(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167245
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】遠隔監視支援装置
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072927
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】二口 剛
(72)【発明者】
【氏名】三浦 弘二
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304EA05
3F304ED18
(57)【要約】
【課題】エレベーターに発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止し、品質の高い遠隔監視を実現すること。
【解決手段】遠隔監視支援装置120が、エレベーター130のカゴ131に設けられた加速度センサー137から出力される信号に基づいて、カゴ131の動作状態を判断することにより、カゴ131の動作状態を簡易な構成、かつ、適正に判断することができ、当該判断結果に関する通知情報を管理サーバコンピューター110に送信することにより、検出されたトラブルなどに対応するために最適な作業員を迅速に現地に派遣することができる。これにより、エレベーター130に発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止し、品質の高い遠隔監視を実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのカゴに設けられた加速度センサーから出力される信号を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した信号に基づいて、前記カゴの動作状態を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果に関する通知情報を、前記エレベーターの遠隔地に設置された管理サーバコンピューターに送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする遠隔監視支援装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記カゴが停止しているか移動しているかを判断することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視支援装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記カゴの位置を判断することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視支援装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記カゴの異常振動の有無を判断することを特徴とする請求項1に記載の遠隔監視支援装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、
前記送信手段は、前記判断手段が前記動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合、前記エレベーターの状態に関する情報を含む前記通知情報を、前記管理サーバコンピューターに送信することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の遠隔監視支援装置。
【請求項6】
前記加速度センサーは、前記エレベーターの制御基板に接続されていないことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の遠隔監視支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの遠隔監視を支援する遠隔監視支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数階建ての建物などに設置されたエレベーターに対して、定期的に、あるいは当該エレベーターにおいて障害が発生した場合などに、作業員が保守のための診断をともなう点検作業(診断保守作業)をおこなうことにより、当該エレベーターの動作の適正を確保するようにしていた。
【0003】
また、従来、エレベーターの運行動作を制御する制御基板(制御装置)に通信機能を設け、エレベーターの遠隔地に設置された管理サーバコンピューターと当該制御基板との間で通信をおこなうことによって、エレベーターの遠隔地においてエレベーターの状態を監視するエレベーターの遠隔監視システムがあった。
【0004】
また、従来、通信機能を備えた端末装置をエレベーターの制御基板などに接続し、当該端末装置を介して、エレベーターの遠隔地において当該エレベーターの状態を監視するようにした技術があった。これにより、たとえば、設置時においては遠隔監視を想定していなかった旧型のエレベーターなどにおいても、エレベーターの設置後に遠隔監視をおこなうことができる。
【0005】
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、少なくとも、垂直方向の加速度センサと、水平方向の加速度センサと、乗り場方向の加速度センサとの3種類の加速度センサとを備え、これら3種類の加速度センサから得られる情報に基づいて複数の監視部によってエレベーターの異常を検出可能にした運行監視システムに関する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術は、いずれも、エレベーターを構成する複数の構成部から取得した情報に基づいて、エレベーターの故障などのトラブルが発生する予兆やトラブル自体(以下適宜「トラブルなど」という)の発生を検出するため、構成が複雑化する傾向にあるという現状があった。また、上述した従来の技術は、エレベーターに発生したトラブルなどを遠隔監視により検出した場合に現地におもむく作業員の経験や能力の差に起因して、トラブルなどへの対応作業の品質にばらつきが生じるという問題があった。
【0008】
また、一般的に、エレベーターの製造元(メーカー)自身や当該メーカーと提携するエレベーター管理会社(以下、適宜「メーカーなど」という)が取り付けた構成部は、エレベーターの制御基板により制御されており、メーカーなどとは独立したいわゆる「独立系のエレベーターのメンテナンスサービス会社」が、エレベーターの設置時に備える構成部を利用してメーカーなどと同等にエレベーターの情報を得ることが難しい。
【0009】
そして、このような事情から、エレベーターの管理責任者などによる保守管理は、エレベーターごとのメーカーなどが指定した範囲内でおこなわざるを得ず、エレベーターの管理責任者などによる保守管理の自由度が低くなる傾向にあった。このような状況において保守管理費の低減を図るために、保守点検の頻度を低く抑えると、エレベーターの利用者の安全性が損なわれるおそれがあるという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーターに発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止し、品質の高い遠隔監視を実現することができる遠隔監視支援装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーターに発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止するとともに、保守管理の自由度の向上と、エレベーターの利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができる遠隔監視支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターのカゴに設けられた加速度センサーから出力される信号を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した信号に基づいて、前記カゴの動作状態を判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に関する通知情報を、前記エレベーターの遠隔地に設置された管理サーバコンピューターに送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記判断手段が、前記カゴが停止しているか移動しているかを判断することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記判断手段が、前記カゴの位置を判断することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記判断手段が、前記カゴの異常振動の有無を判断することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記判断手段が、前記動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、前記送信手段が、前記判断手段が前記動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合、前記エレベーターの状態に関する情報を含む前記通知情報を、前記管理サーバコンピューターに送信することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記加速度センサーが、前記エレベーターの制御基板に接続されていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかる遠隔監視支援装置によれば、エレベーターに発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止し、品質の高い遠隔監視を実現することができるという効果を奏する。
【0019】
また、この発明にかかる遠隔監視支援装置によれば、エレベーターに発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止するとともに、保守管理の自由度の向上と、エレベーターの利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図2】遠隔監視システムを構成する各部のハードウエア構成を示す説明図である。
【
図3】遠隔監視支援装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】遠隔監視支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遠隔監視支援装置を含む遠隔監視システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(遠隔監視システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置を含む遠隔監視システムのシステム構成について説明する。
図1は、遠隔監視システムのシステム構成を示す説明図である。
図1に示すように、遠隔監視システム100は、管理サーバコンピューター110と、遠隔監視支援装置120と、を含む。
【0023】
管理サーバコンピューター110は、たとえば、監視対象となるエレベーター130が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター130が設置されている場所から離れた遠隔地に設置されている。具体的に、管理サーバコンピューター110は、たとえば、エレベーター130の保守管理を担う保守管理会社140などに設置することができる。
【0024】
保守管理会社140には、管理サーバコンピューター110のほか、エレベーター130のカゴ内の乗員と保守管理会社140のオペレーター141との直接通話を実現する電話機142が設置されている。電話機142は、公衆音声網101に直接接続されていてもよく、PBX(Private Branch eXchange:
図2における符号210を参照)を介して公衆音声網101に接続されていてもよい。
【0025】
管理サーバコンピューター110は、たとえば、汎用的なサーバコンピューター装置によって実現することができる。管理サーバコンピューター110には、パーソナルコンピュータなどによって実現される、操作用の端末装置143が接続されていてもよい。管理サーバコンピューター110と操作用の端末装置143とは、同じ場所に設置されていてもよく、異なる場所に設置されていてもよい。
【0026】
遠隔監視システム100による監視対象となるエレベーター130は、複数階建てのビル内などに設置され、人や物品を搭載するカゴ(乗りかご)131を備えている。カゴ131は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)内に設けられている。カゴ131は、1つの昇降路に1つずつ設けられている。
【0027】
昇降路には、カゴ131の昇降動作にかかわる駆動機構132が設けられている。駆動機構132は、たとえば、昇降路における上部に設けることができ、巻上機132a、ロープ132b、カウンタウエイト132cなどによって構成されている。また、駆動機構132は、さらに、電磁ブレーキや調速機を備えている(いずれも図示を省略する)。
【0028】
カゴ131は、扉131aを備えている。カゴ131内には、操作盤133が設けられている。操作盤133は、各種の操作ボタンを含む操作ボタン群や、カゴ131が位置する階床などを表示する表示器などを備えている。また、操作盤133は、マイクおよびスピーカーを備えており、インターフォンの機能を実現する。操作盤133は、操作盤133用の制御基板を備えている。
【0029】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)134には、扉134aが設けられている。乗り場134に設けられた扉134aは、インターロックなどと称される装置で施錠されている。エレベーター130が停止階に到着した状態で、カゴ131に設けられたモーター(図示を省略する)を駆動すると、カゴ131の扉131aの駆動機構部分とインターロックとがかみ合ってインターロックによる施錠が解放され、扉131aおよび扉134aが連動して開閉する。
【0030】
各乗り場134には、それぞれ、操作盤135が設置されている。操作盤135は、それぞれ、乗り場呼びボタンや、カゴ131が位置する階床などを表示する表示器などを備えている(いずれも図示を省略する)。各乗り場134に設けられた操作盤135は、それぞれ、操作盤135用の制御基板を備えている。
【0031】
エレベーター130は、エレベーター130が備える各部を駆動制御する制御基板135を備えている。制御基板135は、たとえば、巻上機132aを駆動制御し、カゴ131を昇降させる。また、制御基板135は、たとえば、操作盤133用の制御基板や操作盤135用の制御基板と接続されており、操作盤133用の制御基板や操作盤135用の制御基板との間で信号の送受信をおこなう。
【0032】
カゴ131には、加速度センサー137が設けられている。加速度センサー137は、たとえば、低ノイズで安定性の高い水晶加速度センサー137などの周波数変化式加速度センサー137を用いることができる。また、加速度センサー137は、圧電式の加速度センサー137、静電容量式の加速度センサー137、ピエゾ抵抗式の加速度センサー137などを用いてもよい。
【0033】
加速度センサー137は、エレベーター130の設置時にあらかじめエレベーター130が備えているものではなく、エレベーター130の設置後に後付けされたものによって実現することができる。なお、加速度センサー137は、エレベーター130の設置時にあらかじめエレベーター130が備えているものであってもよい。
【0034】
遠隔監視支援装置120は、インターネットなどのネットワーク102を介して、管理サーバコンピューター110に接続されている。このため、遠隔監視支援装置120は、管理サーバコンピューター110との間で通信をおこなうことができる。また、遠隔監視支援装置120は、通信機能を備えており、無線または有線により加速度センサー137と接続されている。遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137から出力される信号を取得し、取得した信号に基づいてカゴ131の動作状態を判断する。
【0035】
加速度センサー137は、重力、振動などの動き、傾き、衝撃などを検出することができることから、遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137から出力される信号に基づいて、たとえば、カゴ131が停止しているか移動しているかを判断することができる。また、遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137から出力される信号に基づいて、カゴ131の位置を判断してもよい。また、遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137から出力される信号に基づいて、カゴ131の異常振動の有無を判断してもよい。さらに、遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137から出力される信号に基づいて、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断してもよい。
【0036】
そして、遠隔監視支援装置120は、判断結果に関する情報を、管理サーバコンピューター110に送信する。このように、加速度センサー137から出力される信号に基づく判断結果に関する通知情報を、管理サーバコンピューター110に送信することにより、エレベーター130の遠隔地の保守管理会社140において、カゴ131の動作状態を遠隔監視することができる。
【0037】
また、遠隔監視支援装置120は、無線または有線により制御基板136と接続されていてもよい。この場合、遠隔監視支援装置120は、制御基板136および管理サーバコンピューター110との間で通信をおこなうことにより、エレベーター130の状態に応じて管理サーバコンピューター110から出力された動作指示を、制御基板136に出力することができる。これにより、エレベーター130の遠隔地の保守管理会社140において、エレベーター130を遠隔制御することができる。
【0038】
遠隔監視支援装置120は、さらに、公衆音声網101を介して、電話機142に接続されている。公衆音声網101は、固定電話網(公衆交換電話網)および携帯電話網を含む。これにより、エレベーター130のカゴ131の中にいる者と保守管理会社140のオペレーター141とが直接通話することができる。遠隔監視支援装置120と電話機142とは、公衆音声網101に代えて、ネットワーク102を介して接続されていてもよい。
【0039】
(遠隔監視システム100を構成する各部のハードウエア構成)
つぎに、遠隔監視システム100のハードウエア構成について説明する。
図2は、遠隔監視システム100を構成する各部のハードウエア構成を示す説明図である。
図2に示すように、制御基板136は、巻上機132a、操作盤133(操作盤133用の制御基板)、操作盤135(操作盤135用の制御基板)、加速度センサー137を除く各種センサー(図示を省略する)など、エレベーター130を構成する各構成部と信号線を介して接続されており、当該各構成部を駆動制御する。制御基板136は、エレベーター130が備える各構成部から出力された信号(上り信号)を取得したり、当該上り信号に基づいて各構成部に対して制御用の信号(下り信号)を出力するなどして、エレベーター130の運行動作を制御する。
【0040】
上述した操作盤133用の制御基板は、エレベーター130の利用者などによる操作ボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた上り信号を生成し、生成した上り信号を制御基板136に出力する。制御基板136は、たとえば、操作盤133の非常ボタンが操作されたことを示す上り信号を取得した場合、遠隔監視支援装置120に対して、非常ボタンが操作されたことを発報する発報用の信号を出力する。
【0041】
また、制御基板136は、上り信号などに基づいて、エレベーター130の運行異常を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して、運行異常を検出したことを発報する発報用の信号を出力する。制御基板136は、たとえば、地震、カゴ131の異常停止、カゴ131内の照度不足、カゴ131内での異常な音声を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力する。
【0042】
具体的に、制御基板136は、たとえば、所定の震度(たとえば震度4)以上の地震を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力する。また、具体的に、制御基板136は、たとえば、階床と階床との間のような、カゴ131および乗り場134の扉の開閉ができない位置におけるカゴ131の異常停止を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力する。
【0043】
また、具体的に、制御基板136は、たとえば、カゴ131内に取り付けたフォトトランジスタやフォトダイオードなどの照度センサー(図示を省略する)を用いてカゴ131内の照度不足を検出し、カゴ131内の照度不足を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力してもよい。また、具体的に、制御基板136は、たとえば、操作盤133が備えるマイクを用いて、悲鳴や怒鳴り声などのように、通常の会話の域を超える強さ(大きさ)の異常な音を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力してもよい。
【0044】
また、具体的に、制御基板136は、たとえば、扉131a、134aを開閉動作させる制御用の信号を出力したにもかかわらず、扉開閉センサーの出力値に基づいて該当する扉131a、134aが動作しないことを検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力する。また、具体的に、制御基板136は、たとえば、カゴ131内に乗員が閉じ込められる運行異常(故障)を検出した場合に、遠隔監視支援装置120に対して発報用の信号を出力する。
【0045】
操作盤135用の制御基板は、操作盤133用の制御基板と同様に、エレベーター130の利用者などによる乗り場呼びボタンに対する入力操作を受け付けるごとに、当該入力操作に応じた呼びの上り信号を生成し、生成した呼びの上り信号を制御基板136に出力する。操作盤135用の制御基板から呼びの上り信号が出力された場合、制御基板136は、操作盤133用の制御基板から信号が出力された場合と同様に、操作盤135用の制御基板から出力された呼びの上り信号に基づいて各種の制御用の下り信号を生成し、生成した制御用の下り信号を該当する各部に出力することによってエレベーター130の運行動作を制御する。
【0046】
遠隔監視支援装置120は、通信I/F(InterFace)201、中継基板202、監視制御基板203、メモリ204などを備えている。通信I/F201は、加速度センサー137に接続され、加速度センサー137から出力される信号の入力を受け付ける。通信I/F201は、加速度センサー137から入力を受け付けた信号を、監視制御基板203に出力する。
【0047】
また、通信I/F201は、ネットワーク102に接続されている。これにより、遠隔監視支援装置120は、通信I/F201を介して、管理サーバコンピューター110と通信(データ通信)をおこなうことができる。通信I/F201は、データ通信をおこなうネットワーク102に加えて、音声通信をおこなうネットワークである公衆音声網101に接続されている。これにより、エレベーター130のカゴ131の中にいる者と保守管理会社140のオペレーター141とが直接通話することができる。
【0048】
中継基板202は、制御基板136から出力される各種の信号を解析し、解析結果を監視制御基板203に出力する。制御基板136から出力される各種の信号は、エレベーター130の機種などに応じて異なる。中継基板202は、解析に際して、制御基板136から出力される各種の信号を、監視制御基板203が処理可能なフォーマットに変換して出力する。これにより、エレベーター130の機種の違いにかかわらず、当該エレベーター130の遠隔監視をおこなうことができる。
【0049】
監視制御基板203は、中継基板202から出力された解析結果を、たとえば、メモリ204に記憶する。監視制御基板203は、中継基板202が入力を受け付けた信号を、解析することなく直接メモリ204に記憶してもよい。監視制御基板203は、CPU(Central Processing Unit)などによって実現することができる。
【0050】
メモリ204は、電源の供給が絶たれた場合にも記憶した情報を保持する不揮発性の記憶媒体によって実現することができる。具体的には、メモリ204は、たとえば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などによって実現することができる。
【0051】
また、監視制御基板203は、中継基板202から出力された解析結果に基づいて送信用の信号を生成し、生成した送信用の信号を、ネットワーク102に接続された通信I/F201を介して、管理サーバコンピューター110へ送信する。具体的に、監視制御基板203は、たとえば、制御基板136から出力された、非常ボタンが操作されたことを示す信号(発報用の信号)を中継基板202を介して取得した場合、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信する。
【0052】
具体的に、監視制御基板203は、たとえば、異常運行を示す信号(発報用の信号)が制御基板136から出力され、当該発報用の信号を中継基板202を介して取得した場合、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信する。
【0053】
また、監視制御基板203は、非常ボタンが操作された場合のほか、地震、カゴ131の異常停止、カゴ131内の照度不足、操作盤133が備えるマイクを用いて取得した機械異常音や、悲鳴や怒鳴り声などのような異常な音、扉131a、134aが動作しないこと、カゴ131内に乗員が閉じ込められたことなどを示す各信号(いずれも発報用の信号)が制御基板136から出力され、当該発報用の信号を中継基板202を介して取得した場合に、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信する。
【0054】
あるいは、監視制御基板203は、エレベーター130が備える各部から出力された信号(上り信号)や、制御基板136からエレベーター130が備える各部に対して出力された信号(下り信号)を中継基板202を介して取得し、取得した信号に基づいて、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信するものであってもよい。
【0055】
具体的には、監視制御基板203は、たとえば、エレベーター130が備えるセンサーから制御基板136に対して、扉131a、134aが動作しないことを示す上り信号を取得し、取得した信号に基づいて、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信する。また、具体的には、監視制御基板203は、たとえば、制御基板136から巻上機132aに対して非常停止を指示する下り信号を取得し、取得した信号に基づいて、管理サーバコンピューター110に対して、エレベーター130において異常運行が検出されたことを示す所定の信号を送信する。
【0056】
また、監視制御基板203は、たとえば、非常ボタンが操作されたことを示す信号(発報用の信号)が制御基板136から出力され、当該発報用の信号を中継基板202を介して取得した場合、公衆音声網101などを介して、電話機142に呼出信号を送出する。これにより、カゴ131内の乗員は、操作盤133が備えるマイクおよびスピーカーを用いて、保守管理会社140のオペレーター141との間において音声通信(通話)をおこなうことができる。
【0057】
(遠隔監視支援装置120の機能的構成)
つぎに、遠隔監視支援装置120の機能的構成について説明する。
図3は、遠隔監視支援装置120の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、遠隔監視支援装置120の機能は、取得部301と、判断部302と、記憶部303と、送信部304と、によって実現される。
【0058】
取得部301は、加速度センサー137から出力される信号を取得する。取得部301は、具体的には、たとえば、加速度センサー137に接続された通信I/F201によって実現することができる。また、取得部301は、加速度センサー137以外の、エレベーター130が備える各構成部から出力される信号を取得してもよい。この場合、取得部301は、たとえば、管理サーバコンピューター110から遠隔監視支援装置120に出力された所定の信号を取得した場合に、加速度センサー137以外の、エレベーター130が備える各構成部から出力される信号を取得する。あるいは、取得部301は、加速度センサー137以外の、エレベーター130が備える各構成部から出力される信号を常時取得してもよい。
【0059】
判断部302は、取得部301が取得した信号に基づいて、カゴ131の動作状態を判断する。判断部302は、たとえば、カゴ131が停止しているか移動しているかを判断する。判断部302は、カゴ131が移動していると判断した場合、さらに、カゴ131の移動速度が、あらかじめ定められた上限値を上回っていないかどうか、あらかじめ定められた下限値を下回っていないかどうか、を判断してもよい。
【0060】
また、判断部302は、たとえば、カゴ131の位置を判断してもよい。また、判断部302は、たとえば、カゴ131の異常振動の有無を判断してもよい。判断部302は、具体的には、たとえば、監視制御基板203によって実現することができる。
【0061】
判断部302は、さらに、取得部301が取得した信号に基づいて、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断してもよい。判断部302は、たとえば、カゴ131が異常振動している場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。また、判断部302は、たとえば、あらかじめ定められた値以上の加速度が検出された場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。また、判断部302は、たとえば、あらかじめ定められた値以上の衝撃がカゴ131に加わった場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。また、判断部302は、カゴ131が、あらかじめ定められた値以上傾いている場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。
【0062】
記憶部303は、取得部301が取得した信号や、判断部302の判断結果に関する情報などを記憶する。記憶部303は、具体的には、たとえば、メモリ204によって実現することができる。記憶部303は、取得部301が取得した信号、および、判断部302の判断結果に関する情報のいずれか一方を記憶してもよく、両方を記憶してもよい。
【0063】
送信部304は、判断部302の判断結果に関する通知情報を、管理サーバコンピューター110に送信する。送信部304は、具体的には、たとえば、ネットワーク102に接続された通信I/F201によって実現することができる。送信部304は、判断部302の判断結果に関する通知情報を、当該判断をおこなうごとに管理サーバコンピューター110に送信してもよく、所定間隔ごとに管理サーバコンピューター110に送信してもよい。通知情報を所定間隔ごとに管理サーバコンピューター110に送信する場合、送信部304は、記憶部303に記憶された情報のうち、管理サーバコンピューター110に送信していない情報を送信する。
【0064】
また、送信部304は、判断部302が、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合にのみ、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないことを示す通知情報を、管理サーバコンピューター110に送信してもよい。この場合、送信部304は、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないことを示す通知情報に加えて、記憶部303に記憶された情報のうち、管理サーバコンピューター110に送信していない情報をあわせて送信してもよい。
【0065】
通知情報は、たとえば、加速度センサー137の出力値であってもよく、判断部302の判断結果(カゴ131が停止しているか移動しているか、カゴ131の位置、カゴ131の異常振動の有無など)を通知する情報であってもよい。また、通知情報は、たとえば、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないことを通知する情報であってもよい。通知情報は、加速度センサー137から出力される信号を取得した日時や、当該判断をおこなった日時を示す情報を含んでいてもよい。
【0066】
(遠隔監視支援装置120の処理手順)
つぎに、遠隔監視支援装置120の処理手順について説明する。
図4は、遠隔監視支援装置120の処理手順を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、まず、加速度センサー137から出力された信号(加速度センサー137の出力信号)を取得するまで待機する(ステップS401:No)。
【0067】
ステップS401において、加速度センサー137から出力された信号を取得した場合(ステップS401:Yes)、取得した信号に基づいて、カゴ131の動作状態を判断する(ステップS402)。ステップS402においては、たとえば、カゴ131が停止しているか移動しているかを判断する。また、ステップS402においては、たとえば、カゴ131の位置や、カゴ131の異常振動の有無などを判断してもよい。
【0068】
つぎに、ステップS401:Yesにおいて取得した信号に基づいて、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断する(ステップS403)。ステップS403においては、たとえば、あらかじめ定められた値以上の加速度が検出された場合や、あらかじめ定められた値以上の衝撃がカゴ131に加わった場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。また、ステップS403においては、たとえば、カゴ131が、あらかじめ定められた値以上傾いている場合に、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではないと判断する。ステップS403においては、ステップS402における判断結果に基づいて、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断してもよい。
【0069】
ステップS403において、カゴ131の動作状態が通常動作状態ではない場合(ステップS403:No)、通知情報を生成する(ステップS404)。その後、管理サーバコンピューター110に対して、ステップS404において生成した通知情報を送信して(ステップS405)、一連の処理を終了する。
【0070】
一方、ステップS403において、カゴ131の動作状態が通常動作状態である場合(ステップS403:Yes)、メモリ204に判断結果に関する情報を記憶して(ステップS406)、ステップS401へ移行する。ステップS406において記憶した情報は、ステップS404において、通知情報とあわせて管理サーバコンピューター110へ送信される。
【0071】
上述した実施の形態においては、カゴ131に後付けした加速度センサー137を用いて、エレベーター130に後付けした遠隔監視支援装置120によりカゴ131の動作状態を監視する例について説明したが、これに限るものではない。加速度センサー137は、エレベーター130の設置時にカゴ131に設けられていたものであってもよく、エレベーター130の設置後に後付けされた装置が備えるものであってもよい。
【0072】
エレベーター130の設置後に後付けされた装置は、たとえば、カゴ131内において広告や運行状況、あるいは、点検予定などの管理情報を報知するタブレット端末によって実現することができる。このように、エレベーター130の設置後に後付けされた装置が備える機能を利用することにより、保守管理費の低減と、エレベーター130の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができる。
【0073】
さらに、タブレット端末などの、エレベーター130の設置後に後付けされた装置が通信機能を備える場合、この発明にかかる遠隔監視支援装置120を、当該エレベーター130の設置後に後付けされた装置によって実現することができる。これにより、保守管理費の一層の低減と、エレベーター130の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができる。
【0074】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、エレベーター130のカゴ131に設けられた加速度センサー137から出力される信号に基づいて、カゴ131の動作状態を判断し、当該判断結果に関する通知情報を管理サーバコンピューター110に送信することを特徴としている。
【0075】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、カゴ131に設けられた加速度センサー137から出力される信号に基づいてカゴ131の動作状態を判断することにより、カゴ131の動作状態を簡易な構成、かつ、監視制御基板203に設定された一定の条件にしたがって適正に判断することができる。
【0076】
また、遠隔監視支援装置120が管理サーバコンピューター110と通信をおこなうことができるため、設置時において外部装置との通信機能を備えているエレベーター130に限らず、設置時に通信機能を備えていないエレベーター130であっても、カゴ131に加速度センサー137や遠隔監視支援装置120を後付けすることにより、判断結果に関する情報を管理サーバコンピューター110に送信することができる。
【0077】
これにより、判断結果に関する情報を、管理サーバコンピューター110と遠隔監視支援装置120とが共有することができ、管理サーバコンピューター110においても画一した判断基準に基づいて、トラブルなどの発生を迅速かつ確実に検出し、検出されたトラブルなどに対応するために最適な作業員を、管理サーバコンピューター110などを利用して選定し、迅速に現地に派遣することができる。
【0078】
そして、検出されたトラブルなどに対応するために最適な作業員を、迅速に現地に派遣することにより、エレベーター130に発生したトラブルなどに早急に対応することができる。これにより、エレベーター130が利用できない時間を短くして、エレベーター130の利用者の利便性を確保することができる。
【0079】
このように、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター130に発生したトラブルなどへの対応作業の品質に、作業員の経験や能力の差に起因してばらつきが生じることを簡易な構成によって防止し、品質の高い遠隔監視を実現することができる。
【0080】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、画一した判断基準に基づいて、巻上機132aにおいて発生したトラブルなどの発生を検出することにより、作業員の経験に基づいてトラブルなどの発生を検出あるいは予測する従来の方法と比較して、作業員の教育期間の短縮を図ることができる。
【0081】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、具体的には、たとえば、トラブルが発生する予兆を発見するタイミングにばらつきが生じることを防止して、適切なタイミングでエレベーター130の保守点検やエレベーター130の構成部の交換などをおこなうことができるので、利用者の安全性を確保してエレベーター130に対する信頼性の向上を図り、当該利用者に安心してエレベーター130を利用させることができるという、品質の高い遠隔監視を実現することができる。
【0082】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター130の巻上機132aに関連するトラブルが発生する予兆を発見しやすくすることができるので、実際にトラブルが発生する前に対応し、作業員が緊急出動する事態の発生を低減することができる。
【0083】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター130の巻上機132aに関連するトラブルが発生する予兆を発見しやすくすることにより、交換用部品などの購入・在庫計画の効率化および精度向上を図ることができる。そして、これによって、エレベーター130の運用管理にかかる各種のコストの低減を図ることができる。
【0084】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、カゴ131が停止しているか移動しているかを判断することを特徴としている。
【0085】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター130の起動回数を把握することができるので、エレベーター130を構成する部品の消耗程度を把握し、エレベーター130の点検頻度や部品交換の時期を適切に設定することができる。これにより、エレベーター130の点検頻度や部品交換を適切におこなうことができ、保守管理費の低減と、作業員の負担軽減を図ることができる。
【0086】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、カゴ131の位置を判断することを特徴としている。
【0087】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、たとえば、カゴ131の停止時に、カゴ131の床面と乗り場134の床面との位置が合っているかを判断することができ、カゴ131の床面と乗り場134の床面とに段差が生じるような不具合を早期に発見することができる。これにより、エレベーター130に対する信頼性の向上を図り、利用者の安全性を確保し、当該利用者に安心してエレベーター130を利用させることが可能になる。
【0088】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、カゴ131の異常振動の有無を判断することを特徴としている。
【0089】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、故障の予兆を迅速に検出することができるので、実際に故障が発生する前に故障を防止する対応をとることができる。これにより、実際に故障が発生してから部品を交換するなどの対応をおこなう場合と比較して、点検に際してエレベーター130を利用できない時間を短縮することができ、利用者の安全性を確保してエレベーター130に対する信頼性の向上を図り、当該利用者に安心してエレベーター130を利用させることができる。
【0090】
さらに、遠隔監視支援装置120においては、カゴ131が停止しているか移動しているかの判断と、カゴ131の位置の判断とを並行しておこなうことによりカゴ131の走行距離を特定することができる。これによっても、エレベーター130を構成する部品の消耗程度を把握し、エレベーター130の点検頻度や部品交換の時期を適切に設定することができ、エレベーター130の点検頻度や部品交換を適切におこない、保守管理費の低減と、作業員の負担軽減を図ることができる。
【0091】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを判断し、動作状態が通常動作状態ではないと判断した場合に、エレベーター130の状態に関する情報を含む通知情報を、管理サーバコンピューター110に送信することを特徴としている。
【0092】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、カゴ131の動作状態が通常動作状態であるか否かを遠隔監視支援装置120が判断し、通常動作状態ではないと判断した場合に、その旨を管理サーバコンピューター110に通知することができる。
【0093】
これにより、遠隔監視支援装置120との通信をおこなう管理サーバコンピューター110の処理負担の軽減を図るとともに、通常動作状態ではない状況が発生した場合は、当該状況に対応するために最適な作業員を、迅速に現地に派遣し、エレベーター130に発生したトラブルなどに早急に対応し、エレベーター130が利用できない時間を短くして、エレベーター130の利用者の利便性を確保することができる。
【0094】
また、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120は、加速度センサー137が、エレベーター130の制御基板に接続されていないことを特徴としている。
【0095】
この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、エレベーター130の制御基板に接続されていない加速度センサー137から出力される信号に基づいてカゴ131の動作状態を判断することにより、カゴ131に後付けした加速度センサー137を用いてエレベーター130の遠隔監視をおこなうことができる。これにより、独立系のエレベーター130のメンテナンスサービス会社が、エレベーター130の動作状態を当該エレベーター130の遠隔地から監視することができる。
【0096】
独立系のエレベーター130のメンテナンスサービス会社が、エレベーター130の設置時に、あらかじめ、遠隔監視に要するセンサーなどの部品を配備することが難しいという状況においては、エレベーター130の管理責任者などによる保守管理は、エレベーター130ごとのメーカーなどが指定した範囲内でおこなわざるを得ず、エレベーター130の管理責任者などによる保守管理の自由度が低いという状況があった。
【0097】
加えて、一般的に、制御基板136と管理サーバコンピューター110との通信は、メーカーごとに固有の信号を用いて通信がおこなわれていることが多く、エレベーター130ごとのメーカーなどが、エレベーター130の保守管理に要する費用(保守管理費)を一意に設定しやすいため、エレベーター130の管理責任者などが負担する保守管理費の低減を図ることが難しいという状況があった。
【0098】
エレベーター130の利用者の安全性や安心感は、エレベーター130の保守点検の頻度が高いほど高まる傾向にある一方で、上記のような状況において保守管理費の低減を図るために、保守点検の頻度を、国土交通省の指針で規定された最低限度あるいはそれに近い頻度に抑えることによって対応すると、保守管理費の低減を含む保守管理の自由度の向上と、エレベーター130の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることが難しくなってしまう。
【0099】
これに対し、この発明にかかる実施の形態の遠隔監視支援装置120によれば、独立系のエレベーター130のメンテナンスサービス会社であってもエレベーター130の遠隔監視をおこなうことができるので、独立系のエレベーター130のメンテナンスサービス会社がエレベーター130の遠隔監視事業に参入することが可能になり、保守管理費の低減を含む保守管理の自由度の向上と、エレベーター130の利用者の安全性の向上と、の両立を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、この発明にかかる遠隔監視支援装置は、エレベーターの遠隔監視を支援する遠隔監視支援装置に有用であり、特に、独立系のエレベーターのメンテナンスサービス会社によるエレベーターの遠隔監視を支援する遠隔監視支援装置に適している。
【符号の説明】
【0101】
100 遠隔監視システム
110 管理サーバコンピューター
120 遠隔監視支援装置
130 エレベーター
131 カゴ
134 乗り場
136 制御基板
137 加速度センサー
140 保守管理会社
201 通信I/F
202 中継基板
203 監視制御基板
204 メモリ
301 取得部
302 判断部
303 記憶部
304 送信部