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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166952
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】改質装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/04 20060101AFI20221027BHJP
   F23Q 7/10 20060101ALI20221027BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20221027BHJP
【FI】
C01B3/04 B
F23Q7/10
H01M8/0606
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072409
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】中谷 規之介
(72)【発明者】
【氏名】河内 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC07
5H127BA01
5H127BA12
5H127BB02
5H127EE12
(57)【要約】
【課題】体格の小型化を図ることができる改質装置を提供する。
【解決手段】改質装置1は、ATR触媒14を収容する主筐体13と、主筐体13に向けて空気が流れる空気供給管16と、主筐体13内にアンモニアガスを供給するインジェクタ11と、主筐体13におけるATR触媒14よりも上流側部分に取り付けられた燃焼器15とを備え、燃焼器15は、主筐体13に連結された補助筐体17と、補助筐体17内に配置され、空気が混合されたアンモニアガスを着火させる点火部18とを有し、補助筐体17は、補助筐体17の一部が主筐体13内に収容されるように主筐体13に連結されており、補助筐体17における主筐体13内に収容された領域には、アンモニアガス及び空気を補助筐体17内に導入するためのスリット19と、補助筐体17内で発生した燃焼ガスを補助筐体17内から導出するための開放端21とが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させて発生した熱を利用して前記燃料ガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する改質装置において、
前記燃料ガスを水素に分解することで前記燃料ガスを改質する触媒部と、
前記触媒部を収容する主筐体と、
前記主筐体の一端部に連結され前記主筐体に向けて酸化性ガスが流れる供給管を有し、前記主筐体内に前記酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給部と、
前記主筐体内に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
前記主筐体における前記触媒部よりも上流側部分に取り付けられ、前記燃料ガスを燃焼させる燃焼器とを備え、
前記燃焼器は、前記主筐体に連結された補助筐体と、前記補助筐体内に配置され、前記酸化性ガスが混合された前記燃料ガスを着火させる点火部とを有し、
前記補助筐体は、前記補助筐体の少なくとも一部が前記主筐体内に収容されるように前記主筐体に連結されており、
前記補助筐体における前記主筐体内に収容された領域には、前記主筐体内に供給された前記燃料ガスと前記供給管から前記主筐体内に供給された前記酸化性ガスとを前記補助筐体内に導入するためのガス導入部と、前記補助筐体内で発生した燃焼ガスを前記補助筐体内から導出するためのガス導出部とが設けられている改質装置。
【請求項2】
前記燃料ガス供給部は、前記主筐体内における前記燃焼器よりも上流側に前記燃料ガスを供給する第1供給弁と、前記主筐体内における前記燃焼器と前記触媒部との間に前記燃料ガスを供給する第2供給弁とを有し、
前記ガス導入部は、前記第1供給弁により前記主筐体内に供給された前記燃料ガスを前記補助筐体内に導入する請求項1記載の改質装置。
【請求項3】
前記補助筐体は、前記第1供給弁により前記主筐体内に供給された前記燃料ガスと前記供給管から前記主筐体内に供給された前記酸化性ガスとの混合ガスの一部が前記ガス導入部を通って前記補助筐体内に導入され、残りの混合ガスが前記補助筐体の外部を前記触媒部に向かって流れるように前記主筐体に連結されている請求項2記載の改質装置。
【請求項4】
前記主筐体及び前記補助筐体は、管状を有し、
前記補助筐体は、前記補助筐体の軸心が前記主筐体の軸心と交差するように前記主筐体に連結されている請求項2または3記載の改質装置。
【請求項5】
前記補助筐体は、前記補助筐体の両端部のうち前記ガス導出部側の一端部が他端部よりも前記主筐体の軸方向に沿った前記触媒部側に位置するように、前記主筐体に対して傾斜して配置されている請求項4記載の改質装置。
【請求項6】
前記補助筐体は、前記ガス導入部が前記供給管の出口と向き合うように配置されており、
前記第1供給弁は、前記供給管を通して前記主筐体内における前記燃焼器よりも上流側に前記燃料ガスを供給する請求項4または5記載の改質装置。
【請求項7】
前記主筐体及び前記補助筐体は、管状を有し、
前記補助筐体は、前記補助筐体の軸心が前記主筐体の軸心に対して前記主筐体の径方向にオフセットするように前記主筐体に連結されている請求項2または3記載の改質装置。
【請求項8】
前記ガス導入部は、前記燃料ガス及び前記酸化性ガスを前記補助筐体内に管状流を発生させるように導入する請求項4~7の何れか一項記載の改質装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の改質装置としては、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の改質装置は、燃料、空気及び水蒸気を供給して改質反応により水素を生成する装置である。改質装置には、上流側から下流側に向かって、通電により発熱すると共に触媒燃焼によって発熱を促進するハニカム型の触媒ヒータと、主に部分酸化反応を促進するハニカム触媒と、主に自己熱改質(ATR)反応を促進するハニカム触媒とが配設されている。
【0003】
また、特許文献2には、管状火炎バーナが記載されている。特許文献2に記載の管状火炎バーナは、先端が開放された管状の燃焼室と、この燃焼室内に燃料ガス及び空気をそれぞれ吹き込む燃料含有ガス用ノズル及び酸素含有ガス用ノズルと、燃焼室の後端から燃焼室内に挿入された棒状体と、この棒状体を加熱する電気ヒータとを備えている。燃料含有ガス用ノズル及び酸素含有ガス用ノズルの噴射方向は、燃焼室の内周面の接線方向と一致している。これにより、燃焼室内に高速旋回流で管状火炎が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-154805号公報
【特許文献2】特開2008-107031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1においては、触媒ヒータによりハニカム触媒を活性温度まで昇温させているが、燃料の着火までに時間がかかり、改質装置の起動が遅くなる。そこで、上記の特許文献2に記載の管状火炎バーナを使って、ハニカム触媒を加熱することも考えられる。しかし、この場合には、管状火炎バーナに空気を供給する配管とハニカム触媒に空気を供給する配管とがそれぞれ必要となるため、改質装置の体格が大型化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、体格の小型化を図ることができる改質装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、燃料ガスを燃焼させて発生した熱を利用して燃料ガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する改質装置において、燃料ガスを水素に分解することで燃料ガスを改質する触媒部と、触媒部を収容する主筐体と、主筐体の一端部に連結され主筐体に向けて酸化性ガスが流れる供給管を有し、主筐体内に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給部と、主筐体内に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、主筐体における触媒部よりも上流側部分に取り付けられ、燃料ガスを燃焼させる燃焼器とを備え、燃焼器は、主筐体に連結された補助筐体と、補助筐体内に配置され、酸化性ガスが混合された燃料ガスを着火させる点火部とを有し、補助筐体は、補助筐体の少なくとも一部が主筐体内に収容されるように主筐体に連結されており、補助筐体における主筐体内に収容された領域には、主筐体内に供給された燃料ガスと供給管から主筐体内に供給された酸化性ガスとを補助筐体内に導入するためのガス導入部と、補助筐体内で発生した燃焼ガスを補助筐体内から導出するためのガス導出部とが設けられている。
【0008】
このような改質装置においては、酸化性ガスが供給管を流れて主筐体内に供給されると共に、燃料ガスが主筐体内に供給される。そして、燃料ガス及び酸化性ガスが燃焼器の補助筐体内に導入され、酸化性ガスが混合された燃料ガスが着火して燃焼することで、補助筐体内に燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは、補助筐体内から導出され、主筐体内を触媒部に向かって流れる。また、燃料ガス及び酸化性ガスも、主筐体内を触媒部に向かって流れる。このとき、燃焼ガスの熱によって、触媒部が加熱されて昇温する。そして、触媒部において、例えば燃料ガスが燃焼し、その燃焼熱により燃料ガスの改質が行われ、水素を含有した改質ガスが生成される。ここで、補助筐体の少なくとも一部が主筐体内に収容されるように、補助筐体が主筐体に連結されている。そして、供給管から主筐体内に供給された酸化性ガスは、ガス導入部を通って補助筐体内に導入される。従って、燃焼器及び触媒部に酸化性ガスを供給するための配管が1つの供給管で共有化されることになる。これにより、配管の数を増やさなくて済むため、改質装置の体格の小型化が図られる。
【0009】
燃料ガス供給部は、主筐体内における燃焼器よりも上流側に燃料ガスを供給する第1供給弁と、主筐体内における燃焼器と触媒部との間に燃料ガスを供給する第2供給弁とを有し、ガス導入部は、第1供給弁により主筐体内に供給された燃料ガスを補助筐体内に導入してもよい。このような構成では、第1供給弁によって主筐体内における燃焼器よりも上流側に供給された燃料ガスは、ガス導入部を通って補助筐体内に導入される。また、第2供給弁によって主筐体内における燃焼器と触媒部との間に供給された燃料ガスは、主筐体内を触媒部に向かって流れる。このとき、第2供給弁による燃料ガスの供給量を調整することにより、触媒部による改質動作に適した酸化性ガスと燃料ガスとの流量比を容易に設定することができる。
【0010】
補助筐体は、第1供給弁により主筐体内に供給された燃料ガスと供給管から主筐体内に供給された酸化性ガスとの混合ガスの一部がガス導入部を通って補助筐体内に導入され、残りの混合ガスが補助筐体の外部を触媒部に向かって流れるように主筐体に連結されていてもよい。このような構成では、燃焼器による燃料ガスの燃焼に寄与しない一定量の酸化性ガスが、主筐体内を流れて触媒部に供給される。従って、触媒部において燃料ガスが燃焼しやすくなり、その燃焼熱により触媒部が更に昇温するため、燃料ガスの改質が効率的に行われる。
【0011】
主筐体及び補助筐体は、管状を有し、補助筐体は、補助筐体の軸心が主筐体の軸心と交差するように主筐体に連結されていてもよい。このような構成では、主筐体内に供給された燃料ガスと酸化性ガスとの混合ガスの一部は、補助筐体の外周面に沿って補助筐体の周方向に流れる。このとき、混合ガスがガス導入部を通って補助筐体内に導入されるため、アンモニアガスの着火及び燃焼が確実に行われる。
【0012】
補助筐体は、補助筐体の両端部のうちガス導出部側の一端部が他端部よりも主筐体の軸方向に沿った触媒部側に位置するように、主筐体に対して傾斜して配置されていてもよい。このような構成では、補助筐体の軸心が主筐体の軸心と交差している構造でも、主筐体内において補助筐体内に導入されない混合ガスの流路が広くなるため、主筐体内を混合ガスが流れる際の圧力損失が小さくなる。従って、混合ガスが触媒部に向かって流れやすくなる。
【0013】
補助筐体は、ガス導入部が供給管の出口と向き合うように配置されており、第1供給弁は、供給管を通して主筐体内における燃焼器よりも上流側に燃料ガスを供給してもよい。このような構成では、燃料ガスと酸化性ガスとの混合ガスがガス導入部を通りやすくなるため、混合ガスが補助筐体内にスムーズに導入される。従って、燃料ガスの着火及び燃焼が効率的に行われる。
【0014】
主筐体及び補助筐体は、管状を有し、補助筐体は、補助筐体の軸心が主筐体の軸心に対して主筐体の径方向にオフセットするように主筐体に連結されていてもよい。このような構成では、主筐体内に供給された燃料ガスと酸化性ガスとの混合ガスの一部は、補助筐体の外周面に沿って補助筐体の軸方向及び周方向に流れる。このとき、混合ガスがガス導入部を通って補助筐体内に導入されるため、アンモニアガスの着火及び燃焼が確実に行われる。
【0015】
ガス導入部は、燃料ガス及び酸化性ガスを補助筐体内に管状流を発生させるように導入してもよい。このような構成では、燃料ガスが着火して燃焼することで、管状火炎が形成されるため、高温の燃焼ガスが得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、改質装置の体格の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る改質装置を示す概略構成図である。
図2図1に示された燃焼器付き改質器の略斜視図である。
図3図2に示された燃焼器付き改質器の断面図である。
図4図2に示された燃焼器の断面図である。
図5図1に示された制御ユニットにより実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る改質装置の燃焼器付き改質器を示す略斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る改質装置の燃焼器付き改質器を示す略斜視図である。
図8図2に示された燃焼器付き改質器の変形例を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る改質装置を示す概略構成図である。図1において、本実施形態の改質装置1は、燃料ガスであるアンモニアガス(NHガス)を燃焼させて発生した熱を利用してアンモニアガスを改質することにより、水素を含有した改質ガスを生成する装置である。
【0020】
改質装置1により生成された改質ガスは、改質ガス流路2を流れて水素利用装置3に供給される。水素利用装置3は、改質ガスに含まれる水素を利用する装置である。水素利用装置3としては、例えばアンモニアを燃料としたアンモニアエンジンまたはアンモニアガスタービン等の燃焼装置や、水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池等が挙げられる。
【0021】
改質装置1は、空気供給源4と、アンモニアガス供給源5と、燃焼器付き改質器6とを備えている。
【0022】
空気供給源4は、酸化性ガスである空気を発生させる。空気供給源4としては、例えば送風機等が用いられる。空気供給源4で発生した空気は、空気流路7を流れて燃焼器付き改質器6に供給される。空気流路7には、燃焼器付き改質器6に供給される空気の流量を制御する電磁式のスロットルバルブ8が配設されている。
【0023】
アンモニアガス供給源5は、アンモニアガスを発生させる。アンモニアガス供給源5は、特に図示はしないが、アンモニアを液体状態で貯蔵するアンモニアタンクと、液体のアンモニアを気化させてアンモニアガスを生成する気化器とを有している。
【0024】
アンモニアガス供給源5で発生したアンモニアガスは、アンモニアガス流路9,10を流れて燃焼器付き改質器6に供給される。アンモニアガス流路9,10には、燃焼器付き改質器6にアンモニアガスを供給する電磁式のインジェクタ11,12がそれぞれ配設されている。インジェクタ11,12については、後で詳述する。
【0025】
図2は、燃焼器付き改質器6の略斜視図である。図3は、図2に示された燃焼器付き改質器6の断面図である。図2及び図3において、燃焼器付き改質器6は、円管状の主筐体13と、この主筐体13の内部に配置されたATR触媒14(自己熱式改質触媒)と、主筐体13におけるATR触媒14よりも上流側部分に取り付けられた燃焼器15とを備えている。
【0026】
主筐体13は、ATR触媒14を収容する。主筐体13は、アンモニアガスに対して耐腐食性を有するステンレス鋼等の材料で形成されている。主筐体13の上流側端部(一端部)には、上記の空気流路7を構成する配管である空気供給管16が連結されている。主筐体13の下流側端部(他端部)には、上記の改質ガス流路2を構成する配管(図示せず)が連結されている。
【0027】
空気供給管16の径は、主筐体13の径よりも小さい。従って、特に図示はしないが、主筐体13の上流側端部には、空気供給管16を主筐体13に連結するためのテーパ状の連結管が設けられている。また、同様に、主筐体13の下流側端部には、改質ガス流路2を構成する配管を主筐体13に連結するためのテーパ状の連結管が設けられている。テーパ状の連結管は、主筐体13の一部を構成する。
【0028】
このとき、空気供給管16は、空気供給管16の軸心J1が主筐体13の軸心J2に対して径方向の外側にオフセットされるように主筐体13に連結されている。
【0029】
空気供給管16には、上記のインジェクタ11が取り付けられている。インジェクタ11は、空気供給管16内にアンモニアガスを噴射する燃料噴射弁である。このため、空気供給管16内を流れる空気にアンモニアガスが混合されることとなる。そして、空気とアンモニアガスとの混合ガスが空気供給管16内を流れて主筐体13内に供給される。インジェクタ11の数は、1つでもよいし、複数でもよい。インジェクタ11は、空気供給管16を通して主筐体13内における燃焼器15よりも上流側にアンモニアガスを供給する第1供給弁である。
【0030】
主筐体13には、上記のインジェクタ12が取り付けられている。インジェクタ12は、主筐体13内における燃焼器15とATR触媒14との間にアンモニアガスを噴射する燃料噴射弁である。インジェクタ12の数も、1つでもよいし、複数でもよい。インジェクタ12は、主筐体13内における燃焼器15とATR触媒14との間にアンモニアガスを供給する第2供給弁である。
【0031】
空気供給管16は、スロットルバルブ8と協働して、主筐体13内に酸化性ガスである空気を供給する酸化性ガス供給部を構成している。インジェクタ11,12は、主筐体13内に燃料ガスであるアンモニアガスを供給する燃料ガス供給部を構成している。
【0032】
ATR触媒14は、アンモニアガスを燃焼させると共に、そのアンモニアガスの燃焼熱によりアンモニアガスを水素に分解することで、アンモニアガスを改質する触媒部である。ATR触媒14は、例えばハニカム構造を有している。ATR触媒14は、主筐体13の下流側部分に固定されている。
【0033】
ATR触媒14は、例えば200℃~400℃程度の温度領域においてアンモニアガスを燃焼させると共に、アンモニアガスの燃焼温度よりも高い温度領域(例えば250℃~500℃程度)においてアンモニアガスを改質する。ATR触媒14としては、例えばコバルト系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒またはパラジウム系触媒等が使用される。
【0034】
燃焼器15は、インジェクタ11により主筐体13内に供給されたアンモニアガスを燃焼させて、ATR触媒14を加熱するための燃焼ガスを発生させる管状火炎バーナである。燃焼器15は、円管状の補助筐体17と、この補助筐体17内に配置された点火部18とを有している。
【0035】
補助筐体17は、主筐体13の上流側部分に連結されている。補助筐体17の径は、主筐体13の径よりも小さい。また、補助筐体17の径は、空気供給管16の径と等しくてもよいし、異なっていてもよい。補助筐体17は、主筐体13と同じ材料で形成されている。
【0036】
補助筐体17は、補助筐体17の一部が主筐体13内に収容されるように主筐体13の上流側部分に連結されている。また、補助筐体17は、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2と垂直に交差するように主筐体13の上流側部分に連結されている。
【0037】
補助筐体17における主筐体13内に収容された領域の周壁には、インジェクタ11により主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気供給管16から主筐体13内に供給された空気とを補助筐体17内に導入するためのガス導入部であるスリット19が設けられている。スリット19は、例えば補助筐体17の軸方向の中央部付近に設けられている。
【0038】
スリット19は、図4に示されるように、アンモニアガス及び空気を補助筐体17内に管状流を発生させるように導入する。具体的には、スリット19は、アンモニアガス及び空気を補助筐体17内に補助筐体17の内周面17aの接線方向に導入するように補助筐体17に形成されている。
【0039】
補助筐体17における主筐体13の外部に位置する側の端部には、フタ20が固定されている。補助筐体17における主筐体13の内部に位置する側の端は、開放端21となっている。開放端21は、補助筐体17内で発生した燃焼ガスを補助筐体17内から導出するためのガス導出部である。スリット19は、補助筐体17におけるフタ20と開放端21との間に位置している。
【0040】
点火部18は、補助筐体17内において、空気が混合されたアンモニアガスを着火させる。点火部18は、フタ20に固定されている。点火部18は、例えばグロープラグまたはスパークプラグ等である。点火部18は、補助筐体17の軸方向にスリット19の位置まで延びている。つまり、点火部18の先端部の位置は、スリット19に対応する位置である。
【0041】
このような燃焼器15は、補助筐体17のスリット19が空気供給管16の出口16aと向き合うように配置されている。また、燃焼器15は、主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスの一部がスリット19を通って補助筐体17内に導入され、残りの混合ガスが補助筐体17の外部をATR触媒14に向かって流れるように配置されている。残りの混合ガスは、主筐体13内における補助筐体17の開放端21と主筐体13の内周面13aとの間の空間Sを流れる。
【0042】
このとき、空気供給管16の出口16aに対するスリット19の配置位置を変更することにより、補助筐体17内に導入される混合ガスの流量と補助筐体17内に導入されずにATR触媒14に向かって流れる混合ガスの流量との比率を変えることが可能である。
【0043】
なお、補助筐体17は、ATR触媒14に対して、改質装置1の起動時に、燃焼器15により補助筐体17内に発生した燃焼ガスの熱によって、ATR触媒14を所望の温度まで加熱することができる範囲内に配置されている。
【0044】
このような燃焼器付き改質器6において、空気供給管16から主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスの一部は、スリット19を通過して補助筐体17内に導入される。そして、点火部18によりアンモニアガスが着火して燃焼することで、燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは、開放端21を通って補助筐体17内から導出されて、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。
【0045】
一方、スリット19を通過しない混合ガスは、補助筐体17を回り込むようにして主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。このとき、インジェクタ12から噴射されたアンモニアガスも、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。
【0046】
図1に戻り、改質装置1は、温度センサ22と、制御ユニット23とを更に備えている。温度センサ22は、ATR触媒14の温度を検出するセンサである。温度センサ22は、例えばATR触媒14自体の温度を検出してもよいし、ATR触媒14に流入するガスの温度を検出してもよい。
【0047】
制御ユニット23は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット23は、温度センサ22の検出値に基づいて、スロットルバルブ8、インジェクタ11,12及び点火部18を制御する。
【0048】
図5は、制御ユニット23により実行される制御処理の手順の詳細を示すフローチャートである。本処理は、手動スイッチ等により改質装置1の起動が指示されると実行される。なお、本処理の実行前は、スロットルバルブ8及びインジェクタ11,12は、何れも全閉状態となっている。
【0049】
図5において、制御ユニット23は、まずスロットルバルブ8及びインジェクタ11を開くように制御する(手順S101)。これにより、燃焼器付き改質器6の主筐体13内に空気及びアンモニアガスが供給される。そして、空気とアンモニアガスとの混合ガスの一部が燃焼器15に供給される。このとき、制御ユニット23は、燃焼器15により燃焼を行うための空燃比(空気とアンモニアガスとの流量比)が得られるようにスロットルバルブ8及びインジェクタ11の開度を制御する。具体的には、制御ユニット23は、空気リッチになるようにスロットルバルブ8及びインジェクタ11の開度を制御する。
【0050】
続いて、制御ユニット23は、点火部18を点火させるように点火部18の電源(図示せず)を制御する(手順S102)。これにより、点火部18が点火するため、アンモニアガスが着火して燃焼し、燃焼ガスが生成される。
【0051】
続いて、制御ユニット23は、インジェクタ12を開くように制御する(手順S103)。これにより、主筐体13内における燃焼器15とATR触媒14との間にアンモニアガスが供給される。このとき、制御ユニット23は、例えばインジェクタ12の開度を予め決められた規定値とするように制御する。
【0052】
続いて、制御ユニット23は、温度センサ22の検出値を取得する(手順S104)。そして、制御ユニット23は、温度センサ22の検出値に基づいて、ATR触媒14の温度が規定温度T1以上であるかどうかを判断する(手順S105)。規定温度T1は、ATR触媒14によりアンモニアガスの燃焼が可能となる温度(燃焼可能温度)である。制御ユニット23は、ATR触媒14の温度が規定温度T1以上でないと判断したときは、手順S104を再度実行する。
【0053】
制御ユニット23は、ATR触媒14の温度が規定温度T1以上であると判断したときは、点火部18の点火を停止するように点火部18の電源を制御する(手順S106)。これにより、点火部18の点火が停止する。また、制御ユニット23は、インジェクタ11を閉じるように制御する(手順S107)。これにより、主筐体13内へのアンモニアガスの供給が停止する。
【0054】
続いて、制御ユニット23は、温度センサ22の検出値を取得する(手順S108)。そして、制御ユニット23は、温度センサ22の検出値に基づいて、ATR触媒14の温度が規定温度T2以上であるかどうかを判断する(手順S109)。規定温度T2は、ATR触媒14によりアンモニアガスの改質が可能となる温度(改質可能温度)であり、規定温度T1よりも高い温度である。制御ユニット23は、ATR触媒14の温度が規定温度T2以上でないと判断したときは、手順S108を再度実行する。
【0055】
制御ユニット23は、ATR触媒14の温度が規定温度T2以上であると判断したときは、インジェクタ12の開度を制御する(手順S110)。このとき、燃焼器15によるアンモニアガスの着火時に設定される空燃比は、ATR触媒14によるアンモニアガスの改質にとっては高すぎる。従って、制御ユニット23は、ATR触媒14により改質を行うための空燃比が得られるようにインジェクタ12の開度を制御する。具体的には、制御ユニット23は、アンモニアリッチになるようにインジェクタ12の開度を制御する。
【0056】
以上のような改質装置1において、起動が指示されると、スロットルバルブ8及びインジェクタ11が開弁することで、空気供給管16内を空気が燃焼器付き改質器6に向かって流れると共に、インジェクタ11から空気供給管16内にアンモニアガスが噴射される。すると、アンモニアガスと空気との混合ガスが燃焼器付き改質器6の主筐体13内に供給される。そして、主筐体13内に供給された混合ガスの一部がスリット19を通って燃焼器15の補助筐体17内に導入される。このとき、混合ガスは、補助筐体17内において管状流となる。
【0057】
その状態で点火部18が点火すると、アンモニアガスが着火して管状火炎が形成され、アンモニアガスが燃焼する。具体的には、下記式のように、アンモニアと空気中の酸素とが化学反応し、燃焼ガスが生成される(発熱反応)。
NH+3/4O→1/2N+3/2HO …(A)
【0058】
このとき、管状火炎の温度は、例えば1000℃~1700℃程度まで上昇する。このため、上記のアンモニアの酸化反応により高温の燃焼ガスが発生する。高温の燃焼ガスは、補助筐体17内を旋回して流れ、開放端21を通って補助筐体17内から導出された後、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。
【0059】
また、主筐体13内に供給された残りの混合ガスは、補助筐体17内に導入されずにATR触媒14に向かって流れる。その状態で、インジェクタ12が開弁することで、インジェクタ12から主筐体13内にアンモニアガスが噴射される。従って、主筐体13内を流れるアンモニアガスの流量が増加する。
【0060】
アンモニアガスと空気との混合ガスが燃焼ガスと共にATR触媒14に供給されると、燃焼ガスの熱によってATR触媒14が加熱(暖機)され、ATR触媒14の温度が上昇する。そして、ATR触媒14の温度が規定温度T1(燃焼可能温度)に達すると、点火部18の点火が停止する。ただし、一度着火して形成された管状火炎は、点火部18の点火を停止させるだけでは止まらない。このため、インジェクタ11を閉弁させることで、主筐体13内における燃焼器15よりも上流側へのアンモニアガスの供給が停止する。これにより、燃焼器15による燃焼ガスの生成が完了する。
【0061】
また、ATR触媒14の温度が規定温度T1に達すると、ATR触媒14によりアンモニアガスが燃焼することで、上記(A)式の発熱反応が起こり、その燃焼熱(ATR触媒14の自己熱)によってATR触媒14の温度が更に上昇する。
【0062】
そして、ATR触媒14の温度が規定温度T2(改質可能温度)に達すると、改質動作に適した空燃比となるようにインジェクタ12の開度が調整され、ATR触媒14によりアンモニアガスが改質される。具体的には、下記式のように、アンモニアの分解反応が起こり(吸熱反応)、水素を含む改質ガスが生成される。改質ガスは、改質ガス流路2を流れて水素利用装置3に供給される。
NH→3/2H+1/2N …(B)
【0063】
以上のように本実施形態にあっては、空気が空気供給管16を流れて主筐体13内に供給されると共に、インジェクタ11によりアンモニアガスが主筐体13内に供給される。そして、アンモニアガス及び空気が燃焼器15の補助筐体17内に導入され、空気が混合されたアンモニアガスが着火して燃焼することで、補助筐体17内に燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは、補助筐体17内から導出され、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。また、アンモニアガス及び空気も、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。このとき、燃焼ガスの熱によって、ATR触媒14が加熱されて昇温する。そして、ATR触媒14において、アンモニアガスが燃焼し、その燃焼熱によりアンモニアガスの改質が行われ、水素を含有した改質ガスが生成される。ここで、補助筐体17の一部が主筐体13内に収容されるように、補助筐体17が主筐体13に連結されている。そして、空気供給管16から主筐体13内に供給された空気は、スリット19を通って補助筐体17内に導入される。従って、燃焼器15及びATR触媒14に空気を供給するための配管が1つの空気供給管16で共有化されることになる。これにより、配管の数を増やさなくて済むため、改質装置1の体格の小型化が図られる。
【0064】
また、本実施形態では、インジェクタ11によって主筐体13内における燃焼器15よりも上流側に供給されたアンモニアガスは、スリット19を通って補助筐体17内に導入される。また、インジェクタ12によって主筐体13内における燃焼器15とATR触媒14との間に供給されたアンモニアガスは、主筐体13内をATR触媒14に向かって流れる。このとき、インジェクタ12によるアンモニアガスの供給量を調整することにより、ATR触媒14による改質動作に適した空燃比を容易に設定することができる。
【0065】
また、本実施形態では、インジェクタ11により主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスの一部は、スリット19を通って補助筐体17内に導入され、残りの混合ガスは、補助筐体17の外部をATR触媒14に向かって流れる。このため、燃焼器15によるアンモニアガスの燃焼に寄与しない一定量の空気が、主筐体13内を流れてATR触媒14に供給される。従って、ATR触媒14においてアンモニアガスが燃焼しやすくなり、その燃焼熱によりATR触媒14が更に昇温するため、アンモニアガスの改質が効率的に行われる。
【0066】
また、本実施形態では、補助筐体17は、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2と交差するように主筐体13に連結されている。このため、主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスの一部は、補助筐体17の外周面に沿って補助筐体17の周方向に流れる。このとき、混合ガスがスリット19を通って補助筐体17内に導入されるため、アンモニアガスの着火及び燃焼が確実に行われる。
【0067】
また、本実施形態では、補助筐体17は、スリット19が空気供給管16の出口16aと向き合うように配置されている。従って、アンモニアガスと空気との混合ガスがスリット19を通りやすくなるため、混合ガスが補助筐体17内にスムーズに導入される。このため、アンモニアガスの着火及び燃焼がより効率的に行われる。
【0068】
また、本実施形態では、スリット19は、アンモニアガス及び空気を補助筐体17内に管状流を発生させるように導入する。従って、アンモニアガスが着火して燃焼することで、管状火炎が形成されるため、高温の燃焼ガスが得られる。
【0069】
また、本実施形態では、空気供給管16は、空気供給管16の軸心J1が主筐体13の軸心J2に対して主筐体13の径方向の外側にオフセットされるように主筐体13に連結されている。このため、スリット19の位置が空気供給管16の出口16aの位置に合うように、補助筐体17を主筐体13の径方向にずらすことで、主筐体13の内周面13aと補助筐体17の開放端21との間の空間Sが広くなる。従って、主筐体13内において補助筐体17内に導入されない混合ガスの流路が広くなるため、主筐体13内を混合ガスが流れる際の圧力損失が小さくなる。従って、混合ガスがATR触媒14に向かって流れやすくなる。
【0070】
また、本実施形態では、ATR触媒14の温度が規定温度T1以上になると、点火部18の点火が停止されると共に、インジェクタ11による主筐体13内へのアンモニアガスの供給が停止する。このため、点火部18を無駄に使用しなくて済み、省電力化を図ることができる。また、アンモニアガスの燃焼を早く終了させることができると共に、アンモニアガスを無駄に消費しなくて済む。
【0071】
図6は、本発明の第2実施形態に係る改質装置を示す略斜視図である。図6において、本実施形態の改質装置1では、燃焼器15の補助筐体17は、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2に対して斜めに交差するように主筐体13に連結されている。
【0072】
具体的には、補助筐体17は、開放端21がフタ20よりも主筐体13の軸方向に沿ったATR触媒14側に位置するように主筐体13に対して斜めに配置されている。つまり、補助筐体17の両端部のうち開放端21側の一端部が、他端部よりも主筐体13の軸方向に沿ったATR触媒14側に位置している。このため、主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスのうちスリット19に入らない混合ガスが流れる流路は、補助筐体17の開放端21と主筐体13の内周面13aとの間の空間Sに向かって主筐体13の軸方向に徐々に広くなる。
【0073】
このような本実施形態では、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2と交差している構造でも、主筐体13内において補助筐体17内に導入されない混合ガスの流路が広くなるため、主筐体13内を混合ガスが流れる際の圧力損失が更に小さくなる。従って、混合ガスがATR触媒14に向かって更に流れやすくなる。
【0074】
図7は、本発明の第3実施形態に係る改質装置を示す略斜視図である。図7において、本実施形態の改質装置1では、燃焼器15の補助筐体17は、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2に対して平行であると共に主筐体13の径方向にオフセットするように主筐体13に連結されている。
【0075】
具体的には、補助筐体17は、主筐体13の軸心J2に対して空気供給管16の反対側に配置されている。また、補助筐体17は、スリット19が主筐体13の径方向の中心側に位置するように配置されている。これにより、空気供給管16から主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスがスリット19に入りやすくなる。
【0076】
このとき、空気供給管16は、主筐体13及び補助筐体17に対して僅かに傾斜するように主筐体13に連結されている。つまり、空気供給管16の軸心J1は、主筐体13の軸心J2及び補助筐体17の軸心J3に対して傾斜して交差している。具体的には、空気供給管16は、スリット19に向かって下がるように主筐体13及び補助筐体17に対して傾斜している。これにより、空気供給管16から主筐体13内に供給された混合ガスが更にスリット19に入りやすくなる。
【0077】
主筐体13内における主筐体13の内周面と補助筐体17の外周面との間の空間Sは、空気供給管16から主筐体13内に供給された混合ガスのうち補助筐体17内に導入されない混合ガスがATR触媒14に向かって流れる流路となっている。
【0078】
このような本実施形態では、主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスの一部は、補助筐体17の外周面に沿って補助筐体17の軸方向及び周方向に流れる。このとき、混合ガスがスリット19を通って補助筐体17内に導入されるため、アンモニアガスの着火及び燃焼が確実に行われる。
【0079】
また、本実施形態では、補助筐体17の軸心J3が主筐体13の軸心J2と交差している構造に比べて、主筐体13内において補助筐体17内に導入されない混合ガスの流路が広くなるため、主筐体13内を混合ガスが流れる際の圧力損失が小さくなる。従って、混合ガスがATR触媒14に向かって流れやすくなる。
【0080】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、補助筐体17における主筐体13内に収容された領域には、空気供給管16から主筐体13内に供給されたアンモニアガスと空気との混合ガスを補助筐体17内に導入するためのガス導入部であるスリット19が設けられているが、ガス導入部としては、特にスリット19には限られず、例えば図8に示されるように、補助筐体17に連結されたガス導入用のパイプ30であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、スリット19は、アンモニアガスと空気との混合ガスを補助筐体17内に管状流を発生させるように導入しているが、特にそのような形態には限られない。例えば、スリット19及びパイプ30は、アンモニアガスと空気との混合ガスを補助筐体17の径方向に導入するように補助筐体17に形成されていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、空気供給管16は、空気供給管16の軸心J1が主筐体13の軸心J2に対して径方向の外側にオフセットされるように主筐体13に連結されているが、特にそのような形態には限られない。空気供給管16は、空気供給管16の軸心J1が主筐体13の軸心J2と一致するように主筐体13に連結されていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、インジェクタ11は、空気供給管16内にアンモニアガスを供給するように空気供給管16に取り付けられているが、特にそのような形態には限られない。インジェクタ11は、主筐体13内における空気供給管16と燃焼器15との間にアンモニアガスを供給するように主筐体13または空気供給管16に取り付けられていてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、主筐体13及び補助筐体17は、円管状を有しているが、主筐体13及び補助筐体17の形状としては、特に円管状には限られず、角管状等であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、燃焼器付き改質器6は、アンモニアガスを燃焼させると共にアンモニアガスを水素に分解するATR触媒14を有しているが、特にそのような形態には限られない。燃焼器付き改質器6は、アンモニアガスを燃焼させる燃焼触媒と、アンモニアガスを水素に分解する改質触媒とを別々に有していてもよい。
【0086】
また、燃焼器付き改質器6は、アンモニアガスを水素に分解する触媒のみを有していてもよい。この場合には、燃焼ガスの熱によりアンモニアガスの改質を行うために、燃焼器15によりアンモニアガスを燃焼させ続ける必要がある。このため、インジェクタ11による主筐体13内へのアンモニアガスの供給が継続される。このとき、インジェクタ11及びスロットルバルブ8の開度を制御することで、アンモニアガスの改質時の空燃比が調整可能となるため、インジェクタ12は特に無くてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、補助筐体17の一部が主筐体13内に収容されているが、特にその形態には限られず、補助筐体17全体が主筐体13内に収容されていてもよい。この場合には、主筐体13内において補助筐体17内に導入されない混合ガスの流路が狭くなるが、改質装置1の体格の更なる小型化が図られる。
【0088】
また、上記実施形態では、燃料ガスとしてアンモニアガスが使用されているが、本発明は、燃料ガスとして炭化水素ガス等を使用する改質装置にも適用可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、酸化性ガスとして空気が使用されているが、本発明は、酸化性ガスとして酸素を使用する改質装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…改質装置、8…スロットルバルブ(酸化性ガス供給部)、11…インジェクタ(第1供給弁、燃料ガス供給部)、12…インジェクタ(第2供給弁、燃料ガス供給部)、13…主筐体、14…ATR触媒(触媒部)、15…燃焼器、16…空気供給管(供給管、酸化性ガス供給部)、16a…出口、17…補助筐体、18…点火部、19…スリット(ガス導入部)、21…開放端(ガス導出部)、30…パイプ(ガス導入部)、J2,J3…軸心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8