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  • 特開-ローラーカッター支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167280
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ローラーカッター支持構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E21D9/087 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072983
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 竜也
(72)【発明者】
【氏名】高原 健
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054BA06
2D054BB06
2D054BB07
2D054BB08
(57)【要約】
【課題】カッターホルダーの収納空間内での土砂の圧密を防止することができるローラーカッター支持構造を提供する。
【解決手段】ローラーカッター支持構造1は、カッターフレーム10の前壁11に固定された管状体12と、管状体12内に配置されたカッターホルダー5を含む。カッターホルダー5は、前方に向かって開口する収納空間50を形成する筒状部および底部を有する。収納空間50内には、一部が前壁11よりも前方に突出する状態でローラーカッター2が挿入されている。管状体12内では、カッターホルダー5の筒状部の先端面に制限板8が着脱可能に取り付けられている。制限板8は、前記筒状部とローラーカッター2の間の空隙55~58を覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッターフレームの前壁に固定された管状体と、
前記管状体内に配置された、前方に向かって開口する収納空間を形成する筒状部および底部を有するカッターホルダーと、
一部が前記前壁よりも前方に突出する状態で前記収納空間内に挿入されたローラーカッターと、
前記管状体内で、前記カッターホルダーの筒状部の先端面に着脱可能に取り付けられた制限板であって、前記筒状部と前記ローラーカッターの間の空隙を覆う制限板と、
を備える、ローラーカッター支持構造。
【請求項2】
前記カッターホルダーには、前記底部の後面から前記収納空間に至る少なくとも1つのローラー洗浄流路が形成されており、前記少なくとも1つのローラー洗浄流路を通じて洗浄液が前記収納空間に噴射される、請求項1に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項3】
前記ローラーカッターは、径方向外向きに先細りとなる少なくとも1つの環状刃を含み、
前記カッターホルダーの前記底部には、前記少なくとも1つの環状刃との干渉を回避するための少なくとも1つの凹部が設けられており、
前記少なくとも1つのローラー洗浄流路は、前記凹部内で前記環状刃に向かって洗浄液を噴射する第1ローラー洗浄流路と、前記ローラーカッターの回転中心よりも前方で前記筒状部から前記環状刃に向かって洗浄液を噴射する第2ローラー洗浄流路を含む、請求項2に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項4】
前記カッターホルダーの前記筒状部の先端面には、前記収納空間と連通する内向き溝が形成されており、この内向き溝が前記制限板で覆われることによって前記第2ローラー洗浄流路の一部が構成される、請求項3に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項5】
前記制限板と前記管状体との間には環状隙間が形成されており、
前記カッターホルダーには、前記底部の後面から前記環状隙間に至る外部洗浄流路が形成されており、前記外部洗浄流路を通じて洗浄液が前記環状隙間に噴射される、請求項1~4の何れか一項に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項6】
前記カッターホルダーの前記筒状部の先端面には、前記環状隙間と連通する外向き溝が形成されており、この外向き溝が前記制限板で覆われることによって前記外部洗浄流路の一部が構成される、請求項5に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項7】
前記洗浄液は加泥材である、請求項2~6に記載のローラーカッター支持構造。
【請求項8】
前記カッターホルダーの前記筒状部と前記底部とは別体である、請求項1~7の何れか一項に記載のローラーカッター支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機のカッターヘッドに採用されるローラーカッター支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機には、回転するカッターヘッドに岩盤掘削用のローラーカッターを装備したものがある。例えば、特許文献1には、ローラーカッターをカッターフレームの内側から交換可能なローラーカッター支持構造が開示されている。
【0003】
具体的に、特許文献1に開示されたローラーカッター支持構造では、中空のカッターフレームの前壁に管状体が固定され、その管状体内にカッターホルダーが配置されている。カッターホルダーは筒状部および底部を有し、これらの筒状部および底部によって前方に向かって開口する収納空間が形成されている。この収納空間内にローラーカッターが挿入されている。ローラーカッターの一部はカッターフレームの前壁よりも前方に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-128650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにカッターホルダーの収納空間内にローラーカッターが挿入される構造では、収納空間内に土砂が侵入し、土砂の圧密が生じることがある。土砂の圧密が生じると、ローラーカッターの回転が不能となり、ローラーカッターに偏摩耗が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、カッターホルダーの収納空間内での土砂の圧密を防止することができるローラーカッター支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のローラーカッター支持構造は、カッターフレームの前壁に固定された管状体と、前記管状体内に配置された、前方に向かって開口する収納空間を形成する筒状部および底部を有するカッターホルダーと、一部が前記前壁よりも前方に突出する状態で前記収納空間内に挿入されたローラーカッターと、前記管状体内で、前記カッターホルダーの筒状部の先端面に着脱可能に取り付けられた制限板であって、前記筒状部と前記ローラーカッターの間の空隙を覆う制限板と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、制限板によってローラーカッターと筒状部の間の空隙が覆われるので、収納空間内への土砂の侵入を抑制することができる。これにより、カッターホルダーの収納空間内での土砂の圧密を防止することができる。しかも、制限板は筒状部の先端面に取り付けられるので、筒状部の先端面の摩耗も防止することができる。さらに、制限板は着脱可能であるので、制限板が摩耗したときは制限板が交換可能であるとともに、制限板を取り外せばローラーカッターを交換することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カッターホルダーの収納空間内での土砂の圧密を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るローラーカッター支持構造の正面図である。
図2】制限板を取り外した状態のローラーカッター支持構造の正面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図2の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~4に、本発明の一実施形態に係るローラーカッター支持構造1を示す。このローラーカッター支持構造1は、中空のカッターフレーム10の前壁11に固定された管状体12と、管状体12内に配置されたカッターホルダー5と、カッターホルダー5に保持されたローラーカッター2を含む。前壁11は、トンネル掘削機の進行方向である前方を向いている。
【0012】
ローラーカッター支持構造1は、ローラーカッター2をカッターフレーム10の内側から交換可能に構成されている。本実施形態では、ローラーカッター2の交換方式が管状体12内でカッターホルダー5が回転される回転式であるが、ローラーカッター2の交換方式は、カッターホルダー5を管状体12の軸方向に引き抜く引き抜き式であってもよい。
【0013】
より詳しくは、本実施形態では、管状体12が第1部材12a、第2部材12bおよび第3部材12cに分割されており、第1部材12a、第2部材12bおよび第3部材12cは前方から後方に向かってこの順に並んでいる。第1部材12aは、前壁11に接合されている。
【0014】
第2部材12bおよび第3部材12cは、同軸上で互いに反対向きの一対の球面座を形成する。第3部材12cには一対のスリーブ13が取り付けられており、これらのスリーブ13は一対の操作部材14をそれぞれ支持する。各操作部材14は、対応する球面座と面接触する球面部を有する。また、各操作部材14には、管状体12の径方向内向きに突出する係合部14aが設けられている。
【0015】
カッターホルダー5は、図3に示す使用位置と、その使用位置よりも後方の交換位置(カッターホルダー5が操作部材14の係合部14aと係合する位置)との間で移動される。カッターホルダー5は、固定板15を介して管状体12に固定されることで使用位置に維持される。
【0016】
ローラーカッター2を交換する際は、固定板15が取り外されるとともにカッターホルダー5が交換位置に移動され、その後に操作部材14を操作することでカッターホルダー5が180度回転される。これにより、ローラーカッター2をカッターフレーム10の内側から交換することができる。
【0017】
カッターホルダー5は筒状部52および底部51を含み、これらの筒状部52および底部51によって前方に向かって開口する収納空間50が形成されている。ローラーカッター2は、上述した使用位置では一部が前壁11よりも前方に突出する状態で収納空間50に挿入されている。
【0018】
本実施形態では、ローラーカッター2が、互いに平行な2つのディスクローラー3と、それらのディスクローラー3の間に位置する中央支持部材42と、ディスクローラー3の外側に位置する一対の外側支持部材41,43を含む。つまり、一方のディスクローラー3が中央支持部材42と外側支持部材41の間に介在し、他方のディスクローラー3が中央支持部材42と外側支持部材43の間に介在する。
【0019】
各ディスクローラー3は、ディスク本体31と、ディスク本体31から径方向外向きに突出する環状刃32を含む。環状刃32の厚さはディスク本体31の厚さの1/3程度であり、環状刃32はディスクローラー3の軸方向においてディスク本体31の外周面の中央に位置している。また、環状刃32は、径方向外向きに先細りとなっている。
【0020】
さらに、各ディスクローラー3は、当該ディスクローラー3の軸方向に沿ってディスク本体31から両側に突出する一対のシャフト33を含む。中央支持部材42および外側支持部材(41または43)には、そのシャフト33を回転可能に支持する軸受け(図3参照)が保持されている。
【0021】
以下、説明の便宜上、ローラーカッター2の軸方向(ディスクローラー3の軸方向でもある)を左右方向、その左右方向および前後方向と直交する方向を上下方向ともいう。中央支持部材42および外側支持部材41,43のそれぞれは、左右方向に扁平な板状の部材である。
【0022】
ローラーカッター2が収納空間50内に挿入されたとき、中央支持部材42は、上下方向で筒状部52に挟持される。ただし、中央支持部材42の上端面の前側部分と筒状部52との間には楔部材22が挿入される。楔部材22は図略のボルトによって筒状部52に固定される。楔部材22の前端面は、筒状部52の先端面とほぼ同一平面上に位置する。
【0023】
同様に、ローラーカッター2が収納空間50内に挿入されたとき、外側支持部材41,43は、上下方向で筒状部52に挟持される。ただし、外側支持部材41,43の上端面の前側部分と筒状部52との間には楔部材21,23がそれぞれ挿入される。楔部材21,23は図略のボルトによって筒状部52に固定される。楔部材21,23の前端面は、筒状部52の先端面とほぼ同一平面上に位置する。
【0024】
このような構成により、筒状部52とローラーカッター2との間には、左側のディスクローラー3の環状刃32の上部および下部の周囲、ならびに、右側のディスクローラー3の環状刃32の上部および下部の周囲に、4つの空隙55~58が形成される。これらの空隙55~58は、収納空間50の一部である。
【0025】
カッターホルダー5が使用位置に位置するとき、筒状部52の先端面は、管状体12の前端面よりも僅かに後方に位置する。筒状部52の先端面には、環状の制限板8がボルトBによって着脱可能に取り付けられている。筒状部52の先端面には、ボルトBが螺合するねじ穴54が形成されている。
【0026】
制限板8の前面は、管状体12の前端面とほぼ同一平面上に位置する。換言すれば、制限板8の厚さは筒状部52の先端面から管状体12の前端面までの距離とほぼ等しく、制限板8は管状体12内に位置する。本実施形態では、制限板8が、上側ピース81と下側ピース82に分割されている。ただし、制限板8は、単一ピースであってもよい。制限板8は、耐摩耗性材料からなることが好ましい。
【0027】
制限板8の外側輪郭は、管状体12の内周面よりも僅かに小さな直径の円形状である。このため、制限板8と管状体12との間には環状隙間9が形成されている。一方、制限板8の内側輪郭は、筒状部52の前端面と同一平面上でのローラーカッター2の輪郭と相似な形状である。このため、制限板8は上述した空隙55~58を覆っている。
【0028】
さらに、本実施形態では、カッターホルダー5に、4つの第1ローラー洗浄流路61、2つの第2ローラー洗浄流路62、および2つの外部洗浄流路63が形成されている。第1ローラー洗浄流路61および第2ローラー洗浄流路62は、底部51の後面から収納空間50に至る流路であり、外部洗浄流路は、底部51の後面から環状隙間9に至る流路である。
【0029】
ただし、カッターホルダー5に形成されるローラー洗浄流路の数および外部洗浄流路の数は適宜変更可能である。例えば、カッターホルダー5にはローラー洗浄流路が1つだけ形成されてもよいし、外部洗浄流路が1つだけ形成されてもよい。
【0030】
収納空間50には第1ローラー洗浄流路61および第2ローラー洗浄流路62を通じて洗浄液が噴射され、環状隙間9には外部洗浄流路63を通じて洗浄液が噴射される。第1ローラー洗浄流路61および第2ローラー洗浄流路62を通じて噴射される洗浄液と、外部洗浄流路63を通じて噴射される洗浄液は、同じであってもよいし異なってもよい。洗浄液は、高粘度のものでない限り特に限定されるものではないが、例えば加泥材である。
【0031】
上述した固定板15には中央に開口が設けられており、この開口を通じてカッターホルダー5の底部の後面に接続板7が取り付けられている。接続板7には、第1ローラー洗浄流路61へ洗浄液を供給するための2つの第1カプラー71と、第2ローラー洗浄流路62へ洗浄液を供給するための2つの第2カプラー72と、外部洗浄流路63へ洗浄液を供給するための2つの第3カプラー73が設けられている。
【0032】
カッターホルダー5の底部51には、2つの環状刃32との干渉を回避するための2つの凹部53が設けられている。これらの凹部53内にディスクローラー3の後部がそれぞれ嵌まり込んでいる。ただし、底部51には必ずしも2つの凹部53が設けられる必要はなく、2つの環状刃32同士の離間距離よりも幅の広い1つの凹部が設けられてもよい。
【0033】
2つの凹部53は左右方向に並んでおり、各凹部53の底面は、ローラーカッター2の回転中心を中心とする円弧状である。第1ローラー洗浄流路61は、凹部53内で環状刃32に向かって洗浄液を噴射する。
【0034】
本実施形態では、1つの環状刃32に対して上側と下側の2つの第1ローラー洗浄流路61が設けられている。上側の第1ローラー洗浄流路61は、カッターホルダー5の底部51の後面から前方に向かって斜め上向きに延びており、下側の第1ローラー洗浄流路61は、カッターホルダー5の底部51の後面から前方に向かって斜め下向きに延びている。また、接続板7には、各第1カプラー71と左右に並ぶ2つの第1ローラー洗浄流路61とを接続する分岐路74(図4参照)が形成されている。
【0035】
2つの第2ローラー洗浄流路62および2つの外部洗浄流路63は、カッターホルダー5の底部51と筒状部52とに跨って延びている。本実施形態では、カッターホルダー5の筒状部52と底部51とが別体である。このため、第2ローラー洗浄流路62および外部洗浄流路63を容易に形成することができる。
【0036】
より詳しくは、底部51は前後方向と直交する肉厚の板状であり、底部51の前面に筒状部52の後面が当接している。例えば、筒状部52と底部51とは溶接によって互いに接合される。
【0037】
各第2ローラー洗浄流路62は、ローラーカッター2の回転中心よりも前方で筒状部52から2つの環状刃32に向かって洗浄液を噴射する。本実施形態では、各第2ローラー洗浄流路62が制限板8に沿って洗浄液を噴射する。向きは異なるものの、外部洗浄流路63も同様に制限板8に沿って洗浄液を噴射する。
【0038】
具体的には、図5に示すように、各第2ローラー洗浄流路62は、前後方向に延びて筒状部52を貫通する主流路62aと、筒状部52の先端面に形成された、主流路62aおよび収納空間50と連通する4つの内向き溝62b~62eを含む。ただし、内向き溝の数は適宜変更可能である。
【0039】
内向き溝62bは、主流路62aから左側の環状刃32の先端に向かって延びており、内向き溝62cは、内向き溝62bから分岐して左側の環状刃32の側面に向かって延びている。内向き溝62dは、主流路62aから右側の環状刃32の先端に向かって延びており、内向き溝62eは、内向き溝62dから分岐して右側の環状刃32の側面に向かって延びている。
【0040】
内向き溝62b~62eが制限板8で覆われることによって第2ローラー洗浄流路62の一部が構成される。この構成により、制限板8を利用して第2ローラー洗浄流路62を構成することができる。
【0041】
各外部洗浄流路63は、前後方向に延びて筒状部52を貫通する主流路63aと、筒状部52の先端面に形成された、主流路63aおよび環状隙間9(図3参照)と連通する3つの外向き溝63b~63dを含む。ただし、外向き溝の数は適宜変更可能である。
【0042】
外向き溝63bは、主流路63aから筒状部52の外周面まで左方に向かって延びており、外向き溝63cは、主流路63aから筒状部52の外周面まで右方に向かって延びており、外向き溝63dは、主流路63aから筒状部52の外周面まで上方に向かって延びている。
【0043】
外向き溝63b~63dが制限板8で覆われることによって外部洗浄流路63の一部が構成される。この構成により、制限板8を利用して外部洗浄流路63を構成することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のローラーカッター支持構造1では、制限板8によってローラーカッター2と筒状部52の間の空隙55~58が覆われるので、収納空間50内への土砂の侵入を抑制することができる。これにより、カッターホルダー5の収納空間50内での土砂の圧密を防止することができる。しかも、制限板8は筒状部52の先端面に取り付けられるので、筒状部52の先端面の摩耗も防止することができる。さらに、制限板8は着脱可能であるので、制限板8が摩耗したときは制限板8が交換可能であるとともに、制限板8を取り外せばローラーカッター2を交換することができる。
【0045】
また、本実施形態では、収納空間50に洗浄液を噴射する第1ローラー洗浄流路61および第2ローラー洗浄流路62が設けられているので、収納空間50内に噴射された洗浄液は制限板8とローラーカッター2の間の微小隙間から前方に向かって高速で噴射される。従って、収納空間50内への土砂の侵入をいっそう抑制することができる。また、たとえ収納空間50内に土砂が侵入したとしても、その土砂を洗浄液で洗い流すことができる。
【0046】
さらに、第1ローラー洗浄流路61は凹部53内でローラーカッター2の環状刃32に向かって洗浄液を噴射し、第2ローラー洗浄流路62はローラーカッター2の回転中心よりも前方で筒状部52から環状刃32に向かって洗浄液を噴射するので、収納空間50内の前方位置と後方位置の双方で環状刃32を洗浄することができる。
【0047】
また、本実施形態では環状隙間9に洗浄液を噴射する外部洗浄流路63が設けられているので、ローラーカッター2を交換する際に管状体12の内周面を洗浄することができる。
【0048】
さらに、洗浄液が加泥材であれば、土砂と加泥材との混合を最も理想的な位置(掘削直後)で行うことができる。
【0049】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、ローラーカッター2は、2つのディスクローラー3が一体となったものであってもよい。また、ローラーカッター2は、必ずしも2つの環状刃32を有する必要はなく、環状刃32を1つだけ有してもよい。
【0051】
カッターホルダー5には、外部洗浄流路63が形成されなくてもよい。また、カッターホルダー5には、外部洗浄流路63が形成されるか否かに拘らず、第1ローラー洗浄流路61と第2ローラー洗浄流路62のどちらか一方のみが形成されてもよい。あるいは、カッターホルダー5には、外部洗浄流路63のみが形成されてもよいし、外部洗浄流路63、第1ローラー洗浄流路61および第2ローラー洗浄流路62の全てが形成されなくてもよい。
【0052】
(まとめ)
本発明のローラーカッター支持構造は、カッターフレームの前壁に固定された管状体と、前記管状体内に配置された、前方に向かって開口する収納空間を形成する筒状部および底部を有するカッターホルダーと、一部が前記前壁よりも前方に突出する状態で前記収納空間内に挿入されたローラーカッターと、前記管状体内で、前記カッターホルダーの筒状部の先端面に着脱可能に取り付けられた制限板であって、前記筒状部と前記ローラーカッターの間の空隙を覆う制限板と、を備える、ことを特徴とする。
【0053】
上記の構成によれば、制限板によってカッターホルダーと筒状部の間の空隙が覆われるので、収納空間内への土砂の侵入を抑制することができる。これにより、カッターホルダーの収納空間内での土砂の圧密を防止することができる。しかも、制限板は筒状部の先端面に取り付けられるので、筒状部の先端面の摩耗も防止することができる。さらに、制限板は着脱可能であるので、制限板が摩耗したときは制限板が交換可能であるとともに、制限板を取り外せばローラーカッターを交換することができる。
【0054】
前記カッターホルダーには、前記底部の後面から前記収納空間に至る少なくとも1つのローラー洗浄流路が形成されており、前記少なくとも1つのローラー洗浄流路を通じて洗浄液が前記収納空間に噴射されてもよい。この構成によれば、収納空間内に噴射された洗浄液は制限板とローラーカッターの間の微小隙間から前方に向かって高速で噴射されるので、収納空間内への土砂の侵入をいっそう抑制することができる。また、たとえ収納空間内に土砂が侵入したとしても、その土砂を洗浄液で洗い流すことができる。
【0055】
前記ローラーカッターは、径方向外向きに先細りとなる少なくとも1つの環状刃を含み、前記カッターホルダーの前記底部には、前記少なくとも1つの環状刃との干渉を回避するための少なくとも1つの凹部が設けられており、前記少なくとも1つのローラー洗浄流路は、前記凹部内で前記環状刃に向かって洗浄液を噴射する第1ローラー洗浄流路と、前記ローラーカッターの回転中心よりも前方で前記筒状部から前記環状刃に向かって洗浄液を噴射する第2ローラー洗浄流路を含んでもよい。この構成によれば、収納空間内の前方位置と後方位置の双方でローラーカッターの環状刃を洗浄することができる。
【0056】
前記カッターホルダーの前記筒状部の先端面には、前記収納空間と連通する内向き溝が形成されており、この内向き溝が前記制限板で覆われることによって前記第2ローラー洗浄流路の一部が構成されてもよい。この構成によれば、制限板を利用して第2ローラー洗浄流路を構成することができる。
【0057】
前記制限板と前記管状体との間には環状隙間が形成されており、前記カッターホルダーには、前記底部の後面から前記環状隙間に至る外部洗浄流路が形成されており、前記外部洗浄流路を通じて洗浄液が前記環状隙間に噴射されてもよい。この構成によれば、管状体の内周面を洗浄することができる。
【0058】
前記カッターホルダーの前記筒状部の先端面には、前記環状隙間と連通する外向き溝が形成されており、この外向き溝が前記制限板で覆われることによって前記外部洗浄流路の一部が構成されてもよい。この構成によれば、制限板を利用して外部洗浄流路を構成することができる。
【0059】
前記洗浄液は加泥材であってもよい。この構成によれば、土砂と加泥材との混合を最も理想的な位置(掘削直後)で行うことができる。
【0060】
前記カッターホルダーの前記筒状部と前記底部とは別体であってもよい。この構成によれば、カッターホルダーに上述した第2ローラー洗浄流路と外部洗浄流路の一方または双方が底部と筒状部とに跨るように形成される場合に、その流路を容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ローラーカッター支持構造
10 カッターフレーム
11 前壁
12 管状体
2 ローラーカッター
32 環状刃
5 カッターホルダー
50 収納空間
51 底部
52 筒状部
53 凹部
55~58 空隙
61 第1ローラー洗浄流路
62 第2ローラー洗浄流路
62b~62e 内向き溝
63 外部洗浄流路
63b~63d 外向き溝
8 制限板
9 環状隙間
図1
図2
図3
図4
図5