(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167213
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】硬化性人工爪組成物
(51)【国際特許分類】
A45D 31/00 20060101AFI20221027BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20221027BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A45D31/00
A61Q3/00
A61K8/81
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072869
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】390039734
【氏名又は名称】株式会社サクラクレパス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 拓昭
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC28
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の特性を有し、さらに硬化時上昇温度が低く塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物を得ること。
【解決手段】硬化時上昇温度が23℃以下であり、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である硬化性人工爪組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化時上昇温度が23℃以下であり、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である硬化性人工爪組成物。
【請求項2】
硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量が0質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性人工爪組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施したりするネイルアートの人気が高まっている。また、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強のために、爪の上に人工爪を形成することが行われている。
このような爪の装飾や補強のためには、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料が爪に塗布されている。
【0003】
最近、爪の装飾又は補強のために使用される材料としては、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。ジェルネイルは、光硬化性のジェル状爪被覆材料(光硬化性人工爪組成物)であって、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリル系モノマーを含むものが知られている。ジェルネイルは、爪に塗布し、紫外線を照射して硬化することで、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
【0004】
これまで、ジェルネイル等の硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の観点からの検討が主に進められてきた。これまでの光硬化性人工爪組成物は、光硬化性化合物が光重合し硬化塗膜を形成する際に発生する硬化熱(重合熱)に起因する、硬化時上昇温度について詳細に検討されていない。そして、硬化時上昇温度により、使用者に熱感や不快感を与えるおそれがあった。
このため、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の特性を有し、さらに硬化時上昇温度が低い硬化性人工爪組成物へのニーズが存在する。
【0005】
ジェルネイルの光重合時に発生する硬化時上昇温度について、これまで以下の検討がなされている。
特許文献1には、ウレタンアクリレートオリゴマーと、ヒドロキシエチルアクリルアミド及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートを少なくとも含むモノマー成分と、光重合開始剤と、ポリマー成分とを含有するオートネイル用ベースコート組成物が記載されている。この組成物は、硬化時の熱が、大中小の3段階で感応評価されているが、具体的な温度については不明である。
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、多官能チオール化合物、ラジカル重合性化合物、光重合開始剤及び連鎖移動剤を含有する光硬化性人工爪組成物が記載されている。この組成物は、硬化時上昇温度について、「感じる」、「僅かに感じる」、「熱痛みとして感じる」の3段階で感応評価されているが、具体的な温度については不明である。
これら特許文献1及び2には、硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度の感応評価が行われているだけであり、硬化時上昇温度の範囲を特定の範囲に制御するとともに硬化性人工爪組成物の組成面から硬化時上昇温度の制御を行うことについて、記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-80129号公報
【特許文献2】特開2019-6689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の特性を有し、さらに硬化時上昇温度が低く塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
項1:硬化時上昇温度が23℃以下であり、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である硬化性人工爪組成物。
項2:硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量が0質量%以上30質量%以下である、項1に記載の硬化性人工爪組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等の特性を有し、さらに硬化時上昇温度が低く塗布作業性に優れるという顕著な効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の硬化性人工爪組成物について説明する。
本発明の硬化性人工爪組成物は、エネルギーを付与することで硬化する。例えば、紫外光(UV)等の光照射により硬化する光硬化性人工爪組成物があげられるが、特に限定されない。
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化時上昇温度が23℃以下であり、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である硬化性人工爪組成物である。さらに、本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量が0質量%以上30質量%以下にできる。
本発明者は、硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度が23℃以下とすることで、硬化性人工爪組成物を塗布後に光(紫外線)照射等により硬化する際、使用者に熱感や不快感を与えることがないことを見出した。また、硬化時上昇温度が23℃以下である場合において、硬化性人工爪組成物の25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である場合、塗布作業性に優れた硬化性人工爪組成物にできることを見出した。さらに、硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を0質量%以上30質量%以下とすることにより、硬化時上昇温度を低くでき、25℃での粘度を好適な範囲とし得ることを見出した。
本発明の硬化性人工爪組成物が、硬化時上昇温度を小さくできる機構等は不明であるが、本発明者は、次のように推察している。
メタクリロイル基は、アクリロイル基よりかさ高い分子構造を有し、立体障害を起こしやすいため反応性が低くなる。それに伴い、分子運動性が低下し、ガラス転移温度(Tg)が高くなり、反応初期でも連続層の流動性が下がることとなる。連続層の流動性が下がることで、反応に寄与するラジカルの自由度が低下し、結果的に反応性が低くなるため、硬化時上昇温度を低減できる。なお、本発明は、この推察に限定されるものではない。
【0011】
[硬化時上昇温度]
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度は、23℃以下である。
硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度は、後述の実施例で挙げた方法により求めることができる。硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度は、23℃以下であり、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは15℃以下である。硬化時上昇温度が23℃を超えると、使用者が爪の上に熱感を強く感じることとなり、不快感を持つおそれがある。
硬化時上昇温度の下限については特に限定されないが、例えば0℃以上であり、好ましくは5℃以上である。0℃未満であると、使用者が爪の上に冷気を強く感じることとなり、不快感を持つおそれがある。
【0012】
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化時上昇温度が23℃以下で硬化性を有するものであれば、その組成は特に限定されない。硬化させる際の手段としては、硬化性組成物に効果を起こさせるエネルギーを付与し得る手段であれば特に限定されない。例えば、光や紫外線等のエネルギー線照射等が挙げられる。
本発明者は、反応性が高い化合物、特に光反応性が高い化合物は、光照射等により硬化(重合)する際に、熱を発生しやすい傾向にあり、硬化時上昇温度が高くなることを見出した。したがって、アクリロイル基含有重合性化合物(アクリレート化合物)等の比較的反応性の高い化合物を使用しないか、硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を少なくするか、硬化性人工爪組成物中のアクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を少なくすることで、硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度を制御することが可能である。
【0013】
本発明の硬化性人工爪組成物は、例えば、アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、及び重合開始剤を含み、任意にその他の成分を含んでいてもよい硬化性人工爪組成物により構成できる。
アクリロイル基含有重合性化合物、メタクリロイル基含有重合性化合物、重合開始剤、及びその他の成分としては、硬化性人工爪組成物に使用し得るものであれば特に限定されない。
硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を30質量%以下と少なく、好ましくは29質量%以下とすることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。
また、アクリロイル基含有重合性化合物について、硬化性人工爪組成物中のアクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の合計100質量%に対して、その含有量を少なく、例えば20質量%以下、好ましくは15質量%以下。より好ましくは12質量%以下とし、比較的反応性が低いメタクリロイル基含有重合性化合物の使用量を多くすることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。
さらに、比較的重合度の高い(重量平均分子量の大きい)アクリロイル基含有重合性化合物及び/又はメタクリロイル基含有重合性化合物を用いることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。
【0014】
アクリロイル基含有重合性化合物としては、アクリレートオリゴマー及びアクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
メタクリロイル基含有重合性化合物としては、メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーからなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
以下、アクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、メタクリレートオリゴマー及びメタクリレートモノマーについて詳細に説明する。
本明細書においては、アクリレートオリゴマー及びメタクリレートオリゴマーを、「(メタ)アクリレートオリゴマー」とし、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーを、「(メタ)アクリレートモノマー」とする場合がある。
【0015】
((メタ)アクリレートオリゴマー)
(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するオリゴマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは2~8個である。
(メタ)アクリロイル基の数は、赤外吸収分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)等を用いて分析することによって確認できる。
【0016】
(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000~100,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~20,000である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上できる。
【0017】
(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されないが、例えば、
主骨格(主鎖)にウレタン結合、エポキシ基の開環反応によって生じる結合、エステル結合、エーテル結合、ウレア結合、カーボネート結合、アミド結合からなる群より選ばれる1種類以上を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、
主骨格(主鎖)がスチレン系、(メタ)アクリル系、オレフィン系、ジエン系モノマーからなる群より選ばれる1種類以上のモノマーの重合により分子鎖を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、
等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
これらのうち、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(ウレタン結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル(メタ)アクリレートオリゴマー(エステル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)、エーテル(メタ)アクリレートオリゴマー(エーテル結合を主骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー)等からなる群より選ばれる1種類以上を用いると、密着性等の点で有利である。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販品または合成品のいずれを使用してもよい。また、本発明においては、硬化性樹脂組成物及び/又はその硬化塗膜の爪密着性や耐久性等の観点から、1種類以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいることが好ましい。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレートオリゴマー以外のオリゴマーと混合して用いることもできる。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によりイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを形成し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに対し、分子内に活性水素含有基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等)を反応させる等により合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、AH-600、AT-600、UA-306H、UF-8001G(共栄社化学社製)や、RUA-071、RUA-003VE、RUA-075、RUA-048(亜細亜化学工業社製)、SUA TH1(ケーエスエム社製)、UV-3310B(三菱ケミカル社製)、UN-9000PEP、UN-9200A、AU-2040(トクシキ社製)、KUA-PC2I(ケーエスエム社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを硬化性人工爪組成物に使用すると、伸縮性、密着性、強度に優れる硬化塗膜を得ることができる。
本発明にて使用できる1種類以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、非芳香族系ポリエーテル骨格、芳香族系ポリエーテル骨格、非芳香族系ポリカーボネート骨格、芳香族系ポリカーボネート骨格、非芳香族系ポリエステル骨格、及び芳香族系ポリエステル骨格からなる群より選ばれる1種類以上を有するものから選択して使用できる。中でも非芳香族系ポリエーテル骨格や(非)芳香族系ポリカーボネート骨格の1種類以上を有するものが好ましい。
【0020】
例えば、非芳香族系ポリエーテル骨格の1種類以上を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、イソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーに、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
ここで、イソシアネート基含有ポリエーテルウレタンプレポリマーは、炭素数3以上のアルキレン基を有するポリオール化合物と、ポリイソシアネートとを反応させたもので、例えば、重量平均分子量が400~30,000のものである。ポリオール化合物としては、ポリプロピレンポリオールが好ましい。ポリイソシアネートとしては、非芳香族系ポリイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、ビューレット化物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0021】
エポキシ基の開環反応によって生じた分子鎖を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、多官能エポキシ樹脂に対して、エポキシ基と反応する官能基を有する(メタ)アクリレートを反応させることによって合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、EBECRYL 1259、605、1606(ダイセル・サイテック社製)、EPOXY ESTER 3000A、3000MK、3002A(N)、3002M(N)、40EM(共栄社化学社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
エステル結合を有するエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールと多価カルボン酸との反応により得られたエステル系オリゴマーが有するカルボキシル基及び/又は水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び/又は(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を有するアクリル化合物を付加することにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、アロニックス(登録商標)M-6100、M-6200、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亞合成社製)や、UV-3500BA、UV3520TL、UV-3200B、UV-3000B(三菱ケミカル社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
エーテル結合を有するエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、脂肪族系のポリエーテルポリオールの水酸基や、ビスフェノール等を原料とする芳香族系のポリエーテルポリオールの水酸基に対し、分子内に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、及び、分子内にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等からなる群より選ばれる1種類以上を付加させることにより合成できるが、この方法に限定されるものではない。
市販品は、例えば、UV-6640B、UV-6100B、UV-3700B(三菱ケミカル社製)、ライトアクリレート(登録商標)3EG-A,4EG-A、9EG-A、14EG-A、PTMGA-250、BP-4EA、BP-4PA,BP-10EA、ライトエステル4EG、9EG,14EG(共栄社化学社製)、EBECRYL(登録商標)3700(ダイセル・サイテック社製)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000~100,000、好ましくは2,000~30,000、より好ましくは3,000~20,000である。重量平均分子量の範囲をこのような範囲とすることで、低粘度を保持しつつ、硬化塗膜の耐久性を向上できる。
【0025】
((メタ)アクリレートモノマー)
(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するモノマーであれば、特に制限されない。一分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数は特に制限されないが、硬化性人工爪組成物の硬化性、硬化塗膜の硬度等の観点から、1~10個、好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個である。
本発明では、(メタ)アクリレートモノマーとして、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上を用いることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーより選ばれる1種類以上との混合物を用いることが好ましい。
【0026】
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物;アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-tert-オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジドデシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクタデシル(メタ)アクリルアミドN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基含有アミド化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(2-イソブチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-エチル-2-メチル-1,3-ジオキソラン-4イル)メチル(メタ)アクリレート、(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカン-2イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラフルフリルアルコールオリゴ(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ-ト、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリアジントリ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルオキシスクシンイミド、N-(メタ)アクリルオキシフタルイミド等の複素環含有(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0027】
これらの(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
【0028】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(イソピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)等)、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレートモノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレートモノマー;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等のポリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の(メタ)アクリレート基を4個以上有する(メタ)アクリレートモノマー;等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0029】
これらの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーのうち、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、下記式;
【化1】
で表されるプロポキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等からなる群より選ばれる1種類以上を使用することが好ましい。
【0030】
本発明者の知見によると、硬化性人工爪組成物において、硬化時上昇温度は、(メタ)アクリロイル基とラジカルとが反応することにより発生する。そのため、(メタ)アクリレートオリゴマー等の重合度が大きい(重量平均分子量が大きい)成分を用いると、単位質量当たりの(メタ)アクリロイル基の数が少なくなり、単位質量当りの反応部位が少なくなるため、硬化時上昇温度を制御する(低減する)ことが可能となる。一方で、多官能(メタ)アクリレートを用いると、硬化時上昇温度が高くなる傾向がある。
すなわち、(メタ)アクリレートオリゴマーの重合度を大きくする、含有量を増やすことにより、硬化時上昇温度を低くすることができ、多官能(メタ)アクリレートを用いる、分子量の低い(メタ)アクリレートの含有量を増やすことにより、硬化時上昇温度を高くできる。
【0031】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合性化合物の含有量は、70~99.5質量%、好ましくは80~99.5質量%である。また、アクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の含有量は、硬化性人工爪組成物の重合性化合物全量に対して0~100質量%、好ましくは10~100質量%、さらに好ましくは20~100質量%である。
本発明の硬化性人工爪組成物において、(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、硬化性人工爪組成物の重合性成分全量に対して0~100質量%、好ましくは30~90質量%、さらに好ましくは40~80質量%である。
本発明の硬化性人工爪組成物において、(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、硬化性人工爪組成物の重合性成分全量に対して0~100質量%、好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは20~60質量%である。
【0032】
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化性組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有量を少なく、例えば30質量%以下、好ましくは29質量%とすることで、硬化時上昇温度を制御することができ、23℃以下にできる。
本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化性人工爪組成物中のアクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の合計100質量%に対するアクリロイル基含有重合性化合物の含有量を特定の範囲とすることにより、硬化時上昇温度を低くできる。
また、本発明の硬化性人工爪組成物は、硬化性人工爪組成物中のアクリロイル基含有重合性化合物及びメタクリロイル基含有重合性化合物の合計100質量%に対するアクリロイル基含有重合性化合物の含有量を特定の範囲とするとともに、メタクリロイル基含有重合性化合物の重量平均分子量を制御することにより、硬化時上昇温度を低くできる。
これらにより、本発明の硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度は、例えば、23℃以下、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下にできる。
【0033】
<重合開始剤>
重合開始剤は、光(例えば、紫外光)や熱の照射等によりエネルギーが与えられることで、ラジカルを発生するものである。例えば、アシルフォスフィンオキシド系、α-ヒドロキシアルキルフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシッドエステル系、α-アミノアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、チタノセン系、キノン系、過酸化物系、アゾ系、過硫酸塩系等からなる群より選ばれる1種類以上の重合開始剤があげられる。
例えば、光重合開始剤を用いると、硬化性人工爪組成物に対して、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射した場合であっても、良好な硬化性を付与できる。
【0034】
例えば、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤は、一般的に用いられるUV-LED光源から発せられる365~405nmの波長の紫外線の照射によりラジカルを発生する。このため、UV-LED光源を含む各種の光源を用いて光を照射して硬化させる場合であっても、良好な硬化性を硬化性組成物に付与できる。さらに、UV-LED光源を用いて光を照射して硬化させる場合には、硬化塗膜の黄変を防止できる。
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
特に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドは、皮膚コンディショニング剤としても機能することから、本発明において好ましく用いることができる。
【0035】
アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤以外の重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE184)、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド、フルオロチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、イソフタルフェノン、フェニルグリオキシ酸メチル、ブチルアントラキノンエチルアントラキノン、フェナントレンキノン、カンファーキノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2′-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2′-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジサクシニックアシッドパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキサイドパレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジーt-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、ジセチルパーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0036】
本発明においては、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることが好ましく、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤とα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることが好ましい。また、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及び過酸化物系重合開始剤を含む重合開始剤を用いることもできる。
【0037】
本発明の硬化性人工爪組成物において、重合開始剤の含有量は、硬化性人工爪組成物の構成成分全量に対して0.05~20.0質量%、好ましくは0.05~18.0質量%、より好ましくは0.07~16.0質量部、さらに好ましくは0.1~15.0質量%である。含有量が20.0質量%を超えると、硬化塗膜の分子量が低下し硬化塗膜が脆くなるおそれがあり、また、硬化性人工爪組成物の硬化塗膜が黄変(黄ばみ)するおそれがある。含有量が0.05質量%未満であると、硬化性人工爪組成物の硬化に時間がかかるおそれがあり、また、硬化不良となるおそれがある。
【0038】
<その他成分>
硬化性人工爪組成物には、粘度や使用性、硬化塗膜の耐久性などに悪影響を与えない範囲で各種の添加剤を配合できる。そのような添加剤としては、例えば、樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマー以外のラジカル重合性不飽和基含有化合物、着色剤、多官能チオール化合物、ポリオール化合物、香料、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、第3級アミン等の重合促進剤、連鎖移動剤、充填剤、表面張力調整剤、重合禁止剤、溶剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、低応力化剤、防腐剤、抗菌剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0039】
樹脂としては、重合性ではなく、ポリオール化合物でもない樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂、芳香族オレフィン系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、コアシェルポリマー、グラフト系樹脂、ブロック系樹脂等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
【0040】
(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリレートモノマー以外のラジカル重合性不飽和基含有化合物は、(メタ)アクリロイル基以外のラジカル重合しうる不飽和基を有する化合物である。ラジカル重合しうる不飽和基は、炭素-炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基等があげられる。
例えば、アリルグリシジルエーテル、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン、酢酸ビニル等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0041】
着色剤は、顔料、光輝材、染料からなる群より選ばれる1種類以上があげられ、任意の量用いて、硬化性人工爪組成物に所望の色調を付与する。特に、爪用被覆材に使用されている無機顔料、光輝材、有機顔料及び染料からなる群より選ばれる1種類以上であって、紫外線照射(光照射)等による硬化を大きく阻害しないものである。
硬化前の硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
【0042】
着色剤としては、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号-(1)、黄色202号-(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号-(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号-(1)、赤色105号-(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号-(1)、赤色230-(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、カーボンブラック、金属粉、金属フレーク、金属酸化物フレーク、ガラスフレーク等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0043】
多官能チオール化合物は、硬化性人工爪組成物の硬化性調整剤、架橋剤及び粘度調整剤として配合される。また、多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に配合することで、硬化塗膜を拭き取って除去する際の拭き取り性を向上させることができる。
多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール化合物の水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得られたもの等があげられる。例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
多官能チオール化合物を硬化性人工爪組成物に含有させる場合には、好ましくは1.0~10.0質量%となるように含有させることができる。
【0044】
ポリオール化合物は、硬化性人工爪組成物の希釈剤、密着性向上剤としての機能を有している。ポリオール化合物としては、例えば、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
【0045】
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等からなる群より選ばれる1種類以上のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等からなる群より選ばれる1種類以上の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100~100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100~100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100~100,000が好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開館重合により得られるポリエーテルポリオールがあげられる。
【0046】
重合禁止剤は、例えば、キノン化合物、サリチル酸ヒドラジド、トコフェロール化合物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
重合禁止剤を硬化性人工爪組成物に含有させる場合には、硬化性人工爪組成物全体に対して500~5000ppm、好ましくは1000~4500ppmとなるように配合できる。
【0047】
溶剤は、希釈により塗布時の粘度を調整し得るものであれば、特に限定されない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類:プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等からなる群より選ばれる1種以上があげられる。
【0048】
<硬化性人工爪組成物の用途・物性等>
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜は、基材に対する密着性に優れ、基材への密着性が長期間持続し、適度な硬さを有している。
本発明の硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュアのように、爪の表面に被覆を行うための組成物であり、使用者自身の爪の表面を、必要に応じてサンディングする等して凹凸を設けた表面に被覆してもよい。特にジェルネイルとして好適に使用でき、例えば、使用者の爪に直接塗布されるベースコート層、該ベースコート層の上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコート層のいずれにも使用できる。
なお、カラーコートとして用いる場合は、着色剤を用いて、ソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に調色して用いることができる。
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜を形成する際には、ラジカル重合性の硬化性組成物を硬化させる際に用いるのと同様の設備、例えば、一般の紫外線硬化用の設備やマニキュア硬化用の設備を用いることができる。
【0049】
本発明の硬化性人工爪組成物の硬化塗膜は、酸素による重合阻害等を原因とする未重合の硬化性成分の含有量が抑制されているため、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて拭き取る工程が不要である。
本発明の硬化性人工爪組成物は、いずれの層に用いても、長期間(例えば、硬化後少なくとも2週間)硬化塗膜が欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生することを抑制できる。
【0050】
本発明の硬化性人工爪組成物は、25℃での粘度が0.1Pa・s以上60.0Pa・s以下である。好ましくは0.5Pa・s以上、より好ましくは0.7Pa・s以上であり、好ましくは50.0Pa・s以下、より好ましくは40.0Pa・s以下である。このような粘度範囲とすることで、筆やインクジェット等の塗布器具による塗布作業性に優れる硬化性人工爪組成物にできる。
【0051】
<硬化性人工爪組成物を用いた爪の被覆>
本発明の硬化性組成物を用いて被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でもよい。
本発明の硬化性人工爪組成物を、爪又は爪に設けられた(未)硬化塗膜の上に塗布して被覆する際、塗布面にサンディングを施してもよく、施さなくてもよい。硬化性人工爪組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、筆等の塗布具や、インクジェット等の塗布方法を用いることができる。
本発明の硬化性人工爪組成物は、ジェルネイルにおける、ベースコート層(ジェルベース;下地層)、中間層(カラー層)又はトップコート層のいずれとしても用いることができる。特に、基材に対する密着性が優れていることから、ベースコート層(ジェルベース;下地層)として用いることが好適である。
本発明の硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を、硬化性人工爪組成物の塗膜表面に付着させ、意匠性を高めることも可能である。
【0052】
また、シートの片面に、爪等の形状を有する層を本発明の未硬化の硬化性人工爪組成物を用いて作製し、この層を爪表面と接触(転写)させた後に、シートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化させることもできる。
シート表面に予め硬化性人工爪組成物を用いて層を設け、これを転写する方法によれば、筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能であり、た、使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
【0053】
塗布後の硬化性人工爪組成物の硬化手段については、硬化性人工爪組成物にエネルギーを付与し得る手段であれば、特に限定されない。例えば、紫外線等の光を照射することで硬化させる際には、公知の紫外線硬化用の装置を用いられる。硬化性人工爪組成物の組成によって、硬化に必要なエネルギー量は異なるものの、例えば、紫外線等の光照射により硬化する際には、光照射による照射エネルギー(積算光量)は、例えば5mJ/cm2以上、好ましくは10mJ/cm2以上であり、例えば1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下である。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
光を照射する際の光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。 その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
【実施例0054】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は質量部を意味する。
【0055】
<実施例1~11、比較例1~9>
表1及び表2に示す成分を、表1及び表2に示す量比(質量部)となるように容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ50℃に加温し撹拌した。撹拌後80℃で2時間静置し脱泡し、硬化性人工爪組成物を得た。これらの工程は、全て遮光下にて行った。
【0056】
表1及び表2中の成分は、それぞれ以下のとおりである。
(オリゴマー)
PUA-1:ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリカーボネートジオールから得られるポリエーテルポリウレタンメタクリレート
PUA-2:ヒドロキシエチルメタクリレート、イソホロンジイソシアネート及びポリプロピレングリコール(PPG#2000)から得られるポリエーテルポリウレタンメタクリレート
(非反応性高分子)
PU1:ポリウレタン樹脂
(重合開始剤)
HCPK:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
TBPB:tert-ブチルベンゾイルペルオキシド
(添加剤)
SiO2:ジメチルジクロロシラン表面処理疎水性ヒュームドシリカ(AEROSIL R972;日本アエロジル社製)(レオロジー調整剤)
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤)
EL:乳酸エチル(溶剤)
【0057】
(メタクリレート系モノマー)
HBMA:2-ヒドロキシブチルメタクリレート
TMPMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
PHME:リン酸ヘキサン酸メタクリル酸エチル及びリン酸ビス(ヘキサン酸メタクリル酸エチル)を含む混合物
n-LM:n-ラウリルメタクリレート
IBXMA:イソボルニルメタクリレート
BPA-DGEM:ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物
(アクリレート系モノマー)
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド
IBXA:イソボルニルアクリレート
DMAA:ジメチルアクリルアミド
PMA:リン酸2-アクリロイルオキシエチル及びリン酸ビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)を含む混合物
【0058】
得られた硬化性人工爪組成物の硬化時上昇温度の測定を、以下のように行った。結果を表1及び表2に併せて示す。
(硬化時上昇温度測定)
硬化収縮率計(商品名Custron;アクロエッジ社製)に付属している、硬化時の温度測定装置により、硬化時に発生する硬化熱を測定した。
硬化熱の測定に際して用いられるサンプルは、以下のよう調製した。
紫外線光源の上に基板固定治具を設け、透明ガラス基板を基板固定治具に固定した。
テフロン(登録商標)プレートに直径1.0mmの孔を穿孔し、テフロンリングを作製した。
透明ガラス基板の上に、作成したテフロンリングを設置し、穿孔部分に硬化性人工爪組成物を硬化前膜厚が1.0±0.1mmとなるように充填した後に、テフロンリング上を遮光材料(黒色アルミフォイル)で覆いサンプルを作製した。
サンプルの透明ガラス基板側から紫外線を照射し、テフロンリングの穿孔部分に充填した硬化性人工爪組成物を硬化させ、硬化時に発生する硬化熱を測定した。
【0059】
(硬化時上昇温度の算出)
得られた硬化熱を用い、下記式(A):
硬化時上昇温度(℃)=硬化熱(℃)の最大値ー測定開始温度(℃)
により硬化時上昇温度を算出した。
【0060】
【0061】
【0062】
実施例1及び2の硬化性人工爪組成物は、いずれも、硬化塗膜の基材への密着性(爪への接着力)、密着持続性、硬化性、硬化塗膜の美感等に優れ、ジェルネイルとして問題なく使用し得るものであった。
表1及び表2より、重合性化合物中のアクリロイル基含有重合性化合物の含有率が多くなると、硬化時上昇温度が高くなることがわかる。また、表1及び表2より、硬化性人工爪組成物の全成分の合計100質量%に対して、アクリロイル基含有重合性化合物の含有率を30質量%以下、好ましくは29質量%以下とすれば、硬化時上昇温度が約23℃以下となることがわかる。