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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166908
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】シート処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/16 20060101AFI20221027BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B65H45/16
G03G15/00 445
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072316
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉持 笙汰
(72)【発明者】
【氏名】濱 利一
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072CA01
2H072GA01
2H072JA02
2H072JA04
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108BB31
3F108CB03
3F108CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い位置精度で折り処理を実行することができるシート処理装置およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】シートSに折り処理を施すシート折りユニット200に遮蔽位置と退避位置とに移動することができる遮蔽部材300を設ける。遮蔽部材300は、レジスト補正時にはシートSのレジストループがレジストループスペース341へ湾出できるように退避位置へ退避して、シートSの折り位置が傾斜するのを防止する。第1折り時にはシートSの折りループを折りループスペース342へ湾出させる際に、シートSの他の部分がレジストループスペース341へ入り込まないように、レジストループスペース341を遮蔽するので、折り位置の精度を向上させることができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送経路に沿って搬送する第1ローラー対と、
第1ローラー対のシート搬送方向下流側に配された第2ローラー対と、
第2ローラー対を停止したレジスト補正の際にシートの第1ループ箇所を受け容れる第1空間と、
レジスト補正後、第1ローラー対より下流側、かつ第2ローラー対よりも上流側でシートにおける折り位置を折るための第3ローラー対と、
第3ローラー対による折り処理のために形成されるシートの第2ループ箇所を受け容れる第2空間と、
第1空間へのシートの進入を遮蔽する遮蔽位置と、当該遮蔽をしない退避位置と、に移動可能な遮蔽部材と、
遮蔽部材を、レジスト補正時には退避位置に、折り処理時には遮蔽位置に移動させる制御手段と、を備える
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
シートを搬送経路に沿って搬送する第1ローラー対と、
シート搬送方向における第1ローラー対の下流側に配設され、レジスト補正に用いる第2ローラー対と、
レジスト補正後のシートの折り処理に用いる第3ローラー対と、
折り処理の際に、第3ローラー対に向かって湾出するシートの第2ループ箇所を受け容れる第2空間と、備え、
第2空間は、レジスト補正の際にシートの第1ループ箇所を受け容れる第1空間を兼ねる
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
第2空間へのシートの進入を遮蔽する遮蔽位置と、当該遮蔽をしない退避位置と、に移動可能な第2の遮蔽部材と、
第2の遮蔽部材を、レジスト補正時には遮蔽位置に、折り処理時には退避位置に移動させる第2の制御手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第2の遮蔽部材が前記遮蔽部材に連動して移動する
ことを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材が前記第2の遮蔽部材を兼ね、
前記制御手段が前記第2の制御手段を兼ねる
ことを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記第2ローラー対と前記第3ローラー対とは1のローラーを共有する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記第2ローラー対は、前記第3ローラー対を用いた折り処理後に行われる第2の折り処理に用いられる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記第1空間は、搬送経路について、前記第2空間の反対側に位置している
ことを特徴とする請求項1および3から7のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記第1空間は、搬送経路について、前記第2空間と同じ側に位置している
ことを特徴とする請求項1および3から7のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記レジスト補正は、前記第2ローラー対の回転を停止した状態で、前記第1ローラー対がシートを搬送して、当該シートに第1ループ箇所を形成することによってなされる
ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記折り処理は、前記第2ローラー対よりも速く、前記第1ローラー対がシートを搬送して、当該シートに形成された第2ループ箇所を第3ローラー対に向かって湾出させることによってなされる
ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記シートの湾出に先立って、レジスト補正後、第2ローラー対を第1ローラー対よりも高速回転させ、または第2ローラー対を回転させつつ第1ローラー対を停止させることで、レジスト補正により形成された第1ループ箇所のループを解消させる
ことを特徴とする請求項11に記載のシート処理装置。
【請求項13】
シートに画像を形成する画像形成部と、
請求項1から12のいずれかに記載のシート処理装置と、を備え、
前記シート処理装置は、画像形成部で画像を形成したシートを処理する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート処理装置および画像形成装置に関し、特に、シートの折り処理時におけるスキューの発生を防止するとともに、折り処理時における折り位置の精度を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
シート処理装置は、画像形成装置が出力した印刷物やトレイ等から供給されたシートに対して、二つ折りやZ折り等を施す折り処理や、穴をあけるパンチ処理、ステープルするステープル処理等を実行する。
【0003】
これらの処理のうち、例えば、折り処理については、画像形成装置が印刷物を出力するたびに必ず実行される訳ではないため、図22に示すように、搬送ローラー対2201と、二つ折りのための第1の折り処理を行う折りローラー対2203と、第1の折り処理後、Z折りのための第2の折り処理を行う折りローラー対2202と、折りローラー対2203のニップ22N3への接触を防ぐためのガイド部材2206と、を備えた後処理装置が開示されている(特許文献1を参照)。このガイド部材2206を用いて、折り処理を行わない用紙や、第1の折り目を形成する前の用紙の先端を、折りローラー対2202のニップ22N2に案内するので、これらが誤って折りローラー対2203へ向かって紙詰まりを起こすようなことがなく、良好な通紙性が達成される。
【0004】
また、折り処理を実行する場合には、折り位置の精度を向上させることが重要である。このため、図23に示すように、シートを搬送するための搬送経路2342と、送りローラー2333と、送りローラー2333の下流側に配置された折りローラー対2334と、折りローラー対2334の上流側で搬送経路2342からシートを垂れ下がらせるように搬送経路2342の下方に設けられた空間2350と、空間2350に垂れ下がるシートの所定位置に突き当って折りローラー対2334に向けて突き位置に移動可能な突き部材2335と、搬送されるシートを空間2350の搬送方向上流側で案内するガイド部2345と、を備えたシート折り装置Cが開示されている(特許文献2を参照)。突き部材2335は空間2350に垂れ下がるシートの、ガイド部2345の搬送方向下流端の近傍を突くように配置されている。
【0005】
このような構成を備えれば、シートの剛性や他の特性及び送りローラー2333からの送り量等によってシートの垂れ下がり具合即ち湾曲具合が異なっても、折り位置のずれやばらつきを少なくすることができる。したがって、シートに形成される折り目の位置精度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-128411号公報
【特許文献2】特開2020-093856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術のうち、1つ目の従来技術では、搬送ローラー対2201から折りローラー対2202へ向かう途中の搬送経路22TR1から離隔した位置に折りローラー対2203が配設されており、折り処理のためのシートを搬送経路22TR2に沿って折りローラー対2203へ搬送する都合上、搬送経路22TR1に沿ってシートを案内する用紙ガイド2207に開口2207aが設けられている。
【0008】
ガイド部材2206は、開口2207aを遮蔽することによって、シートが折りローラー対2203へ向かうのを防止する。このため、搬送経路22TR1に沿って搬送されるシートは、用紙ガイド2207やガイド部材2206との摺擦状態が一定しないため、折りローラー対2202に到達するまでの間にシートのスキューが生じる恐れがある。
【0009】
また、2つの目の従来技術においては、送りローラー2333から折りローラー対2334に至る搬送経路2342上で、空間2350にシートを垂下させる都合上、搬送経路2342に沿ってシートを案内する下搬送ガイド2346が第1下ガイド部分2346aと第2下ガイド部分2346bとに分割されている。送りローラー2333から折りローラー対2334へシートを搬送する際には、第1下ガイド部分2346aと第2下ガイド部分2346bとの間でシートが空間2350に垂下しないように、突き部材2335が進出する。
【0010】
この場合においても、シートと下搬送ガイド2346や突き部材2335との摺擦状態が一定しないため、折りローラー2334に到達するまでの間にシートのスキューが生じる恐れがある。
【0011】
しかしながら、どちらの従来技術においてもレジスト補正が行われない。このため、シートのスキューが補正されないまま折り処理が実行されると、折り位置の精度が低下してしまう。
【0012】
一方、レジスト補正を行うために、搬送経路22TR1上や搬送経路2342上にレジストループスペースを設けると、折り処理のためにシートを折りローラー対2203や空間2350へ搬送する際に、シートの一部がレジストループスペースに入り込むおそれがある。すると、レジストループスペースに入り込むシートの長さは一定しないため、シートのスキューは補正することができても、折り位置の精度低下を解消することはできない。
【0013】
本開示は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、高い位置精度で折り処理を実行することができるシート処理装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係るシート処理装置は、シートを搬送経路に沿って搬送する第1ローラー対と、第1ローラー対のシート搬送方向下流側に配された第2ローラー対と、第2ローラー対を停止したレジスト補正の際にシートの第1ループ箇所を受け容れる第1空間と、レジスト補正後、第1ローラー対より下流側、かつ第2ローラー対よりも上流側でシートにおける折り位置を折るための第3ローラー対と、第3ローラー対による折り処理のために形成されるシートの第2ループ箇所を受け容れる第2空間と、第1空間へのシートの進入を遮蔽する遮蔽位置と、当該遮蔽をしない退避位置と、に移動可能な遮蔽部材と、遮蔽部材を、レジスト補正時には退避位置に、折り処理時には遮蔽位置に移動させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、シートを搬送経路に沿って搬送する第1ローラー対と、シート搬送方向における第1ローラー対の下流側に配設され、レジスト補正に用いる第2ローラー対と、レジスト補正後のシートの折り処理に用いる第3ローラー対と、折り処理の際に、第3ローラー対に向かって湾出するシートの第2ループ箇所を受け容れる第2空間と、備え、第2空間は、レジスト補正の際にシートの第1ループ箇所を受け容れる第1空間を兼ねることを特徴とする。
【0016】
この場合において、第2空間へのシートの進入を遮蔽する遮蔽位置と、当該遮蔽をしない退避位置と、に移動可能な第2の遮蔽部材と、第2の遮蔽部材を、レジスト補正時には遮蔽位置に、折り処理時には退避位置に移動させる第2の制御手段と、を備えてもよい。
【0017】
また、前記第2の遮蔽部材が前記遮蔽部材に連動して移動してもよい。
【0018】
また、前記遮蔽部材が前記第2の遮蔽部材を兼ね、前記制御手段が前記第2の制御手段を兼ねてもよい。
【0019】
また、前記第2ローラー対と前記第3ローラー対とは1のローラーを共有してもよい。
【0020】
また、前記第2ローラー対は、前記第3ローラー対を用いた折り処理後に行われる第2の折り処理に用いられてもよい。
【0021】
また、前記第1空間は、搬送経路について、前記第2空間の反対側に位置してもよい。
【0022】
また、前記第1空間は、搬送経路について、前記第2空間と同じ側に位置してもよい。
【0023】
また、前記レジスト補正は、前記第2ローラー対の回転を停止した状態で、前記第1ローラー対がシートを搬送して、当該シートに第1ループ箇所を形成することによってなされてもよい。
【0024】
また、前記折り処理は、前記第2ローラー対よりも速く、前記第1ローラー対がシートを搬送して、当該シートに形成された第2ループ箇所を第3ローラー対に向かって湾出させることによってなされてもよい。
【0025】
また、前記シートの湾出に先立って、レジスト補正後、第2ローラー対を第1ローラー対よりも高速回転させ、または第2ローラー対を回転させつつ第1ローラー対を停止させることで、レジスト補正により形成された第1ループ箇所のループを解消させてもよい。
【0026】
また、本開示の一形態に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、本開示の一形態に係るシート処理装置と、を備え、前記シート処理装置は、画像形成部で画像を形成したシートを処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
このようにすれば、第1空間を設けてシートのループ箇所を受け容れてレジスト補正を行うので、シートのスキューを補正して、シートの折り位置が傾斜するのを防止することができる。また、折り処理時には、シートが第1空間に湾出しないように遮蔽部材で遮蔽するので、シートのループ箇所の第2空間への湾出量を安定させることができ、シートの折り位置の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】画像形成装置1の主要な構成を示す外観斜視図である。
図2】シート処理部100の主要な構成を示す外観斜視図である。
図3】シートSをZ折りする場合のシート処理部100の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時の動作状態を表し、(b)はレジスト補正時の動作状態を表す。
図4】シートSをZ折りする場合のシート処理部100の動作状態を説明する模式図であって、(a)は第1折り時にレジストループスペース341を遮蔽する動作を表し、(b)は第1折り時にシートSに第1の折りループ392を形成する動作を表す。
図5】シートSをZ折りする場合のシート処理部100の動作状態を説明する模式図であって、(a)は第1折り時に第1の折りループ392を折りローラー対330の折りニップ332に挟み込む動作を表し、(b)は第2折り時に第2の折りループを形成する動作を表す。
図6】シートSをZ折りする場合のシート処理部100の動作状態を説明する模式図であって、(a)は第2の折り時に第2の折りループ393をレジストローラー対320のレジストニップ323に挟み込む動作を表し、(b)はZ折りが完了した状態を表す。
図7】シート処理部100のシート処理制御部103の主要な構成を示すブロック図である。
図8】シートSにZ折り処理を施す場合のシート処理制御部103の動作を説明するフローチャートである。
図9】レジストループスペース341を搬送経路370について折りループ393と同じ側に設けた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時の動作状態を表し、(b)はレジスト補正時の動作状態を表す。
図10】レジストループスペース341を搬送経路370について折りループ393と同じ側に設けた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1折り時にレジストループスペース341を遮蔽した状態で、シートSに第1の折りループ392を形成する動作を表す。
図11】折りループスペース342を遮蔽するガイド部材1100を設けた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時に、(b)はレジスト補正時に、それぞれガイド部材1100のガイド部1101で折りループスペース342を遮蔽する動作状態を表す。
図12】折りループスペース342を遮蔽するガイド部材1100を設けた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1折り時に折りループスペース342を開放した状態で、シートSに第1の折りループ392を形成する動作を表す。
図13】折りループスペース342を遮蔽するガイド部材1100にストッパー1300を固定した変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時に、(b)はレジスト補正時に、それぞれガイド部材1100のガイド部1101で折りループスペース342を遮蔽する動作状態を表す。
図14】折りループスペース342を遮蔽するガイド部材1100にストッパー1300を固定した変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1折り時にレジストループスペース341を遮蔽する遮蔽部材300をストッパー1300で遮蔽位置に固定した状態で、シートSに第1の折りループ392を形成する動作を表す。
図15】ラックピニオン機構を用いて遮蔽位置と退避位置とに移動する遮蔽部材1500を用いた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時に、(b)はレジスト補正時に、それぞれ遮蔽部材1500の遮蔽部1501で折りループスペース342を遮蔽する動作状態を表す。
図16】ラックピニオン機構を用いて遮蔽位置と退避位置とに移動する遮蔽部材1500を用いた変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1折り時に遮蔽部材1500の遮蔽部1501でレジストループスペース911を遮蔽した状態で、シートSに第1の折りループ392を形成する動作を表す。
図17】ループスペース1706がレジストループスペースと折りループスペースとを兼ねる変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時に遮蔽部材1700がループスペース1706を遮蔽する動作を表し、(b)はレジスト補正時にシートSのレジストループ391がループスペース1706へ湾出できるように、遮蔽部材1700が退避する動作を表す。
図18】ループスペース1706がレジストループスペースと折りループスペースとを兼ねる変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1の折り時に、遮蔽部材1700が退避した状態で、シートSの折りループ393をループスペース1706へ湾出させる動作を表す。
図19】遮蔽部材を用いない変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、(a)はシート搬送時の動作を表し、(b)はレジスト補正時にシートSのレジストループ391をループスペース1903へ湾出させる動作を表す。
図20】遮蔽部材を用いない変形例に係るシート折りユニット200の動作状態を説明する模式図であって、第1折り時にシートSの折りループ392をループスペース1903へ湾出させる動作を表す。
図21】レジストローラー対320と折りローラー対330とがローラーを共有しないシート折りユニット200の主要な構成を示す模式図である。
図22】従来技術に係る後処理装置の主要な構成を示す模式図である。
図23】従来技術に係るシート折り装置の主要な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示に係るシート処理装置および画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷機能、複写機能、ファクシミリ機能などを兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であって、画像読み取り部110、画像形成部120、給紙部130、操作パネル140およびシート処理部100を備えている。画像読み取り部110は、いわゆるシートスルー方式およびプラテンセット方式で原稿を読み取って画像データを生成することができる。画像形成部120は、画像読み取り部110が生成した画像データや、LAN(Local Area Network)やインターネットといった不図示の通信ネットワークを経由して他の装置(例えば、パーソナルコンピューター等。)から受け付けた画像形成ジョブで指定された画像データを用いて画像を形成する。
【0031】
給紙部130は、画像形成部120が画像を形成するために使用する記録シートを供給する。操作パネル140は、画像形成装置1のユーザーに対して情報を提示したり、ユーザーから操作入力を受け付けたりする。この操作入力には、シート処理部100によるシート処理の要否の指定が含まれる。シート処理部100によるシート処理が不要である場合には、画像形成部120は、画像を形成した記録シートを排紙トレイ122上に排出する。シート処理を行う場合には、画像形成部120は画像を形成した記録シートをシート処理部100へ搬送する。
【0032】
画像形成部120は、本体制御部121を備えており、画像形成装置1の各部の動作を監視したり、制御したりする。本体制御部121は、操作パネル140が受け付けたユーザーの操作入力がシート処理の指示である場合には、シート処理部100へ記録シートを搬送するのに先立って、ユーザー指示の内容をシート処理部100に通知する。
【0033】
シート処理部100は、画像形成部120から記録シートを受け付けてシート処理を施す。図2に示すように、シート処理部100は、シート折りユニット200、シートセンサー201およびステープラーユニット210を備えている。シート折りユニット200は、画像形成部120から搬送されてきたシートに折り処理を施す。シートセンサー201は、画像形成部120から送り込まれてきた記録シートを検出する。
【0034】
また、ステープラーユニット210は、画像形成部120から搬送されてきたシートにステープル処理を施す。なお、シート処理部100は折り処理やステープル処理以外のシート処理、例えば、パンチ処理などを施してもよい。シート処理部100は、処理を完了したシートを排紙トレイ101、102へ排出する。
【0035】
また、シート処理部100は、シート処理制御部103を備えている。シート処理制御部103は、シート処理部100の各部の動作を監視したり、制御したりする。また、シート処理部100は、画像形成部120の本体制御部121が操作パネル140から受け付けたユーザー指示の通知を受け付ける。この通知には、例えば、ユーザーが指定したシート処理の種類が含まれており、シート処理部100は指定された種類のシート処理を実行する。
[2]シート処理部100
次に、シートのZ折り処理を例にとってシート処理部100の動作、特にシート折りユニット200の動作について説明する。
【0036】
図3(a)に示すように、シート折りユニット200は、搬送ローラー対310、レジストローラー対320および折りローラー対330を備えている。搬送ローラー対310は、搬送ローラー311、312から構成されている。画像形成部120から送り込まれてきたシートSをシートセンサー201が検出すると、搬送ローラー311の回転駆動が開始され、搬送ローラー311に搬送ローラー312が従動して回転する。これによって、シートSが搬送経路370に沿って矢印C方向に搬送される。
【0037】
シート折りユニット200は、搬送ローラー311を回転駆動する搬送モーター381を備えている。また、搬送クラッチ382は、搬送モーター381が発生させる回転駆動力を搬送ローラー311に伝達したり、搬送ローラー311への回転駆動力の伝達を遮断したりする。搬送モーター381および搬送クラッチ382は、シート処理制御部103の制御に従って動作する。
【0038】
レジストローラー対320は、折りローラー対330と共有する共有ローラー321とレジストローラー322とから構成されており、シートSの搬送に加えて、レジスト補正(スキュー補正)にも用いられる。折りローラー対330は、共有ローラー321と折りローラー331とから構成されており、シートSの折り処理に用いられる。
【0039】
シート折りユニット200は、共有ローラー321を回転駆動する共有モーター383を備えている。共有モーター383が共有ローラー321を回転駆動すると、共有ローラー321の回転に従動してレジストローラー322および折りローラー331が回転する。共有モーター383はシート処理制御部103の制御に従って動作する。
【0040】
搬送ガイド部材351、352、353および354は搬送経路370に沿ってシートを搬送ローラー対310からレジストローラー対320へと案内する。
【0041】
搬送ローラー対310からレジストローラー対320へ向かう搬送経路370上には、シートSのレジスト補正の際にシートSのループ箇所(レジストループ)391(図3(b))を湾出させるためのレジストループスペース341が設けられている。
【0042】
遮蔽部材300は、シート搬送方向における下流側端部に位置する揺動軸301を揺動中心として、シート搬送方向上流側の端部が上下方向に揺動することができる。遮蔽部材300は、シート処理制御部103の制御のもと、遮蔽部材駆動モーター384の揺動駆動を受けて揺動し、シートSがレジストループスペース341に入り込まないように遮蔽する遮蔽位置(図3(a))と、シートSがレジストループスペース341に入り込むのを遮蔽しない退避位置(図3(b))と、に往復移動することができる。
【0043】
シートSの搬送経路370から折りローラー対330の折りニップ332に向かうまでの空間である折りループスペース342には、シートSの折り処理の際にシートSのループ箇所(第1の折りループ)392(図4(b))が湾出する。第1の折りループ392が折りローラー対330の折りニップ332に挟み込まれることによって、折り処理が実行される。この折り処理は、シートSをZ折りする場合には、1回目の折り処理になる。
【0044】
シートSの搬送経路370上の搬送ローラー対310とレジストローラー対320との間にはシートセンサー361が配設されており、シートSの先端や後端を検出することができる。また、搬送経路370上のレジストローラー対320の下流側にはシートセンサー362が配設されており、やはりシートSの先端や後端を検出することができる。シートセンサー201、361および362は光学的にシートSを検出してもよいし、機械的に検出してもよく、検出方式が限定されないのは言うまでもない。
【0045】
図3(b)に示すように、シートSのレジスト補正時には、搬送ローラー対310がシートSを搬送し、シートSの先端を停止中のレジストローラー対320のレジストニップ323に突き当てて、レジストループ391を形成する。この場合において、遮蔽部材300が退避位置に退避しているので、シートSのレジストループ391はレジストループスペース341に向かって湾出する。このようにすれば、シートSのスキューが補正されるので、レジスト補正しない場合と比較して、シートSにおいて折り位置が傾斜するのを防止することができる。その意味において、シートSにおける折り位置の精度を向上させることができる。
【0046】
レジスト補正後、シートSに対して折り処理を実施する場合には、図4(a)に示すように、レジストローラー対320を回転駆動して、シートSを搬送経路370に沿って搬送する。レジストローラー対320は折りローラー対330と共有ローラー321を共有しており、共有ローラー321の回転に従動して折りローラー331もまた矢印H方向に回転する。
【0047】
シート処理制御部103が搬送クラッチ382を切断する。このようにすれば、搬送ローラー対310はシートSを搬送しないので、レジストローラー対320がシートSを搬送するにつれて、シートSのレジストループ391が解消されてゆく。シートSのレジストループ391が完全に解消された後は、搬送ローラー対310はシートSに従動して回転する。
【0048】
シートセンサー362がシートSの先端を検出したら、シート処理制御部103は、レジストローラー対320の回転を停止させるとともに、遮蔽部材300を遮蔽位置に向かって矢印E方向に揺動させる。これによって、第1の折りループ392を形成する際に、シートSがレジストループスペース341に入り込まないように遮断することができるので、シートSがレジストループスペース341に入り込み得る場合と比較して、シートSにおける折り位置の精度を向上させることができる。
【0049】
なお、搬送クラッチ382を切断せず、搬送ローラー対310の搬送速度を、レジストループ391を解消できるような速度まで遅くしてもよい。また、搬送ローラー対310は元の速度のままシートSの搬送を継続してもよい。折り時に折りループ392を形成する場合には、遮蔽部材300を遮蔽位置へ移動させることによって、レジストループ391がレジストループスペース341に入り込むのが防止され、レジストループ391が折りループ392に吸収される。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、シート処理制御部103は、搬送ローラー対310を回転させてシートSを搬送させ、シートSの第1の折りループ392を折りループスペース342内で折りローラー対330の折りニップ332へ向かって湾出させる。シートSの第1の折りループ392の湾出方向先頭部分が共用ローラー321および折りローラー331に圧接すると、シート処理制御部103は、折りローラー対330を回転させ、シートSの第1の折りループ392を折りニップ332に挟み込むことによって、その先頭部分が折り目になるように、シートSを2つ折りする。
【0051】
折りローラー対330はそのまま回転し続けて、図5(a)に示すように、1回目の折り処理を施したシートSを矢印L方向に搬送する。2回目の折り位置に合わせた搬送量だけシートSを搬送すると、シート処理制御部103は、折りローラー対330の回転駆動を停止する。その後、シート処理制御部103は、搬送ローラー対310の回転駆動を開始して、シートSを搬送経路にそって搬送させる。
【0052】
これによって、図5(b)に示すように、シートSにループ箇所(第2の折りループ)393が形成される。搬送ローラー対310がシートSを搬送することによって、第2の折りループ393が折りループスペース342内でレジストローラー対320のレジストニップ323に向かって湾出する。シートSの第2の折りループ393は、最終的に、共有ローラー321およびレジストローラー321に圧接する。
【0053】
第2の折りループ393が共有ローラー321およびレジストローラー321に圧接した状態で、シート処理制御部103がレジストローラー対320を回転駆動すると、図6(a)に示すように、第2の折りループ393がレジストニップ323に挟み込まれることによって、シートSが折られる。このとき、シートSの先端もまたレジストニップ323を通過する。
【0054】
これと並行して、シートSの第1の処理で折られた部分394が折りローラー対330によって矢印M方向に搬送され、折りニップ332を通過して、レジストニップ323へ向かう。図6(b)に示すように、レジストニップ323を通過した第1の折り処理で折られた部分394は、更に、矢印N方向へ搬送される。シートSが矢印N方向に搬送され、最終的に、シートSの後端がレジストニップ323を脱することによって、シートSのZ折りが完了する。
[3]シート処理制御部103の構成
次に、シート処理制御部103の構成について説明する。
【0055】
図7に示すように、シート処理制御部103は、CPU(Central Processing Unit)701、ROM(Read Only Memory)702、RAM(Random Access Memory)703およびタイマー704を備えている。CPU701、ROM702、RAM703およびタイマー704は内部バス705によって相互にデータを交換可能に接続されている。
【0056】
CPU701は、画像形成装置1に電源が投入される等によってリセットされると、ROM702からブートプログラムを読み出して起動し、RAM703を作業用記憶領域として、ROM702から読み出した制御プログラムを実行する。また、制御プログラムを実行する際には、CPU701はタイマー704に時間を設定して、設定時間が経過したタイミングでその旨の通知を受け付ける。
【0057】
CPU701は、制御プログラムを実行することによって、搬送モーター381、搬送クラッチ382、共有モーター383および遮蔽部材駆動モーター384の動作を制御したり、タイマー704を設定したり、シートセンサー201、312および313の検出信号を参照したりする。
【0058】
また、シート処理制御部103は、本体制御部121にも接続されており、本体制御部121から指示コマンドや通知を受け付けたり、シート処理部100の状態などを通知したりする。本体制御部121は画像読み取り部110、画像形成部120、給紙部130および操作パネル140の動作を監視したり、制御したりする。
[4]シート処理制御部103の動作
シート処理制御部103の動作について、Z折り時の動作を例にとって説明する。シート処理制御部103は、あらかじめ画像形成装置1の本体制御部121からシートにZ折り処理を実施せよとの指示を受け付けているものとする。
【0059】
図8に示すように、シート処理制御部103は、シートセンサー201がシートの先端を検出することによって、画像形成部120からシートが搬送されてきたことを検出すると(S801:YES)、搬送モーター381の駆動を開始し(S802)、搬送クラッチ382を接続する(S803)。これによって、搬送ローラー対310が回転し、画像形成部120から受け入れたシートが搬送される。なお、時間T1として、レジスト補正に必要なループ量のレジストループ391を形成するのに適した時間が予め設定されている。
【0060】
次に、シートセンサー361がシート先端を検出したら(S811:YES)、シート処理制御部103は、遮蔽部材駆動モーター384を駆動して、遮蔽部材300を退避位置へ揺動させるとともに(S812)、タイマー704に時間T1を設定する。時間T1だけ搬送ローラー対310でシートSを搬送することによって、シートSにレジストループ391が形成され、スキューが補正される。
【0061】
タイマー704でタイムアウトが発生したら(S821:YES)、搬送クラッチ382を切断して(S822)、搬送モーター381から搬送ローラー311への回転駆動力の伝達を停止し、搬送モーター381の回転駆動を停止させる(S823)。その後、共有モーター383の順回転駆動を開始させる(S824)。これによって、共有ローラー321が図4(a)に示される矢印G方向へ順回転して、シートセンサー362へ向かってシートSが搬送される。
【0062】
シートセンサー362がシートSの先端を検出したら(S831:YES)、共有モーター383の回転駆動を停止する(S832)。これによって、シートSがレジストローラー対320のレジストニップ323に挟持される。次に、遮蔽部材駆動モーター384を駆動して、遮蔽部材300を退避位置から遮蔽位置へ揺動させ(S833)、タイマー704に時間T2を設定する。
【0063】
時間T2としては、シートSの第1の折りループ392が折りローラー対330に当接して、折りローラー対330が回転すると、シートSの第1の折りループ392を折りニップ332に挟み込まれる状態になるまでに要する時間が予め設定されている。
【0064】
その後、搬送モーター381の駆動を開始し(S834)、搬送クラッチ382を接続する(S835)。これによって、時間T2だけ搬送ローラー対310でシートSを搬送すると、シートSに第1の折りループ392が形成され、折りローラー対330の折りニップ332へ向かって湾出し、共有ローラー321および折りローラー331に当接する。
【0065】
タイマー704でタイムアウトが発生したら(S841:YES)、搬送クラッチ382を切断して(S842)、搬送モーター381の回転駆動を停止する(S843)。これによって、シートSの第1の折りループ392が折りローラー対330の折りニップ332への湾出が停止する。次に、タイマー704に時間T3を設定する(S844)。
【0066】
時間T3は、シートSの第2の折り位置に合わせて設定される。その後、共有モーター383の逆回転駆動を開始する(S845)。これによって、共有ローラー321が矢印J方向へ逆回転して、シートSの第1の折りループ392に折りローラー対330の折りニップ332に挟み込まれ、第1の折りが実施される。
【0067】
タイマー704でタイムアウトが発生したら(S851:YES)、共有モーター383の逆回転駆動を停止する(S852)。その後、搬送モーター381の回転駆動を開始し(S853)、搬送クラッチ382を接続し(S854)、タイマー704に時間T4を設定する(S855)。時間T4だけ搬送ローラー対310がシートSを搬送することによって、シートSに第2の折りループ393が形成され、レジストローラー対320のレジストニップ323に向かって湾出し、共有ローラー321およびレジストローラー321に当接する。
【0068】
タイマー704でタイムアウトが発生したら(S861:YES)、搬送クラッチ382を切断し(S862)、搬送モーター381の回転駆動を停止する(S863)。その後、共有モーター383の順回転駆動を開始する(S864)。これによって、シートSの第2の折りループ393がレジストローラー対320のレジストニップ323に挟み込まれ、第2の折りが実施される。
【0069】
その後、シートセンサー362でシートSの後端を検出したら(S871:YES)、共有モーター383の順回転駆動を停止する(S872)。
【0070】
このようにすれば、シートSの折り方向が傾くのを防止するために、シートSのレジスト補正を実施する場合であっても、第1の折りループ392および第2の折りループ393を形成する際に、シートSがレジストループスペース341に入り込まないように遮蔽部材300が遮蔽するので、第1および第2の折りの位置精度を向上させることができる。
[5]変形例
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。なお、本明細書においては、共通する部材には共通の符号が付与されている。
(5-1)上記実施の形態においては、レジストループスペース341と折りループスペース342とが搬送経路370を挟んで互いに反対側に設けられている場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、レジストループスペース341と折りループスペース342とが搬送経路370を挟んで互いに同じ側に設けられていてもよい。
【0071】
このような構成をとる場合、シートSの搬送時には、図9(a)に示すように、遮蔽部材901が閉鎖位置へ移動して、シートSがレジストループスペース911に入り込むのを阻止する。また、レジスト補正時には、図9(b)に示すように、遮蔽部材901が揺動軸902を揺動中心として矢印O方向へ揺動して退避位置へ移動し、シートSのレジストループ921がレジストループスペース911に入り込むことができるようにする。
【0072】
また、第1折り時には、図10に示すように、遮蔽部材901が揺動軸902を揺動中心として矢印P方向へ揺動して遮蔽位置へ移動し、シートSのレジストループ921がレジストループスペース911に入り込まないようにする。このようにすれば、上記実施の形態と同様に、折り位置の精度を向上させることができる。
(5-2)上記実施の形態においては、遮蔽部材300を用いてシートSがレジストループスペース341に入り込むのを規制する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに加えて次のようにしてもよい。
【0073】
すなわち、シートSの先端をレジストローラー対320のレジストニップ323へ搬送する際に、シートSが折りループスペース342に入り込まないようにするために、図11および図12に示すように、シートSをレジストニップ323へ案内するガイド部材1100を設けてもよい。ガイド部材1100は、ガイド部1101、腕部1102および揺動軸1103からなり、揺動軸1103を揺動中心として矢印Q方向に揺動することができる。
【0074】
シート搬送時には、図11(a)に示すように、ガイド部1101が遮蔽位置へ移動する。これによって、シートSが搬送経路370から逸れて折りループスペース342に入り込まないように、搬送経路370と折りループスペース342との間が遮蔽される。図11(b)に示すように、レジスト補正時にも、ガイド部1101が遮蔽位置に留まって、シートSが折りループスペース342に入り込まないようにする。
【0075】
一方、図12に示すように、第1折り時には、ガイド部材1100が揺動軸1103を揺動中心として矢印Q方向に揺動することによって、ガイド部1101が遮蔽位置から退避位置へ移動する。これによって、シートSの第1の折りループ392が搬送経路370から折りループスペース342へ湾出することができるようになる。また、第2折り時にも、ガイド部1101を退避位置に留まらせて、シートSの第2の折りループ393が搬送経路370から折りループスペース342へ湾出することができるようにする。
【0076】
このようにすれば、シートSの先端を確実にレジストニップ323へ搬送することができるので、シートSの先端が折りループスペース342へ入り込んで紙詰まり等が発生するのを防止することができる。
(5-3)上記実施の形態においては、遮蔽部材駆動モーター384を用いて遮蔽部材300を揺動させる場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、次のように遮蔽部材駆動モーター384を省いてもよい。
【0077】
図13(a)に示すように、シート搬送時には、遮蔽部材300は、揺動軸301によって揺動可能に軸支されており、外力を受けていない状態では、自重によって、遮蔽位置に位置する。また、ガイド部材1100のガイド部1101もまた遮蔽位置にあって、シートSが折りループスペース342へ入り込むのを阻止して、レジストニップ323へ案内する。
【0078】
図13(b)に示すように、レジスト補正時には、シートSに形成されたレジストループ391によって押し上げられて揺動し、退避位置へ移動する。この場合において、ガイド部材1100のガイド部1101は遮蔽位置に留まるので、シートSが折りループスペース342へ入り込まないように遮蔽される。
【0079】
図14に示すように、第1折り時には、不図示の駆動部がガイド部材1100を揺動駆動することによって、ガイド部材1100が矢印Q方向に揺動する。ガイド部材1100にはストッパー1300が固定されている。また、遮蔽部材300にはリブ302が立設されている。ガイド部材1100が矢印Q方向に揺動して、そのガイド部1101が退避位置へ移動すると、ストッパー1300の端面1301が遮蔽部材300のリブ302に当接して、遮蔽部材300の揺動を禁止する。
【0080】
これによって、遮蔽部材300が遮蔽位置に留まるので、第1折り時にシートSがレジストループスペース341に入り込むのを防止することができる。したがって、第1折り時における折り位置の精度を向上させることができる。また、遮蔽部材駆動モーター384が不要になるので、シート処理部100の部品コストや組み立てコストを低減することができ、シート処理部100の小型化や省スペース化を図ることができる。
(5-4)レジストループスペース911と折りループスペース342とが搬送経路370について同じ側にある構成について、上記変形例では、遮蔽部材901を遮蔽位置と退避位置との間を揺動させる場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、次のようにしてもよい。
【0081】
すなわち、図15および図16に示すように、遮蔽部材1500はラックピニオン構成になっており、シートSを搬送経路370に沿って案内するガイド部材を兼ねた遮蔽部1501にラック部分1502が設けられており、ピニオンギア1503に歯合する。ピニオンギア1503は遮蔽部材駆動モーター1510によって回転駆動され、これによって遮蔽部1501が搬送経路370と平行に移動する。
【0082】
図15(a)に示すように、シート搬送時には、遮蔽部1501が折りループスペース342を遮蔽して、シートSの先端をレジストローラー対320のレジストニップ323へ案内する。これによって、シートSが折りループスペース342へ入り込まないようになるので、紙詰まり等の発生が防止される。この場合において、レジストループスペース341は遮蔽されていない。
【0083】
図15(b)に示すように、レジスト補正時には、遮蔽部1501が折りループスペース342を遮蔽し、レジストループスペース911を遮蔽しない状態を維持する。これによって、シートSのレジストループ1521がレジストループスペース911へ湾出するので、シートSのスキューが補正される。
【0084】
図16に示すように、第1折り時には、遮蔽部材駆動モーター1510がピニオンギア1503を矢印R方向に回転駆動することによって、遮蔽部1501が矢印T方向に移動する。これによって、折りループスペース342の遮蔽が解除されて、折りループスペース342が開放される一方、レジストループスペース911は遮蔽される。
【0085】
なお、遮蔽部1501を矢印T方向に移動させるよりも前に、レジストローラー対320がシートSを搬送して、シートSの先端をシートセンサー362に検出位置まで進出させることによって、シートSのレジストループ1521は解消されている。したがって、シートSのレジストループ1521が遮蔽部1501によって挟まれることはない。
【0086】
遮蔽部1501が折りループスペース342を開放した後、搬送ローラー対310がシートSを搬送することによって、シートSの折りループ1522が形成され、折りローラー対330の折りニップ332へ向かって湾出する。
【0087】
このようにしても、折り処理時にシートSにレジストループ1521が形成されないように、遮蔽部1501がレジストループスペース911を遮蔽するので、シートSの折り位置の精度を向上させることができる。また、遮蔽部材1500を揺動させることなく、搬送経路370に沿って移動させるので、レジストループスペース911を遮蔽するために要する空間が小さくて済む。したがって、シート処理部100を小型化することが容易になる。
(5-5)上記実施の形態においては、レジストループスペース341と折りループスペース342とを別個に設ける場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、レジストループスペース341と折りループスペース342との少なくとも一部を共有させてもよい。
【0088】
レジストループスペース341が折りループスペース342を兼ねる場合を例にとって説明すると、図17(a)に示すように、本変形例に係るシート折りユニット200は、搬送ローラー対310、ガイド部材1701、1702を備えており、搬送ローラー対310を用いて送り出したシートを、ガイド部材1701、1702を用いて矢印C方向に案内する。ガイド部材1701、1702はシートSの搬送経路を挟んで近接しているので、ガイド部材1701、1702に挟まれた空間内ではレジスト補正に必要なレジストループを形成するのに十分な空間的な余裕がない。ガイド部材1702のシート搬送方向における下流側の端部は、ループスペース1706の手前である。
【0089】
遮蔽部材1700は、ラックピニオン構成になっており、シートSを矢印C方向に案内するガイド部材を兼ねた遮蔽部1703にラック部分1704が設けられており、ピニオンギア1705に歯合する。ピニオンギア1705は遮蔽部材駆動モーター1710によって回転駆動され、これによって遮蔽部1703が矢印C方向に平行に移動する。
【0090】
遮蔽部1703は、シートSの搬送経路とループスペース1706との間に進出して、ループスペース1706にシートが入り込まないように遮蔽する遮蔽位置と、シートSの搬送経路とループスペース1706との間から退避して、当該遮蔽を解除した退避位置とに移動することができる。シート搬送時には、遮蔽部1703は遮蔽位置に進出して、シートSの先端をレジストローラー対320のレジストニップ323へ案内する。
【0091】
レジスト補正時には、図17(b)に示すように、遮蔽部1703は遮蔽位置から退避位置へ退避して、シートSのレジストループ391がループスペース1706へ向かって湾出することができるようにする。これによって、シートSのスキューが補正される。したがって、シートSの第1の折り位置が傾斜するのを防止することができる。
【0092】
また、第1折り時には、図18に示すように、遮蔽部1703は退避位置に留まって、シートSの折りループ392がループスペース1706へ向かって湾出することができるようにする。これによって、シートSの第1の折り処理が実施される。また、ループスペース1706がレジストループスペースと折りループスペースとを兼ねており、ループスペース1706以外にシートSがループを形成することができるスペースが無いので、第1の折り位置の精度を向上させることができる。
(5-6)上記変形例においては、ループスペース1706がレジストループスペースと折りループスペースとを兼ねる構成において、遮蔽部材1700を設ける場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0093】
すなわち、図19(a)に示すように、シート折りユニット200から遮蔽部材1700を省いてもよい。シート搬送時には、搬送ローラー対310によって送り出されたシートSの先端が、ガイド部材1901、1902によって、上記実施の形態と同様にして、レジストローラー対320のレジストニップ323へ案内される。
【0094】
また、レジスト補正時には、図19(b)に示すように、シートSのレジストループ391がループスペース1903へ湾出することによって、シートSのスキューが補正される。第1折り時には、図20に示すように、シートSの折りループ392がループスペース903へ湾出することによって、シートSの第1の折り処理が実施される。
【0095】
このようにすれば、更に遮蔽部材駆動モーター1710も省くことができるので、シート処理部100の小型省スペース化および低コスト化を図ることができる。
(5-7)上記実施の形態においては、レジストローラー対320と折りローラー対330とが共有ローラー321を共有する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0096】
すなわち、図21に示すように、レジストローラー対320と折りローラー対330とはローラーを共有しなくてもよい。この場合において、レジストローラー対320のローラー2101と、このローラー2101に対向する折りローラー対330のローラー2102との間にシートSが入り込まないように、ガイド部材2103を設けるのが望ましい。
【0097】
また、図21においては、折りローラー対330をシートSの搬送経路の下方に配設する場合が示されているが、シート処理部100の装置構成によってはシートSの搬送経路の下方よりも上方にスペースの余裕がある場合があり、そのような場合には、折りローラー対330を搬送経路の上方に配設してもよい。
(5-8)上記実施の形態においては、画像読み取り部110、画像形成部120および給紙部130が複合機を構成する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、プリンター装置や、スキャナーを備えたコピー装置、更にファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置といった単機能機であっても、シート処理部100と組み合わせた場合に、本開示を適用することによって上記のような効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本開示に係るシート処理装置および画像形成装置は、高い位置精度で折り処理を実行することができる装置として有用である。
【符号の説明】
【0099】
1……………………………………………画像形成装置
100………………………………………シート処理部
110………………………………………画像読み取り部
120………………………………………画像形成部
130………………………………………給紙部
200………………………………………シート折りユニット
300、901、1500、1700…遮蔽部材
310………………………………………搬送ローラー対
320………………………………………レジストローラー対
330………………………………………折りローラー対
341、911……………………………レジストループスペース
342………………………………………折りループスペース
391………………………………………レジストループ
392………………………………………折りループ
1100……………………………………ガイド部材
1300……………………………………ストッパー
1706、1903………………………ループスペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23