(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166875
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】キャビネットの穴加工システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221027BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221027BHJP
G16Y 10/45 20200101ALI20221027BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
G06Q30/06 300
G16Y10/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072240
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田島 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高村 哲也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】インターネットを利用したシステムを用いて穴をあけたキャビネットを購入したい顧客に対して、システム利用時の負担を抑制できるようにすること。
【解決手段】キャビネットに関する文字情報と、キャビネットへの穴加工に関する文字情報と、からなるテキストファイルTfを入力可能とし、入力されたテキストファイルを読み込む読込手段51と、読込手段により読み込まれた文字情報を利用し、穴加工を施したキャビネット情報を提示する提示手段55と、提示手段により提示されたキャビネットの発注を行う発注手段56と、を備えたキャビネットの穴加工システム50とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットに関する文字情報と、キャビネットへの穴加工に関する文字情報と、からなるテキストファイルを入力可能とし、入力されたテキストファイルを読み込む読込手段と、
読込手段により読み込まれた文字情報を利用し、穴加工を施したキャビネット情報を提示する提示手段と、
を備えたキャビネットの穴加工システム。
【請求項2】
キャビネットの品名情報とそれに紐づくキャビネット情報を記憶する記憶手段を備え、
入力されたテキストファイルに含まれるキャビネットの品名情報と合致するキャビネット情報を記憶手段から入手する段階から、当該キャビネット情報を提示手段で提示する段階までを自動的に行うことが可能な請求項1に記載のキャビネットの穴加工システム。
【請求項3】
組付け部材の品名情報と複数の穴加工情報を紐づけて記憶する記憶手段を備え、
入力されたテキストファイルに含まれる組付け部材の品名情報に紐づいた複数の穴加工情報を記憶手段から入手する段階から、当該複数の穴加工を施したキャビネット情報を提示手段で提示する段階までを自動的に行うことが可能な請求項1又は2に記載のキャビネットの穴加工システム。
【請求項4】
提示手段により提示されたキャビネットの発注を行う発注手段を備え、
発注手段は、加工穴への組付け部材の組付けの要否の入力項目が文字情報に備えられている場合に、加工穴への組付け部材の組付けの要否を発注に自動的に反映させる請求項2または3に記載のキャビネットの穴加工システム。
【請求項5】
読込手段は複数の文字情報の記載方式に対応可能である請求項1乃至4の何れかに記載のキャビネットの穴加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットの穴加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットを用いてキャビネットを発注するシステムがある。キャビネットには色々な部品を取り付けることがあるため、顧客としては、一般的に売られている標準品に穴などをあけて買いたい場合がある。そのため、特許文献1に示すように、どのような穴をあけたキャビネットにするのかという情報を入力した上で穴加工をしたキャビネットを発注するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、キャビネットを発注したい顧客は、穴の大きさや位置などを確認できるように図面を作成するのが通常である。上記する発注を行うためにシステムを利用する場合、この図面を見ながら、システムに対して、キャビネットに対する穴加工の情報を手入力で行っていた。つまり、従来のシステムでは、顧客が発注したいキャビネットに対する穴加工の情報をシステム上で一から手入力を行う必要があり、作業性が悪いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、インターネットを利用したシステムを用いて穴をあけたキャビネットを購入したい顧客に対して、システム利用時の負担を抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、キャビネットに関する文字情報と、キャビネットへの穴加工に関する文字情報と、からなるテキストファイルを入力可能とし、入力されたテキストファイルを読み込む読込手段と、読込手段により読み込まれた文字情報を利用し、穴加工を施したキャビネット情報を提示する提示手段と、を備えたキャビネットの穴加工システムとする。
【0007】
また、キャビネットの品名情報とそれに紐づくキャビネット情報を記憶する記憶手段を備え、入力されたテキストファイルに含まれるキャビネットの品名情報と合致するキャビネット情報を記憶手段から入手する段階から、当該キャビネット情報を提示手段で提示する段階までを自動的に行うことが可能な構成とすることが好ましい。
【0008】
また、組付け部材の品名情報と複数の穴加工情報を紐づけて記憶する記憶手段を備え、入力されたテキストファイルに含まれる組付け部材の品名情報に紐づいた複数の穴加工情報を記憶手段から入手する段階から、当該複数の穴加工を施したキャビネット情報を提示手段で提示する段階までを自動的に行うことが可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、提示手段により提示されたキャビネットの発注を行う発注手段を備え、発注手段は、加工穴への組付け部材の組付けの要否の入力項目が文字情報に備えられている場合に、加工穴への組付け部材の組付けの要否を発注に自動的に反映させる構成とすることが好ましい。
【0010】
また、読込手段は複数の文字情報の記載方式に対応可能である構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、インターネットを利用したシステムを用いて穴をあけたキャビネットを購入したい顧客に対して、システム利用時の負担を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態におけるキャビネットの穴加工システムとテキストファイルとの関係を示した概念図である。
【
図3】提示手段により提示される内容の例を示す図である。
【
図4】テキストファイルの情報から読み込まれた発注情報を基に提示された図面の例を示す図である。
【
図5】テキストファイルの入力から発注などを行うまでの流れの例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1に示されていることから理解されるように、本実施形態のキャビネットの穴加工システム50は、キャビネットに関する文字情報と、キャビネットへの穴加工に関する文字情報と、からなるテキストファイルTfを入力可能とし、入力されたテキストファイルTfを読み込む読込手段51と、読込手段51により読み込まれた文字情報を利用し、穴加工を施したキャビネット情報を提示する提示手段55と、を備えている。このため、インターネットを利用したシステムを用いて穴をあけたキャビネットを購入したい顧客に対して、システム利用時の負担を抑制することが可能となる。
【0014】
ここで、実施形態の穴加工システム50の構成について説明をする。実施形態の穴加工システム50は、インターネットを利用して送られてくるテキストファイルTfを読み込むことができる読込手段51を備えている。この読込手段51はテキストファイルTfに対応しており、テキストファイルTfに含まれるキャビネットに関する文字情報と、キャビネットへの穴加工に関する文字情報を読み込み、要望されているキャビネットの情報を取得するように機能する。なお、読込手段51は複数の文字情報の記載方式に対応可能であるようにするのが好ましい。
【0015】
例えば、テキストファイルTfには
図2に示すような文字情報が含まれている。
図2における1行目の情報は、キャビネットの品名や塗装色を特定可能な情報である。また、2行目以降は部位名、穴加工種別、穴の寸法、穴の位置(x座標、y座標)、組付けの指定などを特定可能な情報である。
【0016】
図2に示す例では、テキストファイルTfをcsv形式としている。テキストファイルTfをcsv形式としているのは、キャビネットへの加工情報は、通常、EXCEL(商標)等の表計算ソフトを用いて表形式で作成されるからである。その情報をcsv変換するだけで入力するテキストファイルTfを作成できるので、従来のようにシステム上で手入力を行う必要がなく作業が簡易となる。なお、実施形態では、テキストファイルTfに記載された文字情報の各項目はコンマで区切られている。
【0017】
図2に示す例では2行目以降を部位名毎の情報としているが、穴加工を行う部位のみ情報を記載すればよいように構成するのが好ましい。この場合、情報が記載されていない部位は穴加工を行わない部位であると認識させればよい。例えば、
図2に示す例では、扉と左側面のみに穴加工を行うことを意味している。
【0018】
テキストファイルTfに含まれる文字情報には、キャビネットの品名、塗装色、部位名、穴加工種別、穴の寸法、座標データ、組付け指定等を例示できる。なお、テキストデータの文字情報で組付け部材名が指定されている場合に、組付け部材に必要な複数の加工穴情報を一括で出力できるようにするのが好ましい。
【0019】
実施形態では、提示手段55により提示されたキャビネットの発注を行う発注手段56を備えているが、キャビネットの品名情報のテキストデータを用いれば、キャビネットの部位構成や各部位の寸法情報等のキャビネットの発注に必要なキャビネット情報を自動で読み込むことができる。
【0020】
部位名の入力についてはどのようなものであっても良いが、DOOR(扉)、LEFT(左側面)、RIGHT(右側面)、BOTTOM(底面)、TOP(天面)、BACK(背面)等と入力することが例示できる。
【0021】
穴加工種別を入力できるようにする場合は、例えば、「MA」が丸穴を、「KA」が四角穴を、「NMA」が長丸穴を、「NKA」が長角穴を表すようにしても良い。また、穴加工種別に組付け部材名(「ルーバ」や「換気扇」等のオプションパーツ名など)を指定すれば、特定の配列の複数の加工穴を認識できるようにしても良い。
【0022】
穴の寸法を特定する場合、例えば直径100mmの丸穴の場合は100.0と指定するようにすればよい。また、座標データを指定できるようにする場合は、例えば、加工穴の位置を、左下角に設けた原点を基準にしたx軸やy軸の情報を用いて指定できるようにすればよい。
【0023】
「組付け部材を組付けたキャビネット」を発注するか否かの指定を行えるようにしても良い。この場合、例えば、「組付けなし」や「組付けあり」と指定できるようにすれば良い。組付けを行う場合は、穴加工種別欄に組付け部材名の記載を求めるようにしても良い。
【0024】
ところで、読込手段51により読み込まれた情報は選定手段53を用いて記憶手段52に記憶された情報と照合される。実施形態の記憶手段52には発注可能なキャビネットの情報を保管するキャビネットデータベースDcと、キャビネットに加工可能な加工穴の情報を保管する加工穴データベースDhと、キャビネットに組付けられる組付け部材の品名や組付けに必要な加工穴情報を保管する組付け部材データベースDmが備えられている。実施形態の選定手段53は、それらのデータベースに保管された情報と読込手段51により読み込まれた情報を照合し、特定の情報を選定する。
【0025】
なお、各データベースには「特定のものを表す文字情報」と「その文字情報で表されているものに関する図の情報」が紐づけられており、必要に応じて、テキストファイルTfに記載された文字情報から特定される図を提示できるように構成している。
【0026】
テキストファイルTfで指定されたキャビネットに対して、テキストファイルTfで指定された穴加工が可能であるか否かの判定を行えるようにするため、穴加工判定手段54では、記憶手段52で記憶された情報を利用する。例えば、穴加工判定手段54で、選定手段53により選定されたキャビネットの情報と、選定手段53により選定された加工穴の情報を照らし合わせたり、各情報をチェックしたりする。より具体的には、穴加工判定手段54を用いて、キャビネットデータベースDcを参照し、キャビネットの穴加工の禁止領域に穴加工が指定されているかどうかを判定したり、加工穴データベースDhを参照し、加工可能な穴形状であるのか否かを判定したりする。
【0027】
穴加工判定手段54により、テキストファイルTfで指定されたキャビネットに対して、テキストファイルTfで指定された穴加工ができないと判定された場合、提示手段55を用いてエラーを意味する提示を顧客などに提示できるようにするのが好ましい。そうすれば顧客などが自分で入力した内容に問題があることを確認することができる。
【0028】
穴加工判定手段54により、テキストファイルTfで指定されたキャビネットに対して、テキストファイルTfで指定された穴加工が可能であると判定された場合、提示手段55を用いて発注情報を顧客などに提示できるようにするのが好ましい。そうすれば顧客などが自分で入力した内容が反映されているのかを確認することができる。なお、このような発注情報としては、
図3に示すように文字として認識できるものが例示できる。
【0029】
例えば、キャビネットの品名情報とそれに紐づくキャビネット情報を記憶する記憶手段52を備えた構成とし、入力されたテキストファイルTfに含まれるキャビネットの品名情報と合致するキャビネット情報を記憶手段52から入手する段階から、当該キャビネット情報を提示手段55で提示する段階までを自動的に行うことが可能なようにするのが好ましい。そうすれば、システム利用時の顧客の負担を、より一層抑制できる。
【0030】
また、組付け部材の品名情報と複数の穴加工情報を紐づけて記憶する記憶手段52を備えた構成とし、入力されたテキストファイルTfに含まれる組付け部材の品名情報に紐づいた複数の穴加工情報を記憶手段52から入手する段階から、当該複数の穴加工を施したキャビネット情報を提示手段55で提示する段階までを自動的に行うことが可能なようにするのが好ましい。そうすれば、システム利用時の顧客の負担を、より一層抑制できる。
【0031】
穴加工判定手段54により、テキストファイルTfで指定されたキャビネットに対して、テキストファイルTfで指定された穴加工が可能であると判定された場合、発注する内容を表した図面情報を提示手段55を用いて顧客などに提示できるようにするのが好ましい。発注する内容を表した図面情報としては
図4に示すような図面が例示できるが、立体的な表現をした図など、その他の形式の図面情報でも構わない。
【0032】
実施形態では、提示手段55で情報の提示が行われた後に顧客側で発注ボタンが押されると発注される。なお、加工穴への組付け部材の組付けの要否の入力項目が文字情報に備えられている場合に、発注手段56が、加工穴への組付け部材の組付けの要否を発注に自動的に反映させるようにするのが好ましい。そうすれば、システム利用時の顧客の負担を、より一層抑制できる。また、発注する内容を表した図面情報に図面番号を付し、図面番号と図面情報を連携させるようにしてもよい。そうすれば、図面番号をもとに発注する内容を表した図面情報を容易に得ることができる。
【0033】
ここで、穴加工システム50へのテキストファイルTfの入力から発注などのアクションに進む流れの例について
図5に示す流れに沿って説明をする。まず、穴加工システム50に入力されたテキストファイルTfが読込手段51を用いて読み込まれる(ST1001)。その後、選定手段53は、読み込まれた情報(品名情報など)を用いて、データベースに保管されているキャビネットの情報の中から選定を行う(ST1002)。また、読み込まれた情報を用いて、選定手段53がデータベースに保管されている加工穴の情報の選定を行い、この加工穴の情報をステップ1002で選定されたキャビネットの情報に適用する(ST1003)。
【0034】
ステップ1003によりなされた処理などから、指定されたようにキャビネットに穴加工ができるか否かの判定を行う。この判定は穴加工判定手段54を用いて行われる(ST1004)。この判定結果を踏まえ発注が可能であるか否かの判定が行われる(ST1005)。
【0035】
ステップ1005で発注が可能であると判定された場合、提示手段55を用いて発注情報を提示する(ST1006)。また、その後、顧客側の発注の意思が確認されたら発注作業をおこなう(ST1007)。なお、ステップ1005で発注が不可能であると判定された場合、提示手段55を用いてエラーの通知をおこなう(ST1008)。
【0036】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、本発明の思想に合致する限りで、フローの要素の削除や追加、順番の入れ替えなどを行うことも可能である。
【符号の説明】
【0037】
50 穴加工システム
51 読込手段
52 記憶手段
55 提示手段
Tf テキストファイル