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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166913
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】すり切り具
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/24 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B65D35/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072324
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】富士フイルム富山化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康彦
(72)【発明者】
【氏名】津田 暁一
(72)【発明者】
【氏名】末広 貴史
(72)【発明者】
【氏名】西倉 英生
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌彦
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065DA04
3E065DE20
3E065FA20
3E065GA10
3E065JA40
(57)【要約】
【課題】容器から必要量の内容物を切り出すすり切り具であって、利便性を向上させたすり切り具を提供する。
【解決手段】本発明のすり切り具1は、押出容器2に装着可能に構成されている。また、すり切り具1は、押出容器2の出口20から出た内容物Cを、押出容器2の出口20に対して横切ってすり切るすり切り部3と、すり切り部3ですり切った内容物Cを受ける受け部4と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出容器に装着可能に構成され、
押出容器の出口から出た内容物を、押出容器の出口に対して横切ってすり切るすり切り部と、
前記すり切り部ですり切った内容物を受ける受け部と、を備える、すり切り具。
【請求項2】
前記受け部となる板部を有し、
前記板部のエッジが前記すり切り部となっている、請求項1に記載のすり切り具。
【請求項3】
前記すり切り部は、押出容器の出口を一方側から他方側へ横切ることで内容物をすり切るように構成され、
該すり切り部が前記出口を一方側から他方側へ横切った位置で、該すり切り部が他方側から一方側へ戻ることを規制可能に構成された戻り規制部を備える、請求項1又は請求項2に記載のすり切り具。
【請求項4】
前記受け部に内容物のすり切り量の目安となる目印が設けられている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のすり切り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器等の押出容器から押し出された内容物を必要量だけすり切ることができるすり切り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、練状物を収容する容器であって、容器頭部の横面に容器口が設けられた容器に取り付けられる円筒状のかぶせ蓋が知られている(特許文献1)。このかぶせ蓋は、容器頭部に取り付けられる。また、かぶせ蓋の横面には、出口が設けられている。さらに、かぶせ蓋の出口には、カッターが配置されている。
【0003】
かぶせ蓋を取り付けた容器から練状物を取り出す際には、まず、かぶせ蓋を回して容器口とかぶせ蓋の出口を合わせた状態とし、容器から練状物を必要量だけ出す。次に、かぶせ蓋をさらに回すと、カッターにより練状物を切り落とすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭56-038048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、練状物が指で塗布する軟膏等である場合、切り落とした練状物を、塗布対象に塗布するために小皿等の別の部材に保持する必要があり不便であった。
【0006】
本発明は、容器から必要量の内容物を切り出すすり切り具であって、利便性を向上させたすり切り具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のすり切り具は、押出容器に装着可能に構成され、押出容器の出口から出た内容物を、押出容器の出口に対して横切ってすり切るすり切り部と、前記すり切り部ですり切った内容物を受ける受け部と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、すり切り部により押出容器からの内容物を必要量だけ切り出して、受け部に保持することができるため、例えば、すり切って受け部に保持された内容物を指や別の塗布道具に取って塗布する場合等に便利である。また、押出容器の出口を指で直接触れることが無いため、内容物の汚染や劣化を防ぐことができる。特に、内容物が水分によって固まる特性がある場合は、指についた水分が内容物に付着する恐れがないため、安定して取り出すことができる。
【0009】
また、前記すり切り具では、前記受け部となる板部を有し、前記板部のエッジが前記すり切り部となっていてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、受け部となる板部のエッジがすり切り部となっているため、内容物を受け部で受けながらすり切り部ですり切ることができる。
【0011】
また、前記すり切り具では、前記すり切り部は、押出容器の出口を一方側から他方側へ横切ることで内容物をすり切るように構成され、該すり切り部が前記出口を一方側から他方側へ横切った位置で、該すり切り部が他方側から一方側へ戻ることを規制可能に構成された戻り規制部を備えてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、すり切り部が押出容器の出口を一方側から他方側へ横切って内容物をすり切った後に、他方側から一方側へ戻ってしまうことを戻り規制部によって規制することができるため、すり切り部ですり切って受け部で保持したすり切り姿勢で保持できて利便性が向上する。
【0013】
また、前記すり切り具では、前記受け部に内容物のすり切り量の目安となる目印が設けられていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、押出容器の内容物を、目盛等の目印を目安にして使用量を確認しながら押し出すことで、内容物のすり切り量を計量することができる。例えば、使用量を計量する目的や、他剤と決められた比率で混合する目的に利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上より、本発明によれば、容器から必要量の内容物を切り出すすり切り具であって、利便性を向上させたすり切り具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、本実施形態に係るすり切り具を装着した押出容器の側面図であって、すり切り部が収納位置の状態にあるときの側面図である。
図1B図1Bは、前記すり切り具を装着した押出容器の側面図であって、すり切り部が展開状態にあり且つ内容物のすり切り前の側面図である。
図1C図1Cは、前記すり切り具を装着した押出容器の側面図であって、すり切り部が展開状態にあり且つ内容物のすり切り後の側面図である。
図2A図2Aは、図1Bのすり切り具周辺の模式図である。
図2B図2Bは、図1Bのすり切り具周辺の模式図である。
図2C図2Cは、図1Cのすり切り具周辺の模式図である。
図3図3は、前記すり切り具のすり切り本体の正面図である。
図4A図4Aは、前記すり切り具を装着する前の押出容器の模式図である。
図4B図4Bは、図4Aの押出容器から輸送用キャップを取り外してノズルを取り付けた状態の模式図である。
図4C図4Cは、図4Bの押出容器に前記すり切り具を装着した状態の模式図である。
図4D図4Dは、図4Cの押出容器に保存用キャップを取り付けた状態の模式図である。
図5A図5Aは、変形例に係るすり切り具を装着した押出容器の側面図である。
図5B図5Bは、図5Aのすり切り具周辺の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るすり切り具について、図1A図4Cを参照しつつ説明する。
【0018】
すり切り具1は、図1A図1Cに示すように、押出容器2に装着可能に構成されている。本実施形態のすり切り具1は、輸送時において押出容器2とは別体であり、押出容器2の内容物Cを最初に使用する際に押出容器2に装着されるものである。また、このすり切り具1は、押出容器2に装着された後、押出容器2に固定されるものである。
【0019】
押出容器2は、例えば、粘性を有する内容物C(具体的には、軟膏、練状物、ゲル状物等)を収容する容器である。また、押出容器2は、変形させることで内容物Cを押し出す変形型押出容器である。
【0020】
例えば、押出容器2は、内容物Cを収容する容器本体21を備える。押出容器2の先端部22(具体的には、先端部22の先端面220)には、先端向きに開口した出口20が形成されている。具体的に、押出容器2は、先端部22が先丸のチューブ容器である。なお、出口20は、例えば、丸穴である。この押出容器2を変形させると、内容物Cが出口20から上向きに押し出される。
【0021】
この押出容器2では、容器本体21の側面210は、平面に形成された領域である平坦領域211を含む。具体的に、平坦領域211は、容器本体21の後端部(先端部22と反対側の端部)に配置され、封止されている。
【0022】
以下、すり切り具1が装着された押出容器2において、押出容器2の内容物Cの押出方向(図1A図1Cにおける上下方向)を単に「押出方向」と称する。また、押出容器2の先端側(出口20が設けられている側、同図における上側)を単に「先端側」と称し、押出方向における先端側と反対側(同図における下側)を「後端側」と称する。
【0023】
また、すり切り具1は、図2A図2Cに示すように、押出容器2の出口20から出た内容物Cを、押出容器2の出口20に対して横切ってすり切るすり切り部3と、すり切り部3ですり切った内容物Cを受ける受け部4と、を備える。また、このすり切り具1は、すり切り部3及び受け部4を押出容器2の先端部22に装着する装着部5と、すり切り具1を把持する際に用いられる把持部6と、を備える。さらに、すり切り具1は、すり切り部3を規制可能に構成された戻り規制部7を備える。
【0024】
本実施形態のすり切り具1は、図3に示すように、すり切り部3及び受け部4を有するすり切り本体8を備える。また、このすり切り具1では、すり切り本体8は、戻り規制部7も有する。なお、すり切り具1は、例えば、樹脂製である
【0025】
すり切り具1を使用して押出容器2から内容物Cを切り出す際には、すり切り具1の姿勢を、収納状態(図1A参照)から、受け部4が押出容器2の出口20と押出方向において並ぶ展開状態(図1B及び図2A参照)に変化させる。次に、すり切り具1を展開状態としたまま、押出容器2から内容物Cを押し出す(図2B参照)。さらに、すり切り具1の姿勢を、押出容器2の出口20を横切って内容物Cをすり切ったすり切り状態となるように変化させる(図1C及び図2C参照)。
【0026】
本実施形態のすり切り具1は、押出容器2の出口20に対して回動可能であり、例えば、出口20の径方向に回動する。また、このすり切り具1は、押出容器2の出口20に対して、押出方向に沿った方向を軸方向として回転する。
【0027】
以下、すり切り具1の各構成について詳細に説明する。
【0028】
装着部5は、すり切り本体8を押出容器2に取り付ける部位である(図1A参照)。また、装着部5は、押出方向に沿った方向(押出容器2の出口20の中心軸C1方向、図2A参照)を軸方向として押出容器2に対して回転可能な状態で、押出容器2に固定される。
【0029】
本実施形態の装着部5は、押出容器2の先端側に取り付けられる略筒状の部材である。例えば、装着部5は、押出方向に沿った方向を軸方向として押出容器2に対して回動可能に構成された回転機構50を有する。また、装着部5は、略平坦な面状の平面部51を有する(図1C参照)。さらに、装着部5は、内容物Cを切り出した後のすり切り具1がさらに進まないように規制する進み規制部52を有する。
【0030】
平面部51は、回転機構50の周方向における一部分から後端側に延びている。また、平面部51は、押出方向に沿って延びている。また、平面部51は、押出容器2の出口20の径方向に沿って延びている。さらに、平面部51は、押出容器2の容器本体21よりも外側に位置している。
【0031】
進み規制部52は、すり切り部3が押出容器2の出口20を一方側から他方側(例えば、図1Cでは右側から左側)へ横切った位置で、すり切り部3がさらに他方側へ(例えば、図1Cではさらに左側へ)進むことを規制可能に構成された部位である。また、進み規制部52は、すり切り部3を進み規制部52と押出方向に並んだ姿勢で規制する(図2C参照)。具体的に、進み規制部52は、回転機構50の外周面から外側に突出した凸部(例えば、凸条)である。進み規制部52は、押出方向に沿って延びている。
【0032】
回転機構50は、例えば、押出容器2の先端部22に取り付けられる。回転機構50の回転軸は、例えば、出口20の中心を通る。回転機構50の側面には、一対の貫通孔500が設けられている。
【0033】
すり切り本体8は、所望の量の内容物Cをすり切った後、保持する部位である。また、すり切り本体8は、装着部5に対して回動可能である。そのため、装着部5が押出容器2に取り付けられた状態で、すり切り本体8は、押出容器2に対して回動可能である。
【0034】
本実施形態のすり切り具1では、すり切り本体8は、図3に示すように、受け部4となる板部80を有する。板部80は、例えば、長尺板状である。この板部80のエッジ800(具体的には、板部80の上面801と後方側に位置する端縁である後端縁802とで構成されるエッジ800)が、すり切り部3となっている。また、板部80の後端縁802は、戻り規制部7となっている。このすり切り本体8では、板部80の厚み方向における一方の面側に、すり切り部3と受け部4とが設けられている。
【0035】
さらに、すり切り本体8は、すり切り具1の長さ方向と直交する方向における両端からさらに後方に延びる一対の延出部81を有する。延出部81の後端部には、装着部5の貫通孔500に挿入されることで、すり切り本体8を装着部5に固定するビス810が設けられている。
【0036】
すり切り部3は、所望の量の内容物Cをすり切る部位である(図2B図2C参照)。また、すり切り部3は、例えば、押出容器2の出口20を一方側から他方側へ(具体的には、同図における右側から左側へ)横切ることで内容物Cをすり切るように構成されている。
【0037】
さらに、すり切り部3は、例えば、すり切り具1の長さ方向と交差する方向(具体的には、この長さ方向と直交する方向)に延びている(図3参照)。本実施形態のすり切り具1では、すり切り部3は、直線状に延びているが、曲線状に延びていてもよい。
【0038】
本実施形態のすり切り具1では、すり切り本体8は、装着部5に対して後端側へ向けて延びる収納位置(図1A参照)と、先端側に向けて延びる展開位置(図1B及び図1C参照)との間で、その位置を変更可能である。具体的に、すり切り本体8は、収納位置と展開位置との間で、回動可能である。また、収納位置が出口20の径方向における一方側(図1B及び図1Cにおける右側)の位置となり、展開位置が出口20の径方向における他方側(同図における左側)の位置となる。
【0039】
なお、すり切り本体8の押出容器2に対する回動軸C2は、すり切り部3が先端部22の先端面220に接しながら回転するために、押出容器2の中心軸(例えば、出口20の中心軸C1)から出口20の径方向にずれているほうが好ましい。具体的に、すり切り本体8の押出容器2に対する回動軸C2は、すり切り直前側(出口20の径方向における一方側)にずれている。本実施形態のすり切り具1では、すり切り本体8をすり切り直前の位置からすり切り後の位置に回動する際に、すり切り部3が先端面220に接しながら移動するために、出口22付近に内容物Cを残すことがない。また、すり切り本体8の後端縁802が押出容器2の先端部22に当接して乗り越えるためにクリック感が生じる。
【0040】
受け部4は、すり切り部3ですり切った内容物Cを保持する部位である。また、受け部4は、略平皿状(略平板状)であるが、椀状等であってもよい。
【0041】
また、受け部4に、例えば、内容物Cのすり切り量の目安となる目印40が設けられている。目印40は、凹凸加工により形成されていてもよく、印刷により形成されていてもよい。例えば、目印40は、凸条に形成された計量線である。目印40は、すり切り具1の長さ方向と交差する方向(具体的には、この長さ方向と直交する方向)に延びている。
【0042】
本実施形態のすり切り具1では、受け部4の表面41が湾曲している。そのため、すり切り具1とは別の塗布用具(スパチュラ等)で、受け部4に保持された内容物Cを取るときに、受け部4の表面41がこの塗布用具に沿った形状となっているので、内容物Cを受け部4から取りやすい。また、指で内容物Cを取るときにも、この表面41が指にフィットするので内容物Cを取りやすい。なお、受け部4の表面41は、例えば、出口20の径方向における一方側に凹んだ湾曲面である。
【0043】
把持部6は、すり切り部3による内容物Cのすり切り等の際に把持される部位である。例えば、把持部6は、板部80の端部803(本実施形態のすり切り具1では、長さ方向におけるすり切り部3の他方側に位置する端部803)に位置している。また、把持部6では、把持の際の滑り止めのため、板部80の上面801に凸部804(例えば、複数の凸部804)が設けられている。
【0044】
戻り規制部7は、すり切り部3が押出容器2の出口20を一方側から他方側(例えば、右側から左側)へ横切った位置で、すり切り部3が他方側から一方側へ(例えば、左側から右側へ)戻ることを規制可能に構成された部位である。本実施形態のすり切り具1では、戻り規制部7が、押出容器2(具体的には、押出容器2の先端部22)に引っ掛かることで、すり切り部3の位置が保持される。即ち、このすり切り具1では、戻り規制部7が、押出容器2の先端部22を乗り超えた状態となることにより、すり切り本体8は他方側から一方側へ戻りにくくなっている。そのため、受け部4に保持された内容物Cを取るときに把持部6を把持している必要はない。
【0045】
本実施形態のすり切り本体8では、すり切り部3の長さ方向における他方側に受け部4が、受け部4の長さ方向における他方側に目印40が、目印40の長さ方向における他方側に把持部6が並んでいる。即ち、このすり切り本体8では、すり切り部3、受け部4、目印40、及び、把持部6が、長さ方向における一方側から他方側へこの順で並んでいる。
【0046】
以下、すり切り具1を押出容器2に装着する際の操作について、図4A図4Dを用いて詳しく説明する。
【0047】
輸送時の押出容器2には、例えば、輸送用キャップ23が取り付けられている。この状態において、図4Aに示すように、押出容器2の口部は閉塞膜により閉塞されている。
【0048】
すり切り具1を押出容器2に装着する際には、まず、図4Aに示すように、押出容器2から輸送用キャップ23を取り外す。さらに、図4Bに示すように、押出容器2の容器本体21の先端にノズル24を取り付ける。このノズル24の取り付けの際に、押出容器2の口部を閉塞していた閉塞膜が破られて出口20から内容物Cが取出し可能となる。なお、本実施形態の押出容器2では、ノズル24が、押出容器2の先端部22を構成する。
【0049】
さらに、図4Cに示すように、押出容器2の先端部22に、すり切り具1の装着部5を取り付けることで、すり切り具1を押出容器2に装着する。なお、押出容器2から内容物Cを押し出すとき以外には、図4Dに示すように、押出容器2の出口20は、保存用キャップ25により閉塞される。
【0050】
なお、このすり切り具1は、上述のように、押出方向に沿った方向を軸方向として回転できる回転機構50を有する。そのため、回転機構50を回転させることで、軸方向を中心にすり切り具1を回転させて、容器本体21とすり切り具1を操作しやすい位置に変更することができる。また、装着部5の平面部51が容器本体21の平坦領域211と同じように延びるような姿勢(略平行となる姿勢)とすれば、すり切り具1を装着した押出容器2を載置しやすい(図1C参照)。例えば、押出容器2がアルミチューブのように使用に伴い後端部を折りたたむことで封止する構成であっても、すり切り具1を装着した押出容器2を載置しやすい。
【0051】
さらに、すり切り具1について、押出容器2から内容物Cを押し出してすり切る際の具体的な操作について説明する。
【0052】
まず、すり切り本体8を、装着部5に対して後端側へ向けて延びる収納位置から(図1A及び図2A参照)、装着部5に対して先端側に向けて伸びる展開位置に変更する(図1B及び図2B参照)。具体的に、すり切り本体8を、出口20の径方向に回動させて、収納位置から展開位置に変更する。
【0053】
次に、すり切り本体8を展開位置とした状態で、押出容器2の容器本体21を押して変形させて、内容物Cを受け部4に押し出し、押し出された内容物Cを受け部4に保持する。このとき、受け部4の目印40を目安に、内容物Cを押し出す。さらに、すり切り本体8を、出口20の径方向に回動させて押出容器2の出口20を一方側から他方側へ横切って内容物Cをすり切ることで、内容物Cをすり切ることができる。これにより、すり切り具1は、すり切り部3ですり切って受け部4で保持したすり切り姿勢となる(図1C及び図2C参照)。
【0054】
本実施形態のすり切り具1では、内容物Cをすり切ったすり切り本体8は、延出部81が装着部5の進み規制部52に当接することで、さらに進むように回動することが規制される。
【0055】
以上のすり切り具1によれば、すり切り部3により押出容器2からの内容物Cを必要量だけ切り出して、受け部4に保持することができるため、例えば、すり切って受け部4に保持された内容物Cを指や別の塗布道具S(スパチュラ等)に取って塗布する場合等に便利である(図2C参照)。
【0056】
本実施形態のすり切り具1では、受け部4となる板部80のエッジ800がすり切り部3となっているため、内容物Cを受け部4で受けながらすり切り部3ですり切ることができる。
【0057】
また、本実施形態のすり切り具1では、すり切り部3が押出容器2の出口20を一方側から他方側へ横切って内容物Cをすり切った後に、他方側から一方側へ戻ってしまうことを、戻り規制部7によって規制することができるため、すり切り部3ですり切って受け部4で保持したすり切り姿勢で保持できて、利便性が向上する。
【0058】
さらに、本実施形態のすり切り具1では、押出容器2の内容物Cを、受け部4の目印40を目安にして押し出すことで、内容物Cのすり切り量を計量することができる
【0059】
本実施形態のすり切り具1では、すり切り部3を展開位置としたとき、すり切り具1の収納位置から展開位置への回動の径方向における内側から外側に、すり切り部3、受け部4、及び、把持部6が順に並んでいる。このように、すり切り部3や受け部4が把持部6よりも径内側に位置しているため、受け部4に内容物Cを保持している状態で、内容物Cの指等への意図しない付着が起きにくい。しかも、受け部4に内容物Cを保持している状態であっても、把持部6を把持してすり切り具1を回動させるだけで受け部4の姿勢を変更できる。
【0060】
また、本実施形態のすり切り具1では、すり切り部3を展開位置とした状態で、受け部4の下面側に、装着部5の平面部51が配置される。そのため、例えば、内容物Cをすり切った後の状態で、すり切り具1を装着した押出容器2を載置しやすい。
【0061】
さらに、平面部51を下にした状態ですり切り具1を載置したときに、受け部4が上向きとなり戻り規制部7で支持されることで、受け部4で受け取った内容物Cをとりやすい。なお、戻り規制部7がすり切り部3の移動を規制した状態で、平面部51と受け部4の表面41とが、押出容器2の出口20の径方向において反対向きに配置される。
【0062】
尚、本発明のすり切り具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0063】
上記実施形態のすり切り具1では、すり切り本体8が板状であったが、箱状等の別の形状であってもよい。例えば、図5に示すように、すり切り具1が箱状であってもよい。具体的に、すり切り具1のすり切り本体8が、板部80の代わりに箱部82を有していてもよい。本実施形態の箱部82は、内部に栓部84を有し、栓部84を挟んだ両側の先端部にすり切り部3を有する。また、箱部82は、栓部84が押出容器2の出口20を密閉する形状となっており、押出容器2の保存用キャップの機能を有する。
【0064】
このすり切り具1では、装着部5の貫通孔500が瓢箪形状となっており、すり切り本体8のビス810がそれぞれ配置可能な第一領域501及び第二領域502を含む。第二領域502は、第一領域501よりも先端側に設けられ、第一領域501とくびれ部を介して連続している。押出容器2を保存する際には、栓部84が押し出し容器2の出口20を密閉するように、すり切り本体8のビス810を第一領域501に配置する。また、押出容器2を使用する際には、すり切り本体8のビス810を第二領域502に配置することで回動が可能となり、押し出した内容物Cをすり切り部3ですり切り、箱部82に受けことができる。このように、すり切り本体8のビス810を移動させることで、押出容器2のキャップの開閉と同等の動作を行うことができる。
【0065】
なお、すり切り本体8は、栓部84を持たない押出容器2の出口20を露出する形状(例えば、筒形状)となっていてもよく、この場合、保存用キャップの機能を有さない。
【0066】
上記実施形態のすり切り具1は、押出容器2の出口20に対して回動可能であったが、押出容器2の出口20に対して、例えば、スライド等により移動可能であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態のすり切り具1では、板部80の厚み方向における一方の面側に、すり切り部3と受け部4とが設けられていたが、板部80の厚み方向における両面にすり切り部3と受け部4とが設けられていてもよい。
【0068】
なお、板部80は、すり切り部3と受け部4とを有していたが、受け部4のみを有していてもよい。この場合、例えば、板部80の後方側に、別途、すり切り部3が接続されていてもよい。
【0069】
上記実施形態のすり切り具1では、受け部4に目印40が設けられていたが、目印40が設けられていなくてもよい。また、受け部4の表面41は、湾曲していたが、平面であってもよい。
【0070】
押出容器2は、変形型押出容器に限らず、容器本体21内でピストンなどを摺動させて押し出す摺動型容器等であってもよい。
【0071】
また、押出容器2の先端部22は、先丸形状以外であってもよく、例えば、先細形状(細長い形状)であってもよい。さらに、押出容器2の出口20は、先端部22の側面や、先端部22から横向きに延びるノズルに設けられていてもよい。この場合、内容物Cは横向きに押し出される。
【0072】
なお、すり切り具1は、輸送時点で押出容器2に固定されてもよい。また、すり切り具1は、押出容器2に着脱可能に装着されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…すり切り具、2…押出容器、3…すり切り部、4…受け部、5…装着部、6…把持部、7…規制部、8…すり切り本体、20…出口、21…容器本体、22…先端部、23…輸送用キャップ、24…ノズル、25…保存用キャップ、40…目印、41…表面、50…回転機構、51…平面部、52…進み規制部、80…板部、81…延出部、82…箱部、84…栓部、210…側面、211…平坦領域、220…先端面、500…貫通孔、501…第一領域、502…第二領域、800…エッジ、801…上面、802…後端縁、803…後端部(端部)、804…凸部、810…ビス、C…内容物、S…塗布道具
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B