(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167265
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】撹拌羽根及びこれを備えた混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/70 20220101AFI20221027BHJP
B01F 23/60 20220101ALI20221027BHJP
【FI】
B01F7/04 A
B01F3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072959
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】原 洋
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB48
4G035AE13
4G078AA02
4G078AB01
4G078AB06
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA03
4G078DA01
4G078DB02
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】粉粒体材料の噛み込みによる負荷の軽減が可能でありながらも、撹拌性を向上し得る撹拌羽根及びこれを備えた混合装置を提供する。
【解決手段】攪拌羽根20は、粉粒体材料を混合する混合槽10内において回転自在に保持される回転軸21と、この回転軸から連結部24を介して径方向に間隔を空けた位置において軸方向に延びるように、かつ厚さ方向が当該撹拌羽根の回転方向となるように配される板状の撹拌羽根部25と、を備えており、前記撹拌羽根部における前記混合槽の内周面側端部には、該混合槽の内周面12とのクリアランスを小さくするように突出する突部26が軸方向の複数箇所に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料を混合する混合槽内において回転自在に保持される回転軸と、この回転軸から連結部を介して径方向に間隔を空けた位置において軸方向に延びるように、かつ厚さ方向が当該撹拌羽根の回転方向となるように配される板状の撹拌羽根部と、を備えており、
前記撹拌羽根部における前記混合槽の内周面側端部には、該混合槽の内周面とのクリアランスを小さくするように突出する突部が軸方向の複数箇所に設けられていることを特徴とする撹拌羽根。
【請求項2】
請求項1において、
前記突部は、前記撹拌羽根部を厚さ方向に見た状態で、先端側に向かうに従い先細り状に形成されていることを特徴とする撹拌羽根。
【請求項3】
請求項2において、
前記撹拌羽根部の内周面側端部は、厚さ方向に見て三角波状とされていることを特徴とする撹拌羽根。
【請求項4】
請求項3において、
先細り状に形成された前記突部の両側面のなす角度が120度以上であることを特徴とする撹拌羽根。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記突部の少なくとも先端部の回転方向下流側面には、面取部が設けられていることを特徴とする撹拌羽根。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撹拌羽根と、この撹拌羽根を回転自在に収容する混合槽と、を備えていることを特徴とする混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌羽根及びこれを備えた混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数種の粉粒体材料を混合槽内において撹拌羽根を回転させて混合する混合装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、混合容器内において回転される軸に板状腕部材が半径方向に延設され、その延設端に長手方向板状腕部材が固定された撹拌手段を備えた混合装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された混合装置では、長手方向板状腕部材の外縁部が容器の側面近傍に沿うように設けられているため、粉粒体材料の噛み込みが生じ易くなる懸念がある。このような噛み込みを防止すべくクリアランスを大きくすることも考えられるが、この場合には、撹拌不足が生じ易くなる懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、粉粒体材料の噛み込みによる負荷の軽減が可能でありながらも、撹拌性を向上し得る撹拌羽根及びこれを備えた混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る撹拌羽根は、粉粒体材料を混合する混合槽内において回転自在に保持される回転軸と、この回転軸から連結部を介して径方向に間隔を空けた位置において軸方向に延びるように、かつ厚さ方向が当該撹拌羽根の回転方向となるように配される板状の撹拌羽根部と、を備えており、前記撹拌羽根部における前記混合槽の内周面側端部には、該混合槽の内周面とのクリアランスを小さくするように突出する突部が軸方向の複数箇所に設けられていることを特徴とする。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る混合装置は、本発明に係る撹拌羽根と、この撹拌羽根を回転自在に収容する混合槽と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る撹拌羽根及びこれを備えた混合装置は、上述のような構成としたことで、粉粒体材料の噛み込みによる負荷の軽減が可能でありながらも、撹拌性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る撹拌羽根の一例を備えた本発明の一実施形態に係る混合装置の一例を模式的に示し、(a)は、概略側面図、(b)は、概略正面図である。
【
図2】
図1(b)におけるX-X線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)におけるY-Y線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図、(b)は、同撹拌羽根の概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、本実施形態に係る撹拌羽根の一例を備えた本実施形態に係る混合装置の一例を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1~
図3は、同撹拌羽根の一例を備えた同混合装置の一例を模式的に示す図である。
【0011】
本実施形態に係る撹拌羽根20は、
図1(a)及び
図2に示すように、粉粒体材料を混合する混合槽10内に配される。本実施形態に係る混合装置1は、この撹拌羽根20と、この撹拌羽根20を回転自在に収容する混合槽10と、を備えている。
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、金属材料、半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのような材料でもよい。粉粒体材料としては、例えば、供給先において、合成樹脂成形品を成形する場合には、ナチュラル材(バージン材)や粉砕材、マスターバッチ材、各種添加材等が挙げられる。粉粒体材料には、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維が含まれていてもよい。
【0012】
この混合装置1は、本実施形態では、
図1(a)、(b)に示すように、混合槽10の上流側(上方側)に設けられ混合槽10に粉粒体材料を投入する投入部を構成する投入管6と、この投入管6の上方側に連なるように設けられ、材料元から空気輸送される粉粒体材料を捕集する捕集部4と、を備えている。
捕集部4は、材料タンク等の材料元に接続される材料供給管路2が接続される材料導入管4aと、吸引ブロワー等の輸送空気源の吸込側に接続される空気吸引管路3が接続される吸引管4bと、吸引管4bに向かう輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部5と、を備えている。
材料導入管4aは、上端が天板部によって閉鎖され下向きに開口する筒状とされた捕集部4の周壁部を貫通し、捕集部4内を下方側に向けて延びるように設けられている。この材料導入管4aは、下方側に向けて延びる部位が分離部5を貫通するように設けられている。この材料導入管4aに接続される材料供給管路2は、相異なる複数種の粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の材料元に適宜の切替弁を介して分岐して接続されていてもよい。
吸引管4bは、捕集部4の周壁部の内周面において開口するように設けられている。
【0013】
分離部5は、粉粒体材料と輸送空気とを分離可能なものであればよいが、輸送空気に加えて粉塵を通過させる一方、原料となる粉粒体材料の通過を阻止するパンチングメタルや網状(メッシュ状)等から構成されていてもよい。分離部5としては、このような構成に代えて、邪魔傘状とされたものや、いわゆるサイクロン式にて輸送空気から粉粒体材料を分離させる構造とされていてもよい。
投入管6は、上端開口が捕集部4の下端開口に連なるように設けられている。この投入管6を含んで捕集部4として把握するようにしてもよい。
混合槽10の上方側の捕集部4に粉粒体材料を空気輸送する態様としては、吸引輸送に限られず、圧縮ガスによる圧送でもよい。混合槽10に粉粒体材料を投入する投入部としては、このような空気輸送される粉粒体材料を捕集する捕集部4を設けた構成に限られない。投入部としては、混合槽10の上方側に設けられ、粉粒体材料を計量する計量容器でもよい。このような投入部を設けた態様に代えて、作業者によって粉粒体材料が混合槽10に手投入される態様でもよい。
【0014】
混合槽10は、概ね横向きの筒状とされ、本実施形態では、軸方向を傾斜させた筒状とされている。この混合槽10の水平面に対する傾斜角度は、混合性や排出性等の観点から適宜の角度としてもよく、例えば、5度~30度程度としてもよく、図例では、15度程度とした例を示している。
この混合槽10は、
図2及び
図3(a)に示すように、概ね円筒状とされ、その円筒の内周面12を構成する周壁部11と、この周壁部11の軸方向一方側に設けられ底部を構成する底壁部15と、周壁部11の軸方向他方側において斜め上方側に向けて開口する開口17を開閉する蓋体18と、を備えている。
周壁部11には、
図2に示すように、投入管6に連通される投入口13と、後記する排出管9(
図1参照)に連通される排出口14と、が設けられている。混合槽10(周壁部11)としては、概ね円筒状とされた構成に代えて、軸方向に見て、下側略半部が半円筒状とされ、上側略半部が半角筒状とされた構成でもよい。
【0015】
投入口13は、周壁部11の上方側に向く天面側部位において上方側に向けて開口するように設けられている。この投入口13は、周壁部11の軸方向略中央部位に位置するように設けられ、比較的に大径状とされている。このような投入口13を設けた態様に代えて、上記した半角筒状部位の天壁部を設けずに全体を開口させて投入口としてもよい。この場合は、当該混合槽10の壁部を当該混合槽10の上流側(上方側)に配される計量容器を収容する壁部と一連状に設けた構成とし、当該混合装置1を、複数種の粉粒体材料を所定の配合比(質量比)になるように配合する配合装置の一部を構成するものとしてもよい。
【0016】
排出口14は、周壁部11の下方側に向く底面側部位において下方側に向けて開口するように設けられている。この排出口14は、周壁部11の軸方向で底壁部15側の端部、つまり、下り坂状に形成された周壁部11の底面側部位の最低部近傍に位置するように設けられ、上記した投入口13よりも小径状とされている。
この排出口14が連通される排出管9には、
図1(a)に示すように、排出口14を開閉する材料排出部8が設けられている。図例では、材料排出部8は、エアシリンダー等の適宜のアクチュエータによって構成される弁体駆動部と、この弁体駆動部によって排出管9の軸方向に対して直交する方向にスライド駆動される弁体8aと、を備えたスライドダンパーとされている。弁体8aには、排出口14を閉鎖する閉鎖部と、排出口14に連通されて排出口14を開放させる貫通孔と、が設けられていてもよい。
【0017】
材料排出部8としては、上記のようなスライドダンパーに限られず、排出管9の軸方向に概ね沿って変位する弁体を備えたプッシュダンパーや、アーム状部材によって揺動自在に保持されたフラップダンパー等であってもよい。材料排出部8としては、弁体駆動部によって駆動される弁体を備えた構成に限られず、手動操作される弁体や蓋体であってもよい。
当該混合装置1の下流側(下方側)に設けられる供給先としては、粉粒体材料を一時的に貯留する貯留部や、粉粒体材料を乾燥する乾燥ホッパーでもよい。例えば、射出成形機等の成形機を当該混合装置1の供給先としてもよい。この場合は、排出管9を成形機の投入口に連通させるように、当該混合装置1を成形機上に設置する態様等としてもよい。供給先としての成形機は、合成樹脂成形品を成形する射出成形機に限られず、他の材料用の射出成形機でもよく、または種々の材料用の押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機を供給先としてもよい。当該混合装置1の供給先としては、単一の供給先に限られず、複数の供給先でもよい。
【0018】
底壁部15の外側面には、
図1(a)に示すように、後記する撹拌羽根20を回転駆動する駆動部7が固定されている。攪拌羽根20に連結される駆動部7の連結部7aは、底壁部15の軸心部を貫通するように設けられている(
図2参照)。
駆動部7は、モーターや、モーターの出力軸に連結された種々の減速ギア等のギア機構を備えたギアモーター等でもよい。図例では、駆動部7としてギア機構を内蔵したギアボックスを備えたギアモーターを例示している。
本実施形態では、
図2に示すように、底壁部15に、混合槽10内にパージガス(圧縮ガス)を供給するガス管路が接続されるガス導入管16が設けられている。このガス導入管16は、混合槽10の内面においてガス吹出口を開口させるように設けられている。図例では、ガス導入管16は、排出口14に向けてガスを吹き出すように設けられている。
図3(a)では、ガス吹出口の図示を省略している。
このガス導入管16に接続されるガス管路には、当該ガス管路を開閉する供給弁等が設けられている。このガス管路に接続される圧縮ガス源としては、コンプレッサー等の圧縮機でもよく、また、このような圧縮機によって圧縮されたガス(高圧ガス)を、アフタークーラ、ドレンセパレータ、ドライヤー等を介して蓄えるガスタンク等であってもよい。ガス導入管16を設ける位置や個数は、図例に限られず、他の位置や個数でもよく、更には、このようなガス導入管16を設けていない構成でもよい。
【0019】
蓋体18は、
図2に示すように、底壁部15とによって混合槽10内空間の軸方向両側を区画するように、底壁部15に対向するように設けられている。この蓋体18は、適宜のシール部材を介して開口17を封止するように周壁部11に対して開閉自在に設けられている。この蓋体18は、開口17の開口周縁部に対して蝶番等の回転連結部材によって回転自在に連結されていてもよく、適宜の締結具によって周壁部11に対して着脱自在に取り付けられる構成でもよい。
この蓋体18には、後記する撹拌羽根20の回転軸21の蓋側端部23を回転自在に支持する軸受部19が設けられている。この軸受部19には、蓋側端部23に外嵌される適宜のベアリングが設けられていてもよい。撹拌羽根20の蓋側端部23は、蓋体18の軸受部19に対して抜き差し自在に設けられていてもよい。
【0020】
この蓋体18の適所に、混合槽10内を視認可能な窓部が設けられていてもよい。混合槽10に、蓋体18の開閉状態を検知する適宜のセンサーが設けられていてもよい。図例では、撹拌羽根20を取り外す際に落下する粉粒体材料を受ける受皿を、開口17の下方側に位置するように設けた例を示しているが、このような受皿を設けていない構成としてもよい。
混合槽10に、混合槽10内の粉粒体材料を検知する適宜の材料センサーが設けられていてもよい。このような材料センサーとしては、例えば、混合槽10内の粉粒体材料の貯留レベルが材料要求レベルとなれば、材料要求信号を出力する要求レベル計でもよい。このような要求レベル計に代えて、または加えて、混合槽10内の粉粒体材料の貯留レベルが満レベルとなれば、満信号を出力する上限レベル計を設けた構成としてもよい。
【0021】
攪拌羽根20は、混合槽10内において回転自在に保持される回転軸21と、この回転軸21から連結部を構成する軸方向撹拌羽根部24を介して径方向に間隔を空けた位置において軸方向に延びるように、かつ厚さ方向が当該撹拌羽根20の回転方向となるように配される板状の撹拌羽根部を構成する上下撹拌羽根部25と、を備えている。この上下撹拌羽根部25における混合槽10の内周面側端部には、混合槽10の内周面12とのクリアランスを小さくするように突出する突部26,26が軸方向の複数箇所に設けられている。このような構成とすれば、軸方向に隣り合う突部26,26間において粉粒体材料の噛み込みを抑制するクリアランスを確保することができる。これにより、粉粒体材料の噛み込みによる撹拌羽根20への負荷を軽減することができる。このようにクリアランスを確保しながらも、複数の突部26,26によって内周面12近傍の粉粒体材料を変動させることができ、撹拌性を向上させることができる。これにより、粉粒体材料を排出させる際に、内周面12に付着して混合槽10内に残存する粉粒体材料の少量化を図ることもできる。
【0022】
具体的には、撹拌羽根20は、回転軸21が混合槽10(周壁部11)の軸心に位置するように混合槽10内に配される。つまり、攪拌羽根20は、本実施形態では、混合槽10(周壁部11)の軸方向に平行となるように、その軸方向を傾斜させて混合槽10内に配される。
回転軸21の軸方向一方側となる底壁部15側の端部には、駆動部7の連結部7aに連結される被連結部22が設けられている。この被連結部22は、駆動部7の連結部7aに対して軸方向に抜き差し自在に連結される構成でもよい。つまり、撹拌羽根20は、上記した蓋体18を開放させることで、開口17を介して混合槽10に対して抜き差し自在とされていてもよい。これら連結部7a及び被連結部22には、回転軸21方向に抜き差し自在に互いに係合し、かつ回転軸21回りの相対的な回転を抑止するように係合する適宜の係合部が設けられていてもよい。このような係合部としては、連結部7a及び被連結部22のうちの一方に設けられた回転軸21方向に突出する多角柱状の突部と、他方に設けられ、この突部を回転軸21方向に受け入れる多角形状の凹部と、を含む構成でもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0023】
攪拌羽根20には、本実施形態では、当該撹拌羽根20の回転軸21を挟んで外径側の両側において回転軸21方向に延びるように2つの上下撹拌羽根部25,25が設けられている。これら2つの上下撹拌羽根部25,25は、回転軸21から互いに等距離を隔てて設けられている。これら2つの上下撹拌羽根部25,25は、軸方向に沿う長さ寸法が回転軸21の軸長よりも小とされ、互いに軸方向でずれた位置となるように設けられている。これら2つの上下撹拌羽根部25,25は、軸方向一方側となる底壁部15側に片寄って配置された底側上下撹拌羽根部25Aと、軸方向他方側となる蓋体18側に片寄って配置された蓋側上下撹拌羽根部25Bと、によって構成されている。これら底側上下撹拌羽根部25A及び蓋側上下撹拌羽根部25Bは、互いに同様の構成であるので、以下では、区別を要しない場合には、一方を例にとって上下撹拌羽根部25として説明する。
【0024】
上下撹拌羽根部25は、回転軸21の軸方向に長尺な帯板状とされている。
この上下撹拌羽根部25の長さ寸法は、混合槽10内の粉粒体材料の混合性の観点や、混合槽10の軸方向両側の内側面(底壁部15及び蓋体18の互いに向き合う内側面)との干渉を抑制する観点、粉粒体材料の噛み込みに起因する動作不良を抑制する観点等から適宜の寸法としてもよい。この上下撹拌羽根部25の長さ寸法は、混合槽10内の回転軸21方向に沿う寸法(底壁部15及び蓋体18の互いに向き合う内側面間の寸法)の3/5以上の寸法としてもよく、図例では、4/5程度の寸法とした例を示している。
この上下撹拌羽根部25の幅寸法(突部26が設けられた部位における回転軸21の径方向に沿う寸法)は、混合性の観点や、これらの間に設けられる後記する軸方向撹拌羽根部24による回転軸21方向への混合性の観点、駆動部7の負荷軽減の観点等から適宜の寸法としてもよい。この上下撹拌羽根部25の幅寸法は、周壁部11の内径の1/20~1/5程度の寸法としてもよく、図例では、1/10程度の寸法とした例を示している。この上下撹拌羽根部25の厚さ寸法は、強度上の観点や軽量化を図る観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、1mm~5mm程度としてもよい。
【0025】
突部26は、この上下撹拌羽根部25の幅方向外径側端部となる周壁部11の内周面12に対向する内周面側端部に設けられている。
本実施形態では、突部26は、上下撹拌羽根部25を厚さ方向に見た状態で、先端側に向かうに従い先細り状に形成されている。このような構成とすれば、突部26が上下撹拌羽根部25を厚さ方向に見た状態で方形状とされたものと比べて、突部26の先端部における粉粒体材料の噛み込みをより効果的に軽減することができる。
本実施形態では、上下撹拌羽根部25の内周面側端部は、厚さ方向に見て三角波状とされている。つまり、上下撹拌羽根部25の内周面側端部には、上下撹拌羽根部25を厚さ方向に見て三角形状の山部を構成する複数の突部26が軸方向に隣接して設けられ、隣接する突部26,26によって三角形状の谷部となる凹部29が形成されている。このような構成とすれば、突部26が尖頭状の三角形状となるので、突部26の先端部における粉粒体材料の噛み込みをより効果的に軽減することができる。また、隣接する突部26,26によって形成される凹部29が三角形状となるので、凹底部が平坦面状とされたものと比べて、凹底部における粉粒体材料の噛み込みも効果的に軽減することができる。
【0026】
本実施形態では、このように先細り状に形成された突部26の両側面27,27のなす角度が120度以上とされている。このような構成とすれば、上記のように突部26の先端部における粉粒体材料の噛み込みを効果的に軽減可能でありながらも、上記角度を小さくし過ぎたものと比べて、隣接する突部26,26によって形成される凹部29を介して粉粒体材料が通過し過ぎるようなことを抑制することができ、撹拌性を向上させることができる。この突部26の両側面27,27のなす角度は、170度以下でもよく、好ましくは、140度~165度程度でもよく、より好ましくは、150度~160度程度でもよく、図例では、157度程度とした例を示している。
本実施形態では、複数の突部26は、互いに同様の構成とされ、上下撹拌羽根部25を厚さ方向に見て二等辺三角形状とされている。このような態様に代えて、上下撹拌羽根部25を厚さ方向に見て異なる形状とされた突部26を交互に設けたり、不等辺三角形状とされた突部26を設けた構成としてもよい。
【0027】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、突部26の少なくとも先端部の回転方向下流側面に面取部28が設けられている。このような構成とすれば、突部26の先端部における厚さ寸法が小さくなることから、粉粒体材料を噛み込んだ場合にも弾き出し易くなり、粉粒体材料の噛み込みをより効果的に軽減することができる。また、例えば、回転方向上流側面に面取部を設けた場合には、面取部によって粉粒体材料を噛み込む側に誘導し易くなる懸念があるが、このような懸念がない。
この面取部28は、上下撹拌羽根部25の厚さ方向一方側となる回転方向下流側に向く面と突部26の両側面27,27との縁部を面取りするように形成されている。図例では、突部26の両側面27,27を僅かに残すように、かつ各側面27,27の全長に亘って面取部28を設けた例を示している。図例では、面取部28を、C面取状(傾斜面状)とした例を示しているが、R面取状(突湾曲面状)としてもよい。このように回転方向下流側に面取部28を設けた態様に代えて、突部26の少なくとも先端部を、上下撹拌羽根部25の長手方向に見て先端側に向かうに従い先細り状等としてもよい。
【0028】
これら突部26の先端と内周面12とのクリアランス(先端側クリアランス)は、凹部29の凹底部と内周面12とのクリアランス(凹底側クリアランス)よりも小さい寸法とされている。この凹底側クリアランスは、粉粒体材料の噛み込みを抑制する観点等から適宜の寸法としてもよく、一般的に設定されているクリアランスでもよい。この凹底側クリアランスは、ペレット状の粉粒体材料の粒径に応じて適宜の寸法としてもよく、例えば、2mm~5mm程度とされた粉粒体材料の粒径の2倍~4倍程度の寸法でもよい。先端側クリアランスは、混合性等の観点から適宜の寸法としてもよく、凹底側クリアランスの1/3~4/5程度の寸法でもよい。
突部26は、上下撹拌羽根部25の厚さ方向に見て、突出方向の全体に亘って先細り状とされた構成に限られず、先端が混合槽10の内周面12に平行状とされた構成でもよい。複数の突部26が軸方向に隣接して設けられた構成に限られず、軸方向に間隔を空けて設けられた構成でもよい。突部26は、上下撹拌羽根部25の厚さ方向に見て、先細り状とされた構成に限られず、略方形状とされた構成でもよい。
【0029】
軸方向撹拌羽根部24は、軸方向に粉粒体材料を変動させる構成とされている。軸方向撹拌羽根部24は、回転軸21と底側上下撹拌羽根部25Aとを連結する底側軸方向撹拌羽根部24Aと、回転軸21と蓋側上下撹拌羽根部25Bとを連結する蓋側軸方向撹拌羽根部24Bと、によって構成されている。これら底側軸方向撹拌羽根部24A及び蓋側軸方向撹拌羽根部24Bは、互いに同様の構成であるので、以下では、区別を要しない場合には、一方を例にとって軸方向撹拌羽根部24として説明する。
軸方向撹拌羽根部24は、回転軸21の径方向に延びる帯板状とされている。本実施形態では、上下撹拌羽根部25の長手方向に等間隔を空けて複数の軸方向撹拌羽根部24が設けられている。図例では、上下撹拌羽根部25の長手方向両端部と長手方向中央部とを回転軸21に連結するように3つの軸方向撹拌羽根部24を設けた例を示している。図例では、3つの底側軸方向撹拌羽根部24Aにおける互いに隣り合う底側軸方向撹拌羽根部24Aの軸方向で中央に位置するように、3つの蓋側軸方向撹拌羽根部24Bのうちの底壁部15側の2つの蓋側軸方向撹拌羽根部24Bを設けた例を示している。
【0030】
これら3つの軸方向撹拌羽根部24は、互いに同様の構成とされており、幅方向が回転軸21方向に対して傾斜状となるように設けられている。回転軸21の径方向両側の各軸方向撹拌羽根部24は、両側の上下撹拌羽根部25,25を厚さ方向に見た状態で、軸方向一方側から他方側に向かうに従い互いに同方向に傾斜するように設けられている。これら軸方向撹拌羽根部24の上下撹拌羽根部25に対する傾斜角度は、混合性の観点等から適宜の角度としてもよく、例えば、30度~60度程度でもよく、図例では、45度程度とした例を示している(
図3(b)参照)。
これら軸方向撹拌羽根部24は、上下撹拌羽根部25の幅方向の途中部位に至るまで連結されている。
隣り合う軸方向撹拌羽根部24同士の軸方向の間隔や、各軸方向撹拌羽根部24の幅寸法は、混合性の観点等から適宜の寸法としてもよい。各軸方向撹拌羽根部24の厚さ寸法は、強度上の観点や軽量化を図る観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、1mm~5mm程度としてもよい。
【0031】
上記のような構成とされた当該混合装置1においては、CPU(Central Processing Unit)等の制御回路や各種メモリ等を含む記憶部を有した制御部によって駆動部7が制御され、適宜の混合モードの実行がなされてもよい。
この混合装置1においては、例えば、混合槽10の材料センサーから材料要求信号が出力されれば、当該混合装置1の上流側から混合槽10内に粉粒体材料が投入され、駆動部7を駆動して撹拌羽根20を回転させて混合するようにしてもよい。このように撹拌羽根20を回転させれば、両側の上下撹拌羽根部25,25によって混合槽10内の粉粒体材料がすくい上げられるようにして上下に流動される。軸方向撹拌羽根部24の傾斜面によって、また、混合槽10が傾斜状に形成されていることも相俟って、混合槽10内の粉粒体材料が回転軸21方向に流動される。このように撹拌羽根20によって混合する際にも、上下撹拌羽根部25に上記のような突部26が設けられているので、粉粒体材料の噛み込みを軽減しながらも撹拌性を向上させることができる。
【0032】
本実施形態では、回転軸21を挟んで2枚の上下撹拌羽根部25を設けた例を示しているが、このような態様に代えて、1枚または3枚以上の上下撹拌羽根部25を設けた構成としてもよい。
本実施形態では、回転軸21と上下撹拌羽根部25とを連結する連結部を、軸方向撹拌羽根部24とした例を示しているが、このような構成に限られず、その他、種々の構成とされた連結部の採用が可能である。
本実施形態では、軸方向が傾斜状とされた混合槽10を例示しているが、略水平状や上下方向とされた混合槽10であってもよい。本実施形態に係る撹拌羽根20の各部及び混合装置1が備える各部材及び各部の具体的構成は、上記した構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 混合装置
10 混合槽
12 内周面
20 撹拌羽根
21 回転軸
24 軸方向撹拌羽根部(連結部)
25 上下撹拌羽根部(撹拌羽根部)
26 突部
27 側面
28 面取部