(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167272
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】燻炭製造装置
(51)【国際特許分類】
C10B 53/02 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
C10B53/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072970
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】390040073
【氏名又は名称】岡本 俊仁
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 俊仁
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012JA07
(57)【要約】
【課題】 均一、かつ、効率よく籾殻等の燻炭材料を焼成できる燻炭製造装置を提供すること。
【解決手段】一端部側に燻炭材料を投入することができる投入口を有すると共に、他端部側に前記燻炭材料が焼成されて出来た燻炭を排出する排出口を有する筒部材を備える燻炭製造装置であって、燻炭製造装置は、筒部材の内部に設けられ、投入口から投入された燻炭材料を排出口へ送るスクリューコンベアと、投入口側から前記排出口側の間に設けられ、燻炭材料を焼成する焼成装置とを有し、焼成装置は、筒部材の一部を覆うように設けられた窯状の焼成部と、燻炭材料を加熱する加熱手段とを有し、筒部材は、焼成部が覆っている部分の少なくとも一部の上部側が開口している燻炭製造装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部側に燻炭材料を投入することができる投入口を有すると共に、他端部側に前記燻炭材料が焼成されて出来た燻炭を排出する排出口を有する筒部材を備える燻炭製造装置であって、
前記燻炭製造装置は、前記筒部材の内部に設けられ、前記投入口から投入された前記燻炭材料を前記排出口へ送るスクリューコンベアと、前記投入口側から前記排出口側の間に設けられ、前記燻炭材料を焼成する焼成装置とを有し、
前記焼成装置は、前記筒部材の一部を覆うように設けられた窯状の焼成部と、前記燻炭材料を加熱する加熱手段とを有し、前記筒部材は、前記焼成部が覆っている部分の少なくとも一部の上部側が開口している燻炭製造装置。
【請求項2】
前記加熱手段はガスバーナーであり、前記ガスバーナーは先端部が斜め下方を向くように前記焼成部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燻炭製造装置。
【請求項3】
前記ガスバーナーの先端部の角度を調節できることを特徴とする請求項2に記載の燻炭製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は籾殻等を焼成し、燻炭を製造する燻炭製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燻炭を製造する燻炭製造装置としては、「燻炭材料を投入する投入口と、一端部側が前記投入口に連通し、略水平方向に延在し、かつ、他端部側に排出口が設けられた筒部材と、前記筒部材の内部に設けられ、前記投入口から投入された燻炭材料を前記排出口へ送るスクリューコンベアと、前記投入口から前記排出口の間に設けられ、前記燻炭材料を焼成する焼成装置とで構成される燻炭製造装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような燻炭製造装置は、燻炭材料全体をまんべんなく加熱することできるものではあったが、筒状の部材が焼成装置で加熱され、筒部材内部に熱がこもるため、焼成部の温度が上がりすぎてしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、均一、かつ、効率よく籾殻等の燻炭材料を焼成できる燻炭製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載された燻炭製造装置は、一端部側に燻炭材料を投入することができる投入口を有すると共に、他端部側に前記燻炭材料が焼成されて出来た燻炭を排出する排出口を有する筒部材を備える燻炭製造装置であって、前記燻炭製造装置は、前記筒部材の内部に設けられ、前記投入口から投入された前記燻炭材料を前記排出口へ送るスクリューコンベアと、前記投入口側から前記排出口側の間に設けられ、前記燻炭材料を焼成する焼成装置を有し、前記焼成装置は、前記筒部材の一部を覆うように設けられた窯状の焼成部と、前記燻炭材料を加熱する加熱手段を有し、前記筒部材は、前記焼成部が覆っている部分の少なくとも一部の上部側が開口していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の燻炭製造装置の前記加熱手段はガスバーナーであり、前記ガスバーナーは先端部が斜め下方を向くように前記焼成部に設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の燻炭製造装置の前記ガスバーナーの先端部の角度を調節できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、スクリューコンベアが配置されている筒部材の一部に焼成装置を設けているので、スクリューコンベアにより燻炭材料を撹拌しながら焼成することができる。
したがって、燻炭材料を均一に焼成することができる。
(2)また、スクリューコンベアの送り速度を調整することにより、燻炭材料に適した焼成時間を設定することができるとともに、安定して焼成を行うことができる。
(3)請求項2に記載の発明においても(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、効率よく燻炭材料を焼成することができる。
(4)請求項3に記載の発明においても(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、燻炭材料に応じてさらに効率よく燻炭材料を焼成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す各説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。なお、左右方向とは
図1(正面視)における左右方向であり、前後方向とは
図2(左側面視)における左右方向、上下方向とは
図1における上下方向をいう。
【0011】
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は籾殻等の燻炭材料2を焼成し、燻炭3を製造する燻炭製造装置である。この燻炭製造装置1は、一端部側に燻炭材料を投入することができる投入口を有すると共に、他端部側に前記燻炭材料が焼成されて出来た燻炭を排出する排出口を有する略水平状態の筒部材を備える。
【0012】
すなわち、燻炭製造装置1は、例えば
図1及び
図2に示すように、燻炭材料2を投入する投入口4と、一端部側、例えば一端部付近が前記投入口4に連通し、略水平方向に延在し、かつ、他端部側、例えば他端部付近に排出口5が形成された筒部材6(
図4参照)と、前記筒部材6の内部に設けられ、前記投入口4から投入された燻炭材料2を前記排出口5へ送るスクリューコンベア7(
図5参照)と、前記投入口4から前記排出口5の間に設けられ、前記燻炭材料2を焼成する焼成装置8(
図6参照)とで構成されている。
【0013】
筒部材6は、
図3又は
図4に示すように、本実施形態では、水平部の少なくとも一部(一端部側と他端部側を除いた部分)の上部(上壁側)に開口部6aを有しており、この開口部3aは、例えば断面略半円形状、断面略下向き台形状、断面略下向き凹所等の形状に形成されている。実施形態では、断面略半円形状なので、全体として略半円パイプ状の部位を有する略円筒形状の部材となっている。なお、この筒部材6は、両端部にフランジ部を有している。
【0014】
この筒部材6は、本実施形態では、略水平に左右方向に延在し、その一部の上部が開口し、前後方向に略当接するように並列状態で5つ設けられた断面略半円パイプ状の筒部材本体9と、この5つの筒部材本体9の一端部を接続するように設けられ、上方に投入口4が形成された投入部10と、筒部材本体9の他端部にそれぞれ設けられた排出口5を有する排出部11とで構成されている。
【0015】
投入部10、筒部材本体9、排出部11は、それぞれフランジ部を有しており、このフランジ部を介して一体的に接続され、1つの筒部材6を構成している。接続される順番としては、筒部材6の一端部側から、投入部10、筒部材本体9、排出部11の順に接続されている。
【0016】
ところで、本実施形態においては、筒部材本体9は焼成部16が覆っている部分、すなわち両端部のフランジ部付近を除いて略半円パイプ状に形成されており、この上部が開口した部位が焼成装置8内に配置される。ここで、略半円パイプ状とは、略真円形状を半割にした形状だけでなく、例えば断面略U字形状や、略真円形状の上部3分の1程度を切り欠いた断面上向き略C字形状等の形状も含まれる。前述した如く、本実施形態では、断面形状が略真円形状を半割にした形状となっている。
【0017】
なお、本実施形態では、筒部材本体9のうち焼成部16が覆っている部分の略全部の部位の上部を開口しているが、一部分のみ上部開口した筒部材本体9としてもよい。
投入部10は筒部材本体9と接続されるフランジ部を有するとともに、上部に投入口4が形成されている。また、この投入口4には連通するように略逆円錐形又は略逆角錐形のホッパー12が設けられている。このホッパー12の下端部は、それぞれ筒部材本体9に連通する透孔が形成されている。
【0018】
排出部11は、側面又は底面、本実施形態では底面に開口が設けられており、この開口が排出口5となる。この排出口5には必要に応じて排出シュート(図示せず)が取り付けられる。
【0019】
スクリューコンベア7は、例えば
図2、
図4で示すように、5つの筒部材本体9をそれぞれ貫通するように設けられた長杆状の軸部材13の外周部に固定された螺旋状のスクリューコンベア本体14と、このスクリューコンベア本体14をそれぞれ任意の方向に回転させることができるように該スクリューコンベア本体14の一端部側に配設された駆動装置15とで構成されている。なお、駆動装置15は複数個のスクリューコンベア本体14を一括して駆動させるものであってもよい。
【0020】
このスクリューコンベア7は、前記筒部材6の内部に配置されており、軸部材13の左右端部が筒部材6の一端部(投入部10)と他端部(排出部11)から外部へ貫通した状態で設けられている。
【0021】
この軸部材13の左右端部のいずれかには、スクリューコンベア7を回転させる駆動装置15としてモーター15が設けられている。なお、両端部にそれぞれ駆動装置15を設けてもよい。軸部材13は本実施形態では中実の部材を用いているが、中空のパイプ状の部材を用いてもよい。
【0022】
焼成装置8は、
図5に示すように、前記筒部材6の一部、本実施形態においては、筒部材本体9の外周を覆う(筒部材本体9が貫通する)ように設けられた小部屋状(窯状)で耐火材料製の焼成部16と、この焼成部16に設けられ焼成部16の内部を高温にするとともに燻炭材料2を加熱する加熱手段17と、焼成部16の内部の空気を外部へ排出する排煙部18と、焼成部16の内部に空気を送る送風手段20とで構成されている。
この焼成部16は、本実施形態では上部(屋根)がドーム状で、正面視において略長方形状となる小部屋状(窯状)に形成されており、耐火煉瓦、耐火セメント、耐火モルタル等を用いて形成されている。この焼成部16や駆動装置15は、H鋼等を用いた枠状のベース部材23にその底面が支持されている。
【0023】
焼成部16の両側面の下部付近には筒部材6(筒部材本体9)が挿入される丸孔状の挿入部16aが前後方向にそれぞれ5つ形成されており、この挿入部16aを貫通するように筒部材本体9が前後方向に略当接した状態で5つ配置されている。焼成部16の内側の底面は、半割状の筒部材本体9の上面が開口するように、前記挿入部16aと連通する略半円状又は略U字状の溝部16bが形成されている。
【0024】
なお、筒部材本体9を1つのみ配置できるように焼成部16の透孔を形成してもよいし、5つ以上挿入できるように透孔を形成してもよい。筒部材本体9と焼成部16の間等の外気が入り込むおそれがある隙間には耐熱パッキン(図示せず)が設けられている。
焼成部16の外周面には煙突等の排煙部18及び加熱手段17が設けられている。
【0025】
加熱手段17は、本実施形態ではガスバーナー17を用いており、このガスバーナー17の火が前記燻炭材料2の方向に向くように、先端部(火の吐出部)17aが斜め下方を向くように取り付けられている。
【0026】
すなわち、燻炭材料2はガスバーナー17により焼成部16の内部を高温にすること及びガスバーナー17の火により直接熱せられて、焼成され、燻炭3となる。
【0027】
なお、ガスバーナー17の先端部(火の吐出部)17aの角度を調節できる角度調節手段(図示せず)をガスバーナー17に設けてもよい。この角度の調節はガスバーナー17自体の角度を調節できるような取付け態様としてもよいし、先端部17aのみ角度を調節できるような機構をガスバーナー17に設けてもよい。
【0028】
このようにガスバーナー17の先端部の角度を調節することにより、燻炭材料2に応じて適宜火の当たりかたを調節でき、適切に焼成することができる。この角度調節手段は、ガスバーナー17の先端部17aの角度を水平から下方方向へ調節できるものであることが望ましい。
【0029】
排煙部18は、本実施形態では、焼成部16の正面側に設けられており、内部の空気の出入りを調節するバルブ19を備えている。
【0030】
送風手段20は、本実施形態ではエアコンプレッサー20を用いており、このエアコンプレッサー20から送り出された空気が焼成部16の上部のノズル20aから焼成部16内部へ供給される。なお、送風手段20としてはエアコンプレッサー20ではなく、ブロワー等の送風機をもちいてもよい。
【0031】
また、焼成部16の正面側の略中央部には、内部の状態を見ることができる開口部21及びこの開口部21を開閉自在に塞ぐ扉22が設けられている。
【0032】
この燻炭製造装置1を使用する場合には、
図7で示すように、筒部材6に対ししてホッパー12を介して燻炭材料2を投入する。筒部材6に投入された燻炭材料2は前記ホッパー12の下端部の透孔から投入口4へと落下する。投入口4へと落下した燻炭材料2はスクリューコンベア7の一端部側(図面では左側)のスクリュ部に引き込まれる。
前記一端部側のスクリュ部に引き込まれた燻炭材料2は、一端部側に連続する長いスクリュ部に巻き込まれながら、他端部側(図面では右側)のスクリュ部へと案内され、排出口5へと到達する。
【0033】
しかして、焼成装置8は、
図7で示すように、好ましくは筒部材6の投入口4側から排出口5側の間に設けられているが、燻炭材料2は、該焼成装置8によりスクリューコンベア7により運搬されながら焼成され燻炭3と成る。このとき、燻炭材料2はスクリューコンベア7により撹拌されながら排出口5の方向へ所要時間をかけて運搬されるため、焼成装置8によって、燻炭材料2に均一に熱が伝達するとともに、ガスバーナー17の火が均一に燻炭材料2当たる。それ故に、いわゆるムラが発生することなく焼成することができる。
【0034】
なお、焼成装置8(焼成部16)を通過する時間を調整することにより、使用される燻炭材料2に適した焼成時間とすることができる。
また、この焼成装置8を通過する際に燻炭材料2から発生した煙等は、排煙部18から外部へ排出される。
【0035】
焼成装置8が設けられた部位を通過すると、焼成された燻炭3が排出口5から排出される。燻炭3が排出口5から排出された後、空冷又は水冷等によって燻炭3を冷却する。
なお、本発明の実施形態において、
図4で示すように、筒部材1は、投入部10と、筒部材本体9と、排出部11で構成しているが、筒部材本体9のみで構成し、この筒部材本体に投入口及び排出口を設けてもよい。
【0036】
また、筒部材は、複数(実施形態では5つ)の筒部材本体を有するものについて説明したが、筒部材本体が1つのものであってもよいし、5つ未満又は5つを超える数の筒部材本体を用いて筒部材を構成してもよい。
【0037】
さらに、本発明の実施形態において加熱手段としてガスバーナーを用いるものについて説明したが、電熱線等の電気を用いて加熱する加熱手段としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は燻炭を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0039】
1:燻炭製造装置、 2:燻炭材料、
3:燻炭、 4:投入口、
5:排出口、 6:筒部材、
7:スクリューコンベア、 8:焼成装置、
9:筒部材本体、 10:投入部、
11:排出部、 12:ホッパー、
13:軸部材、 14:スクリューコンベア本体、
15:駆動装置、 16:焼成部、
17:加熱手段、 18:排煙部、
19:バルブ、 20:送風手段、
21:開口部、 22:扉、
23:ベース部材。