方向弁を制御するコントローラを備えている。
【0021】
一実施形態によれば、EGRバルブが、EGRラインに向かって流れる排気経路の第1及び第2の排気マニホールドのそれぞれの下流に配置されている。このEGRバルブは、EGRラインを通る排気の流れを制御する。
【0022】
一実施形態によれば、第1及び第2の排気マニホールドは、単一の排気マニホールドを共同して形成する。
【0023】
一実施形態によれば、このシステムは、エアコンプレッサ、及びコンプレッサを駆動するタービンを含んだターボチャージャを備えている。タービンは、第1及び第2の排気マニホールドから排気後処理システムへと流れる排気によって駆動されるように配置されている。エアコンプレッサは、吸気ラインに圧縮空気を供給するように配置されている。
【0024】
本発明の他の態様によれば、この目的は、先行する任意の請求項による内燃機関システムを備えた車両によって達成される。
【0025】
本発明の他の態様によれば、この目的は、本発明による内燃機関システムを動作させる方法によって達成される。この方法は、
A.内燃機関システムの動作モードを選択するステップであって、この動作モードは、
i.すべてのシリンダに燃料が供給される通常動作モード、
ii.第1のグループのシリンダに燃料が供給されないシリンダ休止モード、及び
iii.第2のグループのシリンダに燃料が供給されないシリンダ休止モード
の中から選択され、
B.ステップA)で選択された動作モードに応じて4方向弁を制御するステップと、
を含んでいる。
【0026】
一実施形態によれば、通常動作モードi)では、第1の吸気マニホールド及び第2の吸気マニホールドに供給される吸気は、排気の同じ割合と空気の同じ割合を持っている。
【0027】
一実施形態によれば、シリンダ休止モードii)では、第2の吸気マニホールドに供給される吸気は、新気を含んでいる。
【0028】
一実施形態によれば、第1の吸気マニホールドに供給される吸気は、(例えば、単独で)排気を含んでいる。
【0029】
一実施形態によれば、シリンダ休止モードiii)では、第1の吸気マニホールドに供給される吸気は、新気を含んでいる。
【0030】
一実施形態によれば、第2の吸気マニホールドに供給される吸気は、(例えば、単独で)排気を含んでいる。
【0031】
一実施形態によれば、ステップB)では、4方向弁が制御されて、以下の中から選択された構成が達成される。
1.通常動作モードi)に対応する第1のバルブ構成、
2.シリンダ休止モードii)に対応する第2のバルブ構成、及び
3.シリンダ休止モードiii)に対応する第3のバルブ構成。
【0032】
本発明のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明、及び従属請求項に開示されている。
【0033】
添付の図面を参照し、以下、例として挙げられる本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】
図1の車両に付属する、本発明による内燃機関システムの概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による内燃機関システムの4方向弁を含んだ混合ユニットの概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による内燃機関システムの4方向弁を含んだ混合ユニットの概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による内燃機関システムの4方向弁を含んだ混合ユニットの概略図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による内燃機関システムの4方向弁を含んだ混合ユニットの概略図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態による内燃機関システムの4方向弁を含んだ混合ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、トラックの形態をとる車両1を部分的に切り取られた側面図で示している。車両1は、車両を推進する内燃機関2を有している。
【0036】
図2を参照すると、
図1の車両1、又は内燃機関を備えた任意の他の車両で使用される内燃機関システム100が示されている。このシステム100は、複数のシリンダ4、例えば、直列構成の6つのシリンダを持つシリンダブロック3を有する内燃機関2を備えている。シリンダ4は、第1のグループのシリンダ4aと、第2のグループのシリンダ4bと、に分けられる。図示の例では、第1のグループのシリンダ4aに3つのシリンダ4があり、第2のグループのシリンダ4bに3つのシリンダ4がある。本発明は、異なる数のシリンダ、例えば、2つ、3つ、4つなどのシリンダを持つエンジンにも同様に適用可能であることに留意されたい。また、第1及び第2のグループのシリンダ4a,4bにおけるシリンダの数は、互いに異なっていてもよい。さらに、シリンダは、直列構成とは異なる構成、例えば、V型の構成を持っていてもよい。
【0037】
内燃機関は、好ましくは、ディーゼルエンジンである。しかしながら、内燃機関はまた、ガソリンエンジン、又はエタノールで動くエンジンなど、任意の他の燃料で動作するエンジンであってもよい。
【0038】
また、内燃機関2は、第1のグループのシリンダ4aに気体を供給する第1の吸気マニホールド6aと、第2のグループのシリンダ4bに気体を供給する第2の吸気マニホールド6bと、を有している。内燃機関2はまた、第1のグループのシリンダ4aから排出された排気を受ける第1の排気マニホールド8aと、第2のグループのシリンダ4bから排出された排気を受ける第2の排気マニホールド8bと、を有している。代替的な実施形態(図示せず)では、第1及び第2の排気マニホールド8a,8bは、単一の排気マニホールドを共同して形成してもよい。
【0039】
排気の一部は、タービン16及びエアコンプレッサ18を備えたターボチャージャ14、及びその前方にある排気後処理システム22へと導かれる。ターボチャージャ14を使用して、以下の段落で詳細に説明する混合ユニット30を経て、吸気ライン10を通って第1及び第2の吸気マニホールド6a,6bへと供給される新気を圧縮することができる。新気は、その圧縮前にエアフィルタ24で濾過されてもよく、その圧縮後にインタークーラ26で冷却されてもよい。
【0040】
排気後処理システム22は、通常、例えば、ディーゼル酸化触媒、パティキュレートフィルタ、及び選択型触媒反応器(SCR)などの複数の排気後処理ユニットを備えている。
【0041】
SCRユニットは、従来では、触媒によって窒素酸化物を窒素及び水に変える手段である。これらの反応のための最適な温度範囲は、一般的に、約250℃~約450℃の間にある。この最適な動作温度は、エンジンの通常(運転)動作モードの間、容易に維持することができる。
【0042】
しかしながら、内燃機関2のアイドリング中やモータエンジン動作モード中に、排気温度が低下する。その理由は、(アイドリングエンジン動作モードのように)燃焼がかなり減るか、(モータエンジン動作モードのように)燃焼がまったく起こらなくても、周囲温度の新気が吸気マニホールド6a,6bへと導かれるためである。これは、内燃機関2が排気マニホールド8a,8b、及びその前方の排気後処理システム22へと新しい冷たい空気を単純に送り込むことを意味している。この冷たい空気によって、排気後処理システム22がその最適動作温度未満に急速に冷却されて、排気浄化が不十分又はなくなって、必要なNOx排出レベルが達成できなくなってしまう。
【0043】
排気後処理システム22を通過する排気温度を上昇させるために、本発明では、2つのシリンダ休止モードii)及びiii)(文献において「CDAモード」又は「Nox低減モード」として知られている)でシステム100を動作させることを提案する。
【0044】
シリンダ休止モードii)では、第1のグループのシリンダ4aのシリンダ4が非動作状態に制御される。これは、第1のグループのシリンダ4aのシリンダ4に燃料が噴射されず、これとは対照的にその間、第2のグループのシリンダ4bのシリンダ4が動作状態に制御されることを意味している。それは、シリンダ休止モードでエンジンを動作させるのに必要な負荷が、第2のグループのシリンダ4bによってのみ供給されることを意味している。上記の導入で説明したように、これは、休止されたシリンダ4aがもはや新気を吸入せず、(容積ポンプとして機能する)エンジンブロックによって吸入される空気量が少ないことを意味している。副作用は、ターボチャージャ14の損失効率であるかもしれない。従って、動作中の各シリンダへと供給される質量空気流量は、通常の動作モードと比較して低下する可能性がある。これと同時に、エンジンシリンダへと噴射される燃料流量は同じままであり、エンジンが同じ出力を伝達することを保証する。一部のシリンダ4aが休止して燃料をもはや受け取らないので、残りのシリンダに噴射される燃料流量、即ち、動作中のシリンダ4bに噴射される燃料流量は数学的により多くなる。これらの条件下では、動作中のシリンダ4bの内部の空気燃料比(AFR)が低く、排気温度が上昇する。
【0045】
シリンダ休止モードiii)では、第2のグループのシリンダ4bのシリンダ4が休止状態に制御される。これは、第2のグループのシリンダ4bのシリンダ4に燃料が噴射されず、これとは対照的に、第1のグループのシリンダ4aのシリンダ4が作動状態に制御されることを意味している。それは、シリンダ休止モードでエンジンを動作させるのに必要な負荷が、第1のグループのシリンダ4aによってのみ供給されることを意味している。上記の導入で説明したように、これは、休止されたシリンダ4bがもはや新気を吸引せず、(容積ポンプとして機能する)エンジンブロックによって吸引される空気量が少ないことを意味している。副作用は、ターボチャージャ14の損失効率であるかもしれない。従って、動作中の各シリンダに供給される質量空気流量が、通常の動作モードと比較して減少する可能性がある。これと同時に、エンジンシリンダに噴射される燃料流量は同じままであり、エンジンが同じ出力を伝達することを保証する。一部のシリンダ4bが休止して燃料をもはや受け取らないので、残りのシリンダに噴射される燃料流量、即ち、動作中のシリンダ4aに噴射される燃料流量は数学的により多くなる。これらの条件下では、動作中のシリンダ4aの内部の空気燃料比(AFR)が低く、排気温度が上昇する。
【0046】
実際には、シリンダ休止モードの間、排気温度は、250℃まで上昇、好ましくは300℃まで上昇することができる。
【0047】
動作中のシリンダ4a又は動作中のシリンダ4bに導入される質量空気流量が減少したとしても、質量空気流量は燃料の完全燃焼を保証するために十分多いので、燃焼シリンダ4bに導入されるすべての燃料が燃焼されて排気中に燃料が存在しないことを付け加えることができる。そして、シリンダ休止モードは、少量の燃料が排気の流れに直接噴射されてその温度を上昇させる、標準的な再生動作モードとは異なっている。シリンダ休止モードは、熱損失を増やして燃費を低下させる、他の排気温度加熱手段とも異なっている。
【0048】
また、システム100は、第1の排気マニホールド8a及び第2の排気マニホールド8bのそれぞれにおいて分岐するEGRライン20を備えている。EGRライン20は、混合ユニット30に対して流体接続されている。従って、EGRライン20は、内燃機関2によって発生した再循環排気を混合ユニット30へと供給するように適合されている。第1の排気マニホールド8a及び第2の排気マニホールド8bのそれぞれの下流に配置された第1のEGRバルブ5a及び第2のEGRバルブ5bのそれぞれが、有利には設けられて、EGRライン20へと供給される再循環排気量を調整する。
【0049】
混合ユニット30は、吸気ライン10に流体接続された第1の入口31と、EGRライン20に流体接続された第2の入口32と、第1のパイプ35によって第1の吸気マニホールド6aに流体接続された第1の出口33と、第2のパイプ36によって第2の吸気マニホールド6bに流体接続された第2の出口34と、を備えている。混合ユニット30は、吸気ライン10及びEGRライン20によって第1及び第2の吸気マニホールド6a,6bに供給される新気及び排気の流量を制御するように適合されている。混合ユニット30は、吸気ライン10に接続された第1の入口31、EGRライン20に接続された第2の入口32、第1の出口33及び第2の出口34が実質的にX型を形成する4方向弁を有している。また、吸気ライン10に接続された第1の入口31、及びEGRライン20に接続された第2の出口34が同軸に配置され、かつ第1の出口33及び第2の出口34が同軸に配置されて、吸気ライン10に接続された第1の入口31がEGRライン20に接続された第2の入口32と斜めに対面し、第1の出口33が第2の出口34と斜めに対面する。
【0050】
特に、システム100の通常動作モードi)では、混合ユニット30は、第1及び第2の吸気マニホールド6a,6bの両方への新気及び排気の混合気の流れを許可するように適合されている。これは、4方向弁30の第1の構成、即ち、混合ユニット30の全開構成に対応している。また、混合ユニット30の部分的に開弁された構成では、混合ユニット30は、第1の吸気マニホールド6aへの新気の流れを妨げることができるが、第1及び第2の吸気マニホールド6a,6bの両方への排気の流れを許可することができる。
【0051】
システム100のシリンダ休止モードii)では、混合ユニット30は、第1の吸気マニホールド6aへの新気の流れ、及び第2の吸気マニホールド6bへの排気の流れを妨げる一方、第1の吸気マニホールド6aへの排気の流れ、及び第2の吸気マニホールド6bへの新気の流れを許可するように適合されている。これは、混合ユニット30の閉弁構成に対応している。
【0052】
システム100のシリンダ休止モードiii)では、混合ユニット30は、第2の吸気マニホールド6bへの新気の流れ、及び第1の吸気マニホールド6aへの排気の流れを妨げる一方、第2の吸気マニホールド6bへの排気の流れ、及び第1の吸気マニホールド6aへの新気の流れを許可するように適合されている。これは、混合ユニット30の閉弁構成に対応している。
【0053】
システム100は、有利なことには、システム100の動作モードに応じて、混合ユニット30の開弁、閉弁及び/又は部分的な開弁を制御するコントローラ40を備えていてもよい。
【0054】
図3及び
図4は、本発明の第1の実施形態において、
図2に示される内燃機関システム100の上部を例示している。この実施形態では、混合ユニット30は、内室38を区画するハウジング37を含んだ4方向弁を備えている。内室38は、4方向弁30の第1の入口31及び第1の出口33と流体接続された第1の部分38aと、4方向弁30の第2の入口32及び第2の出口34と流体接続された第2の部分38bと、を有している。第1及び第2の部分38a,38bは、中央開口38cによって分けられている。4方向弁30は、対称的な第1及び第2の羽根39a,39bに連結された中央ハブ39cを含んだフラップ39を更に備えている。フラップ39は、中央開口38cと実質的に位置合わせされたフラップ軸39dの周りに、ハウジング37に対して枢動可能に連結されている。フラップ軸39dは、4方向弁のハウジング37の中央に配置されたハウジング軸37cと同軸に配置されている。羽根39a,39bは、フラップ軸39dからオフセットされた平面上に延びている。
【0055】
図3及び
図4を参照すると、4方向弁30の第1の構成が図示されている。この構成では、フラップ39の羽根39a,39bがシート37a,37bとそれぞれ接触し、内室38の底部及び上部の両方において、第1及び第2の部分38a,38bの間で無制限の気体の流れを許可することができる。その代わりに、フラップ39の羽根39a,39bは、シートを必要とせずに、内室38の底部及び上部の両方において、第1及び第2の部分38a,38bの間で無制限の気体の流れを許可する位置に到達するように制御される。4方向弁30のこの構成は、排気及び新気の混合気が第1及び第2のグループのシリンダ4a,4bのシリンダ4に供給される、システム100の通常動作モードi)に対応している。
【0056】
図5及び
図6に示されるように、フラップ39の羽根39a,39bは、シート37c,37dとそれぞれ接触する。4方向弁30のこの第2の構成では、吸気ライン10によって供給される新気は、第1のグループのシリンダ4aのみによってガイドされる。従って、第2のグループのシリンダ4bへの新気の吸入は、0又は略0に制御される。これと同時に、EGRライン20によって供給される排気の全流量は、第2のグループのシリンダ4bのみによってガイドされる(
図6参照)。従って、第1のグループのシリンダ4aのシリンダ4が動作状態に制御され、かつ第2のグループのシリンダ4bのシリンダ4が休止状態に制御されたとき、4方向弁30のこの第2の構成は、全体的な排気温度を上昇させることとなる。その代わりに、EGRライン20によって供給される排気の流れは、第1のグループのシリンダ4aによってガイドされない(
図5参照)。この例では、エンジン動作が簡略化されて、排気温度が最大になって休止したグループのシリンダを通過する吸気流量が最小になることを保証する。
【0057】
フラップ39は、フラップ軸39cの周りを数度回転して、第1及び/第2のグループのシリンダ4a,4bによってガイドされる新気及び排気の流量を制御する中間位置に到達することができる。
【0058】
図7に示されるように、その代わりに、フラップ39の羽根39a,39bは、シート38a,38b,37c,39dと接触していない。この例では、
図5及び
図6と比較すると、フラップ39がフラップ軸39cの周りを時計回りに45度の角度回転している。この例は、吸気ライン10によって供給される新気が第2のグループのシリンダ4bのみによってガイドされる、4方向弁30の第3の構成に対応している。従って、第1のグループのシリンダ4aへの新気の吸入は、0又は略0に制御される。これと同時に、排気の主流は、EGRライン20によって供給されて、第1のグループのシリンダ4aによってガイドされることができる。従って、4方向弁30のこの第3の構成は、第2のグループのシリンダ4bのシリンダ4が動作状態に制御され、かつ第1のグループのシリンダ4aのシリンダ4が休止状態に制御されたとき、全体的な排気温度を上昇させることとなる。
【0059】
すべての実施形態では、フラップ39がエンジン動作条件に応じてフラップ軸39cの周りを数度の角度だけ回転して、吸入新気の脈動、及び/又は排気の脈動を低減することができる。
【0060】
本発明によれば、本発明による内燃機関システムを動作させる方法は、内燃機関システムの動作モードを選択するステップA)を含んでいる。この動作モードは、以下の中から選択される。
i.すべてのシリンダ4a,4bに燃料が供給される通常動作モード、
ii.第1のグループのシリンダ4aに燃料が供給されないシリンダ休止モード、及び
iii.第2のグループのシリンダ4bに燃料が供給されないシリンダ休止モード。
【0061】
好ましくは、コントローラ40は、電子制御ユニット(ECU)を介して選択された動作モードを受信する。そして、ステップB)では、ステップA)で選択された動作モードに応じて、コントローラ40が4方向弁30を制御して、以下の中から選択された構成に到達する。
1.通常動作モードi)に対応する4方向弁30の第1の構成、
2.シリンダ休止モードii)に対応する4方向弁30の第2の構成、及び
3.シリンダ休止モードiii)に対応する4方向弁30の第3の構成。
【0062】
本発明による内燃機関システムは、エンジンシリンダに供給する新気及び排気の流れの制御を改善する。特に、新気及び排気の圧力低下の釣り合い、並びに新気及び排気の混合がより均等な割合で実行される。従来の解決策とは反対に、本発明は特別なデザインの4方向弁を提供して、新気及び排気の流れパターンのよりよい制御を保証する。
【0063】
本発明は、上述及び図示の実施形態に限定されないと理解されたい。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正がなし得ることを容易に認識するであろう。
【外国語明細書】