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特開2022-167115ドアホールシールおよびドアホールシールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167115
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ドアホールシールおよびドアホールシールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B60J5/00 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072677
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】江盛 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 百合
(57)【要約】
【課題】コスト低減および製造作業の容易化を実現し、ドアホールシールの特定部分の強度を担保する。
【解決手段】ドアホールシール(1)は、シート(1x)の一部分が、ドアホール(101x)から車内側に突出した車両部品(102)の突出部分を格納する格納部(10)として構成されており、格納部(10)は、シート(1x)の第1面(1x-1)から車内側に延びて突出部分の側面を取り囲む側壁(10x)と、当該突出部分の先端を車内側から覆う頂壁(10y)と、を有し、接続部分(10z)の第2面(10z-1)には第2樹脂部材(21)が溶着している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアのドアインナーパネルに取り付けられるドアホールシールであって、
前記ドアインナーパネルを車内側から覆うシートを備え、
前記シートの一部分が、前記ドアインナーパネルに形成されたドアホールから車内側に突出した突出物を格納する格納部として構成されているものであり、
前記格納部は、
前記シートにおける車内側の第1面から車内側に延びて前記突出物の側面を取り囲む側壁と、前記突出物の先端を車内側から覆う頂壁と、を有しており、
前記第1面に、前記側壁の根元を取り囲む第1樹脂部材が接着しており、
前記側壁と前記頂壁との接続部分における車内側の第2面に第2樹脂部材が接着している、ドアホールシール。
【請求項2】
前記第2樹脂部材における前記第2面の前記側壁側の領域に接着された側壁側部分は、少なくとも一部が前記側壁の根元まで接着されており、かつ当該少なくとも一部が前記第1樹脂部材と接続している、請求項1に記載のドアホールシール。
【請求項3】
前記第1樹脂部材における前記格納部側の部分は、少なくとも一部が前記側壁における前記第1面と接続する第3面に接着されている、請求項1または2に記載のドアホールシール。
【請求項4】
車両のドアのドアインナーパネルに取り付けられ、
前記ドアインナーパネルを車内側から覆うシートを備え、
前記シートの一部分が、前記ドアインナーパネルに形成されたドアホールから車内側に突出した突出物を格納する格納部として構成されているものであり、
前記格納部が、前記シートにおける車内側の第1面から車内側に延びて前記突出物の側面を取り囲む側壁と、前記突出物の先端を車内側から覆う頂壁と、を有しているドアホールシールの製造方法であって、
前記シートの一部分を変形させて前記側壁および前記頂壁を形成することにより、前記格納部を作製する作製工程と、
前記側壁と前記頂壁との接続部分における車内側の第2面に第2樹脂部材を接着させる接着工程と、を含んでいるドアホールシールの製造方法。
【請求項5】
前記シートの一部分における前記第2面に対応する車内側の第4面に前記第2樹脂部材を載置する載置工程をさらに含んでおり、
前記載置工程では、前記第2樹脂部材に前記第4面と離間する離間部分が形成されるように、当該第2樹脂部材を前記第4面に載置する、請求項4に記載のドアホールシールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアのドアインナーパネルに取り付けられるドアホールシール、および当該ドアホールシールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のドアのドアインナーパネルに形成された、作業用等の開口部であるドアホールを塞ぐために、ドアホールシールが使用されている。例えば、特許文献1には、部材格納部を備えたドアホールシールが開示されている。部材格納部は、弾性シートに形成された開口部の外縁を形成する側壁から車内側に向けて立ち上がるように延伸している柱部と、開口部に挿入された車両部材および柱部を覆う被覆部材と、を有する。また例えば、特許文献2には、樹脂製シートとシート状発泡弾性材とを備えた自動車用ドアホールシール材が開示されており、当該樹脂製シートには、衝撃吸収部材の突出方向先端側に対応する部分に貫通孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-47802号公報
【特許文献2】特開2018-58402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたドアホールシールは、剛性を得るために被覆部材の厚さを厚くする必要があるとともに、車両部材を格納できる程度の大きさの被覆部材を用いる必要がある。そのため、被覆部材の費用の面で十分とは言えなかった。また、製造工程において柱部を立ち上げる工程および柱部を被覆部材で覆う工程を追加で要するため、作業に手間が掛かるとともに製造コストの面でも十分とは言えなかった。
【0005】
特許文献2に開示されたドアホールシールは、シート状発泡弾性材の一部が弛んでいるところ、製造工程においてシート状発泡弾性材の一部を弛ませる工程を追加で要するため、製造コストの面で十分とは言えなかった。また、シート状発泡弾性材の一部から成る覆い部は、衝撃吸収材と接触する部分が経年劣化、応力集中等によって損傷し易かった。
【0006】
本発明の一態様は、コスト低減および製造作業の容易化を実現しつつ、ドアホールシールの特定部分の強度を担保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアホールシールは、車両のドアのドアインナーパネルに取り付けられるドアホールシールであって、前記ドアインナーパネルを車内側から覆うシートを備え、前記シートの一部分が、前記ドアインナーパネルに形成されたドアホールから車内側に突出した突出物を格納する格納部として構成されているものであり、前記格納部は、前記シートにおける車内側の第1面から車内側に延びて前記突出物の側面を取り囲む側壁と、前記突出物の先端を車内側から覆う頂壁と、を有しており、前記第1面に、前記側壁の根元を取り囲む第1樹脂部材が接着しており、前記側壁と前記頂壁との接続部分における車内側の第2面に第2樹脂部材が接着している。
【0008】
前記構成によれば、側壁および頂壁を有する格納部がシートの一部分から成っていることから、シートの一部を変形させて側壁および頂壁を形成するだけで格納部の主要部分を製造できる。これにより、格納部をシートと別部材で形成する場合に比べて部材費を低減できる。また、別部材で形成された格納部をシートに接着させる工程を省略できることから、製造作業が容易になるともに製造コストを低減できる。
【0009】
格納部における側壁と頂壁との接続部分は、経年劣化、応力集中等によって損傷し易い部分である。しかしながら前記構成によれば、接続部分に第2樹脂部材が接着していることから、接続部分が第2樹脂部材で補強されて当該接続部分の強度を担保できる。また、第2樹脂部材を接続部分の第2面に接着させることから、第2樹脂部材の接着作業を容易に行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記第2樹脂部材における前記第2面の前記側壁側の領域に接着された側壁側部分は、少なくとも一部が前記側壁の根元まで接着されており、かつ当該少なくとも一部が前記第1樹脂部材と接続していてもよい。前記構成によれば、接続部分の形状のみならず側壁全体の形状までも維持し易くなる。また、接続部分の強度のみならず側壁全体の強度を担保できる。
【0011】
本発明の一態様に係るドアホールシールは、前記第1樹脂部材における前記格納部側の部分は、少なくとも一部が前記側壁における前記第1面と接続する第3面に接着されていてもよい。前記構成によれば、接続部分の形状のみならず側壁全体の形状までも維持し易くなる。また、接続部分の強度のみならず側壁全体の強度を担保できる。
【0012】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るドアホールシールの製造方法は、車両のドアのドアインナーパネルに取り付けられ、前記ドアインナーパネルを車内側から覆うシートを備え、前記シートの一部分が、前記ドアインナーパネルに形成されたドアホールから車内側に突出した突出物を格納する格納部として構成されているものであり、前記格納部が、前記シートにおける車内側の第1面から車内側に延びて前記突出物の側面を取り囲む側壁と、前記突出物の先端を車内側から覆う頂壁と、を有しているドアホールシールの製造方法であって、前記シートの一部分を変形させて前記側壁および前記頂壁を形成することにより、前記格納部を作製する作製工程と、前記側壁と前記頂壁との接続部分における車内側の第2面に第2樹脂部材を接着させる接着工程と、を含んでいる。前記構成によれは、接続部分の強度が担保されたドアホールシールを製造できる。また、コストを低減できるとともに製造作業を容易にできる。
【0013】
本発明の一態様に係るドアホールシールの製造方法は、前記シートの一部分における前記第2面に対応する車内側の第4面に前記第2樹脂部材を載置する載置工程をさらに含んでおり、前記載置工程では、前記第2樹脂部材に前記第4面と離間する離間部分が形成されるように、当該第2樹脂部材を前記第4面に載置してもよい。
【0014】
前記構成によれば、例えば載置行程後かつ作製工程前においてシートを下型の外形に沿って引き延ばす際に、離間部分が伸びしろになる。これにより、作製工程においてシートの一部分が下型によって側壁および頂壁の形状になったときに第2樹脂部材が接続部分の第2面に密着することから、第2樹脂部材を第2面に隙間なく接着できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、コスト低減および製造作業の容易化を実現でき、ドアホールシールの特定部分の強度を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るドアホールシールが取り付けられたドアインナーパネルの車内側の構造を示す図である。
図2】符号201は、図1に示すドアホールシールの格納部およびその近傍を示す平面図である。符号202は、符号201に示す格納部およびその近傍のII-II線矢視断面図である。
図3】符号301は、シート、第1および第2樹脂部材を溶着装置にセットした状態を示す断面図である。符号302は、符号301に示す第1および第2樹脂部材の溶着が完了した状態を示す断面図である。
図4】符号401は、図3に示す溶着装置の上型を各加熱部材の先端側から見たときの模式図である。符号402は、図3に示す溶着装置の下型を当該下型の頂面から見たときの模式図である。
図5】符号501は、本発明の第1の変形例に係るドアホールシールの格納部およびその近傍を示す平面図である。符号502は、符号501に示す格納部およびその近傍のV-V線矢視断面図である。
図6】本発明の第1の変形例に係るドアホールシールの製造方法における、載置行程終了後のシール、第1および第2樹脂部材の状態を示す側面図である。
図7】符号701は、本発明の他の変形例に係るドアホールシールの格納部およびその近傍を示す平面図である。符号702は、符号701に示す格納部およびその近傍のVI-VI線矢視断面図である。
図8】第1および第2樹脂部材の各変形例における、溶着前の状態を示す平面図である。
図9】符号901は、シート、ならびに図8に示す第1および第2樹脂部材の各変形例を溶着装置にセットした状態を示す断面図である。符号902は、符号901に示す第1および第2樹脂部材の各変形例の溶着が完了した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔ドアホールシールの概要および取り付け例〕
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るドアホールシール1の概要および取り付け例について説明する。なお、図1の例において、紙面向かって上側が鉛直上側、下側が鉛直下側、左側がフロント側(車両の前側)、右側がリヤ側(車両の後側)、手前側が車内側(車両の内側)、奥側が車外側(車両の外側)に、それぞれ対応している。また、図1は、フロントドア100を車内側から見た図である。ただし、図1の例はドアホールシール1の車両への取り付け態様を制限するものではなく、ドアホールシール1は、例えば車両に対していかなる方向から取り付けられてもよい。
【0018】
フロントドア100は、車両のドアの一例であり、車両のフロントドア用開口部(図示せず)に開閉可能に取り付けられている。フロントドア100は、ドアフレームと一体成形されている。ドアフレームは、ドアアウターパネル(図示せず)およびドアインナーパネル101を備え、ドアインナーパネル101にはドアホール101xが形成されている。
【0019】
ドアホール101xは、例えばフロントドア100の内部に配置された各種の車両部品102(図2の符号202参照)を組み付けするために、作業者が手または工具等を入れるための開口部である。車両部品102の例としては、インナーハンドル等の機能部品が挙げられる。組み付けが終わった車両部品102は、その一部分がドアホール101xから車内側に突出する(図2の符号202参照)。
【0020】
ドアインナーパネル101の車内側の面には、ドアホールシール1が取り付けられている。ドアホールシール1は、ドアホール101xを車内側から塞ぐことで、フロントドア100の内部に浸入した雨水等が、ドアホール101xから車内に浸入するのを防ぐ。ドアホールシール1は、図1に示すように、シート1xと格納部10とを備えている。
【0021】
シート1xは、ドアインナーパネル101の車内側の面に接着されることにより、ドアインナーパネル101を車内側から直接覆う。シート1xの厚さは限定されないが、例えば10mm程度の厚さにできる。シート1xの接着には、例えばブチルシーラント等の接着剤が用いられる。なお、本明細書における「接着」は、「粘着」、「圧着」、「溶着」等の各概念を含む。
【0022】
シート1xを形成する材料の例としては、エラストマーおよびエラストマーを含む複合体が挙げられる。エラストマーの例としては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴムおよび熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer:TPE)が挙げられる。TPEの例としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Olefinic Elastomer:TPO)が挙げられる。シート1xは、上述のようなエラストマーまたはエラストマーを含む複合体を発泡させた発泡弾性体で形成されることが好ましい。このような材料を用いれば、シート1xの防音性および防水性を高めることができる。
【0023】
格納部10は、シート1xの一部分から成っており、シート1xにおけるドアホール101xと重なる箇所に形成されている。格納部10は、ドアホールシール1がドアインナーパネル101に取り付けられた状態において、車両部品102におけるドアホール101xから車内側に突出した部分(突出物;以下、「車両部品102の突出部分」)を格納する。格納部10の根元(具体的には、後述する側壁10xの根元10x-1)の周囲には、図1に示すような第1樹脂部材20が溶着されている。格納部10および第1樹脂部材20の詳細については後述する。
【0024】
前述したドアホールシール1の取り付けはあくまで一例である。例えば、ドアホールシール1が取り付けられる車両のドアは図1の例に示すフロントドア100に限定されず、およそ車両のドアであればどのような種類のドアであってもよい。したがって、ドアホールシール1は、例えばリアドアまたはスライドドアに取り付けられてもよい。また、ドアホールシール1の取り付け対象となる車両についても、ハードトップ車およびコンバーチブル車をはじめとする任意の種類の車両が取り付け対象となる。
【0025】
格納部10の個数についても、図1の例に限定されない。ドアホール101xの数、つまり当該ドアホール101xから車内側に突出する突出物の個数に合わせて、格納部10を複数個設けることができる。
【0026】
〔格納部およびその近傍の構造〕
図2を参照して、格納部10およびその近傍の構造について説明する。なお、図2の符号202の例、ならびに後述する図5の符号502および図7の符号702の各例において、紙面向かって上側が車内側、下側が車外側、右側がフロント側、左側がリヤ側、手前側が鉛直上側、奥側が鉛直下側に、それぞれ対応している。
【0027】
格納部10は、図2に示すように、車両部品102の突出部分の外形および大きさに対応した略四角錐台形状となっており、側壁10xと頂壁10yとを有している。側壁10xは、シート1xにおける車内側の第1面1x-1から車内側に延びる壁であり、図2の符号202に示すように車両部品102の突出部分の側面102xを全周に亘って取り囲む。頂壁10yは、車両部品102の突出部分の先端102yを車内側から覆う壁である。
【0028】
側壁10xの根元10x-1の4隅および頂壁10yの4隅は、図2の符号201に示すように、平面視において丸みを帯びている。側壁10xおよび頂壁10yのそれぞれにおける車両部品102の突出部分と対向する対向面は、図2の符号202に示すように、当該突出部分と接触している。
【0029】
格納部10の形状および大きさは、図2の例に限定されず、例えば車両部品102の突出部分の形状および大きさに合わせて適宜変更されてもよい。また、側壁10xおよび頂壁10yのそれぞれの対向面は、車両部品102の突出部分と接触していなくてもよく、少なくともいずれか一方の対向面と当該突出部分との間に隙間が形成されてもよい。
【0030】
第1樹脂部材20は、図2に示すように第1面1x-1に溶着され、側壁10xの根元10x-1を取り囲むように配置される。第1樹脂部材20の外形は、図2の符号201に示すように、平面視において側壁10xの根元10x-1の形状に対応した略四角形状となっており、4隅が丸みを帯びている。
【0031】
第1樹脂部材20は、図2の符号202に示すようなシート形状になっている。第1樹脂部材20の厚さは、シート1xの厚さよりも薄く、例えば0.1mm程度の厚さにできる。第1樹脂部材20および後述する第2樹脂部材21のそれぞれを形成する材料の例としては、合成樹脂が挙げられ、合成樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVA(ポリビニルアルコール)およびABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)等が挙げられる。第1樹脂部材20を形成する材料と第2樹脂部材21を形成する材料とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0032】
第1樹脂部材20によって側壁10xの根元10x-1を取り囲むことにより、後述する第2樹脂部材21の格納部10への溶着と相まって、側壁10xの車内側に向けての立ち上がり状態を維持し易くなる。ひいては、格納部10における接続部分10z(詳細は後述)の形状も維持し易くなる。
【0033】
格納部10は、図2に示すような第2樹脂部材21を有している。具体的には格納部10は、図2の符号202に示すように、側壁10xと頂壁10yとの接続部分10zにおける車内側の第2面10z-1に、第2樹脂部材21が溶着している。接続部分10zは、側壁10xにおける車内側の端部と頂壁10yの側端部とが接続したものである。接続部分10zは、側面視において、車両部品102の突出部分における先端の角の形状に対応した屈曲形状となっている。第2樹脂部材21は、図2の符号201に示すように、側壁側部分21xと頂壁側部分21yとを有している。
【0034】
側壁側部分21xは、矩形のシート形状であり、第2樹脂部材21における側壁10xに溶着されている部分である。具体的には側壁側部分21xは、図2に示すように、接続部分10zにおける第2面10z-1の側壁側の領域(以下、「側壁側領域」)に溶着されている。本実施形態では、第2樹脂部材21は側壁側部分21xを4つ有しており、側壁10xを構成する4つの壁部分のそれぞれに1つずつ、側壁側部分21xが溶着されている。
【0035】
側壁側領域は、前述の壁部分毎の4つの領域部分(以下、「側壁側領域部分」)に分けられる。本実施形態では、側壁側部分21xは、側壁側領域部分の略中央に溶着されている。側壁側部分21xをこのような配置で溶着することにより、接続部分10zにおいて形状が保たれている部分と保たれていない部分との偏りが生じ難くなり、接続部分10zの形状を全体的にバランスよく保つことができる。
【0036】
側壁側部分21xの形状、大きさ、個数および配置は、図2の例に限定されない。例えば、側壁側部分21xは、側壁側領域部分におけるいずれかの箇所に溶着されていればよい。また例えば、1つの側壁側部分21xが、側壁側領域を全面に亘って覆うように溶着されていてもよい。このように溶着されていれば、接続部分10zの形状を全体的にバランスよく保つことがさらに容易になる。
【0037】
頂壁側部分21yは、外形が略四角形のシート形状であり、第2樹脂部材21における頂壁10yに溶着されている部分である。具体的には、頂壁側部分21yは、第2面10z-1の頂壁側の領域(以下、「頂壁側領域」)の全面を覆うように溶着されている。頂壁側部分21yの形状、大きさ、個数および配置は、図2の例に限定されない。例えば、頂壁側部分21yは、平面視において4隅の少なくとも1つが連なっておらず、連なっていない箇所に空間が形成されていてもよい。また例えば、頂壁側部分21yは、頂壁10yにおける車内側の面(頂壁側領域を含んでいる)の全面を覆っていてもよい。
【0038】
本実施形態では、第2樹脂部材21の厚さと第1樹脂部材20の厚さとが同じになっているが、同じになっていなくてもよい。また、第2樹脂部材21は、側壁側部分21xと頂壁側部分21yとで厚さか異なってもよい。但し、第2樹脂部材21の厚さはシート1xの厚さよりも薄いのが好ましい。
【0039】
さらには、第1および第2樹脂部材20および21は溶着されていなくてもよい。第1樹脂部材20は、シート1xの第1面1x-1に対して接着されていればよい。第2樹脂部材21は、格納部10における接続部分10zの第2面10z-1に対して、例えばエポキシ系樹脂の接着剤で接着されてもよい。換言すれば、第2樹脂部材21は、接続部分10zの形状を維持できる程度に接着されていればよい。
【0040】
但し、ドアホールシール1の製造工程の数を減らして簡易な製造および製造コストの低減を実現するためには、1回の工程で第1および第2樹脂部材20および21が接着されることが好ましい。この観点からすれば、本実施形態のように、第1樹脂部材20の接着態様と第2樹脂部材21の接着態様とが同じ(本実施形態ではともに溶着)であるのが好ましい。
【0041】
〔ドアホールシールの製造方法〕
図3および図4を参照して、ドアホールシール1の製造方法の一例について説明する。なお、図3および図4は、ドアホールシール1の製造工程のうち、第1および第2樹脂部材20および21の溶着工程を説明するための図である。ドアホールシール1の製造工程における溶着工程以外の工程については、一般的なドアホールシールの製造工程に含まれる各工程と同じであるため、その説明を省略する。
【0042】
<溶着装置>
溶着工程では、図3に示すような溶着装置50を用いる。溶着装置50は、上側可動盤51、下側固定盤52および駆動装置53を備えている。上側可動盤51は、駆動装置53によって鉛直方向に駆動する。上側可動盤51は、図3および図4の符号401に示すように、第1加熱部材51x、第2加熱部材51yおよび第3加熱部材51zで構成される上型を有している。具体的には、上型は、上側可動盤51の下面に設けられている。
【0043】
第1加熱部材51xは、図3の符号302および図4の符号401に示すように、先端の形状および大きさが第1樹脂部材20の平面視における形状および大きさと略同じになっている(図2も参照)。第1加熱部材51xは、格納部10が完成した状態において第1樹脂部材20が配置されるべき位置に先端が配置されるように(図3の符号302参照)、上側可動盤51の下面に設けられている。
【0044】
第2加熱部材51yは、図3の符号302に示すように、下側部分の内側側面が、格納部10が完成した状態における側壁10xの傾斜角度と略同じ角度に傾斜している。第2加熱部材51yは、図3の符号302および図4の符号401に示すように、前述の内側側面の形状および大きさが側壁側部分21xの平面視における形状および大きさと略同じになっている(図2も参照)。第2加熱部材51yは、格納部10が完成した状態において第2樹脂部材21の側壁側部分21xが配置されるべき位置に前述の内側側面が配置されるように(図3の符号302参照)、上側可動盤51の下面に4つ設けられている。
【0045】
第3加熱部材51zは、図3の符号302および図4の符号401に示すように、先端の形状および大きさが第2樹脂部材21の頂壁側部分21yの平面視における形状および大きさと略同じになっている(図2も参照)。第3加熱部材51zは、格納部10が完成した状態において頂壁側部分21yが配置されるべき位置に先端が配置されるように(図3の符号302参照)、上側可動盤51の下面に設けられている。
【0046】
下側固定盤52は、図3および図4の符号402に示すような下型52xを有している。具体的には、下型52xは、下側固定盤52の上面に設けられている。下型52xは、車両部品102の突出部分の形状および大きさと略同一の略四角錐台形状の型である。
【0047】
<溶着工程>
以下、溶着工程について説明する。まず、図3の符号301に示すように、駆動装置53によって上側可動盤51を上昇させた状態にした上で、下側固定盤52の上面および下型52xの上面にシート1xを載置する。そして、シート1xの第1面1x-1における第1の所望の領域に、樹脂部材22を載置する。樹脂部材22は、第1樹脂部材20と同じ材料で形成された、第1樹脂部材20と同じ厚さのシートであり、平面視における外形の面積が第1樹脂部材20よりも大きい。
【0048】
樹脂部材22には、シート1xと側壁10xとの境界線の形状および大きさと略同じ形状および大きさの開口部が形成されている。樹脂部材22を第1面1x-1における第1の所望の領域に載置することにより、下型52xの上面が前述の開口部内に配置される。ここで、「第1の所望の領域」とは、格納部10が完成した状態において、樹脂部材22の開口部が側壁10xの根元10x-1を取り囲むようになる領域を指す。
【0049】
また、第1面1x-1における第2の所望の領域1x-2(第4面)に、第2樹脂部材21を載置する(以上、載置行程)。ここで、「第2の所望の領域1x-2」とは、完成した状態の側壁10xおよび頂壁10yを構成することとなるシート1xの一部分の面に含まれる領域であり、格納部10が完成することによって接続部分10zの第2面10z-1となる領域を指す。以下、完成した状態の側壁10xおよび頂壁10yを構成することとなるシート1xの一部分を「特定部分」と称する。載置工程が終了すると、下型52xによって、シート1xにおける格納部10の形成箇所およびその近傍が鉛直上側に盛り上がる。
【0050】
次に、シート1xを下型52xの外形に沿って引き延ばした状態を維持しつつ、駆動装置53によって上側可動盤51を下降させる。そして、図3の符号302に示すように、第1加熱部材51xの先端を樹脂部材22における開口部の外縁部分に押し付ける。同時に、第2加熱部材51yの内側側面を第2樹脂部材21の側壁側部分21xに押し付け、かつ第3加熱部材51zの先端を第2樹脂部材21の頂壁側部分21yに押し付ける。これらの各押し付けにより、シート1xの特定部分を変形させて側壁10xおよび頂壁10yを形成し、格納部10を作製する(作製工程)。
【0051】
また、第1~第3加熱部材51x~51zによる前述の各押し付け(以下、「各加熱部材による押し付け」)と同時に、樹脂部材22における開口部の外縁部分を第1加熱部材51xで加熱する。同様に、側壁側部分21xを第2加熱部材51yで加熱し、頂壁側部分21yを第3加熱部材51zで加熱する。以下、これらの各加熱を纏めて「各加熱部材による加熱」と称する。
【0052】
ここで、本明細書において「同時」とは、各加熱部材による押し付けの完了時(上側可動盤51の下降が完了した時点)と加熱の開始時とが完全に同時であることを要求する概念ではない。本明細書における「同時」は、例えば、各加熱部材の先端が第1および第2樹脂部材20および21の特定箇所に接触し始めてから各加熱部材による押し付けが完了するまでのいずれかの時点で、各加熱部材による加熱を開始する場合を含む。また例えば、各加熱部材による押し付けの完了直後から各加熱部材による加熱を開始する場合も含む。
【0053】
各加熱部材による加熱の開始時期に関し、第1~第3加熱部材51x~51zの相互の関係(例えば、同時に開始するのか、異なる時期に開始するのか)について特段の限定はない。但し、第1~第3加熱部材51x~51zの全体としての加熱時間の短縮化、ひいてはドアホールシール1の製造時間の短縮化の観点からは、各加熱部材が略同時に加熱を開始するのが好ましい。各加熱部材による加熱により、樹脂部材22をシート1xの第1面1x-1に溶着させるとともに、第2樹脂部材21を接続部分10zの第2面10z-1に溶着させる(溶着(接着)工程)。
【0054】
次に、図示しないものの、樹脂部材22における開口部の外縁部分と他の部分とを分離することにより、当該外縁部分が第1樹脂部材20となる(分離工程)。この分離は、例えば前述の外縁部分と他の部分との境界にミシン目を形成しておき、分離工程において樹脂部材22の他の部分を切り離してもよい。あるいは、前述の外縁部分と他の部分との境界を工具等で切断してもよい。
【0055】
本実施形態では、作製工程と溶着工程とが同時に行われる。また、溶着装置50の構造上、溶着工程において第1~第3加熱部材51x~51zによる加熱も同時に行われる。このような方法を採用することにより、格納部10の作製ならびに第1および第2樹脂部材20および21の溶着を一度に行うことができる。これにより、ドアホールシール1の製造作業を容易化できるとともに、製造コストを低減できる。なお、作製工程と溶着工程とが別々に行われてもよいし、第1~第3加熱部材51x~51zによる加熱も異なるタイミングで行われてもよい。あるいは、溶着装置50と異なる装置、工具等を用いてもよい。
【0056】
〔変形例〕
図5図9を参照して、ドアホールシール1の変形例、およびドアホールシール1の製造方法の変形例について説明する。なお、説明の便宜上、前述した実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記してその説明を繰り返さない。
【0057】
<ドアホールシールの第1の変形例>
まず、図5に示すような第2樹脂部材21-1が格納部10に溶着されたドアホールシールが、ドアホールシール1の第1の変形例(以下、「第1の変形例」と略記)として想定される。第1の変形例は、図5に示すように、4つの第2樹脂部材21-1の側壁側部分21x-1が、すべて側壁10xの根元10x-1まで溶着されている。かつ、4つの側壁側部分21x-1のすべてが第1樹脂部材20と接続している。また、4つの側壁側部分21x-1は、側壁10xを構成する4つの壁部分における車内側の面の略中央に、1つずつ溶着されている。
【0058】
前述のような側壁側部分21x-1を有する第2樹脂部材21x-1を格納部10に溶着することで、接続部分10zの形状のみならず側壁10x全体の形状までも維持し易くなる。また、接続部分10zの強度のみならず側壁10x全体の強度を担保できる。さらに、側壁10xの形状を全体的にバランスよく保つことができる。
【0059】
なお、第1の変形例のようにすべての側壁側部分21x-1が側壁10xの根元10x-1まで溶着されており、かつ第1樹脂部材20と接続している必要は必ずしもない。格納部10に溶着された第2樹脂部材21x-1の少なくとも一部が、側壁10xの根元10x-1まで溶着されており、かつ第1樹脂部材20と接続していればよい。また、側壁側部分21x-1は、前述した4つの壁部分における車内側の面の略中央に溶着されていなくてもよく、当該面のいずれかの領域に溶着されていればよい。
【0060】
第1の変形例を製造する場合、例えば載置行程において第1および第2樹脂部材20および21-1を図6に示すように載置してもよい。具体的には、載置行程において、第1樹脂部材20に第1の所望の領域と離間する第1離間部分20zが複数形成されるように、第1樹脂部材20を第1の所望の領域に載置する。同様に、第2樹脂部材21-1に第2の所望の領域1x-2と離間する第2離間部分21zが複数形成されるように、第2樹脂部材21-1を第2の所望の領域1x-2に載置する。この場合、第1および第2樹脂部材20および21-1のそれぞれは、載置行程終了時点において、側面視で蛇腹形状となる。
【0061】
載置行程において、第1および第2樹脂部材20および21-1をこのように載置することにより、後にシート1xを下型52xの外形に沿って引き延ばす際に第1および第2離間部分20zおよび21zが伸びしろになる。これにより、シート1xの一部分が下型52xによって側壁10xおよび頂壁10yの形状になったときに第1および第2樹脂部材20および21-1のそれぞれがシート1xの一部分に密着し、これらの樹脂部材を所望の箇所に隙間なく溶着できる。なお、図6の載置行程の例では、第1樹脂部材20に第1離間部分20zを形成しなくてもよく、少なくとも第2樹脂部材21-1に1つ以上の第2離間部分21zを形成すればよい。
【0062】
<ドアホールシールの第2の変形例>
次に、図7に示すような第1樹脂部材20-1がシート1xおよび格納部10に溶着されたドアホールシールが、ドアホールシール1の第2の変形例(以下、「第2の変形例」と略記)として想定される。第2の変形例は、図7に示すように、第1樹脂部材20-1におけるシート1x側の部分20y(以下、「シート側部分20y」)がシート1xの第1面1x-1に溶着されている。シート側部分20yは、側壁10x側の端部の一部に4つの格納部側部分20x(格納部側の部分)が形成されている他は、本実施形態に係る第1樹脂部材20と同じ形状および大きさである。
【0063】
格納部側部分20xは、第1樹脂部材20-1におけるシート側部分20yよりも格納部10側に配置される部分であり、具体的には側壁10xの第3面10x-2に溶着されている。第3面10x-2は、図7の符号602に示すようにシート1xの第1面1x-1と接続する面であり、第2の変形例においては側壁側領域よりも側壁10xの根元10x-1側に配置されている。
【0064】
第2の変形例は、前述の通り第1樹脂部材20-1が格納部側部分20xを4つ有しており、側壁10xを構成する4つの壁部分のそれぞれに1つずつ、格納部側部分20xが溶着されている。第3面10x-2は、前述の壁部分毎の4つの領域(以下、「第3面側領域」)に分けられる。第2の変形例は、格納部側部分20xが第3面側領域の略中央に溶着されており、当該格納部側部分20xの根元10x-1側の端部がシート側部分20yの側壁10x側の端部と接続している。
【0065】
前述のような格納部側部分20xを有する第1樹脂部材20-1をシート1xに溶着することで、接続部分10zの形状のみならず側壁10x全体の形状までも維持し易くなる。また、接続部分10zの強度のみならず側壁10x全体の強度を担保できる。さらに、側壁10xの形状を全体的にバランスよく保つことができる。
【0066】
格納部側部分20xの形状、大きさ、個数および配置が図7の例に限定されない点については、本実施形態に係る側壁側部分21xと同様である。換言すれば、第1樹脂部材20-1は、シート側部分20yにおける側壁10x側の端部の少なくとも一部に格納部側部分20xを有していればよい。
【0067】
また図示しないものの、本実施形態に係るドアホールシール1は、格納部側部分20xが第3面10x-2に溶着された構成と、側壁側部分21x-1が側壁10xの根元10x-1まで溶着されて第1樹脂部材20と接続した構成と、の両方を含んでもよい。例えば、側壁10xを構成する4つの壁部分のうち、互いに対向する2つの壁部分の第3面10x-2に格納部側部分20xが溶着され、互いに対向する他の2つの壁部分の根元10x-1まで側壁側部分21x-1が溶着されていてもよい。
【0068】
<ドアホールシールの製造方法の変形例>
本実施形態に係るドアホールシール1の製造では、溶着工程において、例えば図9に示すような方法を採用してもよい。図9に示す方法を採用する場合、予め、第1樹脂部材20と第2樹脂部材21とを図8に示すように一体成形しておく。具体的には、1枚モノのシート状の樹脂部材(不図示;第1および第2樹脂部材20および21と同じ材質、同じ厚さ)から、外形の形状および大きさが第1樹脂部材20と同じ元部材を切り出す。そして、切り出した元部材の内側の部分を所定の形状にくり抜くことにより、一体成形された第1および第2樹脂部材21が完成する。
【0069】
一体成形された第1および第2樹脂部材21は、第1樹脂部材20における側壁10x側の端部と、第2樹脂部材21における格納部側部分20xの根元10x-1側の端部と、が連なった状態になっている。そこで、側壁10x側の端部と根元10x-1側の端部との境界にミシン目23を形成する。ミシン目23は、細かな複数のスリットで構成される。なお、第1および第2樹脂部材21の一体成形の方法は、前述の例に限定されない。
【0070】
載置行程では、図9の符号901に示すように、第1樹脂部材20をシート1xにおける第1の所望の領域に載置することと、第2樹脂部材21をシート1xにおける第2の所望の領域1x-2に載置することとを、略同時に行える。これにより、第1および第2樹脂部材20および21を個別に位置決めして載置する手間が省け、ドアホールシール1の製造作業を容易化できる。
【0071】
作製工程では、第1~第3加熱部材51x~51zの各先端で第1および第2樹脂部材20および21を押し付ける過程で、第1樹脂部材20と第2樹脂部材21とがミシン目23を境に切り離される。そして、側壁10xおよび頂壁10yの形成が完了した状態では、図9の符号902に示すように、第1樹脂部材20が第1面1x-1における側壁10xの根元10x-1の周囲領域上に配置される。また、第2樹脂部材21が接続部分10z-1の第2面10z-1上に配置される。
【0072】
このように、一体成形された第1および第2樹脂部材20および21にミシン目23を形成しておくことで、ドアホールシール1の製造作業を容易化しつつ、これらの樹脂部材をシート1xおよび格納部10の所望の位置に配置・溶着できる。
【0073】
なお、図9の例では、第1樹脂部材20のシート1xにおける位置決め、および側壁10xの根元付近に立ち上がりを容易にするために、支持台52yが下型52xの周囲を取り囲むように設けられている。また、第1~第3加熱部材51x~51zの各先端で第1および第2樹脂部材20および21を押し付ける過程で、これらの樹脂部材が意図しない箇所に溶着されるのを防ぐべく、少なくとも作製工程の終了直前から溶着工程を開始するのが好ましい。
【0074】
〔付記事項〕
本発明は前述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態および変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 ドアホールシール
1x シート
1x-1 第1面
1x-2 第2の所望の領域(第4面)
10 格納部
10x 側壁
10x-1 根元
10x-2 第3面
10y 頂壁
10z 接続部分
10z-1 第2面
20 第1樹脂部材
20x 格納部側部分(格納部側の部分)
21、21-1 第2樹脂部材
21x、21x-1 側壁側部分
21z 第2離間部分(離間部分)
100 フロントドア(車両のドア)
101 ドアインナーパネル
101x ドアホール
102x 側面
102y 先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9