(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167195
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】粒子画像解析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/02 20060101AFI20221027BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20221027BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20221027BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20221027BHJP
【FI】
G01N15/02 B
G01N15/14 B
G01N21/17 A
G06T7/60 150S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072831
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴弘
【テーマコード(参考)】
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB09
2G059DD12
2G059EE01
2G059FF01
2G059FF03
2G059GG02
2G059KK04
2G059MM01
5L096AA03
5L096AA06
5L096BA03
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA59
5L096FA69
5L096FA70
(57)【要約】
【課題】検出範囲の設定が適切であるか否かを判断可能な情報を提供することができる粒子画像解析装置を提供する。
【解決手段】粒子画像解析装置1は、液体試料を撮影した粒子画像を画像解析し、粒子画像の粒子の形状を示す複数のパラメーターの評価値を算出する解析処理部133と、面積相当径の評価値と、アスペクト比の評価値とを変数とする座標に検出範囲150を設定し、粒子画像の粒子を、検出範囲150内に位置する粒子と、検出範囲150外に位置する粒子と、に分類するフィルタ処理部134と、検出範囲150内の基準点と、粒子画像の粒子との座標上での距離を算出する距離算出部135と、算出した距離に基づいて粒子を選択する選択部136と、選択した粒子の粒子画像を表示する表示部80と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を分散させた液体試料を撮影した粒子画像を画像解析し、前記粒子画像の粒子の形状を示す複数のパラメーターの評価値を算出する評価値算出部と、
前記複数のパラメーターに含まれる第1パラメーターの評価値と、前記第1パラメーターとは異なる第2パラメーターの評価値とを変数とする座標に検出範囲を設定し、前記粒子画像の粒子を、前記検出範囲内に位置する粒子と、前記検出範囲外に位置する粒子と、に分類する分類部と、
前記検出範囲内に設定された基準点と、前記粒子画像の粒子との前記座標上での距離を算出する距離算出部と、
前記距離算出部が算出した距離に基づいて粒子を選択する選択部と、
前記選択部が選択した粒子の粒子画像を表示する表示部と、を備える、粒子画像解析装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、
粒子の総個数と、粒子を選択する選択数と、に基づいて、前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、
前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する、請求項1記載の粒子画像解析装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記分類部により前記検出範囲内に位置する粒子と判定された範囲内粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、
前記範囲内粒子の総個数と、前記範囲内粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、
前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する、請求項1又は2記載の粒子画像解析装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記分類部により前記検出範囲外に位置する粒子と判定された範囲外粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、
前記範囲外粒子の総個数と、前記範囲外粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、
前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する、請求項1から3のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置。
【請求項5】
前記距離算出部は、前記粒子画像の粒子と前記基準点との距離として、前記第1パラメーターの評価値を変数とする第1座標軸上の第1距離と、前記第2パラメーターの評価値を変数とする第2座標軸上の第2距離とを算出し、算出した前記第1距離と前記第2距離とを正規化し、正規化後の前記第1距離と、正規化後の前記第2距離とに基づいて前記粒子画像の粒子と前記基準点との距離を算出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置。
【請求項6】
前記第1パラメーターは、面積相当径であり、前記第2パラメーターは、粒子のアスペクト比である、請求項1から5のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子画像解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料、化粧品用パウダー、トナー、粒子状触媒、研磨材、粉末状医薬、合成樹脂製粉末、ファインセラミック粒子などの工業製品粉体の粒子の性状を分析する各種の手法が知られている。これらの手法の一つに、粒子を撮像した粒子画像を画像解析し、画像解析の結果に基づいて粒子の形状等を分析する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒子解析においては、撮影された粒子画像を参照することで、有益な情報が得られる場合がある。しかしながら、撮影された粒子画像には、鱗片状粒子等、粒子が撮影された角度によって大きさが大きく異なる粒子や、コンタミ粒子等の異物、複数の粒子が1つの粒子として検出された粒子等が含まれる場合がある。このため、粒子をフィルタリングする範囲を設定し、設定した範囲から外れた粒子を除外して粒子画像の確認を行うことで、粒子画像の確認を効率的に行うことができる。そこで、このフィルタリングする範囲の設定が適切であるか否かを判断可能な情報が求められていた。
【0005】
本発明は、検出範囲の設定が適切であるか否かを判断可能な情報を提供することができる粒子画像解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る粒子画像解析装置は、粒子を分散させた液体試料を撮影した粒子画像を画像解析し、前記粒子画像の粒子の形状を示す複数のパラメーターの評価値を算出する評価値算出部と、前記複数のパラメーターに含まれる第1パラメーターの評価値と、前記第1パラメーターとは異なる第2パラメーターの評価値とを変数とする座標に検出範囲を設定し、前記粒子画像の粒子を、前記検出範囲内に位置する粒子と、前記検出範囲外に位置する粒子と、に分類する分類部と、前記検出範囲内に設定された基準点と、前記粒子画像の粒子との前記座標上での距離を算出する距離算出部と、前記距離算出部が算出した距離に基づいて粒子を選択する選択部と、前記選択部が選択した粒子の粒子画像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1態様に係る粒子画像解析装置によれば、距離に基づいて選択された粒子の粒子画像を目視で確認することで、設定した検出範囲の妥当性を判断することができるので、検出範囲の設定が適切であるか否かを判断可能な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】粒子画像解析装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】座標上にプロットされた粒子を示す図である。
【
図3】表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図4】表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図5】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0010】
[1.粒子画像解析装置の構成]
図1は、粒子画像解析装置1の構成の一例を示す図である。
粒子画像解析装置1は、サンプル粉体が分散されたサンプル液をカメラで撮影し、サンプル粉体を撮影した撮影画像を画像解析して、サンプル粉体に含まれる粒子の形状等を分析する装置である。サンプル粉体は、例えば、顔料、化粧品用パウダー、トナー、粒子状触媒、研磨材、粉末状医薬、合成樹脂製粉末、ファインセラミック粒子、金属粒子等の工業製品の粉体である。サンプル粉体は、本発明の粉体に相当し、サンプル液は、本発明の液体試料に相当する。
【0011】
粒子画像解析装置1は、フローセル10と、サンプル液供給機構20と、サンプル液貯留容器31と、廃液タンク37と、照明部40と、撮影部50と、操作部70と、表示部80と、制御装置100と、を備える。
【0012】
フローセル10は、光学的に略透明な測定容器であり、形状は、略矩形の板状である。フローセル10の上端面11には、サンプル液を導入する導入口12が形成され、フローセル10の下端面13には、サンプル液を排出する排出口14が形成されている。また、フローセル10の内部には、導入口12から排出口14に至る直線状の流路15が形成されている。また、フローセル10内には、撮影部50が備えるテレセントリックレンズ55の焦点調整用のターゲットが設けられている。ターゲットの図示は省略する。
【0013】
サンプル液供給機構20は、フローセル10内にサンプル液を所定量ずつ送り込む機構であり、送液ポンプ21を備える。本実施形態では、測定対象のサンプル液を貯留するサンプル液貯留容器31から延びる導入管33がフローセル10の導入口12に接続される。また、排出口14には排出管23の一端が接続され、この排出管23の他端に送液ポンプ21の吸込側が接続される。送液ポンプ21を作動させることで、サンプル液貯留容器31のサンプル液が導入口12からフローセル10の流路15に流れ込み、当該流路15を経て排出口14から排出される。送液ポンプ21の排出側には、廃液管35が接続されており、送液ポンプ21が排出したサンプル液は廃液管35を通じて廃液タンク37に回収される。送液ポンプ21は、導入管33の側に設ける構成であってもよい。
【0014】
照明部40は、フローセル10に測定光43を照射する光源装置41を備える。光源装置41は、略平行光の測定光43を、フローセル10の流路15に対して略直交する方向から照射する。光源装置41は、LED(Light Emitting Diode)光源やレーザ光源などの発光素子を有した光源と、光源が放射する光を平行光化するコリメート光学系とを備える。光源装置41は、COB型(チップオンボード型)LEDのように、面状に光を放射する面状光源を光源として備える構成であってもよい。
【0015】
撮影部50は、フローセル10を挟んで照明部40と対向する位置に配置され、フローセル10における測定光43の照射箇所を撮影する。撮影部50は、カメラ51と、テレセントリック顕微鏡54と、フォーカス機構56と、を備える。
【0016】
カメラ51は、イメージングセンサであるCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子52と、撮像素子52から出力されるアナログの画像データをディジタル信号に変換するA/D変換等の処理を行う信号処理回路53とを備える。
【0017】
テレセントリック顕微鏡54は、撮像素子52の撮像面52Aにフローセル10における照射箇所の像を結像するテレセントリック光学系であり、フローセル10に対向配置されたテレセントリックレンズ55を備える。
【0018】
フォーカス機構56は、テレセントリックレンズ55の焦点位置を変更する機構であり、レンズ駆動機構57を備える。レンズ駆動機構57は、制御装置100の制御の下、テレセントリックレンズ55をテレセントリック光学系の光軸Aに沿って直動することでテレセントリックレンズ55の焦点を変更する。テレセントリックレンズ55の焦点は、制御装置100がターゲットを撮影した撮影画像に基づいて調整する。
【0019】
操作部70は、マウスやキーボード等の入力デバイスを備え、ユーザーの操作を受け付ける受付部として機能する。
表示部80は、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネルを備え、制御装置100の制御に従って表示パネルに表示画面を表示させる。この表示画面には、例えば、カメラ51の撮影画像や、この撮影画像に撮影されたサンプル粉体の解析結果が表示される。
また、表示部80は、表示パネル及びタッチセンサーを備えるタッチパネルにより構成してもよい。タッチセンサーは、ユーザーの指や指示棒等の指示体が接触した表示パネルの位置を検出する。表示パネルには、予め座標系が設定されており、タッチセンサーは、指示体が接触した表示パネルの位置を示す座標情報を制御装置100に出力する。
【0020】
制御装置100は、インターフェイス部110と、記憶部120と、プロセッサー130と、を備えるコンピューター装置である。
【0021】
インターフェイス部110には、撮影部50や、表示部80が接続され、プロセッサー130は、インターフェイス部110を介して撮影部50や表示部80とデータの送受信を行う。
【0022】
記憶部120は、ROM(Read only memory)やRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置とを備える。
記憶部120は、プロセッサー130が実行する制御プログラム121や、カメラ51の撮影画像である粒子画像123、粒子画像123から粒子が撮影された範囲を切り出した画像である粒子像125等を記憶する。
【0023】
プロセッサー130は、CPU(Central Processing Unit)や、CPUを搭載したMCU(Micro Controller Unit)や、MPU(Micro Processor Unit)等のマイコンにより構成される。また、制御装置100を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現してもよい。
【0024】
制御装置100は、撮影制御部131、粒子像切出部132、解析処理部133、フィルタ処理部134、距離算出部135、選択部136及び表示制御部137を機能ブロックとして備える。これらの機能ブロックは、制御装置100が備える機能を示すものであり、記憶部120に記憶された制御プログラム121をプロセッサー130が実行することで実現される。
【0025】
撮影制御部131は、カメラ51のオートフォーカスの調整と、カメラ51の撮影タイミングの制御とを行う。
撮影制御部131は、テレセントリック顕微鏡54の焦点位置を、フローセル10内に設けたターゲットの撮影画像に基づいて調整する。具体的には、撮影制御部131は、カメラ51の撮影画像を取り込み、撮影画像に写ったターゲットの撮影状態に基づいて、カメラ51の焦点とターゲットとのずれを判定する。そして、撮影制御部131は、焦点のずれを解消する位置にテレセントリックレンズ55が移動するように、レンズ駆動機構57を制御する。このようにして、撮影制御部131は、カメラ51の焦点をターゲットに合わせる。
また、撮影制御部131は、予め設定された撮影間隔で、カメラ51にサンプル液を撮影させる。撮影制御部131は、カメラ51が撮影により生成した粒子画像123を記憶部120に記憶させる。
【0026】
粒子像切出部132は、記憶部120から粒子画像123を読み出す。粒子像切出部132は、読み出した粒子画像123に対して、コントラスト調整や、明るさ調整、輪郭補正等の補正処理を行う。次に、粒子像切出部132は、補正処理後の粒子画像123から粒子が撮影された範囲の画像を切り出し、粒子像125を生成する。例えば、粒子像切出部132は、しきい値データに基づいて粒子画像123から粒子像125を切り出す。しきい値データは、粒子画像123において、粒子像125に相当する領域と、それ以外の背景領域とを分けるしきい値を示すデータである。このしきい値には、例えば粒子画像123の画素の輝度値や色度、これらの組み合わせなどが用いられる。なお、しきい値データに基づいて粒子画像123から粒子像125を切り出す手法は、輪郭検出などの適宜の画像処理技術を用いることができる。粒子像切出部132は、生成した粒子像125を記憶部120に記憶させる。
【0027】
解析処理部133は、粒子像切出部132が生成した粒子像125を画像解析し、粒子像125に撮影された粒子の形状を示す複数の評価項目の評価値を求める。評価項目を、以下では解析パラメーターという。解析パラメーターは、本発明のパラメーターに相当する。解析パラメーターには、例えば、面積相当径、面積、最大長(長径)、最大長垂直長(短径)、周囲長、包絡周囲長、外接矩形長径、外接矩形短径、円形度、アスペクト比、凹凸度等が含まれる。
解析処理部133は、粒子像125の粒子ごとに、解析パラメーターの評価値を求め、求めた評価値を、粒子像125に対応づけて記憶部120に記憶させる。
【0028】
面積相当径は、本発明の第1パラメーターに相当し、粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径である。面積は、粒子の投影面積であり、最大長(長径)は粒子の投影輪郭線上の2点間で最大距離であり、最大長垂直長(短径)は最大長(長径)に対し平行な2本の直線で粒子を挟んだ際の距離である。周囲長は、粒子の投影輪郭線の長さであり、包絡周囲長は粒子の凸部を最短で結んだ周囲の長さである。外接矩形長径は粒子の輪郭を含むことができる最も小さな長方形の長辺の長さであり、外接矩形短径は粒子の輪郭を含むことができる最も小さな長方形の短辺の長さである。円形度は、4π×粒子の投影面積/周囲長の2乗によって求められる。アスペクト比は、本発明の第2パラメーターに相当し、最大長(長径)/最大長垂直長(短径)によって求められる。また、凹凸度は包絡周囲長/周囲長によって求められる。
【0029】
図2は、座標上にプロットされた粒子を示す図である。
フィルタ処理部134は、本発明の分類部に相当する。フィルタ処理部134は、座標上にフィルタ範囲150を設定して、粒子像125の粒子がフィルタ範囲150内に属する粒子であるのか、フィルタ範囲150に属さない粒子であるのかを判定するフィルタ処理を実行する。
【0030】
フィルタ範囲150は、ユーザーにより設定される範囲であり、形状等を分析したい粒子の範囲に設定される。粒子画像解析装置1が解析対象とする粒子には、粒子の撮影角度によって最大長(長径)や、最大長垂直長(短径)、アスペクト比等の値が大きく異なる粒子が含まれる。また、粒子画像123には、コンタミ粒子等の異物や、複数の粒子が1つの粒子として検出された粒子が含まれる場合もある。本実施形態では、フィルタ範囲150を最適な値に設定し、好ましくない撮影方向から撮影された粒子の粒子画像123や、コンタミ粒子、複数の粒子が1つの粒子として検出された粒子を対象から除去する。
【0031】
まず、フィルタ処理部134は、記憶部120が備えるRAM等のメモリー上に座標を設定する。本実施形態では、フィルタ処理部134は、解析処理部133が評価した複数の解析パラメーターのうち、面積相当径と、アスペクト比とを座標軸とする座標を設定する。
図2には、面積相当径をX軸、アスペクト比をY軸とする座標を示す。
【0032】
次に、フィルタ処理部134は、フィルタ範囲150を設定する。本実施形態では、フィルタ範囲150を以下の範囲に設定した。
X軸:5μm<面積相当径<10μm
Y軸:0.5<アスペクト比<1.0
【0033】
フィルタ処理部134は、記憶部120から各粒子の面積相当径及びアスペクト比の評価値を読み出し、読み出した面積相当径及びアスペクト比の評価値に対応する座標上の位置に、当該する粒子の識別情報をプロットする。
図2には、粒子の識別情報として「a」~「n」までのアルファベットを用いた例を示す。
図2には、粒子a~粒子nまでの14個の粒子が座標上にプロットされた例を示す。
図2の説明では、粒子の数が、粒子a~粒子nまでの14個である場合について説明するが、粒子の数は14個に限定されるものではなく、実際にはさらに多数の粒子が対象となる。
フィルタ処理部134は、これら粒子a~粒子nまでの14個の粒子のうち、粒子a,粒子b,粒子d,粒子f,粒子i及び粒子jの6個の粒子を、フィルタ範囲150内の粒子に分類する。また、フィルタ処理部134は、粒子c,粒子e,粒子g,粒子h,粒子k,粒子l,粒子m及び粒子nの8個の粒子を、フィルタ範囲150外の粒子に分類する。
【0034】
距離算出部135は、設定された基準点から各粒子までの距離を求める。本実施形態では、フィルタ範囲150の中心を基準点に設定する。本実施形態の場合、フィルタ範囲150の中心は、X軸である面積相当径が7.5であり、Y軸であるアスペクト比が0.75の位置であり、この位置を基準点に設定する。
距離算出部135は、まず、基準点から各粒子からまでのX軸方向の距離と、Y軸方向の距離とをそれぞれ求める。X軸方向の距離と、Y軸方向の距離とをそれぞれ求めると、距離算出部135は、求めたX軸方向の距離と、Y軸方向の距離とをそれぞれ正規化し、正規化後の距離に基づいて各粒子の基準点までの距離を求める。X軸方向の距離と、Y軸方向の距離とをそれぞれ正規化するのは、面積相当径やアスペクト比の桁数等の数値範囲による影響が大きいためである。X軸方向の距離と、Y軸方向の距離との正規化方法には、以下の4つの方法が挙げられる。
【0035】
第1正規化方法は、フィルタ範囲150のX軸及びY軸における範囲幅を、それぞれ距離1とする方法である。
例えば、上記フィルタ範囲150の場合、X軸の範囲は、5μm<面積相当径<10μmである。このため、10μmから5μmを減算した5μmをX軸の距離1と換算する。同様に、Y軸の範囲は、0.5<アスペクト比<1.0である。このため、1.0から0.5を減算したアスペクト比0.5をY軸の距離1と換算する。
【0036】
第2正規化方法は、フィルタ範囲150のX軸及びY軸における範囲幅の1/2を、それぞれ距離1とする方法である。
上記のフィルタ範囲150の場合、5μmの1/2の2.5μmをX軸の距離1と換算する。また、アスペクト比0.5の1/2の0.25μmをY軸の距離1と換算する。
【0037】
第3正規化方法は、
図2に示す座標上にプロットされた各粒子の評価値のうち、値が最小の粒子の評価値を「0」、値が最大の粒子の評価値を「1」とし、その距離を1として正規化する方法である。
例えば、
図2に示す例の場合、X軸である面積相当径の最小値は、粒子bの6.7μmであり、最大値は、粒子hの16.2μmである。このため、16.2μmから6.7μmを減算した9.5μmをX軸の距離1と換算する。また、Y軸であるアスペクト比の最小値は、粒子nの0.2であり、最大値は、粒子aの0.96である。このため、0.96から0.2を減算したアスペクト比0.76をY軸の距離1と換算する。
【0038】
第4正規化方法は、座標軸の最小値を「0」、最大値を「1」とし、その距離を1とする方法である。
図2に示す座標のX軸の最小値は「0」μmであり、最大値は「20」μmである。このため、20μmから0μmを減算した20μmをX軸の距離1と換算する。
また、
図2に示す座標のY軸での最小値は「0」であり、最大値は「1.2」である。このため、1.2から0を減算した1.2をY軸の距離1と換算する。
【0039】
表1には、粒子a~粒子nまでの14個の粒子と、基準点との距離を、上述の第2正規化方法により正規化して求めた結果を示す。
【0040】
【0041】
選択部136は、まず、距離算出部135が算出した距離に従い、粒子を並べ替える。表2は、粒子a~粒子nまでの全粒子を、基準点からの距離が近い順に並べ替えた表である。さらに、表3は、フィルタ範囲150内に分類された粒子を、基準点からの距離が近い順に並べ替えた表である。また、表4は、フィルタ範囲150外に分類された粒子を、基準点からの距離が近い順に並べ替えた表である。以下では、表2に示す粒子a~粒子nまでの全粒子が含まれるグループを第1グループという。表3に示すフィルタ範囲150内に分類された粒子のグループを第2グループという。また、表4に示すフィルタ範囲150外に分類された粒子のグループを第3グループという。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
選択部136は、第1グループ、第2グループ及び第3グループの各グループの粒子を並び替えると、粒子像125を表示させる粒子を選択する。例えば、第1グループ、第2グループ及び第3グループの各グループから粒子を3つずつ選択し、選択した粒子の粒子像125を表示部80に表示させる場合について説明する。
【0046】
第1グループの場合、第1グループに含まれる粒子の数は14個であり、14個を選択する粒子数である3で除算すると4.67となる。このため、小数点以下を切り上げて、5個に1個、すなわち、4個おきに粒子を抽出することになる。選択部136は、表2に示す粒子の並び順の場合、3個の粒子として粒子f,粒子j及び粒子kを選択する。「4個おき」は、本発明の個数間隔に相当する。
【0047】
また、第2グループの場合、第2グループに含まれる粒子の数は6個であり、6個を選択する粒子数である3で除算した値は2である。このため、第2グループの場合、粒子を2個に1個、すなわち、粒子を1個おきに抽出することになる。選択部136は、表3に示す粒子の並び順の場合、3個の粒子として粒子f,粒子i及び粒子aを選択する。「1個おき」は、本発明の個数間隔に相当する。
【0048】
また、第3グループの場合、第3グループに含まれる粒子の数は、8個であり、8個を選択する粒子数である3で除算した値は2.67である。このため、小数点以下を切り上げて、3個に1個、すなわち、粒子を2個おきに抽出することになる。選択部136は、表4に示す粒子の並び順の場合、3個の粒子として粒子g,粒子n及び粒子hを選択する。「2個おき」は、本発明の個数間隔に相当する。
【0049】
図3及び
図4は、表示部80に表示される表示画面の一例を示す図である。
表示制御部137は、表示画面を生成して表示部80に表示させる。
図3に示す表示画面には、表示欄81、表示欄82及び表示欄83が表示される。
表示欄81には、第1グループから選択した3つの粒子f,粒子j及び粒子kの距離や、サムネイル画像が表示される。
表示欄82には、第2グループから選択した3つの粒子f,粒子i及び粒子aの距離や、サムネイル画像が表示される。
表示欄83には、第3グループから選択した3つの粒子g,粒子n及び粒子hの距離や、サムネイル画像が表示される。
このようにして、本実施形態では、基準点までの距離が近い粒子から、基準点までの距離が遠い粒子までを一様に選択し、選択した粒子のサムネイル画像を表示部80に表示させることができる。ユーザーは、表示部80に表示されたサムネイル画像を参照して、設定した検出範囲が妥当であるか否かを判断することができる。
【0050】
図4に示す表示画面には、表示欄81、表示欄81及び表示欄83に加えて表示欄84が表示される。
表示欄84には、第3グループの粒子、すなわち、フィルタ範囲150外に分類された粒子のサムネイル画像を、基準点からの距離が近い順に並べて表示させる。
粒子のサムネイル画像を、基準点からの距離が近い順に並べて表示させることで、フィルタ範囲150を僅かに外れた粒子画像を簡単に目視で確認することができ、フィルタ範囲150の妥当性を検討する際の情報として利用することができる。
【0051】
[2.粒子画像解析装置の動作]
図5は、制御装置100の動作を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートを参照しながら制御装置100の動作を説明する。
まず、制御装置100は、送液ポンプ21を作動させる。送液ポンプ21が作動することで、サンプル液貯留容器31のサンプル液が導入口12からフローセル10の流路15に流れ込み、流路15を経て排出口14から排出される。次に、制御装置100は、カメラ51に撮影の実行を指示する(ステップS2)。カメラ51は、所定の撮影間隔で撮影を行い、撮影により得られる粒子画像123を制御装置100に出力する。制御装置100は、入力された粒子画像123を記憶部120に記憶させる(ステップS3)。
【0052】
次に、制御装置100は、サンプル液貯留容器31に貯留されたサンプル液の送液が完了したか否かを判定する(ステップS4)。制御装置100は、サンプル液の送液が完了していない場合(ステップS4/NO)、送液ポンプ21の作動と、カメラ51の撮影とを継続させる。
【0053】
また、制御装置100は、サンプル液貯留容器31に貯留されたサンプル液の送液が完了すると(ステップS4/YES)、記憶部120から粒子画像123を読み出し、読み出した粒子画像123から粒子像125を切り出す(ステップS5)。制御装置100は、しきい値データを用いた輪郭検出等の手法により粒子画像123から粒子像125を切り出す(ステップS5)。切り出された粒子像125は、当該粒子像125を識別する識別情報と共に記憶部120に記憶される。
【0054】
次に、制御装置100は、複数の解析パラメーターの評価値を、切り出した粒子像125に撮影された粒子ごとに算出する(ステップS6)。制御装置100は、算出した評価値を、該当粒子像125の識別情報に対応づけて記憶部120に記憶させる。
次に、制御装置100は、面積相当径をX軸、アスペクト比をY軸とする座標を記憶部120が備えるRAM等のメモリーに設定し、設定した座標上にフィルタ範囲150を設定する(ステップS7)。
【0055】
次に、制御装置100は、フィルタ処理を行う対象の対象粒子を選択する(ステップS8)。制御装置100は、対象粒子を選択すると、選択した対象粒子の面積相当径及びアスペクト比の評価値を記憶部120から取得する。制御装置100は、取得した面積相当径及びアスペクト比の評価値に基づいてフィルタ処理を実行する。具体的には、制御装置100は、対象粒子の面積相当径及びアスペクト比の評価値により決定される座標上の位置が、フィルタ範囲150内にあるのか、フィルタ範囲150外にあるのかを判定する。制御装置100は、評価値に基づいて決定される対象粒子の座標上の位置が、フィルタ範囲150内にある場合、対象粒子を第2グループに分類する。また、制御装置100は、評価値に基づいて決定される対象粒子の座標上の位置が、フィルタ範囲150外にある場合、対象粒子を第3グループに分類する。
【0056】
次に、制御装置100は、すべての粒子を対象粒子に選択したか否かを判定する(ステップS10)。制御装置100は、すべての粒子が対象粒子に選択されていない場合(ステップS10/NO)、ステップS8の処理に戻り、次の対象粒子を選択する。また、制御装置100は、すべての粒子を対象粒子に選択済みである場合(ステップS10/YES)、次の処理に移行する。
【0057】
次に、制御装置100は、各粒子と基準点との距離を算出する。まず、制御装置100は、距離を算出する対象粒子を選択する(ステップS11)。次に、制御装置100は、選択した対象粒子と基準点との距離を算出する(ステップS12)。具体的には、制御装置100は、対象粒子の面積相当径及びアスペクト比の評価値を取得する。次に、制御装置100は、取得した面積相当径及びアスペクト比の評価値により決定される座標上の位置と、基準点とのX軸方向の距離と、Y軸方向の距離とをそれぞれ求める。次に、制御装置100は、求めたX軸方向の距離、及びY軸方向の距離を正規化し、正規化したX軸方向の距離及びY軸方向の距離に基づいて対象粒子から基準点までの距離を算出する。
【0058】
次に、制御装置100は、すべての粒子を対象粒子に選択したか否かを判定する(ステップS13)。制御装置100は、すべての粒子を対象粒子に選択していない場合(ステップS13/NO)、ステップS11の処理に戻り、次の対象粒子を選択する。また、制御装置100は、すべての粒子を対象粒子に選択済みである場合(ステップS13/YES)、ステップS14の処理に移行する。
【0059】
制御装置100は、第1グループ、第2グループ及び第3グループのグループごとに、粒子像125のサムネイル画像を表示させる粒子を選択する(ステップS14)。
具体的には、まず、制御装置100は、第1グループ、第2グループ及び第3グループのグループごとに、粒子列を作成する。この粒子列は、各グループに分類された粒子を、基準点からの距離が近い順に並び替えることで作成される。
次に、制御装置100は、グループに分類された粒子の粒子数と、このグループから表示粒子として選択する粒子数とに基づいて、サムネイル画像を表示させる粒子を選択する。例えば、第2グループに含まれる粒子数が100個であり、表示粒子として選択する粒子数が10個である場合、制御装置100は、距離が近い順に並べた粒子列から粒子を10個間隔で選択する。制御装置100は、この処理を、第1グループ、第2グループ及び第3グループのすべてのグループで実行する。
【0060】
次に、制御装置100は、第1グループ、第2グループ及び第3グループの各グループから選択した各粒子のサムネイル画像を生成する。次に、制御装置100は、
図4に示すように、第1グループ、第2グループ及び第3グループのグループごとに、表示粒子の識別情報と、基準点までの距離と、サムネイル画像と、を対応づけて表示させる(ステップS15)。
【0061】
次に、制御装置100は、フィルタ範囲150を変更する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS16)。制御装置100は、フィルタ範囲150を変更する操作を受け付けた場合(ステップS16/YES)、ステップS7の処理に戻り、フィルタ範囲150を再度設定する。また、制御装置100は、フィルタ範囲150を変更する操作を受け付けていない場合(ステップS16/NO)、この処理フローを終了させる。
【0062】
[3.態様と効果]
上述した実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0063】
(第1項)
第1態様に係る粒子画像解析装置は、粒子を分散させた液体試料を撮影した粒子画像を画像解析し、前記粒子画像の粒子の形状を示す複数のパラメーターの評価値を算出する評価値算出部と、前記複数のパラメーターに含まれる第1パラメーターの評価値と、前記第1パラメーターとは異なる第2パラメーターの評価値とを変数とする座標に検出範囲を設定し、前記粒子画像の粒子を、前記検出範囲内に位置する粒子と、前記検出範囲外に位置する粒子と、に分類する分類部と、前記検出範囲内に設定された基準点と、前記粒子画像の粒子との前記座標上での距離を算出する距離算出部と、前記距離算出部が算出した距離に基づいて粒子を選択する選択部と、前記選択部が選択した粒子の粒子画像を表示する表示部と、を備える。
【0064】
第1項に記載の粒子画像解析装置によれば、検出範囲内の基準点からの距離に基づいて粒子が選択され、選択された粒子の粒子画像が表示される。従って、距離に基づいて選択された粒子の粒子画像を目視で確認することで、設定した検出範囲の妥当性を判断することができる。このため、検出範囲の設定が適切であるか否かを判断可能な情報を提供することができる。
【0065】
(第2項)
第1項に記載の粒子画像解析装置において、前記選択部は、前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、粒子の総個数と、粒子を選択する選択数と、に基づいて、前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する。
【0066】
第2項に記載の粒子画像解析装置によれば、基準点からの距離が近い順に並べた粒子列から、粒子の総個数と、粒子を選択する選択数とに基づいて決定された個数間隔ごとに粒子が選択される。従って、基準点までの距離が近い粒子だけが選択されたり、基準点までの距離が遠い粒子だけが選択されたりすることを防止することができる。また、基準点までの距離が近い粒子から、基準点までの距離が遠い粒子までを一様に選択することができ、設定した検出範囲が妥当であるか否かを判断することができる。
【0067】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の粒子画像解析装置において、前記選択部は、前記分類部により前記検出範囲内に位置する粒子と判定された範囲内粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、前記範囲内粒子の総個数と、前記範囲内粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する。
【0068】
第3項に記載の粒子画像解析装置によれば、範囲内粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べた粒子列から、範囲内粒子の総個数と、範囲内粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて決定された個数間隔ごとに粒子が選択される。従って、検出範囲内の範囲内粒子を、基準点までの距離が近い粒子から、基準点までの距離が遠い粒子まで一様に選択することができる。
【0069】
(第4項)
第1項から第3項のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置において、前記選択部は、前記分類部により前記検出範囲外に位置する粒子と判定された範囲外粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べて粒子列を生成し、前記範囲外粒子の総個数と、前記範囲外粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて前記粒子列から粒子を選択する個数間隔を決定し、前記粒子列から決定した前記個数間隔ごとに粒子を選択する。
【0070】
第4項に記載の粒子画像解析装置によれば、範囲外粒子を前記基準点からの距離が近い順に並べた粒子列から、範囲外粒子の総個数と、範囲外粒子から粒子を選択する選択数と、に基づいて決定された個数間隔ごとに粒子が選択される。従って、検出範囲外の範囲外粒子を、基準点までの距離が近い粒子から、基準点までの距離が遠い粒子まで一様に選択することができる。
【0071】
(第5項)
第1項から第4項のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置において、前記距離算出部は、前記粒子画像の粒子と前記基準点との距離として、前記第1パラメーターの評価値を変数とする第1座標軸上の第1距離と、前記第2パラメーターの評価値を変数とする第2座標軸上の第2距離とを算出し、算出した前記第1距離と前記第2距離とを正規化し、正規化後の前記第1距離と、正規化後の前記第2距離とに基づいて前記粒子画像の粒子と前記基準点との距離を算出する。
【0072】
第5項に記載の粒子画像解析装置によれば、正規化後の第1距離と、正規化後の第2距離とに基づいて粒子画像の粒子と基準点との距離が算出される。従って、第1パラメーター及び第2パラメーターの評価値の桁数の影響を低減することができる。
【0073】
(第6項)
第1項から第5項のいずれか一項に記載の粒子画像解析装置において、前記第1パラメーターは、面積相当径であり、前記第2パラメーターは、粒子のアスペクト比である。
【0074】
第6項に記載の粒子画像解析装置によれば、面積相当径と、粒子のアスペクト比との評価値に基づいて粒子の検出範囲を設定することができる。
【0075】
[4.その他の実施形態]
なお、本実施形態に係る粒子画像解析装置1は、あくまでも本発明に係る粒子画像解析装置の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、フィルタ範囲150の中心を基準点に設定する場合について説明したが、フィルタ範囲150内に含まれる粒子の座標の平均値に基づいて基準点を設定してもよい。すなわち、フィルタ範囲150内に含まれる粒子のX座標の座標値の和を求め、求めたX座標の座標値をフィルタ範囲150内に含まれる粒子数で除算して、X座標の平均値を求める。同様に、フィルタ範囲150内に含まれる粒子のY座標の座標値の和を求め、求めたY座標の座標値をフィルタ範囲150内に含まれる粒子数で除算して、Y座標の平均値を求める。求めたX座標の平均値と、Y座標の平均値とを、基準点の座標として使用する。
また、基準点を、フィルタ範囲150の境界線上に設定してもよい。例えば、粒子と、フィルタ範囲150の中心とを結ぶ線分が、フィルタ範囲150の境界線と交差する位置に、基準点を設定してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、粒子画像解析装置1の制御装置100が、撮影制御部131、粒子像切出部132、解析処理部133、フィルタ処理部134、距離算出部135、選択部136及び表示制御部137を備えるが、本発明は、これに限定されない。例えば、粒子画像解析装置1の制御装置100が、撮影制御部131及び記憶部120を備え、粒子画像解析装置1とは別体のパーソナルコンピュータ等で構成された制御装置が、粒子像切出部132、解析処理部133、フィルタ処理部134、距離算出部135、選択部136及び表示制御部137を備える構成であってもよい。
【0077】
また、
図1に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサー130がプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0078】
また、
図5に示すフローチャートの処理単位は、制御装置100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。
図5のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0079】
また、制御装置100のプロセッサー130に実行させる制御プログラム121は、コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、制御プログラム121をサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から粒子画像解析装置1に、制御プログラム121をダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 粒子画像解析装置
10 フローセル
11 上端面
12 導入口
13 下端面
14 排出口
15 流路
20 サンプル液供給機構
21 液ポンプ
23 排出管
31 サンプル液貯留容器
33 導入管
35 廃液管
37 廃液タンク
40 照明部
41 光源装置
43 測定光
50 撮影部
51 カメラ
52 撮像素子
52A 撮像面
53 信号処理回路
54 テレセントリック顕微鏡
55 テレセントリックレンズ
56 フォーカス機構
57 レンズ駆動機構
70 操作部
80 表示部
100 制御装置
110 インターフェイス部
120 記憶部
121 制御プログラム
123 粒子画像
125 粒子像
130 プロセッサー
131 撮影制御部
132 粒子像切出部
133 解析処理部
134 フィルタ処理部
135 距離算出部
136 選択部
150 フィルタ範囲