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特開2022-167282バスバー部材及びバスバー部材の製造方法
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  • 特開-バスバー部材及びバスバー部材の製造方法 図1
  • 特開-バスバー部材及びバスバー部材の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167282
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】バスバー部材及びバスバー部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20221027BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20221027BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20221027BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/50 101
H01M50/588
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072988
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 康
(72)【発明者】
【氏名】三次 悠介
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043FA04
5H043HA22F
5H043HA31F
5H043JA06F
5H043KA08F
5H043KA09F
5H043KA22F
5H043KA41F
5H043KA44F
5H043KA45F
5H043LA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】直線部と、曲げ部と、を有するバスバーを被覆部材で被覆するバスバー部材及びバスバー部材の製造方法において、絶縁性を確保し易くなる構成を提供する。
【解決手段】バスバー部材10は、直線部21と、曲げ部22と、を有するバスバー20と、絶縁性を有し、バスバー20を被覆する被覆部材30と、を備えている。被覆部材30は、直線部21の一部を被覆する第1被覆部31と、曲げ部22において第1被覆部31に被覆されない部分を被覆し、第1被覆部31とは異なる第2被覆部32と、を有する。第2被覆部32の端部32Aが、第1被覆部31の端部31Aと重なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部と、曲げ部と、を有するバスバーと、
絶縁性を有し、前記バスバーを被覆する被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、
前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、
前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆し、前記第1被覆部とは異なる第2被覆部と、
を有し、
少なくとも前記第2被覆部の端部側部分が、前記第1被覆部の端部側部分と重なる
バスバー部材。
【請求項2】
バッテリパックに用いられる
請求項1に記載のバスバー部材。
【請求項3】
前記直線部における前記曲げ部側の端部には、前記第1被覆部に被覆されない部分が設けられている
請求項1又は請求項2に記載のバスバー部材。
【請求項4】
前記曲げ部は、前記直線部の板面に沿う方向に曲がっている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバスバー部材。
【請求項5】
絶縁性を有する被覆部材によってバスバーを被覆するバスバー部材の製造方法であって、
前記バスバーは、直線部と、曲げ部と、を有し、
前記被覆部材は、前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆する第2被覆部と、を有し、
前記直線部の少なくとも一部を前記第1被覆部で被覆し、
前記バスバーにおける前記直線部とは異なる部分を曲げて前記曲げ部を形成し、
前記第1被覆部の端部側部分と重なるように、前記曲げ部を前記第2被覆部で被覆する
バスバー部材の製造方法。
【請求項6】
前記第1被覆部は、押出成形によって形成される
請求項5に記載のバスバー部材の製造方法。
【請求項7】
前記直線部の少なくとも一部を前記第1被覆部で被覆するとともに、前記直線部の少なくとも一部に隣接する隣接部分を隣接被覆部で被覆し、
前記隣接被覆部を除去し、
前記隣接部分を曲げて前記曲げ部を形成し、
前記第1被覆部の端部側部分と重なるように、前記曲げ部を前記第2被覆部で被覆する
請求項5又は請求項6に記載のバスバー部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バスバー部材及びバスバー部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバー等の導体性部材は、絶縁被覆されて用いられる。例えば、特許文献1に開示されるケーブル部は、金属等の導電性材料によって構成される導体部と、導体部を被覆する絶縁性の被膜と、を備えている。ケーブル部は、直線部分の延び方向に対して直交する方向に折り曲げられた曲げ部分が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/69209号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、導体部が被膜で覆われた構造を曲げた状態にする場合、曲げ部分の被膜にしわや破れ等が生じるおそれがある。被膜にしわや破れ等が生じると、導体部の絶縁性を確保できなくなる問題が生じ得る。
【0005】
本開示は、直線部と、曲げ部と、を有するバスバーを被覆部材で被覆するバスバー部材及びバスバー部材の製造方法において、バスバー部材の絶縁性を確保し易くなる構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つであるバスバー部材は、
直線部と、曲げ部と、を有するバスバーと、
絶縁性を有し、前記バスバーを被覆する被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、
前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、
前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆し、前記第1被覆部とは異なる第2被覆部と、
を有し、
少なくとも前記第2被覆部の端部側部分が、前記第1被覆部の端部側部分と重なる。
【0007】
本開示の一つであるバスバー部材の製造方法は、
絶縁性を有する被覆部材によってバスバーを被覆するバスバー部材の製造方法であって、
前記バスバーは、直線部と、曲げ部と、を有し、
前記被覆部材は、前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆する第2被覆部と、を有し、
前記直線部の少なくとも一部を前記第1被覆部で被覆し、
前記バスバーにおける前記直線部とは異なる部分を曲げて前記曲げ部を形成し、
前記第1被覆部の端部側部分と重なるように、前記曲げ部を前記第2被覆部で被覆する
バスバー部材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一つであるバスバー部材は、直線部と、曲げ部と、を有するバスバーを被覆部材で被覆する構成において、絶縁性を確保し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態のバッテリパックの斜視図である。
図2】バスバー部材の一端を板厚方向から見た平面図である。
図3】バスバー部材の製造工程を説明する説明図である。
図4】従来のバスバー部材の製造工程を説明する説明図である。
図5】本開示の第2実施形態におけるバスバー部材の製造工程を説明する説明図である。
図6】本開示の他の実施形態におけるバスバー部材を板厚方向から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕~〔4〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。以下で例示される〔5〕~〔7〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
【0011】
〔1〕直線部と、曲げ部と、を有するバスバーと、
絶縁性を有し、前記バスバーを被覆する被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、
前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、
前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆し、前記第1被覆部とは異なる第2被覆部と、
を有し、
少なくとも前記第2被覆部の端部側部分が、前記第1被覆部の端部側部分と重なる
バスバー部材。
【0012】
このバスバー部材は、第1被覆部とは異なる第2被覆部が、曲げ部における第1被覆部に被覆されない部分を被覆するため、第2被覆部の構成が第1被覆部に影響を与えにくい。その上で、第2被覆部の端部側部分と第1被覆部の端部側部分とが重なるため、第1被覆部と第2被覆部との間でバスバーが露出することを抑制することができる。これにより、バスバー部材の絶縁性を確保し易くなる。
【0013】
〔2〕本開示のバスバー部材は、バッテリパックに用いられ得る。
この構成によれば、バスバー部材を、バッテリパックに用いられる大電流が流れやすいバスバーに適用することができる。
【0014】
〔3〕本開示のバスバー部材において、前記直線部における前記曲げ部側の端部には、前記第1被覆部に被覆されない部分が設けられ得る。
この構成によれば、直線部における曲げ部側の端部における第1被覆部に被覆されない部分を利用して、治具の取り付け等を行うことができ、治具の取り付け等で第1被覆部に影響が及ぶことを抑制することができる。
【0015】
〔4〕本開示のバスバー部材において、前記曲げ部は、前記直線部の板面に沿う方向に曲がり得る。
曲げ部が直線部の板面に沿う方向に曲がる構成では、内周部の曲がり具合が大きくなり、外周部の延びが大きくなるため、第2被覆部に変形等が生じ易くなる。そのため、このように形成される曲げ部に対して第2被覆部の構成(第1被覆部とは異なる被覆部とする構成)を適用することで、第2被覆部の変形などの影響が第1被覆部に及びにくくなる効果が顕著に生じる。
【0016】
〔5〕絶縁性を有する被覆部材によってバスバーを被覆するバスバー部材の製造方法であって、
前記バスバーは、直線部と、曲げ部と、を有し、
前記被覆部材は、前記直線部の少なくとも一部を被覆する第1被覆部と、前記曲げ部において前記第1被覆部に被覆されない部分を被覆する第2被覆部と、を有し、
前記直線部の少なくとも一部を前記第1被覆部で被覆し、
前記バスバーにおける前記直線部とは異なる部分を曲げて前記曲げ部を形成し、
前記第1被覆部の端部側部分と重なるように、前記曲げ部を前記第2被覆部で被覆する
バスバー部材の製造方法。
【0017】
このバスバー部材の製造方法は、バスバーに曲げ部を形成した後に曲げ部を被覆する第2被覆部を形成することで、バスバーの曲げ加工に起因する被覆部のしわや破れ等の発生を抑制することができる。その上で、第2被覆部の端部側部分と第1被覆部の端部側部分とが重なるため、第1被覆部と第2被覆部との間でバスバーが露出することを抑制することができる。これにより、バスバー部材の絶縁性を確保し易くなる。
【0018】
〔6〕本開示のバスバー部材において、前記第1被覆部は、押出成形によって形成され得る。
この構成によれば、第1被覆部の形成に押出成形を用いることで、第1被覆部を形成する際のコストを低減でき、工程を簡略化することができる。
【0019】
〔7〕本開示のバスバー部材において、前記直線部を前記第1被覆部で被覆するとともに、前記直線部に隣接する隣接部分を隣接被覆部で被覆し、前記隣接被覆部を除去し、前記隣接部分を曲げて前記曲げ部を形成し、前記第1被覆部の端部側部分と重なるように、前記曲げ部を前記第2被覆部で被覆し得る。
隣接被覆部で被覆された状態の隣接部分を曲げる際に、隣接被覆部にしわや破れ等が生じるおそれがある。そのため、隣接被覆部を予め除去した上で曲げ部に第2被覆部を被覆することで、曲げ部をしわや破れ等の発生が抑制された第2被覆部で被覆することができる。
【0020】
<第1実施形態>
1.バスバー部材の構成
第1実施形態のバスバー部材10は、大電流用のバスバー部材である。バスバー部材10は、例えば、電気自動車やハイブリット自動車等の車両に用いられる。例えば、バスバー部材10は、図1に示すように、電気自動車やハイブリット自動車等の車両に搭載されるバッテリパック12に用いられる。バッテリパック12は、複数の電池モジュール14をケース16内に収容している。なお、図1では、1つのバッテリパック12のみを図示している。電池モジュール14は、複数の電池セルの集合体である。図1の例では、電池モジュール14から外部に電力を取り出す電力路にバスバー部材10が用いられている。なお、バスバー部材10は、電池モジュール14間の電極同士を接続する電力路等としても用いることができる。
【0021】
バスバー部材10は、図2に示すように、バスバー20と、被覆部材30と、を備えている。バスバー20は、導電性材料(例えば、アルミニウム、銅等)からなる導電性部材である。バスバー20は、例えば金属板を打ち抜いて形成される。バスバー20は、扁平板状である。バスバー20は、直線部21と、曲げ部22と、を有する。直線部21は、所定方向に延びる部分であり、平行な一対の縁を有する部分である。曲げ部22は、直線部21に対して折れ曲がる部分である。すなわち、曲げ部22は、直線部21の端部21Bから折れ曲がるように延出する部分である。曲げ部22は、直線部21の板面21Aに沿う方向に曲がっている。曲げ部22は、いわゆるエッジワイズ曲げ形状(直線部21における断面の長辺を横方向に曲げる形状)である。曲げ部22の内縁(内周側の縁)及び外縁(外周側の縁)は、湾曲している。
【0022】
被覆部材30は、図2に示すように、バスバー20を被覆している。被覆部材30は、絶縁性を有している。被覆部材30は、例えば、可撓性を有する樹脂によって構成されている。被覆部材30は、第1被覆部31と、第2被覆部32と、を有している。第1被覆部31は、直線部21の一部を被覆している。第1被覆部31は、曲げ部22を被覆していない。直線部21における曲げ部22側の端部21B(曲げ部22に隣接する部分)には、第1被覆部31に被覆されない部分(第1非被覆部21C)が設けられている。第1非被覆部21Cは、図2において一点鎖線AR1で囲まれた部分である。第1非被覆部21Cは、端部21Bの全周に亘って設けられている。このように、直線部21に第1非被覆部21Cを設けることで、第1非被覆部21Cを利用して、治具の取り付け等を行うことができ、治具の取り付け等で第1被覆部31に影響が及ぶことを抑制することができる。
【0023】
図2に示すように、第2被覆部32は、第1被覆部31と異なる被覆部である。第2被覆部32は、曲げ部22において第1被覆部31に被覆されない部分(図2では、曲げ部22の全体)を被覆している。第2被覆部32は、第1被覆部31の一部及び直線部21の一部を被覆している。具体的には、第2被覆部32は、第1被覆部31における曲げ部22側の端部31Aを被覆している。第2被覆部32の直線部21側の端部32Aが、第1被覆部31の端部31Aを全周に亘って被覆している。すなわち、第2被覆部32の端部32Aが、第1被覆部31の端部31Aと全周に亘って重なっている。
【0024】
図2に示すように、第2被覆部32は、直線部21の第1非被覆部21Cを被覆している。具体的には、第2被覆部32における端部32Aに隣接する部分(隣接部32B)が、第1非被覆部21Cを全周に亘って被覆している。
【0025】
図2に示すように、直線部21の一部を第1被覆部31で被覆するとともに、曲げ部22を第2被覆部32で被覆する構成であるため、第1被覆部31と第2被覆部32とが一体として設けられる構成(断絶することなく続いている構成)に比べて、第2被覆部32から第1被覆部31へ影響が及びにくくなる。例えば、第2被覆部32の形状の変化によって第1被覆部31の形状に影響を及ぼし難くすることができる。
【0026】
曲げ部22が直線部21の板面に沿う方向に曲がる構成では、曲げ部22の内周縁の曲がり具合が大きくなり、曲げ部22の外周縁の延びが大きくなる。そのため、曲げ部22を覆う第2被覆部32に変形等が生じ易くなる。このように形成される曲げ部22に対して第2被覆部32の構成(第1被覆部31とは異なる被覆部とする構成)を適用することで、第2被覆部32の変形などの影響が第1被覆部31に及びにくくなる効果が顕著になる。
【0027】
図2に示すように、第2被覆部32の端部32Aと第1被覆部31の端部31Aとが重なる構成であるため、第1被覆部31と第2被覆部32との間でバスバー20が露出することを抑制することができる。例えば、第2被覆部32と第1被覆部31との間に隙間が生じてバスバー20が露出することを抑制できる。そのため、バスバー部材10の絶縁性を確保し易くなる。
【0028】
2.バスバー部材の製造方法
次に、バスバー部材10の製造方法について説明する。まず、図3(A)に示すように、直線状のバスバー40を用意する。次に、図3(B)に示すように、バスバー40の長さ方向全体(両端面を除く全周)を全体被覆部50で被覆する。全体被覆部50は、絶縁性を有する。全体被覆部50は、例えば可撓性を有する樹脂によって構成されている。全体被覆部50は、例えば押出成形によって形成される。例えば、全体被覆部50は、押出成形によってチューブ状の絶縁部材をバスバー40の周面を覆うように配置した後、熱収縮させることで形成される。このように、全体被覆部50の形成に押出成形を用いることで、コストを低減でき、工程を簡略化することができる。
【0029】
バスバー40において、図3(B)に示す一点鎖線AR2で囲まれる領域に含まれる部分が直線部21に相当する。一点鎖線AR2で囲まれる領域には、第1非被覆部21C(一点鎖線AR1で囲まれる領域)が含まれている。バスバー40において、図3(B)に示す一点鎖線AR3で囲まれる領域に含まれる部分を、直線部21の一部(第1非被覆部21Cを除く部分)に隣接する隣接部分42とする。全体被覆部50において、図3(B)に示す一点鎖線AR3で囲まれる領域に含まれる部分を、隣接部分42を被覆する隣接被覆部52とする。
【0030】
続いて、図3(C)に示すように、隣接部分42から隣接被覆部52を除去する。これにより、直線部21の一部(第1非被覆部21Cを除く部分)を被覆する第1被覆部31が形成される。同時に、図3(C)において一点鎖線で囲まれた部分(領域AR1)に、第1非被覆部21Cが形成される。
【0031】
次に、図3(D)に示すように、バスバー40における直線部21とは異なる部分(隣接部分42)を曲げて曲げ部22を形成する。曲げ部22は、直線部21の端部21Bから折れ曲がるように形成される。曲げ部22は、直線部21の板面21Aに沿う方向に曲げて形成される。曲げ部22は、いわゆるエッジワイズ曲げ(直線部21における断面の長辺を横方向に曲げる曲げ方)で形成される。例えば、第1非被覆部21Cに取り付けた治具を利用して、曲げ部22を形成することができる。
【0032】
続いて、図3(E)に示すように、第1被覆部31における曲げ部22側の端部31A、及び第2被覆部32における端部32Aに隣接する部分(隣接部32B)に重なるように、曲げ部22を第2被覆部32で被覆する。具体的には、端部32Aが第1被覆部31の端部31Aを被覆し、隣接部32Bが第1非被覆部21Cを被覆するように、第2被覆部32を形成する。ここで、第2被覆部32の端部32Aは、第1被覆部31の端部31Aの全周に亘って重なるようにする。第2被覆部32は、例えば、チューブ状の絶縁部材を曲げ部22に被せて、熱収縮させることで形成される。隣接被覆部52を予め除去した上で曲げ部22に第2被覆部32を被覆することで、曲げ部22をしわや破れ等の発生が抑制された第2被覆部32で被覆することができる。第2被覆部32の端部32Aと第1被覆部31の端部31Aとが重なるため、第1被覆部31と第2被覆部32との間でバスバー20が露出することを抑制することができる。これにより、バスバー部材10の絶縁性を確保し易くなる。以上のようにして、バスバー部材10が製造される。
【0033】
図4は、従来のバスバー部材の製造方法を説明する説明図である。従来のバスバー部材の製造方法では、図4に示すように、バスバー120を被覆部材130で被覆した後に、被覆部材130が被覆されたバスバー120を曲げて曲げ部122を形成する構成であった。すなわち、曲げ部122を被覆する被覆部が曲げ部を形成する前に予め形成される構成であった。このような構成では、バスバーの曲げに起因して、被覆部材130における曲げ部122を被覆する部分にしわや破れ等が生じ易くなる。特に、曲げ部が直線部の板面に沿う方向に曲がる構成では、内周部の曲がり具合が大きくなり、外周部の延びが大きくなるため、被覆部材に変形等が生じ易くなる。例えば、曲げ部122の内周部を被覆する部分(図4の一点鎖線で囲んだ部分)では、しわが発生し易い。このように、従来のバスバー部材の製造方法では、曲げ部122を被覆する被覆部材の加工精度の確保が難しくなる。一方で、本開示のバスバー部材の製造方法では、バスバー20に曲げ部22を形成した後に曲げ部22を被覆する第2被覆部32を形成する構成である。そのため、本開示のバスバー部材の製造方法では、第2被覆部32にバスバー20の曲げ加工の影響が及ばないため、バスバー20の曲げ加工に起因する被覆部のしわや破れ等の発生を抑制することができる。
【0034】
本開示のバスバーの製造方法は、被覆部材30を第1被覆部と第2被覆部32とに分けて、曲げ部22を形成する前に第1被覆部31で直線部21の一部を被覆する構成である。そのため、第1被覆部31を形成する際に、比較的長いチューブ状の絶縁部材にバスバー20(特に曲げ部22)を挿し通す必要がなく、製造方法を簡略化させることができる。
【0035】
3.効果の例
次の説明は、第1実施形態の効果に関する。
本開示のバスバー部材10によれば、第1被覆部31とは異なる第2被覆部32が、曲げ部22における第1被覆部31に被覆されない部分を被覆するため、第2被覆部32の構成が第1被覆部31に影響を及ぼさない。その上で、第2被覆部32の端部側部分(端部32A)と第1被覆部31の端部側部分(端部31A)とが重なるため、第1被覆部31と第2被覆部32との間でバスバー20が露出することを抑制することができる。これにより、バスバー部材10の絶縁性を確保し易くなる。
【0036】
本開示のバスバー部材10は、バッテリパック12に用いられる。これにより、バスバー部材10を、バッテリパック12に用いられる大電流が流れやすいバスバーに適用することができる。
【0037】
本開示のバスバー部材10において、直線部21における曲げ部22側の端部21Bには、第1被覆部31に被覆されない部分(第1非被覆部21C)が設けられている。これにより、第1非被覆部21Cを利用して、治具の取り付け等を行うことができ、治具の取り付け等で第1被覆部31に影響が及ぶことを抑制することができる。
【0038】
本開示のバスバー部材10において、曲げ部22は、直線部21の板面21Aに沿う方向に曲がっている。曲げ部22が直線部21の板面21Aに沿う方向に曲がる構成では、内周部の曲がり具合が大きくなり、外周部の延びが大きくなるため、第2被覆部32に変形等が生じ易くなる。そのため、このように形成される曲げ部22に対して第2被覆部32の構成(第1被覆部31とは異なる被覆部とする構成)を適用することで、第2被覆部32の変形などの影響が第1被覆部31に及びにくくなる効果が顕著に生じる。
【0039】
本開示のバスバー部材10の製造方法では、直線部21の一部を第1被覆部31で被覆し、バスバー20における直線部21とは異なる部分を曲げて曲げ部22を形成し、第1被覆部31の端部側部分(端部31A)と重なるように、曲げ部22を第2被覆部32で被覆する。このように、バスバー20に曲げ部22を形成した後に曲げ部22を被覆する第2被覆部32を形成することで、バスバー20の曲げ加工に起因する被覆部のしわや破れ等の発生を抑制することができる。その上で、第2被覆部32の端部側部分(端部32A)と第1被覆部31の端部側部分(端部31A)とが重なるため、第1被覆部31と第2被覆部32との間でバスバー20が露出することを抑制することができる。これにより、バスバー部材10の絶縁性を確保し易くなる。
【0040】
本開示のバスバー部材10の製造方法において、第1被覆部31は、押出成形によって形成される。これにより、第1被覆部31の形成に押出成形を用いることで、第1被覆部31を形成する際のコストを低減でき、工程を簡略化することができる。
【0041】
本開示のバスバー部材10の製造方法において、直線部21を第1被覆部31で被覆するとともに、直線部21に隣接する隣接部分42を隣接被覆部52で被覆し、隣接被覆部52を除去し、隣接部分42を曲げて曲げ部22を形成する。隣接被覆部52で被覆された状態の隣接部分42を曲げる際に、隣接被覆部52にしわや破れ等が生じるおそれがある。そのため、隣接被覆部52を予め除去した上で曲げ部22に第2被覆部32を被覆することで、曲げ部22をしわや破れ等の発生が抑制された第2被覆部32で被覆することができる。
【0042】
<第2実施形態>
次の説明は、第2実施形態のバスバー部材の製造方法に関する。
図5に示されるバスバー部材の製造方法において、隣接被覆部52を除去する工程のみが第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同一である。よって、第2実施形態のバスバー部材の製造方法の説明において、第1実施形態と同一の構成をなす部分については、第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
第2実施形態のバスバー部材の製造方法は、図5(A)に示すように、まず、第1実施形態と同様に、直線状のバスバー40を用意する。次に、図5(B)に示すように、第1実施形態と同様に、バスバー40の長さ方向全体(両端面を除く全周)を全体被覆部50で被覆する。
【0044】
続いて、図5(C)に示すように、バスバー40における直線部21とは異なる部分(隣接部分42)を曲げて曲げ部22を形成する。曲げ部22の形状は、第1実施形態で形成した曲げ部22の形状と同様である。このとき、全体被覆部50における第1非被覆部21Cを被覆する部分(中央部53)に、治具を取り付けることができる。中央部53は、図5(B)(C)に示す一点鎖線AR1で囲まれた部分である。これにより、中央部53が治具等の取り付けにより破損した場合であっても、後の工程で除去される部分であるため、バスバー部材10の絶縁性の確保に支障が生じない。
【0045】
続いて、図5(D)に示すように、曲げ部22から隣接被覆部52を除去する。これにより、直線部21の一部(第1非被覆部21Cを除く部分)を被覆する第1被覆部31が形成される。
【0046】
続いて、図5(E)に示すように、第1実施形態と同様の方法によって、第2被覆部32を形成する。以上のようにして、バスバー部材10が製造される。このような製造方法によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0048】
第1実施形態では、バスバー部材10の一端の構成を例示したが、図6に示すように、バスバー部材10の両端が曲がっている構成であってもよい。このような構成によっても、第2被覆部32の構成が第1被覆部31に影響を及ぼさない状態で、バスバー部材10の絶縁性を確保し易くなる。
【0049】
第1実施形態では、第2被覆部32の端部32Aと第1被覆部31の端部31Aとが重なる構成であったが、第2被覆部32及び第1被覆部31の少なくとも一方が、端部より広い範囲で他方の被覆部と重なる構成であってもよい。
【0050】
第1実施形態では、第1被覆部31が、直線部21における第1非被覆部21Cを除く部分を被覆していたが、第1非被覆部21Cを含めて被覆する構成であってもよい。
【0051】
第1実施形態では、第2被覆部32が、曲げ部22の全体を覆っていたが、曲げ部22の一部を覆う構成であってもよい。
【0052】
第1実施形態では、曲げ部22が、直線部21の板面に沿う方向に曲がっていたが、その他の方向に曲がる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…バスバー部材
12…バッテリパック
14…電池モジュール
16…ケース
20…バスバー
21…直線部
21A…板面
21B…端部
21C…第1非被覆部
22…曲げ部
30…被覆部材
31…第1被覆部
31A…端部
32…第2被覆部
32A…端部
32B…隣接部
40…バスバー
42…隣接部分
50…全体被覆部
52…隣接被覆部
53…中央部
120…バスバー
122…曲げ部
130…被覆部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6