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特開2022-167036液晶デバイス用透明基材、及び調光シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167036
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】液晶デバイス用透明基材、及び調光シート
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20221027BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221027BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G02F1/1333 500
G02F1/13 505
G02F1/1337 525
G02F1/1337 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072532
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
【テーマコード(参考)】
2H088
2H190
2H290
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088GA06
2H088GA10
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA10
2H088KA27
2H190JB03
2H190JC07
2H190JD13
2H190KA11
2H190LA01
2H190LA22
2H290AA33
2H290AA85
2H290BF13
2H290CA32
2H290CB32
(57)【要約】
【課題】液晶デバイス用透明基材が備える配向層における物理的な損傷を抑える。
【解決手段】液晶デバイスである調光シートが備える調光層が含む液晶分子の配向方向を規制する配向層21と、配向層21が形成される下地層11Aとを含む液晶デバイス用透明基材の一つである第1基材11であって、第1面11S1と、第1面11S1とは反対側の第2面11S2とを備え、第1面11S1は、配向層21が含む面であり、第2面11S2は、下地層11Aが含む面であり、下地層11Aのうち配向層21と接する表面11A1は鉛筆硬度試験において表面粗さRa1が20nm以下であり、表面粗さRa1及び第2面11S2の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶デバイスが備える液晶層が含む液晶分子の配向方向を規制する配向層と、前記配向層が形成される下地層とを含む液晶デバイス用透明基材であって、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを備え、
前記第1面は、前記配向層が含む面であり、
前記第2面は、前記下地層が含む面であり、
前記下地層のうち前記配向層と接する面は鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有し、
前記第1面の表面粗さRa1が20nm以下であり、
前記第1面の表面粗さRa1及び前記第2面の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である
液晶デバイス用透明基材。
【請求項2】
前記第2面の表面粗さRa2が100nm以下である
請求項1に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項3】
前記第1面の表面粗さRa1及び前記第2面の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が120nm以下である
請求項1又は2に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項4】
前記下地層は、支持基材、ハードコート層、導電層及び前記配向層を含み、
前記ハードコート層は前記支持基材及び前記配向層の間に位置する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項5】
前記ハードコート層は複数の粒子を含み、
前記粒子又は複数の前記粒子からなる凝集粒子の直径は、前記ハードコート層の厚さ、前記導電層の厚さ及び前記配向層の厚さの和よりも大きい
請求項4に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項6】
前記下地層は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方から、前記下地層に含まれる粒子の一部が突出する
請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項7】
前記配向層は、シリコーン系樹脂又はポリイミド系樹脂を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の液晶デバイス用透明基材。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の液晶デバイス用透明基材と、
前記液晶デバイス用透明基材の前記第1面に接し、液晶分子を含む調光層を備える
調光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイス用透明基材、及び調光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
リバース型の調光シートは、一対の導電層間に電圧が印加されていない状態において相対的に低いヘイズを有し、一対の導電層間に電圧が印加されている状態において相対的に高いヘイズを有する。リバース型の調光シートの一例として、液晶分子を含む調光層、調光層の厚さ方向において調光層を挟む一対の導電層(透明電極)、および、調光層と導電層との間にそれぞれ位置する配向膜を備えるものがある(例えば、特許文献1を参照)。この調光シートでは、一対の導電層間に電圧が印加されていない状態において、配向層が液晶分子を垂直配向させる。一対の導電層間に電圧が印加されている状態においては、液晶分子はランダムに配向し、入射光を高分子と液晶の界面で多重反射させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-45135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調光シート、および、配向層を備える透明基材には、調光シートの量産化を可能にする観点から、ロールツーロール装置を用いた製造が可能であることが求められている。ロールツーロール装置を用いて透明基材が製造される場合には、ロールツーロール装置による透明基材の搬送時、ロールツーロール装置を用いた透明基材の巻き取り時、および、巻き取られた透明基材の運搬時などにおいて、透明基材、ひいては、透明基材が備える配向層に対して外力が作用し、これによって、配向層に物理的な損傷が生じる場合がある。このように、配向層を備える透明基材には、ロールツーロール装置を用いて透明基材を製造するがゆえの新たな課題が生じている。
【0005】
なお、こうした事項は、調光シート用の透明基材に限らず、ロールツーロール装置を用いて製造される他の液晶デバイス用の透明基材にも共通する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶デバイス用透明基材は、液晶デバイスが備える液晶層が含む液晶分子の配向方向を規制する配向層と、前記配向層が形成される下地層とを含む液晶デバイス用透明基材であって、前記液晶デバイス用透明基材は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを備え、前記第1面は、前記配向層が含む面であり、
前記第2面は、前記下地層が含む面であり、前記下地層のうち前記配向層と接する面は鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有し、前記第1面の表面粗さRa1が20nm以下であり、前記第1面の表面粗さRa1及び前記第2面の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である。
【0007】
本発明の調光シートは、上記の前記液晶デバイス用透明基材の前記第1面に接し、液晶分子を含む調光層を備える。
上記構成によれば、鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有する下地層の上に配向層を形成するため、配向層の強度を高めることができる。また、第1面の表面粗さRa1及び第2面の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である。このため、第1面及び第2面の間に生じる摩擦力を低減し、配向層の欠損を抑制することができる。また、第1面及び第2面に表面粗さを分散しつつ、第1面の表面粗さRa1が20nm以下とする。このため、第2面の表面粗さを大きくすることでのヘイズの過度な上昇を抑制しつつ、配向層の配向規制力を良好に維持することができる。よって、液晶デバイス用透明基材が備える配向層における物理的な損傷を抑えることができる。
【0008】
上記液晶デバイス用透明基材について、前記第2面の表面粗さRa2が100nm以下であってもよい。
上記構成によれば、液晶デバイス用透明基材を用いた液晶デバイスにおいて第2面における散乱を抑制することができる。
【0009】
上記液晶デバイス用透明基材について、前記第1面の表面粗さRa1及び前記第2面の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が120nm以下であってもよい。
上記構成によれば、配向層の配向規制力を維持しつつ、液晶デバイス用透明基材を用いた液晶デバイスにおいて第2面における散乱を抑制することができる。
【0010】
上記液晶デバイス用透明基材について、前記下地層は、支持基材、ハードコート層、導電層及び配向層を含み、前記ハードコート層は前記支持基材及び前記配向層の間に位置する。
【0011】
上記構成によれば、配向層が極めて薄いために強度が小さくなる場合であっても、ハードコート層によって配向層を補強することができる。
上記液晶デバイス用透明基材について、前記ハードコート層は、複数の粒子を含み、前記粒子又は複数の前記粒子からなる凝集粒子の直径は、前記ハードコート層の厚さ、前記導電層の厚さ及び前記配向層の厚さの和よりも大きくてもよい。
【0012】
上記構成によれば、ハードコート層に含有される粒子が、配向層に含まれる第1面から突出する。これにより、粒子の含有量を調整することにより、表面粗さを制御することができる。
【0013】
上記液晶デバイス用透明基材について、前記下地層は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方から、前記下地層に含まれる粒子の一部が突出してもよい。
上記構成によれば、下地層に含まれる粒子の含有量を調整することにより表面粗さを制御することができる。
【0014】
上記液晶デバイス用透明基材について、前記配向層は、シリコーン系樹脂又はポリイミド系樹脂を含んでいてもよい。
上記構成によれば、配向層自体の強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、液晶デバイス用透明基材が備える配向層における物理的な損傷を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の調光シートの構造を模式的に示す断面図。
図2】第1実施形態の調光シートが備える液晶デバイス用透明基材の構造を示す断面図。
図3】第1実施形態の液晶デバイス用透明基材を保管する際の状態を示す斜視図。
図4】実施例及び比較例の評価結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図3を参照して、液晶デバイス用透明基材、および、調光シートの第1実施形態を説明する。
[調光シート]
図1を参照して調光シートを説明する。
【0018】
図1が示すように、調光シート10は、第1基材11、第2基材12、および、調光層13を備えている。調光層13は、液晶分子を含んでいる。調光層13は、液晶層の一例である。調光層13において、液晶分子の保持形式は、ポリマーネットワーク型(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)でもよいし、高分子分散型(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)でもよい。液晶分子は、負の誘電異方性を有している。言い換えれば、液晶分子はn型である。
【0019】
第1基材11および第2基材12の各々は、液晶デバイス用透明基材の一例である。各基材11,12は、可視光に対する透過性を有する。各基材11,12は、配向層を含む。配向層は、調光層13が含む液晶分子の配向方向を規制する。各基材11,12は、調光層13に接している。各基材11,12において、調光層13に接する面が、第1面である。
【0020】
[液晶デバイス用透明基材]
図2を参照して液晶デバイス用透明基材を説明する。
図2は、液晶デバイス用透明基材の一例である第1基材11の断面構造を示している。なお、第2基材12は、調光シート10の厚さ方向における位置が第1基材11とは異なる一方で、第2基材12が備える層は第1基材11が備える層と共通している。そのため以下では、第1基材11の構造を詳しく説明する一方で、第2基材12の構造の詳しい説明を省略する。
【0021】
第1基材11は、第1面11S1と、第1面11S1とは反対側の第2面11S2とを備えている。第1面11S1は、配向層21が含む面である。第2面11S2は、下地層11Aが含む面である。第1面11S1及び第2面11S2は対向している。
【0022】
第1基材11は、配向層21と、配向層21が形成される下地層11Aとを含んでいる。下地層11Aのうち、第2面11S2と反対側となる面は、配向層21と接する表面11A1である。下地層11Aは、支持基材24、ハードコート層23、導電層22、易滑層26を含んでいる。表面11A1は、導電層22に含まれる。支持基材24は、第1面24Aと第2面24Bとを有する。第1面24Aと第2面24Bとは互いに対向している。第1面24Aにはハードコート層23、導電層22、配向層21が順に積層されている。なお、便宜上、図2では各層の厚さを模式的に示している。
【0023】
支持基材24は、例えば合成樹脂から形成される。合成樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、ポリエチレンナフタレート(PEN)などであってよい。支持基材24は、例えば、16μm以上250μm以下の厚さを有することができる。支持基材24は、可視光に対する透過性を有する。なお、支持基材24は、単層構造に限らず、多層構造を有してもよい。支持基材24が多層構造を有する場合には、支持基材24は、第1材料から形成された第1層と、第1材料とは異なる第2材料から形成された第2層とを備えてよい。
【0024】
ハードコート層23は、支持基材24と導電層22との間に位置する。ハードコート層23の強度は、支持基材24の強度よりも高い。そのため、下地層11Aがハードコート層23を含まない場合に比べて、下地層11A上に形成された配向層21の表面における強度が高くなる。
【0025】
ハードコート層23は、例えば、有機系材料、ケイ素を含むシリコン系材料、および、無機系材料のいずれかによって形成されてよい。有機系材料は合成樹脂であり、例えば、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂のいずれかであってよい。シリコン系材料は、シリコーン系ハードコート材料等のシラン化合物であってよい。無機系材料は、金属酸化物であってよい。ハードコート層23は、例えば、1μm以上10μm以下の厚さを有することができる。ハードコート層23は、可視光に対する透過性を有する。ハードコート層23は、単層構造に限らず、多層構造を有してもよい。ハードコート層23が多層構造を有する場合には、ハードコート層23は、第1材料から形成される第1層と、第1材料とは異なる第2層から形成された第2層とを備えてよい。
【0026】
また、ハードコート層23は、複数の粒子23Pを含んでいてもよい。粒子23Pは、ハードコート剤とは別に添加されたものであり、ハードコート層23の主成分とは異なる材料からなるものであってもよい。粒子23Pは、例えば合成樹脂、又はシリカ系の無機材料によって形成されていてもよい。粒子23Pは、断面形状が円形や楕円形であってもよく、その他の形状であってもよい。ハードコート層23に含まれる複数の粒子23Pのうち、少なくとも一部の粒子23Pの直径D1は、ハードコート層23の厚さT1、導電層22の厚さT2、及び配向層21の厚さT3の和(T1+T2+T3)よりも大きい(D1>T1+T2+T3)。よって、ハードコート層23に含有される粒子23Pの少なくとも一部が、第1面11S1から外部に突出する。このため、第1面11S1の表面粗さは大きい。なお、ハードコート層23が、断面形状が楕円である粒子23Pや、多様な大きさの粒子23Pを含む場合には、複数の粒子23Pのうち一部のみが第1面11S1から突出してもよい。
【0027】
導電層22は、第1基材11の厚さ方向において、ハードコート層23と配向層21との間に位置している。このため、導電層22に対して電圧が印加された場合に、液晶分子の駆動を可能とする強度を有した電界が、第1基材11の導電層22と第2基材12の導電層との間に形成されやすい。
【0028】
導電層22は、例えば透明導電性酸化物(TCO)から形成される。TCOは、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、および、インジウム‐ガリウム‐亜鉛酸化物(IGZO)などであってよい。導電層22は、例えば、5nm以上100nm以下の厚さを有することができる。導電層22は、可視光に対する透過性を有する。
【0029】
配向層21は、垂直配向膜である。配向層21は、配向層21が広がる平面に対して液晶分子の長軸が直交するように液晶分子を配向させる。なお、配向層21と液晶分子の長軸とが形成する角度は、実質的に直角であると見なせる範囲において直角に対するずれを有してもよい。配向層21は、ケイ素と酸素からなるシロキサン結合を骨格とし、ケイ素に有機基が結合したシリコーン系樹脂、又はポリイミド系樹脂である。配向層21をこれらの樹脂から形成することで配向層21の熱的安定性及び化学的安定性を高めることができる。配向層21は、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、および、ポリビニルアルコール(PVA)などから形成される。配向層21の表面には、ラビング処理が施されてもよい。配向層21の厚さは、例えば20nm以上500nm以下であってよい。配向層21は、可視光に対する透過性を有する。
【0030】
支持基材24の第2面24Bには、易滑層26が形成されている。合成樹脂は、例えば、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂のいずれかであってよい。易滑層26は、例えば、1μm以上10μm以下の厚さを有することができる。なお、易滑層26の厚さは、粒子26Pが位置しない部分における厚さである。易滑層26は、可視光に対する透過性を有する。
【0031】
易滑層26は、複数の粒子26Pを含んでいてもよい。粒子26Pは、例えば合成樹脂によって形成されていてもよい。又は、粒子26Pは、シリカ系材料等の無機材料を用いてもよい。ハードコート層23に含有される粒子23Pと易滑層26に含有される粒子26Pとは同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。粒子26Pは、易滑層26の塗膜材料とは別に添加されたものであり、易滑層26の主成分と異なる材料からなるものであってもよい。また、粒子23P,26Pは、同じ大きさであってもよいし、異なる大きさであってもよい。粒子26Pを一次粒子として用いる場合、易滑層26に含まれる複数の粒子26Pのうち少なくとも一部の粒子26Pの直径D2は、易滑層26の厚さT4よりも大きい(D2>T4)。複数の粒子26Pが凝集する場合、凝集粒子の少なくとも一部が、易滑層26の厚さT4よりも大きい直径を有していればよい。よって、易滑層26に含有される粒子26P又は凝集粒子の少なくとも一部が、第2面11S2から外部に突出する。このため、第2面11S2の表面粗さは大きい。
【0032】
次に、第1基材11の特性について説明する。
支持基材24は、薄く且つ柔軟性が高いため、枚葉式での製造方法に適していない。このため、第1基材11及び第2基材12の製造や、第1基材11及び第2基材12を用いた調光シートの製造には、ロールツーロール方式が用いられる。しかし、ロールツーロール方式では、巻き取られた基材の摩擦や、互いに及ぼし合う押圧力等により、配向層21の欠陥が生じる。
【0033】
このため、発明者らは、配向層21の欠陥を抑制するために、配向層21の強度を高めた。また、第1面11S1及び第2面11S2の表面粗さを大きくして滑り性を良くすることで摩擦力を低減した。このとき、第2面11S2の表面粗さのみを大きくすると、調光シート10の透明駆動時においてヘイズが過度に大きくなる。このため、第1面11S1及び第2面11S2に表面粗さを分散させることで、摩擦力の低減及び透明駆動時のヘイズを低減できることを見出した。
【0034】
配向層21の強度を高めること、第1面11S1及び第2面11S2に表面粗さを分散させてもたせることを両立させるため、第1基材11及び第2基材12は少なくとも以下の条件1~3を満たす。
【0035】
(条件1)下地層11Aの表面11A1は、鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有している。
(条件2)配向層21が含む第1面11S1の表面粗さRa1が0nm超20nm以下である(0nm<Ra1≦20nm)。
【0036】
(条件3)第1面11S1の表面粗さRa1及び第2面11S2の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である(5nm≦Ra1+Ra2)。
条件1について説明する。下地層11Aの表面11A1の高い硬度は、下地層11Aに含まれるハードコート層23によって実現される。配向層21は、その厚さがナノオーダーであるため、強度が小さい。第1基材11によれば、高い鉛筆硬度がハードコート層23によって実現されるから、配向層21が、液晶分子の配向を規制する規制力を好適に備えつつ、高い強度を有することが可能となる。下地層11Aの表面11A1の鉛筆硬度試験における硬度がFより小さくなると、配向層21の強度が低下して、摩擦力や、第1面11S1の法線方向への押し込み力によって配向層21の欠陥が発生しやすくなる。
【0037】
なお、鉛筆硬度試験は、JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠した方法によって行われる。また、下地層11Aの表面11A1の硬度は、ハードコート層23によって実現されるため、ハードコート層23のうち導電層22と接する面の鉛筆硬度もF以上である。下地層11Aの表面11A1に接する配向層21は、配向層21自体は鉛筆硬度がFよりも低い。しかし、膜厚を適切な範囲とすることによって、配向層21が導電層22を介してハードコート層23に積層されることでF以上の鉛筆硬度を発現する。
【0038】
条件2について説明する。表面粗さRa1は、第1面11S1の算術平均粗さRaである。第1面11S1の表面粗さRa1を条件2で規定する範囲とし、第1面11S1及び第2面11S2に必要な表面粗さの一部を分散させることで、第2面11S2の表面粗さRa2を大きくすることによるヘイズの過度な上昇を抑制することができる。第1面11S1の表面粗さRa1が20nmを超えると(20nm<Ra1)、配向層21が、液晶分子を配向させるための配向規制力が部分的に低下する。配向規制力が低下した部分においては液晶分子がランダムに配向するため、調光シート10の透明駆動時においても局所的に白濁した部分として視認される。さらに、配向層21の凹凸形状の高低差が大きくなるため、凸形状の頭頂部や凹形状の底部に外力が集中しやすくなる。その結果、配向層21に外力が加わった場合に欠陥が生じやすくなる。第1面11S1の表面粗さRa1を条件2に規定した範囲にすることにより、配向層21の配向規制力を確保して調光シート10のヘイズを適切に制御することが可能となり、配向層21の欠陥を低減することができる。なお、第1面11S1及び第2面11S2に表面粗さを分散させる上では、第1面11S1の表面粗さRa1は2nm以上であることが好ましい。
【0039】
条件3について説明する。表面粗さRa2は、第2面11S2の算術平均粗さRaである。第1面11S1及び第2面11S2の表面粗さの和Ra1+Ra2を条件3で規定する範囲とすることで、第1面11S1及び第2面11S2の間に発生する摩擦力を低減することができる。表面粗さの和Ra1+Ra2が5nmを下回ると(Ra1+Ra2<5nm)、第1面11S1及び第2面11S2の間に発生する摩擦力が大きくなり、配向層21の欠陥が発生しやすくなる。また、第1面11S1及び第2面11S2の接触面積が大きくなることにより、第1面11S1及び第2面11S2が密着して剥がれにくくなるブロッキングが生じやすくなる。これにより、フィルムロールからフィルムを引き出したときに、密着した第1面11S1及び第2面11S2が強制的に剥がされることにより配向層21の欠陥が生じてしまう。
【0040】
さらに、第1基材11及び第2基材12は、条件1~3に加え、以下の条件4,5を満たすことが好ましい。
(条件4)易滑層26が含む第2面11S2の表面粗さRa2が0nm超100nm以下である(0<Ra2≦100nm)。
【0041】
(条件5)表面粗さの和Ra1+Ra2が120nm以下である(Ra1+Ra2≦120nm)。
条件4について説明する。第2面11S2の表面粗さRa2を条件4で規定する範囲とすることで、透明駆動時における調光シート10の透明度を高めることができる。駆動時の調光シート10のヘイズは20%以下が好ましい。透明駆動時の透明性が特に求められる用途によって15%以下であると好ましい場合がある。透明駆動時のヘイズが20%を超えると調光シート10を介して物体が肉眼で識別しにくくなる。調光シート10のヘイズは、第1基材11の空気との界面及び第2基材12の空気との界面での散乱である外部ヘイズ、粒子26Pと易滑層26との屈折率の差や上述したような配向層21の配向力の低下等といった調光シート10の内部構造の要因で生じる内部ヘイズとに応じて決まる。このうち、第2面11S2の表面粗さは外部ヘイズを変化させる。つまり、第2面11S2での可視光の散乱が大きくなり、第1基材11及び第2基材12のヘイズは高くなる。第2面11S2の表面粗さRa2が100nmを超えると、調光シート10を透明駆動した場合の透明度は、用途に応じては実用性を確保できるが、ヘイズが15%を上回る。
【0042】
条件5について説明する。条件1を満たした上で、第1面11S1及び第2面11S2の表面粗さの和Ra1+Ra2が120nmであると、配向層21の配向規制力を維持しつつ、透明駆動時における調光シート10のヘイズが過度に上昇することを抑制することができる。具体的には、透明駆動時における調光シート10のヘイズを15%以下とすることができる。第1面11S1及び第2面11S2の表面粗さの和Ra1+Ra2が120nmを超えると、透明駆動時のヘイズが15%を超える。
【0043】
[作用]
図3を参照して、第1基材11の作用を説明する。
第1基材11を用いて調光シート10が製造される際には、第1基材11が、第1基材11の長手方向に沿って、ロールツーロール装置によって搬送される。このとき、第1基材11には、長手方向に沿って張力が印加され、かつ、第1基材11が、ロールツーロール装置が備えるガイドロールに接しながら長手方向に沿って搬送される。そのため、第1基材11の第1面11S1がガイドロールに接する場合には、配向層21が含む第1面11S1とガイドロールとの間において摩擦が生じる。第1面11S1に作用する摩擦力が第1面11S1の強度を超えた場合には、配向層21のうち、摩擦力が作用した部分に物理的な損傷である欠陥が生じる。また、第1基材11の第2面11S2がガイドロールに接する場合には、易滑層26が含む第2面11S2とガイドロールとの間において摩擦が生じる。欠陥は、配向層21の一部が剥離したり損壊したりする等、欠損し、配向規制力を発揮できなくなった部分である。
【0044】
図3が示すように、第1基材11は帯状を有するから、第1基材11をロールツーロール装置から他の装置に運搬する際、または、第1基材11を保管する際などには、第1基材11はコアCに巻き付けられたロール状を有する。
【0045】
第1基材11がコアCに巻き付けられた場合には、第1基材11の第1面11S1と第2面11S2との間において摩擦が生じる。第1面11S1に作用する摩擦力が第1面11S1の強度を超えた場合には、配向層21のうち、摩擦力が作用した部分に欠陥が生じる。また、第1基材11が運搬される際には、第1基材11に振動が加えられるから、第1基材11の第1面11S1の一部と、当該一部に接している第2面11S2の一部との間において摩擦が生じる。
【0046】
また第1基材11がコアCに巻き付けられた場合には、基材の厚み方向へ圧力が生じる。第1基材11等の基材フィルムをコアCに巻き付けるという動作は、基材フィルムをコアCに押付けるという瞬間的動作の繰り返しだからである。この時、第1面11S1に作用する摩擦力や押圧力が第1面11S1の強度を超えると、配向層21のうち、摩擦力や押圧力が作用した部分に欠陥が生じる。さらに、第1基材11には若干量の波打ちが生じることがある。第1基材11に波打ちが生じると、波打ちが生じた凹凸部分が、凹凸部分に接する部分を押圧する。この場合にも、第1面11S1に作用する摩擦力や押圧力が第1面11S1の強度を超えると、配向層21のうち、摩擦力や押圧力が作用した部分に欠陥が生じる。
【0047】
この点、条件1~3が満たされることにより、配向層21の欠陥が抑制される。また、条件2が満たされることにより、透明駆動時の調光シート10のヘイズを小さくすることができる。
【0048】
本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有する下地層11Aの上に配向層21を形成するため、配向層21の強度を高めることができる。また、第1面11S1の表面粗さRa1及び第2面11S2の表面粗さRa2の和Ra1+Ra2が5nm以上である。このため、第1面11S1及び第2面11S2の間に生じる摩擦力を低減し、配向層21の欠損を抑制することができる。また、第1面11S1及び第2面11S2に表面粗さを分散しつつ、第1面11S1の表面粗さRa1が20nm以下とする。このため、第2面11S2の表面粗さを大きくすることでのヘイズの過度な上昇を抑制しつつ、配向層21の配向規制力を良好に維持することができる。よって、調光シート10が備える配向層21における物理的な損傷を抑えることができる。
【0049】
(2)第2面11S2の表面粗さが100nm以下であるため、第1基材11及び第2基材12を用いた調光シート10において第2面11S2における散乱を抑制することができる。
【0050】
(3)表面粗さの和Ra1+Ra2が120nm以下であるため、配向層21の配向規制力を維持しつつ、第1基材11及び第2基材12を用いた調光シート10において第2面11S2における光の散乱を抑制することができる。
【0051】
(4)支持基材24及び配向層21の間に、鉛筆硬度試験においてF以上の硬度を有するハードコート層23が位置する。このため、配向層21が極めて薄いために強度が小さくなる場合であっても、ハードコート層23によって配向層21を補強することができる。
【0052】
(5)ハードコート層23に含まれる粒子23P又は複数の粒子23Pからなる凝集粒子のうち、その少なくとも一部の粒子の直径が、ハードコート層23の厚さ、導電層22の厚さ及び配向層21の厚さの和よりも大きい。このため、ハードコート層23に含有される粒子23P又は複数の粒子23Pからなる凝集粒子が、配向層21に含まれる第1面11S1から突出する。これにより、第1面11S1の表面粗さRa1を大きくすることができる。また、粒子23Pの含有量を調整することで、表面粗さRa1を制御することが可能となる。
【0053】
(6)配向層21は、シリコーン系樹脂又はポリイミド系樹脂を含むため、配向層21の熱的安定性及び化学的安定性を高めることができる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例及び上記実施形態は、組み合わせて実施してもよい。
【0054】
[下地層]
・上記実施形態における下地層11Aはハードコート層23を備えている。これに代えて、第1面11S1が条件1,2を満たせば、下地層11Aはハードコート層23を備えなくてもよい。この場合には、例えば、支持基材24が、第1面11S1がF以上の鉛筆硬度を有する程度に高い強度を有すればよい。
【0055】
・上記実施形態における下地層11Aはハードコート層23に含有される粒子23Pを備えている。これに代えて、第1面11S1の表面粗さRa1が条件2,3を満たせば、下地層11Aは粒子23Pを備えなくてもよい。この場合には、配向層21、導電層22及び支持基材24が、第1面11S1の表面粗さR1aが条件2,3を満たす程度に大きい表面粗さを有していればよい。
【0056】
・上記実施形態における下地層11Aは易滑層26を備えている。これに代えて、第2面11S2が少なくとも条件3を満たせば、下地層11Aは易滑層26を備えなくてもよい。この場合には、例えば、支持基材24が第2面11S2を含み、第2面11S2の表面粗さRa2が条件3を満たしていればよい。加えて、支持基材24が含む第2面11S2が条件4,5を満たすことが好ましい。
【0057】
また支持基材24の第2面24B面側に保護フィルムといった別フィルムを貼合し11S2の表面粗さRa2を満たすような形態でも良い。この場合、調光フィルム使用時に保護フィルムを剥離する必要があるものの支持基材24の設計自由度を挙げることができる。
【0058】
・上記実施形態における下地層11Aは易滑層26に含有される粒子26Pを備えている。これに代えて、第2面11S2の表面粗さRa2が少なくとも条件3を満たせば、下地層11Aは粒子26Pを備えなくてもよい。この場合には、支持基材24が、第2面11S2の表面粗さR2aが条件3の範囲を実現させる程度に大きい表面粗さを有していればよい。
【0059】
・導電層22は、下地層11Aの厚さ方向において、支持基材24とハードコート層23との間に位置してもよい。この場合であっても、下地層11Aがハードコート層23を有するから、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。なお、この場合には、下地層11Aの厚さ方向において、導電層22と第1面11S1との間の距離が拡張されるから、液晶分子の駆動により高い電圧を有する場合がある。
【0060】
[調光シート]
・上記実施形態では、液晶デバイスを、通電時に直線透過率が低くなり非通電時に直線透過率が高くなるリバース型の調光シート10に具体化した。これに代えて、液晶デバイスは、通電時に可視光の直線透過率が高くなり非通電時に直線透過率が低くなるノーマル型の調光シートとして具体化してもよい。ノーマル型の調光シートとしては、例えば水平配向規制力を有する1対の配向層の間にp型液晶を含む調光層を備える調光シート、又は垂直配向力を有する1対の配向層の間にn型液晶を含む調光層を備える調光シート等がある。n型液晶を含む調光層を備える調光シートは、1対の偏光板の間に第1基材、調光層及び第2基材を有する。
【0061】
[液晶デバイス]
・本開示の液晶デバイス用透明基材が適用される液晶デバイスは、配向層を備えるものであれば、上述した調光シートに限られない。例えば、液晶表示デバイス(Liquid Crystal Display)であってもよい。
【0062】
[実施例]
図4を参照して実施例及び比較例について具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を限定するものとは限らない。
【0063】
[実施例1]
<易滑層の作製>
まず易滑層を形成するための易滑層用塗料を調整した。高架橋度アクリル系ハードコート剤(リオデュラスLCH6701、トーヨーケム株式会社製)に、平均粒子径2μmのアクリル粒子(テクポリマーSSX‐102、積水化成品工業株式会社製)を0.02重量%添加した。さらに、ハードコート塗料に、メチルエチルケトンを加え、アクリル粒子を含む固形分濃度が50重量%となるように調整した。
【0064】
ポリエチレンテレフタラート(PET)からなるフィルム(コスモシャインA4300、東洋紡株式会社製)(コスモシャインは登録商標)を準備した。PETフィルムの全体厚みは125μmとした。そのPETフィルムの片面に、調整した易滑層用塗料をグラビアコーターで塗布した。その際、硬化した易滑層のうちアクリル粒子が存在しない部分の厚さが1.5μmとなるように塗布した。易滑層用塗料を塗布したPETフィルムを80度の温度で1分間にわたり乾燥した後、高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの露光量で露光し、易滑層を硬化させた。そして、易滑層が形成されたPETフィルムをインラインで巻き取り、易滑層付きフィルムを捲回したフィルムロールを得た。
【0065】
<ハードコート層の作製>
次に易滑層付きフィルムのうち、易滑層が形成された面に対して反対側となる面にハードコート層を形成した。まずハードコート塗料を調整した。高架橋度アクリル樹脂ハードコート剤(リオデュラスLCH6701、トーヨーケム株式会社製)に、平均粒子径2μmのアクリル粒子(テクポリマーSSX‐102、積水化成品工業株式会社製)を0.02重量%添加した。さらに、ハードコート塗料に、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度が50重量%となるように調整した。
【0066】
易滑層付きフィルムのうち、易滑層が形成された面に対して反対側の面に、調整したハードコート塗料をグラビアコーターで塗布した。その際、硬化したハードコート層のうちアクリル粒子が存在しない部分の厚さが1.5μmとなるように塗布した。ハードコート塗料を塗布した易滑層付きPETフィルムを60度の温度で1分間にわたり乾燥した後、高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの露光量で露光し、ハードコート層を硬化させた。そして、ハードコート層が形成されたフィルムをインラインで巻き取り、ハードコート層付きフィルムを捲回したフィルムロールを得た。
【0067】
<導電層の作製>
次に、ハードコート層に導電層を形成した。導電層の成膜には、酸化インジウム(90重量%)と酸化スズ(10重量%)の混合焼結ターゲットを備えたロールスパッタ装置を用いた。このロールスパッタ装置に、フィルムロールをセットし、装置内を0.4Paとなるまで排気した。その後、アルゴンガス及び酸素ガスを装置に導入した。そして、フィルムに加わる温度である基材温度を40℃とし、圧力0.4Paとして成膜を行った。これにより、下地層に厚み50nmの導電層を形成した。さらに導電層を形成したPETフィルムを、140度の温度で90分間加熱処理することで導電層を結晶化させた。この導電層付きのフィルムをロール状に巻き取った。
【0068】
<配向層の作製>
次に導電層に配向層を積層した。ポリアミック酸を主材料とする配向層用塗料(サンエバー SE-H682、日産化学株式会社製)(サンエバーは登録商標)を固形分が5重量%となるように溶媒を用いて調整することによって、配向層を形成するための塗液を得た。なお、溶媒では、プロピレングリコールモノメチルエーテルとγブチルラクトンとの重量比を以下のように設定した。
【0069】
プロピレングリコールモノメチルエーテル:γブチルラクトン=8:2
フィルムロールから導電層付きフィルムを引き出し、配向層用塗料を導電層上にロールコータを用いて塗布した。そして、配向層用塗料を塗布したフィルムを、150度の温度で5分間乾燥して100nmの厚さを有した配向層を形成した。これにより、ポリアミック酸を主原料とする塗料は、ポリイミドを主骨格とする配向層となる。配向層が積層されたフィルムをロール状に巻き取って回収した。これにより、下地層を含むフィルムを得た。下地層付フィルムを巻き取ったフィルムロールは2ロール1セットとして準備する。液晶デバイス用透明基材を23℃かつ相対湿度が50%RHに保たれたクリーンルーム内で7日間保管した。この下地層付きフィルムを、フィルム単体のサンプルとした。
【0070】
<液晶デバイス用透明基材の特性>
フィルムロールから下地層付きフィルムを引き出し、所定の大きさにカットした後、以下の評価を行った。
【0071】
(A)第1面の表面粗さRa1の測定
配向層が含む第1面について、白色干渉計(VertScan R3300h Lite、株式会社菱化システム製)を用い、算術平均粗さを測定した。この際に、長方形状を有する視野であって、幅が1.408であり、長さが1.885mmである視野を、算術平均粗さの測定対象とした。また、JIS B 0601:2013に準じた方法によって、算術平均粗さを測定した。そして、この算術平均粗さを第1面の表面粗さRa1とした。実施例1における第1面の表面粗さRa1は、4nmであった。
【0072】
(B)第2面の表面粗さRa2の測定
易滑層26が含む第2面について表面粗さRa2を測定した。第2面の表面粗さRa2は、第1面の表面粗さRa1と同様に測定した。実施例1における第2面の表面粗さRa2は、3nmであった。
【0073】
(C)表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和
第1面の表面粗さRa1及び第2面の表面粗さRa2の和を求めた。実施例1における表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は、7nmであった。
【0074】
(D)鉛筆硬度の測定
下地層のうち配向層に接する表面に対して鉛筆硬度試験を行った。この際に、JIS K 5600-5-4:1999「塗膜一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠した方法を用いた。実施例1における鉛筆硬度はHであった。
【0075】
(E)フィルムロールの外観
フィルムロールに、基材の表裏の貼り付きや膨らみが生じていないかどうか、フィルムロールの巻姿を目視で観察した。フィルムロールの巻姿が、基材の表裏の貼り付きや膨らみが生じていない標準のフィルムロールに比べて変形している場合には基材の表裏の貼り付きや膨らみが生じていると判定した。例えば、基材の表裏の貼り付きは、基材の表面が視認されるフィルムロールの正面から見たとき周囲に比べて過剰に透明な箇所として確認される。又は捲回された基材の端面が視認されるフィルムロールの側面から見たとき基材の端面が真円に近い円形状をなす状態で捲回されず多角形状をなす態で捲回されている場合に貼り付きや膨らみが生じていると判定する。基材の表裏の貼り付きや膨らみが発生していると、基材をフィルムロールから引き出したときに、基材自体が変形したり、最悪の場合フィルムが破れる等の事態が生じうる。基材の表裏の貼付きや膨らみが生じている場合には、不良(NG)とし、基材の表裏の貼付きや膨らみが確認できない場合は優良(OK)とした。
【0076】
<調光シートの作製>
下地層付きフィルムを捲回したフィルムロールを、23度の温度且つ50%の相対湿度に保たれたクリーンルームに7日間保管した。その後、フィルムロールを次の工程を行う場所に運搬した。
【0077】
1対の配向層付きフィルムの間に調光層を作製した。紫外線硬化型コーティング剤(ロックタイト3736、ヘンケル社製)17.5重量部、1,9-ノナンジオールメタクリレート17.5重量部を混合した。さらに、この混合物に、65重量部のn型液晶組成物(MLC-6608、メルク社製)を混合し、調光層用塗料を得た。
【0078】
イソプロピルアルコールに、粒径が6μmのジビニルベンゼンを主成分とするビーズスペーサを分散させた。このスペーサ分散剤を、配向層付きフィルムの第1面にビーズスペーサの専有面積が1.5%となるように塗布した。そして、スペーサ分散剤を塗布したフィルムを100度の温度で乾燥させ、このフィルムを巻き取った。
【0079】
ビーズスペーサが散布された配向層付きフィルムを捲回した第1のフィルムロールから、配向層付きフィルムを引き出し、配向層上に調光層塗料をダイヘッドコーターで塗布した。次いで、窒素雰囲気下で、350nm以下の波長の光線をカットした高圧水銀灯により紫外線を調光層塗料に照射して調光層塗料を硬化させた。このとき、照度を20mW/cm、照射時間を30秒、温度を25度とした。さらに、第2のフィルムロールから引き出した配向層付きフィルムを調光層に重ねて接合させた。これにより、調光層が1対の配向層付きフィルムによって挟まれた調光シートを得た。
【0080】
(実施例2)
実施例1において、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を1.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例2における第1面の表面粗さRa1は5nm、第2面の表面粗さRa2は40nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は45nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0081】
(実施例3)
実施例1において、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例3における第1面の表面粗さRa1は4nm、第2面の表面粗さRa2は97nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は101nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0082】
(実施例4)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.025重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例4における第1面の表面粗さRa1は6nm、第2面の表面粗さRa2は5nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は11nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0083】
(実施例5)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.025重量%に変更し、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を1.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例5における第1面の表面粗さRa1は9nm、第2面の表面粗さRa2は35nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は44nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0084】
(実施例6)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.025重量%に変更し、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例6における第1面の表面粗さRa1は6nm、第2面の表面粗さRa2は100nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は106nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0085】
(実施例7)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.45重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例7における第1面の表面粗さRa1は18nm、第2面の表面粗さRa2は5nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は23nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0086】
(実施例8)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.45重量%に変更し、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を1.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例8における第1面の表面粗さRa1は17nm、第2面の表面粗さRa2は50nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は67nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0087】
(実施例9)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.45重量%に変更し、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例9における第1面の表面粗さRa1は19nm、第2面の表面粗さRa2は99nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は118nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0088】
(実施例10)
実施例1において、アクリル樹脂ハードコート層塗料として(リオデュラスTP-203Xコート剤、東洋インキ株式会社製)を用い、アクリル粒子を添加せず、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。なお、実施例10で用いたアクリル樹脂は、実施例1で用いたアクリル樹脂よりも架橋度が低い。実施例10における第1面の表面粗さRa1は2nm、第2面の表面粗さRa2は98nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は100nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHBであった。
【0089】
(実施例11)
実施例1において、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を4.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例11における第1面の表面粗さRa1は4nm、第2面の表面粗さRa2は125nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は129nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0090】
(実施例12)
実施例1において、ハードコート層にアクリル粒子を添加せず、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例12における第1面の表面粗さRa1は3nm、第2面の表面粗さRa2は98nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は101nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0091】
(実施例13)
実施例1において、ハードコート層にアクリル粒子を添付せず、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を0.10重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。実施例13における第1面の表面粗さRa1は2nm、第2面の表面粗さRa2は5nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は7nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0092】
(比較例1)
実施例1において、ハードコート層及び易滑層の両方にアクリル粒子を添加しない以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。比較例1における第1面の表面粗さRa1は1nm、第2面の表面粗さRa2は2nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は3nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0093】
(比較例2)
実施例1において、ハードコート層のアクリル粒子の0.839重量%に変更し、易滑層にアクリル粒子を添加しない以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。比較例2における第1面の表面粗さRa1は31nm、第2面の表面粗さRa2は2nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は33nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHであった。
【0094】
(比較例3)
実施例1において、ハードコート層を設けずに、支持基材に導電層及び配向層を設け、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%とした以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。比較例3における第1面の表面粗さRa1は2nm、第2面の表面粗さRa2は98nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は100nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度は2Bであった。
【0095】
<調光シートの評価>
実施例1~13及び比較例1~3の調光シートの評価を行った。各調光シートの欠陥数及びヘイズは図4に示す。
【0096】
(F)ヘイズの測定
実施例1~13及び比較例1~3の液晶デバイス用透明基材について、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法でヘイズを測定した。ヘイズが1.0%以下であるものを優良とし、1.0%超であるものを不良(NG)とした。
【0097】
(G)ヘイズの測定
実施例および比較例の調光シートから、A3サイズの試験片を切り出した。各試験片において、各ITO層の一部を外部に露出させ、これによって調光シートに電圧を印加するための端子を形成した。そして、各試験片について、電圧が印加されていない状態でのヘイズを測定した。また、露出させた導電層を鰐口クリップで挟み込み、交流電源装置(PCR-3000WE、菊水電子工業株式会社製)を用いて一対の導電層の間に60Hzの周波数で40Vの交流電圧を印加した。そして、電圧を印加しながらヘイズメーター(スガ試験機製NDH-7000SP)を用いてヘイズを測定した。ヘイズを測定する際には、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法を用いた。透明駆動時のヘイズが15%以下であるものを優良とし、15%超であるものを不良とした。また、不透明駆動時のヘイズが15%以下であるものを良品とし、15%超であるものを不良とした。
【0098】
(H)調光フィルムの欠陥数
調光フィルムを1m×1mの大きさにカットしてサンプルとした。駆動電圧をサンプルに印加せず、1000ルクス以上の三波長光源の光を照射し、目視にて欠陥箇所の数を数えた。欠陥箇所は、調光フィルムを目視したときに周囲より白濁してみえる箇所のうち最大直径が2mm以上の箇所とした。配向層の欠陥数が多いと透明駆動時に配向規制力が不足することにより、液晶分子が垂直に配向せずランダムに配向することになる。これにより、入射光が散乱し白濁して見える。欠陥数が50未満であるものを優良とし、欠陥数が50以上のものを不良とした。
【0099】
(総合評価)
(F)~(H)の評価全てが優良であるものを良品と判定し、(F)~(H)の評価の少なくとも一つが不良であるものを不良品とした。
【0100】
<評価結果>
比較例1は、表面粗さの和Ra1+Ra2が3nmであり条件3を満たさない。巻姿に、貼付きや膨れ等の現象が確認されたため、不良として評価とした。これは、第1面及び第2面が平滑すぎるために基材の表裏で貼付きが発生したためと考えられる。また、配向層の欠陥数は50以上であり、欠陥が多く不良とした。これは基材の表裏で貼付きが発生し、基材を引き出す際に配向層の剥離が発生したためと考えられる。よって総合評価では比較例1の基材及び調光シートは不良品とした。
【0101】
比較例2は、第1面の表面粗さRa1は30nmであり条件2を満たさない。また、このフィルムロールから液晶デバイス用透明基材を引き出して作成した調光シートを作製する際、液晶デバイス用透明基材の欠陥部の数が多く、白濁部と透明部とが混在していた。このため、ヘイズメーターで測定できるだけのヘイズが均一なサンプルを得ることができず、ヘイズ等の光学特性の測定は困難であった。このため測定不可とした。また、調光シートの欠陥数は50以上であり、欠陥数が多いため不良とした。これは、第1面の表面粗さRa1が大きいために配向層の配向規制力が低下したためと考えられる。このため、総合評価は不良品とした。
【0102】
比較例3は、ハードコート層を有さないため第1面の硬度が低くなり条件1を満たさない。また、このフィルムロールから液晶デバイス用透明基材を引き出して作成した調光シートを作製する際、液晶デバイス用透明基材の欠陥部が多かったため、透明部分を選別してヘイズを測定した。調光シートの欠陥数は50個以上であることが明らかであり、多すぎたため、カウントを断念した。これは、配向層の強度が小さいため、液晶デバイス用透明基材をロール状に巻いたとき、運搬するとき又は引き出したとき等に、配向層が剥離したものと考えられる。このため、総合評価は不良品とした。
【符号の説明】
【0103】
10…調光シート
11…第1基材
11A…下地層
12…第2基材
13…調光層
21…配向層
22…導電層
23…ハードコート層
24…支持基材
25…接着層
26…易滑層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
<ハードコート層の作製>
次に易滑層付きフィルムのうち、易滑層が形成された面に対して反対側となる面にハードコート層を形成した。まずハードコート塗料(第1塗料)を調整した。高架橋度アクリル樹脂ハードコート剤(リオデュラスLCH6701、トーヨーケム株式会社製)に、平均粒子径2μmのアクリル粒子(テクポリマーSSX‐102、積水化成品工業株式会社製)を0.02重量%添加した。さらに、ハードコート塗料に、メチルエチルケトンを加え、固形分濃度が50重量%となるように調整した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
(実施例10)
実施例1において、アクリル樹脂ハードコート層塗料として第1塗料に代えて第2塗料(リオデュラスTP-203Xコート剤、東洋インキ株式会社製)を用い、アクリル粒子を添加せず、易滑層に添加するアクリル粒子の添加量を3.00重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によってフィルム単体及び調光シートを作製した。なお、実施例10で用いたアクリル樹脂は、実施例1で用いたアクリル樹脂よりも架橋度が低い。実施例10における第1面の表面粗さRa1は2nm、第2面の表面粗さRa2は98nm、表面粗さRa1及び表面粗さRa2の和は100nmであった。また、下地層の表面の鉛筆硬度はHBであった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
(F)ヘイズの測定
実施例1~13及び比較例1~3の液晶デバイス用透明基材について、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法でヘイズを測定した。ヘイズが1.0%以下であるものを優良とし、1.0%超3%以下であるものをとした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
(G)ヘイズの測定
実施例および比較例の調光シートから、A3サイズの試験片を切り出した。各試験片において、各ITO層の一部を外部に露出させ、これによって調光シートに電圧を印加するための端子を形成した。そして、各試験片について、電圧が印加されていない状態でのヘイズを測定した。また、露出させた導電層を鰐口クリップで挟み込み、交流電源装置(PCR-3000WE、菊水電子工業株式会社製)を用いて一対の導電層の間に60Hzの周波数で40Vの交流電圧を印加した。そして、電圧を印加しながらヘイズメーター(スガ試験機製NDH-7000SP)を用いてヘイズを測定した。ヘイズを測定する際には、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に準拠した方法を用いた。透明駆動時のヘイズが15%以下であるものを優良とし、15%超16%以下であるものをとした
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
(総合評価)
(H)の評が優良であるものを良品と判定し(H)の評が不良であるものを不良品とした。