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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167290
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】建設機械の運転席フロア構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E02F9/16 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073008
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】木村 真雄
(72)【発明者】
【氏名】松村 裕美子
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015BA01
2D015EB01
(57)【要約】
【課題】フロアプレート下方に配置された被配置物に対して作業を行う際の作業性を良くすることができる高剛性の建設機械における運転席フロア構造を提供する。
【解決手段】油圧ショベル1の運転席7足元に配置されたフロアプレート8には、運転席7下方に配置された油圧機器10にアクセス可能な作業窓部9aが形成される。フロアプレート8は、上下に貫通し、且つ、作業窓部9aに連通する平面視で凹状をなす作業凹部9bと、作業凹部9bを上方から覆って塞ぐカバー部材12とを備える。フロアプレート8の作業窓部9aにおける開口周縁の作業凹部9bに連続する部分には、下方に向かって突出する突条部9cが設けられる。カバー部材12の裏面には、当該カバー部材12で作業凹部9bを覆った際、突条部9cに対して水平方向に重なる補強壁部12aが突設される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席下方に配置された被配置物にアクセス可能な作業窓部が前記運転席足元のフロアプレートに形成された建設機械の運転席フロア構造であって、
前記フロアプレートは、上下に貫通し、且つ、前記作業窓部に連通する平面視で凹状をなす作業凹部と、該作業凹部を上方から覆って塞ぐカバー部材とを備え、
前記フロアプレートの前記作業窓部における開口周縁の前記作業凹部に連続する部分には、下方に向かって突出する突条部が設けられ、
前記カバー部材の裏面には、当該カバー部材で前記作業凹部を覆った際、前記突条部に対して水平方向に重なる補強壁部が突設されていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の運転席フロア構造において、
前記作業凹部の開口周縁には、当該開口周縁に沿って延びる補強リブが下方に向かって突設されていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建設機械の運転席フロア構造において、
前記カバー部材の裏面には、前記被配置物の一部構成部品が取り付けられていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の建設機械の運転席フロア構造において、
前記建設機械は、当該建設機械の走行動作を操作する第1操作部材と、前記建設機械の走行動作を除く動作を操作する第2操作部材とを備え、
前記第1操作部材は、前記フロアプレートの前記作業窓部と前記作業凹部とを除く領域に取り付けられ、
前記第2操作部材は、前記カバー部材に取り付けられていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の建設機械の運転席フロア構造において、
前記被配置物は、前記建設機械の油圧アクチュエータに対して作動油の供給を制御可能なコントロールバルブを備え、
該コントロールバルブは、前記作業窓部に対応する位置に配置されていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【請求項6】
請求項5に記載の建設機械の運転席フロア構造において、
前記コントロールバルブは、前記作業凹部の前記作業窓部との連通部分に対応する位置に配置されていることを特徴とする建設機械の運転席フロア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席足元のフロアプレート下方に油圧機器や電装部品等の被配置物が配置される建設機械の運転席フロア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転席下方に油圧機器や電装部品等の被配置物が配置された建設機械が知られている。例えば、特許文献1に開示されている建設機械は、運転席足元のフロアプレート下方に油圧機器が配置され、該油圧機器は、油圧ポンプから圧送される圧油の油圧調整を行うとともに、調整した圧油を作業者のペダル操作等に応じて油圧アクチュエータに供給するよう構成されている。これら油圧機器は、性能維持等を目的とした定期的なメンテナンスが必要であり、その作業は、運転席足元のフロアプレートに形成された作業窓部を介して行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-87461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き油圧機器のメンテナンス作業時における作業者の作業性を向上させるという観点においては、メンテナンス対象の油圧機器の全ての範囲が作業窓部に対応する位置となるようにすることが望ましい。しかしながら、各機器のレイアウト上の制約等からメンテナンス対象の油圧機器の一部構成が作業窓部に対応しない位置となるような配置にせざるを得ない場合がある。この場合、上述した作業窓部を介してメンテナンス作業を行うと、メンテナンス対象の油圧機器においても視認性の悪い領域が発生したり、また、作業者によるメンテナンス作業のためのスペース(作業者が手を入れるスペースやメンテナンス工具を動かすスペース)を十分に確保できなくなったりするので、作業者による油圧機器のメンテナンス作業を効率良く行えなくなってしまうおそれがある。
【0005】
これに対応するために、フロアプレートにおける作業窓部の領域を従来よりも拡大させることにより、作業者の作業性を良くすることが考えられる。
【0006】
しかし、単にフロアプレートにおける作業窓部の領域を拡大させてしまうと、フロアプレートの剛性が低下してしまい、例えば、フロアプレートに取り付けられた操作ペダルを操作するたびにフロアプレートの操作ペダル周辺が上下動を繰り返すなど操作性が低下したり、また、操作ペダルを繰り返し使用した際にフロアプレートの操作ペダル周辺に破損や変形が生じたり、さらには、内燃機関等の動作を起因として振動してしまい、操作機器に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フロアプレート下方に配置された被配置物に対して作業を行う際の作業性を良くすることができる高剛性の建設機械における運転席フロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、フロアプレートにおける作業用の開口領域を広くしながらフロアプレートの剛性を高めるよう工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、運転席下方に配置された被配置物にアクセス可能な作業窓部が前記運転席足元のフロアプレートに形成された建設機械の運転席フロア構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、前記フロアプレートは、上下に貫通し、且つ、前記作業窓部に連通する平面視で凹状をなす作業凹部と、該作業凹部を上方から覆って塞ぐカバー部材とを備え、前記フロアプレートの前記作業窓部における開口周縁の前記作業凹部に連続する部分には、下方に向かって突出する突条部が設けられ、前記カバー部材の裏面には、当該カバー部材で前記作業凹部を覆った際、前記突条部に対して水平方向に重なる補強壁部が突設されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記作業凹部の開口周縁には、当該開口周縁に沿って延びる補強リブが下方に向かって突設されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記カバー部材の裏面には、前記被配置物の一部構成部品が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記建設機械は、当該建設機械の走行動作を操作する第1操作部材と、前記建設機械の走行動作を除く動作を操作する第2操作部材とを備え、前記第1操作部材は、前記フロアプレートの前記作業窓部と前記作業凹部とを除く領域に取り付けられ、前記第2操作部材は、前記カバー部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記被配置物は、前記建設機械の油圧アクチュエータに対して作動油の供給を制御可能なコントロールバルブを備え、該コントロールバルブは、前記作業窓部に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第5の発明において、前記コントロールバルブは、前記作業凹部の前記作業窓部との連通部分に対応する位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、作業凹部が作業窓部に連続して設けられているので、作業者がフロアプレート下方に位置する被配置物に対して作業を行う上でアクセス可能な領域が作業窓部のみである場合に比べて広くなる。したがって、作業者は、作業凹部を利用して被配置物における作業窓部に対応していない一部構成部品や被配置物の外周部分に容易にアクセスすることができるようになり、作業者の作業性を向上させることができる。また、作業凹部の開口周縁は、作業窓部の開口周縁の一部が外側方に張り出すような形状をなしているので、フロアプレートにおいて作業者の被配置物に対して作業を行う開口領域が必要以上に広くなり過ぎたものにならず、作業者が作業を行う開口領域の面積が拡大することに伴うフロアプレートの剛性の低下を抑制することができる。さらに、作業窓部の開口周縁に沿って設けられた突条部によって当該突条部周りのフロアプレートの断面がL字形状をなすようになる。したがって、フロアプレートにおける作業窓部周りの断面係数が高くなるので、フロアプレートの作業窓部における作業凹部との連続部分の剛性を高めて当該部分の変形を抑制することができる。また、カバー部材において、カバー部材の本体部分と補強壁部とによって当該補強壁部周りのカバー部材の断面が交差して延びる形状をなすようになる。したがって、カバー部材の補強壁部周りの断面係数が高くなるので、カバー部材全体の剛性を高めることができ、当該カバー部材が取り付けられたフロアプレート周りの変形を効果的に抑制することができる。そして、カバー部材をフロアプレートに取り付けると、フロアプレートの作業凹部周りの部分にカバー部材の本体部分が重なることで当該領域の厚みが増して剛性が高まるとともに、フロアプレートの突条部にカバー部材の補強壁部が重なることで当該領域の厚みが増して剛性が高くなる。したがって、フロアプレートにおける作業窓部の作業凹部との連続部分の変形をさらに抑制することができるようになり、作業者が被配置物に対して作業を行う開口領域の面積の拡大に伴うフロアプレートの剛性の低下を効果的に抑制することができる。
【0017】
第2の発明では、フロアプレートの作業凹部周りの断面がL字形状をなすようになるので、フロアプレートの作業凹部周りの断面係数が高くなる。したがって、フロアプレートの作業凹部周りの剛性が高くなり、作業者が被配置物に対して作業を行う開口領域の面積の拡大に伴うフロアプレートの剛性の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0018】
第3の発明では、被配置物に対して作業を行う際にカバー部材をフロアプレートから取り外すと、カバー部材裏面に取り付けられた被配置物の一部構成部品がカバー部材と共に運転席下方の領域から移動するようになる。したがって、カバー部材を取り外した後に別途被配置物の一部構成部品を運転席下方の領域から移動させて作業を行う場合に比べて作業に費やす時間を短縮することができる。また、取り外されたカバー部材と被配置物の一部構成部品とは一体の状態であるため、取り外されたカバー部材と被配置物の一部構成部品とをそれぞれ別々に保管する場合に比べて被配置物の一部構成部品が紛失するのを抑制することができる。
【0019】
第4の発明では、操作頻度が多くかつ作業者による操作力も過剰になりやすい建設機械の第1操作部材がフロアプレートの剛性の高い領域に配設されるので、作業者の操作頻度が多くなったり、或いは操作力が過剰になったとしても、フロアプレートの第1操作部材周りを変形させることなく使用感の良い運転席フロア構造にすることができる。一方、操作頻度が少なくかつ操作力が小さい建設機械の第2操作部材が開口領域の狭い作業凹部を覆うカバー部材に取り付けられているので、作業者による第2操作部材の操作でカバー部材が変形してしまうといったことを極力抑制することができる。このように、作業者が建設機械における各種動作を操作しても変形し難いフロアプレートにすることができる。
【0020】
第5の発明では、コントロールバルブに対して作業を行う際、作業者はコントロールバルブのほとんどの領域に対して作業窓部を介してアクセスし易くなる。したがって、作業者は作業窓部を介してコントロールバルブに対する作業を容易に行うことができるようになり、コントロールバルブに対する作業性を向上させることができる。
【0021】
第6の発明では、カバー部材をフロアプレートから取り外すと、フロアプレートに形成される作業用の開口領域がコントロールバルブ周りにおいて広くなるので、作業者はコントロールバルブに対する作業を簡単に行うことができるようになり、作業者によるコントロールバルブに対する作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る運転席フロア構造が適用されたキャノピ型の油圧ショベルの概略斜視図である。
図2図1のII矢視図である。
図3】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの運転席フロアの平面図であり、フロアプレートのカバーパネルを取り外した状態を示す図である。
図4図3のIV-IV線における断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る油圧ショベルのフロアプレートを裏面側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの運転席フロアの平面図であり、フロアプレートのカバー部材を取り外した状態を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの運転席フロアの斜視図であり、フロアプレートのカバー部材を取り外している途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る運転席フロア構造が適用された油圧ショベル1(建設機械)を示す。該油圧ショベル1は、主に掘削作業を行うためのものであり、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2の上方に旋回機構を介して取り付けられた上部旋回体3とを備え、当該上部旋回体3は、上下方向に延びる旋回軸心周りに旋回可能になっている。
【0025】
上部旋回体3は、厚みのある略矩形板状をなすアッパーフレーム4を備えている。該アッパーフレーム4の幅方向一側における車両前側には、掘削アタッチメント5が設けられ、該掘削アタッチメント5は、ブーム5a、アーム5b及びバケット5cを基端側から順に備えている。
【0026】
一方、アッパーフレーム4の幅方向他側の上部には、油圧ショベル1の乗員が着座する運転席7を保護するキャノピ6が設けられている。
【0027】
アッパーフレーム4における運転席7の足元に対応する位置には、図2及び図3に示すように、車幅方向に延びる平面視で略長方形状をなすフロアプレート8が設けられ、該フロアプレート8の下方には、油圧機器10(被配置物)が配置されている。
【0028】
フロアプレート8は、平面視で略矩形枠状をなすプレート本体9を備え、該プレート本体9には、図6に示すように、油圧機器10にアクセス可能な作業窓部9a及び作業凹部9bが形成されている。
【0029】
作業窓部9aは、図3に示すように、フロアプレート8における車両後側の位置でアッパーフレーム4の内部に連通しており、平面視において車幅方向に略帯状に延びる形状をなしている。
【0030】
作業窓部9aの開口周縁における車両前側部分には、図4及び図5に示すように、下方に向かって真っ直ぐに突出するとともに車幅方向に直線状に延びる突条部9cが設けられ、該突条部9cは、作業窓部9aの開口を形成する部分を下方に折り曲げることにより形成されている。
【0031】
作業凹部9bは、図6に示すように、フロアプレート8における車両前側で、且つ、車幅方向左側の位置に形成され、上下に貫通し、且つ、作業窓部9aに連通する平面視で凹状をなしている。
【0032】
作業凹部9bの開口周縁には、図4及び図5に示すように、下方に向かって真っ直ぐに突出するとともに作業凹部9bの開口周縁に沿って延びる補強リブ9dが設けられ、該補強リブ9dは、作業窓部9aに連続して延びる位置になっている。
【0033】
すなわち、作業窓部9aの突条部9cは、作業窓部9aにおける開口周縁の作業凹部9bに連続する部分に設けられ、突条部9cの突出量と補強リブ9dの突出量とが略同じになっている。
【0034】
フロアプレート8は、図2及び図3に示すように、作業窓部9aを覆って塞ぐ略長方形板状をなすカバーパネル11と、作業凹部9bを覆って塞ぐ略台形状をなすカバー部材12とを備え、カバーパネル11及びカバー部材12は、フロアプレート8に着脱することによって作業窓部9a及び作業凹部9bをそれぞれ開閉するようになっている。
【0035】
カバー部材12の裏面には、下方に向かって真っ直ぐに突出するとともに車幅方向に直線状に延びる補強壁部12aが車両後側縁部に設けられ、該補強壁部12aは、カバー部材12で作業凹部9bを覆った際、突条部9cに対して水平方向に重なるようになっている。
【0036】
フロアプレート8の車両前側における中央部分には、図2に示すように、走行操作ユニット13(第1操作部材)が配設され、該走行操作ユニット13は、上方に延びる一対の走行操作レバー13aと、該各走行操作レバー13a下部に固定され、当該各走行操作レバー13aを操作可能な一対の中央操作ペダル13bとを備えている。
【0037】
すなわち、走行操作ユニット13は、プレート本体9における作業窓部9aと作業凹部9bとを除く領域に取り付けられ、油圧ショベル1の走行動作を操作可能になっている。
【0038】
また、フロアプレート8の車両前側における右側部分には、掘削アタッチメント5全体を左右に揺動操作可能な右側操作ペダル15が設けられている。
【0039】
さらに、カバー部材12の表面には、掘削アタッチメント5に別途設けられる油圧アクチュエータを操作可能な左側操作ペダル16(第2操作部材)が固定されている。
【0040】
すなわち、左側操作ペダル16は、油圧ショベル1の走行動作を除く動作を操作可能になっている。
【0041】
油圧機器10は、図6に示すように、油圧ショベル1の油圧アクチュエータに対して作動油の供給を制御可能な複数の制御弁の集合体である多連式のコントロールバルブ17を備え、該コントロールバルブ17には、多数の配管18が接続されている。
【0042】
コントロールバルブ17及び各配管18は、アッパーフレーム4の内部に収容されていて、コントロールバルブ17は、アッパーフレーム4の内部における車幅方向左側の領域において車両前後方向に延びる姿勢で配置されている。
【0043】
すなわち、コントロールバルブ17は、作業窓部9aに対応する位置で、且つ、作業凹部9bの作業窓部9aとの連通部分に対応する位置に配置されていて、コントロールバルブ17の車両前側領域の一部が作業凹部9bに位置するような配置になっている。したがって、コントロールバルブ17に対して作業を行う際、作業者はコントロールバルブ17のほとんどの領域に対して作業窓部9aを介してアクセスし易くなり、作業窓部9aを介してコントロールバルブ17に対する作業を容易に行うことができるようになるので、コントロールバルブ17に対する作業性を向上させることができる。
【0044】
また、カバー部材12をフロアプレート8から取り外すと、フロアプレート8に形成される作業用の開口領域がコントロールバルブ17周りにおいて広くなるので、作業者はコントロールバルブ17に対する作業を簡単に行うことができるようになり、作業者によるコントロールバルブ17に対する作業効率を高めることができる。
【0045】
油圧機器10は、左側操作ペダル16のペダル操作に基づいてコントロールバルブ17が各油圧アクチュエータに圧油を供給するようにコントロールバルブ17を操作するリモコン弁19を備え、該リモコン弁19は、図4及び図5に示すように、カバー部材12の裏面に固定されている。
【0046】
すなわち、カバー部材12の裏面には、油圧機器10の一部構成部品が取り付けられている。したがって、カバー部材12をプレート本体9から取り外すと、図7に示すように、カバー部材12とともにリモコン弁19がアッパーフレーム4の内部から外側へと移動するようになっている。したがって、カバー部材12を取り外した後に別途油圧機器10のリモコン弁19を運転席7下方の領域から移動させてメンテナンス作業を行う場合に比べてメンテナンス作業に費やす時間を短縮することができる。
【0047】
また、取り外されたカバー部材12とリモコン弁19とは一体の状態であるため、取り外されたカバー部材12とリモコン弁19とをそれぞれ別々に保管する場合に比べてリモコン弁19が紛失するのを抑制することができる。尚、図7では、コントロールバルブ17の記載を便宜上省いている。
【0048】
以上より、本発明の実施形態によると、作業凹部9bが作業窓部9aに連続して設けられているので、作業者がフロアプレート8の下方に位置する油圧機器10に対して作業を行う上でアクセス可能な領域が作業窓部9aのみである場合に比べて広くなる。したがって、作業者は、作業凹部9bを利用して油圧機器10における作業窓部9aに対応していない一部構成部品(例えば、リモコン弁19)や油圧機器10の外周部分に容易にアクセスすることができるようになり、作業者の作業性を向上させることができる。
【0049】
また、作業凹部9bの開口周縁は、作業窓部9aの開口周縁の一部が外側方に張り出すような形状をなしているので、フロアプレート8において作業者の油圧機器10に対して作業を行う開口領域が必要以上に広くなり過ぎたものにならず、作業者が作業を行う開口領域の面積が拡大することに伴うフロアプレート8の剛性の低下を抑制することができる。
【0050】
さらに、作業窓部9aの開口周縁に沿って設けられた突条部9cによって当該突条部9c周りのフロアプレート8の断面がL字形状をなすようになる。したがって、フロアプレート8における作業窓部9a周りの断面係数が高くなるので、フロアプレート8の作業窓部9aにおける作業凹部9bとの連続部分の剛性を高めて当該部分の変形を抑制することができる。
【0051】
また、カバー部材12において、カバー部材12の本体部分と補強壁部12aとによって当該補強壁部12a周りのカバー部材12の断面が交差して延びる形状をなすようになる。したがって、カバー部材12の補強壁部12a周りの断面係数が高くなるので、カバー部材12全体の剛性を高めることができ、当該カバー部材12が取り付けられたフロアプレート8周りの変形を効果的に抑制することができる。
【0052】
そして、カバー部材12をフロアプレート8に取り付けると、フロアプレート8の作業凹部9b周りの部分にカバー部材12の本体部分が重なることで当該領域の厚みが増して剛性が高まるとともに、フロアプレート8の突条部9cにカバー部材12の補強壁部12aが重なることで当該領域の厚みが増して剛性が高くなる。したがって、フロアプレート8における作業窓部9aの作業凹部9bとの連続部分の変形をさらに抑制することができるようになり、作業者が油圧機器10に対して作業を行う開口領域の面積の拡大に伴うフロアプレート8の剛性の低下を効果的に抑制することができる。
【0053】
また、作業凹部9bの開口周縁には、補強リブ9dが設けられているので、フロアプレート8の作業凹部9b周りの断面がL字形状をなすようになり、フロアプレート8の作業凹部9b周りの断面係数が高くなる。したがって、フロアプレート8の作業凹部9b周りの剛性が高くなり、作業者が油圧機器10に対して作業を行う開口領域の面積の拡大に伴うフロアプレート8の剛性の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0054】
また、操作頻度が多くかつ作業者による操作力も過剰になりやすい油圧ショベル1の走行操作ユニット13が作業窓部9aや作業凹部9bの形成されていないフロアプレート8の剛性の高い領域に配設されるので、作業者の操作頻度が多くなったり、或いは操作力が過剰になったとしても、フロアプレート8の走行操作ユニット13周りを変形させることなく使用感を良くすることができる。一方、操作頻度が少なくかつ操作力が小さい油圧ショベル1の左側操作ペダル16が開口領域の狭い作業凹部9bを覆うカバー部材12に取り付けられているので、作業者による左側操作ペダル16の操作でカバー部材12が変形してしまうといったことを極力抑制することができる。このように、作業者が油圧ショベル1における各種動作を操作しても変形し難いフロアプレート8にすることができる。
【0055】
尚、本発明の実施形態では、作業窓部9aや作業凹部9bを利用してフロアプレート8下方に配置された油圧機器10に対してメンテナンス作業を行っているが、例えば、フロアプレート8下方に電装部品などの他の機器等が配置されている場合においても作業窓部9aや作業凹部9bを介してフロアプレート8下方に配置された機器等に対して作業を行うことができる。
【0056】
また、本発明の実施形態では、作業凹部9bがプレート本体9における車両前側の車幅方向左側の位置に形成されているが、これに限らず、作業窓部9aに連通するのであれば、その他の位置に形成されていてもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態では、カバー部材12の裏面に油圧機器10の一部構成部品としてリモコン弁19を取り付けているが、これに限らず、その他の油圧機器10の一部構成部品をカバー部材12に取り付けてもよい。
【0058】
尚、本発明の実施形態にかかる運転席フロア構造は、油圧ショベル1以外の建設機械の運転席フロア構造にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、運転席足元のフロアプレート下方に油圧機器や電装部品等の被配置物が配置される建設機械の運転席フロア構造に適している。
【符号の説明】
【0060】
1 油圧ショベル(建設機械)
7 運転席
8 フロアプレート
9a 作業窓部
9b 作業凹部
9c 突条部
9d 補強リブ
10 油圧機器(被配置物)
12 カバー部材
12a 補強壁部
13 走行操作ユニット(第1操作部材)
16 左側操作ペダル(第2操作部材)
17 コントロールバルブ
19 リモコン弁(被配置物の一部構成部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7