(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167178
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20221027BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20221027BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20221027BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20221027BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221027BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04 J
H01M8/0444
H01M8/04858
H01M8/10 101
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072787
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 梓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】福村 琢
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA03
5H127AA06
5H127AA07
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA07
5H127BA33
5H127BA39
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127DB04
5H127DC45
5H127DC88
5H127EE02
5H127EE25
(57)【要約】
【課題】アノードオフガスに含まれる規定値以上の水素ガスがシステムから外部に排出されることを防止する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】定置用燃料電池システムであって、水素を含む燃料ガスにより発電する燃料電池スタックと、希釈用空気を供給する送風機と、を備え、前記燃料電池スタックのカソードから排出されるカソードオフガスと、前記燃料電池スタックのアノードから排出される水素を含むアノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガスを外部に排出する燃料電池システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置用燃料電池システムであって、
水素を含む燃料ガスにより発電する燃料電池スタックと、
希釈用空気を供給する送風機と、
を備え、
前記燃料電池スタックのカソードから排出されるカソードオフガスと、前記燃料電池スタックのアノードから排出される水素を含むアノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガスを外部に排出する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記希釈ガスの水素濃度が、基準値以下になるように希釈する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料ガスの水素濃度の変動に追従して、発電量を変動させる、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記アノードオフガスは、すべて外部に排出される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池スタックは、リン酸形燃料電池である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記希釈ガスのリン酸濃度が、基準値以下になるように希釈する、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
筐体を更に備え、
前記送風機は、前記筐体の内部の換気をする、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
停電時に自立運転可能である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記アノードオフガスと前記カソードオフガスとを混合後に、前記希釈用空気により混合した前記アノードオフガス及び前記カソードオフガスを希釈する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記アノードオフガスと前記カソードオフガスとを混合後に、前記希釈用空気により混合した前記アノードオフガス及び前記カソードオフガスを希釈し排気配管を通って排出する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
アノードオフガスとカソードオフガスの合流部に、逆火防止装置を備える、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
吸気口を更に備え、
前記吸気口と、前記希釈ガスを排出する排気口とは、同じ向きに設けられる、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記カソードオフガスと、前記アノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガス中の水分が凝縮した凝縮水を回収し、中和してから排水する、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記カソードオフガスと、前記アノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガス中の水分が接液する部材を耐食性の高い樹脂材又はコーティング剤を塗布した材料とする、
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記カソードオフガスと、前記アノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガスが流れる流路において、静電気の発生を抑える帯電防止機能を付与する、
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガス及び酸化剤ガスが持つ化学エネルギーを電気化学反応により直接電気エネルギーへ変換する燃料電池が知られている。燃料電池は、使用される電解質の種類に応じて区分される。例えば、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)及び固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)など種々タイプの燃料電池が知られている。
【0003】
特許文献1には、アノードオフガスを排気するための排気排水配管をカソードオフガス排出配管に接続し、排気排水配管とカソードオフガス排出配管との合流部に、ラジエータファンによって送風された空気を取り込む燃料電池システムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、燃料電池スタックから排出されたアノードオフガスおよびカソードオフガスを混合希釈して排気する希釈器を備える燃料電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-043679号公報
【特許文献2】特開2009-123588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料電池のアノード側から燃料電池スタックにおいて消費されなかった水素が排出される。燃料電池システムから外部に排出されるアノードオフガスを含む排気ガスにおいて、当該排気ガスに含まれる水素の濃度を規定より低くすることが求められる。
【0007】
本開示は、アノードオフガスに含まれる規定値以上の水素ガスがシステムから外部に排出されることを防止する燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一の態様によれば、定置用燃料電池システムであって、水素を含む燃料ガスにより発電する燃料電池スタックと、希釈用空気を供給する送風機と、を備え、前記燃料電池スタックのカソードから排出されるカソードオフガスと、前記燃料電池スタックのアノードから排出される水素を含むアノードオフガスとを、前記希釈用空気で希釈した希釈ガスを外部に排出する燃料電池システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の燃料電池システムによれば、アノードオフガスに含まれる規定値以上の水素ガスがシステムから外部に排出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る燃料電池システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る燃料電池システムのシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その1)である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その2)である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その3)である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その4)である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その5)である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その6)である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その7)である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る燃料電池システムの排気を説明する図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0012】
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0013】
<燃料電池システム1>
図1は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム1の斜視図である。
【0014】
燃料電池システム1は、系統連系する燃料電池システムである。燃料電池システム1は、停電時に自立運転可能になっている。また、燃料電池システム1は、設備等に常設して固定して使用される定置用燃料電池システムである。
【0015】
燃料電池システム1は、筐体2を備える。筐体2は、側面部2A、側面部2B、側面部2C及び側面部2Dと、上面部2Eと、底面部2Fと、を有する。燃料電池システム1は、筐体2の内部に、燃料電池ユニット10と、電気ユニット20と、補機ユニット30と、を備える。
【0016】
燃料電池ユニット10は、原燃料として水素を用いて、水素と空気中の酸素を反応させて電気を発生する燃料電池である。燃料電池ユニット10は、例えば、後述する燃料電池スタック11を備える。
【0017】
電気ユニット20は、燃料電池ユニット10を制御するユニットである。電気ユニット20は、例えば、後述するインバータ21を備える。
【0018】
補機ユニット30は、燃料電池ユニット10に水素と酸素を供給したり、燃料電池ユニット10からの排気を処理したり、燃料電池ユニット10の発熱を冷却して排熱したりするための配管を備える。補機ユニット30は、例えば、後述する燃料ガス供給配管31A、アノードオフガス排出配管32A、空気供給配管31C及びカソードオフガス排出配管32C等を備える。
【0019】
燃料電池システム1は、筐体2の側面部、例えば、側面部2Aに吸気口3を有する。また、燃料電池システム1は、上面部2Eに、装置内換気ファン4と、装置内換気ファン4からの排気が通るダクト5と、を備える。吸気口3から吸気された空気は、筐体2の内部を通過して、装置内換気ファン4から排出される。装置内換気ファン4により、筐体2の内部が換気される。筐体2の内部を換気することにより、筐体2の内部の温度を調整できる。また、筐体2の内部を換気することにより、可燃性ガス(水素)が装置内に漏れた場合でも、爆発下限界以下の環境をつくり、筐体2の内部の爆発を防止できる(防爆)。
【0020】
筐体2の内部を装置内換気ファン4により換気する際には、装置内換気ファン4による風量を、例えば、吸い込み温度を最高温度(例えば、夏場40℃)と想定した場合、燃料電池システム1の装置温度上限(例えば、60℃)以下となる、冷却風量とする。
【0021】
また、筐体2の内部を装置内換気ファン4により換気する際には、装置内換気ファン4による風量を、例えば、プロセス工程において可燃性ガス漏えい時の換気希釈に必要な風量(例えば、水素の爆発下限界の1/4(=1%)以下)とする。
【0022】
<燃料電池システム1のシステム構成>
図2は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム1のシステム構成を示す図である。
【0023】
燃料電池システム1は、燃料電池スタック11を備える。燃料電池スタック11は、アノード11Aと、カソード11Cと、電解質層11Bと、を備える。燃料電池スタック11は、電解質層11Bにおける電解質層としてリン酸を用いるリン酸形燃料電池である。アノード11Aに供給される燃料ガスとカソード11Cに供給される空気とを電解質層11Bで反応させて発電する。
【0024】
アノード11Aには、燃料ガス供給配管31Aから水素を含む燃料ガスが供給される。燃料ガス供給配管31Aには、例えば、工場、製造施設等から副生される水素を含む燃料ガスが供給される。燃料ガス供給配管31Aに供給される燃料ガスの水素の流量は、供給元の工場、製造設備等の稼働状態によって変動する。したがって、燃料電池システム1の発電量は、燃料ガスの水素流量に追従して変動する。また燃料ガスは、工場、製造施設等から副生される水素だけでなく、再生可能エネルギー由来で、流量が変動する水素を含んでもよい。
【0025】
燃料電池スタック11で発電して、アノード11Aにおいて水素が消費された燃料ガス(アノードオフガス)は、アノードオフガス排出配管32Aから排出される。アノードオフガスには、未消費水素を含み、アノード11Aから排出されたアノードオフガスは、すべて燃料電池システム1の外部に排出される。すなわち、燃料電池システム1は、ワンパスのシステムである。
【0026】
カソード11Cには、空気供給配管31Cから酸素を含む空気が供給される。空気供給配管31Cには、図示しないブロアやファン、コンプレッサ等により空気が供給される。
【0027】
燃料電池スタック11で発電して、カソード11Cにおいて酸素が消費された空気(カソードオフガス)は、カソードオフガス排出配管32Cから排出される。
【0028】
アノードオフガス排出配管32Aとカソードオフガス排出配管32Cは、逆火を防止する逆火防止装置38を介して合流配管33に接続する。すなわち、燃料電池システム1は、アノードオフガスとカソードオフガスの合流部に、逆火防止装置38を備える。なお、逆火防止装置38は省略してもよい。
【0029】
燃料電池システム1は、空気を供給する送風機40を備える。送風機40から供給された希釈用空気は、希釈用空気供給配管34を介して供給される。合流配管33と希釈用空気供給配管34とは合流して、合流配管33の混合ガスと希釈用空気供給配管34の希釈用空気とは混合される。合流配管33の混合ガスと希釈用空気供給配管34の希釈用空気とは混合されることにより、合流配管33の混合ガス、すなわち、混合したカソードオフガスとアノードオフガス、を希釈する。
【0030】
送風機40は、例えば、
図1の装置内換気ファン4のように、筐体2の内部の空気を排気するファン又はブロアでもよい。また、送風機40は、筐体2の内部の空気を取り込んで希釈用空気供給配管34に供給するファン又はブロアでもよい。送風機40は、カソードオフガスとアノードオフガスの流量から、適切な希釈流量に調整する機能を有してもよい。送風機40は、適切な希釈流量へ調整することで、燃料電池システム1の消費電力を抑えることができ、省エネルギー効果を期待することができる。
【0031】
合流配管33の混合ガス、すなわち、混合したカソードオフガスとアノードオフガス、を希釈した希釈ガスは、排気配管35を経由して燃料電池システム1の外部に排気される。
【0032】
燃料電池システム1は、合流配管33の混合ガス、すなわち、混合したカソードオフガスとアノードオフガス、を希釈した希釈ガスの水素濃度が、定められた基準値以下になるように、混合したカソードオフガスとアノードオフガスを希釈する。具体的には、燃料電池システム1は、合流配管33の混合ガスを希釈した希釈ガスの水素濃度が、定められた基準値以下になるように希釈用空気を送風機40から供給する。当該水素濃度の基準値は、例えば、1%である。
【0033】
また、電解質層11Bで用いられるリン酸が、カソードオフガスとアノードオフガスに含まれる。本実施形態に係る燃料電池システム1は、希釈用空気で希釈することにより、希釈ガスのリン酸濃度は、定められた基準値以下になるように希釈する。当該リン酸濃度の基準は、例えば、標準状態における1立方メートルあたりの質量が1時間あたり1mg以下である。
【0034】
燃料電池スタック11で発電した電力P1は、インバータ21で電力P2に変換して、外部に出力される。
【0035】
本実施形態に係る燃料電池システム1の具体的な排気について説明する。
【0036】
<燃料電池システムの排気(その1)>
図3は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム101の排気を説明する図である。
【0037】
燃料電池システム101は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に、送風機40からの希釈用空気GRで希釈して、希釈ガスGMを煙突50から排出する。すなわち、燃料電池システム101は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。
【0038】
燃料電池システム101は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システム101は、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、希釈用空気供給配管34を流れる希釈用空気GRと混合して、排気配管35に排出する。排出された希釈ガスGMは、煙突50から外部に排出する。
【0039】
燃料電池システム101は、側面部2Cから上に延びる煙突50を備える。煙突50は、上面部2Eより高い位置から希釈ガスGMが排気されるように設けられる。
【0040】
なお、燃料電池システム101は、煙突50で析出する凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0041】
また、煙突50は、側面部2Cに設けられているが、煙突50の位置は、側面部2Cに限らず適宜変更してもよい。以下の燃料電池システムにおいても、側面部2Cを例に記載しているが、排気口の位置は、側面部2Cに限らず、適宜別の側面部に設けてもよい。
【0042】
<燃料電池システムの排気(その2)>
図4は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム102の排気を説明する図である。
【0043】
燃料電池システム102は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に、送風機40からの希釈用空気GRで希釈して、希釈ガスGMをダクト51の排気口51Aから排出する。すなわち、燃料電池システム102は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。燃料電池システム102は、ダクト51を備える。ダクト51は、上面部2Eに設けられる。ダクト51の排気口51Aは、側面部2C側に設けられる。
【0044】
燃料電池システム102は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システム102は、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、ダクト51を流れる希釈用空気GRと混合して、排気口51Aから外部に希釈ガスGMとして排出する。
【0045】
<燃料電池システムの排気(その3)>
図5は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム103の排気を説明する図である。
【0046】
燃料電池システム103は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に、送風機40からの希釈用空気GRで希釈して、希釈ガスGMをダクト51aの排気口51aAから排出する。すなわち、燃料電池システム103は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。燃料電池システム103は、ダクト51aを備える。ダクト51aは、上面部2Eから側面部2Cにかけて設けられる。ダクト51aの排気口51aAは、側面部2C側に設けられる。
【0047】
燃料電池システム103は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システム103は、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、側面部2Cからダクト51aに排出してダクト51aを流れる希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システム103は、希釈ガスGMを排気口51aAから外部に排出する。
【0048】
なお、燃料電池システム103は、排気口51aAで発生する凝縮水を受けるドレインパッド65と、凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0049】
<燃料電池システムの排気(その4)>
図6は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム104の排気を説明する図である。
【0050】
燃料電池システム104は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に、送風機40からの希釈用空気GRで希釈して、希釈ガスGMを排気口52から排出する。すなわち、燃料電池システム104は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。燃料電池システム104は、排気口52を備える。排気口52は、上面部2Eに設けられる。
【0051】
燃料電池システム104は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システム104は、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、排気口52で希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システム104は、希釈ガスGMを排気口52から外部に排出する。
【0052】
なお、燃料電池システム104は、排気口52の底部に設けられる送風機40で析出する凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0053】
<燃料電池システムの排気(その5)>
図7は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム105の排気を説明する図である。
【0054】
燃料電池システム105は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとを、送風機40からの希釈用空気GRと混合して希釈し、希釈ガスGMをダクト53の排気口53Aから排出する。燃料電池システム105では、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとを混合せずに、それぞれを希釈用空気GRで希釈する。燃料電池システム105は、ダクト53を備える。ダクト53は、上面部2Eに設けられる。ダクト53の排気口53Aは、側面部2C側に設けられる。
【0055】
燃料電池システム105は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCとを、それぞれダクト53に流す。そして、燃料電池システム105は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとをダクト53を流れる希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システム105は、希釈ガスGMを排気口53Aから外部に排出する。
【0056】
なお、燃料電池システム105は、排気口53Aで析出する凝縮水を受けるドレインパッド65と、凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0057】
<燃料電池システムの排気(その6)>
図8は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム106の排気を説明する図である。
【0058】
燃料電池システム106は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとを、送風機40からの希釈用空気GRと混合して希釈し、希釈ガスGMをダクト54の排気口54Aから排出する。燃料電池システム106では、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとを混合せずに、それぞれを希釈用空気GRで希釈する。燃料電池システム106は、筐体2の内部にダクト54を備える。具体的には、ダクト54は、上面部2Eから側面部2Cにかけて、筐体2の内部に設けられる。側面部2Cには、ダクト54の排気口54Aが設けられる。
【0059】
燃料電池システム106は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCとを、それぞれダクト54に流す。そして、燃料電池システム106は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCとをダクト54を流れる希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システム105は、希釈ガスGMを排気口54Aから外部に排出する。
【0060】
なお、燃料電池システム106は、ダクト54で発生する凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0061】
<燃料電池システムの排気(その7)>
図9は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム107の排気を説明する図である。
【0062】
燃料電池システム107は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に、送風機40からの希釈用空気GRで希釈して、希釈ガスGMを排気ダクト55の排気口55Aから排出する。すなわち、燃料電池システム107は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。燃料電池システム107は、排気ダクト55を備える。排気ダクト55は、上面部2Eの上部に設けられる。排気ダクト55には、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCの混合ガスと、送風機40の希釈用空気GRとが、導入され混合される。
【0063】
燃料電池システム107は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システム107は、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、排気ダクト55で希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システム107は、希釈ガスGMを排気口51aAから外部に排出する。
【0064】
なお、燃料電池システム107は、排気ダクト55で発生する凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。
【0065】
<燃料電池システムの排気(その8)>
図10は、本実施形態に係る燃料電池システムの一例である燃料電池システム108の排気を説明する図である。
【0066】
燃料電池システム108は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合して、更に送風機40からの希釈用空気GRで希釈し、排気ダクト56内で攪拌させたのち、排気口56Aから排出する。すなわち、燃料電池システム108は、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合後に、希釈用空気GRで希釈して外部に排気する。
【0067】
燃料電池システム108は、排気ダクト56を備える。排気ダクト56は、排気口56Aを有する。なお、
図10では、排気口56Aは紙面手前側に開口している。
図10では、排気口56Aを開口部の交差する対角線で示す。排気ダクト56の排気口56Aは、例えば、側面部2B向きに設けられる。
【0068】
例えば、筐体2は、側面部2Bに吸気口70を備える。
図10では、吸気口70は紙面手前側に開口している。
図10では、吸気口70を開口部の交差する対角線で示す。
【0069】
吸気口70と、排気口56Aとは、
図1の吸気口3と、ダクト5の排気口のように、同じ向きに設けられる。吸気口と排気口を同じ向きに、すなわち、同じ面とすることで、強風による風圧の影響を除去できる。また、送風機40と吸気口70とは、
図1の吸気口3及び装置内換気ファン4のように、筐体2の対角方向に設けられる。排気ダクト56には、アノードオフガスGAとカソードオフガスGCの混合ガスと、送風機40の希釈用空気GRとが、導入され混合される。
【0070】
燃料電池システム108は、アノードオフガス排出配管32Aを流れるアノードオフガスGAと、カソードオフガス排出配管32Cを流れるカソードオフガスGCを混合して合流配管33に流す。そして、燃料電池システムは、混合したアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを、排気ダクトで希釈用空気GRと混合して、希釈ガスGMにする。そして、燃料電池システムは、希釈ガスGMを排気口56Aから外部に排出する。
【0071】
希釈ガスGMは、排気口56Aから
図10の紙面に対して手前側に排出される。なお、
図10の紙面に対して手前側に排出されることを、
図10では、丸の中に黒丸印で表す。また、筐体2の外部から導入される空気GIは、吸気口70から
図10の紙面に対して奥側に導入される。なお、
図10の紙面に対して奥側に導入されることを、
図10では、丸の中にバツ印で表す。
【0072】
なお、燃料電池システム108は、排気口56Aで発生する凝縮水を受けるドレインパッド66を設けてもよい。
【0073】
燃料電池システム108は、排気口56Aで発生し、ドレインパッド66で受けた凝縮水を中和する中和器60を備えてもよい。さらにアノードオフガスGAとカソードオフガスGCを混合する配管内にて、発生する可能性のある希釈ガス中の水分が凝縮した凝縮水を回収して、中和する中和器60を通して排出(排水)してもよい。
【0074】
なお、希釈ガス中の水分が接液する部材は、耐食性の高い樹脂材又はコーティング剤を塗布した材料により形成してもよい。
【0075】
また、希釈用空気で希釈した希釈ガスGMが流れる流路において、静電気の発生を抑える帯電防止機能が付与されてもよい。
【0076】
<作用・効果>
本開示の燃料電池システムによれば、カソードオフガスと、アノードオフガスとを、希釈用空気で希釈して、希釈ガスとして外部に排出することにより、アノードオフガスに含まれる規定値以上の水素ガスがシステムから外部に排出されることを防止できる。
【0077】
例えば、燃料電池システムにおいて、カソードオフガスと、アノードオフガスとを混合させたカソードオフガスとアノードオフガスの混合ガスを排気した場合、当該混合ガスの水素濃度は約3%である。JIS規格によると定置用燃料電池における水素の排気濃度は、1%以下にする必要がある。したがって、当該規格を満たさない。
【0078】
本実施形態に係る燃料電池システムでは、カソードオフガスとアノードオフガスとを更に希釈用空気により希釈して排気する。カソードオフガスとアノードオフガスとを更に希釈用空気により希釈して排気することにより、排気ガスの水素濃度を約0.5%に低減できる。JIS規格によると定置用燃料電池における水素の排気濃度は、1%以下にする必要がある。したがって、当該規格を満たす。
【0079】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1、101、102、103、104、105、106、107、108 燃料電池システム
2 筐体
2A、2B、2C、2D 側面部
2E 上面部
2F 底面部
3 吸気口
4 装置内換気ファン
5 ダクト
10 燃料電池ユニット
11 燃料電池スタック
11A アノード
11B 電解質層
11C カソード
20 電気ユニット
21 インバータ
30 補機ユニット
31A 燃料ガス供給配管
31C 空気供給配管
32A アノードオフガス排出配管
32C カソードオフガス排出配管
33 合流配管
34 希釈用空気供給配管
35 排気配管
38 逆火防止装置
40 送風機
50 煙突
51、51a、53、54 ダクト
55、56 排気ダクト
51A、51aA、52、53A、54A、55A、56A 排気口
60 中和器
65 ドレインパッド
70 吸気口