(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167285
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】バンパーラバー
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20221027BHJP
F16F 1/36 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F16F7/00 B
F16F1/36 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072998
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】蛭川 大一朗
【テーマコード(参考)】
3J059
3J066
【Fターム(参考)】
3J059AD02
3J059BA55
3J059BB01
3J059BC05
3J059CA08
3J059CB16
3J059GA01
3J066AA24
3J066BA01
3J066BB01
3J066BC01
3J066BD05
3J066BE08
(57)【要約】
【課題】取付孔に対する係合部の良好な挿入作業性と、バンパーラバー全体の成形コストの低廉化が図れるバンパーラバーを提供する。
【解決手段】バンパーラバー10は、ほぼ円柱状のラバー本体11と、トランクリッドの相手側部材である車体パネル1に穿設された取付孔2に挿入される係合部13と、ラバー本体と係合部との間に設けられ、係合部が前記取付孔に挿入された際に、前記取付孔に嵌合する首部12と、をゴム材によって一体に有し、前記係合部は、外周面の先端部13bを除く前記首部側の基端部13aから軸方向の中央部13dにわたって複数の螺旋溝14が形成され、該各螺旋溝の間に拡径、縮径方向へ弾性変形可能な複数の変形可能部15を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラバー本体と、開閉部材またはその相手側部材に穿設された取付孔に挿入される係合部と、前記ラバー本体と係合部との間に設けられ、前記係合部が前記取付孔に挿入された際に、前記取付孔に嵌合する首部と、をゴム材あるいは合成樹脂材によって一体に形成されたバンパーラバーであって、
前記係合部は、外周面の先端部を除く前記首部側の基端部から軸方向のほぼ中央位置にわたって複数の螺旋溝が形成され、該各螺旋溝の間に拡径、縮径方向へ弾性変形可能な複数の変形可能部を有することを特徴とするバンパーラバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバンパーラバーであって、
前記係合部は、前記基端部から先端部まで先細り状の截頭円錐状に形成され、前記螺旋溝と変形可能部は前記基端部から先端部側の中央位置まで形成されていることを特徴とするバンパーラバー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバンパーラバーであって、
前記ラバー本体の軸方向一端から前記首部及び前記係合部の少なくとも基端部までの内部軸方向に中空穴が形成されていることを特徴とするバンパーラバー。
【請求項4】
請求項1に記載のバンパーラバーであって、
前記係合部の少なくとも基端部の内部に中空穴が形成されていることを特徴とするバンパーラバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を閉めたときの衝撃、振動、騒音などを低減するバンパーラバーの改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバンパーラバーとしては、以下の特許文献1、2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載のバンパーラバーは、自動車のエンジンフードやトランクリッドなどの開閉部材が当接する当接部と、該当接部の一端に設けられて、車体パネルに形成された取付孔に嵌合する小径な首部と、該首部の先端に一体に設けられて前記取付孔に挿入されて前記首部と協働して取付孔の孔縁部を挟持状態に係合する円錐状の係合部と、を有している。この当接部や首部及び係合部は、全体が天然ゴム等のゴム材にて中実一体に形成されており、開閉部材を閉じた際の衝撃を吸収すると共に、閉じた状態における開閉部材のばたつきを抑制するようになっている。
【0004】
特許文献2に記載のバンパーラバーは、円錐台形状のゴム材のボディ部と、該ボディ部の下端に小径な首部を介して設けられた熱可塑性樹脂材の係合部と、を有している。前記係合部は、上端部に一体に有するベース部を、ボディ部の内部に形成された円板状の空間であるリセス部及び空洞部に挿入してボディ部に連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平61-106639号公報
【特許文献2】特開2003-130110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のバンパーラバーにあっては、当接部と首部及び係合部がゴム材で中実一体に形成されて、全体の剛性が高くなっていることから、係合部を取付孔に挿入することが困難になり、開閉部材に対するバンパーラバーの取り付け作業性が悪化してかかる作業能率が低下するおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載のバンパーラバーにあっては、ボディ部と係合部がゴム材と合成樹脂材の異なる2つの材質で形成されていることから、成形加工が煩雑になると共に、別個の成形金型が必要になり、さらには部品点数の増加などによってコストの高騰が余儀なくされている。
【0008】
本発明は、前記従来の各バンパーラバーの技術的課題に鑑みて案出されたもので、取付孔に対する係合部の良好な挿入作業性と成形コストの低廉化が図れるバンパーラバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に係る発明は、ラバー本体と、開閉部材またはその相手側部材に穿設された取付孔に挿入される係合部と、前記ラバー本体と係合部との間に設けられ、前記係合部が前記取付孔に挿入された際に、前記取付孔に嵌合する首部と、をゴム材あるいは合成樹脂材によって一体に形成されたバンパーラバーであって、
前記係合部は、外周面の先端部を除く前記首部側の基端部から軸方向のほぼ中央位置にわたって複数の螺旋溝が形成され、該各螺旋溝の間に拡径、縮径方向へ弾性変形可能な複数の変形可能部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取付孔に対する係合部の挿入性が良好になると共に、バンパーラバー全体の成形コストの低廉化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るバンパーラバーが自動車の車体パネルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図2】本実施形態のバンパーラバーの斜視図である。
【
図3】本実施形態のバンパーラバーの底面図である。
【
図4】
図1のA-A線から断面して示すバンパーラバーの斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るバンパーラバーが自動車の車体パネルに取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図7】本実施形態のバンパーラバーの斜視図である。
【
図8】本実施形態のバンパーラバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るバンパーラバーの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態に係るバンパーラバーが自動車の車体パネルに取り付けられた状態を示す正面図、
図2は本実施形態のバンパーラバーの斜視図、
図3は本実施形態のバンパーラバーの底面図、
図4は
図1のA-A線から断面して示すバンパーラバーの斜視図である。
【0014】
図1に示すように、トランクリッドなどの開閉部材が開閉される開口部を有する相手側部材である車体パネル1に複数の取付孔2が貫通形成されており、この取付孔2にバンパーラバー10が取り付けられている。
【0015】
バンパーラバー10は、
図1~
図4に示すように、全体が弾性材であるゴム材によって一体に形成されており、図中上部に位置するラバー本体11と、該ラバー本体11の軸方向の下端に有し、前記取付孔2に嵌合する首部12と、該首部12の軸方向一端に設けられ、前記取付孔2に挿入される係合部13と、を有している。
【0016】
ラバー本体11は、トランクリッドの閉時に、当該トランクリッドの下面に弾接し、これによって、トランクリッドの閉時における衝撃や振動及び騒音等を減衰、低減するようになっている。このラバー本体11は、形状や大きさなどは適用対象や仕様、用途などに応じて適宜に設定され、この実施形態では、頂部が平坦状のカットされた截頭円錐状に形成されている。
【0017】
首部12は、外径が取付孔2よりも小径な円柱状に形成されていると共に、軸方向の長さが車体パネル1の肉厚とほぼ同じかそれよりも僅かに小さく設定されている。
【0018】
係合部13は、図中下端面が平坦状の截頭円錐状の独楽形状に形成されて、首部12側の基端部13aが円形状に形成されていると共に、この基端部13aの下端縁から先端部13bの平坦な先端面13cまで先細りテーパ状に形成されている。
【0019】
係合部13は、基端部13aの外径d1が取付孔2の内径dよりも大きく形成されていると共に、基端部13aと先端部13bとの間の中央位置である中央部13dから先端面13cまでの外径が取付孔2の内径dよりも漸次小さくなるように形成されている。
【0020】
また、係合部13の外周面には、複数(本実施形態では8本)の螺旋溝14が形成されている。この各螺旋溝14は、軸方向(図中、縦方向)へ所定角度で傾斜状に形成されて、基端部13aの上面13eから中央部13d付近まで延出して形成されている。しかし、各螺旋溝14は、中央部13dから先端部13bの外周面には形成されていない。したがって、先端部13bは、ゴム材による中実状に形成されていて比較的高い剛性が確保されている。また、各螺旋溝14は、それぞれの所定の幅Wが比較的大きく形成されて細長い帯状になっており、円周方向で隣接する螺旋溝14の間には、8つの変形可能部15がそれぞれ形成されている。
【0021】
この各変形可能部15は、
図1~
図4に示すように、各螺旋溝14によって形成されたものであるから、各螺旋溝14に倣って螺旋状に形成されていると共に、その長さも螺旋溝14と同じく基端部13aの上面から中央部13dまでに設定されている。各変形可能部15は、その幅W1が螺旋溝14の幅Wよりも大きく形成されていると共に、各螺旋溝14を介して絞り方向へ縮径変形可能になっており、自由状態では自身の弾性力によって拡径方向へ拡がるように変形している。また、この各変形可能部15は、断面形状が先端先細り状の三角形状ではなく、ほぼ矩形状に形成されてある程度の剛性が確保されるようになっている。また、この各変形可能部15が断面矩形状に形成されていることから、
図4に示すように、基端部13aも分割形成されて平坦な各上面13e(各変形可能部15の上面)が面積の比較的広い矩形状になっている。
〔本実施形態に係るバンパーラバーの作用効果〕
以下、このバンパーラバー10を車体パネル1の取付孔2に取り付ける際の作用効果について説明する。
【0022】
バンパーラバー10を取付孔2に挿入するには、まず、ラバー本体11を手で把持して、係合部13の先端部13bを、取付孔2の
図1中、上端孔縁2aに押し当てながらそのまま下方に押し込む。そうすると、各変形可能部15が、各螺旋溝14方向へ倒れて、つまり絞り方向へ撓み変形して全体が縮径変形しながら取付孔2内を円滑に挿入される。
【0023】
その後、取付孔2に首部12が嵌合すると、
図1に示すように、各変形可能部15は、自身の弾性力で元の状態に拡径変形して基端部13aの上面13eとラバー本体11の下面11aとの間で取付孔2の上下孔縁部を挟持状態に係合する。つまり、バンパーラバー10が、ラバー本体11と係合部13との弾性力によって取付孔2の孔縁に強固に取り付けられる。
【0024】
そして、前述したように、係合部13が、取付孔2内に挿入される際には、各変形可能部15が縮径方向へ撓み変形して摺動抵抗が少なくなってスムーズな挿入性が得られる。このため、バンパーラバー10の取付孔2への挿入作業が容易になり作業能率の向上が図れる。
【0025】
換言すれば、前述した特許文献1のバンパーラバーのように、係合部全体の剛性が高い場合には、取付孔への挿入性が悪化するため、係合部の外面に潤滑剤を塗布して滑りやすくすることも考えられるが、この方法では、資材費の高騰や塗布作業が煩雑になるといった技術的課題も招くおそれがある。
【0026】
また、係合部の外径を小さくして取付孔に対する挿入性を良好にすることも考えられるが、このようにすると、係合部が取付孔から容易に抜け出し易くなるといった技術的課題もある。
【0027】
これに対して本実施形態では、係合部13の外周に複数の螺旋溝14を設けて、各変形可能部15を拡縮径変形可能としたことから、前述のように、係合部13の取付孔2に対するスムーズな挿入性が得られると共に、挿入後における係合部13の拡径変形によって取付孔2に対する強固な係合状態が得られる。
【0028】
特に、各変形可能部15は、断面形状が先端薄肉な三角形状ではなく、比較的肉厚なほぼ矩形状に形成されてある程度の剛性が確保されている。したがって、取付孔2を挿入通過後に自身の弾性力によって拡径変形すると、基端部13aは、上面13e全体が取付孔2の下部孔縁に広い面積で弾接すると共に、弾接剛性も高くなる。したがって、例えばラバー本体11に取付孔2から上方へ引く抜く方向への力が掛かっても係合部13が簡単に抜け出ることがなく、バンパーラバー10の安定かつ強固な取付状態を維持できる。
【0029】
しかも、係合部13は、中央部13dから先端部13bまでの外周面に螺旋溝14が形成されておらず、中実になっていることから剛性が高くなっている。このため、先端部13bから取付孔2に挿入する際に、この先端部13bは撓み変形することなく取付孔2内への直進性が確保されたガイドとして機能する。このため、係合部13の取付孔2に対する挿入性がさらに良好になって、この挿入作業能率が一層向上する。
〔第2実施形態〕
図5~
図9は本発明に係るバンパーラバーの第2実施形態を示し、
図5は本発明の第2実施形態に係るバンパーラバーが自動車の車体パネルに取り付けられた状態を示す正面図、
図6は
図5のB-B線断面図、
図7は本実施形態のバンパーラバーの斜視図、
図8は本実施形態のバンパーラバーの底面図、
図9は
図5のC-C線断面図である。
【0030】
この第2実施形態に係るバンパーラバー10は、第1実施形態の構造をベースとして、ラバー本体11の内部中心軸方向に沿って中空穴20を形成したものである。すなわち、バンパーラバー10は、
図1~
図4に示すように、全体が弾性材であるゴム材あるいは合成樹脂材(本実施形態ではゴム材)によって一体に形成されており、ほぼ円柱状のラバー本体11と、該ラバー本体11の軸方向の一端に一体に有し、取付孔2に嵌合する首部12と、該首部12の軸方向一端に設けられ、取付孔2に挿入される係合部13と、を有している。
【0031】
ラバー本体11は、トランクリッドの閉時における衝撃や振動及び騒音等を減衰、低減するようになっており、頂部が平坦状のカットされた円錐状に形成されている。首部12は、外径が取付孔2よりも小径な円柱状に形成されていると共に、軸方向の長さが車体パネル1の肉厚とほぼ同じかそれよりも僅かに小さく設定されている。
【0032】
係合部13は、外周面に8本の螺旋溝14が形成されている。この各螺旋溝14は、所定角度の傾斜状に形成されて、基端部13aから中央部13dまで延出して形成されているが、先端部13bの外周面には形成されていない。したがって、先端部13bは、ゴム材による中実状になっていることから比較的高い剛性が確保されている。また、各螺旋溝14は、それぞれの所定の幅Wが比較的大きく形成されて細長い帯状になっており、円周方向で隣接する螺旋溝14の間には、8つの変形可能部15がそれぞれ形成されている。
【0033】
この各変形可能部15は、各螺旋溝14によって形成されたものであるから、各螺旋溝14に倣って螺旋状に形成されていると共に、その長さも螺旋溝14と同じく基端部13aから中央部13dまでに設定されている。各変形可能部15は、その幅W1が螺旋溝14の幅Wよりも大きく形成されていると共に、各螺旋溝14を介して絞り方向へ縮径変形可能になっており、自由状態では拡径方向に変形している。
【0034】
そして、バンパーラバー10の内部軸方向に中空穴16が穿設されている。この中空穴16は、内周面の均一な内径d2が係合部13の先端面13cの外径よりも小さく設定されていると共に、軸方向長さLがラバー本体11の上面中央から首部12を貫通して係合部13の基端部13aまで延出形成されている。但し、この中空穴16は、係合部13の中央部13dから先端部13bまでは形成されていない。
【0035】
したがって、バンパーラバー10は、係合部13の中央部13dから先端部13bまでは中実であるからこの部位の剛性は第1実施形態と同じく比較的高いが、中空穴16が形成されたラバー本体11と首部12及び係合部13の基端部13aまでの剛性が低くなる。
【0036】
このため、バンパーラバー10を、取付孔2内に係合部13の先端部13bから挿入すると、剛性の高い先端部13b側では直進性が得られると共に、大径な基端部13a側では剛性が低くなっているので、各変形可能部15が縮径方向へ撓み易くなって取付孔2内への挿入性が良好になる。この結果、バンパーラバー10の取付孔2に対する取付作業がさらに容易になる。
【0037】
基端部13aが取付孔2を通過した後は、第1実施形態と同じく基端部13aの上面13e全体が取付孔2の下部孔縁に広い面積で弾接すると共に、弾接剛性も高くなるので、ラバー本体11に取付孔2から上方へ引く抜く方向への力が掛かっても係合部13が簡単に抜け出ることがなく、バンパーラバー10の安定かつ強固な取付状態を維持できる。
【0038】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、各螺旋溝14の幅、つまり、変形可能部15の幅長さを、バンパーラバー10の適用対象や仕様、大きさなどに応じて任意に変更することが可能である。
【0039】
また、中空穴16は、係合部13の基端部13a内部のみに形成することも可能である。
【0040】
また、取付孔2をトランクリッドやエンジンフードなどの開閉部材側に形成して、バンパーラバーを開閉部材側に取り付けることも可能である。
【0041】
さらに、バンパーラバー10をゴム材の他に、軟質な合成樹脂材によって一体に形成することも可能である。
【0042】
以上説明した実施形態に基づくバンパーラバーとしては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
【0043】
すなわち、本発明に係るバンパーラバーの好ましい態様としては、ラバー本体と、開閉部材またはその相手側部材に穿設された取付孔に挿入される係合部と、前記ラバー本体と係合部との間に設けられ、前記係合部が前記取付孔に挿入された際に、前記取付孔に嵌合する首部と、をゴム材あるいは合成樹脂材によって一体に形成されたバンパーラバーであって、
前記係合部は、外周面の先端部を除く前記首部側の基端部から軸方向のほぼ中央位置にわたって複数の螺旋溝が形成され、該各螺旋溝の間に拡径、縮径方向へ弾性変形可能な複数の変形可能部を有している。
【0044】
この発明の態様によれば、前記係合部を先端部から取付孔に挿入したときに、前記係合部の各変形可能部が各螺旋溝を介して絞り込まれるように縮径変形することから、取付孔への挿入性が良好になる。
【0045】
しかも、係合部の先端部の外周には、螺旋溝が形成されていないので、該先端部の剛性が確保されている。このため、係合部を取付孔に挿入する際に、剛性の高い先端部が取付孔へのガイドとして機能することから、この点でも係合部の取付孔に対する挿入性が良好になり、バンパーラバーの取付孔に対する取り付け作業が容易になる。
【0046】
さらに好ましくは、前記係合部は、前記基端部から先端部まで先細り状の截頭円錐状に形成され、前記螺旋溝と変形可能部は前記基端部から先端部側の中央位置まで形成されている。
【0047】
さらに好ましくは、前記ラバー本体の軸方向一端から前記首部及び前記係合部の少なくとも基端部までの内部軸方向に中空穴が形成されている。
【0048】
この発明の態様によれば、係合部は、中央位置から先端部までは中空穴が形成されていないので剛性が高くなっている一方、基端部側は中空穴によって剛性が低くなっている。このため、バンパーラバーを取付孔に挿入する際には、前述したように、剛性の高い先端部からの挿入性が良好になり、また、中央位置から基端部の外周に形成された変形可能部の縮径方向の容易な変形によって挿入性が良好になる。さらに、中空穴によって剛性が低くなっている基端部側では変形可能部が縮径方向へ撓み変形し易くなるので、さらに取付孔へ挿入性が良好になる。
【0049】
さらに好ましくは、前記係合部の少なくとも基端部の内部に中空穴が形成されている。
【符号の説明】
【0050】
1…車体パネル
2…取付孔
10…バンパーラバー
11…ラバー本体
12…首部
13…係合部
13a…基端部
13b…先端部
13c…先端面
13d…中央部
14…螺旋溝
15…変形可能部