(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167239
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】板金製外装材及び板金製外装材の施工方法
(51)【国際特許分類】
F16L 59/11 20060101AFI20221027BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20221027BHJP
F16L 59/22 20060101ALI20221027BHJP
B21D 51/16 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F16L59/11
F16L57/00 A
F16L59/22
B21D51/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072917
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000244084
【氏名又は名称】明星工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】若山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】勝原 亜美
(72)【発明者】
【氏名】日野出 充樹
【テーマコード(参考)】
3H024
3H036
【Fターム(参考)】
3H024AA02
3H024AB06
3H024AC05
3H036AA05
3H036AB13
3H036AB15
3H036AB18
3H036AB24
3H036AB25
3H036AE04
(57)【要約】
【課題】板金製外装材の配管現場における施工性を向上させる。
【解決手段】流体配管1のエルボ部1Bの外周部を覆う断熱材2の外周面に沿って付設可能で、エルボ部1Bの湾曲半径方向に沿う分割線で区画され、且つ、板金を筒状に曲げた複数の分割外装部材4の分割端縁部4A同士を連結してエビ管形状に形成し、エビ管形状に連結した複数の分割外装部材4における屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を、連結可能に構成してある板金製外装材であって、エビ管形状に連結した複数の分割外装部材4において、屈曲内側部5と屈曲外側部6との距離を、屈曲始端部及び屈曲終端部の分割外装部材4よりも屈曲中間部の分割外装部材4の方が大になるように形成し、分割外装部材4における屈曲内側部5の配管周方向の両端部夫々にハゼを設けて、それらの前記ハゼ同士を係合連結可能に構成してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体配管のエルボ部の外周部を覆う断熱材の外周面に沿って付設可能で、
前記エルボ部の湾曲半径方向に沿う分割線で区画され、且つ、板金を筒状に曲げた複数の分割外装部材の分割端縁部同士を連結してエビ管形状に形成し、
エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材における屈曲内側部で配管周方向の両端部夫々を、連結可能に構成してある板金製外装材であって、
エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材において、
屈曲内側部と屈曲外側部との距離を、屈曲始端部及び屈曲終端部の前記分割外装部材よりも屈曲中間部の前記分割外装部材の方が大になるように形成し、
前記分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々にハゼを設けて、
それらの前記ハゼ同士を係合連結可能に構成してある板金製外装材。
【請求項2】
前記複数の分割外装部材の分割端縁部同士の連結部をハゼ掛け連結構造に形成してエルボ部に対する断熱材を被覆可能に構成してある請求項1に記載の板金製外装材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の板金製外装材の施工方法であって、
前記分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々を離間させながら
流体配管のエルボ部の外周部を覆う断熱材の外から前記板金製外装材を被覆し、
前記ハゼ同士を近接させて互いに係合連結する板金製外装材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体配管のエルボ部の外周部を覆う断熱材の外周面に沿って付設可能で、前記エルボ部の湾曲半径方向に沿う分割線で区画され、且つ、板金を筒状に曲げた複数の分割外装部材の分割端縁部同士を連結してエビ管形状に形成し、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材における屈曲内側部で配管周方向の両端部夫々を、連結可能に構成してある板金製外装材及び板金製外装材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記板金製外装材は、
図5(a)~(c)に示すように、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材4における屈曲内側部5の概略曲線と屈曲外側部6の概略曲線とを、略同心円状に形成してあり、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材4における屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を、ビス10(
図5(c))を使って連結してあった(周知技術であって、適切な公報が見当たらない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材4における屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を、ビス10を使って連結する施工法では、そのビス10により下地の防水材、防湿材や断熱材等に穴を開けてしまったり、傷をつけてしまう危険性があり、また、ビス10を装着するまで、分割外装部材4における屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を重ねて、仮固縛材で締め付けて安定しておかなければならず、配管現場で手間が多くかかり、施工性が悪くなるという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、板金製外装材の配管現場における施工性を向上させるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の板金製外装材の第1の特徴構成は、流体配管のエルボ部の外周部を覆う断熱材の外周面に沿って付設可能で、前記エルボ部の湾曲半径方向に沿う分割線で区画され、且つ、板金を筒状に曲げた複数の分割外装部材の分割端縁部同士を連結してエビ管形状に形成し、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材における屈曲内側部で配管周方向の両端部夫々を、連結可能に構成してある板金製外装材であって、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材において、屈曲内側部と屈曲外側部との距離を、屈曲始端部及び屈曲終端部の前記分割外装部材よりも屈曲中間部の前記分割外装部材の方が大になるように形成し、前記分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々にハゼを設けて、それらの前記ハゼ同士を係合連結可能に構成したところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、エビ管形状に連結した前記複数の分割外装部材において、屈曲内側部と屈曲外側部との距離を、屈曲始端部及び屈曲終端部の前記分割外装部材よりも屈曲中間部の前記分割外装部材の方が大になるように形成することにより、屈曲内側部の概略円弧の曲率半径が大きくなり、そのために、屈曲内側部の概略円弧の曲率半径の小さいものに比べて、分割端縁部同士を連結した複数の分割外装部材全体の屈曲内側部で配管周方向の両端部夫々を、離間及び近接操作が軽く行えるようになって、エルボ部の外周部を覆う断熱材に対して外側から包み込むようにして装着しやすくなるばかりか、分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々に設けたハゼ同士の係合連結が容易になり外装材の施工が容易になる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記複数の分割外装部材の分割端縁部同士の連結部をハゼ掛け連結構造に形成してエルボ部に対する断熱材を被覆可能に構成したところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、本発明の第1の特徴構成による上述の作用効果を叶えることができるのに加えて、複数の分割外装部材同士の連結組み立ても、一般的にエルボ部においてエビ管形状に成型するのに溶接により連結する技術に比べて、ハゼ掛け連結構造に形成することにより製作も容易になって、製作作業の効率化を向上させることができる。
【0009】
本発明の第3の板金製外装材の施工方法は、前記分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々を離間させながら流体配管のエルボ部の外周部を覆う断熱材の外から前記板金製外装材を被覆し、前記ハゼ同士を近接させて互いに係合連結するところにある。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、屈曲内側部の概略円弧の曲率半径の小さいものに比べて、分割端縁部同士を連結した複数の分割外装部材全体の屈曲内側部で配管周方向の両端部夫々を、離間及び近接操作が軽く行え、エルボ部の外周部を覆う断熱材に対して外側から包み込むようにして装着しやすくなり、分割外装部材における屈曲内側部の配管周方向の両端部夫々に設けたハゼ同士の係合連結することにより、従来のようにビスを使わないために、低温配管の断熱(保冷)を行うのに、断熱材と外装材の間に位置する防湿層を貫通せず、板金製外装材を装着でき、板金製外装材による配管の保護を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】エルボ部を覆う断熱材に、外装材を付設した状態の全体斜視図である。
【
図3】本発明の外装材の6面図で、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。
【
図4】ハゼの断面図で、(a)は屈曲内側部のハゼ、(b)は分割端縁部のハゼを示す。
【
図5】従来例の外装材を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0013】
図1~
図3に示すように、高温流体や低温流体を流通させる流体配管1に対して、それら流体配管1の外周部を断熱材2で覆って、流通流体の熱エネルギーが外部にリークするのを防止すべく配管断熱構造を構成してある。
尚、断熱材2は、高温流体が配管内を流通する場合は、例えば、珪酸カルシウム成型材やロックウール、グラスウール等の無機繊維綿材などの無機材から成るものを使用し、低温流体が配管内を流通する場合は、例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン等の有機発泡樹脂材が使用されることが多い。
そして、上記配管断熱構造において、断熱材2の外周部を覆って、断熱材2を風雨や外力などから保護するために、直管部1Aにおける円筒形の外装材3とエルボ部1Bにおける略曲管状の外装材3とを、夫々板金製で曲げ加工して断熱材2の外側に付設してある。
特にエルボ部1Bにおいては、エルボ部1Bの外周部を覆う断熱材2の外周面に沿って付設可能で、エルボ部1Bの湾曲半径方向に沿う分割線で区画され、且つ、板金を筒状に曲げた複数の分割外装部材4の分割端縁部4A同士を連結してエビ管形状に形成し、エビ管形状に連結した複数の分割外装部材4における屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を、連結可能に構成してある板金製外装材が設けてある。
【0014】
図3(a)~(f)の6面図に示すように、複数の分割外装部材4において、前記分割線に沿う分割端縁部4A同士をハゼ掛け(
図4(b))により連結してエビ管形状にエルボ部1Bに対する断熱材2を被覆可能に構成し、そのエビ管形状に連結した複数の分割外装部材4において、屈曲内側部5と屈曲外側部6との距離(
図6のAとB)を、屈曲始端部及び屈曲終端部の分割外装部材4の距離(
図6のA)よりも屈曲中間部の分割外装部材4の距離(
図6のB)の方が大になるように形成し、分割外装部材4における屈曲内側部5の配管周方向の両端部夫々にハゼ7(
図4(a))を設けて、それらのハゼ7同士を係合連結可能に構成してある。
【0015】
尚、断熱材2の直径は、300~1000mmで、前記板金を筒状に曲げた分割外装部材4は、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板(JIS G 3312)で、厚さ0.27~0.40mmの金属板で製作してある。
【0016】
前記複数の分割外装部材4でエビ管形状に製作するために、
図6に示すように、まず配管のエルボ部1Bの屈曲外側部6の概略の外側曲線の第1曲率中心P1と同心円上で、配管の直管部1Aに対する円筒形の外装材3と連設可能な半径R1の外側曲線と概略曲線上の屈曲外側部6を形成し、外装材3の屈曲内側部5を、第1曲率中心P1とは異なり、且つ、エルボ部1Bの湾曲内側からより遠く離れた位置に置く第2曲率中心P2の半径R2の円弧上に形成し、且つ、屈曲内側部5と屈曲外側部6との距離(
図6のA又はB)を、屈曲始端部及び屈曲終端部の分割外装部材4の距離Aよりも屈曲中間部の分割外装部材4の距離Bの方が大になるように形成してある。
【0017】
したがって、屈曲内側部5の側面視形状は、より直線に近づくように曲率が小さくなって、分割外装部材4における屈曲内側部5の配管周方向の両端部夫々に設けたハゼ7同士の係合連結が容易になり外装材3の施工が容易になると共に、分割端縁部4A同士を連結した複数の分割外装部材4全体の屈曲内側部5で配管周方向の両端部夫々を、離間及び近接操作が軽く行えるようになって、エルボ部1Bの外周部を覆う断熱材2に対して外側から包み込むようにして装着しやすくなる。
【0018】
したがって、板金製外装材の施工にあたっては、予め複数の分割外装部材4の分割端縁部4A同士をハゼ掛けにより連結しておき、分割外装部材4における屈曲内側部5の配管周方向の両端部夫々を離間させながら流体配管のエルボ部1Bの外周部を覆う断熱材2の外から板金製外装材を被覆し、ハゼ7同士を近接させて互いに係合連結する。
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
なお、以下の他の実施形態において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
〈1〉 前記分割外装部材4は、塗装溶融亜鉛メッキ鋼板以外に、溶融55%アルミニウムー亜鉛合金メッキ鋼板(JIS G3321)、厚さ0.27~0.40mm、や、塗装溶融55%アルミニウムー亜鉛合金メッキ鋼板(JIS G3322)、厚さ0.27~0.40mmの金属板から成るものでもよい。また、冷間圧延ステンレス鋼板(JIS G4305)や、アルミニウム板及び、アルミニウム合金板(JIS H4000)を採用してもよい。
【0019】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 流体配管
1B エルボ部
2 断熱材
4 分割外装部材
4A 分割端縁部
5 屈曲内側部
6 屈曲外側部