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  • 特開-車両用電子機器の取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167219
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両用電子機器の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072879
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶彦
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA09
3D020BB02
3D020BC04
3D020BD01
3D020BD02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】車両前方の天井付近にECUを設置する場合に、ルーフパネルからの結露水による被水や熱害を防止しつつ好適なレイアウトで搭載すると共に、ECUの取付・交換などのメンテナンス性を向上させる車両用電子機器の取付構造を提供する。
【解決手段】
車両用電子機器の取付構造は、車両1のルーフパネル4よりも車室内側に位置するルーフトリム5と、ルーフトリム5に取り付けられ車室内側に開口を有するアッパーケース11、及び開口を塞ぐようにアッパーケース11に取り付けられるロアケース12により箱状をなすボックス部10と、ボックス部10内にてロアケース12上に取り付けられる電子機器3と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルよりも車室内側に位置するルーフトリムと、
前記ルーフトリムに取り付けられ、車室内側に開口を有するアッパーケース、及び前記開口を塞ぐように前記アッパーケースに取り付けられるロアケースにより、箱状をなすボックス部と、
前記ボックス部内にて前記ロアケース上に取り付けられる電子機器と、
を備える車両用電子機器の取付構造。
【請求項2】
ボックス部は前記ルーフトリムの車両前部に設けられ、
前記アッパーケースの上面は、車両後方から車両前方にかけて下り傾斜部分を含む、
請求項1に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項3】
前記アッパーケースの上面には、凹部及び凸部により被水時に特定の方向に水を導く流路が形成されている、
請求項1又は2に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項4】
前記アッパーケースの上面には、凹部及び凸部により被水時に水を貯留する貯留部が形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項5】
前記ロアケースは、前記電子機器のハーネス端子部が車両後方側に位置するように前記電子機器を保持する保持部が形成されている請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項6】
前記ボックス部は車室内側に通気口を有している
請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項7】
前記ボックス部は、前記アッパーケースの前部及び前記ロアケースの前部がヒンジ構造をなし、前記ロアケースは前記ヒンジ構造部分を支点に鉛直方向に回動可能である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用電子機器の取付構造。
【請求項8】
前記ボックス部は、前記ロアケースの後面が前記アッパーケースの後面よりも車両後方側に延設され、物入としてトレイ部が形成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用電子機器の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用電子機器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両では多くの機能が電子制御されており、例えば、トラックやバスなどでは、車両前方に設けたセンサ、レーダ、カメラなどの検出結果を死角検出警報や衝突防止警報などに利用している。そのため、その警報機能に利用されるECUは車両前方側に設置することが好ましい。このような背景から、ルーフパネルに装着される天井基材(ルーフトリム)にECUを取り付けるものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、オーバヘッドコンソールからオフセットされた位置の天井基材のルーフパネル側にECUを取り付け、ECUを天井裏部に分散配置することでオーバヘッドコンソールの大型化を防ぎ、車室内からの視界を確保している。また、サンバイザー収容部に作業用開口部を設けることにより、ECUの後付け作業等を容易に行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-276523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1では、天井基材のルーフパネル側にECUが取り付けられるようになっている。このようにECUを天井裏部に分散配置することでオーバヘッドコンソールの大型化を防ぐなどレイアウト上で有利な点もあるが、ECUをルーフパネルと天井基材との間に配置した場合には、ルーフパネル下面に発生する結露水によって被水する可能性があるため、ECUを被水から防止する対策が必要となる。また、ルーフパネルからの輻射熱の影響も大きいため、ECUの耐熱対策を施すことが必要となりコストアップすることが考えられる。さらに、ECUの後付け作業は、サンバイザー収容部に作業用開口部からアクセスして天井基材へECUを取り付けるようになっているが、作業者は上向きでの作業となり、作業性としては好ましくはない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両前方の天井付近にECUを設置する場合に、ルーフパネルからの結露水による被水や熱害を防止しつつ好適なレイアウトで搭載すると共に、ECUの取付・交換などのメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0008】
(1)本適用例に係る車両用電子機器の取付構造は、車両のルーフパネルよりも車室内側に位置するルーフトリムと、前記ルーフトリムに取り付けられ、車室内側に開口を有するアッパーケース、及び前記開口を塞ぐように前記アッパーケースに取り付けられるロアケースにより、箱状をなすボックス部と、前記ボックス部内にて前記ロアケース上に取り付けられる電子機器と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記適用例に係る車両用電子機器の取付構造は、電子機器がアッパーケースとロアケースとの間の空間に収容された状態でロアケースに取り付けられるので、ルーフパネルの内側に発生する結露による被水やルーフパネルからの熱害を防止することができる。
【0010】
(2)上記(1)の適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、ボックス部は前記ルーフトリムの車両前部に設けられ、前記アッパーケースの上面は、車両後方から車両前方にかけて下り傾斜部分を含んでいてもよい。これにより、ルーフパネルの内側に結露が発生してアッパーケースの上面に結露水が落下した場合、結露水は傾斜により車両前方に流れていくため、車室内への漏水を抑制することができる。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)の適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記アッパーケースの上面には、凹部及び凸部により被水時に特定の方向に水を導く流路が形成されていてもよい。これにより、ルーフパネルの内側に結露が発生してアッパーケース上面に結露水が落下した場合、結露水は流路を介して特定の方向へ導かれることにより、結露水が車室内などに漏水してしまうことなどを防止することができる。また、流路を形成するための凹部及び凸部が補強リブとして機能し、アッパーケースの剛性を高めることができ、薄肉化による軽量化が可能となる。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかの適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記アッパーケースの上面には、凹部及び凸部により被水時に水を貯留する貯留部が形成されていてもよい。これにより、ルーフパネルからアッパーケース上面に滴下された結露水が、上面の結露水流路から結露水貯留部まで導かれることで、結露水が多い場合でも、電子機器への被水を防止することができる。また、結露水流路及び結露水貯留部を形成するための凹部及び凸部が補強リブとして機能し、アッパーケースの剛性を高めることができ、薄肉化による軽量化が可能となる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかの適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記ロアケースは、前記電子機器のハーネス端子部が車両後方側に位置するように前記電子機器を保持する保持部が形成されていてもよい。これにより、ロアケースの電子機器を保持する保持部により、電子機器のハーネス端子部が車両後方側に位置するように電子機器を保持することで、万が一、ボックス部内に水が侵入した場合でも電子機器のハーネス端子部が被水することを抑制することができる。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかの適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記ボックス部は車室内側に通気口を有していてもよい。これにより、電子機器の収容空間と車室内とを通気させ、電子機器自体の発熱を車室内へ排出することによって、電子機器の発熱による熱害を防止することができる。
【0015】
(7)上記(1)から(6)のいずれかの適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記ボックス部は、前記アッパーケースの前部及び前記ロアケースの前部がヒンジ構造をなし、前記ロアケースは前記ヒンジ構造部分を支点に鉛直方向に回動可能であってもよい。これにより、ロアケースのヒンジ部を回動させてロアケースを下方へ開き、吊り下げたままにすることができるため、電子機器の取付・交換等のメンテナンスにおいて、作業者が上を向いて作業する必要がないなどメンテナンス性が向上する。
【0016】
(8)上記(1)から(7)のいずれかの適用例に係る前記車両用電子機器の取付構造において、前記ボックス部は、前記ロアケースの後面が前記アッパーケースの後面よりも車両後方側に延設され、物入としてトレイ部が形成されていてもよい。これにより、トレイ部をメガネやペンなど小物が収納できる収納部分として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の車両用電子機器の取付構造を有する車室前上部において車両左側を断面で示したす概略構成図である。
図2】車両用電子機器の取付構造の上面斜視図である。
図3図2のA-A’における側断面図である。
図4】アッパーケースにロアケースを取り付ける前の状態を示す図である。
図5】アッパーケースにロアケースを吊り下げた状態を示す図である。
図6】(a)ロアケースをアッパーケースに吊り下げた状態、(b)ロアケースをアッパーケースに取り付けた状態、それぞれのヒンジ構造部分を拡大して示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。なお、前後とは車両の進行方向、上下とは車両の鉛直方向(垂直方向)、左右とは車両の車幅方向を示しているものとして、以下説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の車両用電子機器の取付構造を有する車室前上部において車両左側を断面で示した概略構成図である。具体的には、ボックス部10を含む車両1の車室前方の天井付近を左後方から見上げた視点の側断面図である。ボックス部10は、車両1の車室天井部2の運転席又は助手席の上部に取り付けられて、内部にECU(Electronic Control Unit)等の電子機器3を収容するためのものである。
【0020】
図1に示す車両1は例えばトラックであり、車室はトラック前部に配置されるキャブにより形成されている。図1に示す車室天井部2は、天井外装をなす金属のルーフパネル4と、ルーフパネル4の車室側に位置し、天井内装の一部を形成するルーフトリム5を有している。ルーフパネル4及びルーフトリム5の前端から下方にはフロントウインドウ6が配設されている。そして、このルーフトリム5の車室内側に、アッパーケース11とロアケース12により箱状をなすボックス部10が取り付けられている。
【0021】
アッパーケース11は、下方に向けて開口した箱形状の樹脂製容器であり、上面(後述の上壁111)の一部がルーフトリム5の車室内側の面と接して図示しないボルト・ナット等の締結部材によりルーフトリム5に固定されている。
【0022】
ロアケース12は、略矩形の平板状の基面121と当該基面121の各辺から略垂直に延出した側面を有する樹脂製部材であり、アッパーケース11の開口を塞ぐように取り付けられている。
【0023】
電子機器3は、ロアケース12の基面121の上側に取り付けられている。つまり、電子機器3は、アッパーケース11とロアケース12からなるボックス部10内に収容される。なお、ボックス部10は、ルーフトリム5に取り付けられた状態で、運転席又は助手席の乗員の頭部に達しない程度、かつ、運転席の乗員の視界を遮らない程度、の上下方向の高さ、左右方向の幅、及び前後方向の奥行きを有する。
【0024】
図2は、ボックス部10の上面斜視図である。図3は、図2のA-A’におけるボックス部10の側断面図である。図4は、アッパーケース11にロアケース12を取り付ける前の状態を示す図である。図5は、アッパーケース11にロアケース12を吊り下げた状態を示す図である。図6は、(a)ロアケースをアッパーケースに吊り下げた状態、(b)ロアケースをアッパーケースに取り付けた状態、それぞれのヒンジ構造部分を拡大して示す側断面図である。これらの図を参照しながら、ボックス部10を形成するアッパーケース11及びロアケース12について以下詳しく説明する。
【0025】
図2に示すように、アッパーケース11は、上壁111(鉛直方向上面)、4つの側壁112a~112d、及び前方に延出する鍔部113から形成され、下方が開放の箱形状をなしている。具体的には、アッパーケース11の平板状の上壁111、上壁111の後端から略下方に延出する後側壁112a、上壁111の前端から略下方に延出する前側壁112b、上壁111の右端から略下方に延出する右側壁112c、上壁111の左端から略下方に延出する左側壁112d、及び、前側壁112bから前方に略水平に延出する鍔部113から形成されている。なお、左側壁112dは、本実施形態では、上壁111の左端から湾曲した傾斜面として形成されている。
【0026】
本実施形態のアッパーケース11の後側壁112aは、一部分において、前方に窪んだ窪み部114が形成されている。また、アッパーケース11の後側壁112aは、右側の一部分において、車室側と通気可能な、例えば格子形状に貫通穴を有する、通気口117を有している。
【0027】
上壁111の後部は、図3に示すように、ルーフトリム5の形状に沿って、後方から前方にかけて下り傾斜となっている。一方、上壁111の前部は略水平をなしている。ルーフトリム5は一部開口しており、当該開口部分に上壁111の前部が露出している。
【0028】
また、上壁111の後部は、図2に示すように、凸部と凹部からなる結露水流路115が形成されており、当該結露水流路115はルーフパネル4からの結露水被水時に下方に方向に水を導く流路をなしている。さらに、上壁111の前部には、すなわち結露水流路115の下流側には、結露水流路115に接続し、結露水流路115を伝って流れてくる結露水を貯留するための凹状の結露水貯留部116が形成されている。
【0029】
ロアケース12は、図3及び図4に示すように、基面121、後延出部122a、前延出部122b、右延出部122cの3つの延出部、前延出部122bから前方に突出したヒンジ部123から形成されている。
【0030】
具体的には、アッパーケース11に取り付けられた状態で、ロアケース12の下側に略水平方向に延在する板状の基面121、基面121の後端から略上方に延出する後延出部122a、基面121の前端から略上方に延出する前延出部122b、基面121の右端から略上方に延出する右延出部122cが形成されている。そして、ヒンジ部123は前延出部122b上端の一部から前方に延出している。より詳しくは、ヒンジ部123は、図4に示すように、前延出部122bから突出して下方にL字状に屈曲した3つの鈎部125と、鈎部125の先端を接続する軸部126が形成されている。
【0031】
基面121は、図4に示すように、取付孔を有する複数の保持部124を有し、電子機器3に取り付けられた図示しない固定部を差し込んでボルトやナット等の締結部材で固定することで電子機器3をロアケース12に保持できる。また、ロアケース12の保持部124は、電子機器3がボックス部10に収納された状態時に、電子機器3のハーネス21を接続するハーネス端子部22が車両後方側に位置するように配置されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、アッパーケース11の前部において、上壁111と前側壁112bは、左右方向の一部において少なくともロアケース12のヒンジ部123が通過できる大きさの開口部118が形成されている。ロアケース12のヒンジ部123は、このアッパーケース11の開口部118を通してアッパーケース11の前側壁112bに係止させることができる。
【0033】
詳しくは、図4に示すように、アッパーケース11には、鍔部113の後側において、鍔部113の後端から上方に突出する2つの爪部119が形成されている。爪部119は、図5に示すように、ロアケース12のヒンジ部123をアッパーケース11の開口部118に下後方から差し込まれ、ヒンジ部123の軸部126を係止することで、アッパーケース11を吊り下げ可能に支持する機能を有する。これにより、作業者が電子機器3を車両1に取り付ける際には、基面121上に予め電子機器3を固定したロアケース12を吊り下げた状態で電子機器3の配線等の作業が可能である。
【0034】
また、アッパーケース11の爪部119とロアケース12のヒンジ部123とはヒンジ構造をなしており、ロアケース12はヒンジ部123を支点に鉛直方向に回動可能である。詳しくは、まず図6(a)に示すように、ロアケース12を吊り下げた状態では、ヒンジ部123の軸部126が爪部119により係止された状態から、図6(b)に示すように、ヒンジ部123の軸部126を回動軸として基面121を上後方に回動させて、アッパーケース11の開口を塞ぐことが可能である。図示しないがアッパーケース11の開口周縁にはロアケース12を固定可能な係止部に係止される。これにより、アッパーケース11及びロアケース12が一体をなしてボックス部10が形成され、当該ボックス部10内に電子機器3が収納される。
【0035】
また、アッパーケース11の開口を閉じるようにロアケース12が取り付けられた状態では、図2及び図3に示すように、ロアケース12の後延出部122aがアッパーケース11の後側壁112aの窪み部114よりも後側に延設されていることで、後延出部122aと窪み部114との間に上方に開口したトレイ部127が形成されている。トレイ部127は、例えばサングラスやメガネ、ペン、その他小物等を入れる、物入として機能する。
【0036】
以上のように構成されたボックス部10は、電子機器3がアッパーケース11とロアケース12との間の空間に収容された状態でロアケース12に取り付けられるので、ルーフパネル4の内側に発生する結露による被水やルーフパネル4からの熱害を防止することができる。
【0037】
また、アッパーケース11の上壁111が後方から前方にかけて下り傾斜となっているため、ルーフパネル4の内側に結露が発生してアッパーケース11の上壁111に結露水が滴下した場合、結露水は傾斜により車両前方に流れていくため、車室内への漏水を抑制することができる。さらに、ルーフパネル4の内側に結露が発生してアッパーケース11の上壁111に結露水が落下した場合、結露水は結露水流路115を介して特定の方向へ導かれることにより、結露水が車室内などに漏水してしまうことなどを防止することができる。さらに、ルーフパネル4からアッパーケース11の上壁111に滴下された結露水が、上壁111の結露水流路115から結露水貯留部116まで導かれることで、結露水が多い場合でも、電子機器3への被水を防止することができる。また、結露水流路115及び結露水貯留部116を形成するための凹部及び凸部が上壁111の補強リブとして機能し、アッパーケース11の剛性を高めることができ、薄肉化による軽量化することなどが可能となる。
【0038】
また、ロアケース12の電子機器3を保持する保持部124により、電子機器3のハーネス端子部22が車両後方側に位置するように電子機器3を保持することで、万が一、ボックス部10内に水が侵入した場合でも電子機器3のハーネス端子部22が被水することを抑制することができる。
【0039】
そして、アッパーケース11に、車室内側と通気可能な通気口117を設けて、電子機器3の収容空間と車室内とを通気させ、電子機器3自体の発熱を車室内へ排出することによって、電子機器3の発熱による熱害を防止することができる。
【0040】
また、ロアケース12のヒンジ部123を回動させてロアケース12を下方へ開き、吊り下げたままにすることができるため、電子機器3の取付・交換等のメンテナンスにおいて、作業者が上を向いて作業する必要がないなどメンテナンス性が向上する。
【0041】
また、ボックス部10の後部にトレイ部127が設けられていることで、メガネやペンなど小物が収納できる収納部分として活用することができる。
【0042】
以上で本発明に係る車両用電子機器のボックス部10の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0043】
上記実施形態のボックス部10は、アッパーケース11が下方の開口した箱状をなし、ロアケース12の平板状の基面121によりアッパーケース11の開口を塞ぐ構成をなしているが、ボックス部の構成はこれに限られるものではない。例えば、ロアケースが上方の開口した箱状をなしていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、アッパーケース11の上壁111に結露水流路115及び結露水貯留部116が形成されているが、例えばアッパーケース11の上壁111に排水口を形成し、結露水流路115により当該排水口に結露水を導く構成としてよい。
【0045】
上記実施形態においては、通気口117はアッパーケース11の後方側の側壁112aに設けられていたが、他の側壁112b~112dやロアケース12に設けられても良く、また複数設けられても良い。複数設けることにより放熱効果を向上することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 :車両
2 :車室天井部
3 :電子機器
4 :ルーフパネル
5 :ルーフトリム
10 :ボックス部
11 :アッパーケース
12 :ロアケース
111 :上壁
112a~122d :側壁
113 :鍔部
114 :窪み部
115 :結露水流路
116 :結露水貯留部
117 :通気口
118 :開口部
119 :爪部
121 :基面
122a~122c :延出部
123 :ヒンジ部
124 :保持部
125 :鈎部
126 :軸部
127 :トレイ部
21 :ハーネス
22 :ハーネス端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6