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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167233
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】車両用収納装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072899
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】堀江 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】梅田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】松下 尚裕
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC18
3D022CD13
3D022CD18
(57)【要約】
【課題】小型の車両用収納装置を提供すること。
【解決手段】車両用収納装置(10)は、収納物を収納可能な収納部(11)と、この収納部(11)に固定されているブラケット本体(12)と、このブラケット本体(12)に支持されている軸部材(13)と、この軸部材(13)にスイング可能に支持されている蓋体(20)と、この蓋体(20)を開方向に付勢しているねじりコイルばね(30)と、を有する。ねじりコイルばね(30)は、巻部(31)の端部から略接線方向に延びるアーム部(33)を有している。蓋体(20)が全開よりも小さな開度である所定の開度まで開いた際に、ねじりコイルばね(30)の付勢力による蓋体(20)の変位を規制することができるよう、アーム部(33)の軌道上にアーム部(33)に当接可能なストッパ(16)が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開口し内部に収納物を収納可能な収納部と、
この収納部に固定されているブラケット本体と、
このブラケット本体に支持されている軸部材と、
この軸部材にスイング可能に支持され、前記開口の少なくとも一部を開閉可能な蓋体と、
この蓋体を開方向に付勢しているねじりコイルばねと、を有する車両用収納装置において、
前記ねじりコイルばねは、軸線を中心に巻かれている巻部と、この巻部の端部から略接線方向に延びるアーム部と、このアーム部から前記蓋体に向かって延び前記蓋体に当接可能な蓋体当接部と、を有し、
前記蓋体が全開よりも小さな開度である所定の開度まで開いた際に、前記ねじリコイルばねの付勢力による前記蓋体の変位を規制することができるよう、前記アーム部の軌道上に前記アーム部に当接可能なストッパが設けられていることを特徴とする車両用収納装置。
【請求項2】
前記ストッパは、前記収納部に一体的に形成されている、請求項1に記載の車両用収納装置。
【請求項3】
前記ストッパは、前記ブラケット本体に一体的に形成されている、請求項1に記載の車両用収納装置。
【請求項4】
前記ストッパは、前記アーム部に当接可能な当接面と、この当接面から前記当接面に当接している前記アーム部の側方まで突出している突出部と、を有している、請求項2又は請求項3に記載の車両用収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員が荷物等を収納するための車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の車両には、乗員の荷物を収納するための車両用収納装置が設けられている。例えば、乗用車両の運転席と助手席との間に設けられた車両用収納装置をコンソールボックスという。コンソールボックスに関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、コンソールボックスは、上面が開口しているコンソールボックス本体と、このコンソールボックス本体に取り付けられているフレームと、このフレームに支持されているシャフトと、このシャフトにスイング可能に支持されているコンソールリッドと、コンソールリッドを開方向に付勢しているスプリングと、を備えている。
【0004】
コンソールリッドは、全閉位置から中立位置までスプリングの付勢力によって開かれ、中立位置から全開位置までは、乗員の操作によって開くことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-272426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコンソールボックスによれば、複数のスプリングの付勢力を組み合わせることによって、全閉位置から中立位置まではコンソールリッドをスプリングの付勢力によって開き、中立位置から全開位置まではコンソールリッドを乗員の操作によって開くことを可能としている。
【0007】
複数のスプリングを用いるため、これらを配置するためのスペースが必要となり、コンソールボックスが大型化する。コンソールボックスに限らず、搭載スペースの限られている車室内に配置される車両用収納装置は、小型であることが望ましい。
【0008】
本発明は、小型の車両用収納装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、一面が開口し内部に収納物を収納可能な収納部と、
この収納部に固定されているブラケット本体と、
このブラケット本体に支持されている軸部材と、
この軸部材にスイング可能に支持され、前記開口の少なくとも一部を開閉可能な蓋体と、
この蓋体を開方向に付勢しているねじりコイルばねと、を有する車両用収納装置において、
前記ねじりコイルばねは、軸線を中心に巻かれている巻部と、この巻部の端部から略接線方向に延びるアーム部と、このアーム部の先端から前記蓋体に向かって延び前記蓋体に当接可能な蓋体当接部と、を有し、
前記蓋体が全開よりも小さな開度である所定の開度まで開いた際に、前記ねじリコイルばねの付勢力による前記蓋体の変位を規制することができるよう、前記アーム部の軌道上に前記アーム部に当接可能なストッパが設けられていることを特徴とする車両用収納装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型の車両用収納装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例による車両用収納装置を右斜め後方から見た状態の斜視図である。
図2】2Aは、蓋体が閉じている状態の車両用収納装置を後方から見た状態の図、2Bは、蓋体が所定の開度まで開いた状態の車両用収納装置を後方から見た状態の図である。
図3図1に示された蓋体の動作について説明する図である。
図4図2Bの4-4線断面図である。
図5】5Aは、全閉状態の蓋体、ねじリコイルばね、ストッパについて説明する図、5Bは、所定の開度まで開いた状態の蓋体、ねじリコイルばね、ストッパについて説明する図である。
図6】全開状態の蓋体、ねじリコイルばね、ストッパについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
【0013】
<実施例>
図1を参照する。車両用収納装置10(以下、「収納装置10」と略記する。)は、例えば、車室内の運転席と助手席との間に設けられるセンターコンソールである。以下、収納装置10の一例として、センターコンソールを例に説明を行う。
【0014】
図2Aを併せて参照する。収納装置10は、上面が開口し内部に乗員の荷物等(以下、「収納物」という。)を収納可能な収納部11と、この収納部11の後の面である後面部11aに固定されているブラケット本体12と、このブラケット本体12に支持されている軸部材13と、軸部材13にスイング可能に支持され収納部11の開口を開閉可能な蓋体20と、軸部材13を囲うように設けられ蓋体20を開方向に付勢しているねじリコイルばね30と、を有する。
【0015】
図3を参照する。収納装置10は、全閉の位置P1から所定の開度となる位置P2までは、ねじリコイルばね30(図2A参照)の付勢力によって蓋体20が開く。一方、所定の開度となる位置P2から全開の位置P3までは、乗員が蓋体20を手で持つことによってスイングさせることができる。つまり、所定の開度となる位置P2から全開の位置P3までは、ねじリコイルばね30の付勢力は、蓋体20を開く方向へ作用しない。
【0016】
蓋体20が全閉の状態を0°とした場合に、例えば、所定の開度は、60°であり、全開は、90°である。
【0017】
なお、収納部11及び/又は蓋体20にダンパを設けることにより、ねじリコイルばね30の付勢力を減衰しながら、蓋体20の開閉を行うことができる。また、ダンパを用いた場合には、所定の開度から全開までの任意の位置に蓋体20を容易に保持することができる。より具体的には、ダンパには、周知のロータリダンパを用いることができる。
【0018】
図2Aを参照する。収納部11には、例えば、樹脂成形品が用いられる。収納部11の後面部11aは、ブラケット本体12が取り付けられている取付面部11aということもできる。以下、後面部11aを取付面部11aということもある。取付面部11aには、蓋体20の開度を規定するためのストッパ16が一体的に形成されている。
【0019】
図2B及び図4を参照する。蓋体20が所定の開度まで開いた際に、ねじリコイルばね30の一部は、ストッパ16に当接する。これにより、ねじリコイルばね30の付勢力による蓋体20の変位は、規制される。換言すれば、ストッパ16は、蓋体20が所定の開度まで開いた際に、ねじリコイルばね30の付勢力による蓋体20の変位を規制することができるよう、ねじリコイルばね30の軌道上に、ねじリコイルばね30に当接可能に設けられている、ということができる。
【0020】
ストッパ16は、ねじリコイルばね30に当接可能な当接面16aと、この当接面16aからねじリコイルばね30の側方まで突出している突出部16bと、を有している。突出部16bは、少なくとも一部に当接面16aに向かって傾斜する傾斜面部16b1を含む。
【0021】
なお、ストッパ16は、ブラケット本体12に一体的に形成されていても良いし、別部材によって構成することも可能である。
【0022】
図2Aを参照する。ブラケット本体12は、一枚の金属板によって構成されている。ブラケット本体12は、取付面部11aに沿って一般面を構成し、略矩形の平面状に形成されている一般面部12aと、この一般面部12a上に形成された舌片状の部位でありねじリコイルばね30の一部が固定されているばね固定部12bと、一般面部12aに開けられ収納部11に締結されるねじ17(図4参照)が貫通するねじ貫通穴12cと、一般面部12aの上端から後方に延びている上部延出部12dと、この上部延出部12dの左右の端部から下方に延び軸部材13を支持している支持部12eと、を有している。なお、支持部12eは、左側の支持部12eのみが図面に示されている。
【0023】
軸部材13は、左右に延びる棒状の部材であり、支持部12eに支持されていると共に、蓋体20を回転可能に支持している。
【0024】
蓋体20は、支持部12eの左右にそれぞれ配置され軸部材13が貫通している蓋体アーム部21と、これらの蓋体アーム部21の前部に設けられ収納部11の上方を開閉可能な蓋本体22と、を有する。
【0025】
図5Aを参照する。蓋体アーム部21には、ねじリコイルばね30の付勢力を受けているばね受け部21aが形成されている。ばね受け部21aは、ねじリコイルばね30の付勢方向に沿って略U字の凹状に形成されている。
【0026】
図2Aを参照する。ねじリコイルばね30は、軸線を中心に巻かれている左右の巻部31、31と、これらの巻部31、31の間を接続していると共にブラケット本体12に固定されているブラケット固定部32と、巻部31の端部から略接線方向に延びるアーム部33と、このアーム部33の先端から蓋体20に向かって延び蓋体20に当接可能な蓋体当接部34と、を有している。
【0027】
以上に説明した収納装置10の作用を説明する。
【0028】
図5Aを参照する。図5Aには、閉じ状態の蓋体20が示されている。この状態において、蓋体20は、収納部11(図3参照)に保持されている。この状態から蓋体20の保持を解除すると、蓋体20は、ねじリコイルばね30の付勢力によってスイングする。
【0029】
より詳細には、アーム部33、蓋体アーム部21、蓋本体22は、軸部材13を中心として時計回り方向に回転する。
【0030】
図5Bを参照する。回転したアーム部33は、ストッパ16に当接し、止まる。これにより、蓋体20も止まる。このときの開度が所定の開度である。つまり、蓋体20は、閉じ状態から所定の開度までは、ねじリコイルばね30の付勢力によって開く。
【0031】
図6を併せて参照する。図6には、全開状態の蓋体20が示されている。所定の開度から全開位置までは、乗員の操作により蓋体20をスイングさせることができる。この範囲において、アーム部33は、ストッパ16に当接した状態のままであり、蓋体20のみがスイングする。つまり、所定の開度から全開位置に向かって蓋体20をスイングさせることにより、蓋体当接部34から蓋体アーム部21は、離間し当接状態が解除される。
【0032】
逆に全開状態から全閉状態まで蓋体20を閉じる際には、全て乗員が操作を行う。所定の開度まで蓋体20をスイングさせることにより、蓋体アーム部21は、蓋体当接部34に当接する。所定の開度から全閉状態までは、乗員は、ねじリコイルばね30の付勢力に抗して蓋体20をスイングさせる。
【0033】
なお、ねじりコイルばね30の一方のアーム部33のみをストッパ16に当接させても良い。この場合、所定の開度から全開位置までの間で、他方のみのアーム部33が蓋体アーム部21に付勢している状態で、蓋体アーム部21に付勢力を残すことで、全開位置への手動操作時に高級感を出すことが出来る。
【0034】
以上に説明した収納装置10について、以下に纏める。
【0035】
収納装置10は、一面が開口し内部に収納物を収納可能な収納部11と、この収納部11に固定されているブラケット本体12と、このブラケット本体12に支持されている軸部材13と、この軸部材13にスイング可能に支持され、開口の少なくとも一部を開閉可能な蓋体20と、この蓋体20を開方向に付勢しているねじリコイルばね30と、を有する。ねじリコイルばね30は、軸線を中心に巻かれている巻部31と、この巻部31の端部から略接線方向に延びるアーム部33と、このアーム部33の先端から蓋体20に向かって延び蓋体20に当接可能な蓋体当接部34と、を有している。収納装置10は、さらに、蓋体20が全開よりも小さな開度である所定の開度まで開いた際に、ねじリコイルばね30の付勢力による蓋体20の変位を規制することができるよう、アーム部33の軌道上にアーム部33に当接可能なストッパ16が設けられている。
【0036】
収納装置10は、ストッパ16をアーム部33に当接させることによって、蓋体20の開方向へのスイングを止める。ストッパ16の大きさは、ねじリコイルばね30のアーム部33に当接する大きさがあれば足り、小さいもので十分である。小さなストッパ16を用いることで、蓋体20のスイングする角度を規制することができるため、収納装置10を小型化することができる。
【0037】
また、ストッパ16は、アーム部33の軌道上に設けられている。蓋体当接部34をストッパ16に当接させる場合に比べて、より巻部31に近い部位でストッパ16に当接させることができる。これにより、ねじリコイルばね30に発生する撓みを抑制し、より確実に蓋体20のスイングを規制することができる。また、巻部31に近い部位にストッパ16を形成することにより、より収納装置10の小型化を図ることができる。
【0038】
また、収納装置10は、ストッパ16を用いて蓋体20のスイングする角度を規制する。このため、複数のばねを用いて蓋体のスイングする角度を規制する場合に比べて、構造を簡潔にすることができる。
【0039】
また、ストッパ16は、収納部11に一体的に形成されている。ストッパ16を別部材によって構成する場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0040】
また、収納部11が樹脂製品である場合には、収納部11に一体的に形成されるストッパ16も樹脂によって構成されることとなる。この場合には、アーム部33がストッパ16に当接した際の打音を軽減することができ、車室内の静粛性を高めることができる。
【0041】
また、ストッパ16は、ブラケット本体12に一体的に形成することもできる。この場合にも、ストッパ16を別部材によって構成する場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0042】
なお、収納装置10において収納部11は、一般にブラケット本体12よりも重い。このため、より重量の大きな収納部11にストッパ16を一体的に形成した場合には、より正確に蓋体20のスイングを規制することができ、より好ましい。
【0043】
図4を参照する。ストッパ16は、アーム部33に当接可能な当接面16aと、この当接面16aから当接面16aに当接しているアーム部33の側方まで突出している突出部16bと、を有している。車両の振動等によってアーム部33が当接面16aから外れることを抑制することができる。また、アーム部33が外れにくい形状とすることにより、よりストッパ16を小型化することができ、収納装置10全体としても小型化を図ることができる。
【0044】
なお、本発明による収納装置は、センターコンソールを例に説明したが、グローブボックス等であっても適用可能である。本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の収納装置は、乗用車両のセンターコンソールに好適である。
【符号の説明】
【0046】
10…車両用収納装置
11…収納部
12…ブラケット本体
13…軸部材
16…ストッパ、16a…当接面、16b…突出部
20…蓋体
30…ねじリコイルばね
31…巻部
33…アーム部
34…蓋体当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6