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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166851
(43)【公開日】2022-11-02
(54)【発明の名称】垂直配向型液晶表示モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20221026BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20221026BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G02F1/1335
G02B5/30
G02B5/28
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022070170
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】63/177,942
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】110145813
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522162255
【氏名又は名称】胡 崇銘
【氏名又は名称原語表記】HU CHUNG-MING
【住所又は居所原語表記】No. 36-21, Ren’ai Rd., Madou Dist., Tainan City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】胡 崇銘
【テーマコード(参考)】
2H148
2H149
2H291
【Fターム(参考)】
2H148GA01
2H148GA33
2H148GA61
2H149AA06
2H149AB05
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA19
2H149FC08
2H149FD03
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA40X
2H291FA51X
2H291FA51Z
2H291FA81Z
2H291FA96X
2H291FA96Z
2H291FB12
2H291FD13
(57)【要約】
【目的】大きな視野角における色ズレの問題を有効に改善することのできる垂直配向型液晶表示モジュールを提供する。
【解決手段】垂直配向型液晶表示モジュールは、垂直配向型液晶表示パネルおよび画像色切替フィルムを含む。画像色切替フィルムは、垂直配向型液晶表示パネル上に配置される。画像色切替フィルムの法線に対して60度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、画像色切替フィルムは、以下の光学特性を有する:短波長の一端における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率は、長波長の一端における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直配向型液晶表示パネルと、
前記垂直配向型液晶表示パネルの上方または下方に配置された画像色切替フィルムと、
を含み、
前記画像色切替フィルムは、少なくとも、前記画像色切替フィルムの法線に対して60度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、すべて特定の光学特性を有し、
前記特定の光学特性は、短波長の一端における前記画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率が、長波長の一端における前記画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さいことを含む垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項2】
前記画像色切替フィルムが、少なくとも、前記画像色切替フィルムの法線に対して45度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、すべて前記特定の光学特性を有する請求項1に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項3】
前記画像色切替フィルムが、少なくとも、前記画像色切替フィルムの法線に対して30度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、すべて前記特定の光学特性を有する請求項1に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項4】
前記画像色切替フィルムが、少なくとも、前記画像色切替フィルムの法線に対して60度~90度の夾角を有する様々な視野角方向において、すべて前記特定の光学特性を有する請求項1に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項5】
前記画像色切替フィルムが、少なくとも1つの干渉膜を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの干渉膜が、
第1透光性フィルムと、
前記第1透光性フィルムに積み重ねられた第2透光性フィルムと、
を含み、
前記第1透光性フィルムの屈折率が、前記第2透光性フィルムの屈折率より小さい請求項5に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項7】
前記第1透光性フィルムの屈折率が、1.6またはそれより小さく、前記第2透光性フィルムの屈折率が、1.8~2.4である請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項8】
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第1偏光板をさらに含み、
前記画像色切替フィルムが、前記垂直配向型液晶表示パネルの上方に配置された請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項9】
前記第2透光性フィルムが、前記第1透光性フィルムと前記第1偏光板の間に配置され、
前記第1透光性フィルムの屈折率が、1.66以下である請求項8に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項10】
前記第1偏光板が、
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第1透明基板と、
前記第1透明基板と前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第2透明基板と、
前記第1透明基板と前記第2透明基板の間に配置された偏光層と、
前記第1透明基板と前記第2透明基板の間に配置された位相差補償フィルムと、
を含む請求項8に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項11】
前記位相差補償フィルムが、前記偏光層と前記第2透明基板の間に配置された請求項10に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項12】
前記第1偏光板が、
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第1透明基板と、
前記第1透明基板と前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置され、位相差補償フィルムである第2透明基板と、
前記第1透明基板と前記第2透明基板の間に配置された偏光層と、
を含む請求項8に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項13】
前記第1偏光板の透過軸が、前記垂直配向型液晶表示パネルの短辺方向または長辺方向に対して平行である請求項8に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項14】
前記垂直配向型液晶表示パネルとの間に前記画像色切替フィルムが配置された第1透明基板と、
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第2透明基板と、
前記画像色切替フィルムと前記第2透明基板の間に配置された偏光層と、
前記偏光層と前記第2透明基板の間に配置された位相差補償フィルムと、
をさらに含む請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項15】
前記第1透光性フィルムの屈折率が、1.6またはそれより小さく、前記第2透光性フィルムの屈折率が、1.8~2.5である請求項14に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項16】
前記第1透光性フィルムの屈折率が、1.7またはそれより小さい請求項15に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項17】
表面処理層をさらに含み、
前記第1透明基板が、前記表面処理層と前記画像色切替フィルムの間に配置された請求項16に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項18】
前記偏光層の透過軸が、前記垂直配向型液晶表示パネルの短辺方向または長辺方向に対して平行である請求項14に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項19】
前記垂直配向型液晶表示パネルとの間に前記画像色切替フィルムが配置された第1透明基板と、
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置された第2透明基板と、
前記第2透明基板との間に前記画像色切替フィルムが配置された偏光層と、
をさらに含む請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項20】
第1偏光板をさらに含み、
前記画像色切替フィルムが、前記第1偏光板と前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置され、
前記画像色切替フィルムが、前記垂直配向型液晶表示パネルの上方に配置された請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項21】
前記垂直配向型液晶表示パネルとの間に前記画像色切替フィルムが配置された第1透明基板と、
前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置され、位相差補償フィルムである第2透明基板と、
前記画像色切替フィルムと前記第2透明基板の間に配置された偏光層と、
をさらに含む請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項22】
前記少なくとも1つの干渉膜が、透光性フィルムを含み、
前記透光性フィルムの屈折率が、1.5~2.5である請求項5に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項23】
前記垂直配向型液晶表示パネルが、マルチドメイン垂直配向型液晶表示パネルである請求項2に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項24】
前記特定の光学特性は、さらに、前記可視光透過スペクトルの透過率が、前記短波長の一端から前記長波長の一端に向かって高くなることを含む請求項2に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項25】
前記特定の光学特性は、さらに、前記可視光透過スペクトルの透過率が、前記短波長の一端から前記長波長の一端に向かって高くなり、その後低くなることを含む請求項2に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項26】
第2偏光板をさらに含み、
前記第2偏光板が、前記画像色切替フィルムと前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置され、または、前記画像色切替フィルムが、前記第2偏光板と前記垂直配向型液晶表示パネルの間に配置され、
前記画像色切替フィルムが、前記垂直配向型液晶表示パネルの下方に配置された請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項27】
前記第2偏光板の透過軸が、前記垂直配向型液晶表示パネルの短辺方向または長辺方向に対して平行である請求項26に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項28】
前記垂直配向型液晶表示パネルの下方に配置された第3透明基板と、
前記垂直配向型液晶表示パネルとの間に前記第3透明基板が配置された第4透明基板と、
前記第3透明基板と前記第4透明基板の間に配置された偏光層と、
をさらに含み、
前記画像色切替フィルムが、前記第3透明基板と前記第4透明基板の間に配置された請求項6に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項29】
前記偏光層の透過軸が、前記垂直配向型液晶表示パネルの短辺方向または長辺方向に対して平行である請求項28に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項30】
前記第3透明基板が、位相差補償フィルムである請求項28に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【請求項31】
前記第3透明基板と前記偏光層の間に配置された位相差補償フィルムをさらに含む 請求項28に記載の垂直配向型液晶表示モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶モジュールに関するものであり、特に、垂直配向型液晶表示モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCDディスプレイを操作する時、垂直配向(vertical alignment, VA)やインプレーンスイッチング(in-plane switching, IPS)等の広視野角技術では、補償フィルムや位相差フィルム等の材料を使用して、大きな視野角によって生じた色ズレを補償するが、信号の異なる射出角度により完璧に補償することはできない。大きな視野角の色は、補償フィルムや位相差フィルムによって部分的に修正できるようになったが、依然として、異なる程度の色信号誤差が存在する。色信号誤差は、ツイステッドネマチック(twisted nematic, TN)およびVA技術において、最も深刻である。
【0003】
ディスプレイの各視野角における赤色、緑色、および青色安定性から見ると、VAディスプレイ技術を補償フィルムに追加しても、視野角が45度より大きい時には、依然として深刻な色ズレが見られる。つまり、特に画像が肌色の時に、緑色化および白色化の問題が存在する。その結果、多くのブランド製造業者は、高価格品にVA技術を適用するのをためらう。
【0004】
しかしながら、VA技術は、依然として、中心視野角においてコントラストが高く、演色性が強いという利点を有する。そのため、大きな視野角におけるVA液晶ディスプレイの色ズレの問題をいかにして改善するかが、研究開発すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大きな視野角における色ズレの問題を有効に改善することのできる垂直配向型液晶表示モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態は、垂直配向型液晶表示パネルおよび画像色切替フィルムを含む垂直配向型液晶表示モジュールを提供する。画像色切替フィルムは、垂直配向型液晶表示パネル上に配置される。画像色切替フィルムは、画像色切替フィルムの法線に対して60度~75度の夾角(included angle)を有する様々な視野角方向において、以下の光学特性を有する:短波長の一端における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率は、長波長の一端における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールは、大きな視野角において、画像色切替フィルムを設置することにより、短波長の一端における可視光透過スペクトルの平均透過率を長波長の一端における可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さくすることができるため、視野角が大きい時に、緑がかった白色画像や青色がかった白色画像が生じる問題を有効に改善することができ、それにより、肌色画像の色精度を向上させることができる。つまり、本発明の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールは、大きな視野角における色ズレの問題を有効に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0009】
図1図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図1Bは、図1Aの垂直配向型液晶表示パネルの画素の概略的正面図である。図1Cは、図1Aの垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。図1Dは、図1Cの垂直配向型液晶表示モジュールの平行偏光と垂直偏光の立体概略図である。
図2図2は、本発明の2つの実施形態に係る視野角が75度の時の画像色切替フィルムの光学シミュレーション透過率スペクトルを示したものである。
図3図3A図3B、および図3Cは、それぞれ垂直配向型液晶表示パネルから出射された青色、緑色、および赤色光の構成比率、およびさらに画像色切替フィルムを貫通した青色、緑色、および赤色光の構成比率を示したものである。
図4図4は、本発明の別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図5図5は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図6図6Aおよび図6Bは、本発明の3つの実施形態に係る視野角が60度の時の画像色切替フィルムの分光反射率および透過率スペクトルを示したものである。
図7図7は、画像色切替フィルムを4ドメイン垂直配向型液晶表示パネルに追加していない時の様々な異なる視野角における赤色光、緑色光、および青色光の構成比率を示す破線図である。
図8図8は、図4の垂直配向型液晶表示モジュールにおける画像色切替フィルムおよび透光性基板の様々な視野角における分光反射率を示したものである。
図9図9は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図11図11Aは、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図11Bは、図11Aの垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。
図12図12は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。
図13図13は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図14図14は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。
図15図15は、赤色サブ画素、緑色サブ画素、および青色サブ画素がいずれも60度の視野角で点灯した時の対照群、図1Aの実施形態、および図5の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールの実際のスペクトルを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、本発明の1つの実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図1Bは、図1Aの垂直配向型液晶表示パネルの画素の概略的正面図である。図1Cは、図1Aの垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。図1A図1B、および図1Cを参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100は、垂直配向型液晶表示パネル(vertical alignment liquid crystal display panel, VA-LCD panel)200および画像色切替フィルム300を含む。本実施形態において、例えば、垂直配向型液晶表示パネル200は、マルチドメイン垂直配向型液晶表示パネル(multi domain vertical alignment liquid crystal, MVA-LCD panel)である。図1Bは、8ドメイン垂直配向型液晶表示パネルを例として示したものである。各サブ画素210は、液晶分子の8つの配向ドメイン212を有し、例えば、8つの配向ドメイン212における液晶分子の傾斜方向は、4方向である。例えば、4方向は、画素配向方向(すなわち、水平方向と垂直方向)の間で約45度である。さらに、隣接する1つの赤色サブ画素210R、1つの緑色サブ画素210G、および1つの青色サブ画素210Bは、1つの画素を形成することができる。別の実施形態において、マルチドメイン垂直配向型液晶表示パネルは、4ドメイン垂直配向型液晶表示パネルであってもよく、各サブ画素210は、液晶分子の4つの配向ドメイン212を有する。例えば、4つの配向ドメイン212における液晶分子の傾斜方向は、4方向である。
【0011】
画像色切替フィルム300は、垂直配向型液晶表示パネル200上に配置される。図2は、本発明の2つの実施形態に係る視野角が75度の時の画像色切替フィルム300の光学シミュレーション透過率スペクトルを示したものである。図1A図1B、および図2を参照すると、画像色切替フィルム300は、様々な視野角において元の色合いおよび周波数スペクトルを調整することができ、大きな視野角の垂直配向型液晶表示パネル200に対し、以下の光学特性を有する。具体的には、画像色切替フィルム300は、画像色切替フィルム300の法線に対して60度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、以下の光学特性を有する。つまり、夾角は、視野角方向と画像色切替フィルム300の法線の間の角度である。短波長の一端E1における画像色切替フィルム300の可視光透過スペクトルの平均透過率は、長波長の一端E2における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さい。本実施形態において、短波長の一端E1における画像色切替フィルム300の可視光透過スペクトルの平均透過率は、300nm~495nmの範囲の波長に対応する平均透過率を指し、長波長の一端E2における画像色切替フィルムの可視光透過スペクトルの平均透過率は、570nm~750nmの範囲の波長に対応する平均透過率を指す。図2において、破線の透過率スペクトル曲線および実線の透過率スペクトルは、2つの異なる実施形態に属する。
【0012】
本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100は、大きな視野角において、画像色切替フィルム300を設置することにより、短波長の一端E1における可視光透過スペクトルの平均透過率を長波長の一端E2における可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さくすることができ、より多くの赤色光と黄色光を通過させ、一部の青色光と緑色光の通過を抑制することができるため、視野角が大きい時に、緑がかった白色画像や青色がかった白色画像が生じる問題を有効に改善することができ、それにより、肌色画像の色精度を向上させることができる。つまり、本発明の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100は、大きな視野角における色ズレの問題を有効に改善することができる。さらに、垂直配向型液晶表示技術は、依然として、中心視野角においてコントラストが高く、演色性が強いという利点を有する。本実施形態は、大きな視野角における色ズレを改善して、垂直配向型液晶表示技術の高コントラスト特性を維持することができるため、IPS技術を超えることができ、優れた演色性の効果を有する表示技術になる。
【0013】
図3A図3B、および図3Cを参照して、具体的に説明すると、図3A図3B、および図3Cは、それぞれ垂直配向型液晶表示パネルから出射された青色、緑色、および赤色光の構成比率、およびさらに画像色切替フィルムを貫通した青色、緑色、および赤色光の構成比率を示したものである。図3Aの「元のVA」に対応する折れ線は、垂直配向型液晶表示パネル200のデータを指し、「画像色切替フィルムを追加」に対応する折れ線は、垂直配向型液晶表示パネル200から出射した後、さらに画像色切替フィルム300を貫通した光のデータを指す。図3A図3Cに基づくと、画像色切替フィルム300は、画像光における赤色光の構成比率を大幅に引き上げ、緑色光の構成比率を少しだけ引き上げ、青色光の構成比率を有効に抑制することができるため、視野角が大きい時に、緑がかった白色画像や青色がかった白色画像が生じる問題を有効に改善することができ、それにより、肌色画像の色精度を向上させることができる。本実施形態において、青色光、緑色光、および赤色光の構成比率は、スペクトル曲線下の青色光、緑色光、および赤色光の面積の比率を指す。
【0014】
1つの実施形態において、画像色切替フィルム300は、画像色切替フィルム300の法線に対して45度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、光学特性を有する。1つの実施形態において、画像色切替フィルム300は、画像色切替フィルム300の法線に対して30度~75度の夾角を有する様々な視野角方向において、光学特性を有する。1つの実施形態において、画像色切替フィルム300は、画像色切替フィルム300の法線に対して60度~90度の夾角を有する様々な視野角方向において、光学特性を有する。
【0015】
1つの実施形態において、光学特性は、さらに、可視光透過スペクトルの透過率が、短波長の一端E1から長波長の一端E2に向かって高くなり、その後低くなることを含む。しかしながら、別の実施形態において、光学特性は、さらに、可視光透過スペクトルの透過率が短波長の一端E1から長波長の一端E2に向かって高くなることを含む。
【0016】
再度図1Aを参照すると、画像色切替フィルム300は、少なくとも1層の干渉膜を含み、干渉膜の原理によって、異なる波長の光(すなわち、赤色光、緑色光、および青色光)が反射して、画像色切替フィルム300を通過する。本実施形態において、少なくとも1つの干渉膜は、第1透光性フィルム310および第2透光性フィルム320を含む。第2透光性フィルム320は、第1透光性フィルム310に積み重ねられ、第1透光性フィルム310の屈折率は、第2透光性フィルム320の屈折率より小さい。1つの実施形態において、第1透光性フィルム310の屈折率は、1.6またはそれより小さく、第2透光性フィルム320の屈折率は、1.8~2.4である。本実施形態において、垂直配向型液晶表示モジュール100は、さらに、画像色切替フィルム300と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置された偏光板110を含む。さらに、本実施形態において、第2透光性フィルム320は、第1透光性フィルム310と偏光板110の間に配置され、第1透光性フィルム310の屈折率は、例えば、1.66またはそれより小さい。また、垂直配向型液晶表示モジュール100は、さらに、偏光板120を含んでもよく、垂直配向型液晶表示パネル200は、偏光板110と偏光板120の間に配置される。
【0017】
本実施形態において、例えば、第1透光性フィルム310の材料は、二酸化ケイ素(silicon dioxide, SiO2)、フッ化マグネシウム(magnesium fluoride, MgF2)、または低屈折率の塗料である。第2透光性フィルム320の材料は、例えば、二酸化チタン、五酸化ニオブ(niobium pentoxide, Nb2O5)、または酸化インジウム錫(indium tin oxide, ITO)等の高屈折率の透明セラミック材であってもよい。
【0018】
本実施形態において、偏光板110は、第1透明基板112、第2透明基板114、偏光層116、および位相差補償フィルム118を含む。第1透明基板112は、画像色切替フィルム300と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置され、第2透明基板114は、第1透明基板112と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置される。偏光層116は、第1透明基板112と第2透明基板114の間に配置され、位相差補償フィルム118は、第1透明基板112と第2透明基板114の間に配置される。本実施形態において、位相差補償フィルム118は、偏光層116と第2透明基板114の間に配置される。別の実施形態において、位相差補償フィルム118および第2透明基板114を統合してもよい。つまり、第2透明基板114は位相差補償フィルムであり、偏光板110には、追加の位相差補償フィルム118を備えていなくてもよい。具体的に説明すると、第2透明基板114は、延伸工程によって位相差補償フィルムになることができる。あるいは、液晶層(すなわち、位相差補償フィルム118)を第2透明基板114に塗布してもよい。あるいは、液晶層を延伸した第2透明基板114に塗布してもよい。つまり、第2透明基板114および位相差補償フィルム118は、いずれも位相差補償の機能を有する。位相差補償フィルム118および第2透明基板114は、複屈折または多重屈折を有することができる。つまり、異なる方向において異なる屈折率を有する。したがって、垂直配向型液晶表示パネル200から出謝された大きな視野角における画像光の位相差を補償することができるため、大きな視野角に対する画像品質を向上させることができる。位相差補償フィルム118は、当業者にとって周知の様々な技術を適用することができるため、ここでは説明を省略する。
【0019】
さらに、偏光板120は、一般的な偏光板であってもよく、2つの透明基板および2つの透明基板の間に配置された偏光層を含むことができる。偏光板120の下方に液晶ディスプレイにおいて通常使用されるバックライトモジュール400を配置してもよいが、当業者にとって周知であるため、ここでは説明を省略する。さらに、画像色切替フィルム300は、第1透光性フィルム310および第2透光性フィルム320を含むが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、画像色切替フィルム300は、高屈折率と低屈折率を交互に積み重ねた3つまたはそれ以上の透光性フィルムを含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。あるいは、別の実施形態において、画像色切替フィルム300は、1.35~2.5の範囲の屈折率を有する単一の透光性フィルムであってもよく、1つの実施形態において、例えば、1.5~2.5の範囲である。
【0020】
本実施形態において、例えば、第1透明基板112および第2透明基板114の材料は、ポリエステル(polyester, PET)、トリアセチルセルロース(tri-acetyl cellulose, TAC)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate, PMMA)、または他のプラスチック基板であり、偏光層116の材料は、例えば、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol, PVA)であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0021】
図1Dは、図1Cの垂直配向型液晶表示モジュールの平行偏光と垂直偏光の立体概略図である。図1Cおよび図1Dを参照すると、本実施形態において、例えば、偏光板110の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行であり、偏光板120の透過軸X2は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であり、透過軸X1と透過軸X2は、互いに垂直である(図1Cに示す)。偏光板110の透過軸X1が垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に垂直である場合(例えば、長辺方向は、デスクトップ方向に対して平行である)、垂直配向型液晶表示モジュール100の水平方向における大きな視野角において、垂直な偏光を観察することができる。バックライトモジュール400からの入射光50および反射光52によって形成される平面PLNから見た場合、偏光板110の透過軸X1に対応し、平面PLNに対して垂直な偏光方向PSを有する偏光(すなわち、垂直な偏光)のみが通過できる。そのため、干渉設計では、画像色切替フィルム300のパラメータ(例えば、膜厚、屈折率等)を垂直偏光に基づいて設計することができる。つまり、特に垂直偏光に合わせて、上記の方法でスペクトルを調整することにより、光学特性を有することができる。入射光50の一部は、偏光板120、垂直配向型液晶表示パネル200、偏光板110、および画像色切替フィルム300を通過して、透過光54になり、入射光50の一部は、画像色切替フィルム300によって反射光52に反射する。しかしながら、別の実施形態において、画像色切替フィルム300は、偏光板120に設置される。透過軸X2が垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行である場合(この短辺方向は、デスクトップに対して垂直である)、入射光50がバックライトモジュール400から垂直配向型液晶表示パネル200に入射した後、反射光52は、入射光50が画像色切替フィルム300に当たった後に生成される。入射光50および反射光52は、平面PLNを形成し、平面PLNに対して垂直な偏光方向PSを有する偏光の大部分は、透過軸X2を通過することができ、画像色切替フィルム300も垂直な偏光方向PSで設計される。反対に、透過軸X2の方向が垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であり、画像色切替フィルム300が、偏光板120に設置される場合、同様に、水平の大きな視野角の画像調整において、画像色切替フィルム300は、水平な偏光方向PPで設計される(水平な偏光方向PPは、平面PLNに対して平行であり、偏光方向PPは、平行偏光と呼ばれる偏光の平面PLNに対して平行である)。一般的に、画像色切替フィルム300のパラメータを垂直偏光に基づいて設計すると、設計が容易になるため、少数の層を使用して、上述した優れた光学特性を達成することができる。
【0022】
図4は、本発明の別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100aは、図1Aの垂直配向型液晶表示モジュール100と類似している。両者の相違点は、図1Aの垂直配向型液晶表示モジュール100において、第1透光性フィルム310および第2透光性フィルム320を偏光板110の上に形成するが、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100aでは、まず、画像色切替フィルム300の第1透光性フィルム310および第2透光性フィルム320を透光性基板330の上に形成してから、透光性基板330をさらに接着剤340で偏光板110に貼り付ける。
【0023】
図5は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図5を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100bは、図1Aの垂直配向型液晶表示モジュール100と類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。図1Aの垂直配向型液晶表示モジュール100において、画像色切替フィルム300は、偏光板110の外側に配置されるが、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100bでは、画像色切替フィルム300を偏光板110の内側に統合してもよい。具体的に説明すると、本実施形態において、画像色切替フィルム300は、第1透明基板112と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置され、第2透明基板114は、画像色切替フィルム300と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置され、偏光層116は、画像色切替フィルム300と第2透明基板114の間に配置され、位相差補償フィルム118は、偏光層116と第2透明基板114の間に配置される。
【0024】
本実施形態において、画像色切替フィルム300の第1透光性フィルム310および第2透光性フィルム320の順序は、逆にすることができ、第1透光性フィルム310を第2透光性フィルム320の下方にしてもよく、あるいは、第2透光性フィルム320を第1透光性フィルム310の下方にしてもよい。
【0025】
第1透光性フィルム310の屈折率は、1.6またはそれより小さく、第2透光性フィルム320の屈折率は、1.8~2.5である。本実施形態において、第1透明基板112の屈折率は、1.7またはそれより小さい。
【0026】
本実施形態において、垂直配向型液晶表示モジュール100bは、さらに、表面処理層119を含み、第1透明基板112は、表面処理層119と画像色切替フィルム300の間に配置される。例えば、表面処理層119の屈折率は、1.5またはそれより小さい。例えば、表面処理層119は、防眩層(anti-glare layer)、反射防止層(anti-reflection layer)、またはハードコート層(hard-coating layer)である。
【0027】
さらに、図1Aの実施形態と同様に、位相差補償フィルム118と第2透明基板114を統合してもよい。つまり、第2透明基板114は、位相差補償フィルムであり、偏光板110には、追加の位相差補償フィルム118を備えていなくてもよい。
【0028】
本実施形態において、例えば、偏光層116の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向(すなわち、図5の紙面に入る方向)に対して平行であるため、使用者の目が水平方向における広い視野角において垂直配向型液晶表示モジュール100bを見た時、垂直な偏光を見ることができる。大きな視野角における入射光50および反射光52を平面PLNとした場合(図1Dを参照)、垂直配向型液晶表示モジュール100bの偏光板110の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示モジュール100bの短辺方向に対して平行になるように制御され、入射光50において、短辺方向に対して平行な偏光方向PSを有する偏光の大部分のみが垂直配向型液晶表示パネル200を通過できるため、画像色切替フィルム300を偏光板110の透過軸X1の方向に基づいて設計することにより、光学特性を達成することができる。しかしながら、別の実施形態において、偏光層116の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であってもよい。
【0029】
図6Aおよび図6Bは、本発明の3つの実施形態に係る視野角が60度の時の画像色切替フィルムの分光反射率および透過率スペクトルを示したものである。図6Aおよび図6Bにおいて、「H=60-70nm/L=130-140nm」に対応する曲線は、画像色切替フィルムの第2透光性フィルム320の厚さが60nm~70nmの範囲であり、第1透光性フィルム310の厚さが130nm~140nmの範囲であることを意味し、他の曲線も同様に類推される。さらに、例えば、図6Aおよび図6Bにおいて、第2透光性フィルム320の屈折率は、1.8~2.4であり、第1透光性フィルム310の屈折率は、例えば、1.6~1.3である。画像色切替フィルムの設計目標は、一般的な白色光の透過率スペクトルを調べることである。画像色切替フィルムの設計において、600~800nmの波長を有する光の平均透過率を400~600nmの波長を有する光の平均透過率よりも大きくすることにより、短波長側で低い透過率を示し、長波長側で高い透過率を示す傾向を得ることができる。
【0030】
図7は、画像色切替フィルムを4ドメイン垂直配向型液晶表示パネルに追加していない時の様々な異なる視野角における赤色光、緑色光、および青色光の構成比率を示す破線図である。本実施形態において、青色光、緑色光、および赤色光の構成比率は、スペクトル曲線下の青色光、緑色光、および赤色光の面積の比率を指す。図8は、図4の垂直配向型液晶表示モジュールにおける画像色切替フィルム300および透光性基板330の様々な視野角における分光反射率を示したものである。図4図7、および図8を参照すると、本発明の本実施形態の画像色切替フィルムは、強め合う干渉(constructive interference)反射スペクトルを利用し、「視野角が増えるにつれて反射率の相対的ピークが図8の左上へ移動する」を主な設計重点として設計する。垂直配向型液晶表示パネルの各視野角のスペクトル分布を観察すると、4ドメイン垂直配向型液晶表示パネルの赤色光の比率は、視野角の増加とともに急速に減少しているが、緑色光の比率および青色光の比率は、増加しており、8ドメイン垂直配向型液晶表示パネルについても同様の問題が生じることがわかった。
【0031】
画像色切替フィルムにおいて、薄膜(単一層または多層であり、各膜厚は10~750nmの範囲)の強め合う干渉の反射作用を使用し、青色光または緑色光の一部は、大きな視野角で反射して、偏光板から液晶表示パネルの内側に進入するため、観察者によって観察されるスペクトルおよび赤色光の相対エネルギーは、画像色切替フィルムを有さない元の液晶表示パネルよりも高い。そのため、大きな視野角における赤色光の比率を調整して中心視野角における赤色光の比率に近づけることにより、大きな視野角の画像品質と中心視野角の画像品質が類似していることを確認する。
【0032】
設計上、反射率スペクトル設計の好ましい実施形態は、視野角が増加するにつれて相対的ピーク領域が左上(青色光の方向)に移動できるのが好ましい。反射率スペクトルの青色帯域のピークが視野角とともに増加した時、反射率スペクトルを左上に移動するように設計することができる。この目的は、観察者が中心視野角から大きな視野角に移動した時に、青色光と緑色光の減少率が徐々に増えるため、画像色切替フィルムを「青色光を減らす能力(または、赤色光と黄色光のエネルギー比を増やす能力)」を徐々に向上させるように設計する。垂直配向型液晶表示パネルに使用すると、大きな視野角において赤色光、緑色光、および青色光のエネルギー比を逆に調整することである。
【0033】
干渉効果が確実に生じるようにするため、単層フィルムを例に挙げると、形成されるフィルムの厚さは、dであり、屈折率は、nであり、視野角は、θであり、n・d・cosθ=1/4・m・λである。ここで、mは、奇数であり、λは、光の波長であり、θの具体的な定義は、使用者の目の位置から垂直配向型液晶表示モジュールの発光面の中心までの線と垂直配向型液晶表示モジュールの法線の間の角度である。
【0034】
図8の実施形態において、第2透光性フィルム320の屈折率は、例えば、2~2.4であり、第1透光性フィルム310の屈折率は、例えば、1.3~1.5である。
【0035】
図9は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図9を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100cは、図5の垂直配向型液晶表示モジュール100bと類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。本実施形態において、画像色切替フィルム300は、偏光層116と第2透明基板114の間に配置される。
【0036】
図10は、本発明の別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図10を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100dは、図5の垂直配向型液晶表示モジュール100bと類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。本実施形態において、画像色切替フィルム300は、第2透明基板114と垂直配向型液晶表示パネル200の間、つまり、偏光板110と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置され、画像色切替フィルム300は、垂直配向型液晶表示パネル200の上方に配置される。
【0037】
図11Aは、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図であり、図11Bは、図11Aの垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。図11Aおよび図11Bを参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100eは、図1Aおよび図1Cの垂直配向型液晶表示モジュール100と類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100eにおいて、画像色切替フィルム300は、垂直配向型液晶表示パネル200の下方に配置され、偏光板120は、画像色切替フィルム300と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置されるが、別の実施形態において、画像色切替フィルム300は、偏光板120と垂直配向型液晶表示パネル200の間に配置されてもよい。
【0038】
本実施形態において、偏光板120は、第3透明基板122、第4透明基板124、および偏光層126を含む。第3透明基板122は、垂直配向型液晶表示パネル200の下に配置され、第3透明基板122は、垂直配向型液晶表示パネル200と第4透明基板124の間に配置される。偏光層126は、第3透明基板122と第4透明基板124の間に配置される。第3透明基板122および第4透明基板124の選択的な材料は、第1透明基板112および第2透明基板114の材料から選択することができ、偏光層126の選択的な材料は、偏光層116の材料から選択することができる。
【0039】
本実施形態において、偏光板120の透過軸X2(すなわち、偏光層126の透過軸)は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行であるため、水平方向における大きな視野角の光に対し、偏光板120は、画像色切替フィルム300からの垂直偏光を通過させ、画像色切替フィルム300からの水平偏光を遮断することができる。そのため、画像色切替フィルム300のパラメータを垂直偏光に基づいて設計することにより、光学特性を達成することができる。入射光50がバックライトモジュール400から偏光板120に入射した時、入射光50および反射光52を平面PLNとした場合(図1Dに示す)、入射光50において、平面PLNに対して垂直な偏光方向PSを有する偏光の大部分は、偏光板120を通過することができるが、平面PLNに対して平行な偏光方向PPを有する偏光は、偏光板120によって吸収される。そのため、画像色切替フィルム300を平面PLNに対し垂直偏光に基づいて設計し、少数のフィルム層を使用することにより、光学特性を達成することができる。さらに、画像色切替フィルム300を垂直配向型液晶表示パネル200の下方に配置することにより、垂直配向型液晶表示モジュール100eの視覚的センスを向上させることができる。これは、垂直配向型液晶表示モジュール100eが発光していない時は下層に配置された画像色切替フィルム300が外側からの環境光を容易に反射せず、使用者が見ている画面にはかなり暗い黒色が現れるからであり、それにより、視覚的センスが向上する。
【0040】
図12は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの立体層状図である。図12を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100fは、図11Aおよび図11Bの垂直配向型液晶表示モジュール100eと類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。図11Aおよび図11Bの垂直配向型液晶表示モジュール100eにおいて、偏光板110の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であり、偏光板120の透過軸X2は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行である。相違点は、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100fにおいて、偏光板110の透過軸X1が垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行であり、偏光板120の透過軸X2が垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であることである。したがって、この時、偏光板120の透過軸X2の方向は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行である(長辺方向は、水平方向である)。入射光50および反射光52を平面PLNとした場合(図1Dに示す)、入射光50において、平面PLNに対して平行な偏光方向PPを有する偏光の大部分は、偏光板120を通過することができるが、平面PLNに対して垂直な偏光方向PSを有する偏光は、吸収されるため、画像色切替フィルム300を平面PLNに対し平行偏光に基づいて設計することにより、光学特性を達成することができる。
【0041】
図13は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図13を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100gは、図11Aの垂直配向型液晶表示モジュール100eと類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100gにおいて、画像色切替フィルム300は、第3透明基板122と第4透明基板124の間に配置される。図13は、画像色切替フィルム300が偏光層126と第4透明基板124の間に配置された場合を例として示したものである。しかしながら、別の実施形態において、画像色切替フィルム300は、第3透明基板122と偏光層126の間に配置されてもよい。本実施形態において、偏光層126の透過軸X2は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向(すなわち、図13の紙面に入る方向)に対して平行であり、偏光板110の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向(すなわち、図13の紙面に対して平行な方向)に対して平行である。しかしながら、別の実施形態において、偏光層126の透過軸X2は、垂直配向型液晶表示パネル200の長辺方向に対して平行であってもよく、偏光板110の透過軸X1は、垂直配向型液晶表示パネル200の短辺方向に対して平行であってもよい。さらに、本実施形態において、第3透明基板122は、位相差補償フィルムであってもよい。
【0042】
図14は、本発明のさらに別の実施形態に係る垂直配向型液晶表示モジュールの概略的断面図である。図14を参照すると、本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100hは、図13の垂直配向型液晶表示モジュール100gと類似しており、両者の相違点は、以下の通りである。本実施形態の垂直配向型液晶表示モジュール100hにおいて、偏光板120hは、さらに、第3透明基板122と偏光層126の間に配置された位相差補償フィルム128を含む。位相差補償フィルム128の機能および材料は、位相差補償フィルム118の機能および材料と同じであるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0043】
図15は、赤色サブ画素、緑色サブ画素、および青色サブ画素がいずれも60度の視野角で点灯した時の対照群、図1Aの実施形態、および図5の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールの実際のスペクトルを示したものである。図15において、対照群の曲線は、本発明の本実施形態の画像色切替フィルム300を有さない垂直配向型液晶表示モジュールを示す。図15からわかるように、図1Aの実施形態における垂直配向型液晶表示モジュール100の赤色光(長波長部分)のスペクトル強度および図5の実施形態における垂直配向型液晶表示モジュール100bの赤色光のスペクトル強度は、対照群の赤色光のスペクトル強度よりもはるかに大きい。これは、視野角が60度の時に、肌色の赤色光と黄色光のエネルギー比がいずれも増加して(黄色光帯域は、約570nm~590nmの範囲の波長を指す)、大きな視野角における画像の色品質が有効に向上したことを意味する。
【0044】
以上のように、本発明の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールは、大きな視野角において、画像色切替フィルムを設置することにより、短波長の一端における可視光透過スペクトルの平均透過率を長波長の一端における可視光透過スペクトルの平均透過率よりも小さくする、つまり、より多くの赤色光と黄色光を通過させ、青色光と緑色光の通過を抑制することができるため、視野角が大きい時に、緑がかった白色画像や青色がかった白色画像が生じる問題を有効に改善することができ、それにより、肌色画像の色精度を向上させることができる。つまり、本発明の実施形態の垂直配向型液晶表示モジュールは、大きな視野角における色ズレの問題を有効に改善することができる。さらに、垂直配向型液晶表示技術は、依然として、中心視野角においてコントラストが高く、演色性が強いという利点を有する。本実施形態は、大きな視野角における色ズレを改善して、垂直配向型液晶表示技術の高コントラスト特性を維持することができるため、IPS技術を超えることができ、優れた演色性の効果を有する表示技術になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の垂直配向型液晶表示モジュールは、ディスプレイに応用することができる。
【符号の説明】
【0046】
50 入射光
52 反射光
54 透過光
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h 垂直配向型液晶表示モジュール
110、120、120h 偏光板
112 第1透明基板
114 第2透明基板
116、126 偏光層
118、128 位相差補償フィルム
119 表面処理層
122 第3透明基板
124 第4透明基板
200 垂直配向型液晶表示パネル(VA-LCDパネル)
210 サブ画素
210B 青色サブ画素
210G 緑色サブ画素
210R 赤色サブ画素
212 配向ドメイン
300 画像色切替フィルム
310 第1透光性フィルム
320 第2透光性フィルム
330 透光性基板
340 接着剤
400 バックライトモジュール
E1、E2 一端
PLN 平面
PP、PS 偏光方向
X1、X2 透過軸
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】