(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166900
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】柱状物塗装装置および柱状物塗装方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20221027BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221027BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20221027BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20221027BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20221027BHJP
B05C 3/09 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
B05D7/00 K
B05D1/28
B05D3/00 B
B05C3/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072304
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000220642
【氏名又は名称】東京電設サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 喜明
(72)【発明者】
【氏名】金子 顕
(72)【発明者】
【氏名】武田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】西川 一基
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一志
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC56
4D075AC84
4D075AC88
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA10
4D075DA15
4D075DA20
4D075DA27
4D075DB02
4D075DC05
4D075EA05
4F040AA04
4F040AA19
4F040AB04
4F040BA44
4F040CC02
4F040CC14
4F041AA08
4F041AB01
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA35
4F041CA02
4F041CA13
4F042AA03
4F042AA18
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042CA01
4F042CB08
(57)【要約】
【課題】既設の柱状物の外周面の上下方向にわたって効率よく均一な塗装を行うことができる塗装装置および塗装方法を提供する。
【解決手段】柱状物の表面に塗料を塗布するための塗装ユニット(10)と、該塗装ユニットを搭載し柱状物に沿って塗装ユニットを上下方向へ移送するための移送手段(20、40)と、を備えた柱状物塗装装置において、前記塗装ユニットは、塗装対象の柱状物の外径に対応した大きさの開口部を有し塗料を貯留可能な環状の塗料貯留部と、口部に開閉弁を備えた複数個の塗料ボトルを有し前記塗料貯留部へ塗料を供給する塗料供給部と、開閉弁を開閉させる駆動手段とを備え、全体が水平方向に複数に分割可能に構成され、塗料貯留部の底部には、塗装対象の柱状物の外径とほぼ同じ大きさの開口を有し弾性材料で形成されたパッキンが設けられているように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状物の表面に塗料を塗布するための塗装ユニットと、該塗装ユニットを搭載し前記柱状物に沿って前記塗装ユニットを上下方向へ移送するための移送手段と、を備えた柱状物塗装装置であって、
前記塗装ユニットは、塗装対象の柱状物の外径に対応した大きさの開口部を有し塗料を貯留可能な環状の塗料貯留部と、口部に開閉弁を備えた複数個の塗料ボトルを有し前記塗料貯留部へ塗料を供給する塗料供給部と、前記開閉弁を開閉させる駆動手段と、を備え、全体が水平方向に複数に分割可能に構成され、
前記塗料貯留部の底部には、前記塗装対象の柱状物の外径とほぼ同じ大きさの開口を有し弾性材料で形成されたパッキンが設けられていることを特徴とする柱状物塗装装置。
【請求項2】
前記塗装ユニットは、前記塗料貯留部の外側に前記塗料ボトルを保持する複数のボトル保持部を備え、
前記ボトル保持部の底部には、前記塗料ボトルの前記開閉弁を開閉させるロッドが当接可能な突起が設けられ、前記駆動手段によって前記塗料ボトルが上下動されることによって前記開閉弁を開閉されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の柱状物塗装装置。
【請求項3】
前記塗料ボトルと前記塗料貯留部は、前記塗装ユニットの矩形状の枠体の4隅にそれぞれ設けられ、
前記塗料ボトルは2個ずつ対にされて2つの水平方向支持部材によってそれぞれ支持され、前記2つの水平方向支持部材に対応して前記駆動手段が2つ設けられ、1つの駆動手段によって2個の塗料ボトルが上下動されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の柱状物塗装装置。
【請求項4】
前記塗料貯留部には、上面視で半円筒をなす気泡除去用のフィルタが2個前記開口部を囲むように並んで配設されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の柱状物塗装装置。
【請求項5】
前記フィルタと前記開口部との間には、下部に塗料が通過可能なスリットを備え前記塗料貯留部の内側壁を形成する円筒状の隔壁が設けられ、該隔壁の内周面には周方向に所定の間隔をおいて複数の突起が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の柱状物塗装装置。
【請求項6】
前記柱状物は磁性体からなる柱であって、
前記移送手段は、前記柱状物の外周に沿って転動可能な複数のマグネット車輪と該マグネット車輪を回転させる回転駆動源とが周方向に所定の間隔をおいて設けられ、全体が水平方向に2分割可能であって上部に前記塗装ユニットが載置可能に構成された移送ユニットであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の柱状物塗装装置。
【請求項7】
請求項1~3のいずれかに記載の柱状物塗装装置を用いた柱状物塗装方法であって、
前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って上方へ移動させる工程と、
前記駆動手段を作動させて前記開閉弁を開く工程と、
前記開閉弁を開いた状態のまま前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って下方へ移動させながら前記柱状物の外周面を塗装する工程と、
を含むことを特徴とする柱状物塗装方法。
【請求項8】
請求項6に記載の柱状物塗装装置を用いた柱状物塗装方法であって、
前記移送ユニットを柱状物の下端部に装着する工程と、
前記塗装ユニットを前記移送ユニットの上に載置させた状態で前記柱状物の下端部に装着する工程と、
前記回転駆動源を作動させて前記マグネット車輪を回転させて前記移送ユニットと前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って上方へ移動させる工程と、
前記駆動手段を作動させて前記開閉弁を開く工程と、
前記開閉弁を開いた状態のまま前記回転駆動源を作動させて前記マグネット車輪を逆転させて前記移送ユニットと前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って下方へ移動させながら前記柱状物の外周面を塗装する工程と、
を含むことを特徴とする柱状物塗装方法。
【請求項9】
前記柱状物の外周面を塗装する工程の後に、
前記塗料貯留部の残留塗料を除去する工程と、
塗装ユニットの重量が前記移送ユニットにかからないように前記塗装ユニットを支えながら前記移送ユニットを分割して前記柱状物の外周から取り外す工程と、
前記塗装ユニットを分割して前記柱状物の外周から取り外す工程と、
を実施することを特徴とする請求項8に記載の柱状物塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状物の外周面を塗装する塗装装置に関し、例えば既設の鋼管柱の外周面を上下方向全体に亘って塗装する塗装装置および塗装方法に利用して有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に立設されている既設の鋼管柱を塗装する作業は、刷毛やローラーブラシ、圧縮エアーを利用した塗装用ガンなどの工具による手作業が一般的であった。そのため、塗装面の仕上がりにムラが生じ易いとともに、場合によっては期待する膜厚が確保できず、 塗膜寿命の低下に繋がることがあった。また、塗装面が広範囲である場合、作業が長時間に及び、作業員にかかる負担が大きいという課題があった。
なお、円筒状の部材の表面を塗装する塗装装置や円筒状の部材の外周面に層形成材料を塗布する塗布装置や塗膜形成装置としては、例えば特許文献1や2、3に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6236917号公報
【特許文献2】特許第5637625号公報
【特許文献3】特許第5428573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や2、3に記載されている塗装装置は、塗装対象の柱状部材を垂直に支持し、塗料もしくは塗布液を収納したドーナツ状の容器(塗料槽)を上下方向へ移動させることによって、外周面に塗膜または層を形成できるように構成されている。
しかし、いずれの装置も、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置を構成する定着ローラのような比較的小型の部材を塗布対象としているとともに、塗装対象の柱状部材の下端を固定し上端をアーム等で支えており、工場などの室内で作業を行うことを前提としている。
【0005】
そのため、屋外に立設され上端に装柱類が取り付けられていたり上端に梁やビームに固着されていたりしている既設の鋼管柱の外周面を塗装するのに使用することが困難であるという課題がある。また、鋼管柱は鉄道の軌道脇や道路脇のような作業スペースを充分に確保することが困難な場所に立設されているため、塗装装置はそのような場所に設置できるのが望ましいが、特許文献1や2、3に記載されている塗装装置の発明は、そのような課題に留意してなされていない。
特に、特許文献3に記載されている塗装装置は、塗装ユニットと塗料タンクが別々に設けられているため、この発明を鋼管柱の塗装装置に適用すると装置が煩雑になり取り扱いが面倒で作業性が悪くなるという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、既設の柱状物の外周面の上下方向にわたって効率よく均一な塗装を行うことができる塗装装置および塗装方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、鉄道の軌道脇や道路脇のような作業スペースを充分に確保することが困難な場所に立設されている鋼管柱のような柱状物の外周面に塗装を行うことができる作業性の良い塗装装置および塗装方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、作業員が塗装対象である柱状物の上部にて作業する必要のない塗装装置および塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本出願に係る発明は、
柱状物の表面に塗料を塗布するための塗装ユニットと、該塗装ユニットを搭載し前記柱状物に沿って前記塗装ユニットを上下方向へ移送するための移送手段と、を備えた柱状物塗装装置において、
前記塗装ユニットは、塗装対象の柱状物の外径に対応した大きさの開口部を有し塗料を貯留可能な環状の塗料貯留部と、口部に開閉弁を備えた複数個の塗料ボトルを有し前記塗料貯留部へ塗料を供給する塗料供給部と、前記開閉弁を開閉させる駆動手段と、を備え、全体が水平方向に複数に分割可能に構成され、
前記塗料貯留部の底部には、前記塗装対象の柱状物の外径とほぼ同じ大きさの開口を有し弾性材料で形成されたパッキンが設けられているように構成したものである。
【0008】
上記のような構成によれば、既設の鋼管柱のような柱状物の外周面の上下方向にわたって効率よく均一な塗装を行うことができるとともに、塗装ユニットの全体が水平方向に複数に分割可能に構成されているため、鋼管柱の下端部すなわち地上作業で塗装装置を塗装対象の柱に装着することができ、作業性に優れる。また、塗料貯留部の底部には、前記塗装対象の柱状物の外径とほぼ同じ大きさの開口を有し弾性材料で形成されたパッキンが設けられているため、塗料貯留部内の塗料が柱状物の外周面に沿って流れ落ちるのを防止することができる。
【0009】
ここで、望ましくは、前記塗装ユニットは、前記塗料貯留部の外側に前記塗料ボトルを保持する複数のボトル保持部を備え、
前記ボトル保持部の底部には、前記塗料ボトルの前記開閉弁を開閉させるロッドが当接可能な突起が設けられ、前記駆動手段によって前記塗料ボトルが上下動されることによって前記開閉弁を開閉されるように構成する。
【0010】
上記構成によれば、駆動手段によって塗料ボトルが上下動させるのに応じて弁が開閉される構成であるため、塗装ユニットを柱状物の上端に位置させた状態で駆動手段を動作させることができるため、作業員が塗装対象である柱状物の上部にて作業する必要がなくなり、作業性に優れる。また、ボトル保持部の底部に、塗料ボトルの開閉弁を開閉させるロッドが当接可能な突起が設けられた構成であるため、塗料貯留部内の塗料の液面高さを一定に維持することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記塗料ボトルと前記塗料貯留部は、前記塗装ユニットの矩形状の枠体の4隅にそれぞれ設けられ、
前記塗料ボトルは2個ずつ対にされて2つの水平方向支持部材によってそれぞれ支持され、前記2つの水平方向支持部材に対応して前記駆動手段が2つ設けられ、1つの駆動手段によって2個の塗料ボトルが上下動されるように構成する。
かかる構成によれば、1つの駆動手段によって2個の塗料ボトルを上下動させることができるため、駆動手段の数を減らし装置をコンパクトに構成することができる。
【0012】
また、望ましくは、前記塗料貯留部には、上面視で半円筒をなす気泡除去用のフィルタが2個前記開口部を囲むように並んで配設されているようにする。
かかる構成によれば、塗料に含まれている気泡をフィルタによって除去することができ、それによって鋼管柱外周面の塗装膜の仕上がりを良好にすることができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記フィルタと前記開口部との間には、下部に塗料が通過可能なスリットを備え前記塗料貯留部の内側壁を形成する円筒状の隔壁が設けられ、該隔壁の内周面には周方向に所定の間隔をおいて複数の突起が形成されているようにする。
かかる構成によれば、塗料貯留部の内側壁を形成する隔壁を設けた場合に、該隔壁の内周面に形成されている複数の突起によって、隔壁と鋼管柱の外周面との間に所定の間隔を保持することができ、移動中に隔壁が鋼管柱に接触するのを回避することができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記柱状物は磁性体からなる柱であって、
前記移送手段は、前記柱状物の外周に沿って転動可能な複数のマグネット車輪と該マグネット車輪を回転させる回転駆動源とが周方向に所定の間隔をおいて設けられ、全体が水平方向に2分割可能であって上部に前記塗装ユニットが載置可能に構成された移送ユニットであるようにする。
かかる構成によれば、塗装装置がマグネット車輪と回転駆動源を有する移送ユニットを備えるため、自走式の塗装装置を構成することができ、鉄道の軌道脇や道路脇のような作業スペースを充分に確保することが困難な場所に立設されている鋼管柱のような柱状物の外周面に塗装を行うことができる。
【0015】
本出願に係る他の発明は、上記のように構成された塗装装置を用いた柱状物塗装方法において、
前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って上方へ移動させる工程と、
前記駆動手段を作動させて前記開閉弁を開く工程と、
前記開閉弁を開いた状態のまま前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って下方へ移動させながら前記柱状物の外周面を塗装する工程と、
を含むようにしたものである。
上記のような方法によれば、既設の鋼管柱のような柱状物の外周面の上下方向にわたって効率よく均一な塗装を行うことができるとともに、作業員が梯子等で柱状物の上方で開閉弁を開く作業をする必要がなくなり、安全に作業を遂行することが可能となる。
【0016】
あるいは、上記のように構成された塗装装置を用いた柱状物塗装方法において、
前記移送ユニットを柱状物の下端部に装着する工程と、
前記塗装ユニットを前記移送ユニットの上に載置させた状態で前記柱状物の下端部に装着する工程と、
前記回転駆動源を作動させて前記マグネット車輪を回転させて前記移送ユニットと前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って上方へ移動させる工程と、
前記駆動手段を作動させて前記開閉弁を開く工程と、
前記開閉弁を開いた状態のまま前記回転駆動源を作動させて前記マグネット車輪を逆転させて前記移送ユニットと前記塗装ユニットを前記柱状物の外周に沿って下方へ移動させながら前記柱状物の外周面を塗装する工程と、
を含むようにする。
このようにすることにより、鉄道の軌道脇や道路脇のような作業スペースを充分に確保することが困難な場所に立設されている鋼管柱のような柱状物の外周面に円滑に塗装を行うことができる。
【0017】
また、望ましくは、前記柱状物の外周面を塗装する工程の後に、
前記塗料貯留部の残留塗料を除去する工程と、
塗装ユニットの重量が前記移送ユニットにかからないように前記塗装ユニットを支えながら前記移送ユニットを分割して前記柱状物の外周から取り外す工程と、
前記塗装ユニットを分割して前記柱状物の外周から取り外す工程と、
を実施するようにする。
かかる方法によれば、塗装装置を柱状物から取り外す際に、塗装装置を構成する部品が破損するのを回避することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る塗装装置によれば、既設の柱状物の外周面の上下方向にわたって効率よく均一な塗装を行うことができる。また、鉄道の軌道脇や道路脇のような作業スペースを充分に確保することが困難な場所に立設されている鋼管柱のような柱状物の外周面に塗装を行うことができる作業性の良い塗装装置および塗装方法を実現することができる。さらに、作業員が塗装対象である柱状物の上部にて作業する必要のない塗装装置および塗装方法を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗装装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る塗装装置を構成する塗装ユニットの詳細な構成を示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【
図3】実施形態に係る塗装装置を構成する塗装ユニットの詳細な構成を示す斜視図である。
【
図4】塗装ユニットの要部の詳細な構成を示すもので、(A)は塗料ボトルの下部の拡大断面図、(B)は塗料ボトルの保持部の詳細を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る塗装装置を構成する移送ユニットの詳細な構成を示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【
図6】実施形態に係る塗装装置を構成する移送ユニットの詳細な構成を示すもので、(A)は分割した片方のユニットの斜視図、(B)はその内部構成を示す正面図である。
【
図7】移送ユニットの駆動ユニットの詳細な構成を示す斜視図である。
【
図8】実施形態に係る塗装装置における移送ユニットの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る塗装装置における塗装ユニットの制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】移送手段としてウインチとワイヤロープを使用した変形例の柱状物塗装装置による鋼管柱の塗装の様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る柱状物塗装装置の一実施形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る柱状物塗装装置の全体の構成が示されている。
本実施形態の塗装装置は、内側に塗料を貯留する塗料タンクを有し塗装対象の柱状物としての鋼管柱の外周面に塗料を塗布する塗装ユニット10、この塗装ユニット10の下部に接合、連結され塗装ユニット10の重量を支えつつ鋼管柱に沿って上下に走行する移送ユニット20などから構成されている。
【0021】
塗装ユニット10と移送ユニット20は、後に詳しく説明するように、共に、内側に鋼管柱が挿通可能な円形の開口部を有するように形成されているとともに、移送ユニット20の上面に塗装ユニット10を載置することで両者が接合可能に構成されている。
また、塗装ユニット10と移送ユニット20は、塗装対象の鋼管柱の下端部すなわち地上近傍において鋼管柱の外周面に装着できるようにするため、それぞれ2つに分割可能に構成され、各ユニットの外側面の分離接合部分の近傍には掛け金式の留め金具(パッチン錠)からなる結合手段31と32が設けられている。
【0022】
図2~
図4には、塗装ユニット10の構成の詳細が示されている。
本実施形態における塗装ユニット10は、
図2(A)に示すように、中央に内側に鋼管柱が挿通可能な円形の開口11aを有する上面視で外形が矩形状をなす枠体11と、内側の開口11aの縁部に沿って配設され枠体11に固定された円筒状の塗料タンク隔壁12とを備える。また、
図3に示すように、塗装ユニット10は、塗料タンク隔壁12の外側に、蛇腹状に折曲され全体として上面視で半円筒をなすように配設された気泡除去用のメッシュフィルタ13A(13B)が配設されている。メッシュフィルタ13A(13B)は、蛇腹状の形状に限定されず、全体としてストレートな円筒状をなすものであっても良い。さらに、枠体11の接合端面には、互いに係合することで位置決めを行うための凸部11bと凹部11cが形成されている。
【0023】
また、枠体11の4隅には、
図1に示すように、4個の塗料ボトル14A~14Dの下部をそれぞれ保持する凹状の空間部を有する容器保持部15A~15Dが設けられ、
図4(B)に拡大して示すように、該容器保持部15A~15Dの外側を囲むように円弧状をなす塗料タンク外壁16A~16Dが設けられている。そして、上記塗料タンク隔壁12の外側の上記容器保持部15A~15Dから上記塗料タンク外壁16A~16Dにかけて塗料貯留空間が形成されているとともに、この塗料貯留空間内の上記容器保持部15A~15Dの内側の部位に上記メッシュフィルタ13A,13Bが収納されている。
【0024】
さらに、上記塗料タンク隔壁12の下部に、開口11a側へ塗料が漏れ出す複数のスリット12aが形成されている。塗料タンク隔壁12の径は塗装対象の鋼管柱の径よりも若干大きく設定されているとともに、塗料タンク隔壁12の内周面には、鋼管柱の外周面との間郭を一定に保つための突起12bが周方向に適当な間隔をおいて複数個(実施例では6個)設けられている。なお、この実施例においては塗料タンク隔壁12を設けているが、塗料タンク隔壁12を省略して、鋼管柱の外周面が塗料貯留部の内側壁を形成する構成としても良い。
【0025】
また、枠体11の下部には、
図3に示すように、開口11aの縁部に沿って鋼管柱の外径と同じもしくは若干小さな径の開口部を有しゴムのような弾性材料で薄板状に形成された半環状をなすパッキン17が接合されている。このパッキン17の開口部の内端(縁部)が鋼管柱の外周に接することで隙間をなくし、塗料タンク隔壁12の下部のスリット12aより流出した塗料を、塗料タンク隔壁12と鋼管柱の外周面との間に貯留させ、塗装ユニット10を下方向へ移動させることで鋼管柱の外周に塗膜を形成することができるように構成されている。パッキン17は、接合端部で他方のパッキンと上下に重なることで塗料が漏れないように構成されている。
【0026】
また、容器保持部15A~15Dにより保持されている4個の塗料ボトル14A~14Dは、
図1に示すように、2個の塗料ボトル14Aと14D、14Bと14Cが、両端に2連リング状のボトルホルダH1,H2をそれぞれ備えた水平方向の支持部材18A,18Bによって互いに連結されている。さらに、支持部材18A,18Bは、その中間部が枠体11の縁部に立設されたアクチュエータ19A,19Bに結合されており、アクチュエータ19A,19Bによって支持部材18A,18Bが上下移動されるのに応じて上下方向へ移動可能に構成されている。
【0027】
なお、アクチュエータ19A,19Bは電動式であり、移送ユニット20と塗装ユニット10との間には設けられた接続ケーブルを介して電源が供給される。なお、アクチュエータ19A,19Bの近傍の符号B1,B2で示すような箇所に電源となるバッテリーを配設するようにしても良い。また、アクチュエータ19A,19Bの下部には、連結用のピンを挿通するためのピン挿通穴19aが形成されている。ピン挿通穴19aは、アクチュエータ19A,19Bの下部だけでなく、適当な間隔をおいて合計で6箇所設けられている。
【0028】
一方、塗料ボトル14A~14Dは、
図4(A)に示すように、口部を塞ぐキャップにプッシュ式の開閉弁14aを備え、口部が下になるようにして容器保持部15A~15Dに設置される。また、容器保持部15A~15Dの底部中央には、
図4(B)に示すように、上向きの突起15aが設けられており、塗料ボトル14A~14Dを逆さにして容器保持部15A~15Dに設置すると、開閉弁14aのロッド14bの端部が上記突起15aに当接し、この状態でアクチュエータ19A,19Bを作動させて塗料ボトル14A~14Dを下降させると、開閉弁14aのロッド14bの端部が上記突起15aで押し込まれることによってキャップ内の弁が開き、内部の塗料が塗料タンク側へ流れ出すように構成されている。15bは塗料ボトルのガイド片である。
【0029】
また、塗料ボトル14A~14Dは、
図4(A)に示すように、容器保持部15A~15Dに設置した状態で口部が容器保持部15A~15Dの底部よりも所定高さだけ高くなるように設定されている。これにより、内部から流れ出した塗料の液面LSが容器保持部15A~15Dの口部の高さに達すると塗料の流れ出しが停止し、塗装の進行で塗料タンク内の塗料が減少して塗料の液面LSが下がると再び内部の塗料が流れ出すのを繰り返すことによって、塗料の液面LSが自動的に一定の高さに保たれるように構成されている。
【0030】
また、上述したように、本実施形態の塗装装置においては、塗装ユニット10の塗料タンクの周囲に塗料ボトル14A~14Dを配置してタンクと共に昇降させる構成であるため、特許文献3に記載されている塗装装置のような塗装ユニットと塗料タンク(塗料ボトル)を別々に設ける方式において必要とされる、塗装ユニットと塗料タンクとを接続するホースが不要であるため、装置の取り扱いが容易であるという利点がある。また、塗料ボトルを複数個(図では4個)に分けて設けているため、塗料の粘性が多少高くても塗料タンク内に均等に塗料を供給することができるという利点がある。
【0031】
図5~
図7には、移送ユニット20の構成の詳細が示されている。
図5に示すように、本実施形態における移送ユニット20は、内側に鋼管柱が挿通可能な開口部21aを有する円筒状の本体枠21と、該本体枠21の内周面の4個所に回転可能に設けられたマグネット車輪22A~22Dと、これらのマグネット車輪22A~22Dをそれぞれ回転駆動するモータ23A~23Dと、モータ23A~23Dの回転力を上記マグネット車輪22A~22Dに伝達するタイミングベルト24A~24Dと、一対の補助ローラ25A,25Bを備える。マグネット車輪22A~22Dと補助ローラ25A,25Bは、共に水平軸回りに回転可能に設けられている。
【0032】
なお、上記マグネット車輪22A~22Dと、モータ23A~23Dと、タイミングベルト24A~24Dは、
図7に示すようにユニット化され、駆動ユニットとして上記本体枠21の内周面にそれぞれ固定されている。図示しないが、駆動ユニットはブレーキ機能を備えている。
また、上記本体枠21は、
図6(A)に示すように2分割可能に構成され、それぞれの合わせ面には、互いに係合することで位置決めを行うための突起21bと受け溝21cが形成されているとともに、
図5(B)に示すように掛け金式の留め金具からなる結合手段32a,32bが設けられている。
さらに、上記本体枠21の外周面には、
図5(A)に示すように上記駆動ユニットに対応して駆動ユニットを覆うカバー26A~26Dが取り付けられ、カバー26A~26Dには持ち運びの際に使用する取っ手27A~27Dがそれぞれ設けられている。
【0033】
また、カバー26A~26Dの側面には、電源ケーブルや制御信号用ケーブルを接続するためのコネクタ28A~28Dが設けられている。モータ23A~23Dに電源を供給する電源装置は地上側に設置され、電源ケーブルを介してモータに電力が供給されるとともに、制御信号用ケーブルの他端にはモータドライバに指令を与えるための遠隔操作用コントローラが接続されており、本実施形態の塗装装置は、リモコン操作で動作するように構成されている。
図示しないが、移送ユニット20には、遠隔操作用コントローラからの指令を受けてモータドライバを動作させる制御信号を生成する制御装置が設けられている。塗装ユニット10のアクチュエータもこの制御装置によって制御される。移送ユニット20と塗装ユニット10との間には接続ケーブルが設けられ、この接続ケーブルを介して制御装置からの制御信号が塗装ユニット10へ送られる。
【0034】
さらに、上記本体枠21の上部には、上方へ突出する上面視で円形をなす突出片21dが設けられ、この突出片21dには所定の間隔をおいて複数のピン挿通穴21eが形成されている。なお、ピン挿通穴21eは、前記塗装ユニット10側のピン挿通穴19aに対応して設けられており、これらのピン挿通穴19aと21eを位置合わせしてから、
図1に示すように、連結用のピン33を挿入することによって、塗装ユニット10と移送ユニット20とが連結された状態となる。
【0035】
上記のように、本実施形態における塗装装置は、マグネット車輪22A~22Dおよびこれらを回転駆動するモータ23A~23Dを備えるため、鋼管柱の外周面に吸着することができ、塗装ユニット10と移送ユニット20の重量を支えつつ鋼管柱の外周に沿って上下に移動することができる。
また、塗装ユニット10がパッキンを有しているため上昇中に塗装を実施することができないので、装置を一旦上昇させて下降中に塗装を実施するのが良いが、そのためには装置を鋼管柱の上端まで上昇させた状態で塗料ボトルの弁を開いて塗料タンク内を塗料で満たす必要がある。本実施形態の塗装装置は、塗装ユニット10がアクチュエータを備えアクチュエータを動作させて塗料ボトルを下方へ移動させることで弁を開く構成であるため、作業員が鋼管柱の上端へ移動して弁を開く作業を行う必要がないので、作業性が向上するという利点がある。
【0036】
次に、
図8および
図9を参照しながら、上記実施形態の塗装装置を用いた具体的な鋼管柱の塗装作業の手順および塗装装置の制御装置による制御手順について説明する。なお、上記実施形態においては、塗装ユニット10のアクチュエータと移送ユニット20のモータは共通の制御装置で制御されるように構成されているが、フローチャートの図示の都合で、以下の説明では、別個の制御装置で制御されるものとして説明する。
【0037】
鋼管柱の外周面を塗装するには、塗装対象の鋼管柱の近傍へ塗装装置(塗装ユニット10および移送ユニット20)を運び、鋼管柱の下端部の外周に2分割された状態の移送ユニット20を装着して掛け金式の結合手段32a,32bを操作して一体化させてから、移送ユニット20の上に2分割された状態の塗装ユニット10を載せて、掛け金式の結合手段31で一体化させる。続いて、連結用のピン33を挿入して塗装ユニット10と移送ユニット20を連結してから、電源ケーブルと制御信号用ケーブルを塗装ユニット10と移送ユニット20に接続し、塗装装置の制御装置の電源スイッチをオンにする。
【0038】
移送ユニット20の制御装置の電源スイッチがオンされると、
図8に示す制御フローに従った処理が開始され、先ず電源ケーブルと制御信号用ケーブルの接続が完了しているか判定する(ステップS1)。ここで、ケーブルの接続が完了している(YES)と判定すると、ステップS2へ進み、非常停止ボタンが押されていないか判定する(ステップS2)。そして、非常停止ボタンが押されていない(NO)と判定すると、ステップS3へ進み指令待ち状態となる。
この状態で、遠隔操作用コントローラから「装置上昇」指令が入力されると(ステップS4)、ステップS5へ進んで装置が下降動作中であるか否か判定し、下降動作中でない(NO)と判定すると、ステップS6へ進み、ブレーキを解除してモータを正転(または逆転)させて、塗装装置を例えば毎分1.0mのような速度で上昇させる。
【0039】
一方、上記ステップS3で、遠隔操作用コントローラから「装置下降」指令が入力されると(ステップS7)、ステップS8へ進んで装置が上昇動作中であるか否か判定し、上昇動作中でない(NO)と判定すると、ステップS9へ進み、ブレーキを解除してモータを逆転(または正転)させて、塗装装置を例えば毎分0.5mのような速度で下降させる。なお、塗装ユニット10の塗料タンク内に塗料があれば、この下降動作中に鋼管柱の外周面への塗料の塗布が実施されることとなる。
また、上記ステップS3で、遠隔操作用コントローラから「ブレーキ解除」指令が入力されると(ステップS10)、ステップS11へ進んでブレーキを解除する。なお、このブレーキ解除指令は、例えば所定のブレーキ作動箇所以外の箇所でトラブルが発生した場合に、装置を鋼管柱から外して回収できるようにするために設けられている。
【0040】
塗装ユニット10の制御装置の電源スイッチがオンされると、
図9に示す制御フローに従った処理が開始され、先ず電源ケーブルと制御信号用ケーブルの接続が完了しているか判定する(ステップS21)。ここで、ケーブルの接続が完了している(YES)と判定すると、ステップS22へ進み指令待ち状態となる。
この状態で、遠隔操作用コントローラから「塗料ボトル上昇」指令が入力されると(ステップS23)、ステップS24へ進んで塗料ボトルが下降動作中であるか否か判定し、下降動作中でない(NO)と判定すると、ステップS25へ進み、アクチュエータを動作させて塗料ボトルを上昇させる。
【0041】
その後、塗料ボトルが上限位置に到達したか否か判定し(ステップS26)、塗料ボトルが上限位置に到達した(YES)と判定すると、ステップS27へ進み塗料ボトルを停止させる。そして、塗料ボトルが上限位置に到達すると、センサによって検知されユニットに設けられている上限位置ランプが点灯される。
【0042】
一方、上記ステップS22の指令待ち状態で、遠隔操作用コントローラから「塗料ボトル下降」指令が入力されると(ステップS28)、ステップS29へ進んで塗料ボトルが上昇動作中であるか否か判定し、上昇動作中でない(NO)と判定すると、アクチュエータを動作させて塗料ボトルを下降させる。その後、塗料ボトルが下限位置に到達したか否か判定し(ステップS31)、塗料ボトルが下限位置に到達した(YES)と判定すると、ステップS32へ進み、塗料ボトルを停止させる。そして、塗料ボトルが下限位置に到達すると、センサによって検知されユニットに設けられている下限位置ランプが点灯される。
【0043】
なお、「塗料ボトル下降」指令は、
図8のステップS4~S6の塗装装置上昇処理が終了して、塗装装置が鋼管柱の上端に位置した際に実施される。そして、ステップS32で塗料ボトルの下降を停止させた後、所定時間が経過するすなわち塗装ユニット10の塗料タンク内に塗料が所定量満たされた状態になるのを待って、「装置下降」指令を与える。
一方、「塗料ボトル上昇」指令は、
図8のステップS7~S9の塗装装置下降処理(塗装処理)が終了して、塗装装置が鋼管柱の下端に位置した際に実施され、これにより塗料ボトルのキャップに設けられている開閉弁が閉じられる。
【0044】
さらに、上記手順に従った処理により鋼管柱の外周面への塗料の塗布が終了して塗装装置を鋼管柱から外す際には、塗装ユニット10から塗料ボトルを外してから、塗料タンク内に残っている塗料を吸引機で吸い取って除去する。その後、塗装ユニット10を作業員が手で保持した状態で、他の作業員が連結用のピン33を引き抜いて、塗装ユニット10と移送ユニット20との連結状態を解除する。そして、塗装ユニット10をマグネットにより鋼管柱に保持させた状態で、移送ユニット20の結合手段32a,32bを操作して掛け金を外し、移送ユニット20を分割して鋼管柱より取り外す。その後、塗装ユニット10の結合手段32a,32bを操作して掛け金を外し、塗装ユニット10を分割して鋼管柱より取り外す。
【0045】
そして、本実施形態の塗装装置で塗り残した鋼管柱の上端部や下端部は刷毛やローラーブラシ、圧縮エアーを利用した塗装用ガンなどの工具を用いた手作業により塗装を行なって完了する。
また、既設の鋼管柱には、小型のものから大型のものまで各種の装柱が装着されているので、塗装を開始する前に、小型の装柱金物は外し、アングル材などからなる腕金のような大型の装柱金物は鋼管柱に付けたままにして、下方部分のみ上記塗装装置を用いて塗装を実施するようにしてもよい。そして、大型の装柱金物の装着箇所よりも上方部分は、工具を用いた手作業により塗装を行う。
【0046】
上記のように、本実施形態の塗装装置は、塗装ユニット10と移送ユニット20を分離可能な構成したことにより、各ユニットの重量を軽くして取り扱いが容易になるという利点がある。一方、塗装ユニット10と移送ユニット20とを分離可能にした場合、塗装作業が終了した後に、塗装ユニット10を先に鋼管柱から取り外すと装置を構成する部品が破損してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態の塗装方法においては、移送ユニット20を先に鋼管柱から取り外すようにしているため、装置を構成する部品が破損するのを回避することができる。
【0047】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば前記実施形態では、塗料ボトルの数を4個としているが、塗料ボトルの数は4個に限定されず何個であっても良い。また、前記実施形態では、塗装ユニット10と移送ユニット20をそれぞれ2分割可能に構成したが、3分割あるいは4分割可能に構成しても良い。なお、各塗料ボトルの容量は、全容器トータルの量が、鋼管柱の外周全体に塗布するのに必要な量よりも少し多くなるように設定される。
【0048】
また、前記実施形態では、塗装ユニット10と移送ユニット20とによって塗装装置を構成しているが、駆動源を有する移送ユニット20の代わりに、例えば
図10に示すように、誘導ローラ41を備えた移送用フレーム40を用意し、鋼管柱Cの上端に滑車101を、電柱固定用バンド102等を用いて取り付けるとともに、鋼管柱Cの近傍にウインチ103を設置し、ウインチ103より引き出したワイヤロープ104の端部を、鋼管柱Cの上端の滑車101に捲回してから引き下げて移送用フレーム40に設けられている係止部(アイボルト)に係止する。そして、地上に設置したウインチ103でワイヤロープ104を巻き取ったり緩めたりすることで、移送用フレーム40に乗せた塗装ユニット10を昇降させて鋼管柱の外周に塗装を行うように構成してもよい。
【0049】
さらに、前記実施形態では、塗装ユニット10と移送ユニット20をそれぞれ2分割可能に構成したものを説明したが、完全に2つに分割するのではなく、ヒンジを用いて一方の接合部が開放可能になるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、本発明を鋼管柱の塗装装置に適用した場合について説明したが、本発明は鋼管柱以外の柱の塗装などにも利用することができる。また、塗装対象の柱は円柱に限定されず、角柱であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 塗装ユニット
11 枠体
11a 開口
11b 凸部
11c 凹部
12 塗料タンク隔壁
13 メッシュフィルタ
14A~14D 塗料ボトル
14a 開閉弁
14b ロッド
15A~15D 容器保持部
16A~16D 塗料タンク外壁
17 パッキン
18A,18B 支持部材
19A,19B アクチュエータ
20 移送ユニット
21 本体枠
22A~22D マグネット車輪
23A~23D モータ(回転駆動源)
24A~24D タイミングベルト
25A,25B 補助ローラ
26A~26D カバー
27A~27D 取っ手
28A~28D コネクタ
31,32 結合手段(留め金具)
33 連結用ピン
40 移送用フレーム
101 滑車
102 電柱固定用バンド
103 ウインチ
104 ワイヤロープ