IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電力装置 図1
  • 特開-電力装置 図2
  • 特開-電力装置 図3
  • 特開-電力装置 図4
  • 特開-電力装置 図5
  • 特開-電力装置 図6
  • 特開-電力装置 図7
  • 特開-電力装置 図8
  • 特開-電力装置 図9
  • 特開-電力装置 図10
  • 特開-電力装置 図11
  • 特開-電力装置 図12
  • 特開-電力装置 図13
  • 特開-電力装置 図14
  • 特開-電力装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166882
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】電力装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221027BHJP
   B60R 16/03 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
B60R16/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072255
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】森田 晋二郎
(72)【発明者】
【氏名】今野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】長 敏之
(72)【発明者】
【氏名】少覚 功
(72)【発明者】
【氏名】西宮 歩
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】外部電源を小型化することで、システム全体を小型化する。
【解決手段】電力装置10は、第1蓄電部14とECU34とを電気的に接続する第2電力伝達経路20と、第2電力伝達経路20上に設けられ、電力を変換する第2電力変換部30と、第1蓄電部14よりも低い電圧を有する第2蓄電部16と、ECU34に対して第2電力伝達経路20と並列に設けられ、第2蓄電部16とECU34とを電気的に接続する第3電力伝達経路22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電部と、前記第1蓄電部と第1電力伝達経路を介して電気的に接続される動作部と、前記第1電力伝達経路上に設けられ、電力を変換する第1電力変換部と、前記第1電力変換部を制御する制御部とを備える電力装置において、
前記第1蓄電部と前記制御部とを電気的に接続する第2電力伝達経路と、
前記第2電力伝達経路上に設けられ、電力を変換する第2電力変換部と、
前記第1蓄電部よりも低い電圧を有する第2蓄電部と、
前記制御部に対して前記第2電力伝達経路と並列に設けられ、前記第2蓄電部と前記制御部とを電気的に接続する第3電力伝達経路と、
を備える、電力装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力装置において、
前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とを電気的に接続し、前記第2蓄電部から前記第1蓄電部への電力の供給が可能な第4電力伝達経路を備え、
前記第1蓄電部は、外部からの電力の供給によって、外部との電力の授受が可能な起動状態と、前記授受が不能な非起動状態とに切り替え可能である、電力装置。
【請求項3】
請求項2記載の電力装置において、
前記第1蓄電部は、前記非起動状態のときに、前記第2蓄電部の電力が前記第4電力伝達経路を介して供給されることで前記起動状態に切り替わり、前記第2電力伝達経路を介して前記制御部に電力を供給する、電力装置。
【請求項4】
請求項3記載の電力装置において、
前記制御部に設けられ、前記第1蓄電部を起動状態にするための起動電力を生成する起動電力生成部を備え、
前記第3電力伝達経路は、前記第4電力伝達経路の一部であって、前記起動電力生成部と前記第2蓄電部とを電気的に接続し、
前記起動電力生成部は、
前記第1蓄電部が前記非起動状態のときに、前記第2蓄電部の電力に基づいて前記起動電力を生成し、生成した前記起動電力を前記第4電力伝達経路を介して前記第1蓄電部に供給することで、前記第1蓄電部を前記起動状態に切り替え、
前記起動状態に切り替わった前記第1蓄電部から前記第2電力伝達経路を介して前記第2電力変換部への電力供給が開始された場合、前記第2電力変換部で変換された電力に基づいて前記起動電力を生成し、生成した前記起動電力を前記第4電力伝達経路を介して前記第1蓄電部に供給することで、前記起動状態を維持し、
前記第1蓄電部への前記起動電力の供給を停止することで、前記第1蓄電部を前記起動状態から前記非起動状態に切り替える、電力装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の電力装置において、
前記第4電力伝達経路と並列に設けられ、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部とを電気的に接続する第5電力伝達経路と、
前記第5電力伝達経路上に設けられ、電力を変換する第3電力変換部と、
を備える、電力装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力装置において、
前記第3電力伝達経路に電気的に接続され、前記動作部よりも低い動作電圧を有する他の動作部を備える、電力装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力装置において、
前記第2電力変換部は、前記制御部又は前記第1電力変換部の内部に設けられる、電力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1蓄電部と動作部とを電気的に接続する第1電力伝達経路上に設けられた第1電力変換部を制御部で制御する電力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載される電源装置であって、該電源装置が蓄電池及びBMU(バッテリマネジメントシステム)を有する補助電源を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-175864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、電気自動車や電動バイク等のEV(電動車両)のシステムでは、モータ(動作部)の駆動用のバッテリ(第1蓄電部)に加え、一般電装品やECU(電子制御装置)の駆動用のサブバッテリ(例えば、12Vの蓄電池)が搭載されている。また、近年、EVシステム用のバッテリは、リチウムバッテリのように、高性能のバッテリではあるが、バッテリ管理が必要とされている。そこで、当該バッテリには、BMUのように、バッテリマネジメント機能や、CAN(Controller Area Network)等による通信機能が具備されている。そのため、EVシステム用のバッテリでは、これらの機能を動作させるため、外部電源(例えば、サブバッテリ)から電力の供給を受ける必要がある。
【0005】
また、EVシステム用のバッテリには、着脱式の交換型バッテリが多い。この特徴を利用し、EV以外の固定式電源で動作するシステム等に、当該バッテリを転用する取り組みも増えてきている。その際、前述のように、当該バッテリを起動させるためには、外部電源が必要であるため、システムが大型化するという課題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、外部電源を小型化することで、システム全体を小型化することが可能となる電力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、第1蓄電部と、前記第1蓄電部と第1電力伝達経路を介して電気的に接続される動作部と、前記第1電力伝達経路上に設けられ、電力を変換する第1電力変換部と、前記第1電力変換部を制御する制御部とを備える電力装置に関する。この場合、前記電力装置は、前記第1蓄電部と前記制御部とを電気的に接続する第2電力伝達経路と、前記第2電力伝達経路上に設けられ、電力を変換する第2電力変換部と、前記第1蓄電部よりも低い電圧を有する第2蓄電部と、前記制御部に対して前記第2電力伝達経路と並列に設けられ、前記第2蓄電部と前記制御部とを電気的に接続する第3電力伝達経路とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2電力変換部が第1蓄電部の電力を変換して制御部に供給することで、制御部の駆動電源として機能する。これにより、外部電源としての第2蓄電部の電源容量を小さくすることができ、外部電源を小型化及び低出力化することが可能となる。この結果、電力装置全体を小型化することが可能となる。また、第1蓄電部及び制御部を車両以外のシステム等に転用することで、第1蓄電部の制御を共用化することが可能となる。これにより、転用先のシステムの小型化及び簡素化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る電力装置の全体構成図である。
図2図1のECUの内部構成図である。
図3図1の電力装置の具体的な回路構成図である。
図4図3のECUの具体的な内部構成図である。
図5図1の電力装置の動作のタイミングチャートである。
図6図1の電力装置の動作のフローチャートである。
図7図1の電力装置の変形例を示す全体構成図である。
図8】比較例の電力装置の全体構成図である。
図9図8の電力装置の変形例を示す全体構成図である。
図10図8の電力装置の具体的な回路構成図である。
図11図10のECUの具体的な内部構成図である。
図12図1の電力装置の他の変形例を示す全体構成図である。
図13図12のECUの内部構成図である。
図14図12の電力装置の具体的な回路構成図である。
図15図14のECUの具体的な内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電力装置について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
【0011】
[1.電力装置10の全体構成]
本実施形態に係る電力装置10は、図1に示すように、例えば、車両12に適用され、第1蓄電部14、第2蓄電部16、第1電力伝達経路18、第2電力伝達経路20、第3電力伝達経路22、第4電力伝達経路24、第5電力伝達経路26、第1電力変換部28、第2電力変換部30、第3電力変換部32、ECU34(制御部)、動作部としてのモータ36、メインスイッチ38、並びに、他の動作部としてのヘッドライト40、ブレーキランプ42及びメータ44を備える。
【0012】
第1蓄電部14は、電力装置10に少なくとも1つ配置される充放電可能なバッテリである。第1蓄電部14は、電力装置10に対して着脱可能なモバイルバッテリであってもよいし、又は、電力装置10に固設されているバッテリであってもよい。第1蓄電部14がモバイルバッテリである場合、例えば、着脱式のリチウムイオンバッテリのバッテリパックが好適である。
【0013】
第2蓄電部16は、第1蓄電部14よりも低い電圧(出力電圧)を有する。第2蓄電部16は、電力装置10に少なくとも1つ配置される充放電可能なバッテリである。第2蓄電部16は、電力装置10に対して着脱可能であってもよいし、又は、電力装置10に固設されてもよい。第2蓄電部16は、例えば、乾電池や鉛バッテリが好適である。
【0014】
第1電力伝達経路18は、第1蓄電部14とモータ36とを電気的に接続する。
【0015】
第1電力変換部28は、第1電力伝達経路18上に設けられ、電力を変換する。具体的に、第1電力変換部28は、インバータを含み、第1蓄電部14から供給される直流電力を交流電力に変換する。変換した交流電力がモータ36に供給されることで、モータ36が駆動する。また、モータ36が発電機として動作する場合、第1電力変換部28は、モータ36が発電した交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第1蓄電部14に供給(充電)する。
【0016】
従って、モータ36は、第1蓄電部14から供給される電力によって動作する負荷(動作部)である。なお、電力装置10では、前述のモータ36に代えて、第1蓄電部14から供給される電力を消費する電力消費部、第1蓄電部14に電力を供給する電力発生部、又は、電力を変換する電力変換部を、第1電力伝達経路18に電気的に接続することも可能である。
【0017】
ECU34は、第2電力伝達経路20を介して第1蓄電部14と電気的に接続されている。ECU34は、第1蓄電部14から第2電力伝達経路20を介して直流電力の供給を受けることが可能である。第2電力伝達経路20上には、電力を変換する第2電力変換部30が設けられている。
【0018】
第2電力変換部30は、ECU34内に設けられたDC/DCコンバータである。第2電力変換部30は、第1蓄電部14から供給される直流電圧(直流電力)を、該直流電圧よりも低い直流電圧に変換(降圧)し、変換した直流電圧(直流電力)をECU34に供給する。ECU34は、車両12に備わるメインスイッチ38からオン信号が出力されているときに、第2電力変換部30から供給される直流電圧(直流電力)によって動作する。すなわち、第2電力変換部30は、ECU34の駆動電源として機能する。なお、オン信号は、メインスイッチ38から出力されるハイレベルの信号をいう。また、後述するオフ信号は、メインスイッチ38から出力されるローレベル又はゼロレベルの信号をいう。
【0019】
また、ECU34は、第3電力伝達経路22を介して第2蓄電部16と電気的に接続されている。この場合、ECU34に対して、第2電力伝達経路20と第3電力伝達経路22とが電気的に並列に接続されている。後述するように、ECU34は、第1蓄電部14が動作を停止している非起動状態にある場合、メインスイッチ38からオン信号が出力されているときに、第2蓄電部16から第3電力伝達経路22を介して供給される直流電力(直流電圧)によって動作する。なお、本実施形態において、第2蓄電部16から第3電力伝達経路22を介したECU34への電力供給は、第1蓄電部14を起動させるために行われるものであり、比較的短時間の電力供給に限定される。
【0020】
第3電力伝達経路22には、ECU34に加え、車両12の補機であるヘッドライト40、ブレーキランプ42及びメータ44が電気的に接続されている。これらの補機は、第2蓄電部16から第3電力伝達経路22を介して供給される直流電力によって動作する。
【0021】
第4電力伝達経路24は、第2蓄電部16から第3電力伝達経路22及びECU34を介して第1蓄電部14に至る電力供給ラインである。すなわち、第3電力伝達経路22は、第4電力伝達経路24の一部を構成する。ECU34は、第2蓄電部16から第3電力伝達経路22を介して供給される直流電力に基づき、第1蓄電部14を起動するための活性化信号(起動電力)を生成し、生成した活性化信号を第4電力伝達経路24を介して第1蓄電部14に供給することで、該第1蓄電部14を起動させる。
【0022】
起動状態となった第1蓄電部14は、外部に対して直流電力の授受が可能な状態となる。これにより、第1蓄電部14からECU34等への直流電力の供給が可能となる。一方、ECU34から第4電力伝達経路24を介した第1蓄電部14への活性化信号の供給が停止すると、第1蓄電部14は、起動状態から非起動状態に切り替わり、動作を停止する。これにより、第1蓄電部14は、外部に対する直流電力の授受が不能な状態となる。
【0023】
従って、ECU34は、第1蓄電部14が非起動状態である時間帯のみ、第2蓄電部16からの直流電力の供給を受けて動作し、それ以外の時間帯では、起動状態の第1蓄電部14から供給される直流電力で動作する。
【0024】
第5電力伝達経路26は、第1蓄電部14と第2蓄電部16とを電気的に接続する。第3電力変換部32は、第5電力伝達経路26に設けられたDC/DCコンバータである。第3電力変換部32は、第1蓄電部14から供給される直流電圧(直流電力)を、該直流電圧よりも低い直流電圧に変換(降圧)し、変換した直流電圧(直流電力)を第2蓄電部16に供給(充電)する。
【0025】
ECU34と、第1電力変換部28、第1蓄電部14及び第3電力変換部32とは、CAN等の通信線46を介して、信号又は情報の送受信が可能である。これにより、ECU34は、通信線46を介して、第1電力変換部28、第1蓄電部14及び第3電力変換部32を制御することが可能となる。
【0026】
なお、電力装置10は、一輪車、二輪車、四輪車等の各種の車両12の電源システムに適用可能である。また、電力装置10は、車両12に限らず、第1蓄電部14からモータ36等の動作部に電力を供給するか、又は、第1蓄電部14を充電する各種の電源システムに適用可能である。そのため、電力装置10は、車両12に限らず、住宅、事業所、公共施設等に設置することも可能である。
【0027】
また、電力装置10は、人が搭乗可能、又は、人が搭乗不能な車両、航空機、飛行体及び船舶等の各種の移動体の電源システムにも適用可能である。この場合、車両の電源システムとしては、電動車両の電源システムや、ハイブリッド車両のような駆動モータが搭載される車両の電源システムに適用可能である。
【0028】
さらに、電力装置10は、人が搭乗しない各種の汎用機器、具体的には、(1)各種の充電器、(2)各種の放電器、(3)汎用作業機、芝刈機、耕うん機及び送風機等の各種の作業機、(4)投光機及び照明機器等の電動機を有しない電気機器、(5)家屋や建物に設置された各種の機器、の電源システムにも適用可能である。この場合、上記(5)の例としては、(A)時計やラジオカセットレコーダ等の音響機器のように直流電力で動作する機器、(B)扇風機、ジューサ、ミキサ、白熱電灯等のように交流電力で動作する機器、(C)テレビ、ラジオ、ステレオ、パーソナルコンピュータ等のように交流電力から変換された直流電力で動作する機器、(D)洗濯機、冷蔵庫、エアコンディショナ、電子レンジ、蛍光灯を含むインバータ方式の機器等のように、交流電力から直流電力に一旦変換された後、該直流電力からさらに変換された交流電力で動作する機器、がある。
【0029】
[2.ECU34の内部構成]
図2に示すように、ECU34は、不図示のマイクロプロセッサ及びメモリを有するコンピュータにより構成される。ECU34は、複数の端子50、前述の第2電力変換部30、ダイオード52、昇降圧回路54、及び、内部回路56を有する。内部回路56は、低電圧電源58及び活性化信号生成部60を有する。
【0030】
複数の端子50は、メインスイッチ38からのオン信号又はオフ信号が入力される信号端子50aと、第2電力伝達経路20に接続される正極端子50b及び負極端子50cと、第3電力伝達経路22に接続される電力端子50dとである。信号端子50aは、内部回路56と電気的に接続されている。電力端子50dは、ダイオード52及び昇降圧回路54を介して内部回路56と電気的に接続されている。第2電力変換部30の入力側(1次側)は、正極端子50b及び負極端子50cと電気的に接続されている。第2電力変換部30の出力側(2次側)は、内部回路56と電気的に接続されている。
【0031】
この場合、メインスイッチ38からのオン信号又はオフ信号は、信号端子50aを介して内部回路56に供給される。昇降圧回路54は、第2蓄電部16から電力端子50d及びダイオード52を介して供給される直流電圧を降圧し、降圧した直流電圧を内部回路56に供給する。第2電力変換部30は、第1蓄電部14から正極端子50b及び負極端子50cを介して供給される直流電圧を降圧し、降圧した直流電圧を内部回路56に供給する。
【0032】
図2では、内部回路56に対して昇降圧回路54と第2電力変換部30とが電気的に並列に接続されている。そのため、昇降圧回路54から出力される直流電圧と、第2電力変換部30から出力される直流電圧とのうち、電圧レベルの高い直流電圧が内部回路56に供給される。従って、第1蓄電部14が非起動状態にある場合、第2電力変換部30から出力される直流電圧はローレベルとなるため、昇降圧回路54から出力される直流電圧が内部回路56に供給される。また、第1蓄電部14が起動状態にある場合、昇降圧回路54から出力される直流電圧が、第2電力変換部30から出力される直流電圧よりも高ければ、昇降圧回路54から出力される直流電圧が内部回路56に供給される。さらに、第1蓄電部14が起動状態にある場合、第2電力変換部30から出力される直流電圧が、昇降圧回路54から出力される直流電圧よりも高ければ、第2電力変換部30から出力される直流電圧が内部回路56に供給される。なお、ダイオード52は、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から内部回路56に出力される直流電圧が、電力端子50dを介して外部に出力されることを防止するための逆流防止ダイオードとして機能する。
【0033】
内部回路56は、メインスイッチ38から信号端子50aを介してオン信号が入力されているときに、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から供給される直流電圧によって動作する。この場合、内部回路56は、不図示のメモリに記憶されたプログラムを読み出し実行することで、各種の制御処理を実行する。内部回路56の低電圧電源58は、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から供給される直流電圧をさらに低い直流電圧に降圧する。降圧された直流電圧は、内部回路56を構成する不図示のプロセッサに供給される。
【0034】
活性化信号生成部60は、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から供給される直流電圧に基づいて、第1蓄電部14を起動状態にするための活性化信号を生成する。活性化信号生成部60は、生成した活性化信号を第1蓄電部14に供給することで、第1蓄電部14を非起動状態から起動状態に切り替え、又は、第1蓄電部14の起動状態を維持する。なお、ECU34に対して複数の第1蓄電部14が電気的に接続されている場合、活性化信号生成部60は、複数の第1蓄電部14に対して、個々に活性化信号を生成し、供給することが可能である。これにより、活性化信号生成部60は、複数の第1蓄電部14の各々に対して、個別に非起動状態と起動状態との切り替えを制御することができる。
【0035】
[3.電力装置10の具体的構成]
図3及び図4は、図1及び図2の電力装置10の具体的構成を示す。なお、図4では、活性化信号の生成以外のECU34の構成も図示している。図3及び図4では、車両駆動用の電力装置10に適用した場合を図示している。図3及び図4において、図1及び図2にも図示されている構成要素については、説明を簡略化するか、又は、説明を省略する。また、図3及び図4では、図1及び図2と同様に、電力装置10が第1蓄電部14としての第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを備える場合について説明する。
【0036】
図3及び図4において、第1電力変換部28はPDU(Power Drive Unit)62である。PDU62に対して、第1蓄電部14としての第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの直列回路が電気的に接続されている。第1バッテリ14aとPDU62との間には、コンタクタ64が配置されている。この場合、第3電力変換部32及びECU34は、第1バッテリ14aとコンタクタ64とを電気的に接続する配線から電力の供給を受ける。すなわち、第2電力伝達経路20と第5電力伝達経路26とは、第1バッテリ14aとコンタクタ64とを電気的に接続する配線に接続されている。
【0037】
第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bは、同じ構成を有する。すなわち、第1バッテリ14aは、バッテリ本体66a、BMU68a、スイッチ70a、絶縁部72a、トランシーバ74a、電源部76a及びコネクタ78aを有する。また、第2バッテリ14bは、バッテリ本体66b、BMU68b、スイッチ70b、絶縁部72b、トランシーバ74b、電源部76b及びコネクタ78bを有する。
【0038】
バッテリ本体66a、66bは、直列に接続された複数のセルによる2次電池を構成する。スイッチ70a、70bは、バッテリ本体66a、66bと直列に設けられ、BMU68a、68bからの制御によって導通状態が決定される。BMU68a、68bは、バッテリ本体66a、66bの状態を検出し、検出した状態をECU34等に通知する。この場合、ECU34等からの制御によりBMU68a、68bの動作状態が決定され、BMU68a、68bは、決定された動作状態に従ってスイッチ70a、70bの導通状態を制御する。
【0039】
絶縁部72a、72bは、BMU68a、68bとトランシーバ74a、74bとの間に設けられた光カプラ等であり、BMU68a、68bとコネクタ78a、78bとの間の信号について、BMU68a、68b側とコネクタ78a、78b側とを電気的に絶縁する。例えば、絶縁部72a、72bは、コネクタ78a、78bのA端子80a、80bからBMU68a、68bに向けて供給される活性化信号を電気的に絶縁して変換し、BMU68a、68bに供給する。従って、BMU68a、68bとトランシーバ74a、74bとは、絶縁部72a、72bを介して、電気的に絶縁されている。なお、A端子80a、80bは、活性化信号送信線82a、82bを介してECU34に接続される。
【0040】
トランシーバ74a、74bは、コネクタ78a、78bと絶縁部72a、72bとの間に設けられ、BMU68a、68bとECU34との間の通信に利用する信号を変換して双方向に中継する。この場合、トランシーバ74a、74bに接続されるコネクタ78a、78bのB端子84a、84bとC端子86a、86bとは、通信線46に接続される。電源部76a、76bは、バッテリ本体66a、66bから電力の供給を受け、BMU68a、68b及び絶縁部72a、72b等に電力の一部を供給する。この場合、電源部76a、76bは、絶縁部72a、72bよりもバッテリ本体66a、66b側に設けられており、コネクタ78a、78b側とは電気的に絶縁されている。
【0041】
コネクタ78a、78bは、上述のように、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを制御するための信号を授受するための複数の信号端子を含む。例えば、コネクタ78a、78bを介して授受される信号には、第1蓄電部14を活性化するための活性化信号と、BMU68a、68bがECU34と通信するための信号が含まれる。コネクタ78a、78bは、これらの信号用の端子の他に、接地端子88a、88b等を含む。上記のコネクタ78a、78bは、電気的信号を授受する場合の一例であり、これに制限されることはなく、光学的に信号を授受するようにしてもよい。
【0042】
BMU68a、68bは、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの充放電の状況、バッテリ本体66a、66bの蓄電量、温度等を監視する。監視結果は、ECU34と共有される。また、BMU68a、68bは、ECU34からの制御指令、又は、上記の監視結果に基づきスイッチ70a、70b等を制御することにより、バッテリ本体66a、66b等の充放電を制御する。
【0043】
ECU34は、トランシーバ90及びコンタクタ駆動部92をさらに有する。なお、図3及び図4において、ECU34の管理部94は、前述の内部回路56を構成するプロセッサの機能ブロックに対応する。
【0044】
活性化信号生成部60は、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを利用可能な状態にするための活性化信号を生成する。活性化信号生成部60は、生成した活性化信号を、活性化信号送信線82a、82bを介して第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bに供給する。この場合、活性化信号送信線82a、82bは、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bについて互いに異なる配線としてなされている。これにより、活性化信号生成部60は、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを個別に活性化(起動)することができる。
【0045】
活性化信号生成部60は、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から管理部94に供給される直流電圧と同等の電圧を活性化信号が有意な状態を示すものとする。つまり、活性化信号生成部60は、活性化信号が有意な状態を示す場合に、昇降圧回路54又は第2電力変換部30から供給される直流電圧と同等の電圧を活性化信号として出力する。例えば、活性化信号生成部60は、不図示のスイッチを含み、このスイッチの導通状態を制御することにより、活性化信号を生成してもよい。活性化信号生成部60は、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの各々に対して活性化信号を生成する。これにより、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの起動状態を個々に制御することが可能になる。
【0046】
トランシーバ90は、BMU68a、68bとECU34との間の通信等に利用する信号を変換して双方向に中継する。管理部94は、活性化信号を受けた第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bと、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの識別情報とを対応付け、その識別情報を第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bにそれぞれ付与する。管理部94は、活性化信号により活性化されるトランシーバ74a、74bを介して、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの識別情報をBMU68a、68bに送る。
【0047】
さらに、ECU34には、車両12に備わるスロットルセンサ96(アクセルセンサ)からの出力要求情報が入力される。管理部94は、活性化信号の供給による、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの初期化処理を終えた後、ECU34に入力された出力要求情報に基づいて、コンタクタ64、第1バッテリ14a、第2バッテリ14b及びPDU62等を制御する。ECU34は、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを制御することにより、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの充放電を制御する。コンタクタ駆動部92は、管理部94からの制御に従って、コンタクタ64を接続状態又は遮断状態に切り替える。
【0048】
BMU68a、68bは、活性化処理部100a、100b、電池制御部102a、102b及び通信処理部104a、104bを有する。
【0049】
活性化処理部100a、100bは、ECU34から供給される活性化信号に基づいて、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの状態を、直流電力の出力が可能な起動状態にする。例えば、活性化処理部100a、100bは、活性化信号が有意な状態であることを検出して、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの状態を、直流電力の出力が可能な起動状態にする。活性化処理部100a、100bは、活性化信号が有意ではない状態になったことを検出して、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの状態を、電力を出力しない非起動状態にする。
【0050】
電池制御部102a、102bは、例えば、バッテリ本体66a、66bの各セルの状態(電圧、SOC等)の変化を検出し、各セルの充電状態が均一になるように調整する。また、電池制御部102a、102bは、ECU34からの制御等により、スイッチ70a、70bを制御して、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを利用可能にする。
【0051】
通信処理部104a、104bは、ECU34と所定のプロトコルに従って通信する。例えば、通信処理部104a、104bは、第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bの充放電を制御するための情報を、ECU34との間で通信する。通信処理部104a、104bは、ECU34が第1バッテリ14a及び第2バッテリ14bを識別するための識別情報を上記の情報に含めて通信する。通信処理部104a、104bは、ECU34から通知される識別情報を、BMU68a、68b内の不図示の記憶領域に格納する。
【0052】
[4.電力装置10の動作]
本実施形態に係る電力装置10は、以上のように構成されるものであり、次に、その動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。ここでは、必要に応じて、図1図4も参照しながら説明する。この動作は、第1蓄電部14(例えば、第1バッテリ14a又は第2バッテリ14b)を起動状態又は非起動状態に切り替えるための動作である。
【0053】
図5は、電力装置10の動作の時間変化を示すタイミングチャートである。また、図6は、図5のタイミングチャートに対応するフローチャートである。
【0054】
時点t1でユーザがメインスイッチ38(図1図2及び図4参照)をオンすると(ステップS1)、メインスイッチ38からECU34(図1図4参照)の信号端子50aを介して内部回路56にオン信号が供給される。
【0055】
次のステップS2で、第2蓄電部16は、第3電力伝達経路22、電力端子50d及びダイオード52を介した昇降圧回路54への直流電圧の供給を開始する。
【0056】
次のステップS3で、昇降圧回路54は、第2蓄電部16から供給された直流電圧を降圧する。降圧した直流電圧は、内部回路56に供給される。これにより、内部回路56は、メインスイッチ38のオン信号の供給をトリガとして、昇降圧回路54から供給される直流電圧によって動作を開始する。この結果、管理部94及び活性化信号生成部60が起動する。
【0057】
次のステップS4において、活性化信号生成部60は、第4電力伝達経路24を介して第1蓄電部14に活性化信号を出力する。第1蓄電部14を構成するBMU68a(BMU68b)は、活性化信号の供給を受け、時点t2で起動し、トランシーバ74a(トランシーバ74b)を介して、ECU34との間で通信を開始する。すなわち、第1蓄電部14は、非起動状態から起動状態に切り替わる。これにより、管理部94は、活性化信号を受けた第1蓄電部14と、第1蓄電部14の識別情報とを対応付け、該識別情報を第1蓄電部14に付与する付番処理を行う。この結果、管理部94は、活性化信号によって起動状態に切り替わった第1蓄電部14のトランシーバ74a(トランシーバ74b)を介して、第1蓄電部14の識別情報をBMU68a(BMU68b)に送る。
【0058】
なお、図5では、ECU34に対して4つの第1蓄電部14が電気的に接続されている場合の付番処理を図示している。この場合、ECU34は、t2~t3の時間帯において、4つの第1蓄電部14の各々に対して、時間をずらして活性化信号を断続的に供給することで、4つの第1蓄電部14を起動状態又は非起動状態に切り替えながら付番処理を行う。これにより、時点t2で活性化信号を最初に供給された第1蓄電部14は、起動状態に切り替わる。
【0059】
そして、時点t3で付番処理が完了すると、次のステップS5において、第1蓄電部14は、直流電圧の出力を開始する。この場合、第1蓄電部14では、付番処理後、不図示のコンデンサを充電するためのプリチャージ処理を実行する。これにより、第1蓄電部14から出力される直流電圧の値は、時間経過に伴って徐々に上昇する。第2電力変換部30は、第1蓄電部14から供給される直流電圧を降圧し、降圧した直流電圧を内部回路56(管理部94)側に出力する。
【0060】
ステップS6において、ECU34では、活性化信号を生成するための駆動電源を、昇降圧回路54から第2電力変換部30に切り替えるかどうかを判定する。この場合、時点t4で、第2電力変換部30から内部回路56(管理部94)側に出力される直流電圧の値が、昇降圧回路54から内部回路56(管理部94)側に出力される直流電圧の値よりも高い場合、駆動電源は、昇降圧回路54から第2電力変換部30に自動的に切り替わる(ステップS6:YES、ステップS7)。
【0061】
この結果、ステップS8において、昇降圧回路54は、動作を停止する。従って、第2蓄電部16からECU34への電力供給が遮断される。
【0062】
これにより、時点t4以降、ECU34は、第1蓄電部14から供給される直流電力によって動作する。また、活性化信号生成部60は、第1蓄電部14から供給される直流電圧に基づいて活性化信号を生成し、生成した活性化信号を第1蓄電部14に供給することで、第1蓄電部14の起動状態を維持させる。
【0063】
上記のステップS6~S8では、昇降圧回路54及び第2電力変換部30の出力電圧差に基づき、昇降圧回路54から第2電力変換部30に駆動電源を自動的に切り替える場合について説明した。本実施形態では、昇降圧回路54及び第2電力変換部30と内部回路56(管理部94)との間に、状態切替スイッチを設け、不図示のメモリ(例えば、EEPROM)に記憶された情報を参照することで、昇降圧回路54から第2電力変換部30に駆動電源を切り替えてもよい。
【0064】
ステップS9において、内部回路56(管理部94)は、メインスイッチ38がオフになったかどうかを判定する。時点t5でメインスイッチ38がオフとなり、メインスイッチ38から信号端子50aを介して内部回路56(管理部94)にオフ信号が入力された場合(ステップS9:YES)、ステップS10に進み、活性化信号生成部60は、活性化信号の生成を停止する。これにより、第1蓄電部14への活性化信号の供給が停止する。
【0065】
この結果、ステップS11において、第1蓄電部14のBMU68a(BMU68b)は、動作停止処理を実行し、第1蓄電部14から出力される直流電圧の値を0レベルにまで低下させる。これにより、時点t6で、第1蓄電部14は動作を停止し、非起動状態に切り替わる。なお、時点t5以降、ECU34は、第2電力変換部30から昇降圧回路54に駆動電源を切り替える。
【0066】
[5.電力装置10の変形例]
図7は、図1図6の電力装置10の変形例を示す。なお、図1図6の電力装置10と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0067】
この変形例は、第1蓄電部14、第2蓄電部16、ECU34、第2電力変換部30、第1電力伝達経路18、第2電力伝達経路20、第3電力伝達経路22及び第4電力伝達経路24を、車両12以外のシステムに転用した場合を図示している。この場合、第1蓄電部14は、第1電力伝達経路18を介して、インバータ等を含む配電システム110と電気的に接続されている。すなわち、配電システム110は、前述の第1電力変換部28を含む動作部(負荷)である。この変形例では、第1蓄電部14及びECU34等を車両12以外のシステムに転用するので、車両12用のバッテリ制御と共用化することができる。この結果、転用先のシステムを簡素化することができる。
【0068】
[6.比較例]
図8図11は、比較例の電力装置120を示す。図8は、図1の電力装置10に対する比較例である。図9は、図7の電力装置10に対する比較例である。図10は、図3の電力装置10に対する比較例である。図11は、図4のECU34に対する比較例である。
【0069】
比較例の電力装置120において、ECU34は、第2蓄電部16のみから直流電力の供給を受けて動作する。従って、比較例では、ECU34は、第1蓄電部14からの直流電力の供給を受けていない。そのため、比較例では、昇降圧回路54、第2電力変換部30及び第2電力伝達経路20は存在しない。
【0070】
従って、比較例の電力装置120では、ECU34は、外部電源としての第2蓄電部16からの直流電力の供給を常時必要とする。これにより、第2蓄電部16の電源容量が大きくなり、電力装置120のシステム構成が大型化する。また、電力装置120を車両12以外のシステムに転用する場合、転用先のシステムも大型化する。
【0071】
これに対して、本実施形態に係る電力装置10では、前述のように、第1蓄電部14が起動状態にある場合は、第1蓄電部14から電力が供給される第2電力変換部30がECU34の駆動電源として機能する。これにより、外部電源としての第2蓄電部16の電源容量を小さくすることができる。この結果、電力装置10のシステム構成を小型化することができる。また、第1蓄電部14及びECU34等を車両12以外のシステムに転用した場合、転用先のシステムの簡素化も行うことができる。
【0072】
[7.電力装置10の他の変形例]
図12図15は、図1図7の電力装置10の他の変形例を示す。他の変形例では、第1電力変換部28の内部に第2電力変換部30が設けられている。この場合、第2電力変換部30は、第3電力変換部32で降圧された直流電圧をさらに降圧して、ECU34に供給する。この他の変形例でも、図1図7の電力装置10と同様に、外部電源としての第2蓄電部16の電源容量を小さくすることができると共に、電力装置10のシステム構成の小型化を実現することができる。また、車両12以外のシステムに転用した場合、転用先のシステムの簡素化を行うこともできる。なお、図13において、第2電力変換部30は、端子50(端子50e)を介して内部回路56と電気的に接続されている。
【0073】
[8.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る電力装置10は、第1蓄電部14と、該第1蓄電部14と第1電力伝達経路18を介して電気的に接続されるモータ36(動作部)と、第1電力伝達経路18上に設けられ、電力を変換する第1電力変換部28と、該第1電力変換部28を制御するECU34(制御部)とを備える。
【0074】
この場合、電力装置10は、第1蓄電部14とECU34とを電気的に接続する第2電力伝達経路20と、該第2電力伝達経路20上に設けられ、電力を変換する第2電力変換部30と、第1蓄電部14よりも低い電圧を有する第2蓄電部16と、ECU34に対して第2電力伝達経路20と並列に設けられ、第2蓄電部16とECU34とを電気的に接続する第3電力伝達経路22とを備える。
【0075】
この構成によれば、第2電力変換部30が第1蓄電部14の電力を変換してECU34に供給することで、ECU34の駆動電源として機能する。これにより、外部電源としての第2蓄電部16の電源容量を小さくすることができ、第2蓄電部16を小型化及び低出力化することが可能となる。この結果、電力装置10全体を小型化することが可能となる。
【0076】
なお、この効果は、第2蓄電部16以外の外部電源や外部のDC/DCコンバータ等の電力変換部をECU34の起動用電源とする場合も同様である。すなわち、外部電源の小型化や、電力変換部の小型化又は省略化を実現することができる。
【0077】
また、第1蓄電部14及びECU34を車両12以外のシステム等に転用することで、第1蓄電部14の制御を共用化することが可能となる。これにより、転用先のシステムの小型化及び簡素化を実現することができる。
【0078】
この場合、電力装置10は、第1蓄電部14と第2蓄電部16とを電気的に接続し、第2蓄電部16から第1蓄電部14への電力の供給が可能な第4電力伝達経路24を備える。第1蓄電部14は、外部からの電力の供給によって、外部との電力の授受が可能な起動状態と、電力の授受が不能な非起動状態とに切り替え可能である。
【0079】
これにより、第1蓄電部14を起動状態と非起動状態とに容易に切り替えることができる。
【0080】
また、第1蓄電部14は、非起動状態のときに、第2蓄電部16の電力が第4電力伝達経路24を介して供給されることで起動状態に切り替わり、第2電力伝達経路20を介してECU34に電力を供給する。
【0081】
これにより、第1蓄電部14をECU34の駆動電源として容易に利用することができる。
【0082】
また、電力装置10は、ECU34に設けられ、第1蓄電部14を起動状態にするための活性化信号(起動電力)を生成する活性化信号生成部60(起動電力生成部)を備える。第3電力伝達経路22は、第4電力伝達経路24の一部であって、活性化信号生成部60と第2蓄電部16とを電気的に接続する。この場合、活性化信号生成部60は、第1蓄電部14が非起動状態のときに、第2蓄電部16の電力に基づいて活性化信号を生成し、生成した活性化信号を第4電力伝達経路24を介して第1蓄電部14に供給することで、第1蓄電部14を起動状態に切り替える。次に、起動状態に切り替わった第1蓄電部14から第2電力伝達経路20を介して第2電力変換部30への電力供給が開始された場合、活性化信号生成部60は、第2電力変換部30で変換された電力に基づいて活性化信号を生成し、生成した活性化信号を第4電力伝達経路24を介して第1蓄電部14に供給することで、起動状態を維持する。そして、活性化信号生成部60は、第1蓄電部14への活性化信号の供給を停止することで、第1蓄電部14を起動状態から非起動状態に切り替える。
【0083】
これにより、第1蓄電部14を起動状態又は非起動状態に効率よく切り替えることができる。
【0084】
また、電力装置10は、第4電力伝達経路24と並列に設けられ、第1蓄電部14と第2蓄電部16とを電気的に接続する第5電力伝達経路26と、第5電力伝達経路26上に設けられ、電力を変換する第3電力変換部32とを備える。
【0085】
これにより、第1蓄電部14から第3電力変換部32を介して第2蓄電部16を充電することができる。
【0086】
また、電力装置10は、第3電力伝達経路22に電気的に接続され、モータ36よりも低い動作電圧を有するヘッドライト40、ブレーキランプ42及びメータ44(他の動作部)を備える。
【0087】
これにより、第2蓄電部16からECU34に電力を供給しつつ、車両12用の補機を動作させることが可能となる。
【0088】
また、第2電力変換部30は、ECU34又は第1電力変換部28の内部に設けられる。
【0089】
電力装置10の効果について、さらに説明する。
【0090】
比較例の電力装置120では、活性化信号は、第2蓄電部16からの電力供給のみで生成している。これに対して、本実施形態に係る電力装置10では、第1蓄電部14の起動後は、ECU34又は第1電力変換部28の内部に設けられた第2電力変換部30からの電力供給によって活性化信号が生成される。この場合、ECU34内に設けられる第2電力変換部30は、車両12の制御から独立した起動用電源である。そのため、第2電力変換部30で生成された電力は、ECU34の駆動電源や、活性化信号として使用される。
【0091】
また、電力装置10では、小型化した第2蓄電部16をECU34内部の第2電力変換部30に組み込むことも可能となる。
【0092】
以上のように構成される電力装置10では、車両12用のバッテリパックである第1蓄電部14のリユースが可能となる。また、灯光器等、車両12ではない汎用機の電源として利用することも可能となる。さらに、ECU34の電源の持ち出しが減るため、第2蓄電部16の小型化を実現することができる。
【0093】
さらにまた、第1蓄電部14の活性化に必要な動作が短時間で済むため、第2蓄電部16の補充電に必要な充電システムの低電圧及び小型化が可能となる。
【0094】
さらにまた、EEPROMによる状態切り替えスイッチによって、切り替えを行うことで、車両12や汎用機において、同一のECU34を使用することが可能となる。この結果、システムの簡素化や流用化が可能となる。
【0095】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
10…電力装置 14…第1蓄電部
16…第2蓄電部 18…第1電力伝達経路
20…第2電力伝達経路 22…第3電力伝達経路
28…第1電力変換部 30…第2電力変換部
34…ECU(制御部) 36…モータ(動作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15