(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166935
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】自走式電動車両および電動機ユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 7/02 20060101AFI20221027BHJP
B62J 41/00 20200101ALI20221027BHJP
B62J 40/10 20200101ALI20221027BHJP
B62J 25/04 20200101ALI20221027BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20221027BHJP
【FI】
B62M7/02 A
B62M7/02 X
B62J41/00
B62J40/10
B62J25/04
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072377
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】大石 栄幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真吾
(57)【要約】
【課題】前輪および後輪を支持するメインフレームからの振動の影響を受け難いとともに、冷媒経路の剛性または耐久性が確保し易くなる自走式電動車両および電動機ユニットを提供する。
【解決手段】自走式電動車両100は、前輪103および後輪108を支持するフレーム101に電動機ユニット120が取り付けられている。電動機ユニット120は、電動機121に対してラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139を備えている。ラジエター130および送風機139は、電動機121に対して間接支持体134を介して間接的に取り付けられている。送液ポンプ135は、間接支持体137を介してラジエター130に間接的に取り付けられている。冷却水タンク138は、電動機121に直接取り付けられている。この電動機ユニット120は、電動機121がフレーム101に直接的に取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が着座するシートと、
前記シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、
前記ハンドルよりも前記シート側に配置されて前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転駆動させる電動機と、
前記電動機を冷却するための冷却装置と、
前記前輪と前記後輪との間に延びてこれらの前輪および後輪を支持するフレームとを備えた自走式電動車両であって、
前記電動機は、
前記フレームに直接的または間接的に取り付けられて支持されており、
前記冷却装置は、
前記電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項2】
請求項1に記載した自走式電動車両において、
前記冷却装置は、
前記電動機を水冷するための冷却水を熱交換するラジエターと、
前記冷却水を前記電動機と前記ラジエターとの間で循環させる送液ポンプとを有し、
前記ラジエターは、
前記電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項3】
請求項2に記載した自走式電動車両において、
前記送液ポンプは、
前記電動機および前記ラジエターのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載した自走式電動車両において、さらに、
前記冷却水を貯留する冷却水タンクを備えており、
前記冷却水タンクは、
前記電動機、前記ラジエターおよび前記送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した自走式電動車両において、
前記冷却装置は、
風を送り出す送風機を有しており、
前記送風機は、
前記電動機が風下側または風上側になる向きで前記電動機、前記ラジエターおよび前記送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項6】
請求項5に記載した自走式電動車両において、
前記送風機は、
前記電動機と前記ラジエターとの間に配置されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載した自走式電動車両において、さらに、
前記ハンドルと前記シートとの間に前記運転者の両足を揃えた状態で載置可能な平面状のステップフロアを備えており、
前記ラジエターは、
前記ステップフロアより上方の位置に同ステップフロアに面して設けられていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載した自走式電動車両において、さらに、
前記冷却装置を前記電動機に対して離隔した位置で支持する間接支持体を備え、
前記冷却装置は、
前記間接支持体を介して前記電動機に間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載した自走式電動車両において、さらに、
前記電動機の作動を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記電動機に隣接する位置または同電動機と共通のハウジング内に配置されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載した自走式電動車両において、
前記電動機は、
前記フレームに対して固定的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両。
【請求項11】
運転者が着座するシートと、
前記シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、
前記ハンドルよりも前記シート側に配置されて前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転駆動させる電動機と、
前記電動機を冷却するための冷却装置と、
前記前輪と前記後輪との間に延びてこれらの前輪および後輪を支持するフレームとを備えた自走式電動車両用の電動機ユニットであって、
前記電動機は、
前記フレームに直接的または間接的に取り付けるための取付部を有し、
前記冷却装置は、
前記電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されていることを特徴とする自走式電動車両用の電動機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機を駆動源として自走する自走式電動車両および電動機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、両足を揃えた状態でシートに着座するまたはシートに跨った状態で着座して運転する自動二輪車などの自走式電動車両においては、電動機を冷却するために冷却装置が設けられている。例えば、下記特許文献1には、電動機を冷却するための凝縮器が車体フレームに直接または車体フレームから延びる伝動ケースを介して設けられた自走式二輪電動車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された自走式二輪電動車両においては、凝縮器が車両フレームに直接または空洞状の伝動ケースに設けられたブラケットを介して取り付けられているため、走行時における車両フレームの振動の影響を受け易いとともに、凝縮器と電動機とが互いに個別に振動することで互いを繋いでいる冷媒経路の剛性または耐久性の確保が困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、前輪および後輪を支持するフレームからの振動の影響を受け難いとともに、冷媒経路の剛性または耐久性が確保し易くなる自走式電動車両および電動機ユニットを提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、運転者が着座するシートと、シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、ハンドルよりもシート側に配置されて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を回転駆動させる電動機と、電動機を冷却するための冷却装置と、前輪と後輪との間に延びてこれらの前輪および後輪を支持するフレームとを備えた自走式電動車両であって、電動機は、フレームに直接的または間接的に取り付けられて支持されており、冷却装置は、電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、自走式電動車両は、電動機がフレームに直接的または間接的に取り付けられて支持されているとともに、この電動機に対して冷却装置が直接的または間接的に取り付けられて支持されているため、フレームからの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0008】
ここで、冷却装置を電動機に直接的に取り付けるとは、冷却装置を電動機に直接取り付けることであり、例えば、電動機のハウジングに一体的に設けられた取付部を介して取り付ける、またはハウジングに接触した状態で取り付ける態様である。また、冷却装置を電動機に間接的に取り付けるとは、冷却装置を電動機に対して直接接触しないように別体の部品を介して取り付ける態様である。また、電動機による冷却装置の支持は、補助的な支持ではなく、電動機による単独の支持によって冷却装置が機能を十分に発揮し得る状態での支持を意味する。また、自走式電動車両としては、二輪または三輪のオートバイクのほか、四輪のカートまたはバギーがある。この場合、自走式車両は、電動機がハンドルとシートとの間に配置される比較的小型の自走式車両が好適である。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、冷却装置は、電動機を水冷するための冷却水を熱交換するラジエターと、冷却水を電動機とラジエターとの間で循環させる送液ポンプとを有し、ラジエターは、電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0010】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、冷却装置がラジエターと送液ポンプとを有しているとともに、ラジエターが電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されているため、ラジエターにおけるフレームからの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、送液ポンプは、電動機およびラジエターのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0012】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、送液ポンプが電動機およびラジエターのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されているため、送液ポンプにおけるフレームからの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、さらに、冷却水を貯留する冷却水タンクを備えており、冷却水タンクは、電動機、ラジエターおよび送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0014】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、冷却水を貯留する冷却水タンクが電動機、ラジエターおよび送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されているため、冷却水タンクにおけるフレームからの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、冷却装置は、風を送り出す送風機を有しており、送風機は、電動機が風下側または風上側になる向きで電動機、ラジエターおよび送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0016】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、風を送り出す送風機が電動機の風下側または風上側になる向きで電動機、ラジエターおよび送液ポンプのうちの少なくとも1つに直接的または間接的に取り付けられて支持されているため、電動機の冷却効果を高めることができる。また、自走式電動車両は、送風機におけるフレームからの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、送風機は、電動機とラジエターとの間に配置されていることにある。
【0018】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、送風機が電動機とラジエターとの間に配置されているため、電動機およびラジエターを同時に効果的に冷却することができる。
【0019】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、さらに、ハンドルとシートとの間に運転者の両足を揃えた状態で載置可能な平面状のステップフロアを備えており、ラジエターは、ステップフロアより上方の位置に同ステップフロアに面して設けられていることにある。
【0020】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、運転者が両足を揃えて載置可能な平面状のステップフロア上に面してラジエターが設けられているため、走行時におけるラジエター内に飛来物または泥水が付着すること防止することができる。
【0021】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、さらに、冷却装置を電動機に対して離隔した位置で支持する間接支持体を備え、冷却装置は、間接支持体を介して電動機に間接的に取り付けられて支持されていることにある。
【0022】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、冷却装置が間接支持体を介して電動機に対して間接的に取り付けられて支持されているため、冷却装置の電動機への取り付けの自由度を広げることができる。
【0023】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、さらに、電動機の作動を制御する制御装置を備え、制御装置は、電動機に隣接する位置または同電動機と共通のハウジング内に配置されていることにある。
【0024】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、電動機の作動を制御する制御装置が電動機に隣接する位置または同電動機と共通のハウジング内に配置されているため、冷却装置によって電動機とともに効率的に冷却を行うことができる。
【0025】
また、本発明の他の特徴は、前記自走式電動車両において、電動機は、フレームに対して固定的に取り付けられて支持されていることにある。
【0026】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、自走式電動車両は、電動機がフレームに対して固定的に取り付けられて支持されているため、電動機がフレームに対して可動的に取り付けられている場合に比べて電動機および電動機に取り付けられる冷却装置の可動領域を考慮する必要がないため電動機の取り付けスペースおよび自走式電動車両全体をコンパクトに構成することができる。
【0027】
また、本発明は自走式電動車両の発明として実施できるばかりでなく、この自走式電動車両用の電動機ユニットの発明としても実施できるものである。
【0028】
具体的には、電動機ユニットは、運転者が着座するシートと、シートに対向して設けられて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を操舵するためのハンドルと、ハンドルよりもシート側に配置されて前輪および後輪のうちの少なくとも一方を回転駆動させる電動機と、電動機を冷却するための冷却装置と、前輪と後輪との間に延びてこれらの前輪および後輪を支持するフレームとを備えた自走式電動車両用の電動機ユニットであって、電動機は、フレームに直接的または間接的に取り付けるための取付部を有し、冷却装置は、電動機に直接的または間接的に取り付けられて支持されるようにすればよい。このように構成した電動機ユニットによれば、前記自走式電動車両と同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る自走式電動車両の全体構成の概略を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す自走式電動車両に搭載される電動機ユニットの全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両の左側から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す自走式電動車両に搭載される電動機ユニットの全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両の右側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す自走式電動車両の制御システムの概略を示すブロック図である。
【
図5】
図2および
図3にそれぞれ示す電動機ユニットにおける間接支持体の全体構成の概略を示す斜視図である。
【
図6】本発明の変形例に係る自走式電動車両に搭載される電動機ユニットの全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両の左側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の他の変形例に係る電動機ユニットの全体構成の概略を
図8に示す自走式電動車両の左側から見た斜視図である。
【
図8】
図7に示す電動機ユニットを搭載する自走式電動車両の全体構成の概略を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る自走式電動車両の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る自走式電動車両100の全体構成の概略を模式的に示す側面図である。また、
図2は、
図1に示す自走式電動車両100に搭載される電動機ユニット120の全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両100の左側から見た斜視図である。
図3は、
図1に示す自走式電動車両100に搭載される電動機ユニット120の全体構成の概略を
図1に示す自走式電動車両100の右側から見た斜視図である。また、
図4は、
図1に示す自走式電動車両100の制御システムの概略を示すブロック図である。この自走式電動車両100は、運転者Uが両足を揃えた状態でシート110上に着座して運転を行う小型の自動二輪車(所謂スクータ)である。
【0031】
(自走式電動車両100の構成)
自走式電動車両100は、フレーム101を備えている。フレーム101は、自走式電動車両100の形を維持する骨格を構成する部品であり、複数の鉄製のパイプまたは板材を組み合わせて構成されている。このフレーム101は、主として、ヘッドパイプ102、メインフレーム106およびシートレール109をそれぞれ備えて構成されている。
【0032】
ヘッドパイプ102は、自走式電動車両100の前輪103をフロントフォーク104を介して支持する筒状の部分である。フロントフォーク104は、前輪103の両側に棒状に延びて形成されてヘッドパイプ102に対して前輪103を自走式電動車両100の左右方向に転舵可能に支持する部品であり、サスペンション機構(図示せず)を備えて構成されている。このフロントフォーク104の上端部には、ハンドル105が設けられている。ハンドル105は、自走式電動車両100の進行方向を操舵するための部品であり、自走式電動車両100の左側および右側の幅方向にそれぞれ棒状に延びて形成されている。ハンドル105は、左右一対で構成されているとともに、これらの左右の一方が自走式電動車両100を加速させるためのアクセルグリップ105aを構成している。
【0033】
メインフレーム106は、電動機ユニット120および二次電池115をそれぞれ支持してフレーム101の強度を決定づけるフレーム101の中枢部分であり、自走式電動車両100の前方から後方に向かって斜め下方に延びた後水平に延びて再び斜め上方に延びる屈曲した形状に形成されている。このメインフレーム106は、この水平に延びる部分においてステップフロア114および二次電池115をそれぞれ支持するとともに、斜め上方に延びる部分付近でスイングアーム107および電動機ユニット120をそれぞれ支持している。スイングアーム107は、自走式電動車両100の後輪108をメインフレーム106との連結部であるピボット106aを基点として上下動自在な状態で支持している。
【0034】
シートレール109は、主として、シート110、荷台112およびテールランプ113をそれぞれ支持する部分であり、メインフレーム106の後方に向かって斜め上方に延びて形成されている。シート110は、自走式電動車両100の運転者Uが両足を揃えた状態で着座するための部品であり、クッション部材で構成されている。このシート110は、開閉自在に構成されており、シート110の下方にはヘルメットなどの小物を収容できる収容スペース111が空洞状に形成されている。
【0035】
この場合、収容スペース111の底部は、開閉自在に構成されており、電動機ユニット120にアクセスできるように構成されている。荷台112は、荷物を載せるための部分であり、金属製の棒体を枠状に形成して構成されている。テールランプ113は、運転者Uによるブレーキ操作、ウィンカー操作または夜間などにおけるヘッドランプの点灯操作によって点灯する照明器具である。
【0036】
ステップフロア114は、シート110に着座した運転者Uが両足を揃えた状態で載置するための部分であり、シート110の前方の下方で前記メインフレーム106の上方に平坦な床面として形成されている。
【0037】
二次電池115は、電動機121および自走式電動車両100が備える電気電子機器に電力を供給する装置であり、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの充放電可能な電池で構成されている。また、二次電池115は、自走式電動車両100の減速時に電動機121が発生させる回生電気エネルギを蓄える。この二次電池115は、ステップフロア114の下方でメインフレーム106に支持されている。
【0038】
電動機ユニット120は、前記した後輪108を回転駆動させるための駆動力を発生させる動力源を構成する装置群である。具体的には、電動機ユニット120は、主として、電動機121、ラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139をそれぞれ備えて構成されている。なお、
図1においては、電動機ユニット120は、自走式電動車両100の内部に配置されるため破線で描かれるべきであるが、理解を容易にするため敢えて実線で示している(
図8も同様)。
【0039】
電動機121は、後輪108を回転駆動させるための駆動力を発生させる原動機であり、出力シャフトを有するロータ(図示せず)がハウジング122内でステータ(図示せず)に対して回転自在に支持されて構成されている。本実施形態においては、電動機121は、交流モータで構成されている。なお、電動機121は、直流モータで構成してもよいことは当然である。この電動機121は、ハウジング122内に制御装置127および減速機も備えている。
【0040】
ハウジング122は、電動機121とともに制御装置127および減速機をそれぞれ収容する筐体を構成する部品であり、鋼材などの金属材またはアルミニウム材などの非鉄金属材で構成されている。このハウジング122は、第1ハウジング123、第2ハウジング124および第3ハウジング126をそれぞれ備えている。
【0041】
第1ハウジング123は、電動機121を収容する部品であり、略円筒体の両側が閉塞した形状に形成されている。第2ハウジング124は、制御装置127を収容する部品であり、第1ハウジング123の長手方向に延びる側面に沿って延びて形成されて第1ハウジング123に取り付けられている。この第2ハウジング124には、電動機121をフレーム101に取り付けるための取付部125が形成されている。本実施形態においては、取付部125は、電動機ユニット120の底部を構成する第2ハウジング124の底面と面一で側方に張り出す4つ平板体にそれぞれボルトが貫通する貫通孔が形成されて構成されている。なお、
図1および
図2においては、4つの取付部125のうちの1つずつが表れている。
【0042】
また、第1ハウジング123および第2ハウジング124は、外表面と電動機121および制御装置127をそれぞれ収容する収容空間部分との間に水路(図示せず)が形成されている。これらの各水路は、電動機121および制御装置127をそれぞれ冷却するための冷却水を流通させるための流路であり、それぞれ外表面に開口している。
【0043】
第3ハウジング126は、減速機を収容する部分であり、第1ハウジング123における長手方向の両端部のうちの一方の端部において同端部および第2ハウジング124の端部を覆うように側面視でドロップ(滴)状に形成されている。
【0044】
制御装置127は、電動機121の作動を制御するとともに自走式電動車両100の作動も総合的に制御する電気電子機器である。より具体的には、制御装置127は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されるとともに、電動機121の作動を直接制御するためのインバータ、昇圧コンバータおよびDCDCコンバータなどからなるパワーコントールユニット(PCU)などを備えて構成されている。
【0045】
ここで、インバータは、二次電池115から出力される直流電流を交流電流に変換して電動機121に出力するとともに、電動機121から出力される交流電流を直流電流に変換して二次電池115に出力する。また、昇圧コンバータは、二次電池115から出力される電圧を昇圧して電動機121に供給する。また、DCDCコンバータは、電動機121から出力される電圧を降圧して二次電池115に供給する。
【0046】
この制御装置127は、ROMなどの記憶装置に記憶させている制御プログラムを実行することでハンドル105に設けられたアクセルグリップ105aまたはウィンカーなどの操作子の操作に応じて電動機121、送液ポンプ135および送風機139の各回転駆動の制御、計器類の作動制御および灯火類の点灯制御をそれぞれ行う。また、制御装置127は、ハウジング122の第2ハウジング124の外表面に電源供給用端子および電気配線を露出させた状態で第2ハウジング124内に収容されている。
【0047】
減速機は、電動機121の出力シャフトの回転を減速して後輪108に伝達するための機械装置であり、電動機121の出力軸に連結される複数の歯車列を備えて構成されている。この減速機は、出力軸128を第3ハウジング126の外側に貫通させた状態で第3ハウジング126内に収容されている。出力軸128は、チェーンを介して後輪108に連結されている。
【0048】
ラジエター130は、電動機121および制御装置127をそれぞれ冷却する冷却水(図示せず)を熱交換によって冷却するための装置である。このラジエター130は、例えば、アッパータンクとロアタンクとの間にフィンおよび水管をそれぞれ備えて構成されているが、冷却水を冷却するように構成されていれば他の形態であってもよいことは当然である。このラジエター130は、冷却水を導入する上流側がハウジング122の水路に管路131を介して接続されているとともに冷却水を排出する下流側が管路132を介して送液ポンプ135に接続されている。また、ラジエター130には、冷却水タンク138が管路133を介して接続されている。このラジエター130は、間接支持体134を介してハウジング122に取り付けられている。
【0049】
管路131は、電動機121および制御装置127をそれぞれ冷却した冷却水をラジエター130に導くための部品であり、金属製のパイプで構成されている。この管路131は、本実施形態においては、第1ハウジング123の水路に連結されているが、第2ハウジング124の水路に連結させることもできる。管路132は、ラジエター130によって冷却された冷却水を送液ポンプ135に導くための部品であり、管路131と同様の金属製のパイプで構成されている。
【0050】
管路133は、冷却水タンク138内に貯留されている冷却水をラジエター130に導くための部品であり、管路131,132と同様の金属製のパイプで構成されている。なお、管路131,132,133は、剛性を有する管のほか、可撓性を有するチューブで構成することもできる。
【0051】
間接支持体134は、電動機121に対して離隔した位置でラジエター130および送風機139をそれぞれ支持するための部品であり、金属製の板状体を屈曲させて形成されている。より具体的には、間接支持体134は、
図5に示すように、電動機取付部134a、第1支持部134bおよび第2支持部134cをそれぞれ備えている。電動機取付部134aは、間接支持体134を電動機121に取り付ける部分であり、平板体にボルトが貫通する2つの貫通孔が形成されて構成されている。この電動機取付部134aは、電動機121のハウジング122に取り付けられる。
【0052】
第1支持部134bは、送風機139が取り付けられる部分であり、電動機取付部134aから帯状に延びた板状体にボルトが貫通する2つの貫通孔が形成されて構成されている。この場合、第1支持部134bは、送風機139が電動機121のハウジング122に接触しない位置で送風機139を支持するように電動機取付部134aから延びて形成されている。
【0053】
第2支持部134cは、ラジエター130が取り付けられる部分であり、第1支持部134bに対して2回屈曲して帯状に延びる板状体にボルトが貫通する2つの貫通孔が形成されて構成されている。この場合、第2支持部134cは、ラジエター130が送風機139に接触しない位置でラジエター130を支持するように第1支持部134bから延びて形成されている。この間接支持体134は、ラジエター130および送風機139の両側から挟んで支持するように左右一対で構成されている。すなわち、2つの間接支持体134は、左右対称に形成されている。
【0054】
送液ポンプ135は、ハウジング122とラジエター130との間で冷却水を循環させるための機械装置であり、制御装置127によって作動が制御される。この送液ポンプ135は、冷却水を導入する上流側がラジエター130に管路132を介して接続されているとともに、冷却水を排出する下流側が管路136を介してハウジング122の水路に接続されている。また、送液ポンプ135は、間接支持体137を介してラジエター130に取り付けられている。
【0055】
管路136は、送液ポンプ135から排出される冷却水をハウジング122に導くための部品であり、管路131,132,133と同様の金属製のパイプで構成されている。なお、管路136は、管路131,132,133と同様に剛性を有する管のほか、可撓性を有するチューブで構成することもできる。これらの管路131,132,133,136が本発明に係る冷媒経路を構成している。
【0056】
間接支持体137は、送液ポンプ135を電動機121およびラジエター130に対してそれぞれ離隔した位置で支持するための部品であり、ラジエター130の上面に起立する金属製の2つの板状体で形成されている。この間接支持体134は、送液ポンプ135における図示下方に下垂する板状体に対してボルトを介して連結されて送液ポンプ135を電動機121およびラジエター130に対してそれぞれ離隔した位置で固定的に支持している。
【0057】
冷却水タンク138は、電動機121および制御装置127をそれぞれ冷却するための冷却水を貯留するための容器であり、樹脂材または金属材によって構成されている。すなわち、冷却水タンク138は、リザーバータンクである。この冷却水タンク138は、電動機121のハウジング122にボルトを介して直接取り付けられている。本実施形態においては、冷却水タンク138は、電動機ユニット120の底部とは反対側の上部に取り付けられている。なお、ラジエター130、送液ポンプ135および冷却水タンク138が本発明に係る冷却装置に相当する。
【0058】
送風機139は、電動機121および制御装置127に対してそれぞれ空気の流れを生じさせて空冷するための機械装置であり、制御装置127によって作動が制御されるプロペラファンを備えて構成されている。この送風機139は、電動機121とラジエター130との間に配置されて前記間接支持体134の第1支持部134bによって両側から支持されている。この場合、送風機139は、ラジエター130が風上側になるとともに電動機121が風下側になる向きで配置される。
【0059】
このように構成された電動機ユニット120は、ハウジング122における取付部125がフレーム101に対してボルトを介して固定的に取り付けられている。すなわち、電動機ユニット120は、電動機121のハウジング122がフレーム101に密着した状態で直接的に取り付けられている。この場合、電動機ユニット120を構成するラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139は、いずれもフレーム101に対して非接触の状態で電動機121を介してフレーム101に固定的に取り付けられている。
【0060】
この電動機ユニット120の自走式電動車両100への組み立て工程においては、電動機121に対してラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139をそれぞれ組み付けて電動機ユニット120を組み立てた後にこの電動機ユニット120をフレーム101に組み付けることができる。これによれば、自走式電動車両100の製造者は、電動機ユニット120の製造作業を自走式電動車両100の製造作業と分けることができるため、電動機ユニット120と自走式電動車両100とについて製造の時期または場所を分けることができ組み立て作業の自由度を広げることができる。また、自走式電動車両100は、電動機ユニット120を構成する部品の自走式電動車両100への組み付け作業自体も容易化することができる。
【0061】
なお、電動機ユニット120の自走式電動車両100への組み立て工程は、上記のほかに、フレーム101に対して電動機121、ラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139を順番に組み付けることで結果として電動機ユニット120をフレーム101に組み付けることもできる。
【0062】
(自走式電動車両100の作動)
次に、このように構成した自走式電動車両100の作動について説明する。この自走式電動車両100の運転者Uは、自走式電動車両100のシート110上に着座した状態でスイッチ操作を介して制御装置127を起動した後、アクセルグリップ105aの回動操作によるアクセル操作によって自走式電動車両100を走行させることができる。
【0063】
この場合、電動機ユニット120は、自走式電動車両100の走行環境によってフレーム101を介して大小の振動が伝達する。しかし、電動機ユニット120は、ラジエター130、送液ポンプ135および冷却水タンク138が重量物である電動機121に対して直接または間接支持体134,137を介して間接的に取り付けられているため、フレーム101から伝達される振動が直接伝達されることを防いで減衰することができる。
【0064】
また、電動機ユニット120は、ラジエター130、送液ポンプ135および冷却水タンク138がフレーム101に取り付けられている場合に比べてラジエター130、送液ポンプ135および冷却水タンク138が電動機121と一体的または一体的に近い状態で振動することができる。これにより、電動機ユニット120は、管路131,132,133,136の損傷、劣化または緩みを抑えることができる。これらの効果は、自走式電動車両100が走行中に突然大きな段差または窪みを乗り越えた際、または小さな振動が連続的に続く凸凹道などの路面を走行した際に有効に発揮される。
【0065】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、自走式電動車両100は、電動機121がフレーム101に直接的に取り付けられて支持されているとともに、この電動機121に対してラジエター130、送液ポンプ135および冷却水タンク138が直接的または間接支持体134,137を介して間接的に取り付けられて支持されているため、フレーム101からの振動の影響を受け難くすることができるとともに冷却水の冷媒経路の剛性または耐久性を確保し易くすることができる。
【0066】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記に示す各変形例においては、上記実施形態における自走式電動車両100と同様の構成部分には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0067】
例えば、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、電動機121をフレーム101に取付部125を介して直接取り付けるように構成した。しかし、電動機ユニット120は、電動機121をフレーム101に対して取付部140を介して間接的に取り付けることもできる。この場合、取付部140は、電動機121をフレーム101に対して離隔して接触しないようにフレーム101に対して浮かせた位置に固定できる側面視でL型に延びて形成されている。
【0068】
これによれば、電動機ユニット120は、フレーム101の振動が電動機121に直接伝達されることを抑制することができる。また、電動機ユニット120は、取付部125,140をゴム材などの弾性体を介してフレーム101に取り付けることでフレーム101の振動が電動機121に直接伝達されることを抑制することができる。
【0069】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、ラジエター130および送風機139を間接支持体134を介して電動機121に対して間接的に取り付けた。しかし、電動機ユニット120は、ラジエター130および送風機139を冷却水タンク138のように、電動機121に対して直接的に取り付けることもできる。また、電動機ユニット120は、送風機139をラジエター130、送液ポンプ135または冷却水タンク138にのみ直接的または間接的に取り付けることもできる。
【0070】
また、電動機ユニット120は、送液ポンプ135を間接支持体137を介してラジエター130に対して間接的に取り付けた。しかし、電動機ユニット120は、送液ポンプ135を電動機121またはラジエター130に直接的に取り付けてもよいし、間接支持体134,137のような別体の部品を介して電動機121、に間接的に取り付けることもできる。また、電動機ユニット120は、冷却水タンク138を間接支持体134,137のような別体の部品を介して電動機121、ラジエター130または送液ポンプ135に間接的に取り付けることもできる。
【0071】
また、上記実施形態においては、送風機139は、電動機121とラジエター130との間に設けた。この場合、送風機139は、ラジエター130が風上側になるとともに電動機121が風下側になる向きで配置される。これにより、送風機139は、電動機121およびラジエター130を同時に効果的に冷却することができる。しかし、送風機139は、ラジエター130が風下側になるとともに電動機121が風上側になる向きで配置することも可能である。
【0072】
また、上記実施形態においては、本発明に係る冷却装置をラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139で構成した。しかし、本発明に係る冷却装置は、電動機121を冷却することができる装置であればよい。したがって、本発明に係る冷却装置は、ラジエター130および送液ポンプ135のみで構成してもよいし、送風機139のみで構成することもできる。
【0073】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、電動機121に対して自走式電動車両100の上側に冷却水タンク138を配置するとともに下側に制御装置127を配置して全体として上下方向が前後方向よりも長い縦長構成とした。これにより、電動機ユニット120は、自走式電動車両100の前後方向の長さを短くして自走式電動車両100の全長をコンパクトに構成することができる。また、自走式電動車両100は、冷却水タンク138が収容スペース111の直下位置に配置されることで冷却水タンク138に対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0074】
しかし、電動機ユニット120は、ラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139の取り付け位置は上記実施形態に限定されるものではなく上記実施形態以外の位置に取り付けることもできる。したがって、電動機ユニット120は、例えば、
図7に示すように、電動機121に対して自走式電動車両100の上側に第2ハウジング124を形成してこの第2ハウジング124内に制御装置127を配置するとともに、冷却水タンク138を電動機121に対してラジエター130の反対側(自走式電動車両100の後方側)に配置することができる。これにより、電動機ユニット120は、
図8に示すように、全体として前後方向が上下方向よりも長い横長構成となり、この状態で自走式電動車両100のフレーム101に取り付けることができる。
【0075】
これによれば、電動機ユニット120は、自走式電動車両100の上下方向の長さを短くして自走式電動車両100の全高をコンパクトに構成することができるとともに収容スペース111の容量を増加させることもできる。また、自走式電動車両100は、制御装置127が収容スペース111の直下位置に配置されることで制御装置127に対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。なお、
図7および
図8にそれぞれ示す電動機ユニット120においては、送液ポンプ135は、ラジエター130の下方に間接支持体137を介して間接的に取り付けられている。
【0076】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、ラジエター130がステップフロア114に面する向きで配置した。この場合、ラジエター130は、ステップフロア114に対してルーバーなどの開口部を介して面している。これにより、電動機ユニット120は、走行時におけるラジエター130内に飛来物または泥水が付着すること防止することができる。しかし、ラジエター130は、必ずしもステップフロア114に面して配置する必要はなく、ステップフロア114以外の方向、例えば、自走式電動車両100の側方、下方、または後方に向かう向きで配置されていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態においては、電動機121は、ハウジング122が第2ハウジング124および第3ハウジング126を備えることで制御装置127および減速機をそれぞれ一体的に備えるように構成した。しかし、電動機121は、必ずしも制御装置127および減速機を一体的に備える必要はなく電動機121単体で構成することができる。この場合、電動機121は、ハウジング122が第1ハウジング123のみで構成できるため、コンパクトに構成することができる。
【0078】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、フレーム101に対して固定的に取り付けた。しかし、電動機ユニット120は、フレーム101に対して可動的に取り付けることもできる。具体的には、電動機ユニット120は、スイングアーム107と同様に、フレーム101におけるピボット106aに取り付けることでフレーム101に対して可動的に取り付けることができる。
【0079】
また、上記実施形態においては、間接支持体134は、電動機取付部134a、第1支持部134bおよび第2支持部134cを備えて構成した。これにより、間接支持体134は、電動機121に対して2つの機器、具体的には、送風機139およびラジエター130をそれぞれ間接的に支持することができる。しかし、間接支持体134は、電動機121に対して1つまたは3つ以上の機器、例えば、ラジエター130、送液ポンプ135、冷却水タンク138および送風機139のうちの少なくとも1つの機器を支持するように構成することもできる。
【0080】
また、上記実施形態においては、電動機ユニット120は、運転者Uが両足を揃えた状態でシート110上に着座して運転を行う小型の自動二輪車(所謂スクータ)に搭載した。しかし、電動機ユニット120は、二輪または三輪のオートバイクほか、四輪のカートなどの自走式電動車両に広く搭載することができる。この場合、例えば、電動機ユニット120は、シート110に跨って着座する鞍乗り形の二輪車、三輪車または四輪車に搭載することができる。また、電動機ユニット120は、後輪駆動車のほか、前輪駆動車または全輪駆動車に搭載することもできる。また、電動機ユニット120は、前輪を操舵する自走式電動車両のほか、後輪を操舵する自走式電動車両に搭載することもできる。また、自走式電動車両100は、二次電池115をステップフロア114の下方以外の場所、例えは、シート110の下方またはカウルの内側に配置することもできる。
【符号の説明】
【0081】
U…運転者、
100…自走式電動車両、101…フレーム、102…ヘッドパイプ、103…前輪、104…フロントフォーク、105…ハンドル、105a…アクセルグリップ、106…メインフレーム、106a…ピボット、107…スイングアーム、108…後輪、109…シートレール、
110…シート、111…収容スペース、112…荷台、113…テールランプ、114…ステップフロア、115…二次電池、
120…電動機ユニット、121…電動機、122…ハウジング、123…第1ハウジング、124…第2ハウジング、125…取付部、126…第3ハウジング、127…制御装置、128…出力軸、
130…ラジエター、131…管路、132…管路、133…管路、134…間接支持体、134a…電動機取付部、134b…第1支持部、134c…第2支持部、135…送液ポンプ、136…管路、137…間接支持体、138…冷却水タンク、139…送風機、
140…取付部。