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特開2022-166847コネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造
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  • 特開-コネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166847
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】コネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20221026BHJP
   H01R 12/75 20110101ALI20221026BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069872
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2021071945
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大庭 堅一
(72)【発明者】
【氏名】榛葉 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】北澤 武範
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB01
5E223AB15
5E223AB38
5E223AB59
5E223AB71
5E223AC23
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA47
5E223BA57
5E223BB01
5E223CC09
5E223CC12
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB17
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、機器類の小型化や狭小化に伴い、細線化された通信用ケーブルに合わせてコネクタ接続構造を小型化した、コネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造を提供することにある。
【解決手段】ケーブルの少なくとも片端を、コネクタと電気接続したコネクタ付きケーブルであって、ケーブルは基板に電気的に接続され、基板は平面上にコネクタを有し、コネクタは基板上に実装されたパッドを介してケーブルと導通する。基板の大きさについて、ケーブルの長さ方向に垂直な方向の長さは、ケーブルの外径以下であることが好ましい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの少なくとも片端を、コネクタと電気接続したコネクタ付きケーブルであって、
前記ケーブルは基板に電気的に接続され、
前記基板は平面上にコネクタを有し、
前記コネクタは、前記基板上に実装されたパッドを介して、ケーブルと導通することを特徴とするコネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記基板の大きさについて、ケーブルの長さ方向に垂直な方向の長さは、ケーブルの外径以下であることを特徴とする、
請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記基板の平面上に、信号あるいは電力の増幅や電磁ノイズを除去する電子部品、または、温度あるいは位相の補償回路を実装していることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記ケーブルは、少なくとも1対のツイストペアを含むことを特徴とする、
請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項5】
電力供給が可能であることを特徴とする、
請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項6】
イーサネット用ケーブル規格である、IEC11801シリーズ及びTIA-568-Dに適合することを特徴とする、
請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項7】
中継ケーブルとして用いられる、
請求項3に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項8】
請求項に記載のコネクタ付きケーブル同士を電気的に接続するケーブル接続構造。
【請求項9】
前記ケーブル接続構造の外周に被覆部材を設けることを特徴とする、
請求項3に記載のケーブル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用ケーブルの接続構造に関し、主に中継ケーブルとして用いられるコネクタ付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動化が著しい産業機器業界においては、マシンビジョン用デジタルカメラやセンサ、ロボット、PCなど制御機器等を接続する様々なインターフェースケーブルが使用されている。さらに近年、機器類の小型化や狭小化に伴い、ケーブルの細線化が進んでいる。
【0003】
ケーブルが細線化する一方、ケーブル間を接続するコネクタの小型化は進んでおらず、従来、多関節ロボットのアーム部分などの狭小部に、通信用ケーブルを配線する場合、コネクタ接続部が大きく配線できないため、ケーブルを配線した後、コネクタ付けの作業を行う必要があった。そのため、あらかじめコネクタ付けされたケーブルを配線する場合と比べ、作業性が悪いことが問題となっている。
【0004】
機器側に接続されるコネクタとしては、従来からRJ45、丸形防水コネクタ(M12)等が使用されており、これらのコネクタ自体の小型化は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2008-221357号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、機器類の小型化や狭小化に伴い、細線化された通信用ケーブルに合わせてコネクタ接続構造を小型化した、コネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)ケーブルの少なくとも片端を、コネクタと電気接続したコネクタ付きケーブルであって、ケーブルは基板に電気的に接続され、基板は平面上にコネクタを有し、コネクタは、前記基板上に実装されたパッドを介して、ケーブルと導通することを特徴とする。
(2)基板の大きさについて、ケーブルの長さ方向に垂直な方向の長さは、ケーブルの外径以下であることが好ましい。
(3)基板の平面上に、信号あるいは電力の増幅や電磁ノイズを除去する電子部品、または、温度あるいは位相の補償回路を実装していることが好ましい。
(4)ケーブルは、少なくとも1対のツイストペアを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造は、細径化した通信用ケーブルと同等以下の大きさに抑えられるため、機器内の狭小部への配線が可能となり、配線の作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のコネクタ付きケーブルの一例を示す模式図である。
図2】本発明のコネクタ付きケーブルの他の一例を示す模式図である。
図3】本発明のコネクタ付きケーブルの他の一例を示す模式図である。
図4】本発明のケーブル接続構造を示す模式図である。
図5】ケーブル接続構造の外周に設けられた被覆部材の一例を示す模式図である。
図6】本発明のコネクタ付きケーブル(実施例)の電気特性評価結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコネクタ付きケーブルについて、実施例を挙げ、さらに具体的に説明するが、本発明の範囲について、これらに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明のコネクタ付きケーブル1であって、通信用ケーブル2、通信用ケーブル2と電気的に接続される基板3、基板3の平面上に配設されるコネクタ4であって、コネクタ4は基板3上に実装されたパッド5を介して導通する構造であることを特徴とする。
【0013】
通信用ケーブル2と基板3は、はんだ接続により導通されることが好ましい。はんだの他は、スポット溶接や高周波誘導加熱を用いて溶融接合する方法等が挙げられる。はんだの材質については特に限定されないが、鉛及び錫の共晶はんだ、錫、銀及び銅からなる鉛フリーはんだ、その他、亜鉛、ビスマス、インジウムを含むはんだ等が挙げられる。
【0014】
基板3の仕様に関しては特に限定されず、例えば、リジットタイプのプリント基板が用いられる。大きさについては、ケーブルの長さ方向に垂直な方向の長さは、ケーブルの外径以下であることが好ましい。基板3の大きさが、通信用ケーブル2の外径と同等以下のため、機器内の狭小部への配線が可能となる。基板3の大きさは、ケーブルの外径と同等以下であって、既存のコネクタと比べて十分に小さく、配線の作業性に支障がなければ多少の誤差は許容されるが、好ましくは、基板3の大きさはケーブルの外径の100%以下である。
【0015】
基板3に実装されるパッド5は、パッド5を介して通信用ケーブル2とコネクタ4が導通されればよく、材質、仕様は特に限定されない。使用するコネクタ4や電気特性の要求値に対応して適宜施される。
【0016】
また、基板3の平面上に、信号あるいは電力の増幅や電磁ノイズを除去する電子部品、または、温度あるいは位相の補償回路等を実装することが好ましい。具体的には、イコライザ、バッファ、リピータ、ノイズフィルタ等の機能を有する電子部品であって、これらを実装することにより電気特性の向上が期待される。
【0017】
コネクタ4の種類は特に限定されないが、例えば、汎用のメザニンコネクタが好ましい。基板3の大きさに収まる小型タイプであって、許容電流や特性インピーダンス等、電気特性の要求値に応じて適宜選定される。
【0018】
通信用ケーブル2の仕様は特に限定されないが、一般的なインターフェースケーブルとしてはLANケーブルが知られている。そのため、少なくとも1対のツイストペアを含むことが好ましい。その他、同軸ケーブルを用いた差動伝送ケーブルであっても良い。
【0019】
通信用ケーブル2の外径は特に限定されないが、細線化の観点においてφ6.0以下が好ましい。より好ましくはφ5.0以下、最も好ましくはφ4.0以下である。
【0020】
通信用ケーブル2を構成する誘電体の材質は特に限定されないが、伝送特性の観点において、ふっ素樹脂が好ましい。その他の仕様は、要求値に応じて適宜選定される。
【0021】
本発明のコネクタ付きケーブル1は、電力(電圧・電流)供給が可能であることが好ましい。通信用ケーブルを介して電力を供給でき、細線化に寄与する。
【0022】
通信用ケーブル2は、イーサネット用ケーブル規格である、IEC11801シリーズ及びTIA-568-Dに適合することが望ましい。また、GigE Vision規格、EtherCAT規格、CC-Link、MECHATROLINKのうち少なくとも1つの適合要求を満たすことが好ましい。
【0023】
通信用ケーブル2のうち、少なくとも片端は、本発明の方法でコネクタ付けされ、他の片端は、機器接続用に本発明とは異なるコネクタが使用されてもよい(図3(a)参照)が、両端ともに本発明の方法でコネクタ付けされ、中継ケーブルとして用いられることがより好ましい(図3(b)参照)。機器側は、従来からのRJ45等コネクタを使用する必要があり、小型化が難しいため、機器側と接続しない方のケーブル端部を、本発明の方法でコネクタ付けし、これに中継ケーブル(図3(b)のコネクタ付きケーブル1)を接続して使用される。両端ともに、細線化したケーブルと同等以下の大きさの接続構造であるため、機器内の狭小部に容易に配線することが可能となる。
【0024】
図4は、本発明のコネクタ付きケーブル1同士を接続するケーブル接続構造Xである。従来のケーブル接続構造と比較し、格段に小型化され、特に中継コネクタとして有用である。
【0025】
上述のように、コネクタ付きケーブル1同士を電気的に接続する場合、ケーブル接続構造Xの外周に被覆部材7を設けることが好ましい(図5参照)。
【0026】
被覆部材の仕様は特に限定しないが、熱収縮チューブや、樹脂製又は金属製のケース等が挙げられる。機械的強度の向上、温度調整、電磁ノイズ対策等の目的において適宜施される。図5は、被覆部材(金属製)の一例である。
【0027】
被覆部材7にはさらに嵌合部材(図示せず)を設け、コネクタ4と嵌合させ、被覆部材7にコネクタ4を固定させることが好ましい。嵌合部材により、被覆部材7とコネクタ4が固定されるため、コネクタ4同士の接続強度が向上する。
【実施例0028】
以下、コネクタ付きケーブル1について、実施例を挙げさらに具体的に説明するが、本発明の範囲等について、これらに限定されるものではない。
【0029】
実施例1は、両端がコネクタ付きケーブル1である(図3(b)参照)。
通信用ケーブル2は、ふっ素樹脂電線(AWG31)のツイストペアを4対撚り合わせたLANケーブルであって、外径はφ4.0である。通信用ケーブル2ははんだにて基板3へ電気的に接続される。基板3の大きさは、ケーブル長さ方向の長さは10mm、長さ方向に垂直な方向の長さは4.0mmである。基板3の平面上にはコネクタ4し、基板3上に実装されたパッド5を介して、ケーブルと導通される。コネクタ4は、汎用のメザニンコネクタであって、基板より小型である。
【0030】
実施例1の電気特性評価を図6に示す。測定方法は以下に示す。
【0031】
(電気特性の評価方法)
TIA/EIA-568-B.2-2に準拠した方法にて、LANケーブル用規格CAT5e、Cat6Aについて評価する。測定する項目は、IL(挿入損失)、NEXT(近端漏話)、RL(反射減衰量)である。
【0032】
実施例は、いずれもLANケーブル用規格Cat5e、Cat6Aを満足していることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のコネクタ付きケーブル及びケーブル接続構造は、主に産業機器類に用いられるインターフェースケーブルの接続構造として有用であるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0034】
1 コネクタ付きケーブル
2 通信用ケーブル
3 基板
4 コネクタ
5 パッド
6 電子部品(イコライザ、バッファ、リピータ、ノイズフィルタ等)
7 被覆部材
X ケーブル接続構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6