(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167175
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する生体信号測定装置及び生体信号測定方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/33 20210101AFI20221027BHJP
A61B 5/308 20210101ALI20221027BHJP
A61B 5/333 20210101ALI20221027BHJP
A61B 5/349 20210101ALI20221027BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61B5/33 200
A61B5/308
A61B5/33 300
A61B5/333
A61B5/349
A61B5/02 350
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072784
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】520320745
【氏名又は名称】株式会社エイティセンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭鍾旭
(72)【発明者】
【氏名】李昌浩
【テーマコード(参考)】
4C017
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA04
4C017AA19
4C017AB04
4C017AB10
4C017BB01
4C017BB13
4C017BC11
4C017BD06
4C017CC08
4C017FF05
4C127AA02
4C127BB05
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG16
(57)【要約】
【課題】心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する生体信号測定装置及び生体信号測定方法を提供する。
【解決手段】対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、脈拍による心音データをセンシングするセンシング装置と、心電図データをメモリに保存し、心電図データを分析し、心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断し、心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、異常信号を含む異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成し、保存制御信号に応答し、異常信号区間の心音データを、メモリに保存する処理装置と、を含む、生体信号測定装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングするセンシング装置と、
前記心電図データをメモリに保存し、前記心電図データを分析し、前記心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断し、前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成し、前記保存制御信号に応答し、前記異常信号区間の心音データを、前記メモリに保存する処理装置と、を含む、心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する、生体信号測定装置。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記異常信号区間の心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理する心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記メモリに保存された前記異常信号区間の心電図データ及び心音データを時分割多重化する、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項4】
前記処理装置は、
前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、
前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギングし、
前記第2サンプリング速度は、正常信号区間の心音データをサンプリングする第3サンプリング速度と異なる、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項5】
前記第3サンプリング速度は、前記第2サンプリング速度よりも遅い、請求項4に記載の生体信号測定装置。
【請求項6】
前記心電図データ及び前記心音データは、再処理される、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項7】
前記心電図データ及び前記心音データは、さらなる分析のために保存される、請求項6に記載の生体信号測定装置。
【請求項8】
前記異常信号がさらに確認される場合、前記心電図データだけが保存される、請求項6に記載の生体信号測定装置。
【請求項9】
対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングするセンシング装置と、
前記心電図データをメモリに保存し、前記心電図データを外部の電子装置に伝送し、前記外部の電子装置から保存制御信号を受信した場合、前記保存制御信号と対応させ、異常信号区間の心音データを、前記電子装置のメモリに保存する、処理装置と、を含む、生体信号測定装置。
【請求項10】
生体信号測定装置が対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングする段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データをメモリに保存する段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データを分析し、前記心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断する段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成する段階と、
前記生体信号測定装置が前記保存制御信号に応答し、前記異常信号区間の心音データを、前記メモリに保存する段階と、を含む、生体信号測定方法。
【請求項11】
前記生体信号測定装置が前記異常信号区間の心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理する段階をさらに含む、請求項10に記載の生体信号測定方法。
【請求項12】
前記判断する段階は、
前記メモリに保存された前記異常信号区間の心電図データ及び心音データを時分割多重化する段階をさらに含む、請求項10に記載の生体信号測定方法。
【請求項13】
前記判断する段階は、
前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記異常信号区間の前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、
前記心音データを、前記メモリに保存する段階以後、
前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギングし、
前記第2サンプリング速度は、正常信号区間の心音データをサンプリングする第3サンプリング速度と異なる、請求項10に記載の生体信号測定方法。
【請求項14】
前記第3サンプリング速度は、前記第2サンプリング速度よりも遅い、請求項13に記載の生体信号測定方法。
【請求項15】
前記外部の電子装置が、前記心電図データ及び前記心音データでもってさらに処理する、請求項11に記載の生体信号測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する生体信号測定装置及び生体信号測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の生命を維持するためには、心臓の拍動によって放出された血液を動脈に沿い、身体あらゆるところに、よどみなく送り流し、静脈を介し、再び心臓で血液を送り戻される過程が必要である。それにより、酸素と栄養分と身体の各組織に供給し、代謝を介して消費した老廃物を除去することができる。
【0003】
しかし、心臓の状態が良好ではなく、身体の特定部位に血液が正しく伝達されなかったり、血液内に血栓や塞栓が生じたりし、血液が濁ってしまえば、身体の特定組織の毛細管を塞ぎ、組織の懐死を誘発するというように、生命が危険にもさらされる。従って、心臓の異常有無を検査するために、臨床的診察と共に、映像検査などが利用されており、早期診断の方法で心電図を測定し、測定された心電図信号をグラフ状に表示し、患者の心臓における異常有無を判断する方法も汎用されている。
【0004】
すなわち、心電図とは、心臓筋肉が収縮したり拡張したりするというような心臓拍動の機械的活動によって体表面に示される電位変化をグラフに記録するものを意味するものであり、心電図は、測定が簡単であり、再現性があり、容易に反復して記録することができ、検査コストが高くない非観血検査であり、不整脈と冠状動脈疾患(心臓動脈疾患)との診断、心臓患者の経過観察に有用に活用されている。
【0005】
一般的に、心電図は、胸部の上部左右及び下部左右に、心電図測定用センサを付着させ、センサの位置によって感知される電位差を利用して測定することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態がなそうとする技術的課題は、前述の必要性によるものであり、心電図データ及び心音データを同時にセンシングするものの、心音データの保存時点を、心電図データの異常信号区間に対応させ、心音データの保存容量を縮小させることができ、心音データの伝送のための通信リソースも減らすことができる生体信号測定装置、測定方法を提供するところにある。
【0007】
また、心電図データ及び心音データを相互補完的に利用し、心臓に生じた異常信号区間の妥当性を高める生体信号測定装置、測定方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態による生体信号測定装置は、対象体の脈搏による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈搏による心音データをセンシングするセンシング装置と、前記心電図データをメモリに保存し、前記心電図データを分析し、前記心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断し、前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成し、前記保存制御信号に応答し、前記異常信号区間の心音データを、前記メモリに保存する処理装置と、を含む、心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出することができる装置である。
【0009】
前記処理装置は、前記異常信号区間の心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理することができる。
【0010】
前記処理装置は、前記メモリに保存された前記異常信号区間の心電図データ及び心音データを時分割多重化することができる。
【0011】
前記処理装置は、前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギング(tagging)した後、前記心電図データに相互補完させ、前記心音データを利用し、前記心電図データの前記異常信号区間の妥当性を判断することができる。
【0012】
前記処理装置は、前記第1サンプリング速度で、前記心電図データに含まれた第1タイムマーク情報、及び前記第2サンプリング速度で、前記心音データに含まれた第2タイムマーク情報を利用し、前記心電図データ及び前記心音データを精密同期化させることができる。
【0013】
前記処理装置は、前記心電図データに相互補完させ、前記心音データを利用し、前記異常信号区間の妥当性を判断することができる。
【0014】
本発明の実施形態による生体信号測定装置は、対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングするセンシング装置と、前記心電図データをメモリに保存し、前記心電図データを外部の電子装置に伝送し、前記外部の電子装置から保存制御信号を受信した場合、前記保存制御信号と対応させ、異常信号区間の心音データを、前記電子装置のメモリに保存する処理装置と、を含んでもよい。
【0015】
本発明の実施形態による生体信号測定方法は、生体信号測定装置が対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングする段階と、前記生体信号測定装置が前記心電図データをメモリに保存する段階と、前記生体信号測定装置が前記心電図データを分析し、前記心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断する段階と、前記生体信号測定装置が前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成する段階と、前記生体信号測定装置が前記保存制御信号に応答し、前記異常信号区間の心音データを、前記メモリに保存する段階と、を含んでもよい。
【0016】
また、本発明の実施形態による生体信号測定方法は、前記生体信号測定装置が前記異常信号区間の心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理する段階をさらに含んでもよい。
【0017】
前記判断する段階は、前記メモリに保存された前記異常信号区間の心電図データ及び心音データを時分割多重化する段階をさらに含んでもよい。
【0018】
前記判断する段階は、前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、前記心音データを、前記メモリに保存する段階以後、前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギングした後、前記心電図データに相互補完させ、前記心音データを利用し、前記心電図データの異常信号区間の妥当性を判断する段階をさらに含んでもよい。
【0019】
前記判断する段階は、前記第1サンプリング速度で、前記心電図データに含まれた第1タイムマーク情報、及び前記第2サンプリング速度で、前記心音データに含まれた第2タイムマーク情報を利用し、前記心電図データ及び前記心音データを精密同期化させることができる。
【0020】
前記心音データを、前記メモリに保存する段階以後、前記心電図データに相互補完させ、前記心音データを利用し、前記異常信号区間の妥当性を判断する段階をさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の実施形態によるコンピュータプログラムは、コンピュータを利用し、本発明の実施形態による方法のうちいずれか1つの方法を実行させるために、媒体にも保存される。
【0022】
それ以外にも、本発明を具現するための他の方法、他のシステム、及び前記方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録するコンピュータで読み取り可能な記録媒体がさらに提供される。
【0023】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本実施形態によれば、心電図データ及び心音データを同時にセンシングするものの、心音データの保存時点を心電図データの異常信号区間に対応させ、心音データの保存容量を縮小させることができ、心音データの伝送のための通信リソースも減らすことができる。
【0025】
また、心電図データ及び心音データを相互補完的に利用し、心臓に生じた異常信号区間の妥当性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態による生体信号測定装置のブロック図である。
【
図2】センシング装置と処理装置とのデータ送受信を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による生体信号測定方法のフローチャートである。
【
図5】生体信号測定装置とユーザ端末機とのデータ送受信を示す図面である。
【
図6】本発明の実施形態による生体信号測定方法のフローチャートである。
【
図7】心音データと心電図データとの相互関連性について説明する図面である。
【
図8】心音データの取得時間区間について説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示(disclosure)の多様な実施形態においても使用される「含む」または「含んでもよい」というような表現は、開示された当該の機能、動作または構成要素などの存在を示すが、さらなる1以上の機能、動作または構成要素などを制限するものではない。また、本開示の多様な実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれら組み合わせが存在するということを指定するものであり、1またはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、またはそれら組み合わせの存在または付加の可能性を事前に排除するものではないと理解されなければならない。
【0028】
本開示の多様な実施形態において、「または」というような表現は、共に羅列された単語のいかなるもの、そして全ての組み合わせを含む。例えば、「AまたはB」は、Aを含んでもよく、Bを含んでもよく、あるいはAとBとをいずれも含んでもよい。
【0029】
本開示の多様な実施形態で使用された「第1」、「第2」、「最初」または「2番目」というような表現は、多様な実施形態の多様な構成要素を修飾することができるが、当該成要素を限定するものではない。例えば、前記表現は、当該成要素の順序及び/または重要度などを限定するものではない。前記表現は、1構成要素を他の構成要素と区分するために使用されうる。例えば、第1ユーザ機器と第2ユーザ機器は、いずれもユーザ機器であり、互いに異なるユーザ機器を示す。例えば、本開示の多様な実施形態の権利範囲を外れずにも、第1構成要素は、第2構成要素とも命名され、類似して、第2構成要素も、第1構成要素とも命名される。
【0030】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」されていたり、「接続」されていたりすると言及されたときには、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接連結されていたり接続されていたりしてもよいが、前記ある構成要素と、前記他の構成要素との間に新たな他の構成要素が存在しうると理解されなければならないのである。一方、ある構成要素が他の構成要素に、「直接連結」されていたり「直接接続」されていたりすると言及されたときには、前記ある構成要素と、前記他の構成要素との間に、新たな他の構成要素が存在しないと理解されなければならないのである。
【0031】
本開示の実施形態において、「モジュール」、「ユニット」、「部(part)」というような用語は、少なくとも1つの機能や動作を遂行する構成要素を指称するための用語であり、そのような構成要素は、ハードウェアまたはソフトウェアによっても具現され、ハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。また、複数の「モジュール」、「ユニット」、「部」などは、それぞれが個別的な特定のハードウェアに具現される必要がある場合を除いては、少なくとも1つのモジュールやチップに一体化され、少なくとも1つのプロセッサにも具現される。
【0032】
本開示の多様な実施形態で使用された用語は、単に特定実施形態についての説明に使用されたものであり、本開示の多様な実施形態を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。
【0033】
取り立てての定義がない限り、技術的であったり科学的であったりする用語を含み、ここで使用される全ての用語は、本開示の多様な実施形態が属する技術分野において、当業者によって一般的に理解されるところと同一の意味を有している。
【0034】
一般的に使用される事前に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本開示の多様な実施形態において、明白に定義されない限り、理想的であったり、過度に形式的であったりする意味に解釈されるものではない。
【0035】
以下において、添付図面を利用し、本発明の多様な実施形態について具体的に説明する。
【0036】
本明細書において、生体信号は、体温、脈拍、心電図(electrocardiogram)、脳波、呼吸数、歩数、ストレス、ホルモン、運動量、消耗されたカロリー、体脂肪、体内水分量、血糖値、血圧などのデータを含む信号を言う。
【0037】
図1は、本発明の実施形態による生体信号測定装置100のブロック図である。
【0038】
生体信号測定装置100は、心電図データ及び心音データを相互補完的に利用し、心電図データに含まれた異常信号を分析するために、処理装置110、センシング装置120、通信装置130、メモリ140を含んでもよい。
【0039】
生体信号測定装置100は、人、動物などの生体信号を測定する装置でもある。生体信号測定装置100は、対象体(object)に非浸襲的または浸襲的に装着され、対象体の心臓拍動による心電図を測定することができる。生体信号測定装置100は、対象体の皮膚または身体に付着される形態にも具現されるが、それに限定されるものではなく、多様な方式によっても具現される。ここで、該対象体は、人や動物、またはその胸部のように、人や動物の身体一部にもなるが、それらに限定されるのではなく、心電図を感知したり測定したりすることができものであるならば、いずれも対象体になるとする。また、心電図は、心筋の収縮/拡張のように、心臓拍動の機械的活動によって体表面で示される電位変化をグラフで記録するものであり、「心電図を感知する」という意味は、対象体の心臓拍動によって体表面に発生する「電位を感知する」という意味と同一であるとする。
【0040】
処理装置110は、センシング装置120、通信装置130、メモリ140と電気的に連結され、対象体の生体信号を処理することができる。処理装置110は、センシング装置120によってセンシングされた心電図データ及び心音データを受信し、心電図データ及び心音データを相互に利用し、心電図データを分析することができる。処理装置110は、心音データを基に、心電図データの異常信号区間を検出することができる。処理装置110は、心電図データを分析し、異常信号区間に係わる情報を検出することができる。処理装置110は、異常信号区間に対応する心音データを利用し、異常信号区間の妥当性を判断することができる。処理装置110は、
図2に図示されているような細部的な構成要素を含んでもよい。
【0041】
センシング装置120は、対象体の身体に、浸襲的または非浸襲的に付着され、対象体の心電図データ及び/または心音データをセンシングすることができる。センシング装置120は、心電図データをセンシングする手段、及び/または心音データをセンシングする手段を、一体または別個に具備することができる。センシング装置120は、1以上の電極により、心電図データを測定することができる。センシング装置120は、電気的に連結された電極を利用し、1チャネル以上の心電図測定データを入力されうる。選択的には、センシング装置120は、センシングされた心電図データ及び心音データを、1以上の通信回線を介して伝送するようにも具現される。センシング装置120は、時間を、伝送されるデータの種類別に分け、データ別に区間を設定し、各データを、各データについて割り当てられた時間区間の間に外部装置に伝送するようにも具現される。
【0042】
通信装置130は、通信網を介し、サーバ、他の電子装置などの装置とデータを送受信するための装置である。通信装置130は、無線網または有線網などを介し、データを送受信するための装置である。
【0043】
通信装置130は、処理装置110の制御信号により、心電図データまたは心音データを、異なる方式で処理して送受信することができる。該心電図データ及び/または該心音データは、内部のメモリにも保存されるか、あるいは外部の電子装置にも伝送される。該心電図データ及び/または該心音データは、処理装置110からの保存制御信号を利用して処理することができる。該心電図データ及び/または該心音データは、該保存制御信号を利用し、データの一部をメモリに保存するか、あるいは外部の電子装置に保存することができる。
【0044】
センシング装置120でセンシングされた心音データについては、保存制御信号において選択された異常信号区間に該当する部分だけが外部の電子装置に伝送されるようにも処理される。
【0045】
メモリ140は、センシング装置120によってセンシングされた心電図データ及び/または心音データなどを含む生体信号を保存することができる。メモリ140は、処理装置110の処理及び制御のためのプログラムを保存することができる。メモリ140は、通信装置130を介して伝送されるデータ、及び通信装置130を介して受信されるデータを保存することができる。メモリ140は、処理装置110によって生成された心電図データ、対象体の心臓状態情報などを保存することができる。該心電図データ及び/または該心音データは、内部のメモリ140にも保存される。該心電図データ及び/または該心音データについては、保存制御信号において選択された異常信号区間に該当する部分だけが、内部のメモリ140に保存されるようにも処理されうるが、それに限定されるものではない。ここで、該保存制御信号は、測定データを処理する1以上の方法を決定し、測定データが保存されなければならないか否かということを決定し、該測定データの保存位置決定に使用される
【0046】
図1には、処理装置110及びセンシング装置120が1つの装置内に具備されているが、処理装置110及びセンシング装置120は、別途の装置内に具備されても具現される。そのような場合、処理装置110及びセンシング装置120は、電気的にも連結されたり、通信網にも連結されたりする。
【0047】
図2は、処理装置110とセンシング装置120との動作について説明するブロック図である。
【0048】
センシング装置120は、心音取得部121及び生体信号取得部122を含んでもよい。
【0049】
心音取得部121は、心音信号を取得する。心音取得部121は、心音を取得する心音マイク、心音信号を心音データに変換するAD変換手段を含んでも具現される。心音取得部121は、心音信号を増幅させる増幅手段をさらに含んでもよい。
【0050】
生体信号取得部122は、電極で得られる心臓拍動による電気的な変化である心電図信号を獲得することができる。生体信号取得部122は、心電図信号を取得する測定電極、測定電極で測定された心電信号を心電図データに変換するAD変換手段を含んでもよい。生体信号取得部122は、心電信号を増幅させる増幅手段をさらに含んでもよい。
【0051】
心音取得部121からの心音データ、及び/または生体信号取得部122からの心電図データは、処理装置110に伝達されて処理されうる。異常信号区間検出部111は、心電図データを分析し、異常信号区間を検出することができる。
【0052】
異常信号区間検出部111は、心電図データを分析し、勾配値、ピーク値またはRR間隔値を基に、心電図データのうちからの異常信号区間を検出することができる。異常信号区間検出部111は、心電図データの勾配値、ピーク値の平均値を基に、Rピーク候補群を検出することができる。異常信号区間検出部111は、Rピーク候補群において、ピーク平均値、勾配平均値またはRR間隔値を基に、異常信号区間を検出することができる。異常信号区間検出部111は、前述の実施形態に限定されるものではなく、心電図データの電圧値、形態学的パターン、時系列的な電圧値の勾配値を基に、異常信号区間を検出することができる。ここで、該パターンは、心電図データの時系列配列における形態学的パターン、ピークが生じる時間値間のパターン、変曲点が生じる時間値間のパターンなどを含んでもよい。ここで、該勾配値は、心電図データと電圧値との二次元データを示すグラフの勾配値でもある。ここで、該異常信号区間は、心室細動、心房細動、不整脈などの特異信号を含む時間区間を含んでもよいが、それに限定されるものではない。
【0053】
心音データ制御部112は、保存制御信号と対応させ、異常信号区間に該当する心音データの保存を制御することができる。該心音データは、保存制御信号に対応し、内部のメモリ、または外部の電子装置にも保存される。該保存制御信号は、外部の電子装置から受信されるか、あるいはユーザ入力によっても生成される。該保存制御信号は、異常信号区間に係わる情報を含んでもよい。心音データ制御部112は、該保存制御信号によって定められた異常信号区間に該当する信号データを、内部のメモリ、または外部の電子装置に保存することができる。心音データ制御部112は、第1保存制御信号が受信されれば、該第1保存制御信号によって定められた信号データを、定められたメモリに保存し、第2保存制御信号が受信されれば、該第2保存制御信号によって定められた信号データを、定められたメモリに保存することができる。該保存制御信号は、時間値を含み、該時間値に対応する信号データ処理にも利用される。該保存制御信号は、電圧値を含み、該電圧値に対応する信号データ処理にも利用される。該保存制御信号は、心房細動、不整脈などに対応するコード値を含み、該コード値に対応する信号データ処理にも利用される。
【0054】
該保存制御信号が受信されない場合には、測定された信号データの全部は、内部メモリに保存され、該保存制御信号が受信された場合には、該保存制御信号に対応する信号データは、内部メモリにも保存される。該保存制御信号が受信された場合には、該保存制御信号に対応する信号データは、外部の電子装置にも保存される。
【0055】
相互補完分析部113は、保存制御信号によって保存された心音データを相互補完させ、心電図信号の異常信号区間の妥当性を判断することができる。該異常信号区間は、異常信号区間検出部111によって検出されたものでもある。
【0056】
異常信号区間検出部111で検出された異常信号区間が、心音データにおける異常な信号と一致する場合には、相互補完分析部113は、異常信号区間が妥当なものであると判断する。
【0057】
異常信号区間が、心音データにおける異常な信号区間と一致しない場合には、すなわち、異常信号区間が、心音データにおける正常な信号区間である場合には、相互補完分析部113は、異常信号区間検出部111によって検出された異常信号区間が妥当ではないと判断することができる。それにより、心電図データの測定に誤謬があったと判断することができる。例えば、妥当ではない異常信号区間の間には、生体信号取得部122が、対象体の皮膚に直接付着されず、離隔されているとも判断される。生体信号取得部122は、異常信号区間の妥当性を考慮し、心電図データにノイズが含まれていると判断することができる。妥当ではない異常信号区間は、心電図データに含まれたノイズによっても発生しうるが、それに限定されるものではない。
【0058】
図3を参照し、相互補完分析部113の同期化部1131、ノイズ抽出部1132、状態分析部1133、マーキング部1134の細部構成要素につき、下記のように説明する。
【0059】
同期化部1131は、心電図データ及び心音データを相互補完的に利用し、心電図データ及び心音データを同期化することができる。同期化部1131は、心電図データ及び心音データに含まれた時間値を基に、該心電図データ及び該心音データを同期化することができる。同期化部1131は、異常信号区間を中心に、心電図データ及び心音データを同期化することができる。
【0060】
同期化部1131は、異常信号区間につき、心電図データの地点で決定された心拍動周期を考慮して決定された心音データの地点とそれぞれ対応させることにより、心電図データ及び心音データを同期化させることができる。このとき、心電図データの地点は、心拍動周期を考慮して決定された心音データの地点ともそれぞれ対応される。そのように、心電図データ及び心音データは、同期化されうる。
【0061】
選択的実施形態において、このとき、心電図データの地点と、心音データの対応する地点は、互いに関連するタイムマーク情報(time mark information)でもってもタギング(tagging)される。同期化部1131は、同期化された心電図データ及び心音データの対応地点に、互いに関連するタイムマーク情報をタギングすることができる。他の実施形態において、同期化部1131は、心電図データ及び/または心音データにタイムマーク情報をタギングすることができる。ここで、該タイムマーク情報は、センシング装置120によって記録された記録時間値、処理装置110で受信された受信時間値などでもある。該タイムマーク情報は、時間値、または時間間隔内の時間値でもある。また、タイム値は、心臓拍動周期内で決定された地点と対応し、心電図データ及び/または心音データに対してもタギングされる。例えば、心臓拍動周期上において、ピーク地点、P波地点、Q波地点、心臓拍動周期の開始時点などに係わるタイムマーク情報が、心電図データ及び心音データにタギングされうる。心臓拍動数区間においては、心臓拍動数周期のピーク地点、P波地点、Q波地点及び開始時点に係わる情報がタイムマーク情報にも変換される。同期化部1131は、心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、心音データを第2サンプリング速度でサンプリングすることができる。同期化部1131は、心電図データ及び心音データの対応地点に、タイムマーク情報をタギングした後、該タイムマーク情報を利用し、心電図データ及び心音データを同期化することができる。同期化部1131は、第1サンプリング速度で、心電図データに含まれた第1タイムマーク情報、及び第2サンプリング速度で、心音データに含まれた第2タイムマーク情報を利用し、心電図データ及び心音データを同期化することができる。このとき、該第1タイムマーク情報は、該第2タイムマーク情報と対応する情報を含んだものでもある。
【0062】
同期化部1131は、心電図データの第1-1地点の発生時間、及び/または心音データの第1-2地点の発生時間を同期化させることができる。第1-1地点と第1-2地点は、対象体の心臓拍動区間で対応する地点でもあろう。同期化部1131は、マーキングされたタイム値を利用し、心電図データ及び/または心音データを同期化させることができる。
【0063】
選択的実施形態において、同期化部1131は、同期化に先立ち、心音データのノイズを除去する過程をさらに遂行することができる。心音データのノイズを除去する過程には、当該技術分野で一般的に使用される音に対するノイズ除去アルゴリズムが利用されうる、それに限定されるものではない。
【0064】
選択的実施形態において、同期化部1131は、同期化に先立ち、心電図データ及び心音データを時分割多重化することができる。該時分割多重化過程において、心電図データは、第1サンプリング速度でサンプリングされ、心音データは、第2サンプリング速度でサンプリングされうる。同期化部1131は、前述の過程で処理された心電図データ及び心音データを同期化することができる。
【0065】
同期化部1131は、心電図データ及び心音データを同期化させた後、心電図データのRピークの妥当性を、心音データを利用して判断することができる。心電図データのRピークの妥当性は、Rピークの発生地点から一定時間区間内の心音データを利用しても判断される。該心音データは、Rピークに対応する音を含んでもよい。
【0066】
ノイズ抽出部1132は、心電図データ及び/または心音データを相互補完的に考慮し、心電図データに含まれたノイズを検出することができる。ノイズ抽出部1132は、心電図データに相互補完的に心音データを利用し、心電図データに含まれたノイズを抽出することができる。ここで、該心電図データは、信号特性上の動きノイズ、筋ノイズのような多様な形態のノイズが含まれるのである。
【0067】
さらに具体的には、ノイズ抽出部1132は、心電図データの電気的成分(電圧、電流など)の変化パターンと、心音データの周波数特性との相互関連性を基に、心電図データのノイズを検出することができる。ノイズ抽出部1132は、心電図データを利用し、心音データのノイズを検出することができる。ノイズ抽出部1132は、心電図データにおいて、心音データと相互関連性が低い信号、信号区間を検出し、当該信号及び当該信号区間をノイズとして検出することができる。例えば、心電図データにおいて、相対的に最も高い電圧値を有する第1-1地点につき、第1-1地点と対応する心音データの第1-2地点においては、関連性のない値であると検出される場合、当該第1-1地点の心電図データは、心音データと相互関連性が低い信号であると、ノイズとしても検出される。ノイズ抽出部1132は、心電図データと心音データとの相互関連性を基に、ノイズが生じるノイズの位置情報を検出することができる。
【0068】
ノイズ抽出部1132は、ノイズの発生地点情報を基準に、以前周期における対応する地点の心電図データの波形と比較することにより、心電図データに含まれたノイズの大きさを決定することができる。ここで、ノイズの大きさは、以前周期において測定された心電図データと、ノイズ区間の心電図データとを、対応する地点を基準に比較し、心電図データのデータ値差分値としても算出される。ここで、該差分値は、心電図データの電圧値間の差分値でもある。
【0069】
ノイズ抽出部1132は、心電図データとの相互関連性を基に、心音データに含まれたノイズも検出することができる。
【0070】
状態分析部1133は、同期化部1131及びノイズ抽出部1132を介して処理された心電図データ及び/または心音データを基に、対象体の心臓状態情報を生成することができる。該心臓状態情報は、心拍動数、Rピーク値、RRインターバル、P波地点のような心電図データと対応する情報、心電図データの形態・値から導出される疾患情報などを含んでもよい。
【0071】
マーキング部1134は、状態分析部1133を介して生成された心臓状態情報と対応するタグを、心電図データまたは心音データにマーキングすることができる。
【0072】
図4は、本発明の実施形態による生体信号測定方法のフローチャートである。
【0073】
図4に図示されているように、S110においては、生体信号測定装置100は、対象体の脈拍による心電図データ及び心音データをセンシングする。生体信号測定装置100は、心電図データ及び心音データをセンシングする手段を一体に具備するか、あるいは心電図データをセンシングする手段、及び心音データをセンシングする手段をそれぞれ具備することができる。
【0074】
S120においては、生体信号測定装置100は、心電図データを分析し、心電図データで異常信号が生じているか否かということを判断することができる。
【0075】
S130においては、生体信号測定装置100は、心電図データで異常信号が生じているか否かということを検出し、異常信号区間の心音データに対する保存制御信号を生成することができる。生体信号測定装置100は、保存制御信号に応答し、異常信号区間の心音データをメモリに保存することができる。
【0076】
生体信号測定装置100は、心電図データをメモリに保存するものの、心音データについては、異常信号区間に該当する心音データのみをメモリに保存することができる。
【0077】
生体信号測定装置100は、心電図データを外部の電子装置に伝送するものの、心音データについては、異常信号区間に該当する心音データのみを外部の電子装置に伝送することができる。
【0078】
図5は、本発明の実施形態による生体信号測定装置100とユーザ端末機200とのデータ送受信について説明する図面である。通信帯域幅の制限により、一般的に、異常信号区間に該当する心音データの送受信が必要である。そして、受信された心音データは、ユーザ端末機200において、再処理したり、異常有無を再確認したりするのにも使用される。
【0079】
他の実施形態において、生体信号測定装置100は、心電図データの全区間を、ユーザ端末機200に伝送することができ、心音データの異常信号区間を、ユーザ端末機200に伝送することができる。
【0080】
このとき、心音データの異常信号区間に該当するデータは、ユーザ端末機200で生成された保存制御信号によっても決定される。生体信号測定装置100は、保存制御信号に応答し、異常信号区間の心音データを内部メモリに保存し、異常信号区間の心音データを、ユーザ端末機200に伝送することができる。それを介し、心音データの伝送のための通信リソースを減らすことができる。
【0081】
図6に図示されているように、S210においては、生体信号測定装置100は、心電図データ及び心音データを周期的にセンシングする。
【0082】
S220においては、生体信号測定装置100は、心電図データをメモリに保存し、心電図データを周期的に外部の電子装置に伝送することができる。そして、該外部の電子装置は、異常信号を検出することができる。
【0083】
S230においては、生体信号測定装置100は、外部の電子装置から保存制御信号を受信しているか否かということを検出し、受信された保存制御信号に応答し、異常信号区間の心音データをメモリに保存することができる。
【0084】
S240においては、生体信号測定装置100は、異常信号区間の心電図データ及び心音データを、外部の電子装置に伝送することができる。
【0085】
脈拍による電気的な変化を示す心電図データ(ED)における心拍動周期(interval 1)上のP、Q、R、S、Tに係わる心音データ(SD)が
図7に図示されているように存在することになる。
【0086】
生体信号測定装置100の異常信号区間検出部111は、心電図データ(ED)を、時間区間(RR時間間隔(interval 1))を基準に分析し、区間別に心電図データの波形、勾配値、ピーク値などを基に、心電図データの異常信号区間を検出することができる。心電図データの時間間隔は、心電図データが含む特定波(P1,P2)によっても決定される。
【0087】
異常信号区間の心音データにおいても、異常な信号が検出されるならば、心電図データを介して検出された異常信号区間は、妥当なものであるとも判断される。
【0088】
異常信号区間の心音データにおいては、異常な信号が検出されたのではないならば、異常信号区間には、心電図データが、センシング手段が脱着されているが、あるいは心電図測定時の多様なノイズ、例えば、筋ノイズ、対象体の動きなどによって誤ってセンシングされたものであるとも判断される。
【0089】
例えば、P2地点が異常信号区間であると判断された場合、生体信号測定装置100は、保存制御信号を生成し、測定された心音データにおいて、異常信号区間に該当する心音データ(ATC)をメモリに保存し、該心音データ(ATC)を外部の電子装置に伝送するように処理することができる。生体信号測定装置100は、心電図データ及び心音データを相互補完的に利用し、異常信号区間の妥当性を判断することができる。
【0090】
他の実施形態において、該保存制御信号は、外部の電子装置で生じても受信される。そのような場合、異常信号区間を検出する機能は、外部の電子装置で遂行されうる。外部の電子装置は、受信された異常信号区間の心音データを利用し、異常信号区間の妥当性を判断することができる。
【0091】
図8のように、本発明の実施形態による生体信号測定装置100は、特定時間区間でのみ心音データを獲得するようにも具現される。
【0092】
生体信号測定装置100は、心電図データにおける特定波抽出において、心音データを相互補完的に利用するために、特定時間区間(WP1,WP2)でのみ獲得することができる。ここで、該特定波は、異常な信号にも限定され、周期的に生じる地点を称することができる。生体信号測定装置100の心音取得部121に、心音取得周期に係わる制御信号を伝達し、該制御信号により、心音取得部121は、心音取得周期における特定時間区間でのみ心音信号を獲得することができる。該心音信号が取得される特定時間区間は、生体信号取得部122を介して獲得された心電図データを介しても決定される。該心音信号が取得される特定時間区間は、心電図データにおける特定波形の発生時点、異常信号区間、異常な信号が生じる地点を基準にも決定される。
【0093】
以上で説明された装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、並びに/またはハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組み合わせによっても具現される。例えば、本実施形態で説明された装置及び構成要素は、例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、FPGA、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサ、または命令(instruction)を実行して応答することができる他のあらゆる装置のように、1以上の汎用コンピュータまたは特殊目的コンピュータを利用しても具現される。処理装置は、オペレーションシステム、及び前記オペレーションシステム上で遂行される1以上のソフトウェアアプリケーションを遂行することができる。また、該処理装置は、ソフトウェアの実行に応答し、データにアクセスしたり、データを保存・操作・処理及び生成したりすることもできる。理解の便宜のために、該処理装置は、一つが使用されるようにも説明されているが、当該技術分野で当業者であるならば、該処理装置が、複数個の処理要素(processing element)、及び/または複数類型の処理要素を含んでもよいということを知ることができるであろう。例えば、該処理装置は、複数個のプロセッサ、または1つのプロセッサ、及び1つのコントローラを含んでもよい。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような他の処理構成(processing configuration)も可能である。
【0094】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム、コード、命令、またはそれらのうち1以上の組み合わせを含んでもよく、所望のままに動作するように処理装置を構成したり、独立的または結合的に(collectively)処理装置に命令を与えたりすることができる。ソフトウェア及び/またはデータは、処理装置によって解釈されるか、あるいは処理装置に命令またはデータを提供するために、ある類型の機械、構成要素(component)、物理的装置、仮想装置(virtual equipment)、コンピュータ記録媒体または装置、あるいは伝送される信号波(signal wave)に、永久または一時的に具体化(embody)されもする。該ソフトウェアは、ネットワークに連結されたコンピュータシステム上に分散され、分散された方法によって保存されたり実行されたりもする。該ソフトウェア及び該データは、1以上のコンピュータで読み取り可能記録媒体にも保存される。
【0095】
本実施形態による方法は、多様なコンピュータ手段を介して遂行されうるプログラム命令形態に具現され、コンピュータで読み取り可能媒体にも記録される。前記コンピュータで読み取り可能媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを、単独または組み合わせて含んでもよい。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本実施形態のために特別に設計されて構成されたものでもあり、コンピュータソフトウェア当業者に公知されて使用可能なものでもある。コンピュータで読み取り可能記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media);CD-ROM(compact disc read only memory)、DVD(digital versatile disc)のような光記録媒体(optical media);フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気・光媒体(magneto-optical media);及びROM、RAM、フラッシュメモリのようなプログラム命令を保存して遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。該プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけではなく、インタープリタなどを使用し、コンピュータによって実行されうる高級言語コードを含む。前述のハードウェア装置は、本実施形態の動作を遂行するために、1以上のソフトウェアモジュールとして作動するようにも構成されるが、その逆も同様である。
【0096】
以上のように、本実施形態は、たとえ限定された実施形態と図面とによって説明されたにしても、当該技術分野で当業者であるならば、前述の記載から、多様な修正及び変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法と異なる順序に遂行され、かつ/または説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法と異なる形態に結合されたり組み合わせされたりするか、あるいは他の構成要素または均等物によって代置されたり置き換えられたりしても、適切な結果が達成されるのである。
【0097】
従って、他の具現、他の実施形態、及び特許請求の範囲と均等なところも、特許請求の範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0098】
100 生体信号測定装置
110 処理装置
120 センシング装置
130 通信装置
140 メモリ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングするセンシング装置と、
前記心電図データをメモリに保存し、前記心電図データを分析し、前記心電図データの勾配値、ピーク値またはRR間隔値を考慮して、心室細動、心房細動、不整脈のうち、1つの特異信号を有する異常信号が生じているか否かということを判断し、前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、前記心電図データで異常信号が発生する異常信号区間に該当する心音データに対する保存制御信号を生成し、前記保存制御信号に応答し、前記心音データを、前記メモリに保存すると共に、前記異常信号区間に該当する心音データを用いて前記心電図データのノイズを検出する処理装置と、を含む、
心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する、
生体信号測定装置。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記異常信号区間に該当する心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理する心電図データに係わる心音データを利用し、心電図データの異常信号区間を検出する、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記メモリに保存された前記異常信号区間に該当する心電図データ及び心音データを時分割多重化する、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項4】
前記処理装置は、
前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、
前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギングする、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項5】
前記心電図データ及び前記心音データは、相互補完的に考慮して処理される、請求項1に記載の生体信号測定装置。
【請求項6】
前記心電図データ及び前記心音データは、ノイズが含まれているか否かを判断するために保存される、請求項5に記載の生体信号測定装置。
【請求項7】
生体信号測定装置が対象体の脈拍による電気的な変化を示す心電図データをセンシングし、前記脈拍による心音データをセンシングする段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データをメモリに保存する段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データを分析し、前記心電図データの勾配値、ピーク値またはRR間隔値を考慮して、心室細動、心房細動、不整脈のうち、1つの特異信号を有する異常信号が生じているか否かということを判断する段階と、
前記生体信号測定装置が前記心電図データで異常信号が生じていると検出された場合、前記心電図データで異常信号が発生する異常信号区間に該当する心音データに対する保存制御信号を生成する段階と、
前記生体信号測定装置が前記保存制御信号に応答し、前記異常信号区間の心音データを、前記メモリに保存する段階と、
前記異常信号区間に該当する心音データを用いて前記心電図データのノイズを検出する段階と、を含む、生体信号測定方法。
【請求項8】
前記生体信号測定装置が前記異常信号区間に該当する心音データを、前記心電図データと共に、外部の電子装置に伝送し、保存するように処理する段階をさらに含む、請求項7に記載の生体信号測定方法。
【請求項9】
前記判断する段階は、
前記メモリに保存された前記異常信号区間に該当する心電図データ及び心音データを時分割多重化する段階をさらに含む、請求項7に記載の生体信号測定方法。
【請求項10】
前記判断する段階は、
前記異常信号区間の心電図データを第1サンプリング速度でサンプリングし、前記異常信号区間の前記心音データを第2サンプリング速度でサンプリングし、
前記心音データを、前記メモリに保存する段階以後、
前記異常信号区間の前記心電図データ及び前記心音データの対応地点にタイムマーク情報をタギングする、請求項7に記載の生体信号測定方法。
【請求項11】
前記外部の電子装置が、前記心電図データ及び前記心音データでもって心電図のRピークの妥当性または前記異常信号区間の妥当性を判断する、請求項8に記載の生体信号測定方法。