(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167037
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221027BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20221027BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221027BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20221027BHJP
B23K 26/57 20140101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/02 B
H01L21/68 N
B23K26/53
B23K26/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072536
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 崇史
【テーマコード(参考)】
4E168
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168AE05
4E168JA12
5F063AA15
5F063BA11
5F063CB07
5F063CB17
5F063CB28
5F063DD27
5F063DD78
5F131AA02
5F131BA19
5F131BA31
5F131BA33
5F131BA37
5F131BA54
5F131BA60
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA15
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA54
5F131DA62
5F131DB52
5F131DB76
5F131EA03
5F131EA05
5F131EA07
5F131EA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板の外周部のトリミング工程後に生じるチッピングまたはダストを抑制する半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置100は、第1レーザ照射部24と、第2レーザ照射部26と、分離ユニット21と、を備える。第1レーザ照射部24は、互いに接合された第1基板と第2基板とを含む接合基板5の外周部において、第1基板側から第1基板の内部に第1レーザ光を照射して改質層を形成する。第2レーザ照射部26は、第1基板と第2基板との間にあり第2基板に設けられた材料層に第2基板側から第2レーザ光を照射して、第2基板と材料層との間を剥離する。分離ユニットは、接合基板の外周部から第1基板の外周部および材料層の外周部を分離させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された第1基板と第2基板とを含む接合基板の外周部において、前記第1基板側から前記第1基板の内部に第1レーザ光を照射して改質層を形成する第1レーザ照射部と、
前記第1基板と前記第2基板との間にあり前記第2基板に設けられた材料層に前記第2基板側から第2レーザ光を照射して、前記第2基板と前記材料層との間を剥離する第2レーザ照射部と、
前記接合基板の外周部から前記第1基板の外周部および前記材料層の外周部を分離させる分離部と、を備える半導体製造装置。
【請求項2】
前記接合基板を保持するステージと、
前記接合基板を反転させる反転部とをさらに備え、
前記第1および第2レーザ照射部は、前記接合基板に前記第1および第2レーザ光を同一方向から照射する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記第1レーザ照射部は、前記第1基板の外周部に前記第1レーザ光を照射し、
前記第2レーザ照射部は、前記反転部が前記接合基板を反転して前記ステージ上に載置した後、前記材料層に前記第2レーザ光を照射する、請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記第1および第2レーザ照射部は、前記第1および第2レーザ光をそれぞれ互いに逆方向から前記接合基板に照射する、請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記接合基板の径よりも小さな径を有し、該接合基板を保持するステージをさらに備える、請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記第1および第2レーザ照射部は、前記第1および第2レーザ光を前記接合基板に同時に照射する請求項4または請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
互いに接合された第1基板と第2基板とを含む接合基板の外周部に第1レーザを照射する第1レーザ照射部と、該接合基板の外周部に第2レーザを照射する第2レーザ照射部と、前記接合基板の外周部を分離させる分離部とを備える半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
互いに接合された第1基板と第2基板とを含む接合基板の外周部において、前記第1基板の内部に第1レーザ光を照射して改質層を形成し、
前記第1基板と前記第2基板の間にあり前記第2基板に設けられた材料層に第2レーザ光を照射して、前記第2基板と前記材料層との間を剥離し、
前記接合基板の外周部から前記第1基板の外周部および前記材料層の外周部を分離させることを具備する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1レーザ照射部は、前記第1レーザ光を前記接合基板の前記第1基板側から照射し、
前記第2レーザ照射部は、前記第2レーザ光を前記接合基板の前記第2基板側から照射する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2レーザ光を反射するデバイス層が前記材料層内には設けられていない、請求項7または請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を形成した複数の基板を貼り合わせるハイブリッドボンディング技術が開発されている。ハイブリッドボンディング技術では、複数の基板を貼り合わせた後、基板のチッピングを抑制するために、基板の外周部(ラウンド部)の一部を除去するトリミング工程が実行される。
【0003】
しかし、トリミング工程後に基板の外周部にデバイス層が残存すると、その後のグラインド工程およびCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程等において、デバイス層が基板から剥がれてチッピングやダストの原因となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許公開第WO2019/176589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の外周部のトリミング工程後に生じるチッピングまたはダストを抑制することができる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による半導体製造装置は、第1レーザ照射部と、第2レーザ照射部と、分離部とを備える。第1レーザ照射部は、互いに接合された第1基板と第2基板とを含む接合基板の外周部において、第1基板側から第1基板の内部に第1レーザ光を照射して改質層を形成する。第2レーザ照射部は、第1基板と第2基板との間にあり第2基板に設けられた材料層に第2基板側から第2レーザ光を照射して、第2基板と材料層との間を剥離する。分離部は、接合基板の外周部から第1基板の外周部および材料層の外周部を分離させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態による半導体製造装置の構成例を示す平面図。
【
図2】改質層形成ユニットの構成例を示す模式断面図。
【
図3】剥離層形成ユニットの構成例を示す模式断面図。
【
図4】第1実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図5】
図4に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図6】
図5に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図7】
図6に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図8】第2実施形態による半導体製造装置の構成例を示す平面図
【
図9】改質層剥離層形成ユニットの構成例を示す模式断面図。
【
図10】第2実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図11】
図10に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図12】第3実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図13】
図12に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図14】
図13に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図15】
図14に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図16】
図15に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図17】
図16に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図18】
図17に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図19】
図18に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図20】
図19に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図21】
図20に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図22】
図21に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図23】
図22に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図24】
図23に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図25】
図24に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図26】
図25に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図27】
図26に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図28】
図27に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図29】
図28に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【
図30】
図29に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体製造装置100の構成例を示す平面図である。半導体製造装置100は、ロードポート14と、待機ポート15と、第1ロボット16と、第2ロボット17と、反転機構18と、改質層形成ユニット19と、剥離層形成ユニット20と、分離ユニット21と、洗浄ユニット22とを備えている。
【0010】
ロードポート14には、接合基板5を収容するウェハケースがセットされている。待機ポート15は、次に処理すべき接合基板5、あるいは、処理後の接合基板5を一時的に載置する領域である。第1ロボット16は、ロードポート14のウェハケースと待機ポート15との間で接合基板5を移動させる。第2ロボット17は、接合基板5を吸着し、その接合基板5を上下反転させる反転機構18を有する。
【0011】
接合基板5は、互いに接合された第1基板2と第2基板4とを含む基板である。第1基板2および第2基板4は、例えば、シリコン基板等の半導体基板である。第1基板2の表面には、例えば、メモリセルアレイ(図示せず)等の半導体素子が形成されている。メモリセルアレイは、メモリセルを三次元配置した立体型メモリセルアレイでよい。第2基板4の表面には、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路(図示せず)等の半導体素子が形成されている。CMOS回路は、例えば、第1基板2のメモリセルアレイを制御するコントローラでよい。
【0012】
改質層形成ユニット19は、接合基板5を保持する第1ステージ23と、接合基板5に第1レーザ光を照射する第1レーザ照射部24とを備える。剥離層形成ユニット20は、接合基板5を保持する第2ステージ25と、接合基板5に第2レーザ光を照射する第2レーザ照射部26とを備える。分離ユニット21は、第3ステージ27と、分離ブレード11とを備えている。第3ステージ27は、接合基板5を保持する。分離ブレード11は、円盤状に形成されており、第1基板2と第2基板4との間に挿入され、接合基板5のうち第1基板2(
図6参照)の外周部を接合基板5から分離する。洗浄ユニット22は、接合基板5を保持する第4ステージ29と二流体洗浄機構30とを備えている。
【0013】
図2は、改質層形成ユニット19の構成例を示す模式断面図である。改質層形成ユニット19は、第1ステージ23と、第1レーザ照射部24とを備える。
【0014】
第1ステージ23は、接合基板5を保持可能であり、かつ、矢印Aで示すように軸を中心に回転可能に構成されている。
【0015】
第1レーザ照射部24は、第1ステージ23上の接合基板5の外周部まで移動可能に構成されており、接合基板5のZ方向の上方から第1レーザ光7を接合基板5の外周部に照射する。第1レーザ光7は接合基板5の第1基板2(例えば、シリコン基板)に吸収される波長のレーザ光である。
【0016】
図3は、剥離層形成ユニット20の構成例を示す模式断面図である。剥離層形成ユニット20は、第2ステージ25と、第2レーザ照射部26とを備える。
【0017】
第2ステージ25は、接合基板5を保持可能であり、かつ、矢印Aで示すように軸を中心に回転可能に構成されている。
【0018】
第2レーザ照射部26は、第2ステージ25上の接合基板5の外周部まで移動可能に構成されており、接合基板5のZ方向の上方から第2レーザ光9を接合基板5の外周部に照射する。即ち、第1および第2レーザ照射部24、26は、接合基板5にそれぞれ第1および第2レーザ光7、9を同一方向(Z方向)から照射する。第2レーザ光9は接合基板5の第2基板4(例えば、シリコン基板)を透過し、かつ、第1基板2と第2基板4との間に設けられたデバイス層の少なくとも一層(例えば、シリコン酸化膜)で吸収される波長のレーザ光である。
【0019】
メモリセルアレイは、第1基板2上においてシリコン酸化膜等の絶縁膜で被覆されている。CMOS回路は、第2基板4上においてシリコン酸化膜等の絶縁膜で被覆されている。この絶縁膜には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン炭化膜あるいはシリコン炭窒化膜等のいずれかの絶縁膜が用いられる。尚、メモリセルアレイ、CMOS回路等の半導体素子を構成するデバイス層、および、半導体素子の被覆する絶縁膜を、以下、まとめて材料層とも呼ぶ。
【0020】
図4~
図7は、第1実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図である。尚、ステージ23、25の搭載面に対して垂直方向がZ方向である。また、ステージ23、25の搭載面内の一方向をX方向とし、X方向に対して垂直方向をY方向とする。
【0021】
まず、
図1の半導体製造装置100の第1ロボット16が接合基板5をウェハケース14から取り出し、その接合基板5を待機ポート15に載置する。次に、第2ロボット17が接合基板5を待機ポート15から改質層形成ユニット19の第1ステージ23上に載置する。接合基板5は、第1基板2がZ方向の上方になるように第1ステージ23上に載置される。改質層形成ユニット19では、
図4に示すように、第1ステージ23は、第1基板2がZ方向の上になるように接合基板5を保持する。
【0022】
次に、
図4に示すように、第1レーザ照射部24は、第1基板2側から第1レーザ光7を第1基板2の外周部に照射して第1基板2の内部に改質層8を形成する。改質層8は、第1基板2の厚み方向(Z方向)に延伸するように形成される。このとき、第1ステージ23は接合基板5を
図2の矢印Aの方向に回転させることによって、第1基板2の外周部全体に亘って改質層8を第1基板2内に形成する。
【0023】
次に、第2ロボット17が接合基板5を第1ステージ23から取り上げ、反転機構18により接合基板5を反転させながら、剥離層形成ユニット20の第2ステージ25に載置する。接合基板5は、第2基板4が上方になるように反転されて第2ステージ25上に保持される。
【0024】
次に、
図5に示すように、第2レーザ照射部26は、第2基板4側から第2レーザ光9を照射し、第1基板2と第2基板4との間にあり第2基板4に設けられた材料層3に第2基板4側から第2レーザ光9を照射する。これにより、第2基板4の材料層3が第2レーザ光9を吸収して加熱され、第2基板4と材料層3との間、もしくは、材料層3内の膜間を剥離して剥離層10を形成する。このとき、第2ステージ25は接合基板5を
図2の矢印Aの方向に回転させながら第2レーザ照射部26をX軸方向に移動することにより、第2基板4の外周部全体に亘って剥離層10を形成する。
【0025】
次に、
図1の第2ロボット17が接合基板5を第2ステージ25から取り上げ、反転機構18により接合基板5を反転させながら、分離ユニット21の第3ステージ27に載置する。接合基板5は、第1基板2が再度上方になるように反転されて第3ステージ27上に保持される。
【0026】
次に、
図6に示すように、円盤状の分離ブレード11を矢印B方向に回転させながら、第1基板2と第2基板4との間に挿入して応力を印加する。このとき、第1基板2の外周部において改質層8が破断し、尚且つ、第2基板4と材料層3との間の剥離層10を引き離す。これにより、
図7に示すように、第1基板2の外周部2a、第1基板2上の材料層1の外周部1a、および、第2基板4上の材料層3の外周部3aが接合基板5から分離され除去される。このとき、第2基板4の外周部4aは、そのまま残存するが、その上の材料層1、3の外周部1a、3aの全てまたは少なくとも一部が除去される。即ち、外周部において、材料層1、3に含まれる絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン炭化膜あるいはシリコン炭窒化膜等)および配線構造が、第1基板2の外周部と共に除去される。
【0027】
次に、第2ロボット17が接合基板5を第3ステージ27から取り上げ、洗浄ユニット22の第4ステージ29上に載置する。洗浄ユニット22では、二流体洗浄機構30が、接合基板5を洗浄する。その後、第4ステージ29を回転させ、乾燥させる。
【0028】
その後、第2ロボット17が接合基板5を第4ステージ29から取り上げ、
図1の待機ポート15に載置する。第1ロボット16が接合基板5を待機ポート15からウェハケース14へ戻す。
【0029】
なお、本実施形態では、改質層8の形成後に剥離層10を形成しているが、剥離層10の形成後に改質層8を形成しても構わない。つまり、本実施形態では、第1レーザ照射部24が第1レーザ光7を接合基板5に照射した後、第2レーザ照射部26が第2レーザ光9を接合基板5に照射している。しかし、この順序を逆にして、第2レーザ照射部26が第2レーザ光9を接合基板5に照射した後、第1レーザ照射部24が第1レーザ光7を接合基板5に照射してもよい。
【0030】
また、この後、研磨工程において第1基板2は研磨(バックグラインド)される。さらに、第2基板4の外周部4aが除去された後、第2基板4も研磨される。これにより、材料層1および材料層3が互いに接合された半導体装置として形成される。接合基板5は、ダイシングされて複数の半導体チップとして個片化される。材料層1のデバイス層(例えば、メモリセルアレイ)と材料層3のデバイス層(例えば、CMOS回路)とは、材料層1と材料層3との接合面において電気的に接続されている。
【0031】
以上のように、本実施形態では、接合基板5の第1基板2側から第1レーザ光7を照射して第1基板2の外周部の内部にZ方向に延伸する改質層8を形成する。その後、第2基板4側から第2レーザ光9を照射して第2基板4と材料層3との間、もしくは、材料層3内部の膜間に、XまたはY方向に延伸する剥離層10を形成する。その後、第1基板2の外周部2aを改質層8から分離し、かつ、材料層1の外周部1aおよび材料層3の外周部3aの少なくとも一部を剥離層10に沿って第2基板4から分離する。これにより、接合基板5の外周部から第1基板2だけでなく、デバイス層や絶縁膜等の材料層も除去することができる。即ち、第1基板2の外周部、並びに、第1基板2と第2基板4との間の材料層が接合基板5の外周部から予め取り除かれる。よって、その後のグラインド工程、CMP工程等の処理工程において、接合基板5の外周部のチッピング、または、接合基板5の外周部から生じるダストを抑制することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、第2レーザ光9は、第1レーザ光7を照射する第1基板2とは反対側の第2基板4から照射される。第2基板4の表面には、50nm以上の厚みを有するシリコン酸化膜等の絶縁膜が設けられているが、半導体素子等のデバイス層は設けられていない。よって、第2レーザ光9は材料層3に吸収され、材料層3を加熱する。これにより、材料層3が第2基板4の表面から剥がれ易くなり、あるいは、材料層3内の膜間が剥がれ易くなる。その結果、剥離層10が材料層3と第2基板4との間、もしくは、材料層3内の膜間に形成されやすくなり、第1基板2の外周部、並びに、第1基板2と第2基板4との間の材料層を接合基板5の外周部から除去し易くなる。
【0033】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態による半導体製造装置100の構成例を示す平面図である。
図9は、改質層剥離層形成ユニット31の構成例を示す模式断面図である。第2実施形態によれば、第2ロボット17は、反転機構18を有さず、改質層形成ユニット19と剥離層形成ユニット20とが1つの共通の改質層剥離層形成ユニット31として構成されている。即ち、第2実施形態では、接合基板5を反転させることなく、改質層剥離層形成ユニット31において接合基板5に改質層8および剥離層10を連続的にまたは同時に形成する。
【0034】
改質層剥離層形成ユニット31は、ステージ32と、第1レーザ照射部24と、第2レーザ照射部26とを備えている。
【0035】
ステージ32は、接合基板5を保持可能であり、かつ、矢印Aで示すように軸を中心に回転可能に構成されている。第1レーザ照射部24は、上述の通り、接合基板5の外周部まで移動可能に構成されており、接合基板5のZ方向の上方から第1レーザ光7を接合基板5の外周部に照射する。第2レーザ照射部26は、接合基板5の外周部まで移動可能に構成されており、接合基板5のZ方向の下方から第2レーザ光9を接合基板5の外周部に照射する。
【0036】
ステージ32は、接合基板5の径よりも小さな径を有し、接合基板5の外周部全体がステージ32の外縁から出るように該接合基板を保持する。例えば、接合基板5の外径は、約300mmであり、ステージ32の外径は約280mmである。この場合、接合基板5の外周部が約20mmだけステージ32からはみ出る。これにより、接合基板5を同一のステージ32に保持させた状態で、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を互いに逆方向から接合基板5の表面と裏面にそれぞれ照射することができる。
【0037】
第1レーザ照射部24は、第1レーザ光7を接合基板5の第1基板2側から照射する。第2レーザ照射部26は、第2レーザ光9を接合基板5の第2基板4側から照射する。
【0038】
尚、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を、X-Y面内の略同一位置に照射してもよい。即ち、第1および第2レーザ照射部24、26は、互いに対向しており、Z方向から見たときにほぼ重複していてもよい。しかし、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を、必ずしもX-Y面内の同一位置に照射する必要はなく、接合基板5の円周方向にずれて照射してもよい。第1および第2レーザ照射部24、26が接合基板5の円周方向にずれて配置されても、ステージ32は接合基板5を矢印A方向に回転させるので、結果的に改質層8および剥離層10が接合基板5の外周部に形成される。
【0039】
また、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を接合基板5に同時に照射してもよい。この場合、改質層8および剥離層10は、接合基板5の外周部に同時に形成される。よって、改質層8および剥離層10は、短時間で形成され得る。一方、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を接合基板5に異なるタイミングで照射してもよい。例えば、後述するように、まず、第1レーザ照射部24が第1レーザ光7を接合基板5の外周部に照射して、改質層8を接合基板5に形成する。次に(連続して)、第2レーザ照射部26が第2レーザ光9を接合基板5の外周部に照射して、剥離層10を接合基板5に形成してもよい。
【0040】
尚、接合基板5を上下逆にステージ32上に載置し、それに合わせて、第1レーザ照射部24と第2レーザ照射部26の位置を逆にしてもよい。このようにしても、第1レーザ光7は、第1基板2側から照射され、第1基板2の内部に改質層8を形成することができる。第2レーザ光9は、第2基板4側から照射され、第2基板4と材料層3との間、もしくは、材料層3内の膜間を剥離して剥離層10を形成することができる。
【0041】
第2実施形態では、反転機構18が不要である。従って、装置100のコストを低く抑制することができる。改質層形成ユニット19と剥離層形成ユニット20とが1つの改質層剥離層形成ユニット31として共通化されている。従って、装置100のコストがさらに抑制可能であり、かつ、装置100全体の大きさを小型化することができる。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
【0042】
図10および
図11は、第2実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【0043】
まず、
図8の半導体製造装置100の第1ロボット16が接合基板5をウェハケース14から取り出し、その接合基板5を待機ポート15に載置する。次に、第2ロボット17が接合基板5を待機ポート15から改質層剥離層形成ユニット31のステージ32上に載置する。接合基板5は、第1基板2がZ方向の上方になるようにステージ32上に載置される。改質層剥離層形成ユニット31では、
図10に示すように、ステージ32が接合基板5を第1基板2がZ方向の上になるように保持する。ステージ32は、接合基板5の径よりも小さな径を有する。従って、第1および第2レーザ照射部24、26は、ステージ32の外縁から出ている接合基板5の外周部に、第1および第2レーザ光7、9をそれぞれ互いに逆方向から照射することができる。
【0044】
次に、
図10に示すように、第1レーザ照射部24は、第1基板2側から第1レーザ光7を第1基板2の外周部に照射して第1基板2の内部に改質層8を形成する。改質層8は、第1基板2の厚み方向(Z方向)に延伸するように形成される。
【0045】
このとき、第1ステージ23は接合基板5を
図9の矢印Aの方向に回転させることによって、第1基板2の外周部全体に亘って改質層8を第1基板2内に形成する。
【0046】
次に、接合基板5をステージ32上に載置したまま、第2レーザ照射部26は、第2基板4側から第2レーザ光9を照射する。第2レーザ照射部26は、第1基板2と第2基板4との間にあり、かつ、第2基板4に設けられた材料層3に第2基板4側から第2レーザ光9を照射する。これにより、第2基板4の材料層3の内部に第2レーザ光9を吸収させ加熱し、第2基板4と材料層3との間、もしくは、材料層3内の膜間を剥離して剥離層10を形成する。
【0047】
その後、
図6および
図7を参照して説明した工程を経て、接合基板5から外周部12の一部(第1基板2の外周部2a、第1基板2上の材料層1の外周部1a、および、第2基板4上の材料層3の外周部3a)が接合基板5から分離され除去される。従って、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
尚、接合基板5を上下逆にステージ32上に載置し、それに合わせて、第1レーザ照射部24と第2レーザ照射部26の位置を逆にしてもよい。このようにしても、第1レーザ光7は、第1基板2側から照射され、第1基板2の内部に改質層8を形成することができる。第2レーザ光9は、第2基板4側から照射され、第2基板4と材料層3との間、もしくは、材料層3内の膜間を剥離して剥離層10を形成することができる。
【0049】
また、第1および第2レーザ光7、9を異なるタイミングで照射する場合、第1レーザ照射部24が第1レーザ光7を接合基板5に照射した後、第2レーザ照射部26が第2レーザ光9を接合基板5に照射してもよい。しかし、この順序は逆でもよい。即ち、第2レーザ照射部26が第2レーザ光9を接合基板5に照射した後、第1レーザ照射部24が第1レーザ光7を接合基板5に照射してもよい。
【0050】
また、第1および第2レーザ照射部24、26は、第1および第2レーザ光7、9を接合基板5に同時に照射してもよい。これにより、改質層8および剥離層10の形成時間の短縮につながる。
【0051】
さらに、第2実施形態では、接合基板5を反転させる工程が不要である。従って、改質層8および剥離層10の形成時間がさらに短縮される。
【0052】
(第3実施形態)
図12~
図30は、第3実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す概略断面図である。第3実施形態は、第1または第2実施形態をメモリチップに適用した実施形態である。
図12~
図28では、主に第2基板4の外周部の構造の製造工程を示す。
【0053】
尚、第3実施形態において、第2基板4上の材料層3は、第2基板4の表面に設けられた半導体素子等のデバイス層を有しない絶縁膜であることが好ましい。例えば、材料層3がシリコン酸化膜である場合、材料層3の厚みは、50nm以上のであることが好ましい。これにより、第2レーザ光9がデバイス層に反射されずに材料層3に吸収されやすくなり、
図11の剥離層10が材料層3と第2基板4との間、もしくは、材料層3内の膜間に形成されやすくなる。即ち、材料層3は、第2レーザ光9の吸収層として有効に機能することができる。材料層3は、第2基板4の上方に設けられた上層配線構造を有してもよい。これは、上層配線構造と第2基板4との間の材料層3(例えば、シリコン酸化膜)に第2レーザ光9が充分に吸収され得るからである。以下、半導体装置の製造方法について説明する。
【0054】
まず、
図12に示すように、第2基板4(例えば、シリコン基板)上に、ゲート絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)33、ゲート電極膜(例えば、ポリシリコン膜)34、絶縁膜(例えば、シリコン窒化膜)35をこの順番に積層する。ゲート絶縁膜33の厚みは、例えば、約10nmであり、ゲート電極膜34の厚みは、例えば、約90nmであり、絶縁膜35の厚みは、例えば、約30nmである。
【0055】
次に、
図13に示すように、リソグラフィ技術を用いて、絶縁膜35上にレジスト膜36を塗布して、素子分離形成領域37のレジスト膜36を除去する。このとき、第2基板4の外周部(材料層形成領域)38にはレジスト膜36を残置させる。
【0056】
次に、
図14に示すように、レジスト膜36をマスクとして用いて、RIE(Reactive Ion Etching)等のエッチング技術で、絶縁膜35、ゲート電極膜34、ゲート絶縁膜33および第2基板4を加工する。これにより、素子分離形成領域37にトレンチ39が形成される。トレンチ39の深さは、例えば、約350nmである。
【0057】
レジスト膜36を除去した後、絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)をトレンチ39内に堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いてこの絶縁膜を研磨する。これにより、
図15に示すように、トレンチ39内に絶縁膜が埋め込まれ、素子分離構造40が形成される。ここで、第2基板4の外周部(材料層形成領域)38には素子分離構造40は形成されていない。これにより、後の工程で形成される材料層3と第2基板4との間が剥離しやすくなり、剥離層10が形成されやすくなる。
【0058】
次に、
図16に示すように、絶縁膜35を除去する。次に、
図17に示すように、ゲート電極膜34上に、金属シリサイド膜(例えば、タングステンシリサイド(WSi)膜)41およびキャップ絶縁膜42(例えば、シリコン窒化膜)を積層する。金属シリサイド膜41は、後に、ゲート電極膜34とともにゲート電極として加工される。金属シリサイド膜41の厚みは、例えば、約90nmである。キャップ絶縁膜42の厚みは、例えば、50nmである。
【0059】
次に、リソグラフィ技術を用いて、キャップ絶縁膜42上にレジスト膜43を塗布して、ゲート電極形成領域の以外のレジスト膜43を除去する。これにより、
図18に示すように、レジスト膜43は、CMOS回路を構成するトランジスタのゲート電極のパターンに加工される。このとき、第2基板4の外周部(材料層形成領域)38のレジスト膜43も除去する。
【0060】
次に、
図19に示すように、レジスト膜43をマスクとして用いて、RIE等のエッチング技術で、キャップ絶縁膜42、金属シリサイド膜41およびゲート電極膜34をゲート電極のパターンに加工する。これにより、金属シリサイド膜41およびゲート電極膜34がゲート電極として形成される。以下、金属シリサイド膜41およびゲート電極膜34をまとめて、ゲート電極34、41とも呼ぶ。
【0061】
レジスト膜43の除去後、
図20に示すように、スペーサ層45の材料(例えば、シリコン酸化膜)を第2基板4の上方に堆積する。スペーサ層45の材料の厚みは、例えば、約40nmである。
【0062】
次に、エッチング技術を用いてスペーサ層45の材料をエッチングバックして、
図21に示すように、ゲート電極34、41の側面にスペーサ層45が残置される。次に、キャップ絶縁膜42およびスペーサ層45をマスクとして用いて、エッチング技術でゲート絶縁膜33の材料を加工する。これにより、
図21に示すように、ゲート絶縁膜33がゲート電極34、41およびスペーサ層45の下に残置される。ここで、外周部(材料層形成領域)38にはゲート電極34、41等のデバイス構造は形成されていない。
【0063】
次に、スペーサ層45およびキャップ絶縁膜42をマスクとして用いて、不純物を導入し、ソース・ドレイン層(図示せず)を形成する。
【0064】
次に、
図22に示すように、第2基板4の上方に絶縁膜47、48を積層する。絶縁膜(ライナー層)47には、例えば、シリコン窒化膜が用いられ、その厚みは、例えば、約30nmである。絶縁膜48には、例えば、シリコン酸化膜が用いられ、その厚みは、例えば、約500nmである。
【0065】
次に、CMP法等を用いて絶縁膜48を平坦化した後、絶縁膜49を絶縁膜48上に堆積する。絶縁膜49には、例えば、シリコン酸化膜が用いられ、その厚みは、例えば、約200nmである。
【0066】
次に、
図22に示すように、リソグラフィ技術を用いて絶縁膜49上にレジスト膜50を塗布し、コンタクト形成領域51のレジスト膜50を除去する。このとき、外周部(材料層形成領域)38のレジスト50は残置される。
【0067】
次に、
図23に示すように、レジスト膜50をマスクとして用いて、RIE等のエッチング技術で、絶縁膜49、48を加工して、コンタクトホール52を形成する。レジスト膜50を除去した後、絶縁膜49をマスクとして用いて、RIE等のエッチング技術で、コンタクトホール52の底部の絶縁膜47およびキャップ絶縁膜42をさらにエッチングする。これにより、
図23に示すように、コンタクトホール52が第2基板4またはゲート電極34、41に達する。レジスト膜50を除去することによって、
図24に示す構造が得られる。
【0068】
次に、
図25に示すように、リソグラフィ技術を用いて、レジスト膜53を塗布し、配線形成領域54のレジスト膜53を除去する。
【0069】
次に、
図26に示すように、レジスト膜53をマスクとして用いて、RIE等のエッチング技術で、絶縁膜49の上部(例えば、絶縁膜49の上面から100nmまでの部分)を加工し、トレンチ55を形成する。トレンチ55は、コンタクトホール52上を通過し、例えば、
図25の紙面垂直方向に延伸している。
【0070】
レジスト膜53の除去後、コンタクトホール52およびトレンチ55を埋め込むように金属膜(例えば、タングステン膜)を形成する。次に、CMP法を用いて、絶縁膜49の表面が露出されるまで、金属膜を研磨する。これにより、
図27に示すように、コンタクト56および配線層57が形成される。このとき、外周部(材料層形成領域)38には、第2基板4上の絶縁膜48、49のうち配線層57が設けられていない領域58が第2レーザ光9を吸収する材料層(吸収層)として機能する。吸収層58の厚みは、例えば、340nmである。吸収層58と第2基板4との間には、ライナー層47のみが存在する。
【0071】
次に、
図28に示すように、絶縁膜49および配線層57上に上層配線構造59を形成する。
【0072】
このように、第2基板4上には、材料層3が形成される。材料層3は、第2基板4の中心領域において、CMOS回路を構成するデバイス層(ゲート絶縁膜33、ゲート電極34、金属シリサイド膜41)を有する。一方、外周部38において、材料層3は、デバイス層を含まず、絶縁膜47~49、配線層57および上層配線構造59が形成される。特に、材料層3のうち第2基板4の直上にある吸収層58には、デバイス層だけでなく配線層57および上層配線構造59も設けられていない。よって、吸収層58は、50nm以上の比較的厚いシリコン酸化膜等の絶縁膜で構成されは、第2レーザ光9を効率よく吸収することができる。
【0073】
第2基板4とは別に、第1基板2には材料層1が形成される。材料層1には、メモリセルアレイ60、上層配線構造61が含まれる。その理由については後述する。尚、材料層1の形成工程の詳細な説明についてはここでは省略する。
【0074】
図29に示すように、第1基板2と第2基板4は、接合面64、65で接合される。接合面64には、第1基板2の上層配線構造61の配線層が露出されている。接合面65には、第2基板4の上層配線構造59の配線層が露出されている。接合面64、65を貼り合わせるときに、上層配線構造61の配線層と上層配線構造50の配線層とを接合する。これにより、第1基板2のメモリセルアレイ60と第2基板4のCMOS回路とが電気的に接続される。第1基板2と第2基板4を貼り合わせることによって、接合基板5が形成される。
【0075】
このとき、第1および第2基板2、4の外縁は、或る曲率で丸まっている。また、材料層1、3の外周部38は、第1および第2基板2、4の外縁のラウンド部、および、CMPの過研磨等によって未接合領域(ロールオフ領域)66を有する。このため、外周部38には、接合面で接合されない未接合領域66が生じる。このような未接合領域66を除去するために次のトリミング工程を行う。
【0076】
次に、第1または第2実施形態に従ってレーザトリミング工程を行う。例えば、第1レーザ照射部24が第1基板2側から第1レーザ光7を照射して第1基板2の外周部38に改質層8を形成する。第2レーザ照射部26が第2基板4側から第2レーザ光9を照射して第2基板4と材料層3の吸収層58との間に剥離層10を形成する。その後、第1基板2と第2基板4の間に分離ブレード11を挿入して応力を印加し、改質層8および剥離層10において破断する。外周部38における第1基板2、材料層1、3が分離される。これにより、第2基板4の外周部は残置されるものの、外周部38における第1基板2、材料層1、3が接合基板5から除去される。
【0077】
ここで、トリミングによって除去されるトリミング領域67は、第1および第2基板2、4の端部のラウンド部および未接合領域66を含み、かつ、外周部38に含まれる領域に設定される。つまり、
図30に示すように、X方向(接合基板5の径方向)において、トリミング領域67の長さは、未接合領域66よりも長く、かつ、外周部38よりも短い。例えば、第1および第2基板2、4のラウンド部および未接合領域66は、接合基板5の端から約2.0mm内側までの領域である。外周部(材料層形成領域)38は、接合基板5の端から3.0mm内側までの領域である。トリミング領域67は接合基板5の端から2.5mm内側までの領域である。
【0078】
その後、図示しないが、グラインド工程およびCMP工程で第1基板2を薄化した後、電極を形成し、その上に半導体デバイス構造を形成する場合がある。トリミング工程において、外周部38の材料層1、3が除去されているので、グラインド工程およびCMP工程においてチッピングやダストの発生を抑制することができる。
【0079】
また、素子分離構造40が第2基板4の外周部38には設けられていない。これにより、第2基板4と材料層3の間の界面が剥離され易くなり、剥離層10が形成され易い。よって、トリミング領域67に材料層1、3が残ることを抑止することができる。
【0080】
また、外周部38の材料層内には、デバイス層および配線層の無い吸収層58(即ち、絶縁膜48、49)が設けられている。これにより、第2レーザ光9の吸収効率を高め、剥離層10の形成を促進することができる。これにより、トリミング領域67に材料層1、3が残ることを抑止することができる。
【0081】
剥離層10の形成に必要なエネルギーを吸収させるため、吸収層58の厚さは、50nm以上の厚さであることが好ましい。第2基板4と吸収層58の間には、第2レーザ光9を反射する膜、例えば、金属膜は存在しないことが好ましい。また、吸収層58および第2基板4と吸収層58との間には、第2レーザ光9の散乱を防止するためにパターンを形成しないことが好ましい。即ち、吸収層58は、第2基板4の表面に沿った平坦膜の単層膜または積層膜になっていることが好ましい。吸収層58は、製造工程を簡略化するため、半導体構造の層間絶縁膜と同時に形成可能な材料で形成されることが好ましい。例えば、吸収層58(即ち、絶縁膜48、49)は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン炭化膜、シリコン炭窒化膜などの材料で構成されることが好ましい。
【0082】
さらに、本実施形態では、吸収層58は、CMOS回路を形成する第2基板4に設けられることが好ましい。もし、立体型メモリセルアレイ60を有する第1基板2に吸収層58を設けようとすると、外周部38においてメモリセルアレイを除去する必要がある。この場合、外周部38とメモリセルアレイ60との間の境界で1μm以上の大きな段差が生じ、CMP工程の過研磨等によって未接合領域(ロールオフ領域)66が広がってしまう。その結果、トリミング領域67の拡張が必要になるおそれがある。従って、吸収層58は、第2基板4に設けられることが好ましく、かつ、第2レーザ光9は第2基板4側から照射されることが好ましい。
【0083】
上記実施形態は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにも適用することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
10 半導体製造装置、18 反転機構、19 改質層形成ユニット、20 剥離層形成ユニット、21 分離ユニット、22 洗浄ユニット、23 第1ステージ、24 第1レーザ照射部、25 第2ステージ、26 第2レーザ照射部、5 接合基板