(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167078
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】クランプセンサおよび測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/22 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
G01R1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072615
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 哲也
(57)【要約】
【課題】製造コストの低減を図りつつ、ロック状態/非ロック状態への移行操作を確実かつ容易に行うことができ、かつロック状態/非ロック状態のいずれに移行されているかを確実かつ容易に認識可能とする。
【解決手段】操作用アーム21に端部23aが軸支されると共に、操作用アーム22に端部23bが当接しないように操作用アーム21に対して回動させられた「第1の状態」において両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を許容し、かつ操作用アーム22に端部23bが当接するように操作用アーム21に対して回動させられた「第2の状態」において両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を規制する回動規制部材23を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状に形成されると共に先端部同士が当接させられた閉状態において環状のセンサ部を構成する一対のクランプアームを備えると共に、当該両クランプアームにおける基端部の近傍に配設された回動軸を中心として前記先端部同士を接離させるようにして当該両クランプアームを回動可能に構成されたクランプセンサであって、
前記両クランプアームの前記基端部にそれぞれ延設されると共に互いに近接させるように前記回動軸を中心として回動させることによって当該両クランプアームを前記先端部同士が離間させられた開状態に移行可能に構成された一対の操作用アームと、
一方の前記操作用アームに一端部が軸支されると共に、他方の前記操作用アームに他端部が当接しないように当該一方の操作用アームに対して回動させられた第1の状態において前記両クランプアームを前記閉状態から前記開状態に移行させる向きへの当該他方の操作用アームに対する当該一方の操作用アームの相対的な回動を許容し、かつ前記他方の操作用アームに前記他端部が当接するように当該一方の操作用アームに対して回動させられた第2の状態において前記両クランプアームを前記閉状態から前記開状態に移行させる向きへの当該他方の操作用アームに対する当該一方の操作用アームの相対的な回動を規制するアーム回動規制部材とを備えているクランプセンサ。
【請求項2】
前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームは、前記回動軸の軸線方向に沿って見たときに前記第2の状態において当該アーム回動規制部材の前記一端部および前記他端部を通過する仮想直線と、当該他方の操作用アームにおいて前記他端部が当接する被当接面とが直交またはほぼ直交するように形成されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項3】
前記アーム回動規制部材および前記一方の操作用アームには、前記第1の状態における当該アーム回動規制部材の回動を規制する第1の部材回動規制部が設けられている請求項1または2記載のクランプセンサ。
【請求項4】
前記第1の部材回動規制部は、前記アーム回動規制部材および前記一方の操作用アームにそれぞれ配設された第1の永久磁石を備え、当該両第1の永久磁石の吸着力によって当該アーム回動規制部材の回動を規制可能に構成されている請求項3記載のクランプセンサ。
【請求項5】
前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームには、前記第2の状態における当該アーム回動規制部材の回動を規制する第2の部材回動規制部が設けられている請求項1から4のいずれかに記載のクランプセンサ。
【請求項6】
前記第2の部材回動規制部は、前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームにそれぞれ配設された第2の永久磁石を備え、当該両第2の永久磁石の吸着力によって当該アーム回動規制部材の回動を規制可能に構成されている請求項5記載のクランプセンサ。
【請求項7】
前記両操作用アームは、前記一方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の端部と前記回動軸との間の第1の距離が前記他方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の端部と前記回動軸との間の第2の距離よりも短くなるように形成され、
前記アーム回動規制部材は、前記第1の状態において前記他端部が前記一方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の前記端部に位置するように当該一方の操作用アームに軸支されている請求項1から6のいずれかに記載のクランプセンサ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のクランプセンサと、
前記クランプセンサによってクランプしたクランプ対象についての被測定量を測定する測定部とを備えている測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部同士が近接させられた閉状態において環状のセンサ部を構成する一対のクランプアームを備えると共に、先端部同士を接離させるようにして両クランプアームを回動可能に構成されたクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えて構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプセンサとして、出願人は、開閉自在な一対のクランプ部を備えたクランプセンサを下記の特許文献に開示している。
【0003】
出願人が開示しているクランプセンサでは、両クランプ部の基端部が外ケース部(本体部)内の一対の支軸によって回動可能に軸支されると共に、先端部同士が当接した状態(閉状態)となるようにコイルスプリングによって両クランプ部が常時付勢されている。また、出願人が開示しているクランプセンサは、両クランプ部の先端部同士を離間させた状態(開状態)に移行させるための一対の操作レバーを備えている。この場合、このクランプセンサにおける両操作レバーは、外ケース部(本体部)の左右両側部に配設されて外ケース部内の一対の支軸によって軸支されると共に、支軸によって軸支されている側とは逆側の端部(以下、「操作側端部」ともいう)を互いに接近させるようにして外ケース部に対して回動させられることで両クランプ部を開状態に移行させることができるように構成されている。
【0004】
さらに、出願人が開示しているクランプセンサは、閉状態の両クランプ部が意図せずに開状態に移行するのを阻止するためのロック機構を備えている。この場合、このクランプセンサにおけるロック機構は、操作片および開口阻止片等を備えている。このロック機構では、外ケース部に対する操作片のスライド操作に伴って閉状態の両クランプ部における基端部の間に開口阻止片が移動させられることで両クランプ部の回動(すなわち、閉状態から開状態への移行)が規制される。また、外ケース部に対する操作片の逆向きへのスライド操作に伴って両クランプ部における基端部の間から開口阻止片が待避させられることで両クランプ部の回動(開状態への移行)が許容される。
【0005】
このクランプセンサの使用に際しては、閉状態に移行させられている両クランプ部を開状態に移行させる。この際に、ロック機構によって開状態への移行が規制されているときには、操作片をスライド操作して開口阻止片を両クランプ部の間から待避させることで規制を解除する。次いで、操作側端部を互いに接近させるようにして両操作レバーを外ケース部に対して回動させる。この際には、両クランプ部の基端部が両操作レバーによって押圧されることで両クランプ部がコイルスプリングの付勢力に抗して回動させられて開状態に移行させられる。この状態で、両クランプ部の先端部間を通過させるようにして両クランプ部の間にクランプ対象(被測定導体)を位置させる。
【0006】
続いて、両操作レバーに加えている操作力を弱める。この際には、コイルスプリングの付勢力によって両クランプ部が回動させられて閉状態に移行させられる。次いで、操作片をスライド操作して開口阻止片を両クランプ部の間に移動させる。これにより、ロック機構(開口阻止片)によって両クランプ部の回動が規制されて閉状態から開状態への移行が規制された状態となる。以上により、クランプセンサを保持している手が両操作レバーに触れたとしても、両クランプ部が閉状態に維持される。この後、クランプセンサを介して検出した信号に基づき、クランプ対象についての被測定量を測定する。また、測定作業を終了したときには、上記の操作方法と同様にして両クランプ部を開状態に移行させてクランプ対象からクランプセンサを離脱させる。これにより、一連の作業が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-125410号公報(第3-6頁、第1-5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、出願人が開示しているクランプセンサには、以下のような改善すべき課題が存在する。
【0009】
具体的には、出願人が開示しているクランプセンサでは、両クランプ部が外ケース部内において別個の支軸によって軸支されると共に、両操作レバーが外ケース部内において別個の支軸によって軸支されている。つまり、このクランプセンサでは、両クランプ部を開閉可能とするために、両クランプ部とは別個に形成された一対の操作レバーや、両クランプ部および両操作レバーをそれぞれ軸支するための4つの支軸が必要となっている。また、出願人が開示しているクランプセンサでは、閉状態に移行させられた両クランプ部における基端部の間に開口阻止片を移動させることで両クランプ部の回動、すなわち、両クランプ部の閉状態から開状態への移行を規制可能なロック機構を備えている。この場合、このロック機構は、開口阻止片や操作片の他に、操作片と共にスライドさせられる従動片、従動片を操作片に固定するためのネジ、および開口阻止片の過剰な変形を阻止するための過変形抑止片などの多数の部材を備えて構成されている。このため、このクランプセンサでは、構成部品の数が多く、製造時の組立て作業も煩雑となっており、これに起因して、製造コストの低減が困難となっている現状がある。
【0010】
また、出願人が開示しているクランプセンサのロック機構では、一方の手でクランプセンサを保持しつつ他方の手で操作片を操作したり、クランプセンサを保持している手の親指で操作片を操作したりする操作方法を想定して外ケース部(本端部)に操作片が配設されている。この場合、このクランプセンサでは、外ケース部(本体部)の正面側のみに操作片が配設されている。したがって、クランプセンサを無造作に片手で保持したときに、保持した手の掌側に操作片が存在する状態となることがあり、かかる場合には、操作片の操作に先立ってクランプセンサを他方の手で保持し直す必要が生じる。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0011】
さらに、出願人が開示しているクランプセンサでは、両クランプ部における基端部や、ロック機構における開口阻止片が外ケース部内に収容されている。このため、このクランプセンサでは、両クランプ部における基端部の間に開口阻止片が移動させられているか否か(クランプセンサがロック状態であるか否か)を視覚的に把握することが困難となっている。したがって、クランプ対象のクランプ時やクランプ対象からのクランプセンサの取り外しに際して、クランプセンサがロック状態であるにも拘わらずの非ロック状態であると誤認してスムースに両クランプ部を開状態に移行させることができないおそれがある。また、クランプ対象をクランプした状態のクランプセンサが非ロック状態であるにも拘わらずロック状態であると誤認して意図せずに開状態に移行させてしまったり、振動等の外的要因によってクランプセンサが意図せずに開状態に移行してしまったりして、正確な測定値を得るのが困難となるおそれもある。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0012】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図りつつ、ロック状態/非ロック状態への移行操作を確実かつ容易に行うことができ、かつロック状態/非ロック状態のいずれに移行されているかを確実かつ容易に認識し得るクランプセンサおよび測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載のクランプセンサは、弧状に形成されると共に先端部同士が当接させられた閉状態において環状のセンサ部を構成する一対のクランプアームを備えると共に、当該両クランプアームにおける基端部の近傍に配設された回動軸を中心として前記先端部同士を接離させるようにして当該両クランプアームを回動可能に構成されたクランプセンサであって、前記両クランプアームの前記基端部にそれぞれ延設されると共に互いに近接させるように前記回動軸を中心として回動させることによって当該両クランプアームを前記先端部同士が離間させられた開状態に移行可能に構成された一対の操作用アームと、一方の前記操作用アームに一端部が軸支されると共に、他方の前記操作用アームに他端部が当接しないように当該一方の操作用アームに対して回動させられた第1の状態において前記両クランプアームを前記閉状態から前記開状態に移行させる向きへの当該他方の操作用アームに対する当該一方の操作用アームの相対的な回動を許容し、かつ前記他方の操作用アームに前記他端部が当接するように当該一方の操作用アームに対して回動させられた第2の状態において前記両クランプアームを前記閉状態から前記開状態に移行させる向きへの当該他方の操作用アームに対する当該一方の操作用アームの相対的な回動を規制するアーム回動規制部材とを備えている。
【0014】
請求項2記載のクランプセンサは、請求項1記載のクランプセンサにおいて、前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームは、前記回動軸の軸線方向に沿って見たときに前記第2の状態において当該アーム回動規制部材の前記一端部および前記他端部を通過する仮想直線と、当該他方の操作用アームにおいて前記他端部が当接する被当接面とが直交またはほぼ直交するように形成されている。
【0015】
請求項3記載のクランプセンサは、請求項1または2記載のクランプセンサにおいて、前記アーム回動規制部材および前記一方の操作用アームには、前記第1の状態における当該アーム回動規制部材の回動を規制する第1の部材回動規制部が設けられている。
【0016】
請求項4記載のクランプセンサは、請求項3記載のクランプセンサにおいて、前記第1の部材回動規制部は、前記アーム回動規制部材および前記一方の操作用アームにそれぞれ配設された第1の永久磁石を備え、当該両第1の永久磁石の吸着力によって当該アーム回動規制部材の回動を規制可能に構成されている。
【0017】
請求項5記載のクランプセンサは、請求項1から4のいずれかに記載のクランプセンサにおいて、前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームには、前記第2の状態における当該アーム回動規制部材の回動を規制する第2の部材回動規制部が設けられている。
【0018】
請求項6記載のクランプセンサは、請求項5記載のクランプセンサにおいて、前記第2の部材回動規制部は、前記アーム回動規制部材および前記他方の操作用アームにそれぞれ配設された第2の永久磁石を備え、当該両第2の永久磁石の吸着力によって当該アーム回動規制部材の回動を規制可能に構成されている。
【0019】
請求項7記載のクランプセンサは、請求項1から6のいずれかに記載のクランプセンサにおいて、前記両操作用アームは、前記一方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の端部と前記回動軸との間の第1の距離が前記他方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の端部と前記回動軸との間の第2の距離よりも短くなるように形成され、前記アーム回動規制部材は、前記第1の状態において前記他端部が前記一方の操作用アームにおける前記クランプアーム側とは逆側の前記端部に位置するように当該一方の操作用アームに軸支されている。
【0020】
請求項8記載の測定装置は、請求項1から7のいずれかに記載のクランプセンサと、前記クランプセンサによってクランプしたクランプ対象についての被測定量を測定する測定部とを備えている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載のクランプセンサでは、両クランプアームの基端部にそれぞれ延設されると共に互いに近接させるように回動軸を中心として回動させることによって両クランプアームを先端部同士が離間させられた開状態に移行可能に構成された一対の操作用アームと、一方の操作用アームに一端部が軸支されると共に、他方の操作用アームに他端部が当接しないように一方の操作用アームに対して回動させられた第1の状態において両クランプアームを閉状態から開状態に移行させる向きへの他方の操作用アームに対する一方の操作用アームの相対的な回動を許容し、かつ他方の操作用アームに他端部が当接するように一方の操作用アームに対して回動させられた第2の状態において両クランプアームを閉状態から開状態に移行させる向きへの他方の操作用アームに対する一方の操作用アームの相対的な回動を規制するアーム回動規制部材とを備えている。また、請求項8記載の測定装置では、上記のクランプセンサと測定部とを備えて構成されている。
【0022】
したがって、請求項1記載のクランプセンサ、および請求項8記載の測定装置によれば、一方のクランプアームおよび一方の操作用アームを一体形成し、かつ他方のクランプアームおよび他方の操作用アームを一体形成すると共に、一方の操作用アームに軸支させたアーム回動規制部材だけで両操作用アームの操作を規制可能な簡易な構成を採用したことにより、クランプセンサの構成部品の数を十分に減少させることができるため、部品の製作コストや組立てコストを十分に低減できる結果、クランプセンサの製造コストを十分に低減することができる。また、アーム回動規制部材が一方の操作用アームと他方の操作用アームとの間に配設されているため、クランプセンサの正面側および背面側のいずれからでも一方の操作用アームに対してアーム回動規制部材を回動させることができる。したがって、クランプセンサを無造作に保持したとしても、他方の手で保持し直すことなく、第1の状態(非ロック状態)と第2の状態(ロック状態)との間での移行操作を確実かつ容易に行うことができる。また、クランプセンサの正面側および背面側のいずれからでも一方の操作用アームに対するアーム回動規制部材の回動位置を視認することができるため、第1の状態(非ロック状態)および第2の状態(ロック状態)のいずれであるかを確実かつ容易に認識することができる。これにより、第2の状態であるとの誤認に起因して意図せずに開状態に移行させてしまったり、振動等の外的要因によって意図せずに開状態に移行してしまったりする事態を好適に回避することができ、正確な測定値を得ることができる。
【0023】
また、請求項2記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、回動軸の軸線方向に沿って見たときに第2の状態においてアーム回動規制部材の一端部および他端部を通過する仮想直線と、他方の操作用アームにおいて他端部が当接する被当接面とが直交またはほぼ直交するようにアーム回動規制部材および他方の操作用アームを形成したことにより、アーム回動規制部材が第2の状態(ロック状態)となっているときに両操作用アームを互いに接近させる向きの力が加えられてとしても、一方の操作用アームからアーム回動規制部材を介して他方の操作用アームに加わる力が、他方の操作用アームの被当接面に対して垂直、またはほぼ垂直に加わる結果、被当接面に沿ったアーム回動規制部材の他端部の滑り、すなわち、他方の操作用アームに対するアーム回動規制部材の滑りが生じ難いため、アーム回動規制部材の他端部を他方の操作用アームの被当接面に当接させた状態、すなわち第2の状態(ロック状態)を好適に維持することができる。
【0024】
また、請求項3記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、第1の状態におけるアーム回動規制部材の回動を規制する第1の部材回動規制部をアーム回動規制部材および一方の操作用アームに設けたことにより、両操作用アームの操作時にアーム回動規制部材が一方の操作用アームに対して回動してアーム回動規制部材の他端部が他方の操作用アームに接した状態となって両操作用アームの操作が妨げられる事態を好適に回避することができる。
【0025】
また、請求項4記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、アーム回動規制部材および一方の操作用アームにそれぞれ配設された第1の永久磁石を備え、両第1の永久磁石の吸着力によってアーム回動規制部材の回動を規制可能に第1の部材回動規制部を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、一方の操作用アームに対するアーム回動規制部材の意図しない回動を好適に規制することができる。また、ボールノッチ機構などの機械式位置決め構造を採用した場合とは異なり、減耗する部材が存在しないため、長期間に亘って第1の部材回動規制部を好適に機能させることができる。
【0026】
また、請求項5記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、第2の状態におけるアーム回動規制部材の回動を規制する第2の部材回動規制部をアーム回動規制部材および他方の操作用アームに設けたことにより、第2の状態(ロック状態)に移行させたアーム回動規制部材が一方の操作用アームに対して意図せずに回動して両クランプアームを閉状態に維持することができなくなる事態を好適に回避することができる。
【0027】
また、請求項6記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、アーム回動規制部材および他方の操作用アームにそれぞれ配設された第2の永久磁石を備え、両第2の永久磁石の吸着力によってアーム回動規制部材の回動を規制可能に第2の部材回動規制部を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、一方の操作用アームに対するアーム回動規制部材の意図しない回動を好適に規制することができる。また、ボールノッチ機構などの機械式位置決め構造を採用した場合とは異なり、減耗する部材が存在しないため、長期間に亘って第2の部材回動規制部を好適に機能させることができる。
【0028】
また、請求項7記載のクランプセンサ、およびそのクランプセンサを備えた測定装置によれば、一方の操作用アームにおけるクランプアーム側とは逆側の端部と回動軸との間の第1の距離が他方の操作用アームにおけるクランプアーム側とは逆側の端部と回動軸との間の第2の距離よりも短くなるように両操作用アームを形成し、第1の状態において他端部が一方の操作用アームにおけるクランプアーム側とは逆側の端部に位置するように一方の操作用アームにアーム回動規制部材を軸支させたことにより、クランプセンサを片手で保持する際に、人差し指、中指、薬指および小指を他方の操作用アームの外縁部に添えた状態において、親指を他方の操作用アームの外縁部におけるクランプアーム側とは逆側の端部に自然な姿勢で添えることができる。これにより、両クランプアームの開閉作業を確実かつ一層容易に行うことができる。また、両操作用アームの操作によって両クランプアームを閉状態に移行させた後に、一方の操作用アームのクランプアーム側とは逆側の端部に位置しているアーム回動規制部材の他端部を親指で操作することでアーム回動規制部材をスムースに第2の状態(ロック状態)に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】センサ部10の開状態への移行が規制された状態のクランプセンサ2の外観斜視図である。
【
図3】センサ部10の開状態への移行が許容された状態のクランプセンサ2の外観斜視図である。
【
図4】センサ部10が開状態に移行させられた状態のクランプセンサ2の外観斜視図である。
【
図5】センサ部10の開状態への移行が許容された状態のクランプセンサ2における操作部20の断面図である。
【
図6】センサ部10の開状態への移行が規制された状態のクランプセンサ2における操作部20の断面図である。
【
図7】センサ部10の開状態への移行が許容された状態のクランプセンサ2を回動軸30の軸線方向に沿って見た外観図である。
【
図8】センサ部10が開状態に移行させられた状態のクランプセンサ2を回動軸30の軸線方向に沿って見た外観図である。
【
図9】センサ部10の開状態への移行が規制された状態のクランプセンサ2を回動軸30の軸線方向に沿って見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1に示す測定装置1は、「測定装置」の一例である非接触型電流測定装置であって、クランプ対象X(電線等)に電流が流れることでクランプ対象Xの周囲に生じる磁界を検出し、検出した磁界の大きさに基づいてクランプ対象Xに流れている電流の電流値(「被測定量」の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、この測定装置1は、クランプセンサ2および測定装置本体3を備えて構成されている。
【0032】
クランプセンサ2は、「クランプセンサ」の一例であって、
図2~4に示すように、センサ部10、操作部20、回動軸30(
図5~9参照)および信号ケーブル40を備えている。センサ部10は、弧状に形成されたクランプアーム11,12(「一対のクランプアーム」の一例)を備え、
図2,3に示すように、端部11a,12a同士が当接させられ、かつ端部11b,12b同士が当接させられた閉状態において環状の磁気検出回路(図示せず)が形成されるように構成されている。この場合、本例のクランプセンサ2では、端部11a,12aが「先端部」に相当すると共に、端部11b,12bが「基端部」に相当する。
【0033】
操作部20は、クランプアーム11の端部11bに延設された(クランプアーム11と一体形成された)操作用アーム21、およびクランプアーム12の端部12bに延設された(クランプアーム12と一体形成された)操作用アーム22(「一対の操作用アーム」の一例)を備えている。つまり、本例のクランプセンサ2では、クランプアーム11の端部11bと操作用アーム21の端部21aとが連続するようにして1つの棒状の部材が構成されると共に、クランプアーム12の端部12bと操作用アーム22の端部22aとが連続するようにして他の1つの棒状の部材が構成されている。
【0034】
この場合、本例のクランプセンサ2では、
図7~9に示すように、操作用アーム21の端部21aおよび操作用アーム22の端部22a(「両クランプアームにおける基端部の近傍」の一例)に配設された回動軸30(「回動軸」の一例)を中心として両クランプアーム11,12および操作用アーム21,22を回動させることができるように構成されている。また、このクランプセンサ2では、
図4,8に示すように、操作用アーム21,22(操作用アーム21の端部21bおよび操作用アーム22の端部22b同士)を互いに接近させるように回動軸30を中心として操作用アーム21,22を回動させることにより、両クランプアーム11,12を、端部11a,12a同士が離間させられ、かつ端部11b,12b同士が離間させられた開状態に移行させることができるように構成されている。
【0035】
なお、本例のクランプセンサ2では、端部21b,22bが「クランプアーム側とは逆側の端部」に相当する。また、実際のクランプセンサ2には、両操作用アーム21,22を互いに離間する向きに付勢する付勢部材が操作用アーム21,22内に収容されると共に、センサ部10における磁気検出回路と信号ケーブル40との間に設けられるセンサ基板が操作用アーム22内に収容されているが、クランプセンサ2の構成に関する理解を容易とするために、これらについての図示および詳細な説明を省略する。
【0036】
また、このクランプセンサ2では、
図7に示すように、操作用アーム21(「一方の操作用アーム」の一例)における端部21bと回動軸30との間の距離L21(「第1の距離」の一例)が、操作用アーム22(「他方の操作用アーム」の一例)における端部22bと回動軸30との間の距離L22(「第2の距離」の一例)よりも短くなるように両操作用アーム21,22が形成されている。
【0037】
この場合、本例のクランプセンサ2における操作用アーム21,22は、
図7~9に示すように、回動軸30の軸線方向に沿って見たときに、操作用アーム21における操作用アーム22側とは逆側の外縁部E21o、および操作用アーム22における操作用アーム21側とは逆側の外縁部E22oの双方が同じ向きに湾曲した湾曲形状となるように形成されている。具体的には、操作用アーム21,22は、軸線方向に沿って見たときに、外縁部E21o,E22oが操作用アーム21から操作用アーム22に向かう向き(
図7~9における下向き)に湾曲した湾曲形状に形成されている。
【0038】
この場合、本例のクランプセンサ2では、成人が片手でクランプセンサ2を保持したときに、その人差し指、中指、薬指および小指の4本の指における中節骨の部位が位置する弧状の位置に応じた緩やかな曲率で操作用アーム22の外縁部E22oが湾曲させられている。また、操作用アーム21の外縁部E21oは、操作用アーム22の外縁部E22oとほぼ同じ形状(ほぼ同じ曲率)で緩やかに湾曲させられている。
【0039】
また、本例のクランプセンサ2における操作用アーム21,22は、軸線方向に沿って見たときに、操作用アーム21における操作用アーム22側の外縁部E21i、および操作用アーム22における操作用アーム21側の外縁部E22iの双方が、操作用アーム21の外縁部E21oおよび操作用アーム22の外縁部E22oと同じ向き(本例では、操作用アーム21から操作用アーム22に向かう向き)に湾曲した湾曲形状に形成されている。
【0040】
さらに、本例の操作用アーム21,22は、軸線方向に沿って見たときに、外縁部E21iにおいて外縁部E22iと対向する部位、および外縁部E22iにおいて外縁部E21iと対向する部位が同じ形状となっており、両クランプアーム11,12が相補的な形状となっている。これにより、本例のクランプセンサ2では、
図8に示すように、両クランプアーム11,12を開状態に移行させる操作時(両操作用アーム21,2を互いに接近させる操作時)に、操作用アーム21の外縁部E21iと操作用アーム22の外縁部E22iとがほぼ密着して両操作用アーム21,22の間に隙間が生じない状態となっている。
【0041】
また、
図2~4に示すように、本例のクランプセンサ2では、回動規制部材23(「アーム回動規制部材」の一例)が操作用アーム21に取り付けられている。具体的には、回動規制部材23は、一例として、操作用アーム21に対して回動可能に端部23a(「一端部」の一例)が操作用アーム21の両端部21a,21bの中間部に軸支されている。
【0042】
この回動規制部材23は、
図7,8に示すように、端部23b(「他端部」の一例)が操作用アーム22に当接しないように操作用アーム21に対して回動させられた状態(非ロック状態:一例として、端部23bが操作用アーム21における端部21b側に位置するように回動させられた状態:「第1の状態」の一例)においてクランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を許容する。
【0043】
この場合、本例のクランプセンサ2では、非ロック状態において端部23bが操作用アーム21の端部21b(「一方の操作用アームにおけるクランプアーム側とは逆側の端部」の一例)に位置するように回動規制部材23が操作用アーム21に軸支されている。また、本例のクランプセンサ2では、
図5に示すように、非ロック状態において回動規制部材23が操作用アーム21と一体化して1本の棒体のようになり、かつ操作用アーム21,22の間に回動規制部材23が存在しない状態となるように、操作用アーム21に対する回動規制部材23の軸支の位置、回動規制部材23の長さ、および回動規制部材23の形状等が規定されている。これにより、本例のクランプセンサ2では、両クランプアーム11,12を開状態に移行させる操作時に操作用アーム21の外縁部E21iと操作用アーム22の外縁部E22iとを十分に接近させる(両外縁部E21i,E22iを密着させる)ことが可能となっている。
【0044】
さらに、回動規制部材23は、
図9に示すように、端部23bが操作用アーム22の外縁部E22iに当接するように操作用アーム21に対して回動させられた状態(ロック状態:「第2の状態」の一例)においてクランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を規制する。
【0045】
この場合、本例のクランプセンサ2では、
図6に示すように、回動軸30の軸線方向に沿って見たときに、ロック状態における回動規制部材23の両端部23a,23bを通過する仮想直線(同図に示す一点鎖線L1:「仮想直線」の一例)と、操作用アーム22において回動規制部材23の端部23b(当接面F23)が当接する被当接面F22(同図に示す二点鎖線L2に沿った面:「被当接面」の一例)とが直交(または、ほぼ直交)するように回動規制部材23および操作用アーム22が形成されている。
【0046】
また、本例のクランプセンサ2では、
図5に示すように、操作用アーム21の端部21bにマグネットM21が配設されると共に、回動規制部材23の端部23bにマグネットM23が配設されている。これにより、本例のクランプセンサ2では、回動規制部材23を非ロック状態に移行させたときに、両マグネットM21,M23の吸着力によって回動規制部材23の端部23bが操作用アーム21の端部21bに引き寄せられた状態が維持され、操作用アーム21に対する回動規制部材23の回動が規制される構成が採用されている。なお、本例では、マグネットM21,M23が「第1の永久磁石」に相当し、このマグネットM21,M23によって「第1の部材回動規制部」が構成されている。
【0047】
また、本例のクランプセンサ2では、
図6に示すように、操作用アーム22における両端部22a,22bの中間部にマグネットM22が配設されている。これにより、本例のクランプセンサ2では、回動規制部材23をロック状態に移行させたときに、このマグネットM22と回動規制部材23のマグネットM23との吸着力によって回動規制部材23の端部23bが操作用アーム22のE22iに引き寄せられた状態が維持され、操作用アーム21に対する回動規制部材23の回動(すなわち、ロック状態の解除)が規制される構成が採用されている。なお、本例では、マグネットM22,M23が「第2の永久磁石」に相当し、このマグネットM22,M23によって「第2の部材回動規制部」が構成されている(マグネットM23を「第1の部材回動規制部」および「第2の部材回動規制部」で共用する構成の例)。
【0048】
また、本例のクランプセンサ2では、
図7,9に示すように、閉状態におけるセンサ部10の最大の幅W10の範囲内に操作部20が存在するように(操作部20の最大の幅W20がセンサ部10の最大の幅W10以下となるように)、両クランプアーム11,12や両操作用アーム21,22のそれぞれの長さおよび形状が規定されている。
【0049】
また、本例のクランプセンサ2では、クランプセンサ2を測定装置本体3に接続するための信号ケーブル40(「接続用ケーブル」の一例)が操作用アーム22内において前述のセンサ基板に接続されると共に、
図2~4に示すように、操作用アーム22における端部22bから操作用アーム22の外部に引き出されている。さらに、信号ケーブル40の先端部には、測定装置本体3に接続するための接続用コネクタ(図示せず)が接続されている。
【0050】
一方、測定装置本体3は、一例として、「外部」および「測定部」に相当する構成要素、並びに、測定条件等を設定するための複数の操作スイッチを有する「操作部」、および測定結果を表示するための「表示部」などが一体的に構成されると共に、クランプセンサ2の信号ケーブル40を接続/取外しすることができるように構成されている。この測定装置本体3には、信号ケーブル40や、前述のセンサ基板を介してクランプセンサ2のセンサ部10(磁気検出回路)に接続される測定回路が収容されている。なお、このような測定装置本体3の構成に代えて、「外部」および「測定部」に相当する構成要素と、「操作部」や「表示部」などとを別体に構成することもできる。
【0051】
この測定装置1では、保管時や搬送時に、一例として、クランプセンサ2(信号ケーブル40)を測定装置本体3から取り外すと共に、
図2,9に示すように、回動規制部材23をロック状態に移行させる。これにより、前述のように閉状態のセンサ部10における最大の幅W10の範囲内に操作部20が存在するスマートな状態でクランプセンサ2を保管・搬送することができると共に、センサ部10の開状態への意図しない移行が規制されることで、両クランプアーム11,12における端部11a,12bの間に異物が挟み込まれて両クランプアーム11,12が変形したり破損したりするのを好適に回避することができる。
【0052】
一方、この測定装置1によってクランプ対象Xに流れている電流の電流値を測定する際には、まず、測定装置本体3にクランプセンサ2(信号ケーブル40)を接続する。次いで、上記のように回動規制部材23がロック状態に移行させられているときには、操作用アーム21に対して回動規制部材23を回動させて、
図3,7に示すように、非ロック状態に移行させる。これにより、両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる操作が許容される。
【0053】
この場合、本例のクランプセンサ2では、回動規制部材23の端部23bが操作用アーム21の端部21bに位置するまで操作用アーム21に対して回動規制部材23を回動させることにより、端部21bに配設されているマグネットM21と端部23bに配設されているマグネットM23との吸着力によって操作用アーム21に対する回動規制部材23の意図しない回動が規制される。これにより、非ロック状態の回動規制部材23が操作用アーム21に対して意図せずに回動して両操作用アーム21,22を互いに接近させる後述の操作が妨げられる事態を回避することが可能となっている。
【0054】
続いて、一例として、クランプセンサ2の操作部20に掌に添えると共に、人差し指、中指、薬指および小指を折り曲げて各指の中節骨の部位を操作用アーム22の外縁部E22oに添え、かつ親指の腹を操作用アーム21の外縁部E21oに添えるようにしてクランプセンサ2を片手で保持する。次いで、親指を人差し指に近づけるようにして操作用アーム21を操作する。この際には、図示しない付勢部材の付勢力に抗して操作用アーム21が回動軸30を中心として回動させられて操作用アーム22に対して操作用アーム21が接近させられる。また、操作用アーム22に対する操作用アーム21の回動に伴い、操作用アーム22と一体形成されているクランプアーム12に対して操作用アーム21と一体形成されているクランプアーム11が回動させられる。これにより、
図4,8に示すように、センサ部10が閉状態から開状態に移行させられて、クランプアーム11の端部11aとクランプアーム12の端部12aとが互いに離間すると共に、クランプアーム11の端部11bとクランプアーム12の端部12bとが互いに離間した状態となる。
【0055】
この場合、本例のクランプセンサ2では、人差し指、中指、薬指および小指の4本の指における中節骨の部位が位置する弧状の位置に応じた緩やかな曲率で操作用アーム22の外縁部E22oが湾曲させられている。したがって、操作用アーム22に対する操作用アーム21の回動に際して操作用アーム22に加わる力(上記の付勢部材の復元力)を4本の指でほぼ均等に受け止めることができるため、握力が弱い者であっても、操作用アーム21を十分に支えることができると共に、4本の指を操作用アーム22の外縁部E22oに添えた状態を好適に維持する(操作用アーム22に対する4本の指の滑りを好適に回避する)ことができる。
【0056】
また、本例のクランプセンサ2では、操作用アーム21の外縁部E21oが、操作用アーム22の外縁部E22oとほぼ同じ形状(ほぼ同じ曲率)で同じ向きに緩やかに湾曲させられている。したがって、操作用アーム22に対する操作用アーム21の回動に際して操作用アーム21に加わる力(上記の付勢部材の復元力)を親指の腹の十分に広い領域内でほぼ均等に受け止めることができるため、親指の腹に痛みを覚えることなく、操作用アーム21を好適に支えることができると共に、親指を操作用アーム21の外縁部E21oに添えた状態を好適に維持する(操作用アーム21に対する親指の滑りを好適に回避する)ことができる。また、外縁部E21o,E22oが同じ向きに同様に湾曲させられていることで、両操作用アーム21,22を互いに接近させたときに、両操作用アーム21,22の長手方向における全体において外縁部E21o,E22oの間の距離が十分に短くなる。これにより、両操作用アーム21,22を接近させた状態を小さな手でも確実かつ容易に維持することができる。
【0057】
さらに、クランプセンサ2では、前述したように、操作用アーム21の外縁部E21iにおいて操作用アーム22の外縁部E22iと対向する部位、および外縁部E22iにおいて外縁部E21iと対向する部位が同じ形状となっており、センサ部10を開状態に移行させる操作時に、両外縁部E21i,E22iがほぼ密着して両操作用アーム21,22の間に隙間が生じない状態となるように構成されている。したがって、両操作用アーム21,22に対して互いに接近させる向きに不要に強い力が加えられたとしても、操作用アーム21の外縁部E21iおよび操作用アーム22の外縁部E22iにおける十分に広い領域が接した状態となって外縁部E21iと外縁部E22iとの接触部位に加わる力が分散されるため、操作用アーム21,22の破損や変形を好適に回避することができる。
【0058】
この場合、本例のクランプセンサ2とは異なり、外縁部E21i,E22iの対向する部位の形状が相違する構成、すなわち、両操作用アーム21,22を互いに接近させたときに操作用アーム21,22の長手方向におけるいずれかの部位において外縁部E21i,E22iが点的に接する状態となる構成(図示せず)では、外縁部E21i,E22iにおいて点的に接する部位を支点として、両操作用アーム21,22の回動軸30による軸支部位を引き離そうとする力が加わり、回動軸30の変形や破損を招くおそれがある。これに対して、本例のクランプセンサ2では、外縁部E21i,E22iの対向する部位が同じ形状となっており、両操作用アーム21,22を互いに接近させたときに、上記の「支点」に相当する部位が生じることがなく、外縁部E21i,E22iが面的に接する状態となるため、回動軸30の変形や破損を好適に回避することができる。
【0059】
次いで、両クランプアーム11,12における端部11a,12aの間を通過させるようにしてクランプ対象Xをクランプアーム11,12の間に位置させる(クランプアーム11,12の間にクランプ対象Xが位置するようにクランプセンサ2を移動させる)。続いて、操作用アーム21を操作している親指の力を弱める。
【0060】
この際には、図示しない付勢部材の付勢力によって操作用アーム21が回動軸30を中心として上記の開状態への移行を目的とした操作時とは逆向きに回動させられて操作用アーム22に対して操作用アーム21が離間させられる。また、操作用アーム22に対する操作用アーム21の逆向きへの回動に伴い、操作用アーム22と一体形成されているクランプアーム12に対して操作用アーム21と一体形成されているクランプアーム11が開状態への移行を目的とした操作時とは逆向きに回動させられる。これにより、
図3,7に示すように、センサ部10が開状態から閉状態に移行させられて、クランプアーム11の端部11aとクランプアーム12の端部12aとが互いに接すると共に、クランプアーム11の端部11bとクランプアーム12の端部12bとが互いに接した状態となり、センサ部10に環状の磁気検出回路が形成される。
【0061】
次いで、マグネットM21,M23の吸着力に抗して回動規制部材23を操作用アーム21に対して回動させて、
図2,9に示すように、ロック状態に移行させる。具体的には、回動規制部材23の端部23b(当接面F23)が操作用アーム22の外縁部E22iにおける被当接面F22に当接するように操作用アーム21に対して回動規制部材23を回動させる。これにより、両操作用アーム21,22を互いに接近させる向きでの操作が規制され、センサ部10が閉状態に維持される。この場合、本例のクランプセンサ2では、操作用アーム22に配設されているマグネットM22と回動規制部材23に配設されているマグネットM23との吸着力によって回動規制部材23の端部23bが操作用アーム22の外縁部E22iに当接した状態が維持される。
【0062】
また、本例のクランプセンサ2では、回動規制部材23をロック状態に移行させたクランプセンサ2を回動軸30の軸線方向に沿って見たときに、回動規制部材23の両端部23a,23bを通過する仮想直線(回動規制部材23の延在方向に沿った仮想直線:
図6に示す一点鎖線L1)と、操作用アーム22において回動規制部材23の端部23bが当接する被当接面F22(
図6に示す二点鎖線L2)とが直交(または、ほぼ直交)している。このため、両操作用アーム21,22を相対的に接近させる向きの力が加わったときに、回動規制部材23の当接面F23が操作用アーム22の被当接面F22に対して垂直に(または、ほぼ垂直に)押し付けられるため、被当接面F22に沿った当接面F23の滑り(すなわち、操作用アーム22に対する端部23bの滑り)が生じ難くなっている。この結果、回動規制部材23の端部23bが操作用アーム22の外縁部E22iに当接した状態が一層好適に維持される。
【0063】
したがって、本例のクランプセンサ2では、ロック状態に移行させた回動規制部材23が操作用アーム21に対して意図せずに回動して両操作用アーム21,22を互いに接近させる向きでの操作が行われる事態が好適に回避される。これにより、両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる操作が規制されてセンサ部10が閉状態に維持される。以上により、クランプセンサ2によるクランプ対象Xのクランプが完了する。
【0064】
この後、測定装置本体3の操作部を操作して測定処理を開始させる。この際には、クランプ対象X(電線等)に電流が流れることでクランプ対象Xの周囲に生じる磁界がクランプセンサ2によって検出され、検出された磁界の大きさに基づいて測定装置本体3がクランプ対象Xに流れている電流の電流値を演算(測定)する。これにより、測定結果としての電流値が測定装置本体3の表示部に表示されて、一連の測定作業が完了する。
【0065】
また、測定作業を完了したときには、上記のクランプの作業時と逆の手順でクランプ対象Xを両クランプアーム11,12の間から移動させる(クランプ対象Xからクランプセンサ2を取り外す)。さらに、搬送や保管に際しては、前述したように、回動規制部材23をロック状態に移行させると共に、測定装置本体3からクランプセンサ2を取り外す。以上により、一連の作業が完了する。
【0066】
なお、本例のクランプセンサ2では、上記のように、両操作用アーム21,22に対して5本の指を添えるようにして片手で保持する操作方法に代えて、両操作用アーム21,22を親指と人差し指とで摘まむ(または、親指と、人差し指および中指とで摘まむ)ようにして保持することもできる。この場合、本例のクランプセンサ2では、外縁部E21o,E22oの間の距離が十分に短いため、両操作用アーム21,22を2本または2本の指で摘まむようにしてクランプセンサ2を確実かつ容易に保持してクランプアーム11,12を確実かつ容易に開閉することができる。これにより、両操作用アーム21,22に5本の指を添えるようにしてクランプセンサ2を片手で保持する場合と比較して、クランプ対象Xのクランプ時やクランプ対象Xからの取外し時に手首や肘などを無理に曲げ伸ばしすることなく、クランプセンサ2を様々な姿勢で保持して開閉することができる。したがって、狭い所に存在するクランプ対象Xや、高所または低所に存在するクランプ対象Xについても、クランプセンサ2を様々な姿勢で接近/離間させることができ、様々な姿勢で開閉することができるため、各種のクランプ対象Xについて、確実かつ容易にクランプしたり取り外したりすることができる。
【0067】
また、本例のクランプセンサ2では、両操作用アーム21,22の長手方向における中央部において大きく離間するように外縁部E21o,E22oが逆向きに湾曲させられた構成や、外縁部E21o,E22oが両操作用アーム21,22の長手方向に沿った直線状となっている構成とは異なり、外縁部E21o,E22oが同じ向きに湾曲した湾曲形状であることで、2本、または3本の指だけでクランプセンサ2を保持したときにも、湾曲形状の内側に添えた指の操作用アーム(本例では、操作用アーム21)に対する滑りが生じ難くなる。したがって、湾曲形状の外側に添えた指の操作用アーム(本例では、操作用アーム22)に対する滑りも生じ難くなる。これにより、2本、または3本の指だけでクランプセンサ2を確実に保持することができるため、クランプセンサ2の意図しない落下を好適に回避することができる。
【0068】
このように、このクランプセンサ2では、両クランプアーム11,12の端部11b,12bにそれぞれ延設されると共に互いに近接させるように回動軸30を中心として回動させることによって両クランプアーム11,12を端部11a,12a同士が離間させられた開状態に移行可能に構成された一対の操作用アーム21,22と、操作用アーム21に端部23aが軸支されると共に、操作用アーム22に端部23bが当接しないように操作用アーム21に対して回動させられた「第1の状態(非ロック状態)」において両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を許容し、かつ操作用アーム22に端部23bが当接するように操作用アーム21に対して回動させられた「第2の状態(ロック状態)」において両クランプアーム11,12を閉状態から開状態に移行させる向きへの操作用アーム22に対する操作用アーム21の相対的な回動を規制する回動規制部材23とを備えている。また、この測定装置1では、上記のクランプセンサ2と測定装置本体3とを備えて構成されている。
【0069】
したがって、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、クランプアーム11および操作用アーム21を一体形成し、かつクランプアーム12および操作用アーム22を一体形成すると共に、操作用アーム21に軸支させた回動規制部材23だけで操作用アーム21,22の操作を規制可能な簡易な構成を採用したことにより、クランプセンサ2の構成部品の数を十分に減少させることができるため、部品の製作コストや組立てコストを十分に低減できる結果、クランプセンサ2の製造コストを十分に低減することができる。また、回動規制部材23が操作用アーム21と操作用アーム22との間に配設されているため、クランプセンサ2の正面側および背面側のいずれからでも操作用アーム21に対して回動規制部材23を回動させることができる。したがって、クランプセンサ2を無造作に保持したとしても、他方の手で保持し直すことなく、「第1の状態(非ロック状態)」と「第2の状態(ロック状態)」との間での移行操作を確実かつ容易に行うことができる。また、クランプセンサ2の正面側および背面側のいずれからでも操作用アーム21に対する回動規制部材23の回動位置を視認することができるため、「第1の状態(非ロック状態)」および「第2の状態(ロック状態)」のいずれであるかを確実かつ容易に認識することができる。これにより、「第2の状態」であるとの誤認に起因して意図せずに開状態に移行させてしまったり、振動等の外的要因によって意図せずに開状態に移行してしまったりする事態を好適に回避することができ、正確な測定値を得ることができる。
【0070】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、回動軸30の軸線方向に沿って見たときに「第2の状態(ロック状態)」において回動規制部材23の端部23aおよび端部23bを通過する「仮想直線(
図6における一点鎖線L1)」と、操作用アーム22において端部23bが当接する被当接面F22(二点鎖線L2の面)とが直交またはほぼ直交するように回動規制部材23および操作用アーム22を形成したことにより、回動規制部材23が「第2の状態(ロック状態)」となっているときに両操作用アーム21,22を互いに接近させる向きの力が加えられてとしても、操作用アーム21から回動規制部材23を介して操作用アーム22に加わる力が、操作用アーム22の外縁部E22iにおける被当接面F22に対して垂直、またはほぼ垂直に加わる結果、被当接面F22に沿った端部23b(当接面F23)の滑り、すなわち、操作用アーム22に対する回動規制部材23の滑りが生じ難いため、回動規制部材23の端部23bを操作用アーム22の外縁部E22i(被当接面F22)に当接させた状態、すなわち「第2の状態(ロック状態)」を好適に維持することができる。
【0071】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、「第1の状態(非ロック状態)」における回動規制部材23の回動を規制する「第1の部材回動規制部(本例では、マグネットM21,M23)」を回動規制部材23および操作用アーム21に設けたことにより、操作用アーム21,22の操作時に回動規制部材23が操作用アーム21に対して回動して端部23bが操作用アーム22に接した状態となって操作用アーム21,22の操作が妨げられる事態を好適に回避することができる。
【0072】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、回動規制部材23および操作用アーム21にそれぞれ配設された「第1の永久磁石(マグネットM21,M23)」を備え、マグネットM21,M23の吸着力によって回動規制部材23の回動を規制可能に「第1の部材回動規制部」を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、操作用アーム21に対する回動規制部材23の意図しない回動を好適に規制することができる。また、ボールノッチ機構などの機械式位置決め構造を採用した場合とは異なり、減耗する部材が存在しないため、長期間に亘って「第1の部材回動規制部」を好適に機能させることができる。
【0073】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、「第2の状態(ロック状態)」における回動規制部材23の回動を規制する「第2の部材回動規制部(本例では、マグネットM22,M23)」を回動規制部材23および操作用アーム22に設けたことにより、「第2の状態(ロック状態)」に移行させた回動規制部材23が操作用アーム21に対して意図せずに回動して両クランプアーム11,12を閉状態に維持することができなくなる事態を好適に回避することができる。
【0074】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、回動規制部材23および操作用アーム22にそれぞれ配設された「第2の永久磁石(マグネットM22,M23)」を備え、両マグネットM22,M23の吸着力によって回動規制部材23の回動を規制可能に「第2の部材回動規制部」を構成したことにより、比較的簡易な構成でありながら、操作用アーム21に対する回動規制部材23の意図しない回動を好適に規制することができる。また、ボールノッチ機構などの機械式位置決め構造を採用した場合とは異なり、減耗する部材が存在しないため、長期間に亘って「第2の部材回動規制部」を好適に機能させることができる。
【0075】
また、このクランプセンサ2および測定装置1によれば、操作用アーム21におけるクランプアーム11側とは逆側の端部21bと回動軸30との間の「第1の距離」(
図7における距離L21)が操作用アーム22におけるクランプアーム12側とは逆側の端部22bと回動軸30との間の「第2の距離」(距離L22)よりも短くなるように両操作用アーム21,22を形成し、「第1の状態(非ロック状態)」において回動規制部材23の端部23bが操作用アーム21の端部21bに位置するように操作用アーム21に回動規制部材23を軸支させたことにより、クランプセンサ2を片手で保持する際に、人差し指、中指、薬指および小指を操作用アーム22の外縁部E22oに添えた状態において、親指を操作用アーム22の外縁部E22oにおける端部21b側に自然な姿勢で添えることができる。これにより、両クランプアーム11,12の開閉作業を確実かつ一層容易に行うことができる。また、両操作用アーム21,22の操作によって両クランプアーム11,12を閉状態に移行させた後に、操作用アーム21の端部21bに位置している回動規制部材23(端部23b)を親指で操作することで回動規制部材23をスムースに「第2の状態(ロック状態)」に移行させることができる。
【0076】
なお、「クランプセンサ」および「測定装置」の構成は、上記のクランプセンサ2および測定装置1の構成の例に限定されない。
【0077】
例えば、回動軸30の軸線方向に沿って見たときに操作用アーム21,22における外縁部E21o,E22oが同じ向きに湾曲する湾曲形状となるように両操作用アーム21,22を形成したクランプセンサ2の構成を例に挙げて説明したが、外縁部E21o,E22oについて、互いに相違する向きに湾曲する湾曲形状としたり、いずれか一方、または双方を、非湾曲形状(直線状や角形状など)としたりすることができる(図示せず)。同様にして、操作用アーム21,22における外縁部E21i,E22iのいずれか一方、または双方について、外縁部E21o,E22oとは逆向きに湾曲する湾曲形状としたり、非湾曲形状(直線状や角形状など)としたりすることができる(図示せず)。
【0078】
また、操作用アーム21における端部21bと回動軸30との間の距離L21が、操作用アーム22における端部22bと回動軸30との間の距離L22よりも短くなるように両操作用アーム21,22を形成したクランプセンサ2の構成を例に挙げて説明したが、「一方の操作用アーム」における「第1の距離」と、「他方の操作用アーム」における「第2の距離」とが等しくなるように両「操作用アーム」を形成することもできる(図示せず)。また、両クランプアーム11,12を閉状態に維持するための付勢部材を備えたクランプセンサ2の構成を例に挙げて説明したが、付勢部材を配設せずに、「アーム回動規制部材(クランプセンサ2における回動規制部材23)」によって「一対の操作用アーム」が互いに接近する向きへの操作を規制することで「一対のクランプアーム」を閉状態に維持する構成を採用することもできる。
【0079】
また非ロック状態において回動規制部材23が操作用アーム21と一体化して1本の棒体のようになり、かつ操作用アーム21,22の間に回動規制部材23が存在しない状態となるように、操作用アーム21に対する回動規制部材23の軸支の位置、回動規制部材23の長さ、および回動規制部材23の形状等を規定した構成を例に挙げて説明したが非ロック状態において「アーム回動規制部材」が「一方の操作用アーム」と並んだ状態や、「アーム回動規制部材」が「一方の操作用アーム」から突出した状態(すなわち、非ロック状態において両「操作用アーム」の間に「アーム回動規制部材」が存在する状態)となるように、「一方の操作用アーム」に対する「アーム回動規制部材」の軸支の位置、「アーム回動規制部材」の長さ、および「アーム回動規制部材」の形状等を規定して「クランプセンサ」を構成することもできる。
【0080】
さらに、回動軸30の軸線方向に沿って見たときに、「第2の状態(ロック状態)」において回動規制部材23の端部23a,23bを通過する「仮想直線」と、操作用アーム22において回動規制部材23の端部23b(当接面F23)が当接する被当接面F22とが直交(または、ほぼ直交)するように操作用アーム22および回動規制部材23を形成したクランプセンサ2の構成を例に挙げて説明したが、「仮想直線」と「被当接面」とが鋭角(または、鈍角)に交差するように「他方の操作用アーム」および「アーム回動規制部材」を形成することもできる。
【0081】
また、「第1の部材回動規制部」を構成するマグネットM21,M23のいずれかを「永久磁石」によって吸着可能な各種の磁性体(鉄片など)で構成したり、「第2の部材回動規制部」を構成するマグネットM22,M23のいずれかを「永久磁石」によって吸着可能な各種の磁性体(鉄片など)で構成したりすることもできる。さらに、「第1の部材回動規制部」および「第2の部材回動規制部」のいずれか、または双方について、「永久磁石」を備えずに、ボールノッチ機構などの機械式位置決め構造とすることもできる。また、「第1の部材回動規制部」および「第2の部材回動規制部」のいずれか一方を備えない構成を採用することもできる。また、「第1の部材回動規制部」および「第2の部材回動規制部」を構成するマグネットとして、マグネットM23を共通に使用した(兼用した)構成を採用したが、マグネットM23とは別のマグネットまたは各種の磁性体(鉄片など)を「第2の部材回動規制部(本例では、回動規制部材23)」に設けることもできる。
【0082】
加えて、クランプ対象Xに流れている電流の電流値を「被測定量」として測定可能な測定装置1およびクランプセンサ2の構成を例に挙げて説明したが、電流値以外の各種電気的パラメータを「被測定量」として測定可能な「測定装置」および「クランプセンサ」において上記の測定装置1やクランプセンサ2と同様の構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 測定装置
2 クランプセンサ
3 測定装置本体
10 センサ部
11,12 クランプアーム
11a,11b,12a,12b 端部
20 操作部
21,22 操作用アーム
21a,21b,22a,22b 端部
23 回動規制部材
23a,23b 端部
30 回動軸
40 信号ケーブル
E21o,E21i,E22o,E22i 外縁部
F22 被当接面
F23 当接面
L1 一点鎖線
L2 二点鎖線
L21,L22 距離
M21~M23 マグネット
W10,W20 幅
X クランプ対象