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▶ 坂倉 貢司の特許一覧

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  • 特開-無撚り構造を持つロープ製造方法 図1
  • 特開-無撚り構造を持つロープ製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167250
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】無撚り構造を持つロープ製造方法
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/02 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
D07B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072934
(22)【出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】719001299
【氏名又は名称】坂倉 貢司
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 貢司
(72)【発明者】
【氏名】小野田 智幸
【テーマコード(参考)】
3B153
【Fターム(参考)】
3B153AA08
3B153AA22
3B153BB01
3B153DD27
3B153FF01
3B153FF35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドローンに搭載可能な軽量且つ細線構造をもつロープの製造工程を提供する。
【解決手段】産業用ロープの製造工程において、無撚り構造の単体ロープを複数本撚ることでロープ製品とする加工工程において、単体ロープを複数本撚る過程で、単体ロープに撚りが与えられ、捩れる事でロープ製品が太く重くなることを防止する機構を持つロープ製造工程。
【効果】単位長当たりのロープ製品太さを低減し、200メーターのロープ重量は8キログラム、ロープ製品の直径は、余裕を見込んで8ミリ以下、22kNの対引張強度とする、概200メーターの送電線用鉄塔間に敷設する送電線の索引ロープとしてドローンに搭載可能なロープを提供できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロープの製造工程において、無撚り構造の単体ロープを複数本撚ることでロープ製品とする加工工程において、単体ロープを複数本撚る過程で、単体ロープに撚りが与えられ、捩れる事でロープ製品が太く重くなることを防止する機構を持つロープ製造工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場において、近年のヘリコプターによる送電線鉄塔間のワイヤー敷設活用が多用される中、敷設廉価化と工期短縮化の目的で、ドローンにワイヤー敷設に先立つ長尺牽引ロープを搭載し、敷設し、索引ロープに接続されたワイヤーロープを敷設終点で巻き取ることでワイヤー敷設するアイデアの実現化が要望されてきた。しかし、従来のロープでは、ドローンの運搬耐荷重制限や送電線鉄塔間の距離分のリール巻き取り径を積載するスペースがなく運用が困難であった。ドローンの運用阻害要因を低減すべく、軽量且つ細線構造をもつことで対応可能とするため、ロープ構成要素に無撚り構造を織り込むことで軽量細線化を可能とするための製造方法を確立させた。
当該技術分野は、ロープを構成する複数本の単ロープ部分に無撚り構造を持つロープの製造方法である。
【背景技術】
【0002】
電力自由化に伴う送配電部門の独立によって質の高い電気の供給をする必要があるため、送電線の張替えの需要が増加している。しかしながら、現在、張替工事は、鉄塔間に送電線を敷設するのにヘリコプターを使って、牽引ロープを始点から終点まで敷設した後、送電用ロープ(本線)を牽引ロープの始点側に接続し、ロープを終点で巻き取り、本線を敷設する。牽引ロープは始点から終点までの自重に耐える引張り耐力かつ始点側で接続された本線を鉄塔敷設位置まで引き上げる際に、その高度に耐えなければならない。そのため、牽引ロープは引張強度が最優先に必要であるが、軽量化が困難なため、敷設にヘリコプターが必要であり、工事費が高額となり、また天候の都合で工期が延長されることもある。しかしながら、近年、イザナスやケプラーなどのスーパー繊維の登場で、細くて強度のあるロープが作れるようになったこと、また、ドローンの技術進化により、ドローンの性能がよくなったことを踏まえて、ドローンでの牽引を可能とする軽量のロープを開発することで、張替工事費の削減、工期の短縮、作業員の安全性の確保と消費エネルギーの削減を図ることである。
従来のロープは、単ロープを撚ってから、単ロープを数本束ねて撚り合わせて構成することで、柔軟性、伸縮性を持つことで、瞬間的な引張り力が与えられた場合においても、切断すること無く使用できることで産業用においては当該構造が必須の条件であった。しかしながら、単ロープを撚り、さらにロープ製品形状を行う加工時に、複数単ロープを撚り合わせることで、単ロープに掛かった撚りがさらに、単ロープに撚り方向に回転力が掛かり、その結果撚り増しされて単位メーター当たりの重量が増加し、太く、重いロープとなっていた。前述のスーパー繊維を使用することで軽減されるが、従来の製造方法においては、限界があり、スーパー繊維の高強度を活かしたロープ製造方法が望まれていた。 上記問題を解決するための技術として、単ロープを複数撚り合わせるロープ製品形状加工時に、当該工程における、単ロープに与えられた撚りと、撚り増しをキャンセルし、単ロープの無撚り状態を保ち、均等構造になるようにし、重量増加とロープ直径寸法の無用な増加が発生しないロープ製品を得る工程がドローンによる牽引ロープでの工事現場の要求を満たす必要性があった。
ドローンが安定して送電線鉄塔間をロープと付帯する巻き取り装置の総重量を装備して飛行する為には、200メーターの鉄塔間に常時吹く風速を考慮すると、200メーターのロープ重量は8キログラムまでとする必要ある。
また、ドローンに設置する巻取り装置の可搬限界直径からロープ製品の直径は、余裕を見込んで8ミリ以下にする必要がある。
鉄塔間にドローンが牽引ロープを渡し終え始点に接続された本線を、終点で牽引ロープを巻き取ることで鉄塔間を簡単且つ短時間に敷設するために牽引ロープが終点で引き上げるため、22kNの対引張強度が必要となる。これらの条件に適合するロープ製品は、高強力ポリエチレン繊維を使用しても、無用な撚りを入れることでは成立しないため、通常のロープ製品製造加工において、撚り増しが入らない、もしくは単ロープに加えられた撚りや、撚り増しを戻す加工方法が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願昭53-56053号公報
【特許文献2】特開2010-227035号公報
【特許文献3】特表昭61-503040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行特許文献を3例によると、無撚りの構造体を謳うロープ製品形状、もしくはその加工法を特徴とされている事例が見受けられるが、具体的な無撚り又は概無撚りの工法が示されたおらず、ロープ製品を形成する際に積極的に撚りを入れなかったことによる概無撚り形状結果を記述されているのみである。
本発明は、背景技術で示した産業界が要求する軽量、細線化を解決課題に取り組んだ結果として、単ロープをより合わせてロープ製品に完成させる工程で、単ロープ部に撚りや、撚り増しされてしまう撚りを解除する工程の考案である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
通常工程は、1原糸投入、2原糸のクリル立て準備、3単ロープ撚糸と追撚、4ボビンへ巻き取り、5ロープ製品加工機、6巻き取りで完成品となる。一方、本発明は、3単ロープ撚糸と追撚工程までは同一であるが、撚り数は低く設定される。これは一旦単ロープに撚りを入れ無ければボビン巻き取ることができない為である。
4ボビンへ巻き取りと5ロープ製品加工機が本発明工程となる。通常工程4と5を本発明工程では改4改5と表すこととし、改4ボビンへ巻き取りを特殊ボビンへの巻き取り、改5の本発明にて改造したロープ製品加工、6巻き取りで完成品となる。改5のロープ製品加工機工程は通常工程と発明工程と同じでは無く、撚りを解除する構造を持つことと、その機構に適した特殊ボビンにすることの両条件にて本課題の解決の為の手段が成立する。
改5のロープ製品加工機工程は、単ロープを束ねてロープ製品としてより合わせる過程において、各単ロープが巻かれたボビンから引き出される。当該ボビンは、ロープ製品加工機のターンテーブルに製品ロープに必要な単ロープの構成本数が円形状ターンテーブル外縁部に等間隔で設置され、そこから単ロープが引き出され、撚りながら巻取機で巻き挙げられる。ところが、ターンテーブルは製品ロープに撚りを入れるために回転するが、その回転に合わせて単ロープボビンも回転することになる。一般ロープ製品は当該ターンテーブルの回転に合わせて単ロープボビンも回転していくために、撚り増しが入ってしまう。当該発明は、単ロープボビンにターンテーブルの回転の回転を打ち消す、もしくは積極的に逆回転を与えることにより、撚り戻しを可能とする機構を有する。特殊ボビンの両端の円盤状板部に、製品ロープ加工機のターンテーブルの回転機構に同調するノッチ部を設け、ターンテーブルの回転部に合致させる機構を設け、撚り増しされる逆回転方向に回転力を付与し、単ロープで与えられた撚りと、ターンテーブルの回転で入る撚り増しを解除する。逆回転力は、例えば、ロープ製品加工機のターンテーブル機構からギアで伝達された逆方向力を使用することや、電動モーターに摩擦クラッチ板を介して動力を付加しても良い。当該発明は、その付加機構については撚り増しの回転力を打ち消すことが可能であれば良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、200メーターのロープ重量は8キログラム、ロープ製品の直径は、余裕を見込んで8ミリ以下、22kNの対引張強度を持つ、ドローンに搭載可能なロープ製品が提供可能となる。ヘリコプターが着陸不可能な山間谷間においてもドローンの運用が可能となり、無人無線操縦であるため人的な損失も無く、工期の短縮と省人化、ヘリコプターのチャーター費用削減を図ることができる。軽量小直径高強力のロープ製品は、この他にも、農耕地の鳥獣被害避けネットの牽引ロープなど、多方面に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】通常工程と本発明工程の比較と、当該発明の撚り増し回転と逆回転方向を付加する状況説明、及び、その概機構説明である。ロープ製品の製造工程として通常工程と本発明の索引ロープ工程の工程の流れ図を示す。ボビンへの巻き取り時に次工程のロープ製品加工工程において、単ロープの撚り戻しが可能にするための機構を有する。ロープ製品加工工程は、特殊ボビンを撚り方向と逆回転または自由回転として単ロープで付加された撚りを戻す機構を有する。
図2】通常工程概機構説明である。ロープ製品の製造工程として通常工程機構の一例を示す。ターンテーブル回転方向10に併せて単品ロープに1に撚りが入ってしまう。また、単品ロープ1に予め付加された撚りはそのまま残る。そのため、単ロープの撚りと製品ロープ加工時の撚り増しが、単ロープ1に付加され、単位長当たりの重量と製品ロープの直径と単位当たりの重量が増加する。
図3】本発明工程の撚り増し回転と逆回転方向を付加する状況説明、及び、その概機構説明である。本発明の工程の流れ図を示す。単ロープ1に付加された撚りは、特殊ボビン2をロープ製品を撚り合わせる5の時点で特殊ボビンを撚りと逆回転する事で単ロープ1の撚りを解除する。単ロープ1に付加した撚りが軽微な場合は、積極的な逆回転を必要とせず、自由回転でも同様の効果が得られる。8は、特殊ボビン2とターンテーブル3を接続するピンの概要である。回転方向に規制出来れば本発明の要件を満たすため詳細は割愛する。積極的な逆回転力を得るためには、モータ6の回転力を駆動ベルト7を介して特殊ボビン回転テーブル12に伝達する。ローラー9は当該回転力を円滑にする機構であるが、本発明の主要構成ではないため割愛する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
産業用ロープへの利用以外に、細く軽量なロープ上の製品に対して利用可能となる。
【符号の説明】
【0010】
1…単ロープ
2…特殊ボビン
3…ターンテーブル
4…ロープ製品撚り合わせ機構(運用技術のため細部割愛)
5…ロープ製品
6…モータ(電装部品)
7…駆動ベルト
8…設置ピン
9…ローラー
10…ターンテーブル回転方向
11…特殊ボビン回転方向
12…特殊ボビン回転テーブル










図1
図2
図3