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特開2022-167182補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラム
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  • 特開-補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167182
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラム
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/34 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072798
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】521176031
【氏名又は名称】株式会社ジャストフィット
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】住谷 励
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA17
2D041BA52
2D041CA01
2D041DA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水硬性固化材液が固化した後の置換コラムの頭部のせん断強度が補強された補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラムを提供する。
【解決手段】軟弱地盤を所定の深度まで掘削してコラム状の穴を形成し、掘削された穴に水硬性固化材液を注入し固化せしめることで形成される置換コラムの施工方法において、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aと、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材14と、を有する、置換コラム頭部補強材15Aを、前記掘削された穴に水硬性固化材液を注入した後、前記水硬性固化材液が固化せしめられる前に、前記水硬性固化材液の液面に浮かべる工程と、前記置換コラム頭部補強材15Aを前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材15Aを一体化せしめる工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤を所定の深度まで掘削してコラム状の穴を形成し、掘削された穴に水硬性固化材液を注入し固化せしめることで形成される置換コラムの施工方法において、
浮遊性素材で構成された浮き蓋体と、
前記浮き蓋体に垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材と、を有する、置換コラム頭部補強材を、
前記掘削された穴に水硬性固化材液を注入した後、前記水硬性固化材液が固化せしめられる前に、
前記水硬性固化材液の液面に浮かべる工程と、
前記置換コラム頭部補強材を前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめる工程と、
を含む、
補強型置換コラムの施工方法。
【請求項2】
前記浮き蓋体が貫通開口部を有し、前記置換コラムの頭部と前記浮き蓋体との間に隙間があいた場合に、前記貫通開口部から前記水硬性固化材液を補充する補充工程を含む、請求項1の補強型置換コラムの施工方法。
【請求項3】
前記沈下補強材が複数の棒状補強体から構成され、前記複数の棒状補強体同士の間隔を確保するための振れ止め材が取り付けられてなる、請求項1記載の補強型置換コラムの施工方法。
【請求項4】
前記浮遊性素材が、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、のいずれか1種以上である、請求項1~3いずれか1項記載の補強型置換コラムの施工方法。
【請求項5】
前記沈下補強材が鉄、鉄合金、強化プラスチック、塩化ビニールのいずれか1種以上から構成されてなる、請求項1~4いずれか1項記載の補強型置換コラムの施工方法。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項記載の補強型置換コラムの施工方法によって施工された補強型置換コラム。
【請求項7】
請求項1~5いずれか1項記載の補強型置換コラムの施工方法に用いられる置換コラム頭部補強材であり、
浮遊性素材で構成された浮き蓋体と、
前記浮き蓋体に垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材と、
を有する、置換コラム頭部補強材。
【請求項8】
前記沈下補強材が複数の棒状補強体から構成され、前記複数の棒状補強体同士の間隔を確保するための振れ止め材が取り付けられてなる、請求項7記載の置換コラム頭部補強材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤における地盤改良に用いられる水硬性固化材液置換コラムを補強した補強型置換コラムの施工方法及びそれによって施工された補強型置換コラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟弱地盤に、戸建て住宅や低層建築物、土間スラブ等の比較的軽微な構造物を建築する際に、特許文献1に示されるような水硬性固化材液置換コラムを施工することで、地盤改良を行う工法が知られている。水硬性固化材液としては、セメントミルクが用いられている。
【0003】
上記したような比較的軽微な構造物に用いられる水硬性固化材液置換コラム(以下、単に「置換コラム」ということがある)は、径200mm~400mm程度の比較的細いコラムである。しかしながら、径200mm~400mm程度の水硬性固化材液置換コラムは、水硬性固化材液が固化した後の圧縮強度は強いが、横方向へのせん断抵抗が弱い傾向にある。そのため戸建て住宅等の基礎工事の掘削時に、重機によって誤って置換コラムの頭部を損傷したり、或いは置換コラムの頭部を破損、破断したりしてしまうといった事例が見られる。
【0004】
図6に、従来の水硬性固化材液置換コラムの施工後の様子を示す。図6において、符号100は、施工後の置換コラムを示す。置換コラム100は頭部102の一部が地上に露出した状態で施工されている。符号104は地盤であり、置換コラム100は地盤改良が必要な軟弱地盤に施工されている。符号106は重機であり、例えばショベルカーである。図6に示される如く、地上に露出している置換コラム100を誤って重機106が引っ掛けてしまうと、置換コラム100は径200mm~400mm程度であるため横方向へのせん断抵抗が弱く、頭部102を損傷してしまう。このように、上記したような比較的軽微な構造物に用いられる置換コラムでは、施工現場において、頭部が損傷してしまうおそれがある問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-106253
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、水硬性固化材液が固化した後の置換コラムの頭部のせん断強度が補強された補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の補強型置換コラムの施工方法は、軟弱地盤を所定の深度まで掘削してコラム状の穴を形成し、掘削された穴に水硬性固化材液を注入し固化せしめることで形成される置換コラムの施工方法において、浮遊性素材で構成された浮き蓋体と、前記浮き蓋体に垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材と、を有する、置換コラム頭部補強材を、前記掘削された穴に水硬性固化材液を注入した後、前記水硬性固化材液が固化せしめられる前に、前記水硬性固化材液の液面に浮かべる工程と、前記置換コラム頭部補強材を前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめる工程と、を含む、補強型置換コラムの施工方法である。
【0008】
前記浮き蓋体が貫通開口部を有し、前記置換コラムの頭部と前記浮き蓋体との間に隙間があいた場合に、前記貫通開口部から前記水硬性固化材液を補充する補充工程を含むのが好適である。
【0009】
前記沈下補強材が複数の棒状補強体から構成され、前記複数の棒状補強体同士の間隔を確保するための振れ止め材が取り付けられてなるのが好適である。
【0010】
前記浮遊性素材が、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、のいずれか1種以上であるのが好適である。
【0011】
前記沈下補強材が鉄、鉄合金、強化プラスチック、塩化ビニールから構成されてなるのが好適である。
【0012】
本発明の補強型置換コラムは、前記補強型置換コラムの施工方法によって施工された補強型置換コラムである。
【0013】
本発明の置換コラム頭部補強材は、前記補強型置換コラムの施工方法に用いられる置換コラム頭部補強材であり、浮遊性素材で構成された浮き蓋体と、前記浮き蓋体に垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材と、を有する、置換コラム頭部補強材である。
【0014】
本発明の置換コラム頭部補強材は、前記沈下補強材が複数の棒状沈下補強体から構成され、前記複数の棒状補強体同士の間隔を確保するための振れ止め材が取り付けられてなるのが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水硬性固化材液が固化した後の置換コラムの頭部のせん断強度が補強された補強型置換コラムの施工方法及び補強型置換コラムを提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る補強型置換コラムの一つの実施の形態を示す平面図である。
図2図1に示した補強型置換コラムの側面図である。
図3】補強型置換コラムの施工方法における様々な状態を示す斜視図であって、(a)は固化する前の水硬性固化材液に置換コラム頭部補強材が浮いている状態、(b)は置換コラムの頭部と前記浮き蓋体との間に隙間があいた状態、(c)は置換コラム頭部補強材の浮き蓋体が破損した状態、(d)は(c)の置換コラム頭部補強材を捨てコンクリートで補強した状態、をそれぞれ示す。
図4】本発明に係る補強型置換コラムの別の実施の形態を示す平面図である。
図5】本発明の置換コラム頭部補強材の他の実施の形態を示す斜視図である。
図6】従来の置換コラムの頭部が、重機によって誤って損傷される様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。同一部材は同一符号で示される。
【0018】
図1図3において、符号10Aは本発明に係る補強型置換コラムの一つの実施の形態を示す。
【0019】
補強型置換コラム10Aは、次のような本発明の補強型置換コラムの施工方法を実施することによって得られる。
【0020】
本発明の補強型置換コラムの施工方法は、軟弱地盤22を所定の深度まで掘削してコラム状の穴を形成し、掘削された穴に水硬性固化材液を注入し固化せしめることで形成される置換コラムの施工方法において、
1)浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aと、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた沈下補強材14と、を有する、置換コラム頭部補強材15Aを、前記掘削された穴に水硬性固化材液を注入した後、前記水硬性固化材液が固化せしめられる前に、前記水硬性固化材液の液面に浮かべる工程と、
2)前記置換コラム頭部補強材を前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめる工程と、
を含む、施工方法である。前記水硬性固化材としては、セメントミルクが好適に用いられる。
【0021】
本発明は、径200mm~400mm程度の水硬性固化材液置換コラムを補強するための方法である。径200mm~400mm程度の水硬性固化材液置換コラムは、固化後の圧縮強度は強いが、横方向へのせん断抵抗が弱い傾向にある。そのため上述したように、基礎工事の掘削時に、頭部の損傷若しくは破損、破断する事例が見られた。本発明では、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aと沈下補強材14とを用いて水硬性固化材液置換コラムの頭部のせん断強度を増強する方法である。
【0022】
水硬性固化材液置換コラムは、施工直後は、液体のため、改良体頭部(水硬性固化材液置換コラムの頭部)を骨材や補強材(例えば鉄筋や塩化ビニールパイプ)で補強しようとすると、沈んで下降していってしまうので、補強できないという現状があった。
【0023】
本発明では、前記水硬性固化材液が固化する前に、置換コラム頭部補強材15Aを前記水硬性固化材液の液面に浮かべることに特徴がある。そして、本発明では、前記水硬性固化材液が固化する前に沈下補強材を沈下せしめるので、前記水硬性固化材液の液中に沈下している沈下補強材となっている。このようにして、本発明では、従来は不可能であった水硬性固化材液置換コラムの頭部の補強を実現したのである。
【0024】
前記浮遊性素材は、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴム、のいずれか1種以上であるのが好適である。合成樹脂としては、発泡プラスチック、硬質スポンジやウレタン、などが挙げられ、発泡プラスチックとしては、発泡スチロールが好適に用いられる。
【0025】
前記沈下補強材は、鉄、鉄合金、強化プラスチック、塩化ビニールのいずれか1種以上から構成されてなるのが好適である。
【0026】
上記施工方法によって得られた補強型置換コラム10Aは図1図2及び図3(a)によく示される如く、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aと、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた少なくとも一つの沈下補強材14と、を有する、置換コラム頭部補強材15Aが、固化した水硬性固化材液18の頭部28に一体化している。
【0027】
図3(a)の符号22は軟弱地盤であり、本発明の補強型置換コラムの施工方法は、軟弱地盤の地盤改良に用いられる。
【0028】
また、前記浮き蓋体12Aは貫通開口部16を有しており、前記固化した水硬性固化材液18の頭部28と前記浮き蓋体12Aとの間に、乾燥による収縮により、間隙が生じることがあるが、そのような隙間があいた場合に、前記貫通開口部16から前記水硬性固化材液を補充することで隙間を埋めることができるようになっている。
【0029】
図3(b)に、前記固化した水硬性固化材液18の頭部28と前記浮き蓋体12Aとの間に隙間24があいた様子を示す。前記浮き蓋体12Aに前記貫通開口部16が形成されていると、図3(b)に示すように、前記固化した水硬性固化材液18の頭部28と前記浮き蓋体12Aとの間に、乾燥による収縮によって、隙間24があいてしまっても、前記貫通開口部16からセメントミルク等の水硬性固化材液を補充する補充工程を行うことで隙間24を埋めることができる。このような補充工程は、上記した前記置換コラム頭部補強材を前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめる工程の後、隙間24ができているのを確認したら、補充工程を行うことができる。
【0030】
前記沈下補強材14としては、少なくとも一つの沈下補強材14が、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた構成とすることができる。また、図2に、よく示される如く、前記沈下補強材14が複数の棒状補強材(図示例では4本)から構成され、前記複数の棒状補強材同士の間隔を確保するための振れ止め材20を取り付けることができる。前記沈下補強材14の材質は、鉄、鉄合金、強化プラスチック、塩化ビニールから構成されてなるのが好適である。
【0031】
前記沈下補強材14の材質が、鉄、鉄合金、強化プラスチックなどの場合には、図示例のように複数の棒状補強材として、構成することができる。さらに、振れ止め材20を取り付けることで、複数の棒状補強材それぞれが適切な間隔を保持することができる。振れ止め材20の材質については、特に限定は無く、種々の合成樹脂、例えば塩化ビニールや、種々の金属、例えば鉄、などで構成することができる。
【0032】
図示例では、発泡プラスチックで浮き蓋体12Aを作製した例を示した。また、図示例では、前記沈下補強材として、鉄筋を用いて、金属製の沈下補強筋とした例を示した。
【0033】
前記浮き蓋体12Aを発泡プラスチックで作製する場合、発泡プラスチックとしては例えば発泡スチロールが好適であり、特に建築用発泡スチロールが好適である。軽量であり、浮力があるからである。本発明ではこのように、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aの浮力を利用する。前記浮き蓋体12Aのサイズは、前記沈下補強材14に使われている材質の量や長さなどを考慮し、浮力が得られるサイズを検討する。前記浮き蓋体12Aとして発泡スチロールを使用し、前記沈下補強材14として鉄筋を使用する場合、鉄筋量や鉄筋の長さを考慮し、浮力が得られるサイズを検討する。
【0034】
例として、直径200mm厚さ50mmの建築用発泡スチロールの浮力は凡そ1.5kgある。直径10mm、長さが500mmの鉄筋が4本だと、その重量は1.12kgなので水硬性固化材液に浮かせて、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめて固定できることとなる。浮遊性素材で構成された蓋をすることにより、大きな土塊の混入防止を図ることができると共に補強材による頭部の補強ができるという両方の利点がある。
【0035】
また、図3(c)に示されるように、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aが基礎施工時に破損した場合は、浮き蓋体12Aの浮遊性素材(図示例だと発泡スチロール)を除去した後、図3(d)に示されるように、捨てコンクリート26等と同等強度の補修材で補修すれば、高さ調整を行うことが可能である。このように、捨てコンクリート26で補修した置換コラム頭部補強材15Aでも、置換コラムの頭部を補強することができる。
【0036】
本発明に係る補強型置換コラムの別の実施の形態を図4に示す。図4に示した置換コラム頭部補強材15Bは、貫通開口部が形成されていない浮き蓋体12Bと、前記浮き蓋体12Bに垂設せしめられた沈下補強材14と、を有する、置換コラム頭部補強材である。置換コラム頭部補強材15Bは、浮き蓋体12Bに貫通開口部が形成されていないことが浮き蓋体12Aと異なるのみである。置換コラム頭部補強材15Bも、上述した本発明の補強型置換コラムの施工方法と同様に、置換コラム頭部補強材15Bを、前記掘削された穴に水硬性固化材液を注入した後、前記水硬性固化材液が固化せしめられる前に、前記水硬性固化材液の液面に浮かべて、前記置換コラム頭部補強材を前記水硬性固化材液の液面に浮かべた状態で前記水硬性固化材液を固化せしめ、置換コラムの頭部に置換コラム頭部補強材を一体化せしめることで、補強型置換コラム10Bとなる。
【0037】
上述のようにすれば、置換コラム頭部補強材15A,15Bが一体化されることで、水硬性固化材液が固化した後の置換コラムの頭部のせん断強度が補強された補強型置換コラム10A,10Bを施工することができる。そして、軟弱地盤に、戸建て住宅や低層建築物、土間スラブ等の比較的軽微な構造物を建築する際に、補強型置換コラム10A,10Bを施工することで、地盤改良を行うことができる。
【0038】
前記沈下補強材14を塩化ビニールで構成する場合には、塩化ビニール製のパイプを沈下補強材とし、図中の前記貫通開口部16の部分に、前記塩化ビニール製のパイプを差し込んで取り付け、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた沈下補強材とすることができる。
【0039】
このように、塩化ビニール製のパイプを沈下補強材とした例を、本発明の置換コラム頭部補強材の他の実施の形態として、図5に示す。図5において、置換コラム頭部補強材15Cは、浮遊性素材で構成された浮き蓋体12Aと、前記浮き蓋体12Aに垂設せしめられた沈下補強材30と、を有している。沈下補強材30は、塩化ビニール製の中空パイプであり、前記貫通開口部16の部分に、差し込んで取り付けられている。また、前記塩化ビニール製のパイプには、空気抜きのための空気孔32が開穿されている。この空気抜きのための空気孔32は、図3(b)に示したように、前記固化した水硬性固化材液18の頭部28と前記浮き蓋体12Aとの間に隙間24があいてしまった場合に、前記貫通開口部16から水硬性固化材液を補充する補充工程を行う際に、空気孔32が無いと前記水硬性固化材液が前記沈下補強材30である塩化ビニール製パイプに入っていかないため、空気孔32が形成されている。
【0040】
上述のようにすれば、補強型置換コラム10A,10Bと同様に、置換コラム頭部補強材15Cが一体化されることで、水硬性固化材液が固化した後の置換コラムの頭部のせん断強度が補強された補強型置換コラムを施工することができる。
【符号の説明】
【0041】
10A,10B,10C:補強型置換コラム、12A,12B:浮き蓋体、14,30:沈下補強材、15A,15B,15C:置換コラム頭部補強材、16:貫通開口部、18:水硬性固化材液、20:振れ止め材、22:軟弱地盤、24:隙間、26:捨てコンクリート、28:頭部、32:空気孔、100:置換コラム、102:頭部、104:地盤、106:重機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6