(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167125
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】半田鏝台
(51)【国際特許分類】
B23K 3/02 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B23K3/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072698
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000234339
【氏名又は名称】白光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】前島 知世
(72)【発明者】
【氏名】松崎 憲二
(57)【要約】
【課題】半田鏝台の本体部が高温になったとしても、半田鏝の使用者がその影響を受け難くする。
【解決手段】半田鏝台10は、半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口22に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部14と、本体部14を支持するように構成された台部12と、本体部14を構成する金属よりも伝熱性の低い材質の部材で構成され、本体部14に取り付けられるカバー16と、を備えている。本体部14は、一対の側面部32と、一対の側面部32間の天面部31と、を有する。カバー16は、一対の側面部32に亘る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、
前記本体部を支持するように構成された台部と、
前記本体部を構成する金属よりも伝熱性の低い材質の部材で構成され、前記本体部に取り付けられるカバーと、を備えている、半田鏝台。
【請求項2】
前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、を有し、
前記カバーは、前記一対の側面部に亘るように前記本体部に取り付けられている、請求項1に記載の半田鏝台。
【請求項3】
前記カバーは、平板状の部材で構成されるとともに、前記平板状の部材が曲げられた状態でその両端の部位が前記一対の側面部に取り付けられている、請求項2に記載の半田鏝台。
【請求項4】
前記本体部には、前記差し込み口に差し込まれた前記半田鏝の熱を放出可能な孔が形成されており、
前記カバーは、前記孔の少なくとも一部を覆うように前記本体部に取り付けられている、請求項1から3の何れか1項に記載の半田鏝台。
【請求項5】
前記カバーと前記本体部との間には、前記孔からの熱を逃がすことが可能な隙間が形成されている、請求項4に記載の半田鏝台。
【請求項6】
前記カバーと前記本体部との間に隙間が形成されている、請求項1から4の何れか1項に記載の半田鏝台。
【請求項7】
前記差し込み口は、前記本体部の上部に位置しており、
前記本体部は、前記差し込み口側に位置する第1孔と、前記第1孔よりも前記差し込み口から離れたところに位置する第2孔と、を有し、
前記カバーは、前記第1孔を覆わないように前記本体部に取り付けられている、請求項1に記載の半田鏝台。
【請求項8】
前記カバーは、前記本体部に着脱可能に取り付けられている、請求項1から7の何れか1項に記載の半田鏝台。
【請求項9】
前記本体部は、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部を有し、
前記本体部には、前記天面部と前記上面部とに渡って第1孔が形成されている、請求項2に記載の半田鏝台。
【請求項10】
前記本体部は、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部を有し、
前記本体部には、前記上面部と前記一対の側面部との間にそれぞれスリットが形成されるとともに、前記一対の側面部と前記天面部との境界に沿って前記上面部から離れる方向に前記スリットから延びる切欠きが形成されている、請求項2に記載の半田鏝台。
【請求項11】
半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、
前記本体部を支持するように構成された台部と、を備え、
前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部と、を有し、
前記本体部には、前記上面部と前記一対の側面部との間にそれぞれスリットが形成されるとともに、前記一対の側面部と前記天面部との境界に沿って前記上面部から離れる方向に前記スリットから延びる切欠きが形成されている、半田鏝台。
【請求項12】
半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、
前記本体部を支持するように構成された台部と、を備え、
前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部と、を有し、
前記本体部には、前記天面部と前記上面部とに渡って第1孔が形成されている、半田鏝台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田鏝台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に開示されているように、半田鏝の一時的な不使用時等に半田鏝を保持させるための半田鏝台が知られている。特許文献1に開示された半田鏝台は、
図11に示すように、基板101と、基板101に連結された本体部102と、本体部102の上端に設けられたスリーブ103と、を備えている。本体部102は、基板101に対して回動可能に連結されている。スリーブ103は、半田鏝110のハンドル部分を出し入れできる形状であり、スリーブ103に半田鏝110のハンドル部分を挿通させることによって、半田鏝110を保持できる。スリーブ103は、本体部102の上端部において回動可能となっている。すなわち、本体部102の上端部における左右両端には、上方に延びる一対のアーム104が形成されており、スリーブ103はこの左右一対のアーム104に回動可能に取り付けられている。本体部102には、半田鏝110の先端部(加熱用の部位)の上に位置する部位に孔105が形成されていて、この孔105を通して半田鏝110の先端部からの熱を放出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された半田鏝台の本体部102が金属製である場合には、本体部105に熱放出用の孔105が形成されているとしても、半田鏝110の先端部の熱を受けて高温に加熱されてしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、半田鏝台の本体部が高温になったとしても、半田鏝の使用者がその影響を受け難くする、または本体部が高温になることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半田鏝台は、半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、前記本体部を支持するように構成された台部と、前記本体部を構成する金属よりも伝熱性の低い材質の部材で構成され、前記本体部に取り付けられるカバーと、を備えている。
【0007】
本発明では、本体部が半田鏝の少なくとも天面側を覆うため、半田鏝の少なくとも天面側の部位に直接触れないようにできる。しかも、本体部に取り付けられたカバーが本体部よりも低伝熱特性を有する材質なので、カバーに触って、半田鏝台を移動させることができる。また、本体部が折り畳み式の場合には、カバーに触って、本体部の傾き角度を変えることができる。
【0008】
前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、を有してもよい。この場合、前記カバーは、前記一対の側面部に亘るように前記本体部に取り付けられていてもよい。
【0009】
この態様では、カバーが一対の側面部に亘って設けられるため、一対の側面部の位置でカバーを把持して半田鏝台を移動させることができる。また、本体部が折り畳み式の場合には、一対の側面部の位置でカバーを把持して、本体部の傾き角度を変えることができる。
【0010】
前記カバーは、平板状の部材で構成されるとともに、前記平板状の部材が曲げられた状態でその両端の部位が前記一対の側面部に取り付けられていてもよい。
【0011】
この態様では、平板状の部材が曲げられた状態で本体部の一対の側面部に取り付けられるため、カバーを構成する部材を予め曲げ加工しておく必要がなくなる。
【0012】
前記本体部には、前記差し込み口に差し込まれた前記半田鏝の熱を放出可能な孔が形成されていてもよい。この場合、前記カバーは、前記孔の少なくとも一部を覆うように前記本体部に取り付けられていてもよい。
【0013】
この態様では、本体部の孔を通して半田鏝の放熱を許容しつつ、カバーを把持する手に向けて放熱されることを抑制できる。
【0014】
前記カバーと前記本体部との間には、前記孔からの熱を逃がすことが可能な隙間が形成されていてもよい。この態様では、カバーと本体部との間の隙間を通して、本体部の孔からの熱を放出できる。また、本体部とカバーとの温度差が付きやすくなるため、カバーの昇温を抑制できる。
【0015】
前記カバーと前記本体部との間に隙間が形成されていてもよい。この態様では、カバーと本体部との間の隙間を通して本体部の熱を放出できる。また、本体部とカバーとの温度差が付きやすくなるため、カバーの昇温を抑制できる。特に、カバーが平板状の部材で構成されるとともに、前記平板状の部材が曲げられた状態でその両端の部位が前記一対の側面部に取り付けられる場合には、カバーと本体部の天面部との間に隙間が形成され易い。
【0016】
前記差し込み口は、前記本体部の上部に位置しており、前記本体部は、前記差し込み口側に位置する第1孔と、前記第1孔よりも前記差し込み口から離れたところに位置する第2孔と、を有してもよい。この場合、前記カバーは、前記第1孔を覆わないように前記本体部に取り付けられていてもよい。
【0017】
本体部の内側において差し込み口に近いところでは、半田鏝で熱せられた空気が溜まりやすいが、本体部には差し込み口側において第1孔が形成されているため、半田鏝で熱せられた空気を第1孔を通して放出できる。
【0018】
前記カバーは、前記本体部に着脱可能に取り付けられていてもよい。この態様では、カバーが不要なときに、カバーを取り外すことができる。
【0019】
前記本体部は、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部を有してもよい。この場合、前記本体部には、前記天面部と前記上面部とに渡って第1孔が形成されていてもよい。
【0020】
この態様では、半田鏝で加熱された空気が溜まりやすいところに第1孔が形成されるため、本体部の上面部付近に熱い空気が溜まって本体部が加熱されることを抑制できる。
【0021】
前記本体部は、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部を有してもよい。この場合、前記本体部には、前記上面部と前記一対の側面部との間にそれぞれスリットが形成されるとともに、前記一対の側面部と前記天面部との境界に沿って前記上面部から離れる方向に前記スリットから延びる切欠きが形成されていてもよい。
【0022】
この態様では、半田鏝で加熱された空気を、上面部及び側面部間の間隙を通して放出できる。しかも、上面部及び側面部間の直接的な伝熱を防止できるとともに、切欠きによって天面部から側面部への伝熱を抑制できるため、側面部が昇温することを抑制できる。
【0023】
本発明に係る半田鏝台は、半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、前記本体部を支持するように構成された台部と、を備える。前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部と、を有する。前記本体部には、前記上面部と前記一対の側面部との間にそれぞれスリットが形成されるとともに、前記一対の側面部と前記天面部との境界に沿って前記上面部から離れる方向に前記スリットから延びる切欠きが形成されている。
【0024】
本発明では、本体部において、天面部の上端部から折れ曲がった姿勢の上面部が存在している。このため、天面部と上面部とに隣接する部分においては、半田鏝で加熱された空気が溜まりやすい傾向となる。しかし、上面部と側面部とが互いに離間しているため、半田鏝によって加熱された空気を、上面部及び側面部間の間隙を通して放出できる。しかも、上面部及び側面部間の直接的な伝熱を防止できるとともに、切欠きによって天面部から側面部への伝熱を抑制できる。したがって、手で触れやすい側面部が高温になることを抑制できる。
【0025】
本発明に係る半田鏝台は、半田鏝を差し込み可能に構成された差し込み口に差し込まれた半田鏝の少なくとも天面側を覆う形状の金属板製の本体部と、前記本体部を支持するように構成された台部と、を備える。前記本体部は、一対の側面部と、前記一対の側面部間の天面部と、前記天面部の上端部において前記天面部に対して折れ曲がった姿勢で配置されるとともに前記差し込み口が配置される上面部と、を有する。前記本体部には、前記天面部と前記上面部とに渡って第1孔が形成されている。
【0026】
本発明では、本体部において、天面部の上端部から折れ曲がった姿勢の上面部が存在している。このため、天面部と上面部とに隣接する部分においては、半田鏝で加熱された空気が溜まりやすい傾向となる。しかし、この部分に第1孔が形成されるため、本体部の上面部付近に熱い空気が溜まって本体部の天面部が加熱されることを抑制できる。したがって、本体部の上面部が高温になることを抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、本体部が高温になったとしても半田鏝の使用者が半田鏝台に触れることができる。または、本体部が天面部に対して折れ曲がった姿勢の上面部を有する場合において、本体部の天面部又は側面部が高温になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】前記半田鏝台を差し込み口側から見た図である。
【
図3】前記半田鏝台の本体部を上から見た図である。
【
図4】(a)(b)カバーを構成する部材の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態に係る半田鏝台10は、図略の載置面上に載置可能に構成された台部12と、台部12に回動可能に支持された本体部14と、本体部14に取り付けられるカバー16と、を備えている。本体部14の上端部には、半田鏝(図示省略)を差し入れるための筒状の差し込み部材20が取り付けられている。この差し込み部材20の開口(差し込み口22)に半田鏝を差し込むと、半田鏝は、差し込み口22に挿通された状態で保持される。
【0031】
台部12は、載置面に載置される底面を有する底部12aと、底部12aの左右両端から立ち上がる一対の脚部12b、12bと、を備えている。台部12は、金属板製である。
【0032】
台部12には、半田鏝に付着した半田を除去するためのパッド24を保持する除去台26が接続されている。除去台26は、台部12における底部12aに接続されている。除去台26及び台部12は、1枚の板材で構成されてもよい。
【0033】
本体部14は、本体部14の傾き角度を変えられるように、台部12に取り付けられている。つまり、半田鏝台10は折り畳み式となっている。具体的に、本体部14には、折れ曲がり形状のスリット14aが形成され、一方、台部12の一対の脚部12b、12bには、スリット14aに挿通されるねじ28を挿通させる図略の開口が形成されている。このねじ28を緩めた状態で、本体部14をねじ28の軸回りに回動できる。このとき、スリット14a内にねじ28の軸が挿通された状態で本体部14の姿勢が変わる。これにより、本体部14の傾き角度を変えることができる。
【0034】
本体部14は、金属平板を折り曲げて形成したものであり、
図2に示すように、天面部31と、天面部31の左右両端につながる一対の側面部32,32と、天面部31の上端部31aにつながる上面部33と、を有する。天面部31は、
図3に示すように一方向に長い矩形状に形成されている。また、一対の側面部32,32のそれぞれも、同じ方向に長い矩形状に形成されている(
図1参照)。すなわち、本体部14の内側には、差し込み口22から半田鏝が差し込まれるため、本体部14は、半田鏝の形状に合わせて、本体部14の上端部からその反対側の下端部に向かう方向に長い形状となっている。本体部14は、天面部31に対向する底面を有しておらず、台部12側に開放されている(
図2参照)。したがって、本体部14は、差し込み口22に差し込まれた半田鏝の天面側及び左右側面側を覆う形状となっている。
【0035】
なお、本体部14の天面部31及び一対の側面部32,32はそれぞれ平板状に形成されているが、これに限られない。天面部31及び一対の側面部32,32の少なくとも1つは、湾曲していてもよい。したがって、天面部31及び一対の側面部32,32が全体として滑らかにつながる曲面状に形成されていてもよい。この場合において、本体部14は筒状に形成されてもよい。この場合には、本体部14は、差し込み口22に差し込まれた半田鏝の周囲を覆う形状となる。
【0036】
上面部33は、天面部31に対して折れ曲がるように天面部31の上端部31a(本体部14の長手方向の端部)につながっている。上面部33は、天面部31に対して直交しており、天面部31の上端部31a及び一対の側面部32,32のそれぞれの上端部によって区画される矩形状の空間の大部分を塞ぐように配置されている。ただし、上面部33と一対の側面部32,32とは互いに離間しており、上面部33と一対の側面部32,32との間にはスリット35が形成されている。
【0037】
差し込み口22を形成する差し込み部材20は、上面部33に形成された図略の開口に保持されており、上面部33から突出するように配置されている。すなわち、上面部33に差し込み口22が配置されており、差し込み口22は本体部14の上部に配置されている。差し込み口22に差し込まれた半田鏝は、本体部14の内側の空間に挿入される。
【0038】
カバー16は、本体部14の天面部31及び一対の側面部32,32の大部分を覆っている。つまり、カバー16は、一対の側面部32,32に亘るように本体部14に取り付けられる。
【0039】
カバー16は、本体部14を構成する金属よりも伝熱性の低い材質の部材で構成されている。例えば、カバー16は耐熱樹脂等の樹脂製、又はゴム製である。このため、カバー16は、本体部14に比べて加熱され難く、昇温している半田鏝を保持している最中でも、本体部14に比べて低温に維持される。
【0040】
カバー16は、
図4(a)(b)に示すように軟質の平板状の部材37で構成されている。そして、カバー16を構成する部材37は、曲げられた状態で本体部14に取り付けられる。カバー16を構成する部材37の一面(又はカバー16の裏面)には、複数の突起38が設けられており、これの突起38は、本体部14の側面部32,32に設けられた係合孔40(
図2参照)に挿入される。これにより、カバー16は本体部14に係止される。
【0041】
カバー16と本体部14(特に天面部31)との間には、
図2に示すように、隙間42が形成されている。すなわち、本体部14の天面部31とカバー16との間に隙間42が形成されるように、カバー16の取付位置(突起38及び係合孔40の位置)が調整されている。ただし、本実施形態では、平板状の部材37を曲げて使用し、カバー16が一対の側面部32、32に係止される構成であるため、天面部31とカバー16との間に隙間42ができやすくなっている。このため、カバー16と天面部31との間の隙間42を通して通気でき、したがって、手で触れやすい側面部32側に熱い空気が流れ難くなっている。
【0042】
突起38が側面部32,32の係合孔40に係合される構成であるため、カバー16は本体部14に対して着脱可能である。
【0043】
なお、本体部14へのカバー16の固定手段は突起38に限られるものではない。例えば、カバー16の端部に鉤状の爪部を形成しておいて、この爪部を側面部32,32の側縁に引っ掛けるようにしてもよい。また、カバー16内に磁石を埋設しておき、この磁石の磁力でカバー16が側面部32,32に吸着されるようにしてもよい。また、カバー16は、本体部14に対して着脱可能ではなく、本体部14から取り外せないように本体部14に固定されてもよい。
【0044】
カバー16を構成する部材37は、本体部14の両側面部32,32に渡る長さを有するとともに、天面部31の長手方向の大部分を覆う幅を有している。なお、本実施形態では、カバー16は、本体部14の一部のみを覆う大きさに形成されているが、本体部14の全体を覆う大きさを有していてもよい。また、本実施形態では、カバー16は、側面部32,32の側縁(天面部31とは反対側の縁)までは覆わない大きさに形成されているが、側面部32,32の側端まで覆う大きさに形成されていてもよい。
【0045】
カバー16を構成する部材37(又はカバー16)の幅方向(
図4(b)の左右方向)の両端部には、その中央部に凹部44,45が形成されている。幅方向の両側に凹部44,45が設けられているため、
図4(b)の左右方向のどちら向きでも、部材37を本体部14に取り付けることができる。つまり、部材37を本体部14に取り付けるときに、部材37の方向性を気にする必要がなくなる。一方の凹部44は、後述する第1孔47を露出させつつその隣接部位を覆うように設けられている。なお、もう一方の凹部45は省略されていてもよい。また、本体部14に第1孔47が形成されない場合には、前記一方の凹部44を省略することができる。
【0046】
図2及び
図3にも示すように、本体部14には、天面部31から上面部33に渡って、貫通孔からなる第1孔47が形成されている。第1孔47は、上面部33が接続される天面部31の上端部31aの一部を含むように形成されており、天面部31の上端部31aから天面部31の下端部31bに向かって、本体部14の長手方向において所定の範囲で延びるとともに、上面部33の先端に向かって所定の範囲で延びている。第1孔47は、カバー16によって全く覆われないか、または、カバー16によって部分的に覆われる。何れの場合でも、第1孔47は、本体部14にカバー16が取り付けられた状態でも、カバー16によって覆われず、少なくとも一部が露出している。
【0047】
天面部31と上面部33との境界付近の内側には、半田鏝によって加熱された空気が溜まりやすいため、第1孔47はこの境界付近の内側の空気を本体部14の外側に放出させ、この部分に高温の空気が溜まることを抑制する。すなわち、第1孔47は、半田鏝の熱を放出可能な孔である。
【0048】
本体部14には、側面部32,32と天面部31との境界に沿って切欠き49が形成されている。切欠き49は、スリット35につながっており、当該スリット35から本体部14の下端部に向かって本体部14の長手方向の所定範囲の長さに渡って形成されている。すなわち、切欠き49は、上面部33から離れる方向に、スリット35から延びている。この切欠き49が形成された範囲では、天面部31から側面部32,32への直接的な伝熱は防止される。つまり、天面部31の中でも最も高温となっている上端部31a近傍から側面部32,32への直接的な伝熱を防止できる。また、天面部31と上面部33との間の加熱された空気を、切欠き49を通して本体部14の外側に放出できる。したがって、側面部32,32が高温になることを抑制できる。
【0049】
本体部14には、第1孔47よりも差し込み口22から離れたところに位置する第2孔52と、第2孔52の側方に配置された第3孔53と、第2孔52よりも差し込み口22から離れたところに位置する第4孔54と、第3孔53よりも差し込み口22から離れたところに位置する第5孔55と、が形成されている。第2孔52~第5孔55は、何れも天面部31を貫通するように形成されている。このため、第2孔52~第5孔55を通して、本体部14内の加熱された空気を外側に放出できる。すなわち、第2孔52~第5孔55は、何れも、半田鏝の熱を放出可能な孔である。
【0050】
第2孔52は、天面部31における幅方向の中央部分に配置されており、第1孔47よりも下端部31b寄りの位置を本体部14の長手方向に延びている。図例では、3つの第2孔52が形成されているが、第2孔52の数はこれに限られず、例えば1つであってもよい。
【0051】
第4孔54は、第2孔52の延長線上に配置されており、本体部14の長手方向において第2孔52から離間した位置を本体部14の長手方向に延びている。すなわち、第2孔52と第4孔54との間には第1連結部57が存在している。この第1連結部57の存在により、天面部31の強度を確保できる。
【0052】
第3孔53は、天面部31の幅方向(本体部14の長手方向に直交する方向)において第2孔52の両側に配置されている。第3孔53は、本体部14の長手方向に延びている長孔によって構成されている。なお、図例では、第2孔52の左右にそれぞれ1つずつの第3孔53が設けられているが、第3孔53の数はこれに限られない。
【0053】
第5孔55は、第3孔53の延長線上に配置されており、本体部14の長手方向において第3孔53から離間した位置を本体部14の長手方向に延びている。すなわち、第3孔53と第5孔55との間には第2連結部58が存在している。この第2連結部58の存在により、天面部31の強度を確保できる。
【0054】
第1連結部57は、第2連結部58に対し、天面部31の長手方向にずれたところに形成されている。このため、第1連結部57の熱が側面部32,32側に伝わり難い。
【0055】
本体部14の長手方向において互いに対応している第3孔53及び第5孔55の合計長さは、本体部14の長手方向において互いに対応している第2孔52及び第4孔54の合計長さよりも長い。したがって、天面部31の幅方向中央部の熱が側面部32,32に伝わり難くなっている。
【0056】
第3孔53における上端部31a側の端(部差し込み口22側の端部)は、第2孔52における上端部31a側の端部(差し込み口22側の端部)よりも差し込み口22に近い。また、第5孔55における下端部31b側の端部(差し込み口22とは反対側の端部)は、第4孔54における下端部31b側の端部(差し込み口22側とは反対側の端部)よりも下端部31bに近い。
【0057】
第2孔52はカバー16によって覆われる一方で、第3孔53~第5孔55はカバー16によって部分的に覆われる。このため、カバー16を把持する手に向けて本体部14内の熱が放出されることを抑制できる。なお、第1孔47~第5孔55の全てがカバー16に覆われてもよい。
【0058】
なお、第3孔53~第5孔55の何れもがカバー16によって完全に覆われてもよい。また、第2孔52と第4孔54がつながってこれらが共通の長孔によって形成されていてもよい。また、第3孔53と第5孔55がつながってこれらが共通の長孔によって形成されていてもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、本体部14が半田鏝の少なくとも天面側を覆うため、半田鏝の少なくとも天面側の部位に直接触れないようにできる。しかも、本体部14に取り付けられたカバー16が本体部14よりも低伝熱特性を有する材質なので、カバー16に触って、半田鏝台10を移動させることができる。また、カバー16に触って、本体部14の傾き角度を変えることもできる。
【0060】
また、カバー16が一対の側面部32,32に亘って設けられるため、一対の側面部32,32の位置でカバー16を把持して半田鏝台10を移動させることができる。また、一対の側面部32,32の位置でカバー16を把持して、本体部14の傾き角度を変えることができる。
【0061】
また、平板状の部材37で構成されたカバー16が、曲げられた状態で本体部14の一対の側面部32,32に取り付けられているので、カバー16を構成する部材37を予め曲げ加工しておく必要がなくなる。
【0062】
また、カバー16と天面部31との間に隙間42が形成されるため、当該隙間42を通して本体部14の熱を放出できる。また、本体部14とカバー16との温度差が付きやすくなるため、カバー16の昇温を抑制できる。
【0063】
また、カバー16が第1孔47~第5孔55の少なくとも一部を覆うように本体部14に取り付けられるため、本体部14の第1孔47~第5孔55を通して半田鏝の放熱を許容しつつ、カバー16を把持する手に向けて放熱されることを抑制できる。
【0064】
本体部14の内側において差し込み口22に近いところでは、半田鏝で熱せられた空気が溜まりやすいが、本体部14には差し込み口22側において第1孔47が形成されているため、半田鏝で熱せられた空気を第1孔47を通して放出できる。その一方で、差し込み口22から離れた第2孔52についてはカバー16で覆われるため、カバー16を把持する手に向けて放熱されることを抑制できる。
【0065】
また、カバー16が本体部14に着脱可能なため、カバー16が不要なときに、カバー16を取り外すことができる。
【0066】
また、上面部33と側面部32,32とが互いに離間しているため、半田鏝で加熱された空気を、上面部33及び側面部32,32間のスリット35を通して放出できる。しかも、上面部33及び側面部32,32間の直接的な伝熱を防止できるため、側面部32,32が昇温することを抑制できる。
【0067】
また、本体部14に、側面部32,32と天面部31との境界に沿って延びる切欠き49が形成されているため、天面部31から側面部32,32への伝熱をさらに抑制でき、側面部32,32の昇温をさらに抑制できる。
【0068】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、カバー16が軟質の平板状の部材37で構成されるとともに、この部材37が曲げられた状態で本体部14に取り付けられる。代替的に、カバー16は本体部14の形状に応じて曲がった形状の部材で構成されてもよい。この場合には、カバー16を本体部14にそのままの形状の状態で取り付ければ済む。
【0069】
前記実施形態では、第1孔47が設けられているが、
図5に示すように、第1孔47は省略可能である。第1孔47が省略される場合には、天面部31と上面部33との境界付近もカバー16で覆われることになる。また、スリット35も省略可能である。また、切欠き49も省略可能である。また、第2孔52から第5孔55の何れかも省略可能である。
【0070】
第2孔52から第5孔55は、長孔に限られるものではない。第2孔52から第5孔55の何れかは、例えば丸孔や角孔によって構成されていてもよい。
【0071】
前記実施形態では、本体部14の上面部33に差し込み部材20が取り付けられて、この差し込み部材20の開口が、半田鏝の差し込み口22となっている。これに代え、差し込み部材20が上面部33に取り付けられるのではなく、
図6に示すように、上面部33に直接、差し込み口22が形成されていてもよい。
【0072】
前記実施形態では、本体部14にカバー16が取り付けられた構成としたがこれに限られるものではない。
図7に示すように、カバー16が省略された構成としてもよい。この構成でも、上面部33と側面部32,32とが互いに離間していることにより、半田鏝によって加熱された空気を、上面部33及び側面部32,32間のスリット35を通して放出できる。しかも、上面部33から側面部32,32への直接的な伝熱を防止できる。したがって、手で触れやすい側面部32,32が高温になることを抑制できる。また、切欠き49が形成されている場合には、側面部32,32の加熱をより抑制できる。なお、スリット35を省略可能である。また、切欠き49を省略可能である。
【0073】
また、カバー16が省略された構成においても、本体部14には、天面部31から上面部33に渡って第1孔47が形成されているため、本体部14の上面部33付近に熱い空気が溜まって本体部14の天面部31が加熱されることを抑制できる。したがって、本体部14の上面部33が高温になることを抑制できる。なお、第1孔47を省略可能である。
【0074】
前記実施形態では、カバー16が一対の側面部32,32に渡る大きさに形成されているが、これに代え、カバー16は天面部31を覆う一方で一対の側面部32,32を覆わない大きさに形成されてもよい。すなわち、第1孔47から第5孔55の存在により、側面部32,32の昇温が抑制されているため、
図8に示すように、側面部32,32は露出してもよい。この場合、カバー16には、差し込み部材20を挿通させる開口60が形成され、カバー16の上端部が差し込み部材20によって保持され、カバー16の下端部は天面部31の第4孔54等を利用して保持される。
【0075】
前記実施形態では、上面部33が天面部31の上端部31aにつながっているが、これに限られない。例えば、
図9に示すように、上面部33は側面部32の上端部につながっていてもよい。すなわち、上面部33は、天面部31の上端部31aにおいて天面部31に対して折れ曲がった姿勢で配置されていればよい。なお、
図9では、上面部33は、天面部31に対して直交方向に広がる姿勢となっている。この場合、上面部33と天面部31の上端部31aとの間に隙間があってもよく、上面部33と天面部31とが互いに接触していてもよい。この形態においても、カバー16を省略可能である。
【0076】
また、
図10に示すように、本体部14が天面部31に対向する底面部62を有する場合には、上面部33は底面部62につながっていてもよい。底面部62は、一対の側面部32,32同士を接続する。上面部33と天面部31の上端部31aとの間に隙間があってもよく、上面部33と天面部31とが互いに接触していてもよい。この場合でも、上面部33と側面部32との間にスリット35が形成されていてもよく、また第1孔47が設けられていてもよい。この形態においても、カバー16を省略可能である。また、底面部62は、一対の側面部32,32のうちの一方にのみ繋がっていてもよい。
【0077】
前記実施形態では、半田鏝台10が折り畳み式となっており、本体部14が台部12に対して傾き角度を変えられるように連結される。代替的に、本体部14の傾き角度を変えられないように、本体部14が台部12に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 :半田鏝台
12 :台部
14 :本体部
16 :カバー
22 :差し込み口
31 :天面部
31a :上端部
32 :側面部
33 :上面部
35 :スリット
42 :隙間
47 :第1孔
49 :切欠き
52 :第2孔
53 :第3孔
54 :第4孔
55 :第5孔