(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167079
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/40 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
D06F37/40 A
D06F37/40 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072617
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】細糸 強志
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AA15
3B165AE01
3B165AE04
3B165AE05
3B165AE14
3B165BA12
3B165BA13
3B165BA82
3B165CA01
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB24
3B165CB31
3B165CB33
3B165CB53
3B165DW05
3B165GA02
3B165GA12
3B165GA13
3B165GA22
3B165JM02
3B165JM03
(57)【要約】
【課題】クラッチ機構に加わる負荷が大きい場合でも、パワー素子の温度上昇を抑制しつつ切り替えを行うことができる洗濯機を提供する。
【解決手段】実施形態の洗濯機は、モータを駆動する駆動回路と、駆動回路を構成する半導体素子の温度を検出する温度センサと、撹拌体駆動軸及び槽駆動軸に対して軸方向に第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能なクラッチと、このクラッチを軸方向に移動させるためのクラッチ操作機構と、クラッチの移動位置を検出する位置センサと、クラッチを第1の位置と第2の位置との間で移動させるクラッチ切替え動作を、モータを回転させて行うクラッチ制御部とを備え、クラッチ制御部は、クラッチ切替え動作が正常に行われなかったと判断すると再試行し、再試行を行う際に温度センサにより検出された温度に応じてモータに通電する電流の量を変化させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転槽と、
この回転槽内に回転可能に配設された撹拌体と、
前記回転槽に連結され一部に軸方向に延びる被伝達部を有する槽駆動軸と、
前記撹拌体に連結され、前記槽駆動軸の被伝達部と軸方向に並ぶ伝達部を有する撹拌体駆動軸と、
前記槽駆動軸の被伝達部の近傍に位置させて静止部位に設けられた共回り防止部と、
前記撹拌体駆動軸を回転させるモータと、
このモータを駆動する駆動回路と、
この駆動回路を構成する半導体素子の温度を検出する温度センサと、
前記撹拌体駆動軸及び槽駆動軸に対して軸方向に第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能で、且つ前記伝達部、被伝達部及び共回り防止部に対して正回転方向及び逆回転方向に相対的に回転不能に係合する係合部を有して構成され、前記第1の位置で前記係合部が前記撹拌体駆動軸の伝達部と前記槽駆動軸の被伝達部とに係合してこれらを連結し、前記第2の位置で前記係合部が前記槽駆動軸の被伝達部と前記共回り防止部とに係合してこれらを連結するクラッチと、
このクラッチを軸方向に移動させるためのクラッチ操作機構と、
前記クラッチの移動位置を検出する位置センサと、
前記クラッチを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるクラッチ切替え動作を、前記モータを回転させて行うクラッチ制御部とを備え、
前記クラッチ制御部は、前記クラッチ切替え動作が正常に行われなかったと判断すると前記クラッチ切替え動作を再試行し、前記再試行を行う際に、前記温度センサにより検出された温度に応じて前記モータに通電する電流の量を変化させる洗濯機。
【請求項2】
前記クラッチ制御部は、前記クラッチ切替え動作を再試行する際に、その再試行の回数にも応じて前記モータに通電する電流の量を変化させる請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記回転槽内の水を排水するための排水弁を備え、
前記クラッチ制御部は、前記クラッチを前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるクラッチ切替え動作を、前記排水弁を開く動作に連動させる請求項1又は2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記回転槽内の洗濯物量を計測するセンシング動作を行うセンシング動作部を備え、
前記クラッチ制御部は、前記クラッチを前記第2の位置から前記第1の位置へ移動させるクラッチ切替え動作を行う際に、前記洗濯物量が閾値を超えていると、前記回転槽内に給水を行いながら前記モータを回転させる請求項1から3の何れか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、撹拌翼を有する縦軸型の洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
撹拌翼を有する縦軸型の洗濯機は、撹拌翼を正反転させて水流を生成する洗い動作と、回転槽の全体を一方向に高速で回転させる脱水動作とを切り替えるためにクラッチ機構を備えている。このクラッチ機構には、例えばギアードモータを用いて、洗い・脱水兼用のモータを比較的低速に回転させた状態で切り替えを可能にしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、洗濯機は大型化が進んでおり、洗濯物の容量も増加する傾向にある。これに対して従来構成では、洗濯物が多く負荷が重い場合に、モータの駆動トルクが不足して切り替えができないことがある。また、駆動トルクを確保するためモータに通電する電流の量を増やすと、駆動回路側のパワー素子の温度が過度に上昇して寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
そこで、クラッチ機構に加わる負荷が大きい場合でも、パワー素子の温度上昇を抑制しつつ切り替えを行うことができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機によれば、
回転槽と、
この回転槽内に回転可能に配設された撹拌体と、
前記回転槽に連結され一部に軸方向に延びる被伝達部を有する槽駆動軸と、
前記撹拌体に連結され、前記槽駆動軸の被伝達部と軸方向に並ぶ伝達部を有する撹拌体駆動軸と、
前記槽駆動軸の被伝達部の近傍に位置させて静止部位に設けられた共回り防止部と、
前記撹拌体駆動軸を回転させるモータと、
このモータを駆動する駆動回路と、
この駆動回路を構成する半導体素子の温度を検出する温度センサと、
前記撹拌体駆動軸及び槽駆動軸に対して軸方向に第1の位置と第2の位置との間で往復移動可能で、且つ前記伝達部、被伝達部及び共回り防止部に対して正回転方向及び逆回転方向に相対的に回転不能に係合する係合部を有して構成され、前記第1の位置で前記係合部が前記撹拌体駆動軸の伝達部と前記槽駆動軸の被伝達部とに係合してこれらを連結し、前記第2の位置で前記係合部が前記槽駆動軸の被伝達部と前記共回り防止部とに係合してこれらを連結するクラッチと、
このクラッチを軸方向に移動させるためのクラッチ操作機構と、
前記クラッチの移動位置を検出する位置センサと、
前記クラッチを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるクラッチ切替え動作を、前記モータを回転させて行うクラッチ制御部とを備え、
前記クラッチ制御部は、前記クラッチ切替え動作が正常に行われなかったと判断すると前記クラッチ切替え動作を再試行し、前記再試行を行う際に、前記温度センサにより検出された温度に応じて前記モータに通電する電流の量を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態であり、洗濯機全体の概略的な縦断側面図
【
図2】クラッチが第2の位置にある状態の要部の縦断面図
【
図3】クラッチが第1の位置にある状態の要部の縦断面図
【
図5】布量が7kgを超える場合における洗濯運転の一連の行程を示す図
【
図6】布量が7kg以下の場合における洗濯運転の一連の行程を示す図
【
図7】制御装置がクラッチの切り替えを行う際に、モータにより行うアシスト処理を示すフローチャート
【
図9】第2実施形態であり、クラッチ切替電流テーブルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の構成は特許文献1に開示されている構成を改良したものであるから、前記構成と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
図1~
図3は、特許文献1の
図4,
図1,
図2である。
図2は、クラッチ37が洗い用クラッチ態様である第2の位置にあるときを示しており、
図3は、クラッチ37が脱水用クラッチ態様である第1の位置にあるときを示している。回転槽5の内底部には、撹拌体6が配置されている。
【0009】
槽駆動軸24の下端外周部には、該槽駆動軸24と前記撹拌体駆動軸27aとの連結及び切離しを行なうためのクラッチ37が設けられ、下フレーム21の下面部には、このクラッチ37を軸方向に移動させるためのクラッチ操作機構38及び共回り防止部材39が設けられている。
【0010】
槽駆動軸24の下端部の外周部には、上部内セレーション部40に対応して軸方向に延びる被伝達部たるセレーション部42が形成されている。また、ボス軸36の上部外周部にも、下部内セレーション部41に対応して軸方向に延びる伝達部たるセレーション部43が形成されている。クラッチ37は、上部内セレーション部40がセレーション部42に常に係合されることにより、槽駆動軸24の下端部外周に、軸方向に移動可能で且つ周方向に一体的に回転するように嵌挿されている。
【0011】
クラッチ37部分には、該クラッチ37の動作位置を検出するためのクラッチ位置検出手段61が設けられている。クラッチ位置検出手段61は、例えばプラスチックマグネットからリング状に形成された永久磁石62を、クラッチ37のフランジ部37aの下面に取付けると共に、共回り防止部材39のそれに対応する高さ位置に磁気センサ63を取り付けて構成されている。
【0012】
図2に示すように、クラッチ37が上方の第2の位置にあるときに、永久磁石62の外周が磁気センサ63に対向し、もって磁気センサ63によりクラッチ37が第2の位置にあるかどうかが直接的に検出できるようになっている。尚、この場合、永久磁石62がリング状に設けられているので、クラッチ37の回転方向の位置に関係なく、クラッチ37が第2の位置にあれば、永久磁石62が確実に磁気センサ63に対向するようになっている。
【0013】
図4は、特許文献1の
図13相当図であり、特許文献1とは以下の点が相違している。モータ7を駆動するパワーIC81は、駆動回路72と分けて示しており、実際には6個のパワー素子によって3相インバータが構成されている。半導体素子であるパワーIC81は、例えばパワーMOSFETやIGBTなどである。温度センサ82は、パワーIC81の温度を検出するために配置されている。温度センサ82は、3相インバータを構成するパワーIC81のモジュールの構成に応じて適宜配置されていれば良い。例えば、各パワー素子に配置されていても良いし、各相アームのモジュールや、下アームのパワー素子の1つや、1つで3相インバータを構成するモジュールに配置されていても良い。
【0014】
電流センサ83は、パワーIC81によってモータ7に通電される電流を検出する。尚、給水弁71は、駆動回路72を介すことなく制御装置68が直接駆動する構成となっており、排水弁84は、ギアードモータ12によってクラッチ37と共に駆動される。フタ開閉スイッチ85は、フタ18aの開閉状態に応じた信号を制御装置68に出力する。フタロック86は、ユーザにより蓋18aが閉じられた状態で脱水運転を開始した後に、フタ18aが開けられないようにロックする。報知ブザー87は、洗濯運転が終了したこと等をユーザに報知するための報知音を発生する。制御装置68はクラッチ制御部に相当する。
【0015】
次に、本実施形態の作用について
図5から
図9を参照して説明する。本実施形態の洗濯機は、洗濯物の布量の最大値を例えば9kgに想定している。
図5,
図6は、それぞれ洗濯運転の一連の行程を示すが、回転槽5内に投入された洗濯物の布量をセンシングした結果に応じて、
図5は布量が7kgを超える場合、
図6は布量が7kg以下の場合を示す。
図5では、「布量センシング」と「給水と洗い」との間に、下記の(1)~(3)の行程が挿入されている点が
図6と相違している。
(1)「クラッチ切替の2(第1の位置・電流大)排水開」
(2)「槽全体が回転しながら給水」
(3)「クラッチ切替の3(第2の位置・電流大)排水閉」
【0016】
すなわち、布量が7kgを超える場合は、クラッチ37を洗い用態様の第2の位置から脱水用態様の第1の位置に切り替えて、回転槽5を回転させながら給水を行う。その後、クラッチ37を第2の位置に切り替えてから、「給水と洗い」に移行する。これは、以下の理由による。回転槽5内に投入された洗濯物の布量が多くなると、洗い運転中や脱水運転中に、洗濯物が回転槽5から外に飛び出し易くなる。そこで、回転槽5を回転させながら給水を行うと、洗濯物の上部にかかった水が重しになることで「飛び出し」を防止できる。以下では、回転槽5を回転させながら行う給水を「槽回転給水」と称する。
【0017】
尚、本実施形態では、機構部の構成を簡略化するため、クラッチ37を脱水モードである第1の位置に切り替えると排水弁84が連動して開くように構成している。そのため、排水弁84が開いた状態で洗剤が流出しないように、少量の注水で槽回転注水を行うようにしている。すなわち、回転槽5には、浮力を利用できるレベルの水を溜められない。そこで、詳細は後述するが、クラッチ37を切り替える際の電流を「大」に設定することで、モータ7に負荷に拮抗したトルクを出力させて、クラッチ37の切り替えをアシストする。
【0018】
図7は、制御装置68がギアードモータ12を駆動することで、クラッチ操作機構38を介してクラッチ37の切り替えを行う際に併せて、モータ7により行うアシスト処理を示すフローチャートである。制御装置68は、
図5及び
図6に示す「重量センシング」を行うと、そのセンシングの結果と、温度センサ83により取得したパワーIC81の温度とから、
図8に示すクラッチ切替電流テーブルよりd軸電流値を選択する(S1)。d軸電流は、制御装置68により行われるベクトル制御の演算において、トルク電流であるq軸電流と共に得られる励磁電流である。d軸電流値の設定は、布量が7kgを超える場合と7kg以下の場合とに分かれていると共に、第2から第1の位置への切り替えの場合と、第1から第2の位置への切り替えの場合とに分かれている。そして、クラッチ切り替えのリトライ回数と、パワーIC81の温度とに応じてd軸電流値を決定する。
【0019】
<布量が7kg以下の場合>
・「槽回転給水」は行わないのでd軸電流値の設定はない。
・その他の第1の位置への切り替えの場合は、リトライの1回目から6回目に応じて、d軸電流値は
[5A,5A,5.5A,6A,6A,6A]
・第2の位置への切り替えの場合、d軸電流値は
[3A,4.5A,4.5A,5A,5.5A,5.5A]
とする。
【0020】
<布量が7kgを超える場合>
・「槽回転給水」時における第1の位置への切り替えの場合、d軸電流値は
[5A,5A,8A,4回目から6回目は10.5A(50℃以上8A)]
・「槽回転給水」以外の場合、d軸電流値は
[5A,5A,8A,8A,8A,8A]
とする。「50℃以上」とは、パワーIC81の温度が「50℃以上」の場合である。このように、パワーIC81の温度に応じてd軸電流値を制御することで、パワーIC81の回路素子の接合部温度を125℃以下に維持することを想定している。
・「槽回転給水」時及びそれ以外の場合における第2の位置への切り替えの場合、d軸電流値は何れも
[3A,4.5A,4.5A,8A,8A,8A]
とする。
【0021】
d軸電流値を選択すると、リトライ回数のカウンタY=0に設定する(S2)。ここで、クラッチ切り替えの実行は、リトライも同じく各回それぞれ3回行う。その実行回数のカウンタXも「=0」とする(S3)。それから、カウンタXをインクリメントすると(S4)、モータ7を正方向へ、カウンタYの値が奇数であれば3度回転させ、カウンタYの値が遇数であれば1.5度回転させる(S5)。続いて、モータ7を負方向へ、カウンタYの値が奇数であれば1.5度回転させ、カウンタYの値が遇数であれば3度回転させる(S6)。実行回数カウンタXの値が「3」に達するまでは(S7;NO)、ステップS4に戻る。
【0022】
カウンタXの値が「3」に達すると(S7;YES)、位置センサに相当する磁気センサ63が出力するセンサ信号を参照して、クラッチ37の切り替えが完了したか否かを判断する(S8)。切り替えが完了していないと判断すると(NO)、リトライ回数のカウンタYをインクリメントして、クラッチ切替電流テーブルよりd軸電流値を改めて選択する(S9)。そして、カウンタYの値が「6」に達するまでは(S10;NO)、ステップS3に戻ってリトライを繰り返す。ステップS8において切り替えが完了すれば(YES)「切替完了」となり、ステップS10においてカウンタYの値が「6」に達すれば(YES)「切替不良」となる。
【0023】
以上のように本実施形態によれば、洗濯機の制御装置68は、ギアードモータ12を駆動し、クラッチ操作機構38を介して、クラッチ37を軸方向における第1の位置と第2の位置との間で移動させる。磁気センサ63は、クラッチ37の移動位置を検出し、制御装置68は、クラッチ切替え動作が正常に行われなかったと判断するとクラッチ切替え動作を再試行し、その再試行を行う際に、温度センサ82により検出された温度に応じてモータ7に通電する電流の量を変化させる。このように構成すれば、パワーIC81の温度上昇を抑制しつつ、クラッチ切替え動作に必要なトルクをモータ7に出力させることができる。
【0024】
また、制御装置68は、クラッチ切替え動作を再試行する際に、その再試行の回数にも応じてモータ7に通電する電流の量を変化させる。これにより、クラッチ切替えが正常に行われない場合には、電流量を増加させてモータ7の出力トルクを上昇させ、クラッチ切替えを正常に完了させる可能性を高めることができる。
【0025】
また、制御装置68は、クラッチ37を第2の位置から第1の位置へ移動させるクラッチ切替え動作を、排水弁84を開く動作に連動させるので、回転槽5に水を溜めず浮力を利用できない状態においても、モータ7の出力トルクを上昇させてクラッチ切替えを正常に完了させる可能性を高めることができる。
【0026】
さらに、制御装置68は、クラッチ37を第2の位置から第1の位置へ移動させるクラッチ切替え動作を行う際に、洗濯物量が閾値である7kgを超えていると、回転槽5内に給水を行いながらモータ7を回転させるので、回転槽5からの洗濯物がはみ出すことを防止できる。
【0027】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
図9に示すクラッチ切替電流テーブルは、
図8に示すものと以下の点が相違している。
【0028】
<布量が7kg以下の場合>
・「槽回転給水」以外の第1の位置への切り替えの場合は、リトライの1回目から6回目に応じて、d軸電流値は全て6Aとする。
・第2の位置への切り替えの場合、d軸電流値は全て5.5Aとする。
【0029】
<布量が7kgを超える場合>
・「槽回転給水」時における第1の位置への切り替えの場合、d軸電流値は全て10.5A(50℃以上8A)とする。
・「槽回転給水」以外の場合、及び第2の位置への切り替えの場合、d軸電流値は何れも8Aとする。
【0030】
すなわち、第2実施形態では、布量が7kgを超える場合において、「槽回転給水」時における第1の位置への切り替えの場合のみ、d軸電流値をパワーIC81の温度に応じて変化させるが、これを含めた何れの場合も、最初からd軸電流値を第1実施形態の最大値に設定している。このように制御すれば、クラッチ切替えを早い段階で正常に完了させる可能性を高めることができる。
【0031】
(その他の実施形態)
布量の閾値は、7kgに限ることはなく、個別の洗濯機について設定された洗濯物の容量等に応じて適宜変更すれば良い。
クラッチ切替え動作の試行回数及びリトライの回数についても、それぞれ3回,6回に限ることなく適宜変更すれば良い。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き替え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
1は本体、3は水槽、5は回転槽、6は撹拌体、7はモータ、8は回転伝達機構、10は排水弁、12はギアードモータ、19は中空ハウジング、21は下フレーム(静止部位)、24は槽駆動軸、27は撹拌軸、27aは撹拌体駆動軸、30はステータ、31はロータ、36はボス軸、37はクラッチ、38はクラッチ操作機構、39は共回り防止部材、40は上部内セレーション部(係合部)、41は下部内セレーション部(係合部)、42はセレーション部(被伝達部)、43はセレーション部(伝達部)、44はコイルばね、45は係合部、46は共回り防止部、47はクラッチレバー、49は操作レバー、61はクラッチ位置検出手段、62は永久磁石、63は磁気センサ、68は制御装置、81はパワーIC、82は温度センサ、83は電流センサ、84は排水弁を示す。