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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167063
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ガスこんろ及び五徳
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20221027BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F24C15/10 E
F24C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072594
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 浩二
(72)【発明者】
【氏名】勘佐 美代子
(57)【要約】
【課題】トッププレートに上反りが生じにくくでき、トッププレートから異音が出るのを抑制することができるガスこんろ及び五徳を提供する。
【解決手段】ガスこんろ1は、バーナ22が通されるバーナ挿通穴312を有するトッププレート3と、トッププレート3に対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳4と、を備える。五徳4は、バーナ挿通穴312から間隔をおいた位置でバーナ挿通穴312を囲む枠部51と、枠部51に対して固定され調理器具を載せる載置部53と、トッププレート3の上面のうちの枠部51の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部56と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナが通されるバーナ挿通穴を有するトッププレートと、
前記トッププレートに対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳と、
を備え、
前記五徳は、
前記バーナ挿通穴から間隔をおいた位置で前記バーナ挿通穴を囲む枠部と、
前記枠部に対して固定されて前記調理器具を載せる載置部と、
前記トッププレートの上面のうちの前記枠部の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部と、
を有する、
ガスこんろ。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記載置部から下方向に沿って突き出ており、その下端面が前記トッププレートの上面に対向する、
請求項1記載のガスこんろ。
【請求項3】
前記調理器具が前記載置部に対して載らない状態で、前記押さえ部の前記下端面と、前記トッププレートの上面と、の間に隙間が形成されている、
請求項2記載のガスこんろ。
【請求項4】
前記載置部は、前記バーナ挿通穴の中央に向かって延びる複数の五徳爪を含み、
前記押さえ部は、前記複数の五徳爪の少なくとも一つの前記中央側の端部から下方向に沿って突き出ている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のガスこんろ。
【請求項5】
前記押さえ部における前記バーナ挿通穴側の面は、下方向にいくに従って前記バーナ挿通穴から離れるように、鉛直面に対して傾斜している、
請求項4記載のガスこんろ。
【請求項6】
前記バーナ及び前記バーナ挿通穴のそれぞれを複数備え、
前記五徳は、前記複数のバーナのうちの少なくとも二つのバーナをひとまとめにして覆うように構成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のガスこんろ。
【請求項7】
前記トッププレートは、前記バーナ挿通穴の周囲に形成されて当該バーナ挿通穴への液体の浸入を妨げる複数の外周部を有し、
前記五徳は、前記外周部に対して位置決めされる位置決め部を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のガスこんろ。
【請求項8】
前記外周部には、凹部が形成されており、
前記五徳は、前記枠部に対して固定されると共に先端部が前記凹部に差し込まれる位置決め爪を有し、
前記位置決め部は、前記先端部で構成されている、
請求項7に記載のガスこんろ。
【請求項9】
前記先端部の下端部は、下端に近付くに従って厚み寸法が小さくなるようなテーパ形状に形成されている、
請求項8記載のガスこんろ。
【請求項10】
前記五徳は、分割可能な複数の分割体で構成されており、
前記複数の分割体の各々が、前記枠部、及び前記載置部を有し、
前記複数の分割体のうちの少なくとも一つの分割体が、前記押さえ部を有する、
請求項1~9のいずれか一項に記載のガスこんろ。
【請求項11】
前記五徳は、前記複数の分割体として、前記トッププレートの前後方向の中央よりも前側にあるバーナを覆う前側分割体と、前記トッププレートの前後方向の中央よりも後側にあるバーナを覆う後側分割体と、を有し、
前記前側分割体は、前記前側分割体の前記バーナの中央に対応する部分が、前記前側分割体の前後方向の中央よりも後側に位置するように構成されている、
請求項10記載のガスこんろ。
【請求項12】
前記五徳は、前記枠部に設けられて、前記トッププレートの上面に対して載る接地部を有し、
前記接地部は、緩衝部材で構成されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載のガスこんろ。
【請求項13】
前記接地部は、前記枠部に沿って間隔をおいて複数設けられており、
前記載置部は、前記枠部の隣り合う前記接地部の間の領域内につながっており、
前記五徳は、前記隣り合う接地部の間に設けられ、前記枠部のたわみを抑制する規制部を有し、
前記規制部の下面は、上下方向において、前記接地部の下面と前記枠部の下面との間に位置している、
請求項12に記載のガスこんろ。
【請求項14】
バーナが通されるバーナ挿通穴を有するトッププレートに対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳であって、
前記バーナ挿通穴から間隔をおいた位置で前記バーナ挿通穴を囲む枠部と、
前記枠部に対して固定され前記調理器具を載せる載置部と、
前記トッププレートの上面のうちの前記枠部の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部と、
を有する、
五徳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスこんろ及び五徳に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のガスこんろ(特許文献1では「ガス調理器」)が記載されている。特許文献1記載のガス調理器は、金属製のトッププレートと、トッププレートに取り付けられた金属製の五徳と、を備える。
【0003】
五徳は、トッププレートの全面を覆う、いわゆる全面五徳である。五徳は、ガスバーナを囲む外周枠部分と、外周枠部分からバーナの中央に向かって延びる複数の支持杆と、を備える。複数の支持杆には、調理器具が載り、ガスバーナに点火することで、調理器具を加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-303796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガスバーナに点火すると、炎からの熱によってトッププレートが加熱されて膨張し、トッププレートが上方向に反る現象(これを「上反り」という)が生じることがある。この上反りには異音を伴う場合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、トッププレートに上反りが生じにくくでき、トッププレートから異音が出るのを抑制することができるガスこんろ及び五徳を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のガスこんろは、バーナが通されるバーナ挿通穴を有するトッププレートと、前記トッププレートに対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳と、を備える。前記五徳は、前記バーナ挿通穴から間隔をおいた位置で前記バーナ挿通穴を囲む枠部と、前記枠部に対して固定されて前記調理器具を載せる載置部と、前記トッププレートの上面のうちの前記枠部の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部と、を有する。
【0008】
本発明に係る一態様の五徳は、バーナが通されるバーナ挿通穴を有するトッププレートに対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳である。五徳は、前記バーナ挿通穴から間隔をおいた位置で前記バーナ挿通穴を囲む枠部と、前記枠部に対して固定され前記調理器具を載せる載置部と、前記トッププレートの上面のうちの前記枠部の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様のガスこんろ及び五徳は、トッププレートに上反りが生じにくくでき、トッププレートから異音が出るのを抑制することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るガスこんろの斜視図である。
図2図2は、同上のガスこんろにおけるバーナ周辺の拡大斜視図である。
図3図3(A)は、同上のガスこんろの前側分割体の左右方向に直交する鉛直面における断面図である。図3(B)は、位置決め部を、図3(A)のX1-X1線で切断した断面図である。
図4図4は、同上の五徳の斜視図である。
図5図5(A)は、同上のガスこんろにおいて、前側分割体をトッププレート上の正しい位置に取り付けた状態の平面図である。図5(B)は、前側分割体をトッププレート上において前後反対向きで取り付けた状態の平面図である。
図6図6(A)は、押さえ部とバーナ周辺との関係を示す鉛直面における断面図である。図6(B)は、図6(A)のA部分拡大図である。図6(C)は、載置部に調理器具が載ったときのA部分拡大図である。
図7図7は、同上のガスこんろにおいて、五徳爪及び位置決め爪に沿った鉛直面での断面図である。
図8図8は、同上のガスこんろの本体に対して個別五徳を設置した状態の平面図である。
図9図9は、変形例1の五徳の斜視図である。
図10図10は、変形例1において、接地部の高さ位置と、枠部及び規制面の高さ位置との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、本実施形態に係るガスこんろ1について、詳細に説明する。
【0012】
(1)全体
ガスこんろ1は、ガスを燃料とするこんろである。本実施形態に係るガスこんろ1は、キッチンカウンタのワークトップに形成された開口に、機器本体2が落とし込まれるビルトインこんろであるが、本発明では、設置面(例えば、テーブル、こんろ台等)に載せて使用されるテーブルこんろであってもよい。
【0013】
ガスこんろ1は、本実施形態では、グリル付きのガスこんろである。グリル付きのガスこんろによれば、グリル庫内に収容した調理物をグリル調理することができる。ただし、本発明に係るガスこんろ1では、グリル機能を有さなくてもよい。ガスこんろ1としては、グリル機能に代えて、例えば、レンジ機能、オーブン機能、炊飯機能をもつマルチグリルを有していてもよいし、レンジ、オーブン又は炊飯器のいずれかを有していてもよい。
【0014】
以下では、説明の便宜上、ガスこんろ1の使用態様に基づいて、方向を定義する。すなわち、ガスこんろ1に対しユーザが正対して調理する使用態様を想定し、図1に示すように、「左右方向」を定義する。また、ガスこんろ1からユーザに向かい、かつ水平面に沿う方向を「前方向」とし、その反対方向を「後方向」とし、前方向及び後方向に平行な2方向を「前後方向」として定義する。また、設置面(ワークトップの上面)に直交する方向を「上下方向」として定義する。ただし、これらの方向の定義は、本発明に係るガスこんろ1の使用態様を限定する趣旨ではない。
【0015】
ガスこんろ1は、図1に示すように、複数(ここでは三つ)のバーナ22を有する機器本体2と、トッププレート3と、五徳4と、を備える。
【0016】
(2)機器本体
機器本体2は、ガスこんろ1の主体を構成する。機器本体2は、筐体21と、複数の機器22,23と、を備える。本実施形態に係るガスこんろ1は、複数の機器22,23として、複数のバーナ22と、グリル装置23と、を有する。
【0017】
(2.1)筐体
筐体21は、機器本体2において、機器が収まる箱である。筐体21は、直方体状に形成されており、上面に開口面(不図示)を有している。筐体21の前面には、図1に示すように、グリル扉231を通すための開口211、各機器の点火/消火及び火力調節を行う操作器24を通すための開口212が形成されている。
【0018】
(2.2)バーナ
バーナ22は、五徳4に載った調理器具を加熱する。バーナ22は、ガスを含む気体の供給を受け、予混合燃焼を行うブンゼンバーナである。複数のバーナ22は、筐体21内において、互いに離れて配置されている。機器本体2は、複数のバーナ22として、トッププレート3の調理部31の前後方向の中央よりも前側に位置する二つのバーナ22と、当該中央よりも後側に位置する一のバーナ22と、を有する。ただし、機器本体2は、複数のバーナ22として、トッププレート3の前後方向の中央よりも後側に位置するバーナ22を左右方向に離れた二つのバーナ22としてもよい(つまり、機器本体2は、四つのバーナ22を有してもよい)。
【0019】
ここで、本明細書でいう「調理器具」とは、調理の際に使用する道具である。調理器具としては、例えば、鍋、土鍋、フライパン、やかん等の調理容器のほか、焼き網、加熱プレート、たこ焼プレート、ホットサンドプレート、ワッフルメーカ等が挙げられる。
【0020】
バーナ22は、図2に示すように、バーナ本体221と、バーナキャップ222と、点火プラグ224と、温度センサ225と、を備える。バーナ本体221は、バーナ22の主体を構成する。バーナ本体221には、都市ガスやLPガス等の燃料ガスの供給源に通じるガス供給路(不図示)が接続されている。バーナ本体221の上端面は開口している。ガス供給路から供給された燃料ガスは、バーナ本体221の内部で空気と混合され、上端面の開口に向かって流れる。バーナ本体221の上端面には、開口を塞ぐようにして、バーナキャップ222が取り付けられている。
【0021】
バーナキャップ222は、バーナ本体221の上端面に載る部品であり、当該上端面との間で複数の炎口226を形成する。バーナキャップ222の中央部には孔部223が形成されている。バーナキャップ222の孔部223には、温度センサ225が通されている。
【0022】
温度センサ225は、五徳4に載った調理器具の温度を測定し、調理器具内の調理物の温度を検出するために用いられる。温度センサ225は、上方から見て(平面視という場合がある)バーナ22の中央に位置している。本明細書でいう「バーナ22の中央」とは、トッププレート3の上面よりも上方に突出している部分の平面視における中央を意味し、本実施形態では、バーナキャップ222の孔部223の中心を意味する。したがって、温度センサ225は、バーナキャップ222の平面視中央に位置している。
【0023】
温度センサ225の上端部は、バーナキャップ222の上端面から上方向に突出している。温度センサ225は、バーナキャップ222の上端面から突出した位置を基準として、バーナキャップ222の上面に対して下方向に弾性的に移動し得る。したがって、五徳4に調理器具が載ると、温度センサ225の上端面が調理器具に接触した状態で下降し、このとき、調理器具に対して弾性的に接触する。温度センサ225の上端面が調理器具に接触した結果、温度センサ225が生成した電気信号を制御器(不図示)によって処理することで、調理器具の温度を測定することができる。その結果、調理器具に収容された調理物の温度を検出することができる。
【0024】
(2.3)グリル装置
グリル装置23は、グリル庫(不図示)に収容された調理物に対し、グリル調理を行うことができる装置である。グリル装置23は、図1に示すように、前面に開口面を有するグリル庫(不図示)と、グリル庫の開口面を開閉可能に閉じるグリル扉231と、を備える。グリル扉231は、グリル庫に対して前後方向に沿って平行移動可能に、支持機構(不図示)を介して取り付けられている。
【0025】
(3)トッププレート
トッププレート3は、ガスこんろ1の最上部の板である。トッププレート3は、図1に示すように、略矩形板状に形成されている。トッププレート3は、調理部31と、排気部32と、外周縁部33と、を備える。本実施形態に係るトッププレート3は、調理部31、排気部32及び外周縁部33が一体に形成された金属板によって構成されている。金属板としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ホーロー、フッ素コーティングされた鋼板等が挙げられる。
【0026】
(3.1)調理部
調理部31は、調理を行うための領域であって、液体(例えば、煮こぼれ、吹きこぼれ等)を受けることができる領域である。調理部31には、五徳4が取り付けられ、当該五徳4に調理器具が載る。調理部31は、図2に示すように、排気部32及び外周縁部33よりも下方に位置した平面状の受け部311と、受け部311から隆起する複数の外周部313と、各外周部313の中央に形成されたバーナ挿通穴312と、を備える。バーナ挿通穴312は、トッププレート3を貫通しており、バーナ22の上端部が通される。
【0027】
外周部313は、バーナ挿通穴312の周囲に形成された堰部を有しており、バーナ挿通穴312への液体の浸入を妨げる。外周部313は、受け部311から隆起しており、堰部によって、受け部311で受けた液体がバーナ挿通穴312へ向かうのを堰き止めることができる。外周部313は、受け部311に対して、一体に形成されてもよいし、バーナリング等の別部材を取り付けることで形成されてもよい。本実施形態では、外周部313は、受け部311に対して絞り加工を施すことで一体に形成されている。
【0028】
なお、本実施形態では、上述の通り、外周部313が受け部311に対して一体に形成されており、外周部313に付着した液体等を拭き取りやすい構造であるため、バーナ挿通穴312が露出しているが、外周部313がバーナリングで構成される場合等には、バーナ挿通穴312がカバーによって覆われてもよい。
【0029】
トッププレート3は、図1に示すように、機器本体2の筐体21の上端に載るようにして、筐体21に取り付けられる。トッププレート3が機器本体2に取り付けられると、バーナ22の上端部は、バーナ挿通穴312に通され、外周部313の上面よりも上方に突出する。
【0030】
外周部313は、上述した液体を堰き止める機能のほか、五徳4の位置決め部571を保持することで、トッププレート3に対する五徳4の取付け位置を位置決めする機能も有している。外周部313による五徳4の位置決めは、外周部313の堰部(受け部311から起立した面)との接触によって実現されてもよいが、本実施形態では、外周部313に形成された凹部314(図2)に対して、五徳4の位置決め部571が差し込まれることによって実現されている。
【0031】
凹部314は、図2に示すように、外周部313の前端と後端との二箇所に形成されている。前端の凹部314は、前方向及び上方向に開口している。後端の凹部314は、後方向及び上方向に開口している。したがって、トッププレート3に五徳4を取り付ける際、凹部314に対して、上から下に五徳4の位置決め部571が差し込まれると、図3に示すように、凹部314に位置決め部571が入り込む。
【0032】
(3.2)排気部
排気部32は、グリル庫内の排気を出す排気口が形成された平板状の部分である。排気部32は、図1に示すように、調理部31の後方に設けられている。排気口には、排気口カバー321が取外し可能に取り付けられている。
【0033】
(3.3)外周縁部
外周縁部33は、調理部31の外周を囲み、調理部31の外縁から立ち上がる部分である。外周縁部33は、図3(A)に示すように、起立部331と、頂部332と、を有している。起立部331は、受け部311の外縁(つまり調理部31の外縁)から立ち上がっている。起立部331は、受け部311の縁から外側にいくに従って上方向にいくように、受け部311に対して傾斜している。頂部332は、起立部331の上端から水平面に沿って突出している。頂部332の外側の端部は、左右方向の外側の外周縁部33及び前側の外周縁部33については、トッププレート3の側端部34につながり、後側の外周縁部33については、排気部32(図1)につながっている。
【0034】
(4)五徳
五徳4は、トッププレート3に対して取外し可能に取り付けられ、バーナ22上において調理器具を支持する。五徳4は、図1に示すように、複数のバーナ22のうちの少なくとも二つのバーナ22をひとまとめにして覆うように構成されており、ここでは、三つのバーナ22をひとまとめにして覆う。五徳4は、本実施形態では、調理部31の全面を覆う全面五徳で構成されている。
【0035】
五徳4は、金属により構成されている。五徳4を構成する金属としては、例えば、ホーロー、ステンレス等が挙げられる。
【0036】
五徳4は、図4に示すように、分割可能な複数(ここでは二つ)の分割体5,6で構成されている。分割体5,6の各々は、左右方向に長手方向を有する平面視略長方形状に形成されている。以下では、トッププレート3の調理部31の前後方向の中央よりも前側にあるバーナ22を覆う分割体を「前側分割体5」とし、トッププレート3の調理部31の前後方向の中央よりも後側にあるバーナ22を覆う分割体を「後側分割体6」と定義する。
【0037】
(4.1)前側分割体
前側分割体5は、前後方向に並ぶバーナ22のうちの前側にあるバーナ22を覆う五徳である。前側分割体5は、図1に示すように、前側にある左右一対のバーナ22の両方をひとまとめにして覆う。前側分割体5は、五徳4(ここでは、全面五徳)の一部を構成する。
【0038】
ここで、図5(A)に示すように、前側分割体5が、トッププレート3上の正しい位置に取り付けられると、前側分割体5におけるバーナ22の中央に対応する位置C1は、前側分割体5の前後方向の中央C2に対して、後側に位置している。すなわち、前側分割体5は、バーナ22の中央に対応する位置C1から前端までの寸法L1が、位置C1から後端までの寸法L2よりも長くなるように設定されている。
【0039】
この点について、ガスこんろ1では、複数のバーナ22のうちの前側にあるバーナ22を、できる限りユーザから遠ざけた位置に配置することが好ましい。バーナ22の位置がユーザから離れていると、例えば、調理器具から吹きこぼれが生じた場合、吹きこぼれがユーザにまで到達するのを防ぐことができるし、また、バーナ22の炎の熱による影響をユーザに対して及ぼすことを抑制することができる。
【0040】
このため、本実施形態に係る前側分割体5は、位置C1から前端までの寸法L1が、位置C1から後端までの寸法L2よりも長くなるように設定されていることで、バーナ22の位置をユーザから遠ざけつつ、当該バーナ22からトッププレート3の調理部31の前端までの領域を、調理器具を置くことができる領域として使用することができる。
【0041】
図5(A)には、前側分割体5がトッププレート3に正しい向きで取り付けられた平面図を示し、図5(B)には、前側分割体5がトッププレート3に前後反対の向きで取り付けられた平面図を示す。上述したように、前側分割体5は、正しい向きでトッププレート3に取り付けられると、バーナ22の中央に対応する位置C1が、前側分割体5の前後方向の中央C2に対して後側にずれる。このため、仮に、ユーザが誤って、前側分割体5を前後反対向きで取り付けると(これを「誤設置」という場合がある)、図5(B)に示すように、前側分割体5の一部が、後側分割体6の設置領域に入り込む。したがって、ユーザは、後側分割体6をトッププレート3に取り付けようとしても、後側分割体6を取り付けることができないため、前側分割体5が誤設置されていることを確実に知ることができる。
【0042】
前側分割体5は、図4に示すように、枠部51と、複数の脚部52と、載置部53と、複数の押さえ部56と、複数の位置決め爪57と、複数の接地部58と、を備える。
【0043】
(4.1.1)枠部
枠部51は、バーナ挿通穴312から間隔をおいた位置でバーナ挿通穴312を囲む。本実施形態に係る枠部51は、左右方向に並ぶ二つのバーナ挿通穴312をまとめて囲むが、例えば、一つのバーナ挿通穴312を囲んでもよいし、三つ以上のバーナ挿通穴312を囲んでもよい。枠部51は、平面視略矩形枠状に形成されている。
【0044】
枠部51の下面は、トッププレート3のうちの調理部31の上面に対向する。前側分割体5がトッププレート3に取り付けられると、図1に示すように、枠部51の前側の辺が、トッププレート3の外周縁部33のうちの前側の外周縁部33に沿い、枠部51の左右方向の両辺が、トッププレート3の外周縁部33のうちの左右側の外周縁部33に沿い、枠部51の後側の辺が、調理部31の前後方向の中央に沿って配置される。
【0045】
枠部51の断面形状は、特に制限はないが、例えば、縦長矩形状、円形状、隅丸矩形状、平板状、パイプ状等が挙げられる。ここでは、隅丸矩形状(横4mm、縦10mm)に形成されている。
【0046】
五徳4(前側分割体5)がトッププレート3に取り付けられると、図5(A)に示すように、バーナ挿通穴312と枠部51との間には、間隔が設けられる。すなわち、上述したように、枠部51はバーナ挿通穴312から間隔をおいた位置でトッププレート3上に載る。バーナ挿通穴312と枠部51との間の間隔は、バーナ挿通穴312の外周にわたって一定でなくてもよいし、一定であってもよい。また、当該間隔の寸法には特に制限はない。
【0047】
(4.1.2)脚部
脚部52は、図4に示すように、枠部51から起立し、載置部53を支持する。脚部52によれば、トッププレート3に対して、載置部53を所定の高さに位置させることができ、この結果、載置部53に載る調理器具のバーナ22に対する高さを、調理器具に効果的な加熱を加えられる高さ関係に設定することができる。各脚部52は、板状に形成されており、枠部51に対して直交するように取り付けられている。脚部52と枠部51との取付けは、本実施形態では、溶接により実現されているが、溶接のほか、例えば、嵌め込み、削り出し、ねじ止め、リベット止め等により実現されてもよい。
【0048】
(4.1.3)載置部
載置部53は、調理器具を載せる部分である。載置部53は、脚部52の上端部に設けられている。複数の載置部53の上端面は、同一平面上に位置している。載置部53は、図4に示すように、調理器具を加熱するときに載せる複数の五徳爪54と、調理器具を加熱しないときに載せる補助受け体55と、を備える。
【0049】
五徳爪54は、バーナ22の中央に対応する位置を中心にして放射状に延びている。言い換えると、五徳爪54は、脚部52の上端部からバーナ挿通穴312の中央に向かって延びる。五徳爪54の下面は、図3(A)に示すように、先端に行くに従って上方に位置するように、水平面に対して傾斜しており、すなわち、五徳爪54は、先端ほど上下幅が狭い先細り形状に形成されている。なお、五徳爪54は、脚部52の上端部とバーナ22の中央とを結ぶ直線に沿って延びていてもよいし、先端部分のみが放射状に延び、かつ基端を含むその他の部分が先端部分に対して屈曲することで非放射状に延びてもよい。
【0050】
補助受け体55は、図4に示すように、前後方向に延びる複数の縦材551と、左右方向に延びる複数の横材552との組み合わせで構成されている。補助受け体55は、前側分割体5と後側分割体6とのいずれにも設けられているが、前側分割体5では、井桁状に形成されており、後側分割体6では、H字状に形成されている。補助受け体55としては、井桁状又はH字状に限らず、例えば、十字状、格子状、ロ字状、V字状、T字状等に形成されてもよい。
【0051】
(4.1.4)押さえ部
押さえ部56は、トッププレート3の上面のうちの枠部51の内側の領域に対して、部分的に対向し、これによって、トッププレート3の上反りを妨げる。押さえ部56は、載置部53から下方向に突き出ており、その下端面がトッププレート3の上面に対向している。本実施形態では、押さえ部56は、載置部53のうちの五徳爪54から突き出ているが、補助受け体55から突き出ていてもよい。
【0052】
ここで「上反り」とは、バーナ22からの熱の影響でトッププレート3が膨張し、トッププレート3の調理面が水平面に対して上方向に膨らむように反る現象を意味する。上反りには異音を伴う場合がある。
【0053】
押さえ部56は、トッププレート3の上面のうちの枠部51の内側の領域に対して対向している。上反りの現象は、トッププレート3の調理部31の中央に近いほど歪みが大きいため、隣り合うバーナ22の間に位置する四つの押さえ部56が、より効果的に上反りを抑制することができる。ただし、押さえ部56としては、左右方向において隣り合うバーナ22の外側のみに設けられても上反りを抑制するには一定の効果がある。
【0054】
押さえ部56は、トッププレート3の上面に対向していればよく、僅かな隙間を介して離れていてもよい(つまり、近接していてもよい)し、トッププレート3に対して接触していてもよい。本実施形態に係る押さえ部56は、図6(A)に示すように、トッププレート3上面に対して近接している。
【0055】
図6(A)には、調理器具が載置部53に載らないときの、押さえ部56の下端面とトッププレート3の上面との関係を示している。押さえ部56の下端面と、トッププレート3の上面との間には隙間S1が形成されている。この隙間S1は、例えば、0.1mm以上1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。隙間S1が、0.5mm以下であると、調理器具が載置部53に載らないときには、押さえ部56の下端面とトッププレート3の上面との間に隙間S1ができるが、鍋やフライパン等の調理器具が載ると、図6(C)に示すように、押さえ部56の下端面がトッププレート3の上面に接触する。隙間S1が、0.5mmを超えると、水が貯められた状態や、調理物が収容された状態の調理器具でないと、押さえ部56の下端面がトッププレート3の上面に接触しにくくなる。
【0056】
このように、調理器具が載置部53に載らないときに、押さえ部56の下端面とトッププレート3の上面との間に隙間S1が形成されると、トッププレート3に五徳4を取り付けるとき、トッププレート3上を滑らせて、正しい位置に配置する際に、押さえ部56がトッププレート3に擦れることがなく、トッププレート3に傷がつくことを防ぐことができる。
【0057】
また、調理器具が載置部53に載り、調理器具が加熱される際には、トッププレート3の上面に対して押さえ部56が接触しているため、上反りが生じにくく、上反りに伴う異音の発生を抑えることができる。押さえ部56がトッププレート3の上面に対して接触する力(接触圧)は、特に制限はなく、押さえ部56がトッププレート3の上面に対して一定の力で押え付けてもよいが、できる限り小さい接触圧で接触することが好ましい。押さえ部56がトッププレート3の上面に対して接触する力が小さいと、トッププレート3の上面に傷が付くのを防ぐことができる。
【0058】
押さえ部56は、五徳爪54の中央側の端部から下方向に沿って突き出ている。押さえ部56は、突出方向に同幅に形成されている。押さえ部56は、図6(A)に示すように、下方向にいくに従ってバーナ挿通穴312から離れるように、鉛直面に対して傾斜している。
【0059】
したがって、押さえ部56のバーナ挿通穴312側の面561も、下方向にいくに従ってバーナ挿通穴312から離れるように、鉛直面に対して傾斜しているため、五徳爪54を、できる限りバーナ22の中央に近付けることができ、載置部53に載せる調理器具の範囲を多くすることができて、調理器具を載置部53に安定して載せやすい。そのうえ、五徳爪54を、できる限りバーナ22の中央に近付けながらも、押さえ部56の下端面をトッププレート3の上面に対向させることができ、また、バーナ22の炎が押さえ部56に干渉するのを抑制することができる。また、複数の押さえ部56は、一のバーナ22を囲むように配置されているため、トッププレート3の調理部31のうちの熱源に近い部分を押さえることができ、トッププレート3の上反りを効果的に抑制することができる。
【0060】
(4.1.5)位置決め爪
位置決め爪57は、図4に示すように、枠部51から外周部313に向かって突き出ており、先端部に位置決め部571が形成されている。位置決め爪57は、枠部51に対して直交して延びている。位置決め爪57は、各バーナ22に対して二つある。二つの位置決め爪57は、バーナ22の中央を通る前後方向に平行な直線上において、バーナ22に対して前側と後側との各々に配置されている。位置決め爪57と枠部51との取付けは、本実施形態では、溶接により実現されているが、溶接のほか、例えば、嵌め込み、削り出し、ねじ止め、リベット止め等により実現されてもよい。
【0061】
位置決め部571は、図3(A)に示すように、凹部314に差し込まれることで、トッププレート3の外周部313に対して位置決めされる。したがって、五徳4は、トッププレート3の外周縁部33によって位置決めされるのではなく、外周部313に対して、前後方向と左右方向とのいずれにも位置決めされる。
【0062】
本実施形態では、前側分割体5においては、左右二つのバーナ22の各々に対し、二つの位置決め部571によって位置決めされる(したがって、計四つの位置決め部571で位置決めされている)。また、後側分割体6においては、一のバーナ22に対して、二つの位置決め部571によって位置決めされる(したがって、計二つの位置決め部571で位置決めされている)。ただし、前側分割体5と後側分割体6とのうちの一方が、外周部313に対して位置決めされていれば、他方については一方の分割体に対して位置決めされればよい。例えば、前側分割体5が、外周部313に対して位置決めされていれば、後側分割体6を前側分割体5に対して位置決めすればよい。この場合、後側分割体6には、位置決め爪64はなくてもよい。
【0063】
各位置決め部571の下端部は、図3(B)に示すように、下端に近付くに従って厚みが小さくなるようなテーパ形状に形成されている。本実施形態では、位置決め部571のうちの下端部のみがテーパ形状に形成されているが、例えば、上下方向の中央から下端に向かってテーパ形状に形成されてもよいし、上端から下端に向かってテーパ形状に形成されてもよい。位置決め部571は、テーパ形状に形成されていることにより、凹部314に対してスムーズに差し込むことができる。
【0064】
(4.1.6)接地部
接地部58は、五徳4において、トッププレート3の調理部31(受け部311)に載り、接地する。すなわち、五徳4は、接地部58によって、トッププレート3上に支えられている。接地部58は、緩衝部材で構成されている。緩衝部材は、五徳4がトッププレート3に接触する際に、部材同士の接触音の発生を抑制することができる。緩衝部材としては、枠部51を構成する金属よりも柔らかい材質で構成されることが好ましく、例えば、エラストマ、軟質合成樹脂、硬質合成樹脂、樹脂発泡体、木、布等が挙げられる。
【0065】
接地部58は、図4に示すように、脚部52の下端に取り付けられており、これにより、複数の接地部58が枠部51に沿って配置される。脚部52の下端には、図7に示すように、取付け溝514が形成されている。接地部58は、下面が受け部311に対向する足部581と、足部581から上方向に突出する係止部582と、を備える。係止部582が取付け溝514に嵌め込まれることで、接地部58が脚部52の下端に取り付けられる。
【0066】
五徳4は、調理器具が載置部53に載らない状態で、接地部58が受け部311に載ると、接地部58を除く下端面とトッププレート3の上面との間に隙間が形成される。このため、五徳4をトッププレート3に取り付ける際に、五徳4とトッププレート3が接触することなく、部材同士が接触することで生じる音(接触音)の発生が抑制される。
【0067】
(4.2)後側分割体
後側分割体6は、前後方向に並ぶバーナ22のうちの後側にあるバーナ22を覆う五徳である。後側分割体6は、バーナ22に対応する部分が、左右方向の中央に形成されている点で前側分割体5と異なるが、枠部61、複数の脚部62、載置部63、複数の位置決め爪64及び複数の接地部65を備えており、基本的な構造は同じである。そのため、以下では、重複する説明は省略する。
【0068】
後側分割体6は、前側分割体5が備える押さえ部56を有していない。しかし、前側分割体5において、複数の押さえ部56が配置されているため、後側分割体6が押さえ部56を備えなくても、トッププレート3に上反りが生じるのを防ぐことができる。なお、後側分割体6においても、前側分割体5と同様、押さえ部56が形成されてもよい。
【0069】
後側分割体6は、後側分割体6の前端縁が前側分割体5の枠部51の後端縁に沿うように、トッププレート3上に取り付けられる。ここでは、後側分割体6の位置決め爪64の位置決め部が、外周部313の凹部314に差し込まれることで、トッププレート3に対して後側分割体6が位置決めされているが、後側分割体6の枠部61の前端縁を前側分割体5の枠部51の後端縁に当てて位置決めしてもよい。この場合、位置決め爪64はなくてもよい。
【0070】
(5)その他
以上説明したように、本実施形態に係る五徳4は、トッププレート3に対して、外周縁部33ではなく、外周部313に対して位置決めされる。このため、図8に示すような、バーナ22に対して一対一で取り付けられる個別五徳7を取り付けることもできる。したがって、共通のトッププレート3を利用して、ユーザの好みに応じた五徳4を有するガスこんろ1を提供することができ、各部品の在庫管理が容易であり、製造性を高くすることができる。
【0071】
個別五徳7は、一般的な構造のものが例示されるが、例えば以下の通りである。個別五徳7は、外周部313を囲むリング状の五徳枠71と、五徳枠71に対して固定され、かつ放射状に配置された複数の五徳爪72と、前後の五徳爪72に設けられた一対の位置決め部73と、を備える。一対の位置決め部73は、外周部313の凹部314に差し込まれ、これによって個別五徳7は外周部313に対して位置決めされる。
【0072】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態に係る変形例を説明する。
【0073】
(1)変形例1
上記実施形態に係る接地部58,65は、脚部52,62の下端に取り付けられていたが、本発明では、接地部は、図9に示すように、枠部51,61に取り付けられてもよい。ここでは、前側分割体5の枠部51を例にとって説明するが、後側分割体6でも同じである。
【0074】
接地部58は、枠部51に取り付けられている。複数の接地部58は、枠部51に沿って間隔をおいて取り付けられている。接地部58と枠部51との取付けは、例えば、接着、嵌め込み、溶着、溶接、二色成形、ねじ止め、ピン止め、リベット止め、スナップフィット構造、巻付け等により実現される。
【0075】
ここで、載置部53に調理器具が載ると、調理器具からの荷重は、五徳爪54及び脚部52を介して、枠部51に伝達する。脚部52は、枠部51のうちの接地部58の間の領域に対して取り付けられているため、脚部52から加わる力によって、枠部51における接地部58の間の領域がたわみ得る。枠部51における接地部58の間の領域がたわむと、載置部53がバーナ22に近付く。この結果、調理器具に与える加熱に影響を与える。
【0076】
実際には、押さえ部56によって一定程度のたわみの抑制効果があるが、本変形例では、押さえ部56に加えて、以下のようなたわみを抑制する工夫がなされている。
【0077】
図10には、接地部58の鉛直面での断面と、位置決め爪57に沿う鉛直面での断面との高さ関係を比較した説明図を示す。位置決め爪57は、隣り合う接地部58の間に、一又は複数配置されている。
【0078】
図10に示すように、位置決め爪57の下端には、枠部51の下端よりも下方に突き出る規制部59が形成されている。規制部59の下面(これを「規制面591」という)は、接地部58の下面と、枠部51の下面との間に位置するように設定されている。すなわち、規制面591と接地部58との間の寸法L12は、枠部51の下面と接地部58の下面との間の寸法L11よりも小さい。
【0079】
脚部52から力が加わると、枠部51における接地部58の間の領域が、寸法L12だけたわみ、規制面591がトッププレート3に接触する。しかし、枠部51における接地部58の間の領域のたわみ量は、寸法L12を超えない。この寸法L12は、調理器具に与える加熱に影響を与えない寸法に設定されており、L12は、0.1mm以上1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。
【0080】
これにより、接地部58を枠部51に取り付けることで、部材同士の接触音が発生するのを抑えながら、枠部51における接地部58同士の間の領域がたわむのを最小限に抑えることができ、燃焼性能に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0081】
規制部59は、位置決め爪57の下端に設けられたが、位置決め爪57がない箇所には、脚部52の下端に設けられてもよい。変形例1では、五徳爪54につながる脚部52のほか、補助受け体55につながる脚部52の下端に設けられてもよい。
【0082】
なお、規制部59は、位置決め爪57と脚部52とに限らず、例えば、枠部51に設けられてもよい。また、規制面591は、トッププレート3の上面に沿うように、板体の端面からなる細長い平面状に形成されているが、形状には特に制限はなく、例えば、円弧状、球面状、線状、点状等であってもよい。
【0083】
また、規制面591が複数箇所に設けられていることで、例えば、ユーザが、五徳4をトッププレート3から外して清掃している際に接地部58,65を紛失した場合に、接地部58,65を取り付けずに五徳4をトッププレート3に取り付けても、五徳4は、複数の規制面591で支持される。このため、規制面591がない場合に比べて、調理器具とバーナ22との距離を、接地部58,65がある場合の条件に近付けることができ、燃焼性能に影響を与えにくくできる。
【0084】
(2)その他の変形例
以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0085】
上記実施形態に係る枠部51,61は、平面視略矩形枠状に形成されているが、本発明ではこれに制限されず、例えば、平面視略円形枠状、平面視略楕円形枠状、平面視略台形枠状等に形成されてもよい。
【0086】
上記実施形態に係る押さえ部56は、一のバーナ22に対する六つの五徳爪54のうちの四つの五徳爪54に設けられたが、本発明では、一の五徳爪54にのみ設けられてもよい。また、押さえ部56は、補助受け体55の、例えば、縦材551の一部から下方向に突出してもよい。また、押さえ部56は、例えば、位置決め爪57の下端から下方向に突き出た規制部59(変形例1参照)で構成されてもよく、この場合でも一定の上反り抑制効果が期待できる。
【0087】
上記実施形態に係る押さえ部56は、突出方向に沿って同幅に形成されているが、下方向にいくに従って幅が短くなるような側面視三角形状に形成されてもよい。また、本実施形態では、五徳爪54と押さえ部56とで、倒V字状に形成されているが、本発明では、例えば、T字状に形成されてもよいし、Z字状に形成されてもよい。
【0088】
上記実施形態に係る五徳4では、位置決め部571が、押さえ部56とは別に設けられたが、押さえ部56の下端部を、外周部313の凹部314に差し込むように構成し、押さえ部56が位置決め部571を兼用してもよい。
【0089】
上記実施形態に係るガスこんろ1では、トッププレート3の前後方向の中央に対して、前側と後側とに別れた複数のバーナ22を備えたが、本発明では、複数のバーナ22は、トッププレート3の前後方向の中央に対して、前側と後側とに別れていなくてもよい。例えば、トッププレート3の前後方向の中央に沿って、左右方向に二つ以上のバーナ22が配置されてもよい。
【0090】
上記実施形態に係るトッププレート3は、調理部31、排気部32及び外周縁部33が一体に形成された金属板によって構成されたが、本発明では、調理部31をステンレス板で構成し、外周縁部33及び排気部32をアルミニウムで構成してもよく、複数の部品が組みわされてもよい。
【0091】
上記実施形態に係るガスこんろ1では、位置決め部571は、位置決め爪57の先端部によって構成されており、外周部313の凹部314に差し込まれることで、外周部313に対する五徳4の位置決めを実現したが、本発明では、位置決め部571は、外周部313の周囲を囲むリング状の枠材で構成されてもよい。
【0092】
上記実施形態に係る前側分割体5は、前後方向に離れた一対の位置決め部571で外周部313に対して位置決めされたが、前側又は後側の一つの位置決め部571で位置決めしてもよい。また、複数の位置決め部571として、三つ以上の位置決め部571を備えてもよい。
【0093】
上記実施形態に係る五徳4は、調理部31の全面を覆う全面五徳で構成されたが、本発明では、後側分割体6を後側のバーナ22の周囲のみに対応させ、トッププレート3の前後方向の中央よりも後側で、かつ後側のバーナ22の左右方向の両側の領域については覆わない五徳4で構成されてもよい。また、五徳4としては、前側分割体5と、個別五徳7との組み合わせで構成されてもよい。
【0094】
上記実施形態に係る五徳4は、前後方向に分割する分割体で構成されたが、例えば、左右方向に分割する分割体で構成されてもよい。この場合、各分割体は、例えば、前後方向に長手方向を有するような平面視略長方形状に形成される。
【0095】
上記実施形態に係るトッププレート3は、調理部31から立ち上がった外周縁部33を有していたが、外周縁部33は調理部31から立ち上がっていなくてもよく、枠材の上端はガラス板の端面の上端と同じ高さに形成されてもよい。
【0096】
上記実施形態に係る五徳4は、接地部58,65が枠部51,61の周方向において部分的に設けられたが、例えば、枠部51,61の周方向の全長にわたって設けられてもよい。
【0097】
上記実施形態に係る前側分割体5は、二つのバーナ22を覆うように構成されたが、前側分割体5が左右方向に分割可能に構成されてもよい。
【0098】
上記実施形態に係る五徳4は、トッププレート3の調理部31の全面を覆うように構成されたが、排気部32及び調理部31の全面を覆うように構成されてもよい。
【0099】
上記実施形態に係る前側分割体5は、バーナ22の中央に対応する位置C1が、前側分割体5の前後方向の中央よりも後側に位置したが、バーナ22の中央に対応する位置C1が、前側分割体5の前後方向の中央よりも前側に位置してもよい。この場合、前側のバーナ22の直上に調理器具を配置した際、当該調理器具の後側に他の調理器具を載せやすい利点がある。この場合において、前側分割体5を誤設置しても、前側分割体5の後端と後側分割体6との間に隙間が生じるため、ユーザは、五徳4の誤設置を容易に知ることができる。
【0100】
上記実施形態では、押さえ部56が前側分割体5の五徳爪54にのみ設けられたが、本発明では、押さえ部56は、後側分割体6の五徳爪54にのみ設けられ、前側分割体5に設けられなくてもよい。
【0101】
上記実施形態に係る五徳4は、載置部53は、枠部51に対して、脚部52を介して固定されていたが、本発明では、枠部51の高さが高い場合には、載置部53は、枠部51に対して直接固定されてもよい。
【0102】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0103】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0104】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るガスこんろ1は、バーナ22が通されるバーナ挿通穴312を有するトッププレート3と、トッププレート3に対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳4と、を備える。五徳4は、バーナ挿通穴312から間隔をおいた位置でバーナ挿通穴312を囲む枠部51と、枠部51に対して固定され調理器具を載せる載置部53と、トッププレート3の上面のうちの枠部51の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部56と、を有する。
【0105】
この態様によれば、トッププレート3の枠部51の内側の領域に対して押さえ部56が対向しているため、枠部51の内側の領域に上反りが生じにくくでき、トッププレート3から上反りに伴う異音の発生を抑制することができる。
【0106】
第2の態様に係るガスこんろ1では、第1の態様において、押さえ部56は、載置部53から下方向に沿って突き出ており、その下端面がトッププレート3の上面に対向する。
【0107】
この態様によれば、載置部53に載る調理器具の荷重を利用して、上反りの発生を抑制することができる。
【0108】
第3の態様に係るガスこんろ1では、第2の態様において、調理器具が載置部53に対して載らない状態で、押さえ部56の下端面と、トッププレート3の上面と、の間に隙間S1が形成されている。
【0109】
この態様によれば、トッププレート3に五徳4を取り付けるときに、押さえ部56がトッププレート3に擦れることがなく、トッププレート3に傷がつくことを防ぐことができる。
【0110】
第4の態様に係るガスこんろ1では、第1~3のいずれか一つの態様において、載置部53は、バーナ挿通穴312の中央に向かって延びる複数の五徳爪54を含む。押さえ部56は、複数の五徳爪54の少なくとも一つの中央側の端部から下方向に沿って突き出ている。
【0111】
この態様によれば、押さえ部56によってバーナ22の周囲を押さえることができ、上反りの発生を効果的に抑制することができる。
【0112】
第5の態様に係るガスこんろ1では、第4の態様において、押さえ部56におけるバーナ挿通穴312側の面561は、下方向にいくに従ってバーナ挿通穴312から離れるように、鉛直面に対して傾斜している。
【0113】
この態様によれば、五徳爪54をできる限りバーナ22に近付けつつも、押さえ部56が炎口226に近づき過ぎないようにできる。
【0114】
第6の態様に係るガスこんろ1では、第1~5のいずれか一つの態様において、バーナ22及びバーナ挿通穴312のそれぞれを複数備える。五徳4は、複数のバーナ22のうちの少なくとも二つのバーナ22をひとまとめにして覆うように構成されている。
【0115】
この態様によれば、二つ以上のバーナ22をひとまとめにして覆う五徳4を使用することで、バーナ22の上だけでなく、バーナ22間に調理器具を載置することができ、使い勝手を向上させながらも、上反りの発生を抑制することができる。
【0116】
第7の態様に係るガスこんろ1では、第1~6のいずれか一つの態様において、トッププレート3は、バーナ挿通穴312の周囲に形成されて当該バーナ挿通穴312への液体の浸入を妨げる複数の外周部313を有する。五徳4は、外周部313に対して位置決めされる位置決め部571を有する。
【0117】
この態様によれば、五徳4を外周部313に対して位置決めすることができるため、トッププレート3の外周部313のデザインの自由度を向上させることができる。また、五徳4がバーナ22に近い外周部313に対して位置決めされるため、五徳4とバーナ22との位置関係を精度よく保つことができ、五徳4のトッププレート3に対する取付け位置がずれることで、燃焼性能が悪くなるのを防ぐことができる。
【0118】
第8の態様に係るガスこんろ1では、第7の態様において、外周部313には、凹部314が形成されている。五徳4は、枠部51に対して固定されると共に先端部が凹部314に差し込まれる位置決め爪57を有する。位置決め部571は、位置決め爪57の先端部で構成されている。
【0119】
この態様によれば、位置決め部571と外周部313との接触部分をできる限り小さくすることができ、部材同士の接触音の発生をできる限り抑えることができる。
【0120】
第9の態様に係るガスこんろ1では、第8の態様において、位置決め部571の下端部は、下端に近付くに従って厚み寸法が小さくなるようなテーパ形状に形成されている。
【0121】
この態様によれば、位置決め部571を凹部314に対してスムーズに差し込むことができる。
【0122】
第10の態様に係るガスこんろ1では、第1~9のいずれか一つの態様において、五徳4は、分割可能な複数の分割体で構成されている。複数の分割体の各々が、枠部51,61、及び載置部53,63を有し、複数の分割体のうちの少なくとも一つの分割体が、押さえ部56を有する。
【0123】
この態様によれば、五徳4が複数の分割体で構成されているため、手入れの際に扱いやすくすることができる。
【0124】
第11の態様に係るガスこんろ1では、第10の態様において、五徳4は、複数の分割体として、トッププレート3の前後方向の中央よりも前側にあるバーナ22を覆う前側分割体5と、トッププレート3の前後方向の中央よりも後側にあるバーナ22を覆う後側分割体6と、を有する。前側分割体5は、前側分割体5のバーナ22の中央に対応する部分が、前側分割体5の前後方向の中央よりも後側に位置するように構成されている。
【0125】
この態様によれば、トッププレート3に対して五徳4が誤設置されると、前側分割体5の後端部が後側分割体6の設置領域に入り込む。この場合、後側分割体6を取り付けることができないため、ユーザは、確実に前側分割体5の誤設置を知ることができる。
【0126】
第12の態様に係るガスこんろ1では、第1~11のいずれか一つの態様において、五徳4は、枠部51,61に設けられて、トッププレート3の上面に対して載る接地部58,65を有する。接地部58,65は、緩衝部材で構成されている。
【0127】
この態様によれば、トッププレート3の上面に載る接地部58,65が緩衝部材で構成されているため、五徳4をトッププレート3に取り付ける際に、部材同士の接触音が発生することを抑えることができる。
【0128】
第13の態様に係るガスこんろ1では、第12の態様において、接地部58,65は、枠部51,61に沿って間隔をおいて複数設けられている。載置部53,63は、隣り合う接地部58,65の間の領域内で枠部51,61につながっている。五徳4は、隣り合う接地部58,65の間に設けられ、枠部51,61のたわみを抑制する規制部59を有する。規制部59の下面は、上下方向において、接地部58,65の下面と枠部51,61の下面との間に位置している。
【0129】
この態様によれば、調理器具を載置部53,63に載せた際、枠部51,61における接地部58,65同士の間の領域がたわむのを最小限に抑えることができ、この結果、調理器具を加熱する性能に悪影響が生じるのを抑制することができる。
【0130】
第14の態様に係る五徳4は、バーナ22が通されるバーナ挿通穴312を有するトッププレート3に対して取り付けられ、調理器具を載せる五徳4である。五徳4は、バーナ挿通穴312から間隔をおいた位置でバーナ挿通穴312を囲む枠部51と、枠部51に対して固定され調理器具を載せる載置部53と、トッププレート3の上面のうちの枠部51の内側の領域に対して部分的に対向する押さえ部56と、を有する。
【0131】
この態様によれば、枠部51の内側の領域に対して押さえ部56が対向しているため、トッププレート3の枠部51の内側の領域に上反りが生じにくくでき、トッププレート3から上反りに伴う異音の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 ガスこんろ
22 バーナ
3 トッププレート
312 バーナ挿通穴
313 外周部
314 凹部
4 五徳
5 前側分割体
51 枠部
53 載置部
54 五徳爪
56 押さえ部
561 バーナ挿通穴側の面
57 位置決め爪
571 位置決め部
58 接地部
59 規制部
6 後側分割体
61 枠部
62 脚部
63 載置部
64 位置決め爪
65 接地部
S1 隙間
図1
図2
図3
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図10