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  • 特開-可視化装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166912
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】可視化装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20221027BHJP
【FI】
G06T19/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072323
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】519250327
【氏名又は名称】株式会社XMAT
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大橋 雄二
(72)【発明者】
【氏名】吉川 彰
(72)【発明者】
【氏名】面 政也
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】鉄筋コンクリート中の鉄筋などの構造体に覆われている対象物が、確認できるようにする。
【解決手段】表示制御部102は、対象物を覆って形成された構造体の外部から、記憶部101に記憶された画像情報を、構造体に対応させて表示部103に表示する。例えば、表示制御部102は、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、記憶部101に記憶されている画像情報を対応させて拡張現実により表示部103に表示する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に覆われる前に撮像することで得られた対象物の画像情報を記憶する記憶部と、
前記対象物を覆って形成された前記構造体の外部から、前記記憶部に記憶された前記画像情報を前記構造体に対応させて表示部に表示する表示制御部と
を備える可視化装置。
【請求項2】
請求項1記載の可視化装置において、
前記対象物は、埋設物であり、前記対象物の前記画像情報は埋設前に撮像することで得られたものであり、
前記表示制御部は、前記埋設物が埋設された前記構造体の撮像画像に、前記記憶部が記憶する前記画像情報を対応させて拡張現実により前記表示部に表示する
ことを特徴とする可視化装置。
【請求項3】
請求項2記載の可視化装置において、
前記埋設物は、鉄筋であり、前記構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものであることを特徴とする可視化装置。
【請求項4】
請求項2記載の可視化装置において、
前記埋設物は、配管であり、前記構造体は、道路または建造物であることを特徴とする可視化装置。
【請求項5】
請求項1記載の可視化装置において、
前記対象物は、生産設備であり、前記構造体は、前記生産設備が設置されている建築物であることを特徴とする可視化装置。
【請求項6】
対象物が構造体に覆われる前に、前記対象物を撮像することで画像情報を得る第1ステップと、
前記対象物を覆って形成された前記構造体の外部から、前記第1ステップで得た前記画像情報を前記構造体に対応させて表示部に表示する第2ステップと
を備える可視化方法。
【請求項7】
請求項6記載の可視化方法において、
前記対象物は、埋設物であり、前記対象物の前記画像情報は埋設前に撮像することで得られたものであり、
前記第2ステップは、前記埋設物が埋設された前記構造体の撮像画像に、前記第1ステップで得た前記画像情報を対応させて拡張現実により前記表示部に表示する
ことを特徴とする可視化方法。
【請求項8】
請求項7記載の可視化方法において、
前記埋設物は、鉄筋であり、前記構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものであることを特徴とする可視化方法。
【請求項9】
請求項7記載の可視化方法において、
前記埋設物は、配管であり、前記構造体は、道路または建造物であることを特徴とする可視化方法。
【請求項10】
請求項6記載の可視化方法において、
前記対象物は、生産設備であり、前記構造体は、前記生産設備が設置されている建築物であることを特徴とする可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設された構造体などを可視化する可視化装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄筋コンクリート構造の建築物を建築する場合、鉄筋の配筋検査が実施される。この検査では、例えば、デジタルカメラで鉄筋の状態を撮影し、撮影された画像を解析することにより鉄筋の規格を判別し、判別した情報と設計情報とが合致するか否かを判定する技術が用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-003981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、コンクリートが打設され、鉄筋コンクリート構造が完成した後では、コンクリート中に埋設された鉄筋の状態を確認することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、鉄筋コンクリート中の鉄筋などの構造体に覆われている対象物が、確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る可視化装置は、構造体に覆われる前に撮像することで得られた対象物の画像情報を記憶する記憶部と、対象物を覆って形成された構造体の外部から、記憶部に記憶された画像情報を構造体に対応させて表示部に表示する表示制御部とを備える。
【0007】
上記可視化装置の一構成例において、対象物は、埋設物であり、対象物の画像情報は埋設前に撮像することで得られたものであり、表示制御部は、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、記憶部が記憶する画像情報を対応させて拡張現実により表示部に表示する。
【0008】
上記可視化装置の一構成例において、埋設物は、鉄筋であり、構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものである。
【0009】
上記可視化装置の一構成例において、埋設物は、配管であり、構造体は、道路または建造物である。
【0010】
上記可視化装置の一構成例において、対象物は、生産設備であり、構造体は、生産設備が設置されている建築物である。
【0011】
また、本発明に係る可視化方法は、対象物が構造体に覆われる前に、対象物を撮像することで画像情報を得る第1ステップと、対象物を覆って形成された構造体の外部から、第1ステップで得た画像情報を構造体に対応させて表示部に表示する第2ステップとを備える。
【0012】
上記可視化方法の一構成例において、対象物は、埋設物であり、対象物の画像情報は埋設前に撮像することで得られたものであり、第2ステップは、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、第1ステップで得た画像情報を対応させて拡張現実により表示部に表示する。
【0013】
上記可視化方法の一構成例において、埋設物は、鉄筋であり、構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものである。
【0014】
上記可視化方法の一構成例において、埋設物は、配管であり、構造体は、道路または建造物である。
【0015】
上記可視化方法の一構成例において、対象物は、生産設備であり、構造体は、生産設備が設置されている建築物である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、対象物が構造体に覆われる前に撮像した対象物の画像情報を、対象物を覆って形成された構造体に対応させて表示するので、鉄筋コンクリート中の鉄筋などの構造体に覆われている対象物が、確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る可視化装置の構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る可視化方法を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る可視化装置のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る可視化装置について図1を参照して説明する。この可視化装置は、記憶部101、表示制御部102、表示部103を備える。
【0019】
記憶部101は、構造体に覆われる前に撮像することで得られた対象物の画像情報を記憶する。例えば、構造体に覆われる前の対象物を所定のデジタルカメラ(登録商標)やデジタルビデオカメラにより撮像した画像を、処理部104により処理することで、対象物の表面の位置・形状を表す多数の点の3次元座標から構成された画像情報からなる点群とした画像情報を、記憶部101に記憶することができる。
【0020】
例えば、対象物は、埋設物であり、対象物の画像情報は埋設前に撮像することで得られたものである。埋設物は、鉄筋であり、構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものとすることができる。また、埋設物は、配管であり、構造体は、道路または建造物とすることができる。また、対象物は、生産設備であり、構造体は、生産設備が設置されている工場などの建築物とすることもできる。
【0021】
表示制御部102は、対象物を覆って形成された構造体の外部から、記憶部101に記憶された画像情報を、構造体に対応させて表示部103に表示する。例えば、表示制御部102は、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、記憶部101に記憶されている画像情報を対応させて拡張現実により表示部103に表示する。例えば、図示しないデジタルカメラにより、構造体を撮像して表示部103に表示している撮像画像に、記憶部101に記憶されている画像情報を重ねて表示する。
【0022】
表示部103は、例えば、ヘッドマウントディスプレイから構成することができる。また、表示部103は、透過型のディスプレイから構成することもできる。 また、表示部103は、透明または半透明の状態で、記憶部101が記憶する画像情報(点群)を表示することで、表示部103を通して視認される対象となる構造体に、拡張現実による画像情報を重畳表示する。
【0023】
例えば、拡張現実により表示される示領域の所定の箇所が、構造体の基準点として設定されている箇所となるように、表示部103(カメラ)を配置し、拡張現実による表示を視認(確認)する。このようにすることで、拡張現実により表示される画像情報(鉄筋の点群)と、構造体における実際の対象物(埋設されている鉄筋)の箇所とを一致させることができる。このような基準点に関しては、予め決定しておくことができる。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る可視化方法について、図2を参照して説明する。
【0025】
まず、第1ステップS101で、対象物が構造体に覆われる前に、対象物を撮像することで画像情報を得る。例えば、構造体に覆われる前の対象物を所定のデジタルカメラやデジタルビデオカメラにより撮像した画像を所定の画像処理により処理することで、対象物の表面の位置・形状を表す多数の点の3次元座標から構成された画像情報からなる点群を画像情報とすることができる。これらの処理は、処理部104で実施することができる。また、画像情報は、記憶部101に記憶する。
【0026】
例えば、対象物は、埋設物であり、対象物の画像情報は埋設前に撮像することで得られたものである。埋設物は、鉄筋であり、構造体は、鉄筋コンクリート構造から構成されたものとすることができる。また、埋設物は、配管であり、構造体は、道路または建造物とすることができる。また、対象物は、生産設備であり、構造体は、生産設備が設置されている建築物とすることもできる。
【0027】
次に、第2ステップS102で、表示制御部102が、対象物を覆って形成された構造体の外部から、第1ステップS101で得た画像情報を、構造体に対応させて表示部103に表示する。例えば、対象物は、埋設物であり、対象物の画像情報は埋設前に撮像することで得られたものであり、第2ステップS102は、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、第1ステップS101で得た画像情報を対応させて拡張現実により表示部103に表示する。
【0028】
例えば、表示制御部102により、埋設物が埋設された構造体の撮像画像に、記憶部101に記憶されている画像情報を対応させて拡張現実により表示部103に表示する。例えば、図示しないデジタルカメラにより、構造体を撮像して表示部103に表示している撮像画像に、記憶部101に記憶されている画像情報を重ねて表示する。
【0029】
例えば、拡張現実により表示される示領域の所定の箇所が、構造体の基準点として設定されている箇所となるように、表示部103(カメラ)を配置し、拡張現実による表示を視認(確認)する。このようにすることで、拡張現実により表示される画像情報(鉄筋の点群)と、構造体における実際の対象物(埋設されている鉄筋)の箇所とを一致させることができる。このような基準点に関しては、予め決定しておくことができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態に係る可視化装置は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能(可視化方法)が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した可視化方法をコンピュータが実行するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0031】
以上に説明したように、本発明によれば、対象物が構造体に覆われる前に撮像した対象物の画像情報を、対象物を覆って形成された構造体に対応させて表示するので、鉄筋コンクリート中の鉄筋などの構造体に覆われている対象物が、確認できるようになる。本発明によれば、例えば、生産設備が設置されている工場(現場)に行ったことのない技術者に対し、教育などのために、他拠点から現場の雰囲気を伝えることができる。また、教育対象の技術者が、現場において生産設備を操作するときに、他拠点にいる熟練者から、遠隔指導を受けることができるようになる。また、本発明によれば、道路に埋設されている配管の位置が把握できるので、開削位置を極めて容易に決定することができる。
【0032】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0033】
101…記憶部、102…表示制御部、103…表示部、104…処理部。
図1
図2
図3