(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167073
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】有機系廃棄物の自己処理装置
(51)【国際特許分類】
C10B 53/00 20060101AFI20221027BHJP
C02F 11/10 20060101ALI20221027BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C10B53/00 A
C02F11/10 Z ZAB
F27D17/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072608
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D059
4H012
4K056
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA03
4D059AA07
4D059BB03
4D059CA01
4D059CC10
4H012HA00
4K056DA02
4K056DA36
(57)【要約】
【課題】従来よりもコストが掛からない有機系廃棄物の自己処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】低酸素濃度雰囲気下で有機系廃棄物を昇温して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有し、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにした。有機系廃棄物を熱分解して発生した熱分解ガスを、(焼却炉のようにそのまま焼却処理して何ら有効利用することなくCO2として大気中に排出するのではなく)自己熱源として活用(補助エネルギー)することが出来る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低酸素濃度雰囲気下で有機系廃棄物を昇温して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有し、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにしたことを特徴とする有機系廃棄物の自己処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃プラスチック類や高濃度有機廃液などの有機系廃棄物の自己処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理汚泥を熱分解炭化処理して熱分解ガス及び炭化物を生成する熱分解処理方法及び熱分解処理システムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、近年、多量に排出されるプラスチックを始めとする廃棄物に対し所定の処理を施して資源として利用する各種の手法の提案がなされている。
特に、CO2排出量を低減する観点から、化石燃料の代替エネルギーとして、カーボンニュートラルであるバイオマスが注目されている。
その一例として、バイオマス(木材、汚泥、家畜糞尿、生ゴミ等)や廃プラスチック等の有機物処理材料を熱分解処理して、熱分解ガスと熱分解残渣とを生成し、熱分解ガスは凝縮することにより熱分解油として回収し、残渣は所定の処理をすることにより炭化物として利用するシステムが考えられている、というものである。
しかし、このものでは処理にコストが掛かってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2008-248161
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、従来よりもコストが掛からない有機系廃棄物の自己処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
この発明の有機系廃棄物の自己処理装置は、低酸素濃度雰囲気下で有機系廃棄物を昇温して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有し、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにしたことを特徴とする。
この有機系廃棄物の自己処理装置は、低酸素濃度雰囲気下(燃焼がおこらない限界酸素濃度以下)で有機系廃棄物を昇温(例えば650-900℃)して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有するので、有機系廃棄物たる廃プラスチック類(PE、PP、PET等)や高濃度有機廃液(例えばCOD20,000ppm以上)を熱分解して炭化水素ガスを発生させることが出来る。
【0005】
そして、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにしたので、熱分解ガス中の炭化水素ガス成分(メタンガス、エタンガス等)をエネルギーとして利用して熱分解機構を昇温することが出来る。
すなわち、有機系廃棄物を熱分解して発生した熱分解ガスを、(焼却炉のようにそのまま焼却処理して何ら有効利用することなくCO2として大気中に排出するのではなく)自己熱源として活用(補助エネルギー)することが出来る。
【0006】
また、有機系廃棄物を熱分解して炭化物を得ることができ、この炭化物を賦活して活性炭などとして二次的に有効利用することが出来る。
つまり、この有機系廃棄物の自己処理装置は、単なる焼却炉ではなく、焼却炉と実質的に同一のものでもなく、熱分解ガスの有効利用をすることが可能な炭化炉ということが出来る。
【発明の効果】
【0007】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
有機系廃棄物を熱分解して発生した熱分解ガスを、自己熱源として活用することができるので、従来よりもコストが掛からない有機系廃棄物の自己処理装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
この実施形態の有機系廃棄物の自己処理装置は、低酸素濃度雰囲気下で有機系廃棄物を昇温して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有し、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにしたことを特徴とする。
この有機系廃棄物の自己処理装置は、低酸素濃度雰囲気下(燃焼がおこらない限界酸素濃度以下)で有機系廃棄物を昇温(例えば650-900℃)して熱分解ガスを発生させる熱分解機構を有するので、有機系廃棄物たる廃プラスチック類(PE、PP、PET等)や高濃度有機廃液(例えばCOD20,000ppm以上)を熱分解して炭化水素ガスを発生させることが出来る。
【0009】
そして、発生した熱分解ガスを前記熱分解機構の昇温エネルギーとして利用してから排出するようにしたので、熱分解ガス中の炭化水素ガス成分(メタンガス、エタンガス等)をエネルギーとして利用して熱分解機構を昇温することが出来る。
すなわち、有機系廃棄物を熱分解して発生した熱分解ガスを、(焼却炉のようにそのまま焼却処理して何ら有効利用することなくCO2として大気中に排出するのではなく)自己熱源として活用(補助エネルギー)することが出来る。
【0010】
次に、この実施形態の有機系廃棄物の自己処理装置の使用状態を説明する。
この有機系廃棄物の自己処理装置は、有機系廃棄物を熱分解して発生した熱分解ガスを、自己熱源として活用(=補助エネルギー)することができるので、従来よりもコストが掛からないという利点を有する。
【0011】
また、有機系廃棄物を熱分解して炭化物を得ることができ、この炭化物を賦活して活性炭などとして二次的に有効利用することができるという利点を有する。
つまり、この有機系廃棄物の自己処理装置は、単なる焼却炉ではなく、焼却炉と実質的に同一のものでもなく、熱分解ガスの有効利用をすることが可能な炭化炉ということが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0012】
従来よりもコストが掛からないことによって、種々の有機系廃棄物の自己処理装置の用途に適用することができる。