(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022166988
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221027BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 F
H01L23/12 H
H01L23/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072467
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】特許業務法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三枝 直樹
(57)【要約】
【課題】半導体装置において、製造工程における良品率を向上する。
【解決手段】半導体装置10は、樹脂ケース300と、樹脂ケース300の内部から外部まで延伸するリード端子400aと、樹脂ケース300の内側に位置する空間SPに配置されるパワー半導体チップ102aと、を備える。樹脂ケース300は、空間SPを画定する壁面WSからリード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDまでの内壁部分WALと、リード端子400aの被包囲部分ENVの上面TP1の少なくとも一部を覆う被覆部分COVとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂ケースと、
前記樹脂ケースの内部から外部まで延伸するリード端子と、
前記樹脂ケースの内側に位置する空間に配置される第1半導体チップと、
を備え、
前記樹脂ケースは、前記空間を画定する壁面から前記リード端子において前記空間に近い側面までの内壁部分と、前記リード端子の第1部分の上面の少なくとも一部を覆う被覆部分とを含む、
半導体装置。
【請求項2】
前記リード端子の前記第1部分の上方に配置され、前記第1半導体チップを制御する第2半導体チップを更に備え、
前記第1部分と前記第2半導体チップとの間に、前記被覆部分が介在している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記リード端子の前記第1部分は、前記第1部分において前記リード端子が延在する第1方向に直交する横断面において、前記樹脂ケースのうち前記内壁部分と前記被覆部分とを含む部分により包囲される、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記リード端子の前記第1部分は、前記リード端子の上面に対して垂直方向からの平面視において、前記リード端子における前記第2半導体チップと重なる部分の全体を含む、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記リード端子において前記樹脂ケースの前記被覆部分により覆われた部分の前記第1方向に直交する第2方向の最大幅は、前記第2半導体チップの前記第2方向の最大幅より狭い、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記被覆部分は、前記リード端子の上面に対して垂直方向からの平面視において前記第2半導体チップと重なるように、前記リード端子の第1部分の上面に間隔を空けて配置される複数の第1被覆部分を含む、
請求項2から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記リード端子は、前記第1部分において前記リード端子が延在する第1方向に直交する第2方向の幅が広い幅広部分と、前記幅が前記幅広部分の前記幅より狭い幅狭部分とを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記リード端子における前記幅広部分の少なくとも一部が前記第1部分である、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記リード端子における前記幅狭部分の少なくとも一部が前記第1部分である、
請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記被覆部分の側面は、傾斜している、
請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
樹脂ケースと、前記樹脂ケースの内部から外部まで延伸するリード端子と、前記樹脂ケースの内側に位置する空間に配置される第1半導体チップと、を含む半導体装置の製造方法であって、
前記リード端子を含むリードフレームを前記樹脂ケースの金型にインサートする第1工程と、
前記金型に樹脂を注入し、前記樹脂を硬化させることにより、前記樹脂ケースを、前記空間を画定する壁面から前記リード端子において前記空間に近い側面までの内壁部分と、前記リード端子の第1部分の上面の少なくとも一部を覆う被覆部分とを含むように形成する第2工程と、
を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子を含む半導体チップが樹脂ケースに収納された半導体装置が知られている。この種の半導体装置では、外部接続用の複数のリード端子が樹脂ケースに形成される。なお、特許文献1には、半導体チップと接続される電子部品が複数のリード端子のうちの所定のリード端子上に配置される半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような、半導体装置では、製造工程における良品率の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様に係る半導体装置は、樹脂ケースと、前記樹脂ケースの内部から外部まで延伸するリード端子と、前記樹脂ケースの内側に位置する空間に配置される第1半導体チップと、を備え、前記樹脂ケースは、前記空間を画定する壁面から前記リード端子において前記空間に近い側面までの内壁部分と、前記リード端子の第1部分の上面の少なくとも一部を覆う被覆部分とを含む。
【0006】
本発明の好適な態様に係る半導体装置の製造方法は、樹脂ケースと、前記樹脂ケースの内部から外部まで延伸するリード端子と、前記樹脂ケースの内側に位置する空間に配置される第1半導体チップと、を含む半導体装置の製造方法であって、前記リード端子を含むリードフレームを前記樹脂ケースの金型にインサートする第1工程と、前記金型に樹脂を注入し、前記樹脂を硬化させることにより、前記樹脂ケースを、前記空間を画定する壁面から前記リード端子において前記空間に近い側面までの内壁部分と、前記リード端子の第1部分の上面の少なくとも一部を覆う被覆部分とを含むように形成する第2工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、製造工程における良品率の向上の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略図である。
【
図2】
図1に示された内壁部分及び被覆部分を説明するための説明図である。
【
図3】
図1に示された半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図4】第2実施形態に係る半導体装置の一例を説明するための説明図である。
【
図5】第3実施形態に係る半導体装置の一例を説明するための説明図である。
【
図6】第4実施形態に係る半導体装置の一例を説明するための説明図である。
【
図7】第1変形例に係る半導体装置の一例を説明するための説明図である。
【
図8】応用例に係る半導体装置の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
A.実施形態
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る半導体装置10の概要の一例について説明する。
【0011】
A1:第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る半導体装置10の概略図である。
【0012】
なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を導入する。以下では、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の反対方向は-X方向と称される。Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。また、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。以下では、+Y方向及び-Y方向を特に区別することなく、Y方向と称し、+X方向及び-X方向を、特に区別することなく、X方向と称する場合がある。また、+Z方向及び-Z方向を、特に区別することなく、Z方向と称する場合がある。また、以下では、+Z方向を上方又は上側と称し、-Z方向を下方又は下側と称する場合がある。なお、本実施形態では、Y方向は、「第1方向」の一例であり、X方向は、「第1方向に直交する第2方向」の一例である。但し、「直交」は、厳密な直交だけではなく、実質的な直交(例えば、誤差範囲内の直交)も含む。
【0013】
また、以下では、特定の方向から対象物をみることを、平面視と称する場合がある。
図1は、+Z方向から平面視した半導体装置10の平面図、及び、平面図におけるA1-A2線に沿う半導体装置10の断面図を示している。以下では、+Z方向からの平面視は、単に「平面視」と称される場合がある。なお、+Z方向からの平面視は、リード端子400aの上面TP1(
図2参照)に対して垂直方向からの平面視に該当する。
【0014】
半導体装置10は、例えば、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子を含むパワー半導体装置である。パワー半導体装置としては、例えば、パワーMOSFET及びIGBT等のスイッチング素子とスイッチング素子を制御する制御回路とを含むインバータ装置が該当する。本実施形態において、半導体装置10は、スイッチング素子及び制御回路等が1つのパッケージに収納されたIPM(Intelligent Power Module)であってよい。
【0015】
例えば、半導体装置10は、複数のチップ対100と、複数の制御チップ200と、樹脂ケース300と、複数のリード端子400(400a、400b及び400c)とを有する。さらに、半導体装置10は、回路層120、接続部130、絶縁金属基板140、複数のワイヤ500(500a、500b、500c及び500d)、及び、封止樹脂700等を有する。チップ対100は、パワー半導体チップ102aとパワー半導体チップ102bとの組である。以下では、パワー半導体チップ102a及び102bは、パワー半導体チップ102と総称される場合がある。なお、
図1の平面図では、樹脂ケース300は、網掛けにより示されている。
【0016】
パワー半導体チップ102aは、「第1半導体チップ」の一例である。例えば、パワー半導体チップ102aは、パワーMOSFET及びIGBT等のスイッチング素子が形成された半導体チップである。また、例えば、パワー半導体チップ102bは、パワー半導体チップ102aに形成されたスイッチング素子と逆並列に接続されるFWD(Free Wheeling Diode)等のダイオードが形成された半導体チップである。ダイオードがスイッチング素子と逆並列に接続されるとは、ダイオードの順方向がスイッチング素子の順方向と逆になるように、ダイオードがスイッチング素子に並列に接続されることである。なお、スイッチング素子及びダイオードの組は、いわゆるRC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)として1つの半導体チップで形成されてもよい。
【0017】
図1に示される例では、複数のチップ対100は、Y方向に互いに間隔を空けて配置され、複数のワイヤ500cにより複数のリード端子400cにそれぞれ接続される。また、複数のチップ対100の各々に含まれるパワー半導体チップ102a及び102bは、例えば、X方向に互いに間隔を空けて回路層120の上に配置される。なお、回路層120は、配線パターン等が形成された層である。また、例えば、
図1の断面図に示されるように、複数のチップ対100は、回路層120に接続部130により接続される。接続部130は、銀等の金属材料を含む導電性のろう材や、はんだ材であってよい。なお、回路層120は、絶縁金属基板140(より詳細には、後述する絶縁層144)上に配置される。絶縁金属基板140は、金属材料により形成された金属基板142と、絶縁材料により金属基板142上に形成された絶縁層144とを含む。例えば、絶縁層144は、セラミック基板であり、金属基板142は、チップ対100で発生する熱を放熱する放熱板として機能する。
【0018】
制御チップ200は、「第2半導体チップ」の一例である。制御チップ200は、パワー半導体チップ102a及び102bを制御する。例えば、制御チップ200は、パワー半導体チップ102a及び102bの導通及び非導通を制御する集積回路が形成された半導体チップである。本実施形態では、制御チップ200は、HVIC(High Voltage Integrated Circuit)であってよい。なお、HVICは、例えば、2つの配線間に2つのスイッチング素子が直列に接続された回路を想定した場合、2つの配線のうち電圧が高い方の配線に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動する集積回路である。なお、2つの配線のうち電圧が低い方の配線に接続されたスイッチング素子のゲートを駆動する集積回路は、LVIC(Low Voltage Integrated Circuit)とも称される。
【0019】
複数のリード端子400は、例えば、金属材料により形成される。例えば、複数のリード端子400は、インサート成型により、樹脂ケース300と一体に形成される。これにより、複数のリード端子400は、樹脂ケース300に配置される。例えば、複数のリード端子400の各々は、平面視において、樹脂ケース300上に位置する端部と、樹脂ケース300の外部に位置する端部とを含む。すなわち、リード端子400は、樹脂ケース300の内部から外部まで延伸する。
【0020】
複数のリード端子400bの各々は、例えば、X方向に延在する。そして、複数のリード端子400bは、樹脂ケース300の+X方向の縁部においてY方向に配列される。また、複数のリード端子400cの各々は、例えば、X方向に延在する。そして、複数のリード端子400cは、樹脂ケース300の-X方向の縁部においてY方向に配列される。また、例えば、複数のリード端子400bと複数のリード端子400cとの間に複数のチップ対100が配列される。そして、複数のチップ対100と複数のリード端子400bとの間の領域から樹脂ケース300の+X方向の縁部を通り過ぎるようにリード端子400aが形成される。すなわち、リード端子400aは、樹脂ケース300上において、複数のチップ対100の配列方向(Y方向)に延在する部分を含む。リード端子400aのY方向に延在する部分は、「第1部分」を含む。本実施形態では、リード端子400aの「第1部分」は、リード端子400aのうち、樹脂ケース300により上面と側面とが固定される領域(部分)である。具体的には、本実施形態では、「第1部分」は、樹脂ケース300により包囲される被包囲部分ENVであってよい。
【0021】
また、リード端子400aのY方向に延在する部分には、複数の制御チップ200がY方向に互いに間隔を空けて配置される。例えば、複数の制御チップ200の各々は、平面視において、リード端子400a(
図1に示される例では、リード端子400aの被包囲部分ENV)と重なるように、樹脂ケース300上に配置される。そして、制御チップ200は、ワイヤ500aによりリード端子400aに接続され、ワイヤ500bによりリード端子400bに接続され、ワイヤ500dによりパワー半導体チップ102aに接続される。これにより、制御チップ200は、リード端子400a等に電気的に接続される。リード端子400aには、例えば、複数の制御チップ200に共通な接地電圧等の電圧が供給される。なお、ワイヤ500は、金属材料により形成される。
【0022】
このように、本実施形態では、制御チップ200がリード端子400a上に配置されるため、制御チップ200が平面視においてリード端子400aと重ならないように樹脂ケース300に配置される場合に比べて、半導体装置10を小型化することができる。また、本実施形態では、制御チップ200がリード端子400a上に配置されるため、制御チップ200とリード端子400a及び400bとの距離、及び、制御チップ200とパワー半導体チップ102aとの距離等が大きくなることを抑制できる。この結果、本実施形態では、制御チップ200に接続されるワイヤ500a、500b及び500d等が長くなることを抑制できる。
【0023】
樹脂ケース300は、「樹脂ケース」の一例である。例えば、樹脂ケース300は、その内側に位置する空間SPに、複数のチップ対100が配置されるケースである。樹脂ケース300は、例えば、熱可塑性樹脂により形成される。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、及び、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂等である。
【0024】
また、例えば、樹脂ケース300には、
図1の断面図に示されるように、内壁部分WAL及び被覆部分COVが形成されている。樹脂ケース300の内壁部分WAL及び被覆部分COVについては、後述する
図2において説明する。
【0025】
ここで、例えば、樹脂ケース300は、平面視において、複数のチップ対100を包囲する矩形枠状として把握される。例えば、樹脂ケース300は、
図1の断面図に示されるように、第1枠状部分FR1と第2枠状部分FR2と第3枠状部分FR3とにより構成される。第2枠状部分FR2は、開口が形成された矩形枠状の部分である。第1枠状部分FR1は、第2枠状部分FR2の第1面SF1における周縁から+Y方向に突出する矩形枠状の部分である。第3枠状部分FR3は、第2枠状部分FR2の第2面SF2における周縁から-Y方向に突出する矩形枠状の部分である。
【0026】
第1枠状部分FR1と第2枠状部分FR2との間にリード端子400b及び400cが配置される。また、第2枠状部分FR2の開口内の空間SPに、複数のチップ対100が位置する。なお、第2枠状部分FR2の内壁面は、空間SPを画定する壁面WSに該当する。また、第2枠状部分FR2の第1面SF1(より詳細には、第1枠状部分FR1に包囲された部分)に制御チップ200が配置される。第2枠状部分FR2は、制御チップ200とリード端子400aとの間の位置に、被覆部分COVを有する。第2枠状部分FR2の第2面SF2(より詳細には、第3枠状部分FR3に包囲された部分)に絶縁金属基板140が図示されない接続部により接続される。これにより、第3枠状部分FR3の開口内の空間に絶縁金属基板140が配置される。このように、樹脂ケース300は、複数のチップ対100(パワー半導体チップ102a及び102b)が空間SP内に位置するように、絶縁金属基板140と接合される。なお、以下では、絶縁金属基板140を樹脂ケース300(より詳細には、第2枠状部分FR2の第2面SF2)に接続する接続部は、基板接合部とも称される。
【0027】
絶縁金属基板140が樹脂ケース300に接合されることにより、例えば、樹脂ケース300の下側の開口が塞がれ、上側の開口から樹脂ケース300内の空間に封止樹脂700の材料を注入可能となる。封止樹脂700の材料は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。また、樹脂ケース300内の空間は、例えば、第1枠状部分FR1と第2枠状部分FR2とに包囲された空間である。樹脂ケース300の上側の開口から樹脂ケース300内の空間に封止樹脂700が充填されることにより、回路層120、チップ対100(パワー半導体チップ102a及び102b)、制御チップ200、及び、ワイヤ500等が封止樹脂700により封止される。なお、樹脂ケース300の形状は、上述の例に限定されない。例えば、ケースの形状は、第3枠状部分FR3が枠状でなく、第2枠状部分FR2の開口をふさぐ底面の形状を有してもよい。
【0028】
次に、
図2を参照しながら、樹脂ケース300の内壁部分WAL及び被覆部分COVについて説明する。
【0029】
図2は、
図1に示された内壁部分WAL及び被覆部分COVを説明するための説明図である。なお、
図2の平面図は、
図1の平面図に示された破線で囲んだ領域AR1の平面図である。また、A1-A2断面図は、領域AR1の平面図におけるA1-A2線に沿う半導体装置10の断面を示し、B1-B2断面図は、領域AR1の平面図におけるB1-B2線に沿う半導体装置10の断面を示している。また、A1-A2断面図には、制御チップ200が傾いた場合の例を説明するための説明図として、リード端子400aとX-Y平面に対して傾いている制御チップ200との断面を含む領域AR2の断面図も示されている。なお、
図2では、図を見やすくするために、ワイヤ500等の記載が省略されている。
【0030】
本実施形態では、領域AR1の平面図に示されるように、リード端子400aのうち、平面視において制御チップ200と重なる部分は、Y方向における被包囲部分ENVの範囲内に位置する。すなわち、リード端子400aの被包囲部分ENVは、平面視において、リード端子400aにおける制御チップ200と重なる部分の全体を含む。また、複数の被覆部分COVが、リード端子400aが延在するY方向に沿って、互いに間隔を空けて形成される。被覆部分COVは、A1-A2断面図に示されるように、リード端子400aの被包囲部分ENVの上面の少なくとも一部を覆う。具体的には、被覆部分COVは、リード端子400aの被包囲部分ENVと制御チップ200との間に位置する。
【0031】
A1-A2断面図に示されるように、リード端子400aは、制御チップ200に対向する上面TP1と、2つの側面と、上面TP1の反対側の底面とを有する。例えば、リード端子400aの上面TP1、2つの側面及び底面は、半導体装置10の特定の横断面(例えば、A1-A2線に沿う半導体装置10の断面)において、樹脂ケース300により覆われる。すなわち、リード端子400aは、特定の横断面において、樹脂ケース300により包囲される。リード端子400aのうち、樹脂ケース300により包囲される部分が被包囲部分ENVに該当する。また、樹脂ケース300のうち、リード端子400aの被包囲部分ENVを包囲する部分は、内壁部分WAL及び被覆部分COVを含む。例えば、内壁部分WALは、樹脂ケース300の第2枠状部分FR2のうち、空間SPを画定する壁面WSからリード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDまでの部分である。また、被覆部分COVは、樹脂ケース300の第2枠状部分FR2のうち、リード端子400aの上面TP1を覆う部分である。
【0032】
ここで、例えば、複数のリード端子400を含むリードフレームが平面状であるため、リード端子400aとリード端子400bとは、同一面内に位置する。このため、樹脂ケース300の第2枠状部分FR2において、被覆部分COVの表面と被覆部分COV以外の部分の表面との間には、段差が形成される。なお、第2枠状部分FR2における被覆部分COV以外の部分においては、例えば、リード端子400と第2枠状部分FR2の第1面SF1とが段差なく連続している。また、被覆部分COVのY方向に沿う2つの側面のうち、空間SPから遠い側面EPは、リード端子400aが配置された領域と複数のリード端子400bが配置された領域との間に位置する。被覆部分COVのY方向に沿う2つの側面のうち、空間SPに近い側面は、壁面WSの一部を構成する。すなわち、X方向における被覆部分COVの範囲は、リード端子400aが配置された領域と複数のリード端子400bが配置された領域との間の位置から、壁面WSまでの範囲である。被覆部分COVの表面には、制御チップ200が絶縁性の接着剤600により接着される。
【0033】
このように、本実施形態では、樹脂ケース300の被覆部分COVに制御チップ200が接着剤600により接着されるため、制御チップ200とリード端子400aとの間には、樹脂ケース300の被覆部分COVと接着剤600とが存在する。例えば、接着剤600の厚さは、接着剤600に含まれるフィラー(図示せず)の径によって決まる。このため、接着剤600内のフィラー径の分布に偏りが発生した場合、接着剤600の厚さが薄くなる部分が存在し、制御チップ200が傾く場合がある(A1-A2断面図の例ex1参照)。
【0034】
例えば、樹脂ケース300に被覆部分COVが形成されない形態(以下、第1対比例とも称する)では、接着剤600の厚さが薄くなる部分において、制御チップ200とリード端子400aとの間の距離が短くなり、制御チップ200とリード端子400aとの間の絶縁が確保されないおそれがある。制御チップ200とリード端子400aとの間の絶縁が確保されない場合、制御チップ200とリード端子400aとの間の耐電圧が低下する。すなわち、第1対比例では、制御チップ200とリード端子400aとの間の耐電圧が確保されないおそれがある。耐電圧は、例えば、絶縁体に高電圧が印加された場合でも電気的な絶縁を維持する耐久性能である。なお、接着剤600内のフィラーを、所定値以上の径を有するフィラーに限定することにより、接着剤600の厚さが所定の厚さ以下になることを抑制する構成では、接着剤600のコストが増加する。
【0035】
これに対し、本実施形態では、制御チップ200とリード端子400aとの間に位置する被覆部分COVにより、接着剤600の厚さが薄くなる部分においても、制御チップ200とリード端子400aとの間の距離を確保することができる。従って、本実施形態では、接着剤600のコストを増加させることなく、制御チップ200とリード端子400aとの間を確実に絶縁することができる。この結果、本実施形態では、制御チップ200とリード端子400aとの間の耐電圧を確実に確保できる。
【0036】
また、本実施形態では、リード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDは、内壁部分WALにより覆われている。例えば、複数の被覆部分COVがY方向に沿って互いに間隔を空けて形成されるのに対し、内壁部分WALは、リード端子400aのうちのY方向に延在する部分の全体にわたり略一定の幅W30で連続している。また、例えば、内壁部分WALのうち、-X方向の表面は、空間SPを画定する壁面WSの一部(Y方向に沿う壁面WSのうち+X方向に位置する壁面WS)を構成する。本実施形態では、内壁部分WALが形成されているため、インサート成型によりリード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成する工程において、樹脂ケース300を形成するための金型の取り出し時に、リード端子400aが金型に引っ掛かることを抑制できる。
【0037】
例えば、内壁部分WALが樹脂ケース300に形成されない形態(以下、第2対比例とも称する)では、インサート成型によりリード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成する工程において、リード端子400aの側面SDが金型に接する。このため、第2対比例では、金型の取り出し時に、リード端子400aが金型に引っ掛かり、金型に引っ掛かったリード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされるおそれがある。
【0038】
これに対し、本実施形態では、リード端子400aの側面SDが内壁部分WALにより覆われているため、金型の取り出し時に、リード端子400aが金型に引っ掛かることを抑制できる。この結果、本実施形態では、金型の取り出し時に、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態では、リード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDが樹脂ケース300の内壁部分WALにより覆われているため、第2対比例に比べて、リード端子400aと絶縁金属基板140との間の沿面距離を大きくすることができる。この結果、本実施形態では、第2対比例に比べて、リード端子400aと絶縁金属基板140との間の耐電圧を向上することができる。
【0040】
また、本実施形態では、A1-A2断面図に示されるように、リード端子400aの被包囲部分ENVは、Y方向に直交する横断面において、樹脂ケース300のうち内壁部分WALと被覆部分COVとを含む部分により包囲される。なお、Y方向は、被包囲部分ENVにおいてリード端子400aが延在する方向である。本実施形態では、仮に、金型の取り出し時にリード端子400aが上方に引っ張られても、リード端子400aの被包囲部分ENVが樹脂ケース300により包囲されているため、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。
【0041】
また、本実施形態では、領域AR1の平面図、及び、A1-A2断面図に示されるように、リード端子400aにおいて樹脂ケース300の被覆部分COVにより覆われた部分のX方向の最大幅(例えば、幅W10)は、制御チップ200のX方向の最大幅(例えば、幅W20)より狭い。これにより、例えば、インサート成型によりリード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成する工程において、PPS樹脂等の樹脂(樹脂ケース300の材料)がリード端子400aの上面TP1に回り込む際の距離(上面TP1のX方向の幅W10)が小さくなる。この結果、本実施形態では、インサート成型によりリード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成する工程において、樹脂(樹脂ケース300の材料)をリード端子400aの上面TP1まで効率よく充填することができる。
【0042】
また、PPS樹脂等の樹脂の回り込みに着目した場合、樹脂ケース300の被覆部分COVの厚さT1は、30μm程度以上であることが好ましく、樹脂ケース300のうち内壁部分WALの幅W30は、200μm程度以上であることが好ましい。すなわち、被覆部分COVの厚さT1は、内壁部分WALの幅W30より小さくてよい。なお、制御チップ200とリード端子400aとの間の絶縁を確保する観点では、樹脂ケース300の材料がPPS樹脂の場合、樹脂ケース300の被覆部分COVの厚さT1は、20μm程度でもよい。
【0043】
また、領域AR1の平面図、及び、B1-B2断面図に示されるように、リード端子400aの被包囲部分ENV以外の部分の上面TP1は、被覆部分COVに覆われずに、樹脂ケース300から露出している。リード端子400aの被包囲部分ENV以外の部分に、ワイヤ500aが接続される。次に、
図3を参照しながら、半導体装置10の製造方法について説明する。
【0044】
図3は、
図1に示された半導体装置10の製造方法を説明するための説明図である。
【0045】
先ず、第1工程S100において、複数のリード端子400を含むリードフレームが樹脂ケース300の金型にインサートされる。
【0046】
次に、第2工程S200において、複数のリード端子400を樹脂ケース300とともに形成するインサート成型が実行される。例えば、第2工程S200では、リードフレームがインサートされた金型にPPS樹脂等の樹脂が注入され、樹脂の硬化後にリードフレームが複数のリード端子400に分断されることにより、複数のリード端子400がインサートされた樹脂ケース300が形成される。このように、複数のリード端子400がインサートされた樹脂ケース300は、金型に注入された樹脂を硬化させることにより、形成される。例えば、樹脂ケース300は、空間SPを画定する壁面WSからリード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDまでの内壁部分WALと、リード端子400aの被包囲部分ENVの上面TP1の少なくとも一部を覆う被覆部分COVとを含むように、形成される。本実施形態では、被覆部分COVは、リード端子400aにおいて制御チップ200に対向する上面TP1を覆う。リード端子400aは、リード端子400aの被包囲部分ENVが、Y方向に直交する横断面において、樹脂ケース300のうち内壁部分WALと被覆部分COVとを含む部分により包囲されるように、形成される。
【0047】
次に、第3工程S300において、樹脂ケース300のうち、制御チップ200が配置される部分に絶縁性の接着剤600が塗布され、接着剤600が塗布された部分に制御チップ200が配置される。
【0048】
次に、第4工程S400において、樹脂ケース300の下側の開口をふさぐように、絶縁金属基板140が接合される。第4工程S400が実行される前に、絶縁金属基板140上に回路層120が配置され、回路層120に、複数のチップ対100(パワー半導体チップ102a及び102b)が接合されていてよい。なお、接着剤600による接着や基板接合部の接合の際には、適宜、加熱硬化処理工程を含んでよい。
【0049】
次に、第5工程S500において、パワー半導体チップ102aの端子、パワー半導体チップ102bの端子、制御チップ200の端子及びリード端子400等にワイヤ500を接続するワイヤボンディングが実行される。例えば、ワイヤボンディングでは、ワイヤ500におけるリード端子400等との接続部分に、荷重が加えられるとともに、超音波が印加される。ここで、本実施形態では、リード端子400aの被包囲部分ENVが樹脂ケース300により包囲されるため、ワイヤボンディング時にリード端子400aが振動することを抑制できる。リード端子400aの振動が大きい場合、リード端子400aの振動が小さい場合に比べて、ワイヤ500に印加される超音波が分散され、リード端子400aとワイヤ500との接続が不安定になる可能性が高い。本実施形態では、ワイヤボンディング時のリード端子400aの振動を抑制できるため、リード端子400aとワイヤ500との接続が不安定になることを抑制できる。
【0050】
次に、第6工程S600において、回路層120、チップ対100(パワー半導体チップ102a及び102b)、制御チップ200、及び、ワイヤ500等を封止樹脂700により封じする封止処理が実行される。例えば、封止処理では、樹脂ケース300の上側の開口から樹脂ケース300内の空間に液状の樹脂(封止樹脂700の材料)が注入され、樹脂ケース300内に注入された樹脂を加熱して硬化させる加熱硬化処理が実行される。これにより、
図1に示された半導体装置10が得られる。
【0051】
以上、本実施形態では、半導体装置10は、パワー半導体チップ102aと、パワー半導体チップ102aを制御する制御チップ200と、パワー半導体チップ102aが内側に位置する空間SPが形成された樹脂ケース300と、リード端子400aとを有する。リード端子400aは、樹脂ケース300に配置され、パワー半導体チップ102aに電気的に接続される。樹脂ケース300は、空間SPを画定する壁面WSからリード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDまでの内壁部分WALと、リード端子400aにおいて制御チップ200に対向する上面TP1を覆う被覆部分COVとを含む。リード端子400aの被包囲部分ENVは、被包囲部分ENVにおいてリード端子400aが延在するY方向に直交する横断面において、樹脂ケース300のうち内壁部分WALと被覆部分COVとを含む部分により包囲される。
【0052】
このように、本実施形態では、樹脂ケース300は、リード端子400aの上面TP1を覆う被覆部分COVを有する。このため、本実施形態では、制御チップ200とリード端子400aとの間に位置する被覆部分COVにより、制御チップ200とリード端子400aとの間の絶縁を確保でき、制御チップ200とリード端子400aとの間の耐電圧を確保できる。この結果、本実施形態では、制御チップ200等の半導体チップがリード端子上に配置された半導体装置10の信頼性を向上させることができる。従って、製造工程における良品率の向上の効果を奏する。
【0053】
また、本実施形態では、リード端子400aの側面SDが内壁部分WALにより包囲されるため、リード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成するインサート成型において、金型の取り出し時に、リード端子400aが金型に引っ掛かることを抑制できる。この結果、本実施形態では、金型の取り出し時に、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態では、リード端子400aが樹脂ケース300(内壁部分WAL及び被覆部分COVを含む部分)により包囲される被包囲部分ENVを含む。従って、本実施形態では、仮に、金型の取り出し時にリード端子400aが上方に引っ張られても、リード端子400aの被包囲部分ENVが樹脂ケース300に固定されているため、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。このように、本実施形態では、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できるため、制御チップ200がリード端子400a上に配置される半導体装置10の製造時の歩留まりを向上させることができる。従って、製造工程における良品率の向上の効果を奏する。
【0055】
また、本実施形態では、リード端子400aが被包囲部分ENVにより樹脂ケース300に固定されているため、ワイヤボンディング時にリード端子400aが振動することを抑制でき、リード端子400aとワイヤ500との接続が不安定になることを抑制できる。この結果、本実施形態では、制御チップ200がリード端子400a上に配置される場合において、半導体装置10の信頼性及び半導体装置10の製造時の歩留まりを向上させることができる。従って、製造工程における良品率の向上の効果を奏する。
【0056】
また、本実施形態では、リード端子400aの被包囲部分ENVは、平面視において、リード端子400aにおける制御チップ200と重なる部分の全体を含む。この場合、金型の取り出し時に、金型が引っ掛かる可能性のある部分を削減でき、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、リード端子400aにおいて樹脂ケース300の被覆部分COVにより覆われた部分のY方向に直交するX方向の最大幅は、制御チップ200のX方向の最大幅より狭い。この場合、リード端子400aを樹脂ケース300と一体に形成するインサート成型において、PPS樹脂等の樹脂(樹脂ケース300の材料)をリード端子400aの上面TP1まで効率よく充填することができる。
【0058】
A2:第2実施形態
上述した第1実施形態では、リード端子400aの被包囲部分ENVは、略一定の幅W10でY方向に延在している。これに対し、第2実施形態では、
図4に示されるように、リード端子400aの被包囲部分ENV1は、X方向の幅W12が広い幅広部分LP1と、幅W11が幅広部分LP1の幅W12より狭い幅狭部分NPとを含む。
【0059】
図4は、第2実施形態に係る半導体装置10の一例を説明するための説明図である。なお、
図4の平面図は、第2実施形態に係る半導体装置10の領域AR1(
図1の平面図に示された破線で囲んだ領域AR1に対応する領域)の平面図の一例であり、
図2の平面図に対応する。また、A1-A2断面図は、領域AR1の平面図におけるA1-A2線に沿う半導体装置10の断面を示し、B1-B2断面図は、領域AR1の平面図におけるB1-B2線に沿う半導体装置10の断面を示している。なお、
図4においても、図を見やすくするために、ワイヤ500等の記載が省略されている。
図1から
図3において説明された要素と同様の要素については、同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。また、
図4では、被包囲部分ENVは、被包囲部分ENV1とも称される。
【0060】
図4に示される半導体装置10は、リード端子400aの被包囲部分ENV1の形状が
図2に示された被包囲部分ENVの形状と相違することを除いて、
図1に示された半導体装置10と同様である。以下では、
図4に示される半導体装置10と
図1に示された半導体装置10との主な相違点を中心に説明する。
【0061】
本実施形態では、領域AR1の平面図に示されるように、リード端子400aは、X方向の幅W12が広い幅広部分LP1と、幅W11が幅広部分LP1の幅W12より狭い幅狭部分NPとを含む。なお、以下では、リード端子400aの幅狭部分NPのうち、被覆部分COVにより覆われた部分は、幅狭部分NPaとも称される。本実施形態では、リード端子400aの被包囲部分ENV1は、幅広部分LP1と幅狭部分NPaとを含む。すなわち、本実施形態のリード端子400aでは、幅広部分LP1が被包囲部分ENV1であり、幅狭部分NPの一部(幅狭部分NPa)も被包囲部分ENV1である。被包囲部分ENV1の幅広部分LP1は、平面視において、リード端子400aにおける制御チップ200と重なる部分の全体を含む。被包囲部分ENV1の幅狭部分NPaは、平面視において、制御チップ200と重ならない。
【0062】
すなわち、制御チップ200は、A1-A2断面図に示されるように、被覆部分COVのうち、幅広部分LP1の上面TP1を覆う部分に、接着剤600により接着される。従って、リード端子400aの幅広部分LP1と制御チップ200との間には、樹脂ケース300の被覆部分COVと接着剤600とが存在する。また、幅広部分LP1は、被包囲部分ENV1の一部分であるため、
図2に示された被包囲部分ENVと同様に、内壁部分WAL及び被覆部分COVを含む部分により包囲される。なお、
図4に示される例では、内壁部分WALの幅(X方向の幅)を確保するために、幅広部分LP1の側面SDは、制御チップ200において空間SPに近い側面より、+X方向(空間SPから離れる方向)に位置する。但し、幅広部分LP1の側面SDは、内壁部分WALの幅が所定値以上に確保されるのであれば、制御チップ200において空間SPに近い側面より-X方向に位置してもよいし、制御チップ200において空間SPに近い側面と平面視において重なってもよい。
【0063】
また、A1-A2断面図に示されるように、樹脂ケース300の被覆部分COVにおけるY方向に沿う2つの側面のうち、空間SPから遠い側面EPは、被覆部分COVの上面TP2の面積が下面BTの面積より小さくなるように傾斜している。被覆部分COVの上面TP2は、被覆部分COVにおいて制御チップ200と対向する面であり、被覆部分COVの下面BTは、被覆部分COVにおける上面TP2の反対側の面である。なお、A1-A2断面図には図示されていないが、樹脂ケース300の被覆部分COVにおけるX方向に沿う2つの側面も、被覆部分COVの上面TP2の面積が下面BTの面積より小さくなるように、傾斜してもよい。このように、樹脂ケース300の被覆部分COVの側面EPは、被覆部分COVにおいて制御チップ200と対向する上面TP2の面積が、被覆部分COVにおける上面TP2の反対側の下面BTの面積より小さくなるように、傾斜してもよい。
【0064】
また、B1-B2断面図に示される半導体装置10の断面は、
図2に示されたB1-B2断面図に示される半導体装置10の断面と同様である。例えば、リード端子400aのうち、被包囲部分ENV1以外の部分の上面TP1は、ワイヤ500aとリード端子400aとの接続を可能にするために、被覆部分COVに覆われずに、樹脂ケース300から露出している。
【0065】
以上、本実施形態では、リード端子400aの被包囲部分ENV1におけるX方向の最大幅(例えば、幅広部分LP1の幅W12)を、
図2に示されたリード端子400aの被包囲部分ENVにおけるX方向の最大幅(例えば、幅W10)より大きくしている。本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、本実施形態では、樹脂ケース300の被覆部分COVの上面TP2の面積が下面BTの面積より小さくなるように、被覆部分COVの側面EPが傾斜している。このため、本実施形態では、被覆部分COVと被覆部分COV以外の部分との境界まで封止樹脂700を容易に注入することができる。従って、本実施形態では、被覆部分COVと被覆部分COV以外の部分との境界付近に、封止樹脂700が存在しないボイドが発生することを抑制できる。この結果、本実施形態では、半導体装置10の信頼性を向上させることができる。なお、上述した第1実施形態においても、樹脂ケース300の被覆部分COVは、
図4に示された被覆部分COVと同様に、側面EPが傾斜するように形成されてもよい。あるいは、本実施形態において、樹脂ケース300の被覆部分COVは、
図2に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させずに形成されてもよい。
【0067】
A3:第3実施形態
上述した実施形態では、リード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDの全体が内壁部分WALにより覆われる。これに対し、第3実施形態では、
図5に示されるように、リード端子400aにおいて空間SPに近い側面SDの一部は、空間SPに露出する。
【0068】
図5は、第3実施形態に係る半導体装置10の一例を説明するための説明図である。なお、
図5の平面図は、第3実施形態に係る半導体装置10の領域AR1(
図1の平面図に示された破線で囲んだ領域AR1に対応する領域)の平面図の一例であり、
図2の平面図に対応する。また、A1-A2断面図は、領域AR1の平面図におけるA1-A2線に沿う半導体装置10の断面を示し、C1-C2断面図は、領域AR1の平面図におけるC1-C2線に沿う半導体装置10の断面を示している。なお、
図5においても、図を見やすくするために、ワイヤ500等の記載が省略されている。
図1から
図4において説明された要素と同様の要素については、同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。また、
図5では、被包囲部分ENVは、被包囲部分ENV2とも称される。
【0069】
図5に示される半導体装置10は、リード端子400aの被包囲部分ENV2と制御チップ200との位置関係が
図4に示された被包囲部分ENV1と制御チップ200との位置関係と相違することを除いて、
図4に示された半導体装置10と同様である。以下では、
図5に示される半導体装置10と
図4に示された半導体装置10との主な相違点を中心に説明する。
【0070】
本実施形態では、領域AR1の平面図に示されるように、リード端子400aのうち、樹脂ケース300の被覆部分COVにより覆われた部分は、被包囲部分ENV2と、X方向の幅W12が被包囲部分ENV2の幅W11より広い幅広部分LP2とを含む。すなわち、本実施形態のリード端子400aでは、幅W11が幅広部分LP2の幅W12より狭い幅狭部分NPの一部(幅狭部分NPa)が被包囲部分ENV2である。また、リード端子400aの幅広部分LP2は、平面視において、リード端子400aにおける制御チップ200と重なる部分の全体を含む。なお、
図5に示される例では、内壁部分WALは、リード端子400aのうちの幅広部分LP2を除く部分において空間SPに近い側面SDを覆うように形成される。すなわち、リード端子400aの幅広部分LP2において空間SPに近い側面SDは、内壁部分WALに覆われない。従って、リード端子400aは、平面視において、制御チップ200と重ならない位置に被包囲部分ENV2を有する。
【0071】
制御チップ200は、A1-A2断面図に示されるように、被覆部分COVのうち、幅広部分LP2の上面TP1を覆う部分に、接着剤600により接着される。従って、リード端子400aの幅広部分LP2と制御チップ200との間には、樹脂ケース300の被覆部分COVと接着剤600とが存在する。また、
図5に示される例では、リード端子400aの幅広部分LP2において空間SPに近い側面SDは、内壁部分WALに覆われていないため、空間SPに露出している。すなわち、
図5に示される例では、リード端子400aの幅広部分LP2は、被包囲部分ENV2に含まれない。
【0072】
また、C1-C2断面図に示されるように、リード端子400aの被包囲部分ENV2は、内壁部分WAL及び被覆部分COVを含む部分により包囲される。このため、本実施形態においても、金型の取り出し時に、リード端子400aが樹脂ケース300から上方に引き剥がされることを抑制できる。
【0073】
また、被覆部分COVのうち、リード端子400aの被包囲部分ENV2の上面TP1を覆う部分は、内壁部分WALと一体に形成されている。すなわち、被覆部分COVは、リード端子400aの被包囲部分ENV2及び幅広部分LP2の両方を覆い、かつ、内壁部分WALと一体に形成される。このため、被覆部分COVにおいてリード端子400aの幅広部分LP2の上面TP1を覆う部分がリード端子400aの幅広部分LP2から剥離することが、抑制される。なお、制御チップ200が接着された被覆部分COVが、リード端子400aから剥離した場合、制御チップ200が固定されずに不安定になるため、ワイヤ500を制御チップ200に接続するワイヤボンディングを、安定的に実行することが困難になる。本実施形態では、リード端子400aの幅広部分LP2の側面SDが空間SPに露出しているが、被覆部分COVがリード端子400aから剥離することが抑制されているため、制御チップ200とワイヤ500との接続が不安定になることを抑制できる。
【0074】
また、樹脂ケース300の被覆部分COVの側面EPは、
図4に示された被覆部分COVと同様に、被覆部分COVの上面TP2の面積が下面BTの面積より小さくなるように傾斜している。なお、本実施形態においても、樹脂ケース300の被覆部分COVは、
図2に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させずに形成されてもよい。
【0075】
リード端子400aのうち、幅広部分LP2及び被包囲部分ENV2を除く部分の上面TP1は、ワイヤ500aとリード端子400aとの接続を可能にするために、被覆部分COVに覆われずに、樹脂ケース300から露出している。
【0076】
以上、本実施形態では、リード端子400aの幅広部分LP2におけるX方向の最大幅を、
図4に示されたリード端子400aの幅広部分LP1におけるX方向の最大幅より大きくしている。なお、本実施形態においても、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
A4:第4実施形態
上述した実施形態では、リード端子400aのうち、平面視において制御チップ200と重なる部分全体の上面TP1が、被覆部分COVにより覆われる。これに対し、第4実施形態では、
図6に示されるように、樹脂ケース300の被覆部分COV1は、リード端子400aのうち、平面視において制御チップ200と重なる部分の上面TP1の一部が樹脂ケース300から露出するように、形成される。
【0078】
図6は、第4実施形態に係る半導体装置10の一例を説明するための説明図である。なお、
図6は、第4実施形態に係る半導体装置10において、制御チップ200が配置される領域の周辺を示す平面図の一例である。
図6では、図を見やすくするために、制御チップ200、接着剤600及びワイヤ500等の記載が省略されている。なお、
図6の一点二鎖線の矩形は、制御チップ200が配置されるチップ配置領域AR3を示している。
図1から
図5において説明された要素と同様の要素については、同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。また、
図6では、被覆部分COVは、被覆部分COV1とも称され、被包囲部分ENVは、被包囲部分ENV3とも称される。
【0079】
図6に示される半導体装置10は、樹脂ケース300の被覆部分COV1が
図2に示された被覆部分COVと相違することを除いて、
図2に示された半導体装置10と同様である。以下では、
図6に示される半導体装置10と
図2に示された半導体装置10との主な相違点を中心に説明する。
【0080】
図6に示されるように、樹脂ケース300の被覆部分COV1は、X方向に延在する複数の第1被覆部分COVfを含む。複数の第1被覆部分COVfは、平面視において制御チップ200と重なるように、リード端子400aの第1部分の上面にY方向に間隔を空けて配置される。このように、1つの制御チップ200の下側(-Z方向)に複数の第1被覆部分COVfが、被覆部分COV1として樹脂ケース300に形成される。すなわち、リード端子400aは、チップ配置領域AR3毎に、複数の被包囲部分ENV3を有する。なお、本実施形態では、第1部分は、制御チップ200が重なる部分であってよく、複数の被包囲部分ENV3を含む(囲む)領域であってもよい。
【0081】
図6に示される例では、1つの制御チップ200の下側に2つの第1被覆部分COVfが配置されるが、3つ以上の第1被覆部分COVfが1つの制御チップ200の下側に配置されてもよい。あるいは、Y方向の長さが制御チップ200のY方向の長さより短い1つの被覆部分COV1(例えば、
図6に示される2つの第1被覆部分COVf間を埋める1つの被覆部分COV1)が制御チップ200の下側に配置されてもよい。
【0082】
なお、リード端子400aの被包囲部分ENV3は、
図2に示された被包囲部分ENVと同様に、Y方向に直交する横断面において、樹脂ケース300のうち内壁部分WALと複数の第1被覆部分COVfとを含む部分により包囲される。
【0083】
また、
図6に示される例では、リード端子400aにおいて樹脂ケース300の複数の第1被覆部分COVfにより覆われた部分のX方向の最大幅(例えば、幅W10)は、制御チップ200のX方向の最大幅(例えば、幅W20)より狭い。なお、リード端子400aは、例えば、
図4に示されたリード端子400aと同様に、幅広部分LP1及び幅狭部分NPを有してもよい。すなわち、リード端子400aにおいて樹脂ケース300の複数の第1被覆部分COVfにより覆われた部分のX方向の最大幅は、制御チップ200のX方向の最大幅と同じでもよいし、制御チップ200のX方向の最大幅より大きくてもよい。
【0084】
また、本実施形態においても、樹脂ケース300の複数の第1被覆部分COVfは、
図2に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させずに形成されてもよいし、
図4に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させて形成されてもよい。
【0085】
以上、本実施形態においても、上述した第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、樹脂ケース300の被覆部分COV1は、リード端子400aのうち、平面視において制御チップ200と重なる部分の上面TP1の一部が樹脂ケース300から露出するように、形成される。このため、本実施形態では、例えば、チップ配置領域AR3に塗布される接着剤600が、リード端子400aが樹脂ケース300から露出している部分から、リード端子400aと樹脂ケース300との隙間に入り込むことが期待できる。チップ配置領域AR3に塗布される接着剤600が、リード端子400aと樹脂ケース300との隙間に入り込む場合、リード端子400aと樹脂ケース300との接着性が向上する。従って、本実施形態では、リード端子400aと樹脂ケース300との接着性を向上させることができる。なお、第1被覆部分COVfは、リード端子400aの第1部分の上面TP1の少なくとも一部を覆えばよい。例えば、次のような構成としてもよい。上述のように、
図6では、複数の第1被覆部分COVfは、平面視において制御チップ200と重なるように、リード端子400aの第1部分の上面にY方向に間隔を空けて配置されるものとした。また、
図6の複数の第1被覆部分COVfは、平面視でX方向が長手の矩形形状である。これに対し、例えば、複数の第1被覆部分COVfを、平面視でY方向が長手の矩形形状としてよい。そして、例えば、複数の第1被覆部分COVfは、平面視において制御チップ200と重なるように、リード端子400aの第1部分の上面にX方向に間隔を空けて配置されるものとしてもよい。すなわち、X方向に点在して複数の第1被覆部分COVfを設けてもよい。
【0086】
B:変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
【0087】
B1:第1変形例
例えば、上述した実施形態において、制御チップ200に形成される集積回路(例えば、HVIC)と異なる集積回路(例えば、LVIC)が形成された半導体チップがリード端子400a上に配置されてもよい。
【0088】
図7は、第1変形例に係る半導体装置10の一例を説明するための説明図である。なお、
図7は、第1変形例に係る半導体装置10を+Z方向から平面視した場合の平面図である。
図1から
図6において説明された要素と同様の要素については、同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。
【0089】
図7に示される半導体装置10は、制御チップ220がリード端子400a上に配置されることを除いて、
図1に示された半導体装置10と同様である。なお、
図7では、図を見やすくするために、制御チップ220と接続されるパワー半導体チップ102、ワイヤ500及びリード端子400等の記載が省略されている。以下では、
図7に示される半導体装置10と
図1に示された半導体装置10との主な相違点を中心に説明する。
【0090】
本変形例では、制御チップ200に形成される集積回路がHVICであり、制御チップ220に形成される集積回路がLVICである場合を想定する。
図7に示される例では、制御チップ220は、樹脂ケース300の被覆部分COVを介さずに、導電性の接続部によりリード端子400aに接着される。すなわち、樹脂ケース300の被覆部分COVは、制御チップ220の下側に形成されない。
【0091】
なお、制御チップ220は、制御チップ200と同様に、リード端子400aの上面TP1を覆う被覆部分COVに接着剤600により接着され、かつ、ワイヤ500aによりリード端子400aに接続されてもよい。この場合、制御チップ220は、「第2半導体チップ」の別の例である。
【0092】
以上、本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
B2:第2変形例
上述した実施形態において、例えば、
図2に示されたリード端子400aのうち、被包囲部分ENV間の部分が、X方向の幅が被包囲部分ENVの幅(例えば、幅W10)より広い幅広部分であってもよい。この場合、リード端子400aのうち、幅広部分の幅より幅が狭い幅狭部分の全体が、被包囲部分ENVに該当する。あるいは、
図4に示された幅広部分LP1及び幅狭部分NPのうち、幅広部分LP1の一部のみが、被覆部分COVにより覆われてもよい。この場合、リード端子400aのうち、幅広部分LP1の一部(被覆部分COVにより覆われている部分)が、被包囲部分ENVに該当する。以上、本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0094】
C:応用例
図8は、応用例に係る半導体装置10の一例を説明するための説明図である。なお、
図8の平面図は、応用例に係る半導体装置10の領域AR1(
図1の平面図に示された破線で囲んだ領域AR1に対応する領域)の平面図の一例であり、
図2の平面図に対応する。また、A1-A2断面図は、領域AR1の平面図におけるA1-A2線に沿う半導体装置10の断面を示し、C1-C2断面図は、領域AR1の平面図におけるC1-C2線に沿う半導体装置10の断面を示している。なお、
図8においても、図を見やすくするために、ワイヤ500等の記載が省略されている。
図1から
図7において説明された要素と同様の要素については、同様の符号が付され、詳細な説明は省略される。また、
図8では、被覆部分COVは、被覆部分COV2とも称される。
【0095】
図8に示される半導体装置10は、樹脂ケース300の被覆部分COV2が
図5に示された被覆部分COVと相違することを除いて、
図5に示された半導体装置10と同様である。以下では、
図8に示される半導体装置10と
図5に示された半導体装置10との主な相違点を中心に説明する。
【0096】
応用例では、領域AR1の平面図に示されるように、リード端子400aは、X方向の幅W12が広い幅広部分LP2と、幅W11が幅広部分LP2の幅W12より狭い幅狭部分NPとを含む。
図8に示される例では、リード端子400aの幅広部分LP2は、平面視において、リード端子400aにおける制御チップ200と重なる部分の全体を含み、リード端子400aの幅狭部分NPは、平面視において、制御チップ200と重ならない。
【0097】
制御チップ200は、A1-A2断面図に示されるように、幅広部分LP2の上面TP1を覆う被覆部分COV2に、接着剤600により接着される。従って、リード端子400aの幅広部分LP2と制御チップ200との間には、樹脂ケース300の被覆部分COV2と接着剤600とが存在する。なお、リード端子400aの幅広部分LP2において空間SPに近い側面SDは、内壁部分WALに覆われずに、空間SPに露出している。また、
図8に示される例では、樹脂ケース300の被覆部分COV2は、
図4に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させて形成されているが、
図2に示された被覆部分COVと同様に、側面EPを傾斜させずに形成されてもよい。
【0098】
また、領域AR1の平面図、及び、C1-C2断面図に示されるように、リード端子400aの幅広部分LP2におけるX方向に沿う縁部(幅狭部分NPに接続される縁部)の上面TP1は、被覆部分COV2に覆われずに、樹脂ケース300から露出している。なお、リード端子400aの幅狭部分NPにおけるY方向に直交する横断面は、
図2のB1-B2断面図に示された断面と同様である。すなわち、リード端子400aの幅狭部分NPにおいて空間SPに近い側面SDは、内壁部分WALに覆われ、幅狭部分NPの上面TP1は、被覆部分COV2に覆われずに、樹脂ケース300から露出している。
【0099】
このように、応用例では、樹脂ケース300は、リード端子400aにおいて制御チップ200に対向する上面TP1を覆う被覆部分COV2を含む。また、制御チップ200を樹脂ケース300に接着する絶縁性の接着剤600は、少なくとも樹脂ケース300の被覆部分COV2と制御チップ200との間に位置する。なお、樹脂ケース300の被覆部分COV2は、
図6に示された被覆部分COV1と同様に、制御チップ200毎に、複数の第1被覆部分COVfを有してもよい。
【0100】
なお、上述の応用例から以下の態様が把握される。
【0101】
半導体装置10は、パワー半導体チップ102aと、パワー半導体チップ102aを制御する制御チップ200と、パワー半導体チップ102aが内側に位置する空間SPが形成された樹脂ケース300とを有する。さらに、半導体装置10は、樹脂ケース300に配置され、パワー半導体チップ102aに電気的に接続されるリード端子400aと、制御チップ200を樹脂ケース300に接着する絶縁性の接着剤600とを有する。樹脂ケース300は、リード端子400aにおいて制御チップ200に対向する上面TP1を覆う被覆部分COVを含む。接着剤600は、樹脂ケース300の被覆部分COVと制御チップ200との間に位置する。
【0102】
以上、応用例においても、上述した実施形態及び変形例と同様に、制御チップ200とリード端子400aとの間に位置する被覆部分COV2により、制御チップ200とリード端子400aとの間の絶縁を確保できる。従って、応用例においても、制御チップ200とリード端子400aとの間の耐電圧を確保でき、半導体装置10の信頼性を向上させることができる。
【0103】
但し、応用例では、樹脂ケース300の被覆部分COV2が内壁部分WALと一体に形成されていない。
【0104】
なお、応用例においても、樹脂ケース300の被覆部分COV2は、リード端子400aのうち、平面視において制御チップ200と重なる部分の上面TP1の一部が樹脂ケース300から露出するように、形成されてもよい。例えば、樹脂ケース300の被覆部分COV2は、
図6に示された被覆部分COV1と同様に、制御チップ200の下側に複数の第1被覆部分COVfを有してもよい。この場合、チップ配置領域AR3に塗布される接着剤600が、リード端子400aが樹脂ケース300から露出している部分から、リード端子400aと樹脂ケース300との隙間に入り込むことが期待できる。
【0105】
従って、応用例においても、制御チップ200の下側に位置する被覆部分COV2が、リード端子400aの上面TP1の一部が樹脂ケース300から露出するように形成された場合、リード端子400aと樹脂ケース300との接着性が向上することが期待できる。また、制御チップ200の下側に位置する被覆部分COV2が、リード端子400aの上面TP1の一部が樹脂ケース300から露出するように形成された場合、被覆部分COV2は、チップ配置領域AR3に塗布された接着剤600により覆われる。この場合、被覆部分COV2がリード端子400aから剥離することを抑制できる。
【符号の説明】
【0106】
10…半導体装置、100…チップ対、102…パワー半導体チップ、120…回路層、130…接続部、140…絶縁金属基板、142…金属基板、144…絶縁層、200…制御チップ、300…樹脂ケース、400…リード端子、500…ワイヤ、600…接着剤、700…封止樹脂、COV、COV1、COV2…被覆部分、COVf…第1被覆部分、ENV、ENV1、ENV2、ENV3…被包囲部分、FR1…第1枠状部分、FR2…第2枠状部分、FR3…第3枠状部分、LP1、LP2…幅広部分、NP、NPa…幅狭部分、SP…空間。