(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167201
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】バルブとそれを用いた間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
F16K 41/10 20060101AFI20221027BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20221027BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F16K41/10
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072842
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】榎本 博一
(72)【発明者】
【氏名】上田 和人
【テーマコード(参考)】
3H066
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA19
3H066DA11
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA35
4F041CA03
4F041CA13
4F041CA17
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA12
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB18
4F042CB20
4F042CC30
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの摺動軸から塗工液がアクチュエータへ浸入しないバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供する。
【解決手段】第1バルブ1の第1弁体26を摺動させる第1摺動シャフト34に連結された第1摺動軸30と、第1ボイスコイルモータ7の摺動孔66の間の隙間をシールするシール体70は円筒体であって、シール体70の周面に蛇腹部88が形成されて軸方向に伸縮自在であり、シール体70の上面90は閉塞され、かつ、中央に貫通孔72が開口し、第1摺動軸30が、貫通孔72を貫通して突出し、かつ、上面90に固定され、シール体70の下面が、摺動孔66の外周部に固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体と、
アクチュエータと、
前記アクチュエータの摺動孔から突出し、前記アクチュエータによって伸縮する摺動軸と、
前記弁本体と前記アクチュエータとを連結する連結体と、
前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、
前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、
前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、
前記出口に設けられた弁座と、
前記弁座を開閉する弁体と、
前記連結体から前記空間に突出し、その一端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、
前記連結体内において、前記摺動シャフトの他端と前記摺動軸とを接続する接続部材と、
前記アクチュエータの前記摺動孔と前記摺動軸との間の隙間をシールするシール体と、
を有し、
前記シール体は筒体であって、
前記シール体の周面に蛇腹が形成されて、前記シール体は軸方向に伸縮自在であり、
前記シール体の一面は閉塞され、かつ、中央に貫通孔が開口し、
前記アクチュエータから突出した前記摺動軸が、前記シール体の前記一面にある前記貫通孔を貫通して突出し、かつ、前記貫通孔に固定され、
前記シール体の他面が、前記アクチュエータの前記摺動孔の外周部に固定されている、
ことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記シール体の前記他面には、フランジ部が外周に向かって設けられ、
前記フランジ部が前記摺動孔の前記外周部に固定されている、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
円環状の固定部材が、前記シール体の前記フランジ部に被せられ、前記摺動孔の前記外周部に固定されている、
請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記摺動軸から雄ネジ部が突出し、
前記雄ネジ部が前記シール体の前記一面にある前記貫通孔を貫通し、
前記雄ネジ部に螺合されているナットが、前記シール体の前記一面を前記摺動軸に固定している、
請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記摺動軸の一端にはリング状のシール部材が配され、
前記雄ネジ部が前記シール部材と前記シール体の上面の貫通孔を貫通し、
前記シール体の前記上面は、前記シール部材と前記ナットに挟まれた状態で摺動軸の一端に固定されている、
請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記シール部材は、シール剤によって覆われている、
請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記接続部材が、クレビスであり、
前記クレビスの雌ネジ部に、前記雄ネジ部が螺合されている、
請求項4に記載のバルブ。
【請求項8】
前記シール体は、ポリテトラフルオロエチレンである、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記シール体は、円筒体、四角筒体、又は、多角形筒体である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項10】
前記アクチュエータがボイスコイルモータである、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項11】
走行する長尺状のウエブに塗工液を塗工するダイと、
前記塗工液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された前記塗工液を圧送するポンプと、
請求項1に記載のバルブである第1バルブと、請求項1に記載のバルブである第2バルブとが組み合わされた三方弁と、
前記ポンプからの前記塗工液を前記第1バルブの前記入口に供給する圧送配管と、
前記第1バルブの前記出口から前記ダイに前記塗工液を供給する給液配管と、
前記第2バルブの前記出口から前記タンクに前記塗工液を循環させる循環配管と、
前記第1バルブの前記出口と前記第2バルブの出口を交互に開閉することによって前記ウエブに塗工区間と未塗工区間とを交互に形成する間欠塗工を行う制御部と、
を有することを特徴とする間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブとそれを用いた間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム、布帛、紙、金属箔、金属メッシュなどの長尺状のウエブに塗工液を間欠塗工するための間欠塗工装置が提案されている。
【0003】
この従来の間欠塗工装置は、バックアップロールに抱きかかえられ搬送されるウエブに、ダイを用いて未塗工区間と塗工区間とを交互に形成するために、塗工液を圧送するポンプとダイとの間にバルブを設けている。未塗工区間を形成するときは、このバルブを閉じてダイへの塗工液の供給を停止し、塗工区間を形成するときは、このバルブを開けてダイに塗工液を供給する。
【0004】
しかし、最近のリチウムイオン電池の電極部材などに使用される金属箔に、塗工液を間欠塗工する場合には、未塗工区間の長さと塗工区間の長さの精度が従来より高く要求される。そこで本出願人は先に、ボイスコイルモータを用いたバルブによって間欠塗工を行う間欠塗工装置を提案した(特許文献1参照)。
【0005】
上記のようなバルブにおいて、間欠塗工装置を使用していると、塗工液がボイスコイルモータのケーシングに浸入して、ボイスコイルモータが故障することがあった。
【0006】
そこで本出願人はこのボイスコイルモータのケーシングに塗工液が浸入しないようにするために、バルブの弁本体を移動させる摺動シャフトと、ボイスコイルモータの摺動軸と接続する接続部材に、液垂れ阻止部を設けたバルブを提案した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-47245号公報
【特許文献2】特開2020-094610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような液垂れ阻止部材を接続部材に設けたバルブであっても、この液垂れ阻止部から垂れた塗工液の一部が、摺動軸を伝ってボイスコイルモータのケーシング内部に浸入するという問題点があった。
【0009】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、アクチュエータの摺動軸から塗工液がアクチュエータへ浸入しないバルブとそれを用いた間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、弁本体と、アクチュエータと、前記アクチュエータの摺動孔から突出し、前記アクチュエータによって伸縮する摺動軸と、前記弁本体と前記アクチュエータとを連結する連結体と、前記弁本体内部に設けられた液体が流れる空間と、前記弁本体に設けられた前記液体の入口と、前記弁本体に設けられた前記液体の出口と、前記出口に設けられた弁座と、前記弁座を開閉する弁体と、前記連結体から前記空間に突出し、その一端に前記弁体が設けられた摺動シャフトと、前記連結体内において、前記摺動シャフトの他端と前記摺動軸とを接続する接続部材と、前記アクチュエータの前記摺動孔と前記摺動軸との間の隙間をシールするシール体と、を有し、前記シール体は筒体であって、前記シール体の周面に蛇腹が形成されて、前記シール体は軸方向に伸縮自在であり、前記シール体の一面は閉塞され、かつ、中央に貫通孔が開口し、前記アクチュエータから突出した前記摺動軸が、前記シール体の前記一面にある前記貫通孔を貫通して突出し、かつ、前記貫通孔に固定され、前記シール体の他面が、前記アクチュエータの前記摺動孔の外周部に固定されている、ことを特徴とするバルブである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、摺動軸とアクチュエータに開口した摺動孔との隙間は、筒体よりなるシール体によって覆われているため、摺動軸を伝って塗工液がアクチュエータ内部に流れない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態を示す間欠塗工装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の間欠塗工装置100と、それに用いられるバルブである三方弁10について
図1~
図4を参照して説明する。
【0014】
(1)三方弁10の構造
まず、間欠塗工装置100に用いられる三方弁10について
図2を参照して説明する。
【0015】
三方弁10は、第1バルブ1と第2バルブ2とを組み合わせたものである。すなわち、第1バルブ1の第1弁本体3と第2バルブ2の第2弁本体4とが横に並んで組合せられ、組合せ弁本体12を構成している。組合せ弁本体12内部には、共通の空間20が横方向に形成されている。
【0016】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の側部に、塗工液の入口14が開口している。
【0017】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の上部は円筒状に突出し、その上端部には第1出口16が開口している。
【0018】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の上部は円筒状に突出し、その上端部には第2出口18が開口している。
【0019】
共通の空間20は、塗工液の入口14と第1出口16と第2出口18とを繋いでいる。この空間20の内部であって、第1出口16の基部には、ゴム製、又はシリコン製の第1弁座22が形成され、第2出口18の基部には、ゴム製、又はシリコン製の第2弁座24が形成されている。
【0020】
第1弁座22を開閉するための第1弁体26が、第1出口16の基部内部に配されている。第2弁座24を開閉するための第2弁体28が、第2出口18の基部内部に配されている。
【0021】
組合せ弁本体12における第1弁本体3の下部には、円筒状の第1連結体5が設けられ、第1連結体5の下部には、直動式のアクチュエータである第1ボイスコイルモータ(以下、「第1VCモータ」という)7が設けられている。
【0022】
第1連結体5から第1弁本体3の空間20に上下方向に突出した第1摺動シャフト34は、その上端に第1弁体26が取り付けられている。この第1摺動シャフト34が摺動することにより、第1弁体26が第1弁座22を開閉する。第1摺動シャフト34の下端は、第1VCモータ7から突出した第1摺動軸30の上端と接続部材54を介して接続されている。第1VCモータ7の下部から下方に突出した第1摺動軸30には、第1位置センサ38が取り付けられている。この第1位置センサ38は、リニアスケールより構成され、第1摺動軸30の位置を1μm単位で検出する。
【0023】
組合せ弁本体12における第2弁本体4の下部には、円筒状の第2連結体6が設けられ、第2連結体6の下部には、直動式のアクチュエータである第2ボイスコイルモータ(以下、「第2VCモータ」という)8が設けられている。
【0024】
第2連結体6から第2弁本体4の空間20に上下方向に突出した第2摺動シャフト36は、その上端に第2弁体28が取り付けられている。この第2摺動シャフト36が上下動して摺動することにより、第2弁体28が第2弁座24を開閉する。第2摺動シャフト36の下端は、第2VCモータ8から突出した第2摺動軸32の上端と接続部材56を介して接続されている。第2VCモータ8の下部から突出した第2摺動軸32の下端には、第2位置センサ40が取り付けられている。この第2位置センサ40は、リニアスケールより構成され、第2摺動軸32の位置を1μm単位で検出する。
【0025】
(2)第1VCモータ7
次に、第1VCモータ7について
図2を参照して説明する。
【0026】
円筒型に形成された第1VCモータ7のケーシング52内部には、円筒型の鉄製のアウターヨーク42が配され、このアウターヨーク42の内周面には、リング状のマグネット44が固定されている。この円筒型のアウターヨーク42の内部には、円筒型の鉄製のインナーヨーク46が配され、アウターヨーク42とインナーヨーク46とは下面で固定されている。アウターヨーク42とインナーヨーク46との間には、間隙が設けられている。
【0027】
円筒型の非磁性のコイルボビン48が、アウターヨーク42とインナーヨーク46との間隙を軸方向に摺動自在に配されている。コイルボビン48の外周面にはコイル50が巻回され、リング状のマグネット44の位置に対応している。
【0028】
コイルボビン48の軸方向の中央部には、第1摺動軸30が貫通して固定されている。また、第1摺動軸30は、円筒型のインナーヨーク46も摺動自在に貫通し、リニアスケールよりなる第1位置センサ38まで延びている。
【0029】
第1VCモータ7の動作状態について説明する。
【0030】
コイルボビン48のコイル50に直流電流を流すことにより、リング状のマグネット44の間に磁界が発生し、ファラデーの法則により、コイルボビン48が第1摺動軸30と共に軸方向に移動する。この軸方向に移動する第1摺動速度v1は、コイル50に流す直流電流の強さによって決定される。また、第1摺動軸30をどの位置まで移動させるかは、第1位置センサ38で第1摺動軸30の位置を検出し、所定の位置まで第1摺動軸30が移動すると、コイル50に流れる直流電流を切り、第1摺動軸30の摺動を停止させる。
【0031】
第2VCモータ8も、第1VCモータ7と同様の構造を有し、同様の動作を行う。
【0032】
(3)第1摺動シャフト34の摺動構造
次に、第1バルブ1の第1摺動シャフト34の摺動構造について
図2~
図4を参照して説明する。
【0033】
図2と
図3に示すように、第1バルブ1の第1出口16の下方における組合せ弁本体12の下部からは、筒突部94が下方に突出している。この筒突部94の上面、すなわち共通の空間20との接触面には、円形の開口部96が開口している。
【0034】
図3に示すように、この筒突部94の下端には、筒状の第1連結体5が連結されている。筒状の第1連結体5の本体である筒体58の上端の外周には上フランジ部98が設けられ、筒突部94の下端と不図示のボルトにより固定されている。
図3に示すように、筒突部94の内側には、円柱状の支持部60が収納されている。この支持部60の軸方向には、支持貫通孔62が設けられている。
【0035】
図3に示すように、第1連結体5の筒体58の上部であって、支持部60の下方には、円柱型の滑り軸受64が収納されている。滑り軸受64の中心軸には、第1摺動シャフト34が貫通し、さらにこの第1摺動シャフト34は支持部60の支持貫通孔62を貫通し、円形の開口部96から突出している。この第1摺動シャフト34の上端には、第1弁体26が取り付けられている。
図3に示すように、第1摺動シャフト34の下端は、滑り軸受64の下部から突出している。この第1摺動シャフト34の下端は、クレビスよりなる接続部材54に取り付けられている。
【0036】
図3と
図4に示すように、第2VCモータ8の円筒型のケーシング52の上面の中央には、摺動孔66が開口し、この摺動孔66から第1摺動軸30が軸方向に突出している。この第1摺動軸30の上端部には、第1摺動軸30よりもやや径が小さい雄ネジ部68が同軸に突出している。
【0037】
図3と
図4に示すように、接続部材56は、円柱状のクレビスよりなる。接続部材56の上部は、U字状の凹部76を有している。第1摺動シャフト34の下端は先細りとなり、凹部76に嵌まり込み、クレビスピン78によって回転自在に接続部材56の上部に固定されている。接続部材56の下部には、雌ネジ部82が刻設されている。
図3と
図4に示すように、第1摺動軸30の雄ネジ部68は、接続部材54の雌ネジ部82に螺合し、接続部材54の下方からナット80によって固定されている。このナット80は、雄ネジ部68と螺合している。
【0038】
図3と
図4に示すように、第1連結体5の筒体58の下端には、下フランジ部74が形成され、ケーシング52の上部にボルトによって固定されている。
【0039】
図3と
図4に示すように、ケーシング52から突出した第1摺動軸30には、シール体70が取り付けられている。このシール体70は、円筒形であり、その上面90は閉塞され、第1摺動軸30が貫通できる貫通孔72が上面90の中央に開口している。また、円筒型のシール体70の下端には、リング状のフランジ部84が外方に向かって設けられている。さらに、このシール体70の周面は蛇腹状(ベローズ状)に形成され、シール体70の軸方向に伸縮自在となっている。このシール体70は、例えばポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))により形成されている。
【0040】
図4に示すように、第1連結体5の筒体58の下端にある下フランジ部74は、シール体70のフランジ部84を上方から被さるようにして取り付けられ、不図示のボルトによってケーシング52に固定されている。このとき、第1摺動軸30の上端にはワッシャ(リング状のシール部材)86が配され、雄ネジ部68がこのワッシャ86とシール体70の上面90の貫通孔72を貫通している。雄ネジ部68はナット80と螺合しつつ、接続部材54の雌ネジ部82に螺合している。そして、シール体70の上面90は、ワッシャ86とナット80に挟まれた状態で、第1摺動軸30の上端に固定される。
【0041】
図3と
図4に示すように、シール体70は、下面が筒体58の下フランジ部74によって上下動できないように完全に固定され、上部がワッシャ86とナット80によって挟まれるように第1摺動軸30に固定されているため、第1摺動軸30の上下方向の移動に伴って、シール体70の周面にある蛇腹部88が伸縮する。また、接続部材54を介して第1摺動軸30には第1摺動シャフト34が取り付けられているため、第1摺動軸30の上下動によって第1摺動シャフト34も上下動する。これによって第1弁体26が第1出口16を開閉する。
【0042】
さらに、
図4に示すように、第1摺動シャフト34から伝ってきた塗工液が第1摺動シャフト34の下端まで流れ、接続部材54の位置に達しても、第1摺動軸30と、摺動孔66との隙間は、シール体70によって覆われているため、ケーシング52内に塗工液が浸入しない。特に、シール体70の上面90に開口した貫通孔72と第1摺動軸30との隙間は、ナット80とシール部材を兼ねたワッシャ86によって挟まれて覆われているため、この部分から塗工液が入ることがない。なお、リング状のシール部材としては、ワッシャ86に代えて、金属製のリング部材を用いてもよい。また、シール性をより高めるために、第1摺動軸30の上端に
第2バルブ2に設けられている第2連結体6も同様の構造を有している。
【0043】
(4)間欠塗工装置100の構成
次に、間欠塗工装置100の構成について
図1を参照して説明する。リチウムイオン電池の電極部材の材料となる長尺状のウエブ(例えば、金属箔)Wが、バックアップロール102によって抱きかかえられて所定の走行速度Vで走行する。このバックアップロール102の側方には、ウエブWに塗工液を間欠塗工するためのダイ104が水平に配されている。このダイ104内部には、液溜め部106が設けられ、この液溜め部106からスリット108を経てダイ104の吐出口109に至る。バックアップロール102の前後には、ウエブWを案内する案内ロール130と案内ロール132が回転自在に設けられている。ダイ104の吐出口109とバックアップロール102を走行するウエブWとの間隙であるギャップgを調整するために、ダイ104、又は、バックアップロール102が不図示のエアーシリンダで水平方向に移動自在に支持されている。
【0044】
図1に示すように、塗工液を貯留するためのタンク110が設けられている。タンク110には、吸引配管113を介して塗工液を定量で圧送する定量ポンプ112が設けられている。定量ポンプ112は、ポンプモータ114によって駆動する。定量ポンプ112と三方弁10の入口14との間には圧送配管116が設けられている。定量ポンプ112は、単位時間当たり一定量の塗工液を圧送配管116を介して三方弁10へ圧送する。
【0045】
図1に示すように、三方弁10の第1出口16には、給液配管118の一端部が接続され、この給液配管118の他端部は、ダイ104の塗工液入口120に接続されている。三方弁10の第2出口18には、循環配管122の一端部が接続され、この循環配管122の他端部は、タンク110の内部に設けられている。また、この循環配管122の途中には、絞り弁124が設けられている。
【0046】
(5)間欠塗工装置100の電気的構成
間欠塗工装置100の電気的構成について
図1を参照して説明する。
【0047】
コンピュータよりなる制御部126には、バックアップロール102を回転させるための走行モータ128、定量ポンプ112を駆動させるポンプモータ114、三方弁10の第1VCモータ7、第2VCモータ8、第1位置センサ38、第2位置センサ40がそれぞれ接続されている。
【0048】
(6)間欠塗工装置100の動作状態
次に、間欠塗工装置100を用いてウエブWに塗工区間L1と未塗工区間L2を形成する間欠塗工を行う動作について
図1~
図2を参照して説明する。
【0049】
図1に示すように、作業員はタンク110に塗工液を入れて満杯にし、ダイ104の吐出口109とウエブWとの間隙であるギャップgを基準ギャップg0に設定し、ウエブWを走行速度Vで走行させる。
【0050】
図1に示すように、ウエブWに塗工区間L1の形成を開始する場合、制御部126は、三方弁10の第1出口16を開状態にし、第2出口18を閉状態にして、定量ポンプ112によってタンク110から塗工液を圧送し、三方弁10を経て、ダイ104に塗工液を圧送する。ダイ104に圧送された塗工液は、液溜め部106からスリット108を経て吐出口109において塗工液を走行するウエブWに塗工される。
【0051】
このときに制御部126は、第1摺動シャフト34を第1基準摺動速度v0で移動させて、第1出口16を開状態にし、同時に第2出口18を閉状態にして、ウエブWに塗工液の塗工を開始する。第1摺動シャフト34の第1弁体26を開状態にするときの摺動停止位置は、第1位置センサ38によって検出し、予め決められた所定位置まで第1摺動シャフト34が上昇すると、制御部126は、第1VCモータ7のコイル50に流す直流電流を切り、第1摺動シャフト34の摺動を停止させる。また、制御部126は、第2出口18を閉状態にする場合に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第1摺動シャフト34の第1基準摺動速度v0と同じにするか、又は少し遅くして下降させる。これにより、第1出口16が開状態になったとき、第2出口18が閉状態になるときの圧力変化の影響を塗工部分が受けることがなく、塗工区間L1の始端に盛上り部分が形成されない。なお、第2摺動シャフト36を閉状態にするときの摺動停止は、第2弁体28が第2弁座24に当たると停止させる。
【0052】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの塗工区間L1の長さを測定し、塗工を続ける。
【0053】
次に、
図2に示すように、制御部126は、塗工区間L1の塗工が終了した場合には、第1出口16を閉状態にし、同時に第2出口18を開状態にする。制御部126が第1出口16を閉状態にする第1摺動シャフト34の第1摺動速度v1を第1最大摺動速度v1maxで行う。一方、制御部126は、第2VCモータ8のコイル50に流す直流電流の強さを制御して、第2出口18を開状態にする場合も同様に、第2摺動シャフト36の第2摺動速度v2を第2最大摺動速度v2maxで行う。このように制御する理由は、塗工液の吐出が時速に終了すればするほど、塗工区間L1の終端がエッジ状になって盛上がるのを防止でき、そして、塗工液の吐出を迅速に終了させるには、第1摺動シャフト34を最も速く摺動させて第1弁体26を閉状態にする必要があるからである。なお、第1摺動シャフト34を閉状態にするときの摺動停止は、第1弁体26が第1弁座22に当たると停止させる。また、第2摺動シャフト36を開状態にするときの摺動停止位置は、第2位置センサ40によって検出し、第2摺動シャフト36の摺動を停止させる。これによって、塗工区間L1の終端の盛上りを防止でき、また、塗工区間L1長さを予め決められた長さに正確に塗工できる。
【0054】
次に、制御部126は、走行速度VからウエブWの未塗工区間L2の長さを測定し、未塗工区間L2の形成する。未塗工区間L2を形成している場合には、三方弁10の第1出口16が閉状態であり、第2出口18が開状態であるため、定量ポンプ112から圧送された塗工液は、循環配管122によって、タンク110に循環する。この循環量は絞り弁124によって決定する。
【0055】
次に、制御部126は、未塗工区間L2の形成が終了すると、上記と同様の制御によって三方弁10の第1出口16を再び開状態にし、第2出口18を再び閉状態にして、ウエブWに塗工区間L1の塗工を開始する。
【0056】
(7)効果
本実施形態によれば、塗工液が組合せ弁本体12の開口部96から漏れて第1摺動シャフト34を伝って第1連結体5に浸入して接続部材54に至っても、シール体70が存在するため、塗工液が第1摺動軸30を伝って、摺動孔66と第1摺動軸30の隙間から第1VCモータ7のケーシング52内部に浸入することを防止でき、第1VCモータ7が故障しない。
【0057】
また、シール体70の上面90に開口した貫通孔72と第1摺動軸30との隙間は、ナット80とシール部材を兼ねたワッシャ86によって挟まれて覆われているため、この部分から塗工液が入ることがない。
【0058】
また、シール体70は、その周面が蛇腹部88に形成されているため、第1摺動軸30の上下動と共に伸縮し、第1VCモータ7の動作を妨げない。
【0059】
また、シール体70は、テフロン(登録商標)で形成されているため、塗工液に有機溶媒が含まれていても浸食されて穴が開いたり破損したりしない。
【0060】
また、第2VCモータ8についても同様にそのケーシング52内部に塗工液が浸入せず、故障しない。
【0061】
(8)変更例
上記実施形態では直動式のアクチュエータとしてボイスコイルモータを用いたが、これに限らず他の装置、例えば、エアーシリンダなどを用いてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では接続部材56としてクレビスを用いたが、このクレビスに代えて、接続部材56で第1摺動軸30と第1摺動シャフト34を直結してもよい。
【0063】
また、上記実施形態ではシール体70をテフロン(登録商標)で形成したが、これ以外の材料で形成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態ではシール体70は、円筒体であったが、これに代えて四角筒体、又は、多角形筒体でもよい。
【0065】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・第1バルブ、2・・・第2バルブ、3・・・第1弁本体、4・・・第2弁本体、5・・・第1連結体、6・・・第2連結体、7・・・第1ボイスコイルモータ、8・・・第2ボイスコイルモータ、10・・・三方弁、30・・・第1摺動軸、32・・・第2摺動軸、34・・・第1摺動シャフト、36・・・第2摺動シャフト、54・・・接続部材、56・・・接続部材、66・・・摺動孔、68・・・雄ネジ部、70・・・シール体、72・・・貫通孔、80・・・ナット、84・・・フランジ部、86・・・ワッシャ、88・・・蛇腹部、90・・・上面、100・・・間欠塗工装置、102・・・バックアップロール、104・・・ダイ