(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167244
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】シミュレータ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 9/00 20060101AFI20221027BHJP
G06F 30/28 20200101ALI20221027BHJP
G06F 30/18 20200101ALI20221027BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20221027BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
G06F30/28
G06F30/18
G06F30/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072926
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】向江 友佑
(72)【発明者】
【氏名】高橋 新
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DC01
5B146DJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することが可能なシミュレータを提供する。
【解決手段】空間におけるウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションを実行するシミュレータ10は、対象空間の形状を含むシミュレーション条件を取得する手段を備え、シミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する手段を備え、シミュレーションの結果は、ウイルス感染のリスクを低減するための対象空間の形状、対象空間に配置された吸気口の位置及び吸気量、並びに、対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ、並びに、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間におけるウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションを実行するシミュレータであって、
対象空間の形状を含むシミュレーション条件を取得する手段を備え、
前記シミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する手段を備え、
前記シミュレーションの結果は、ウイルス感染のリスクを低減するための前記対象空間の形状、前記対象空間に配置された吸気口の位置及び吸気量、並びに、前記対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ、並びに、前記対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せを含む、
シミュレータ。
【請求項2】
前記シミュレーション条件は、前記吸気口の位置及び吸気量、並びに、前記排気口の位置及び排気量の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシミュレータ。
【請求項3】
前記シミュレーション条件は、前記滞在者の上限数を含む、
請求項1又は請求項2に記載のシミュレータ。
【請求項4】
空間におけるウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションを実行するシミュレータであって、
シミュレーション条件を取得する手段を備え、
前記シミュレーション条件は、対象空間の形状と、前記対象空間に配置される吸気口の位置及び吸気量、前記対象空間に配置される排気口の位置及び排気量、並びに、前記対象空間に滞在する滞在者の上限数の少なくとも1つと、を含み、
前記シミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する手段を備え、
前記シミュレーションの結果は、ウイルス感染のリスクを低減するための前記対象空間に配置すべき物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つを含む、
シミュレータ。
【請求項5】
前記シミュレーション条件は、前記対象空間における前記滞在者の位置を含む、
請求項4に記載のシミュレータ。
【請求項6】
前記シミュレーション条件は、前記対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つを含む、
請求項4又は請求項5に記載のシミュレータ。
【請求項7】
前記シミュレーションの結果は、前記対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つを含む、
請求項4~請求項6の何れかに記載のシミュレータ。
【請求項8】
前記シミュレーション条件は、前記対象空間における前記滞在者の活動パラメータを含む、
請求項1~請求項7の何れかに記載のシミュレータ。
【請求項9】
前記シミュレーション条件は、前記シミュレーションの結果に基づいて前記対象空間を改造するための予算を含む、
請求項1~請求項8の何れかに記載のシミュレータ。
【請求項10】
前記シミュレーション条件は、前記対象空間に配置される物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つを含む、
請求項1~請求項9の何れかに記載のシミュレータ。
【請求項11】
前記シミュレーション条件を用いて、前記対象空間内の気流分布に関する流体解析を実行する流体解析装置と接続される請求項1~請求項10の何れかに記載のシミュレータであって、
前記流体解析装置に前記シミュレーション条件を送信する手段を備え、
前記流体解析装置から、前記シミュレーション条件に応じた流体解析の結果を取得する手段を備え、
前記シミュレーションを実行する手段は、前記シミュレーション条件と、前記流体解析の結果と、を用いて、前記シミュレーションを実行する、
シミュレータ。
【請求項12】
前記シミュレーション条件を用いて、前記対象空間内の気流分布に関する流体解析を実行する流体解析装置と接続される請求項1~請求項10の何れかに記載のシミュレータであって、
前記流体解析装置に前記シミュレーション条件を送信する手段を備え、
前記流体解析装置から、前記シミュレーション条件に応じた流体解析の結果を取得する手段を備え、
前記シミュレーションを実行する手段は、前記シミュレーション条件と、前記流体解析の結果と、を用いて、前記シミュレーションを実行する、
シミュレータ。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1~請求項10の何れかに記載の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレータ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスの感染の拡大は、社会生活に大きな影響を及ぼす。例えば、COVID-19(以下「コロナウイルス」という)の感染の拡大は、企業の経済活動の制限を促した。このような制限は、企業の継続性を損なう。そのため、企業の経済活動の維持と、ウイルスの感染の拡大の防止と、を両立させることが重要である。
【0003】
ウイルスの感染のリスクを抑制するためには、ウイルスの感染の確率が一定以下になるように、空間の換気システムを設計し、且つ、当該空間に滞在する人(以下「滞在者」という)のコントロールが重要な要素の1つである。
【0004】
特許文献1には、騒音低減量及び圧力損失値を共に満足し得る換気設備を設計するために、換気用のファンと消音チャンバとの組み合わせの検討を支援することが可能な換気用のファンと消音チャンバとの組み合わせ性能のシミュレーション方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、騒音の低減という目的のための換気設備の設計を支援するものである。
しかし、特許文献1には、ウイルス感染のリスクの低減という観点がないので、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することはできない。
【0007】
本発明の目的は、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
空間におけるウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションを実行するシミュレータであって、
対象空間の形状を含むシミュレーション条件を取得する手段を備え、
前記シミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する手段を備え、
前記シミュレーションの結果は、ウイルス感染のリスクを低減するための前記対象空間の形状、前記対象空間に配置された吸気口の位置及び吸気量、並びに、前記対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ、並びに、前記対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せを含む、
シミュレータである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1のシミュレータの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態のシミュレーションのフローチャートである。
【
図4】
図3の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図6】第2実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図8】変形例2の第1例の情報処理のフローチャートである。
【
図10】変形例2の第2例の情報処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)第1実施形態
第1実施形態を説明する。
【0012】
(1-1)第1実施形態の概要
第1実施形態の概要を説明する。
図1は、第1実施形態の概要の説明図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態のシミュレータ10は、シミュレーションの対象となる空間(以下「対象空間」という)SPにおけるウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションを実行する情報処理装置の一例である。シミュレータ10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0014】
(1)ユーザは、シミュレータ10にシミュレーション条件を与える。シミュレーション条件は、対象空間SPの形状(例えば、3次元形状)を含む。
【0015】
空間とは、外部と物理的に区切られた領域である。対象空間SPには、例えば、滞在者が滞在し、且つ、物体(一例として、什器)が配置される。
【0016】
(2)シミュレータ10は、ユーザが指定したシミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する。シミュレーションの結果は、対象空間SPに滞在可能な滞在者の上限数と、以下の少なくとも1つと、の組合せを含む。
・対象空間SPの形状
・対象空間SPに配置された吸気口の位置及び吸気量
・対象空間SPに配置された排気口の位置及び排気量
【0017】
(1-2)シミュレータの構成
図2を参照して、シミュレータ10の構成を説明する。
図2は、
図1のシミュレータの構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、シミュレータ10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、シミュレータ)のプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、シミュレータ10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0023】
入出力インタフェース13は、シミュレータ10に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、シミュレータ10に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0024】
通信インタフェース14は、シミュレータ10と外部装置(例えば、サーバ)との間の通信を制御するように構成される。
【0025】
(1-3)情報処理
本実施形態の情報処理を説明する。
図3は、第1実施形態のシミュレーションのフローチャートである。
図4は、
図3の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0026】
図3の情報処理の開始のトリガは、ユーザによるシミュレーションの開始の指示(例えば、シミュレータのプログラムの起動の指示)である。
【0027】
図3に示すように、シミュレータ10は、シミュレーション条件の取得(S110)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、画面P10(
図4)をディスプレイに表示する。
【0028】
画面P10は、フィールドオブジェクトF100~F105と、操作オブジェクトB100と、を含む。
【0029】
フィールドオブジェクトF100は、対象空間の形状に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0030】
フィールドオブジェクトF101は、対象空間に配置された吸気口の位置に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0031】
フィールドオブジェクトF102は、対象空間に配置された吸気口の吸気量に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0032】
フィールドオブジェクトF103は、対象空間に配置された排気口の位置に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0033】
フィールドオブジェクトF104は、対象空間に配置された排気口の排気量に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0034】
フィールドオブジェクトF105は、対象空間に滞在する滞在者の上限数に関するシミュレーション条件を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0035】
操作オブジェクトB100は、フィールドオブジェクトF100~F105に対する指定を確定させるためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0036】
ステップS110の後、シミュレータ10は、シミュレーション(S111)を実行する。
記憶装置11には、シミュレーションモデルが記憶されている。
【0037】
ステップS111の第1例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ、並びに、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ)との間の相関関係が記述されている。
【0038】
ステップS111の第2例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状と、対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つとの組合せ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つと、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数との組合せ)との間の相関関係が記述されている。
【0039】
ステップS111の第3例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状と、滞在者の上限数との組合せ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つと、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数との組合せ)との間の相関関係が記述されている。
【0040】
ステップS111の第1例~第3例は、互いに組合せ可能である。
【0041】
ユーザがフィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つにユーザ指示を与え、且つ、操作オブジェクトB100を操作すると、プロセッサ12は、フィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つに与えられたユーザ指示をステップS111の第1例~第3例の何れかのシミュレーションモデルに入力することにより、当該ユーザ指示に応じたシミュレーションの結果を計算する。
【0042】
ステップS111の後、シミュレータ10は、シミュレーションの結果の提示(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、画面P11(
図4)をディスプレイに表示する。
【0043】
画面P11は、表示オブジェクトA110と、操作オブジェクトB110と、を含む。
【0044】
表示オブジェクトA110は、以下のシミュレーションの結果を含む。
・ウイルス感染の確率を所定閾値以下に抑制するための対象空間の形状、対象空間に配置された吸気口の位置及び吸気量、対象空間に配置された排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ
・ウイルス感染の確率を所定閾値以下に抑制するための対象空間に滞在可能な滞在者の上限数
【0045】
操作オブジェクトB110は、シミュレーションを再実行するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0046】
(1-4)小括
本実施形態によれば、対象空間の形状を含むシミュレーション条件を用いて、以下の少なくとも1つのシミュレーションの結果を計算するためのシミュレーションを実行する。
・ウイルス感染のリスクを低減するための対象空間の形状、及び、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ
・対象空間に配置された吸気口の位置、及び、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ
・対象空間に配置された吸気口の吸気量、及び、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ
・対象空間に配置された排気口の位置、及び、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ
・対象空間に配置された排気口の排気量、及び、対象空間に滞在可能な滞在者の上限数の組合せ
これにより、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0047】
本実施形態によれば、シミュレーション条件は、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、吸気口及び排気口の少なくとも1つの条件を考慮して、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0048】
本実施形態によれば、シミュレーション条件は、滞在者の上限数を含んでもよい。
これにより、対象空間に滞在可能な滞在者の定員(例えば、飲食店の座席数)を容易に知ることができる。
【0049】
本実施形態によれば、シミュレーション条件は、対象空間における滞在者の活動パラメータを含んでもよい。
これにより、対象空間における滞在者の活動を考慮して、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0050】
(2)第2実施形態
第2実施形態を説明する。上述の実施形態と同様の説明は省略する。
【0051】
(2-1)第2実施形態の概要
第2実施形態の概要を説明する。
図5は、第2実施形態の概要の説明図である。
【0052】
(1)
図5に示すように、ユーザは、シミュレータ10にシミュレーション条件を与える。シミュレーション条件は、例えば、以下の少なくとも1つを含む。
・対象空間SPの形状(例えば、3次元形状)
・吸気口の位置及び吸気量
・排気口の位置及び排気量
・滞在者の上限数
【0053】
(2)シミュレータ10は、ユーザが指定したシミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する。シミュレーションの結果は、以下の少なくとも1つを含む。
・物体の位置
・物体の数
・物体の大きさ
【0054】
(2-2)情報処理
第2実施形態の情報処理を説明する。
図6は、第2実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0055】
図3に示すように、シミュレータ10は、
図3と同様に、シミュレーション条件の取得(S110)を実行する。
【0056】
ステップS110の後、シミュレータ10は、シミュレーション(S111)を実行する。
記憶装置11には、シミュレーションモデルが記憶されている。
【0057】
ステップS111の第1例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つ)との間の相関関係が記述されている。
【0058】
ステップS111の第2例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、排気口の位置及び排気量、並びに、滞在者の位置の少なくとも1つ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つ)との間の相関関係が記述されている。
【0059】
ステップS111の第3例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、排気口の位置及び排気量、並びに、対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つ)との間の相関関係が記述されている。
【0060】
ステップS111の第4例のシミュレーションモデルには、シミュレーション条件(例えば、対象空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の少なくとも1つ)と、シミュレーションの結果(例えば、ウイルス感染のリスクを低減するための物体の位置、数、及び、大きさ、並びに、対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つ)との間の相関関係が記述されている。
【0061】
ステップS111の第1例~第4例は、互いに組合せ可能である。
【0062】
ユーザがフィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つにユーザ指示を与え、且つ、操作オブジェクトB100を操作すると、プロセッサ12は、フィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つに与えられたユーザ指示をステップS111の第1例~第3例の何れかのシミュレーションモデルに入力することにより、当該ユーザ指示に応じたシミュレーションの結果を計算する。
【0063】
ステップS111の後、シミュレータ10は、シミュレーションの結果の提示(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、画面P11(
図6)をディスプレイに表示する。
【0064】
画面P11は、表示オブジェクトA110と、操作オブジェクトB110と、を含む。
【0065】
表示オブジェクトA110は、以下のシミュレーションの結果を含む。
・ウイルス感染の確率を所定閾値以下に抑制するための物体の位置、数、及び、物体の大きさ
・ウイルス感染の確率を所定閾値以下に抑制するための滞在者の位置及び活動パラメータ(例えば、活動の内容、活動時間、及び、活動の量の少なくとも1つ)
・ウイルス感染の確率を所定閾値以下に抑制するためのサーキュレータの位置、数、及び、風量
【0066】
操作オブジェクトB110は、シミュレーションを再実行するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0067】
(2-3)小括
第2実施形態によれば、以下の少なくとも1つのシミュレーション条件を用いて、シミュレーションの結果を計算するためのシミュレーションを実行する。
・対象空間の形状
・対象空間に配置される吸気口の位置及び吸気量
・対象空間に配置される排気口の位置及び排気量
・対象空間に滞在する滞在者の上限数
シミュレーションの結果は、対象空間に配置すべき物体の位置、数、及び、大きさの少なくとも1つを含む。
これにより、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0068】
本実施形態によれば、シミュレーション条件は、対象空間における滞在者の位置を含んでもよい。
これにより、対象空間において、ウイルス感染のリスクを抑制するための滞在者の配置(例えば、飲食店の座席表)の決定を支援することができる。
【0069】
本実施形態によれば、シミュレーション条件は、対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、対象空間に配置されたサーキュレータを考慮して、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0070】
本実施形態によれば、シミュレーションの結果は、対象空間に配置されるサーキュレータの位置、数、及び、風量の少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計をより支援することができる。
【0071】
(3)変形例
本実施形態の変形例を説明する。
【0072】
(3-1)変形例1
変形例1を説明する。変形例1は、シミュレーション条件が対象空間を改造するための予算を含む例である。
【0073】
(3-1-1)変形例1の情報処理
変形例1の情報処理を説明する。
【0074】
変形例1では、各シミュレーションモデルには、予算を含むシミュレーション条件と、予算内でウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションの結果との相関関係が記述されている。
【0075】
画面P10は、対象空間を改造するための予算を指定するためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトを含む。
【0076】
例えば、ステップS110(
図3又は
図8)において、ユーザが、第1実施形態又は第2実施形態と同様に、フィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つにユーザ指示を与え、当該フィールドオブジェクトに予算を入力し、且つ、操作オブジェクトB100を操作すると、プロセッサ12は、フィールドオブジェクトF100~F105の少なくとも1つに与えられたユーザ指示、及び、予算の組合せをシミュレーションモデルに入力することにより、当該ユーザ指示に応じたシミュレーションの結果を計算する。
【0077】
(3―1-2)変形例1の小括
変化例1によれば、ユーザは、予算の範囲内で改造可能な対象空間に関するシミュレーションの結果を計算する。
これにより、予算を考慮して、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0078】
(3-2)変形例2
変形例2を説明する。変形例2は、流体解析アプリケーションと連携するシミュレータの例である。
【0079】
(3-2-1)変形例2の第1例
変形例2の第1例を説明する。
【0080】
(3-2-1-1)変形例2の第1例の概要
変形例2の第1例の概要を説明する。
図7は、変形例2の第1例の概要の説明図である。
【0081】
図7に示すように、変形例2の第1例のシミュレータ10は、流体解析装置20と接続される。
【0082】
(1)ユーザは、シミュレータ10にシミュレーション条件を与える。シミュレーション条件は、対象空間SPの形状(例えば、3次元形状)、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の組合せを含む。
【0083】
(2)シミュレータ10は、ユーザによって与えられたシミュレーション条件を流体解析装置20に送信する。
【0084】
(3)流体解析装置20は、シミュレータ10から送信されたシミュレーション条件を用いて、対象空間SP内の気流分布に関する流体解析を実行する。流体解析装置20は、流体解析の結果をシミュレータ10に送信する。
【0085】
(4)シミュレータ10は、ユーザによって与えられたシミュレーション条件、及び、流体解析装置20から送信された流体解析の結果の組合せに応じたシミュレーションを実行する。シミュレーションの結果は、
図1のシミュレーションの結果と同様である。
【0086】
(3-2-1-2)変形例2の第1例の情報処理
変形例2の第1例の情報処理を説明する。
図8は、変形例2の第1例の情報処理のフローチャートである。
【0087】
図8の情報処理の開始のトリガは、ユーザによるシミュレーションの開始の指示(例えば、シミュレータのプログラムの起動の指示)である。
【0088】
図8に示すように、シミュレータ10は、
図3と同様に、シミュレーション条件の取得(S110)を実行する。
シミュレータ10は、シミュレーション条件を流体解析装置20に送信する。
【0089】
ステップS110の後、流体解析装置20は、流体解析(S220)を実行する。
具体的には、流体解析装置20には、流体解析モデルが記憶されている。流体解析モデルには、空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の組合せと、気流分布との相関関係が記述されている。
流体解析装置20は、ステップS110でシミュレータ10から送信されたシミュレーション条件を流体解析モデルに入力することにより、流体解析の結果(つまり、対象空間の気流分布)を計算する。
【0090】
ステップS220の後、流体解析装置20は、流体解析の結果の送信(S221)を実行する。
具体的には、流体解析装置20は、流体解析の結果をシミュレータ10に送信する。
【0091】
ステップS221の後、シミュレータ10は、シミュレーション(S210)を実行する。
具体的には、変形例2の各シミュレーションモデルには、気流分布と、シミュレーション条件(つまり、空間の形状、吸気口の位置及び吸気量、並びに、排気口の位置及び排気量の組合せ)と、ウイルス感染のリスクを低減するためのシミュレーションの結果との相関関係が記述されている。
プロセッサ12は、ステップS110で得られたシミュレーション条件と、ステップS221で流体解析装置20から送信された流体解析の結果と、をシミュレーションモデルに入力することにより、当該シミュレーション条件及び対象空間の気流分布の組合せに応じたシミュレーションの結果を計算する。
【0092】
ステップS210の後、シミュレータ10は、
図3と同様に、シミュレーションの結果の提示(S112)を実行する。
【0093】
(3―2-2)変形例2の第2例
変形例2の第2例を説明する。
【0094】
(3―2-2-1)変形例2の第2例の概要
変形例2の第2例の概要を説明する。
図9は、変形例2の第2例の概要の説明図である。
【0095】
図9に示すように、変形例2の第2例のシミュレータ10は、流体解析装置20と接続される。
【0096】
(1)ユーザは、
図1と同様に、シミュレータ10にシミュレーション条件を与える。
【0097】
(2)シミュレータ10は、ユーザが指定したシミュレーション条件に応じたシミュレーションを実行する。シミュレーションの結果1は、以下を含む。
・対象空間SPに配置された吸気口の位置及び吸気量
・対象空間SPに配置された排気口の位置及び排気量
シミュレータ10は、シミュレーションの結果1を流体解析装置20に送信する。
【0098】
(3)流体解析装置20は、シミュレータ10から送信されたシミュレーション条件を用いて、対象空間SP内の気流分布に関する流体解析を実行する。流体解析装置20は、流体解析の結果をシミュレータ10に送信する。
【0099】
(4)シミュレータ10は、ユーザによって与えられたシミュレーション条件、及び、流体解析装置20から送信された流体解析の結果の組合せに応じたシミュレーションを実行する。シミュレーションの結果2は、
図1のシミュレーションの結果と同様である。
【0100】
(3-2-2-2)変形例2の第2例の情報処理
変形例2の第2例の情報処理を説明する。
図10は、変形例2の第2例の情報処理のフローチャートである。
【0101】
図10の情報処理の開始のトリガは、ユーザによるシミュレーションの開始の指示(例えば、シミュレータのプログラムの起動の指示)である。
【0102】
図10に示すように、シミュレータ10は、
図3と同様に、シミュレーション条件の取得(S110)~シミュレーション(S111)を実行する。
シミュレータ10は、シミュレーションの結果を流体解析装置20に送信する。シミュレーションの結果は、流体解析に必要な情報を含む。流体解析に必要な情報は、例えば、以下を含む。
・対象空間の形状(つまり、シミュレーション条件)
・吸気口の位置及び吸気量(つまり、シミュレーションの結果)
・排気口の位置及び排気量(つまり、シミュレーションの結果)
【0103】
ステップS111の後、流体解析装置20は、流体解析(S220)を実行する。
具体的には、流体解析装置20は、ステップS110でシミュレータ10から送信されたシミュレーション条件を流体解析モデルに入力することにより、流体解析の結果(つまり、対象空間の気流分布)を計算する。
【0104】
ステップS220の後、流体解析装置20は、
図8と同様に、流体解析の結果の送信(S221)を実行する。
【0105】
ステップS221の後、シミュレータ10は、シミュレーション(S210)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110で得られたシミュレーション条件と、ステップS221で流体解析装置20から送信された流体解析の結果と、をシミュレーションモデルに入力することにより、当該シミュレーション条件及び対象空間の気流分布の組合せに応じたシミュレーションの結果を計算する。
【0106】
ステップS210の後、シミュレータ10は、
図3と同様に、シミュレーションの結果の提示(S112)を実行する。
【0107】
(3―2-3)変形例2の小括
変化例2によれば、任意のシミュレーション条件、及び、流体解析装置20による流体解析の結果(つまり、対象空間の気流分布)の組合せに応じたシミュレーションを実行する。
これにより、対象空間の気流分布を考慮して、ウイルス感染のリスクを抑制するための換気システムの設計や滞在者のコントロールを支援することができる。
【0108】
(4)その他の変形例
その他の変形例を説明する。
【0109】
記憶装置11は、ネットワークを介して、シミュレータ10と接続されてもよい。
【0110】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0111】
10 :シミュレータ
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
20 :流体解析装置