(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167311
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】抗ウイルススタンプ
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073038
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】392005126
【氏名又は名称】ミクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】大河内 章寛
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 翼
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA08
4C058AA28
4C058BB07
4C058CC02
4C058EE26
4C058JJ06
4C058JJ23
(57)【要約】
【課題】薬液を保持する受け皿を踏むことにより靴底を殺菌、消毒できるようにした抗ウイルススタンプであって、薬液が靴底等に過剰に付着することがなく、周囲への汚染を防止するとともに薬液の消費量を少なくでき、かつ薬液の劣化を防止でき、上面の損傷も少なく、上面が損傷した場合には容易に交換することができる抗ウイルススタンプを提供する。
【解決手段】薬液の貯留室9を底部に有する受け皿1の内面に、格子板2が載置され、格子板2には格子柱12で区画された多数の薬液室14がある。格子板2の上部には薬液保持フェルト3が載置される。薬液保持フェルト3の上面は、遮光性網4で覆われ、この遮光性網4は着脱可能に受け皿1に固定されている。上記薬液保持フェルト3は、踏んだときの荷重によりたわんで薬液室14に押し出され、薬液室から薬液を吸い上げ吸収する。圧力が解放されると、薬液保持フェルト3は復元し、薬液室14から離れる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面が凹状に凹み、底部に薬液の貯留室を形成するよう周囲を起立した縁部で囲んだ有弾性材料で作られた受け皿と、
上記受け皿の内面に載置され、薬液室を形成するよう格子柱で区画され、該薬液室を浮上させて薬液通路を形成するよう受け皿の底部に接する凸部を下部に設けた格子板と、
上記格子板の上に載置され、上面を踏んだ圧力でたわんで格子柱と格子柱の間に押し出され、上記薬液室から薬液を吸い上げ吸収する薬液保持フェルトと、
薬液保持フェルトの上面に載置され、薬液保持フェルトに吸収された薬液が通過できる網目を有し、太陽光による薬液の劣化を防ぐよう遮光性を有する遮光性網と、
上記遮光性網の周縁を上記受け皿の縁部に固定するよう受け皿の縁部との間で遮光性網を圧着する押え部と、該押え部から下方に伸びかつ受け皿の縁部に着脱可能に係合する係合部を有する網止め具を具備する抗ウイルススタンプ。
【請求項2】
上記受け皿には、薬液を貯留室に供給する薬液注入口が形成され、該薬液注入口には、薬液が薬液保持フェルトに直接接触しない高さまで貯留室に供給できるよう格子柱の高さよりも低い高さの薬液量目盛が形成されている請求項1に記載の抗ウイルススタンプ。
【請求項3】
上記受け皿は矩形状に形成され、上記網止め具は該受け皿の縁部の角に固定され、上記押え部は円板状に形成されている請求項1または2に記載の抗ウイルススタンプ。
【請求項4】
上記網止め具の押え部は、受け皿の縁部に沿って延びる平板状部に形成されている請求項1または2に記載の抗ウイルススタンプ。
【請求項5】
上記係合部を係合させた受け皿は、該係合部を傾動可能に支持している請求項1に記載の抗ウイルススタンプ。
【請求項6】
上記受け皿には、遮光性網を固定する縁部に沿って環状の網取付溝が形成され、その外周若しくは内周には可動用溝が形成されている請求項5に記載の抗ウイルススタンプ。
【請求項7】
上記受け皿の縁部には、ピン取付孔を有する網取付柱が、周囲にスペースを空けて形成され、該網取付柱に網止め具が係合される請求項5に記載の抗ウイルススタンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を保持した受け皿を床面に設置し、受け皿の上面を踏んで通行する際に、靴底等に付着している細菌やウイルス等を好適に殺菌、消毒できるようにした抗ウイルススタンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬液を保持する受け皿を床面に置き、受け皿を踏むことにより靴底に薬液を付着させて殺菌、消毒できるようにした抗ウイルス装置や薬液装置が広く知られている。薬液を含浸して保持する保持部材として各種の材料が使用されているが、一般的に使用されているスポンジ等のプラスチック発泡体は、薬液の吸収量が多いので、その上面を踏んだ時に滲出する薬液量も必要以上に過剰になる。そのため、靴底に余分に付着した薬液で周辺の床等が汚染され、また薬液の消費量も多くなる。薬液保持層としてスポンジ製の第1保持部材の上に、フェルト製の第2保持部材を重ねた構成の消毒装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置は、第2保持部材の上面をネット状のカバー部で覆ってあり、その周囲を、縫い付け、あるいは接着等の固定手段により収納手段に取り付けてある。このような構成によれば、靴底は、薬液を多量に保持するスポンジ製の第1保持部材に直接接触しない。しかし、第1保持部材の上面に重ねた第2保持部材は、第1保持部材に常に接触しているから、常時に薬液が第1保持部材から供給されることになり、過剰になるおそれがあり、従来の欠点を充分に解決することはできない。また、上面を覆っているカバー部は、靴底等で踏まれて劣化し、裂け目が生じたり、孔が開いたりするおそれがあるが、特許文献1の装置では、周縁が収納手段に固定されているので、簡単にカバー部や保持部材を交換することができない。
【0003】
また、特許文献1に記載の装置では、薬液の蒸発を防ぐ目的で、遮光性部材を設けることが記載されている。この遮光性部材は、上記カバー部と別体の部材で作られており、カバー部の上面に重ねて載置したり、カバー部と薬液保持層との間に載置する構成であるから、部品点数が多くなり、カバー部と薬液保持層の間に設けた場合は、損傷したときに簡単に交換することができない。
【0004】
薬液保持層に直接薬液を含浸させないようにした薬液装置も知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2に記載の薬液装置は、ゴム製の台座を有し、該台座の凹部内に、消毒液が含浸される親水性の高い繊維シート、格子状本体で作られた基台、スポンジ構造体で作られ上記基台に載置される本体を、下から順に、重ねた状態で収納している。上記基台には、格子状本体を凹部の底面から浮上させるための脚部が有り、台座の凹部内には、上記本体の裏面より低い高さになるよう消毒液が溜められている。そして、上記格子状本体に、毛細管現象を発揮する棒体が、格子状本体の目を通って上下に延びて固定されている。この棒体の上端は、上記基台に載置された上記本体の裏面に当接し、下端は、消毒液に浸っている上記繊維シートに当接している。この構成により、凹部内に溜められている消毒液は、棒体の毛細管現象により吸い上げられ、上記本体に供給される。上記棒体による消毒液の吸い上げ作用は、本体を踏んでいないときにも常に連続的に行われているので、該本体には消毒液が過飽和状態で含浸されることになる。そのため、特許文献2に記載の装置でも、本体に過剰の消毒液が供給されることになるから、該本体を踏んだ時に多量の消毒液が流出し、靴底に過剰に付着して周辺の床等を汚染することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-217453号公報(請求項1、5 段落0018、0019、0023、0026、
図3、
図4A)
【特許文献2】特開平11-18906号公報(請求項1、段落0011から0015、
図1から
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、受け皿の上面を踏んだ時に、薬液が靴裏面等に過剰に付着することがなく、周囲への汚染を防止できるとともに薬液の消費量を少なくすることができ、かつ薬液の劣化を防止でき、受け皿上面の損傷も少なく、該上面が損傷した場合には容易に交換することができる抗ウイルススタンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
内面が凹状に凹み、底部に薬液の貯留室を形成するよう周囲を起立した縁部で囲んだ有弾性材料で作られた受け皿と、
該受け皿の内面に載置され、薬液室を形成するよう格子柱で区画され、該薬液室を浮上させて薬液通路を形成するよう受け皿の底部に接する凸部を下部に設けた格子板と、
上記格子板の上に載置され、上面を踏んだ圧力でたわんで格子柱と格子柱の間に押し出され、上記薬液室から薬液を吸い上げ吸収する薬液保持フェルトと、
薬液保持フェルトの上面に載置され、薬液保持フェルトに吸収された薬液が通過できる網目を有し、太陽光による薬液の劣化を防ぐよう遮光性を有する遮光性網と、
上記遮光性網の周縁を上記受け皿の縁部に固定するよう上記受け皿の縁部との間で遮光性網を圧着する押え部と、該押え部から下方に伸び、該受け皿の縁部に着脱可能に係合する係合部を有する網止め具を具備する抗ウイルススタンプが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記受け皿には、薬液を貯留室に供給する薬液注入口が形成され、該薬液注入口には、薬液が薬液保持フェルトに直接接触しない高さまで貯留室に供給できるよう格子柱の高さよりも低い高さの薬液量目盛が形成されている上記抗ウイルススタンプが提供される。
【0009】
上記受け皿は矩形状に形成され、上記網止め具は受け皿の縁部の角に固定され、上記押え部は円板状若しくは縁部に沿って延びる平板状に形成され、好ましくは上記係合部を係合させた受け皿は、該係合部を傾動可能に支持している上記抗ウイルススタンプが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上記のように構成され、底部に薬液の貯留室を形成するよう縁部を起立し、該縁部で囲まれた内面を凹状に凹ませた有弾性材料製の受け皿を設け、この受け皿の内面に、薬液室を形成するよう格子柱で区画された格子板を載置してある。この格子板の下部には、上記薬液室を浮上させて薬液通路を形成するよう受け皿の底部に接する凸部を設けてあり、該格子板の上に、薬液保持フェルトを載置してある。そして、この薬液保持フェルトを、上面を踏んだときの圧力で下方にたわむように保持し、格子柱と格子柱の間の薬液室に、たわんだ部分が押し出されるように設けたので、上面を踏んだときに薬液保持フェルトは薬液に接触して薬液を吸い上げる。受け皿を踏んでいないときには、薬液保持フェルトは復元して薬液室に入り込んでいないので、薬液は吸収されない。この薬液保持フェルトの上面には、薬液保持フェルトに吸収された薬液が通過できる網目を有する遮光性網が載置されているので、受け皿を靴で踏んだときに、適量の薬液が遮光性網を通過して靴底裏面に供給され、靴底に過剰な薬液が供給されることがなく、周辺を汚染するおそれがない。その上、薬液の消費量が軽減され、遮光性網により太陽光による薬液の劣化を防ぐことができ、長期にわたって使用することができる。
【0011】
また、上記受け皿に、薬液を貯留室に供給する薬液注入口を形成し、該薬液注入口に、格子柱の高さよりも低い高さの薬液量目盛を形成すると、薬液を補給する際に、薬液保持フェルトに接触しない高さまで、薬液を貯留室に確実に供給でき、薬液保持フェルトが過剰な薬液に浸されるおそれがない。
【0012】
さらに、上記遮光性網の周縁を上記受け皿の縁部に固定するよう、受け皿の縁部との間で遮光性網を圧着する押え部と、該押え部から下方に伸びかつ受け皿の縁部に着脱可能に係合する係合部を有する網止め具で、遮光性網を固定したので、遮光性網が踏まれてたわんでも、網自体の伸び及び受け皿自体の有弾性作用により、負荷を緩和することができる。また係合部を傾動可能に受け皿に固定すると、遮光性網が引っ張られたとき、その方向に係合部が傾いて、遮光性網が一層破損しにくくなる。そして、遮光性網や薬液保持フェルトを交換しようとする際には、網止め具を受け皿から外せば、遮光性網や薬液保持フェルト等を受け皿から取り出して簡単に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図7】遮光性網の固定部分の一実施例を示す一部の断面図。
【
図8】網止め具の一実施例を示し、 (A)は
図7に示す実施例に使用する網止め具の正面図、(B)は柱部をピン取付孔に圧入するようにした網止め具の正面図。
【
図9】他の網止め具を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)はA図のC-C線断面図、(D)は底面図。
【
図10】
図9に示す網止め具を使用した固定部分の一部の断面図。
【
図11】受け皿の他の実施例を示す平面図及び一部の拡大斜視図。
【
図12】
図11に示す受け皿に好適に使用される網止め具の他の実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は平板状部の断面図。
【
図13】
図12に示す網止め具を使用した固定部分の一部の断面図。
【
図14】
図13に示す受け皿の遮光性網に荷重がかかったときの説明図。
【
図15】受け皿の他の実施例を示す平面図及び一部の拡大斜視図。
【
図16】
図15に示す受け皿に遮光性網を固定した部分の一部の断面図。
【
図17】
図15に示す受け皿の遮光性網に荷重がかかったときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例を示す
図1、
図2を参照し、本発明の抗ウイルススタンプは、薬液を貯留する受け皿と1、受け皿1に載置される格子板2と、格子板2上に載置される薬液保持フェルト3と、薬液保持フェルト3の上面を覆う遮光性網4を具備し、遮光性網4は網止め具5で受け皿1に固定されている。なお、上記遮光性網4の網目は、遮光性を奏するよう細かい網目で構成されているが、
図1、
図2においては、説明を分かりやすくするため、網目を拡大して模式的に図示している。
【0015】
上記受け皿1は、合成ゴム材料、軟質プラスチック材料その他の有弾性材料で、平面略矩形状に作られ、周縁には縁部6が起立している。該縁部6は外側に傾斜面7が形成され、その頂点より内側には、遮光性網4の周縁を支持する載置部8が形成されている(
図4参照)。縁部6で囲まれた内面は、底部が凹状に凹み、この凹み部分が薬液の貯留室9となっている。また、周縁の一部には、貯留室9に続く突出部が形成されており、この突出部が薬液注入口10となり、薬液を貯留室9に流入させることができる。
図5に示すように、薬液注入口10の底面は、好ましくは上記貯留室9側に向けて緩やかに傾斜している。該薬液注入口10には、薬液量をチェックするための薬液量目盛11が設けられている。薬液量目盛11は、薬液注入口10から注入した薬液の高さを検出し、上記薬液保持フェルト3に直接接触しない高さまで薬液を貯留室9に注入できるようにしてある。すなわち、目盛の高さを、上記格子板2の上面、すなわち、後記する格子柱12の高さよりも低い高さに設定することにより、薬液を所定量供給できるように構成してある。また、受け皿1の縁部6に形成された載置部8には、上記遮光性網4を固定するための取付部が設けられている。該取付部は種々に構成することができるが、
図1、
図2等に示す実施例では、取付部として、縁部の角にピン取付孔13を設けてある。
【0016】
上記格子板2は、受け皿1の内面に載置されるよう、金属材料、硬質プラスチック材料等の踏まれても変形しない程度の耐圧性材料により矩形状に形成され、
図3に示すように、多数の薬液室14を隣接して形成するよう上下方向に延びる短冊状の格子柱12で縦横に区画されている。この格子板2は、上記薬液室14が受け皿1の底面に密着して薬液室間での薬液の流通を妨げることがないように設けられている。具体的には、薬液室14を受け皿1の底部から浮上させ、薬液室14間が薬液通路15で連通されるよう格子柱12の下部に、受け皿の底部に接する凸部16を一体的に突設してある。この凸部16は、格子板2と別体に作ってから格子板2に組み込むようにしてもよい。また、薬液室の隔壁となる格子柱の下部の適所にも、薬液通路15となる切欠きを設けてあり、薬液室14間で薬液が自由に流通するようにしてある。
【0017】
上記薬液保持フェルト3は、スポンジ等のプラスチック発泡体に比べて吸水性は少ないが、薬液を吸収でき、また圧力が作用すると排水することができる適宜のプラスチック繊維材料、例えばポリエステル繊維材料等で構成されたフェルトである。また、その厚さ及び強度は、上記格子板2の上に載置されて上面から踏まれたとき、その圧力でたわんで格子柱12と格子柱12の間に押し出され、薬液室14の薬液に一部が着水して薬液を吸い上げて吸収し、圧力が解放されたときには、もとの状態に復元して薬液室14から脱出するような復元力があるのが好ましい。
【0018】
上記遮光性網4は、薬液保持フェルト3に吸収された薬液が通過できる網目を有するポリエチレン繊維等のプラスチック材料製の網材料でシート状に構成され、太陽光などの光による薬液の劣化を防ぐよう高い遮光性、好ましくは約50%~80%の遮光率を有し、上記受け皿1の縁部の載置部8に載置できる大きさに形成されている。
【0019】
上記遮光性網4の周縁を上記受け皿1の縁部6に固定するための網止め具5は、受け皿の載置部8との間で遮光性網4の周縁を圧着する押え部17と、該押え部17から下方に伸び、受け皿1の縁部に着脱可能に係合する係合部18を有している。網止め具は、種々の形状、構造に形成するこができ、
図1に示す実施例では、押え部は円板状に形成され、
図8に示すように、係合部18は柱部19を有するピン型に形成されている。柱部19は、上記ピン取付孔13に挿入できる外径を有し、下方部分に爪20を形成してある(
図8A参照)。また上記ピン取付孔13には、上方の内径よりも広がる段部21を設けてある。上記爪20は、柱部19の外径よりも少し大きく突出しているから、
図7に示すように、遮光性網4を載置部8に載せて上記網止め具5を上方からピン取付孔13に押し込むと、遮光性網4は押え部17で抑えられ、爪20が段部21に引っかかることになる。そのため、使用時に遮光性網4が踏まれて内方に引っ張られたとき、網止め具5には横方向の力が作用するが、この横方向に力によっては簡単に抜け出さないようにでき、確実に遮光性網4を保持することができる。なお、
図8Bに示すように、柱部19の外径を、ピント取付孔13の内径よりも大きな外径に形成し、網留め具5をピン取付孔13に圧入して密嵌状態に嵌合するようにすれば、爪を省略することもできる。
【0020】
図1等に示す網止め具5の押え部17は円板状に形成してあるが、遮光性網4の周縁部分のたわみを広い範囲で押えることができるよう押え部17を、遮光性網4の縁部に沿って伸びる平板状部22に形成することもできる。
図9に示す実施例では、平板状部22は係合部18を中心にして直交方向に略L字状に延びているが、いずれか一方であってもよい。
【0021】
上記網止め具5は、遮光性網4に荷重が作用したとき、遮光性網4に引っ張られて傾動可能に受け皿1に固定することもできる。
図11はそのような一実施例を示し、上記実施例のピン取付孔に代えて、縁部の載置部8に、遮光性網4の周縁に沿って、受け皿の周縁を巡る環状の網取付溝23を形成し、さらに網取付溝23の外周に可動用溝24を形成してある。網止め具5は、
図12に示すように、押え部17を略L字状に伸びる平板状部22に形成し、係合部18を上記網取付溝23に差込んで係合できるよう板状差込部25に形成してある。そして、受け皿1の載置部8に載置した遮光性網4の周縁を、上記網取付溝23に差込んで上方から網止め具の板状差込部25を圧入すれば、
図13に示すように、遮光性網4を展開状態に張ることができる。遮光性網4に荷重が作用して横方向に引っ張られると、
図14に示すように、可動用溝24の作用で網止め具5で固定した部分が横方向に可動するから、遮光性網4の損傷が防止される。なお、上記可動用溝24は、網取付溝23の内周に形成することもできる。
【0022】
ピンタイプの網止め具5でも傾動可能に固定することができる。
図15~
図17はそのような実施例を示し、受け皿1の縁部の角に、周囲にスペースを空けて網取付柱26を独立的に形成し、この網取付柱26にピン取付孔13を設けてある。網止め具5は、上記
図8に示すように係合部18の柱部19に爪20を有するものや、爪のないものであってもよい。そして、遮光性網4を縁部の載置部8に載せ、網止め具の柱部19をピン取付孔13に係合させると、遮光性網4を固定することができる。荷重が作用して遮光性網4が横方向に引っ張られると、上記網取付柱26が横方向に傾くから、網への負荷が緩和され、網の破損や網止め具の脱落が防止される。
【0023】
上記の構成により、受け皿を靴で踏んだとき、
図6に示すように、その荷重で上面は、aの高さからbの高さに降下し、遮光性網4及び薬液保持フェルト3がたわみ、一部が格子板2の薬液室14に入り込む。そして、入り込んだ部分が、薬液室14内に貯留している薬液に接触し、薬液を吸収し薬液保持フェルト3に薬液が浸透する。したがって、靴底には薬液保持フェルト3に吸収された分の薬液が付着し、過剰に付着しないようにできる。荷重がなくなると、薬液保持フェルト3は復元し、薬液室14から抜け出すから、不必要に薬液が薬液保持フェルト3に含浸されるおそれはない。
【0024】
また、遮光性網4により太陽光等の光による薬液の劣化が防止される。遮光性網4が損傷したときには、網止め具5を外せば、受け皿1から簡単に取り出すことができ、容易に交換することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 受け皿
2 格子板
3 薬液保持フェルト
4 遮光性網
5 網止め具
10 薬液注入口
11 薬液量目盛
12 格子柱
14 薬液室
23 網取付溝
24 可動用溝
25 網取付柱