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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167082
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】植物育成装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20221027BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072622
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輝
(72)【発明者】
【氏名】椎名 理一
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314PB03
2B314PB05
2B314PB26
2B314PB37
2B314PB41
2B314PB43
2B314PB60
(57)【要約】
【課題】育成する植物の根の部分を任意の割合で空気に露出させることが可能な植物育成装置を提供する。
【解決手段】植物を植付ける定植部と、該定植部の下部に配され前記植物の育成液を留める水槽部と、前記定植部と前記育成液との間に形成される空気層の鉛直方向に沿った距離を調節可能にする調整手段と、有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を植付ける定植部と、該定植部の下部に配され前記植物の育成液を留める水槽部と、前記定植部と前記育成液との間の鉛直方向に沿った距離を調節可能にする調整手段と、有することを特徴とする植物育成装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記定植部を支持する可動板と、前記可動板を上下方向に移動可能に支持する可動板摺動棒と、を有することを特徴とする請求項1に記載の植物育成装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記水槽部において前記育成液を外部に排出するオーバーフロー管を有することを特徴とする請求項1に記載の植物育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育成液を用いて植物を育成する植物育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の天候、例えば日照条件によらず、安定して植物を育成させるために、育成液を用いて植物を成長させる水耕栽培装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、養液を溜めて植物の栽培を行なうことのできる栽培槽と、この栽培槽の下方に配置されると共に熱媒体を収容可能な蓄熱槽と、この蓄熱槽に収容される熱媒体を冷却又は加熱する熱媒体温度調節装置と、を備えた水耕栽培装置が開示されている。
こうした特許文献1に開示された水耕栽培装置によれば、蓄熱槽による冷房や暖房を行なうことによって、植物を適正な温度で育成ができるとされている。
【0003】
水耕栽培によって植物を効率よく成長させるためには、養液(水に養分を溶かした育成液)の成分を適切に調整するとともに、植物を支持する発泡スチロールの下面から下方に向けて成長する植物の根の一部を空気に露出させることが有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-207401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたような水耕栽培装置は、養液の液面上に浮遊させており、育成する植物を支持する発泡スチロールの下面と、養液の液面との間に空気層を形成することができない。このため、前述の装置において、発泡スチロールに支持された植物の根は、殆ど空気に触れることなくほぼ全体が養液に浸る状態になり、根への酸素供給不足、および根腐りが生じる懸念があった。育成する植物の根の部分を任意の割合で空気に露出させることができる水耕栽培用の植物育成装置が求められていた。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、育成する植物の根の部分を任意の割合で空気に露出させることが可能な植物育成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の植物育成装置は、植物を植付ける定植部と、該定植部の下部に配され前記植物の育成液を留める水槽部と、前記定植部と前記育成液との間の鉛直方向に沿った距離を調節可能にする調整手段と、有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、調整手段によって、定植部と育成液の液面との間の距離を適切に調整することで、空気層の幅を任意に調整できる。これにより、植物の根の成長状態に応じて、根の部分を任意の割合で空気に露出させるように調整できるようになり、根への酸素供給を適切にして、根腐りが生じることを防止し、植物を健全な状態で育成することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、前記調整手段は、前記定植部を支持する可動板と、前記可動板を上下方向に移動可能に支持する可動板摺動棒と、を有していてもよい。
【0010】
また、本発明では、前記調整手段は、前記水槽部において前記育成液を外部に排出するオーバーフロー管を有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、育成する植物の根の部分を任意の割合で空気に露出させることが可能な植物育成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の植物育成装置を示す外観斜視図である。
図2図1の植物育成装置の要部拡大断面図である。
図3】可動板を示す要部拡大斜視図である。
図4】連結部材および支持部材を示す要部拡大斜視図である。
図5】植物育成装置に取り付けられる照明装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の植物育成装置について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の植物育成装置を示す外観斜視図である。図2は、図1の植物育成装置の要部拡大断面図である。また、図3は、可動板を示す要部拡大斜視図である。
本実施形態の植物育成装置10は、基台部41と、この基台部41の上面に載置される水槽部42と、この水槽部42の内部に入ることが可能な可動板43と、を有している。
【0015】
基台部41には、例えば、外形が直方体状を成し、内部に育成液Wを貯留する育成液タンク44と、水槽部42と育成液タンク44との間で育成液を循環させるポンプ45と、が設けられている。
【0016】
基台部41の上面には、水槽部42を囲むように上下方向に延びる4本の支持棒46,46…が立設されている。こうした4本の支持棒46,46…は、上部で連結部材51を介して互いに連結されている。
【0017】
なお、本実施形態では、こうした4本の支持棒46,46…は、基台部41の上面に立設されているが、これに限定されるものではなく、基台部41の外側に独立して形成したり、基台部41から離れた位置に形成することもできる。また、支持棒46は4本に限定されるものではなく、任意の本数の支持棒46を形成することができる。
【0018】
連結部材51の中心には、可動板摺動棒55が上下方向に移動可能に取り付けられている。可動板摺動棒55は、例えば、連結部材51に対してネジなどによって任意の位置に固定されればよい。本実施形態では、可動板摺動棒55と、この可動板摺動棒55を上下方向に移動自在に支持する連結部材51とで調整手段が構成される。そして、この可動板摺動棒55の下端側に、可動板43が形成されている。可動板摺動棒55は、下端側では水槽部42の中心付近に位置するように固定されている。
【0019】
また、連結部材51には支持部材52が形成されている。図4に示すように、この支持部材52は、登攀棒48を上下方向に延びるように吊下している。登攀棒48は、下端側が、例えば、後述する定植部49の直上に位置するように吊下されている。
【0020】
登攀棒48は、を植物Pの種子や苗の成長に伴って、植物Pの茎(蔓)を巻回させることで、植物Pの茎(蔓)を上方に誘導する部材である。本実施形態では、登攀棒48は、植物育成装置10に1本だけ形成されているが、登攀棒48を支持部材52に複数本支持させて、複数の登攀棒48に1本の蔓から分岐して成長する蔓や、複数の植物Pの茎(蔓)をそれぞれ巻回させることもできる。即ち、登攀棒48は、複数構成することも可能である。例えば、可動板43に植物Pを複数支持させた際に、1つの登攀棒48に複数の蔓を巻回させると、複数の蔓や葉が重なりあってしまうおそれがあり、重なった部分での日照時間不足などによる育成の阻害の恐れがある。このため、複数の登攀棒48を形成することにより、蔓や葉っぱの重なりを低減して、蔓や葉に十分な日照を確保し、複数の植物Pを良好な状態で育成することができる。
【0021】
また、本実施形態では、植物Pの茎(蔓)を上方に誘導する部材として、登攀棒48を用いているが、連結部材51の中心に形成された可動板摺動棒55を、植物Pの茎(蔓)を上方に誘導する部材として用いることもできる。この場合、登攀棒を兼ねた可動板摺動棒55だけを形成してシンプルな構成にすることができる。また、可動板摺動棒55を登攀棒としても用いることで、複数の登攀棒が必要な場合に、登攀棒の構成数を節減することができる。
【0022】
また、本実施形態では、植物Pの茎(蔓)を上方に誘導する部材として、登攀棒48など棒状の部材を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、網部材(ネット)を吊下させて、これに植物Pの茎(蔓)を絡ませて登攀させる構成にすることもできる。
【0023】
水槽部42は、例えば、可視光透過性の透明な材料、半透明な材料、あるいは非透過の材料からなる中空円筒形を成し、内部に育成液Wが貯留される。水槽部42を透明な材料で形成した場合、水槽部42の視認性が向上し、植物Pの根の成長状態や、育成液Wの水位などを外部から容易に確認することができる。一方で、水槽部42を透明な材料で形成した場合、水槽部42に藻類などが繁殖しやすくなるため、視認時以外は水槽部42を遮光するための遮光部材を水槽部42の外面に形成することも好ましい。こうした遮光部材は、例えば、水槽部42の外面に形成した上下方向や周面方向に開閉自在な遮光フィルム、水槽部42の外面に着脱自在に形成される遮光幕などであればよい。
【0024】
また、水槽部42の可働板摺動棒55の下端と重ならない領域に、水槽部42に貯留される育成液Wを基台部41の育成液タンク44に還流させるオーバーフロー管(調整手段)47が立設されている。こうしたオーバーフロー管47は、上部の開口端から育成液Wが流入する。これにより、オーバーフロー管47の上端の高さ位置が、水槽部42に貯留される育成液Wの液面となる。
【0025】
本実施形態のオーバーフロー管47は、例えば、直径の異なる中空管を入れ子構造にすることで、上下方向に伸縮自在にされている。これにより、水槽部42に貯留される育成液Wの液面の位置を任意の高さ位置に調整することができる。
【0026】
なお、こうしたオーバーフロー管47は、長さの異なる複数のオーバーフロー管を用意して、それぞれ水槽部42の底面に着脱自在にすることで、育成液Wの液面の位置を段階的に変える構成にすることもできる。
【0027】
水槽部42の下部には、基台部41のポンプ45の吐出側から延びる流入管56が接続されている。こうした構成によって、育成液Wは、ポンプ45の動作によって、育成液タンク44からポンプ45を介して水槽部42に汲み上げられる。そして、育成液Wは、オーバーフロー管47の上側の開口端から育成液タンク44に流下する。これにより、育成液タンク44と水槽部42との間で、育成液Wの循環路が形成される。
【0028】
なお、図示はしていないが、こうした育成液Wの循環路の途中に、育成液Wの成分をモニターするセンサ、育成液Wの不純物を取り除く濾過装置、新たな育成液Wを追加するための注入口などが形成されていることも好ましい。
【0029】
また、本実施形態では、基台部41に育成液タンク44を形成しているが、育成液タンクを外部に設けて、水槽部42との間で各種パイプやホースなどで育成液Wの循環路を形成する構成であってもよい。
【0030】
可動板43は、例えば、柔軟な樹脂で形成された円板状の部材であり、中心に可動板摺動棒55を貫通させる貫通孔43aが形成されている。可動板43は、可動板摺動棒55の端部付近に形成された突起(図示略)などによって、可動板摺動棒55に固定されていればよい。
【0031】
なお、変形例として、可動板43の貫通孔43aの穴径を可動板摺動棒55の外径と同じか僅かに小さくなるように形成して、可動板43の弾性力によって、可動板摺動棒55の上下方向の任意の位置で可動板43を係止できる構成にすることもできる。この場合、可動板摺動棒55に対する可動板43の固定方法としては、可動板43の弾性力による固定以外にも、例えば、ネジや、ピンなどによって可動板を可動板摺動棒に対して移動可能に固定することもできる。こうした変形例では、可動板43と可動板摺動棒55によって、本実施形態の調整手段が構成される。更に、可動板摺動棒55を連結部材51に対して任意の位置に固定できる構成と、可動板摺動棒55の上下方向の任意の位置で可動板43を係止できる構成とを両方備えていてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、可動板43は水槽部42の内部に入った状態にされているが、可動板43を水槽部42よりも上側に配置してもよい。
【0033】
こうした構成によって、可動板43は、水槽部42の内部の任意の高さ位置に固定することができる。即ち、可動板43は、可動板摺動棒55を上下動させることによって、水槽部42に貯留された育成液Wの液面に対して、任意の間隔を開けて固定することができ、可動板43と育成液Wの液面との間に空気層Gを形成できる。
【0034】
また、可動板43の貫通孔43aの近傍には、定植部49が形成されている。定植部49は、植物育成装置10で育成する植物Pを支持する部材であり、例えば、スポンジなどの多孔質材料によって形成されている。こうした定植部49には、植物Pの種子や苗が植付けられる。そして、植物Pの種子や苗の成長に伴って、植物Pの茎(蔓)は登攀棒48に巻回される。また、定植部49の下部からは、植物Pの根が育成液Wに向かって下方に延びる。
【0035】
なお、本実施形態では、可動板43に3つの定植部49を設置可能にされているが、これに限定されるものではなく、可動板43には、1つ以上、任意の数の定植部49を形成することができる。
【0036】
図5は、植物育成装置に取り付けられる照明装置を示す斜視図である。
支持棒46,46…には、照明装置1が取り付けられている。照明装置1は、互いに対向して配された2つの支持部11,11と、それぞれの支持部11に支持される光源保持部12と、この光源保持部12に取り付けられる光源13と、を備えている。
【0037】
支持部11は、互いに離間して配された一対のスライドレール21,21と、このスライドレール21,21の一端側でスライドレール21,21どうしを繋ぐ結合材22と、から構成され、上から見た時に略コ字状に形成されている。支持部11は、絶縁性で軽量な材料、例えば、樹脂によって一体に形成されていても良い。
【0038】
スライドレール21,21には、長手方向に延びる凹部21a,21aがそれぞれ形成され、凹部21a,21aどうしは互いに開口部分が対面するように形成されている。また、結合材22には、光源13から延びる電源ケーブル28を支持する窪み22aが形成されている。
【0039】
光源13は、登攀棒48に茎(蔓)が巻回される植物Pの光合成を促進させる光線(照射光)を照射するものである。本実施形態では、光源13として発熱の少ないLED素子、例えばLED電球が用いられる。光源13は、太陽光と同様の赤外域~可視光域~紫外域までの幅広い波長域の光を照射するLED電球や、光合成に有効な波長域である赤色域または青紫色域の光を照射するLED電球などを用いることができる。
【0040】
照明装置1は、このような構成によって、植物Pの茎(蔓)が巻回される登攀棒48の方向に向けて、植物Pの育成(光合成)に必要な光を照射する。光源13は光源保持部12に支持されることによって、支持棒46,46…の任意の高さ位置で支持される。また、光源13の光軸方向は水平方向に対して任意の角度に調整可能であり、例えば、斜め上方向や斜め下方向など、光源13の照射光軸の方向を半球状の範囲の何れの方向にも調整することができる。よって、照明装置1は、植物Pに対して、任意の照明角度、任意の照明距離で光を照射することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、照明装置1を2つ形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、照明装置1は、植物Pの成長に伴って、高さ方向に複数形成することができる。
また、植物育成装置10が自然光(太陽光)を照射可能な環境(例えば、温室など)に設置される場合、照明装置1は特に設けない構成であってもよい。
【0042】
以上のような構成の本実施形態の植物育成装置10の作用、効果を説明する。
本実施形態の植物育成装置10を用いて植物を栽培する際には、定植部49に植物Pを植付ける。そして、育成中は、育成液Wを貯留する育成液タンク44と水槽部42との間で育成液を循環させ、必要に応じて循環する育成液を濾過、養分の追加などを行う。
【0043】
こうした植物Pの育成中は、水槽部42に貯留された育成液Wの液面と、植物Pを支持する定植部49が形成された可動板43の下面との間に隙間、即ち空気層Gを形成する。空気層Gの上下方向の幅Hは、植物Pの根の成長状態に応じて、根の部分を任意の割合で空気に露出させるように調整される。
【0044】
空気層Gの幅Hの調整は、調整手段によって行う。本実施形態では、調整手段として、オーバーフロー管47の上下方向の長さを任意の高さに調節することにより行うことができる。例えば、上下方向に伸縮自在なオーバーフロー管47の長さを上方向に延ばすことで、水槽部42に貯留された育成液Wの液面が高くなる。また、オーバーフロー管47の長さを下方向に縮めることで、育成液Wの液面が低くなる。このように、水槽部42内の育成液Wの液面を変えることにより、空気層Gの幅Hを任意に調整することができる。
【0045】
また、本実施形態では、調整手段として、可動板摺動棒55を上下動させて、この可動板摺動棒55に固定されている可動板43の高さ位置を変えることにより行うことができる。例えば、可動板摺動棒55を上下方向に沿って可動板43の高さ位置が高くなる方向に移動させれば、育成液Wの液面から離れる。また、可動板摺動棒55を上下方向に沿って可動板43の高さ位置が低くなる方向に移動させれば、育成液Wの液面に近づく。このように、植物Pを支持する定植部49が形成された可動板43の高さ位置を変えることによっても、空気層Gの幅Hを任意に調整することができる。
【0046】
このように、植物Pの根の成長状態に応じて、根の部分を任意の割合で空気に露出させるように調整することにより、根への酸素供給を適切にして、根腐りが生じることを防止し、植物Pを健全な状態で育成することが可能になる。
【0047】
また、本実施形態では、可動板摺動棒55を上下方向に沿って移動可能にすることにより、例えば、可動板摺動棒55に植物Pの蔓を巻回させた場合に、根の状態を観察するなどで可動板摺動棒55を引き上げて可動板43の高さ位置を高くしても、定植部49と可動板摺動棒55との位置関係が変わらないため、育成中の植物Pが引き延ばされるなどの応力が加わることが無い。
【0048】
なお、可動板43を上下方向に移動可能にすることで、水槽部42を遮光性の部材によって形成した場合に、育成中、定期的に可動板43を上方向に引き上げることによって、植物Pの根の状態を確認することもできる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、調整手段の具体例として、上下方向の長さを調節可能なオーバーフロー管47、および上下方向に沿って移動可能な可動板摺動棒55によって、高さ位置を変更可能な、定植部49を有する可動板43を共に有する例を挙げたが、これらは必ずしも2つとも有する必要は無く、どちらか一方が形成されていればよい。例えば、上下方向の長さを調節可能なオーバーフロー管47と、高さ位置が固定された可動板摺動棒との組み合わせや、上下方向に沿って移動可能な可動板摺動棒に固定された可動板43と、上下方向の長さが一定で、育成液の液面位置が固定されるオーバーフロー管との組み合わせであってもよい。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。こうした実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1…照明装置
10…植物育成装置
11…支持部
12…光源保持部
13…光源
14…枠体
41…基台部
42…水槽部
43…可動板(調整手段)
44…育成液タンク
45…ポンプ
46…支持棒
47…オーバーフロー管(調整手段)
48…登攀棒
51…連結部材
52…支持部材
55…可動板摺動棒
図1
図2
図3
図4
図5