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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166979
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】吹付機
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/047 20060101AFI20221027BHJP
   B05B 9/01 20060101ALI20221027BHJP
   B65D 83/76 20060101ALN20221027BHJP
【FI】
B05B9/047
B05B9/01
B65D83/76 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072451
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】林 進
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB05
3E014PC07
3E014PC17
3E014PD30
3E014PE08
3E014PE16
3E014PF05
4F033RA06
4F033RD05
4F033RD08
4F033RD09
4F033RE02
4F033RE03
4F033RE11
4F033RE17
4F033RE19
(57)【要約】
【課題】吹付材の液体原料の取付けや交換を、短時間で且つ簡便に行うことができ、作業性を高めることが可能な吹付機を提供する。
【解決手段】容器に収容された吹付材を流体によりノズルから吐出させる吹付機であって、容器を収容するホルダを備え、ホルダは、その一方端に容器が挿通可能な開口部を有し、且つ、開口部を開閉可能なストッパを有する。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された吹付材を流体によりノズルから吐出させる吹付機であって、
前記容器を収容するホルダを備え、
前記ホルダは、該ホルダの一方端に前記容器が挿通可能な開口部を有し、且つ、前記開口部を開閉可能なストッパを有する、
吹付機。
【請求項2】
前記ホルダは、前記容器を保持する胴部を有し、
前記胴部は、前記ストッパによって前記開口部を閉じたときに前記ストッパを前記胴部に固定する固定部を有する、
請求項1記載の吹付機。
【請求項3】
前記ストッパは、前記胴部に回動可能に蝶着される、
請求項2記載の吹付機。
【請求項4】
前記ストッパは、前記開口部を閉じたときに前記固定部に嵌着されることによって前記胴部に固定される掛止部を有する、
請求項2又は3記載の吹付機。
【請求項5】
前記胴部は、前記容器を収容し、且つ、該胴部に着脱可能に取り付けられた剛性容器を有する、
請求項2乃至4の何れか記載の吹付機。
【請求項6】
前記ノズルへ前記流体を供給するためのチューブを備え、
前記ストッパは、前記開口部を閉じたときに前記チューブを覆うノズルガイドを有する、
請求項1乃至5の何れか記載の吹付機。
【請求項7】
前記チューブは、前記ノズルに沿う方向に延在する延在部を含み、
前記ノズルガイドは、前記ストッパが前記開口部を閉じたときに前記延在部を覆う、
請求項6記載の吹付機。
【請求項8】
前記ホルダの後段に配置されたシリンダを備え、
前記シリンダは、前記ホルダに収容された前記容器を圧縮して前記吹付材を前記ノズルへ押し出すための押出部を有する、
請求項1乃至7の何れか記載の吹付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建造物の施工時や経年劣化によって生じ得る隙間、空間、クラック(ひび割れ)等に、充填材、シール材、接着剤、断熱材等の適宜の吹付材を吹き付けることが可能な吹付機に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物に生じた隙間、空間、クラック等は、通常、作業者(ユーザ)が、いわゆる手塗りで、或いは、手動操作式のコーキングガンを用いて、例えば耐火性を有する充填材(吹付材)等で埋め込むように施工することが多く行われている。しかし、このような作業者の手動操作による作業では、工期の増大を招き、また、作業者の負担も多大となってしまうため、専用の機器を用いた施工処理が望まれている。一方、耐火性を有する充填材として、例えば、近時、難燃性、耐火性、及び取扱性に優れた発泡ウレタンが実用化されてきている。この発泡ウレタンは、複数の材料原液(樹脂の主剤と硬化剤)が混合されることで硬化する性質を有する。そのため、一般に、それぞれ個別のタンクやドラム缶に収容した複数の材料原液を車両で現場へ運び、作業位置までホースで取り回してから、コンプレッサからの圧縮空気と吹付機によって、混合された材料原液が壁面等の大面積に吹き付けられて発泡ウレタンとして硬化形成される。
【0003】
ところが、隙間、空間、クラック等の充填に、そのような比較的大型の機器を用いることは、作業の自由度が制約され、非常に不便であり、手間が掛かかってしまう。そこで、作業者が簡便に取り扱うことができ、作業自体の負担を軽減することができる吹付機が切望されている。このような吹付機の候補として、例えば特許文献1及び2等には、充填材の2種類の材料原液カートリッジを搭載し、それら2液をシリンダで押し出してノズル先端部で混合し、圧縮空気によってその混合物を対象部位に吹き付ける可搬型(ハンディタイプ)の吹付機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10625293号
【特許文献2】特許第5819872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者が、上記特許文献1等に記載された従来タイプの吹付機の実機について、鋭意検討を行ったところ、材料原液を収容したカートリッジの吹付機への取付作業や、材料原液を収容した柔軟性を有するフィルムパックのリテーナ(別のカバー容器)への詰替作業が、非常に面倒であることが判明した。例えば、吹付機へのカートリッジの取付けは、材料原液を押し出すための付勢されたシリンダやプランジャ等を、作業者の手やカートリッジで押し拡げて(押し戻して)、例えば斜め上方からカートリッジ用のホルダに嵌着させる必要がある。この場合、カートリッジとホルダが干渉し易く、また、両手での作業になり易いので、作業効率が悪く、作業時間が長くなってしまう。
【0006】
さらに、吹付機本体にリテーナが組み込まれた装置のなかには、ホルダの先端側に取り付けられたノズルを開閉して、フィルムパックを交換できるようにしたものもある。しかし、フィルムパックの密封性やノズルの接合性が悪くて、リテーナ内に液漏れが発生した場合には、結局リテーナを取り外して清掃しなければならず、こうなると、カートリッジの取付作業と同様の面倒な作業が必要になってしまう。しかも、このような作業の必要性は、作業者の作業性(特に足場の良くない高所での作業性)を確保する観点からも問題があるといえる。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、吹付材の液体原料を含む容器の取付交換を、短時間で、簡便に、且つ効率よく行うことができ、これらにより、作業性を高めることが可能な吹付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
〔1〕本開示に係る吹付機の一例は、容器に収容された吹付材を流体によりノズルから吐出させる吹付機であって、前記容器を収容するホルダを備え、前記ホルダは、該ホルダの一方端に前記容器が挿通可能な開口部を有し、且つ、前記開口部を開閉可能なストッパを有する。
【0010】
なお、「吹付材」とは、建造物の施工時や経年劣化によって生じ得る隙間、空間、クラック(ひび割れ)、その他の用途に用いられる充填材、シール材、接着剤、断熱材等の適宜の部材を含み、本開示においては、容器の押圧によって外部へ押し出される少なくとも1種の液体原料(液状物や半固体状物を含む)から形成される部材であれば、特に限定されない。また、かかる液体原料が収容される容器としては、大別して、液体原料が直接収容される柔軟性を有するフィルムパック等を用いた変形可能な容器(フィルムパック型容器)と、そのようなフィルムパック型容器がより剛性の高い(比較的硬質な)別の容器(リテーナ型容器)に内包された二重容器(カートリッジ型容器)が実用化され、広く用いられている。本開示の吹付機は、何れのタイプの容器にも対応可能である。
【0011】
かかる構成では、吹付材が収容された容器を、ホルダ内に収納できる状態であれば、ホルダの開口部から挿通するだけで、ホルダに保持させることができる。それに加えて、容器がホルダに保持された状態が、ストッパを用いる簡便な機構と操作によって維持されるので、容器の着脱を、平易に、確実に、且つ迅速に行うことができる。また、ストッパが、開口部を開閉可能に設けられていることで、容器の脱着に必要な操作が、ストッパの開閉操作のみになるので、ホルダへの容器の保持を、より迅速且つ簡便に行い易くなる。
【0012】
〔2〕また、上記構成において、前記ホルダは、前記容器を保持する胴部を有し、前記胴部は、前記ストッパによって前記開口部を閉じたときに前記ストッパを前記胴部に固定する固定部を有してもよい。かかる構成では、容器をホルダの胴部に確実に保持することができ、また、ストッパ自体が固定部によって固定されるので、容器やホルダの構成部材が脱落し易くなったり、容器がホルダ内で遊動してしまったりすることも抑止され、これらに起因する液漏れの発生を抑制することができる。
【0013】
〔3〕さらに、上記構成において、前記ストッパが、前記胴部に回動可能に蝶着されるようにしてもよい。かかる構成では、ストッパによる開口部の開閉を円滑に且つより簡便に行うことができ、部品点数の増大も抑えられる。
【0014】
〔4〕また、上記構成において、前記ストッパは、前記開口部を閉じたときに前記固定部に嵌着されることによって前記胴部に固定される掛止部を有してもよい。かかる構成では、ストッパをより強固に且つより簡便に胴部に固定することが可能となる。
【0015】
〔5〕さらに、上記構成において、前記胴部は、前記容器を収容し、且つ、該胴部に着脱可能に取り付けられた剛性容器を有してもよい。一般に、容器の種類は特に制限されないが、例えば、容器が柔軟性を有するフィルムパック型容器である場合、吹付材の液体原料の収容容器を、柔軟なフィルムパック型容器が剛性容器に収納されたパッケージ型容器として実質的に取り扱うことができるので、液体原料の押出性、取扱性、及び保護性を高めることができる。
【0016】
〔6〕また、上記構成において、前記ノズルへ前記流体を供給するためのチューブを備え、前記ストッパは、前記開口部を閉じたときに前記チューブを覆うノズルガイドを有してもよい。かかる構成では、ノズルガイドがチューブを覆うので、チューブの取り回しがし易くなり、また、チューブが他部材と干渉し難くなる。また、ストッパが開閉するときに、ノズルガイドも併せて回動し得るので、容器をホルダに収納させるときに、容器とノズルガイドとの干渉も防止される。さらに、ノズルガイドを把持しながらストッパの開閉を行い得るので、ストッパをより取り扱い易くなり、また、ストッパの開閉動作をより確実且つ迅速に行うことができる。
【0017】
〔7〕また、上記構成において、前記チューブは、前記ノズルに沿う方向に延在する延在部を含み、前記ノズルガイドは、前記ストッパが前記開口部を閉じたときに前記延在部を覆うように構成してもよい。かかる構成では、延在部において、ノズルガイドによって、チューブとノズルを一体的に保持することができる。
【0018】
〔8〕また、上記構成において、前記ホルダの後段に配置されたシリンダを備え、前記シリンダは、前記ホルダに収容された前記容器を圧縮して前記吹付材を前記ノズルへ押し出すための押出部を有するように構成してもよい。このように、ピストンによって吹付材を押し出すタイプの吹付機は、可搬型とし易い利点があるので、容器の交換作業性や取扱性に優れる本開示の吹付機によれば、高所等での作業性を一層高めることができる。
【0019】
なお、本開示において、1つの「部」、「機(器)」、「装置」、及びそれらの構成部品や構成要素が有する機能が、2つ以上の物理的手段や装置等によって実現されてもよく、或いは、2つ以上の「部」、「機(器)」、「装置」、及びそれらの構成部品や構成要素の機能が1つの物理的手段や装置等によって実現されてもよい。さらに、「部」、「機(器)」、及び「装置」とは、例えば「手段」や「システム」等と言い換えることも可能な概念である。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、本吹付機は、略筒状を成し、開口部と胴部を有するホルダに担持した容器を、ストッパと固定具で保持するので、吹付材の液体原料を含む容器の取付交換を、短時間で、簡便に、且つ効率よく行うことができる。これらにより、作業性を高めるとともに、作業者に対する十分な作業性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係る吹付機の一例に吹付材の原料溶液容器の一例を装着した状態の概略構成を示す側面図である。
図2】吹付材の原料溶液容器の一例の概略構成を示す斜視図(前方斜め上方から視認)である。
図3A図1に示す吹付機に図2に示す吹付材の原料溶液容器を挿入している状態を概略的に示す斜視図(後方斜め上方から視認:一部省略)である。
図3B図1に示す吹付機に図2に示す吹付材の原料溶液容器を挿入している状態を概略的に示す斜視図(前方斜め下方から視認:一部省略)である。
図3C図1に示す概略構成の斜視図(側方斜め下方から視認:一部省略)である。
図4図1に示す概略構成の斜視図(前方斜め上方から視認:一部省略)である。
図5A図1に示す概略構成の側断面図(一部省略)である。
図5B図5Aの一部を拡大して示す概略断面図である。
図5C図5Aに示す動作状態を模式的に示す平面図である。
図6A図1に示す概略構成の側断面図(一部省略)である。
図6B図6Aの一部を拡大して示す概略断面図である。
図6C図6Aに示す動作状態を模式的に示す平面図である。
図7A図1に示す概略構成の側断面図(一部省略)である。
図7B図7Aの一部を拡大して示す概略断面図である。
図7C図7Aに示す動作状態を模式的に示す平面図である。
図8A図1に示す概略構成の側断面図(一部省略)である。
図8C図8Aに示す動作状態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の一例に係る実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図ではない。すなわち、本開示の一例は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付しており、図面は模式的なものであって、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。さらに、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。また、以下に説明する実施形態は本開示の一部の実施形態であって、全ての実施形態ではないことは言うまでもない。さらに、本開示の実施形態に基づいて、当業者が創造性のある行為を必要とせずに得られる他の実施形態は、いずれも本開示の保護範囲に含まれる。
【0023】
[実施形態]
図1は、一実施形態に係る吹付機の一例に吹付材の原料溶液容器の一例を装着した状態の概略構成を示す側面図である。また、図2は、吹付材の原料溶液容器の一例の概略構成を示す斜視図(前方斜め上方から視認)である。なお、各図中に示す両矢印に付した符号「F」は、吹付機の前方又は前段方向であることを示し、符号「B」は、吹付機の後方又は後段方向であることを示す(他図において同様とする。)。
【0024】
(構成例)
本実施形態に係る吹付機100は、吹付材を圧縮空気(流体)により押し出してノズル52から吐出させるものであって、主として、シリンダチューブ20を有するシリンダ2と、略長尺状を成し、且つ、吹付材が収容されるホルダ3とを有する本体部1と、圧縮空気が流通する後述する各流路の切り替えを行うための流路切替部とを備える。本体部1には、作業者が把持する中空状を成すグリップ10と、グリップ10の前段において作業者の指を掛け易い位置に、作業者の操作によりON/OFFの切替が可能なトリガ11が設けられている。また、グリップ10の底部には、圧縮空気を送出するエアコンプレッサ(図示せず)のホースが接続されるエアプラグ等の流体供給口12が設けられている。さらに、本体部1におけるグリップ10の後段には、シリンダ2へ供給される圧縮空気の流量調整ダイヤルD1が装備され、グリップ10の前段には、後述するミキシングノズル5へ供給される圧縮空気の流量調整ダイヤルD2が装備されている。
【0025】
シリンダ2は、本体部1の上部後方に配置されており、例えば透光性を有する円筒状部材であるシリンダチューブ20は、ホルダ3の後段に配置され、一端(前端)及び他端(後端)に、それぞれシリンダ蓋部21,22が設けられている。それらのシリンダ蓋部21,22は、複数の固定ロッド23で締結されている。なお、シリンダチューブ20とシリンダ蓋部21は、後述する図5A等に示すとおり、シール部S21によって閉止されている。また、シリンダチューブ20の内部には、シリンダチューブ20の内周面に沿って摺動可能に設けられ、且つ、シリンダチューブ20内を、前段部20Fと後段部20Bに分画する円盤状を成すピストン24が配置されている。シリンダチューブ20における前段部20F及び後段部20Bの内容積は、シリンダチューブ20内でピストン24が前後方向に移動することにより変化する。
【0026】
また、ピストン24の前面からは、シリンダチューブ20の前端を覆うシリンダ蓋部21、及び、ホルダ筐体30の後端を覆うホルダ蓋部32を貫通するように、ピストンロッド25が延在している。さらに、シリンダチューブ20外であってホルダ3内には、吹付材をノズル52へ押し出すプランジャ(押出部)26が配置されている。このプランジャ26とピストン24は、ピストンロッド25によって連結されている。すなわち、ピストンロッド25の前端には、円盤状を成すプランジャ26が接合されている。これによりシリンダチューブ20内に配置されたピストン24と、シリンダチューブ20外に配置されたプランジャ26とが、ピストンロッド25とともに一体的に移動するように構成されている。
【0027】
一方、ホルダ3は、吹付材の容器の一例として後述する原料溶液容器(フィルムパック型容器4)を収容する。ホルダ3は、壁部及び側壁の一部のそれぞれに開口H1,H2が設けられた略円筒状を成すホルダ筐体(胴部)30を有している。ホルダ筐体30の一方端31には開口部33hが設けられており、他端には、ホルダ蓋部32が設けられている。
【0028】
ここで、吹付機100で用いられる吹付材としては、例えば、2種類の液体原料M1,M2(樹脂原料液及び硬化剤液)から形成されるいわゆる2液混合タイプの不燃性ポリウレタン材等が挙げられる(ただし、これに限定されない。)。この場合、図2に示すように液体原料M1,M2が、それぞれ個別に、柔軟性を有する袋状のフィルムパック40,40に収容される。これらのフィルムパック40,40は、2つの円形蓋が接合された封止具41で開放端が封止され、これによりフィルムパック型容器4として一体化される。また、封止具41の中央部には、雄ネジ42nを有する中空のノズル取付部42が設けられている。
【0029】
次に、図3A乃至図3C及び図4を参照して、図1に示す吹付機に図2に示す吹付材の原料溶液容器(フィルムパック型容器4)を挿入する手順の一例について説明する。図3Aは、図1に示す吹付機に図2に示す吹付材の原料溶液容器を挿入している状態を概略的に示す斜視図(後方斜め上方から視認:一部省略)であり、図3Bは、図1に示す吹付機に図2に示す吹付材の原料溶液容器を挿入している状態を概略的に示す斜視図(前方斜め下方から視認:一部省略)である。また、図3Cは、図1に示す概略構成の斜視図(側方斜め下方から視認:一部省略)であり、図4は、図1に示す概略構成の斜視図(前方斜め上方から視認:一部省略)である。
【0030】
まず、図2及び図3Aに示すように、フィルムパック型容器4のノズル取付部42には、供給される液体原料M1,M2の混合機能を有するノズルの一例としての公知のミキシングノズル(ノズル)5が、ノズル取付部42の先端を覆うように嵌め込まれ、雄ネジ42nと雌ネジ部材51との螺合により固定される。ミキシングノズル5の先端には、ノズルの一例としてのスプレーノズル(ノズル)52が嵌着される。スプレーノズル52は、吹付材の吐出口52s、及び、胴部から分岐して設けられた接続部52aを有している。この接続部52aには、圧縮空気を供給するためのエアチューブ35が接続される。このようにミキシングノズル5及びスプレーノズル52が取り付けられたフィルムパック型容器4が、その後端側から、図3Aに矢印で示す方向に沿って、ホルダ3のホルダ筐体30に内挿される。
【0031】
そのようにしてフィルムパック型容器4を収容するホルダ3のホルダ筐体30内には、両端が開放された略筒状を成し、且つ、例えば透光性部材で形成されたリテーナ等の剛性容器33,33が、ボルトや板バネ等の適宜の固定手段33fによって簡易に着脱できるように装着されている。さらに、ホルダ筐体30の一方端31側において、ホルダ筐体30と剛性容器33との間に、両端が開放された略筒状を成し剛性容器33よりも短尺である緩衝ガイド部材34が設けられている。また、前述の如く、ホルダ筐体30の他端(後端)には、ピストンロッド25が貫通するホルダ蓋部32が設けられている。これにより、ホルダ3は、その一方端に形成されてフィルムパック型容器4が挿通可能な開口部33hを有しており、また、剛性容器33,33が、2つのフィルムパック40,40を有するフィルムパック型容器4を保持する。
【0032】
また、ホルダ3には、フィルムパック型容器4に取り付けられたミキシングノズル5の一部、及び、ミキシングノズル5へ圧縮空気を供給するためのエアチューブ35の一部を保持して固定するためのノズルガイド36が設けられている。このノズルガイド36には、図3B及び図3C等に示すように、ミキシングノズル5の外径よりもやや広い内幅を有する断面コの字状の嵌合部36gが、基部から先端側に向かって延設されている。その嵌合部36gに、ミキシングノズル5の胴部とミキシングノズル5及びスプレーノズル52の延在方向に沿う方向に延在するエアチューブ35の延在部35aが嵌め込まれることにより、ミキシングノズル5等が下方から支持されるように構成されている。
【0033】
さらに、ノズルガイド36の基部は、開口部33hに向かって幅広がりに形成されており、開口部33hの所定部分を覆う(閉止する)ように形成された平板状を成すストッパ37の周端部に取り付けられている。これにより、ノズルガイド36とストッパ37は略90°の内角を成す状態(形状)で一体化されている。さらに、これらのノズルガイド36とストッパ37は、両者の境界部(角部)において、ホルダ筐体30の一方端31側の下部に蝶番38で回動可能に固定されている。
【0034】
フィルムパック型容器4は、図3A及び図3Bに示すように、ノズルガイド36及びストッパ37を、蝶番38を回動中心として鉛直方向に垂下させて、開口部33hを開放した状態で、フィルムパック40,40の後端側から開口部33hを通って、剛性容器33内に遊挿される。フィルムパック40,40部分が剛性容器33内に完全に挿入されると、図3C図4に示すように、ノズルガイド36とストッパ37を鉛直上方に回動させて、ストッパ37で開口部33hを閉止する。同時に、ミキシングノズル5の一部が、ノズルガイド36の嵌合部36g内に嵌入して保持される。
【0035】
ミキシングノズル5とノズルガイド36との嵌着力や、蝶番38の回動抵抗によるものの、開口部33hを閉止した状態のストッパ37は、自重とノズルガイド36の重量によって、そのままでは再度垂下して開口部33hが開放されてしまうおそれがある。そこで、開口部33hを覆うストッパ37の近傍(例えば開口部33hの周端部)には、蝶番38の他に、別の固定具が装備されている。
【0036】
すなわち、図3C及び図4に示すように、フィルムパック型容器4が剛性容器33内に完全に収容されると、ノズルガイド36及びストッパ37を上側に回動させ、ストッパ37の両側端部に形成された掛止部37c,37cを、それぞれロックレバー39,39に嵌着させる。より具体的には、各ロックレバー39は、押圧部39aと、その押圧部39aをバネ等(図示せず)で付勢する例えば鉤爪状の固定部39bを有しており、ストッパ37の掛止部37cを固定部39bに嵌め込むことによって、ストッパ37がロックされるように構成されている。これにより、ホルダ筐体30の一方端31の閉止が確実に維持され、フィルムパック型容器4が剛性容器33内に保持された状態となり、後述する吹付材の吐出動作を確実に行うことができる。
【0037】
一方、フィルムパック型容器4をホルダ3から取り出す際には、各ロックレバー39の押圧部39aを押すことにより、ストッパ37の掛止部37cとロックレバー39の固定部39bとの嵌着が外れるので、かかる簡易な操作によってロックを迅速に解除することができる。それから、ストッパ37を下側に回動させることにより、開口部33hが開放され、内部のフィルムパック型容器4を簡便に取り出すことができる。
【0038】
なお、図4においては、視認のし易さの観点から、胴壁の図示上部がカットされて開口した状態の剛性容器33を示した。また、吹付機100においては、2つのフィルムパック40,40に対応して2つのプランジャ26,26が装備されており、それらのプランジャ26,26に1つのピストンロッド25を介して1つのピストン24が結合されている。但し、2つのフィルムパック40,40に対応して2つのピストンロッド25,25及び2つのピストン24,24を備えていてもよい。
【0039】
(動作例)
次に、図5A乃至図8C図8Bは欠番)を用い、本実施形態に係る吹付機100による吹付材の吐出を行うために必須となる「流路切替部」の構成及び動作について説明するとともに、吹付機100における一連の基本動作について説明する。ここで、図5A図6A図7A、及び図8Aは、図1に示す概略構成の側断面図(一部省略)である。また、図5B図6B、及び図7Bは、それぞれ、図5A図6A、及び図7Aの一部を拡大して示す概略断面図である。さらに、図5C図6C図7C、及び図8Cは、それぞれ、図5A図6A図7A、及び図8Aに示す動作状態を模式的に示す平面図である
【0040】
まず、吹付機100は、バルブシステム7とステムシステム8を含んで構成される。バルブシステム7は、図5A等に示すように、本体部1の内部に画成された所定の配置空間に設けられている。また、バルブシステム7は、中空又は中実の略棒状を成し、軸方向に沿って種々の異なる径を有する部分が連接され、所定の位置に複数のシール部S7(S71~S74)が形成されたたものである。このバルブシステム7は、後端に当接するバネ71によって、前端がトリガ11に当接且つ付勢されており、トリガ11のON/OFF操作により、その付勢方向に沿って前後に移動可能に設けられている。なお、シリンダチューブ20とシリンダ蓋部21は、シール部S21によって閉止されている。
【0041】
また、ステムシステム8は、シリンダ蓋部21内に設けられている第1ステム81、及び、第2ステム82を含んで構成されている。第1ステム81は、ピストンロッド25の延伸方向に沿う方向に延びる軸状を成してシリンダ蓋部21を貫通しており、シリンダ前段部20F側の太径部にシール部S81が設けられ、且つ、ホルダ蓋部32側の軸状を成す部位の一部が細径に設けられた細径部に、ピストンロッド25の延伸方向と直交する方向に窪む凹部81cが形成されている。また、第1ステム81は、プランジャ26及びピストン24のそれぞれの押圧によって、シリンダチューブ20の軸に沿った前後方向に移動可能である。一方、第2ステム82は、シリンダ蓋部21内において、第1ステム81の下方に立設されており、上側の細径部の上端部82aが、凹部81cに嵌入して第1ステム81の細径部に当接可能に設けられている。また、第2ステムの下側の太径部には、シール部S82が設けられている。
【0042】
まず、図5A乃至図5Cは、プランジャ26がホルダ筐体30内の途中に位置しているとき、すなわちプランジャ26が初期位置(移動終点位置、最後端位置)に戻りきっていなかった場合に、プランジャ26を初期位置に戻している途中の状態を示す。
【0043】
なお、吹付機100の作動において、プランジャ26がフィルムパック40の押し出しを完了したとき、ピストン24はシリンダチューブ20における終点位置(移動終点位置、最前端位置)に到達して、第1ステム81を、シリンダチューブ20の前方側へ押圧して移動させる(図示黒塗り矢印)。これにより、図5A乃至図5Cに示す状態では、予め、第1ステム81によって排気口OUT1が封止され(図示破線丸枠C11)、シリンダチューブ20の前段部20Fと、外部に通じる排気路HT1との連通が遮断されている。また、第1ステム81が、上述したようにシリンダチューブ20の前方側へ移動すると、第1ステム81の凹部81cも前方側へ移動し、第2ステム82の上方に第1ステムの凹部81cが位置するようになる。
【0044】
この状態で、トリガ11をOFFにする(作業者がトリガ11から指を離す)と、バルブシステム7は、トリガ11側へ付勢されている状態が維持され、吸気口IN11が開放されて(図示破線丸枠C21)、流体供給口12と第1流路KT1とが連通する。また、これにより、第2ステム82が空圧で上方に押し上げられ、第2ステム82の上端部82aが第1ステムの凹部81cに嵌入する。こうなると、第2ステム82が第1ステム81側に移動(図示黒塗り矢印)することにより、吸気口IN12が開放され(図示破線丸枠C22)、第1流路KT1とシリンダチューブ20の前段部20Fとも連通する。これらにより、流体供給口12からシリンダチューブ20の前段部20Fまでの給気経路R11(実線折れ線矢印)が開通する。
【0045】
また、バルブシステム7は、この状態で、吸気口IN2,IN3を封止する(図示破線丸枠C12)ことにより、流体供給口12と第2流路KT2との連通を遮断するとともに、排気口OUT2,OUT3を開放し(図示破線丸枠C23)、排気路HT2,HT3と連通させる(なお、このとき、第2流路KT2及び第3流路KT3の一部も、排気口OUT2,OUT3と連通する。)。これらにより、シリンダチューブ20の後段部20B内から排気口OUT2,OUT3まで連通する排気経路R13(破線折れ線矢印)が開通し、シリンダチューブ20の後段部20Bと外部とが連通する。また、スプレーノズル52の吐出口52sから排気口OUT2,OUT3まで連通する排気経路R12(破線折れ線矢印)が開通する。
【0046】
その結果、圧縮空気を本体部1の流体供給口12へ供給することにより、給気経路R11で送給された圧縮空気の空圧で、シリンダチューブ20の前段部20F内の容積が増大して、図5A乃至図5Cに白抜き矢印で示すように、ピストン24及びプランジャ26が後段側へ移動する。また、シリンダチューブ20の後段部20B内の容積は減少して、内部に残留していた空気は、排気経路R13を通して外部へ排気され、排気経路R12内の残留空気も常圧になるまで適宜外部へ排気され得る。
【0047】
次に、図6A乃至図6Cは、プランジャ26が初期位置(移動終点位置、最後端位置)に戻ったときの状態を示す。このとき、プランジャ26は、第1ステム81をシリンダチューブ20の後段側へ押圧して移動させる(図示黒塗り矢印)。これにより、第1ステム81によって排気口OUT1が開放され(図示破線丸枠C11)、シリンダチューブ20の前段部20Fと、外部に通じる排気路HT1とが連通する。その結果、排気経路R21(実線折れ線矢印)が開通して、シリンダチューブ20の前段部20F内の空気が排気され始める。
【0048】
また、第1ステム81が、上述したようにシリンダチューブ20の後方側へ移動すると、第1ステム81の凹部81cも後方側へ移動し、第1ステム81の凹部81cに嵌入していた第2ステム82の上端部82aが凹部81cから押し出され、第2ステム82が下方へ(第1ステム81の反対側へ)移動する(図示黒塗り矢印)。これにより、吸気口IN12が封止され(図示破線丸枠C22)、第1流路KT1とシリンダチューブ20の前段部20Fとの連通が遮断される。
【0049】
それから、図7A乃至図7Cは、プランジャ26を初期位置(移動終点位置、最後端位置)から前方へ移動させている途中の状態を示す。図6A乃至図6Cに示す状態からトリガ11をONにする(作業者がトリガを引く)と、バルブシステム7は、トリガ11側へ付勢されていた状態から、バネ71の押圧力に抗して軸方向後方へ移動する。これにより、バルブシステム7は、吸気口IN11を封止し(図示破線丸枠C21)、また、排気口OUT2,OUT3を封止し(図示破線丸枠C23)、且つ、吸気口IN2,IN3を開放する(図示破線丸枠C12)。これらにより、第3流路KT3を介して流体供給口12とシリンダチューブ20の後段部20Bとが連通するとともに、シリンダチューブ20の後段部20Bと外部との連通が遮断され、さらに、流体供給口12と第2流路KT2とが連通する。これらにより、流体供給口12からノズル52まで連通する給気経路R22(実線折れ線矢印)と、流体供給口12からシリンダチューブ20の後段部20Bまで連通する給気経路R23(実線折れ線矢印)が開通する。
【0050】
その結果、圧縮空気を本体部1の流体供給口12へ供給することにより、給気経路R23で送給された圧縮空気の空圧で、シリンダチューブ20の後段部20B内の容積が増大して、図7A乃至図7Cに白抜き矢印で示すように、ピストン24及びプランジャ26が前段側へ移動する。このとき、シリンダチューブ20の前段部20F内の残留空気は、排気経路R21を通して排気され続ける。これらにより、ホルダ筐体30の剛性容器33内において、フィルムパック40がプランジャ26によって徐々に押圧され、内部に収容されている吹付材の液体原料M1,M2がミキシングノズル5内へ押し出される。これらの液体原料M1,M2は、ミキシングノズル5内部の構造的な機能によって混合され、吹付材Fが形成される。そして、給気経路R22で送給された圧縮空気の空圧で、ミキシングノズル5内で形成された吹付材Fがスプレーノズル52の吐出口52sから外部へ吐出される。
【0051】
さらに、図8A及び図8Cは、ピストン24が終点位置(移動終点位置、最前端位置)に到達したとき、すなわち、プランジャ26がフィルムパック40の押し出しを完了したときの状態を示す。このとき、図5A乃至図5Cの説明に先立って述べたように、ピストン24が終点位置に到達して、第1ステム81を、シリンダチューブ20の前方側へ押圧して移動させる(図示黒塗り矢印)。これにより、第1ステム81によって排気口OUT1が封止され(図示破線丸枠C11)、シリンダチューブ20の前段部20Fと外部との連通が遮断される。また、第1ステム81が、上述したようにシリンダチューブ20の前方側へ移動すると、第1ステム81の凹部81cも前方側へ移動し、第2ステム82の上方に第1ステムの凹部81cが位置するようになる。この状態から、トリガ11をOFFにすると、バルブシステム7が付勢方向に移動し、また、第2ステム82が上方に移動して、図5A乃至図5Cに示す状態となる。
【0052】
このように構成された本実施形態による吹付機100によれば、吹付材の液体原料M1,M2が収容されたフィルムパック型容器4を、ホルダ3の開口部から挿通するだけで、剛性容器33に保持させることができる。また、フィルムパック型容器4の保持状態が、ストッパ37とロックレバー39を用いた簡便な機構と操作によって、強固に保たれるので、フィルムパック型容器4の着脱を、平易に、確実に、且つ迅速に行うことができる。また、ストッパ37自体の固定により、フィルムパック型容器4を含めてホルダ3の構成部材の脱落や遊動をも抑止することができ、また、これらに起因する液漏れの発生を抑制することもできる。これらにより、フィルムパック型容器4等の容器の取付交換を、短時間で、簡便に、且つ効率よく行うことができる。その結果、作業者の作業性を高めることも可能となる。また、仮に、フィルムパック型容器4のなかから液体原料M1,M2が剛性容器33内に漏洩してしまった場合でも、剛性容器33をホルダ3から簡易に脱着できる。よって、剛性容器33の洗浄及び再設置を平易に実施することができる。
【0053】
また、主としてストッパ37の開閉操作と固定操作のみで、フィルムパック型容器4の脱着準備が完了するので、剛性容器33へのフィルムパック型容器4の装脱着をより迅速且つ簡便に行うことができ、作業効率を更に向上させることができる。さらに、ストッパ37を、蝶着箇所で回動可能に固定するので、ストッパ37をより簡便に開閉することができるとともに、部品点数の増大も抑えることができる。これにより、作業性と経済性を高めることができる。またさらに、蝶番38の他にロックレバー39を用いて、ストッパ37を固定するので、固定部自体を小さくして、固定エリアの増大を防止することができ、また、開口部33hを閉止した状態のストッパ37をより強固に固定することができる。
【0054】
さらに、フィルムパック型容器4を剛性容器33に保持させることにより、柔軟なフィルムパック40が剛性の高い剛性容器33に収納されたパッケージ型容器として実質的に取り扱うことができるので、液体原料M1,M2の押出性、取扱性、及び保護性を高めることができる。さらにまた、ストッパ37にノズルガイド36を取り付けるようにしたので、フィルムパック型容器4をホルダ3に収納させるときに、ノズルガイド36が邪魔になったり、フィルムパック型容器4にノズルガイド36が干渉してしまったりといったことを防止でき、また、ノズルガイド36の取り扱いが平易になるという効果も奏される。さらに、ノズルガイド36を把持しながらストッパ37の開閉操作を行い得るので、ストッパ37の開閉動作をより確実に行うことができる。加えて、剛性容器33が透光性(透明性)を有していれば、内部で液漏れが発生したとしても、迅速な対応が可能となる。さらに、剛性容器33の着脱を簡便な手段で行うことができるので、剛性容器33のメンテナンス(保守)作業効率を高めることもできる。
【0055】
またさらに、吹付材Fの液体原料M1,M2をスプレーノズル52へ押し出すためのピストン6の前後動作を、トリガ11のON/OFF操作による空圧駆動によって自動的に実施することができる。例えば、吹付材Fの液体原料M1,M2が収容されたフィルムパック型容器4を装着するには、トリガ11をOFFにすることにより、ピストン6を空圧で所定の位置(プランジャ26,26が後退してフィルムパック型容器4を取り付け可能な位置)へ移動させ得る。また、フィルムパック型容器4を装着した後、トリガ11をONにすることにより、ピストン6を空圧で前段側へ移動させて、液体原料M1,M2をミキシングノズル5へ押し出して吹付材Fを形成させることができる。
【0056】
さらに、トリガ11をONにすることにより、同時に、スプレーノズル52に圧縮空気を送出して、吹付材Fを空圧で吐出口52sから吐出させることができる。それから、吹付材Fの吐出が完了した後、再び、トリガ11をOFFにすることにより、ピストン6を所定の位置へ戻し、新たなフィルムパック型容器4を簡便に装着することができる。
【0057】
以上、本開示の一例としての上記実施形態及び各実施例(変形例)について詳細に説明してきたが、上述したとおり、前述した説明はあらゆる点において本開示の一例を示すに過ぎず、本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。また、上記実施形態及び上記各実施例(変形例)は、部分的に置換してもよく、適宜組み合わせて構成することも可能であり、さらに、各実施形態および各実施例(変形例)において適宜言及したような変更が可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、ホルダ筐体30の一端側の下部に設けた蝶番38でストッパ37を回動させることにより開口部33hを開閉可能とする構成としたが、これに限定されない。例えば、蝶番38をホルダ筐体30の一端側の右側部や左側部、或いは上部に設けてストッパ37を回動させて開口部33hを開閉可能とする構成でもよい。また、ストッパ37を二部材で構成し、各々の部材をホルダ筐体30に設けたそれぞれの蝶番で回動させて観音開きの扉のように開閉可能な構成であってもよい。またさらに、流体は圧縮空気に限定されず、圧縮空気による空圧に代えて油圧や水圧等の圧力が作用する構成であってもよい。加えて、ノズルはミキシングノズル5とスプレーノズル52の組み合わせに限定されず、用途に応じて適宜のノズルを用いることができる。
【0059】
さらに、吸気口IN2,IN3を兼用せず、別体に又は個別に設けてもよい。また、排気口OUT2,OUT3を兼用せず、別体に又は個別に設けてもよい。さらに、排気路HT2,HT3を兼用せず、別体に又は個別に設けてもよい。またさらに、トリガのON/OFF操作に代えて、又は、加えて、例えば、タッチ方式、音声方式、リモート方式等によるON/OFF操作を採用してもよい。また、適用場所によっては、圧縮空気容器(カセット式等)を更に搭載するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…本体部、2…シリンダ、3…ホルダ、4…フィルムパック型容器、5…ミキシングノズル、7…バルブシステム、8…ステムシステム、10…グリップ、11…トリガ、12…流体供給口、20…シリンダ、20B…シリンダチューブの後段部、20F…シリンダ前段部、21…シリンダ蓋部、22…シリンダ蓋部、23…固定ロッド、24…ピストンプレート、25…ピストンロッド、26…プランジャ(押出部)、30…ホルダ筐体(胴部)、31…一方端、32…ホルダ蓋部、33…剛性容器、33f…固定手段、33h…開口部、34…緩衝ガイド部材、35…エアチューブ、35a・・・延在部、36…ノズルガイド、36g…嵌合部、37…ストッパ、37c…掛止部、38…蝶番、39…ロックレバー、39a…押圧部、39b…固定部、40…フィルムパック、41…封止具、42…ノズル取付部、42n…雄ネジ、51…雌ネジ部材、52…スプレーノズル(ノズル)、52a…接続部、52s…吐出口、71…バネ、81…第1ステム、81c…凹部、82…第2ステム、82a…上端部、100…吹付機、D1,D2…流量調整ダイヤル、F…吹付材、H1,H2…開口、HT1…排気路、HT2…排気路、HT3…排気路、IN11,IN12,IN2,IN3…吸気口、KT1…第1流路、KT2…第2流路、KT3…第3流路、M1,M2…液体原料、OUT1,OUT2…排気口、R11,R22,R23…給気経路,R12,R13,R21…排気経路、S7,S71,S72,S73,S74…シール部、S81,S82…シール部。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8C