(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167318
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】BLE通信により解錠させる電気式ダイヤルキーボックス
(51)【国際特許分類】
E05B 37/02 20060101AFI20221027BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221027BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20221027BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E05B37/02 D
E05B49/00 J
E05B47/00 J
E05B65/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073046
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】591244063
【氏名又は名称】酒井 信世
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】酒井 信世
(72)【発明者】
【氏名】片海 好正
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA15
2E250BB04
2E250BB08
2E250BB52
2E250FF27
2E250FF36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非常時にダイヤル照合にて解錠可能で、不正解除の防止を図った電気式ダイヤルキーボックスを提供する。
【解決手段】BLE通信によりモータ10を駆動して、モータ軸と一体化したウオームギア11がウオームホイール14を回転させ、ウオームホイールの側面溝に嵌った作動ワイヤー12が移動し、ロックブロックを強制的に後退させることにより、ラッチが降下できる体勢となり、ラッチプッシュボタンを押すと、蓋を開けることができる電気式ダイヤルキーボックスで、ダイヤル照合による解除の場合、ダイヤルを照合しても蓋を開けることができない構造であり、この場合、解除レバーの下方先端を解除ピンにより押すことにより、解除レバーが右回りに回転し、上方先端が蓋とロックプレートの間から外れて、ロックプレートがロックプレートリターンスプリングの反力によりロックブロックを解錠方向へ移動させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤル式キーボックスにおいて蓋内にBLE受信部を設けた通信基盤を内蔵し、BLE通信によりモータを駆動し、モータ軸と一体化したウオームギアがウオームホイールを回転させ、ウオームホイールの側面溝に嵌った作動ワイヤーが移動し、ロックブロックを強制的に後退させることにより、ラッチが降下できる体勢となり、ラッチプッシュボタンをおすと、蓋を開けることができる電気式ダイヤルキーボックスにおいて、ダイヤル照合による解除の場合に、ダイヤルを照合しても蓋を開けることができない構造であり、この場合、解除レバーの下方先端を解除ピンで押すことにより、解除レバーが右回りに回転し上方先端が蓋とロックプレートの間から外れて、ロックプレートがロックプレートリターンスプリングの反力によりロックブロックを解錠方向へ移動させることを特徴とする電気式ダイヤルキーボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の電気式ダイヤルキーボックスにおいて、ロックブロックを動かす構造は、作動ワイヤー、ウオームホイール、ウオームギアとモータのみから成ることを特徴とする電気式ダイヤルキーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤル式キーボックスをベースとしてブルーツース(BLE通信)を使用し、スマートフォンにより解錠して鍵を取り出せる電気式キーボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のダイヤル式キーボックスにおいて、2個以上の0~9の番号を持ったダイヤルを設定した任意の数字(暗証番号)に合わせ、蓋を開ける構造であるが、それは非常時として使用し、普段は外部通信によりモータを駆動して解錠できるようにしていた。
【0003】
このダイヤル式キーボックスでは、ダイヤル5が照合すると、ダイヤル5に設けられた溝Aに
図2から
図3に示すように、ロックプレート4が入り込むことにより、ロックブロック3がラッチ2の突起部から離れ、蓋1に対してラッチ2が下降できる態勢となる。ここで、ラッチプッシュボタン6を
図2の矢印方向に押すことにより、ラッチ作動レバー7が
図3のように回転し、ラッチ2が下降することにより蓋1を開けることができる。ラッチプッシュボタン6を離すと、ラッチ2はラッチスプリング8のリターン力により上昇する。
【0004】
ダイヤル式キーボックスにおいて普段には、暗証番号を合わせる時間を要することなしに、携帯電話等の外部通信によりモータ駆動で簡単に施錠及び解錠でき、非常時にダイヤルを照合して解錠するものであった。しかしながら、4桁ダイヤルでの解錠の場合に、ダイヤル5の照合を1万回行えば、解錠できてしまう。そのような不正解除の防止を図ることを望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5153749号公報
【特許文献2】特開2019-019511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、普段には暗証番号を合わせる時間を要することなしに、携帯電話等の外部通信によりモータ駆動で簡単に施錠及び解錠でき、非常時にダイヤルを照合して解錠するダイヤル式キーボックスにおいて、ロックブロックを動かす構造を作動ワイヤー、モータ、ウオームギア、ウオームホイールのみとして、省スペロックブロックースで部品点数も少なくさせ、ラッチを解除させる為のロックブロックを移動させるロックプレートの動きを阻止する解除レバーの設定により不正解錠の防止を図った電気式キーボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、ダイヤル式キーボックスにおいて蓋内にBLE受信部を設けた通信基盤を内蔵し、BLE通信によりモータを駆動し、モータ軸と一体化したウオームギアがウオームホイールを回転させ、ウオームホイールの側面溝に嵌った作動ワイヤーが移動し、ロックブロックを強制的に後退させることにより、ラッチが降下できる体勢となり、ラッチプッシュボタンを押すと、蓋を開けることができる電気式ダイヤルキーボックスにおいて、ダイヤル照合による解除の場合、ダイヤルを照合しても蓋を開けることはできない構造であり、この場合、解除レバーの下方先端を解除ピンで押すことにより、解除レバーが右回りに回転し上方先端が蓋とロックプレートの間から外れて、ロックプレートがロックプレートリターンスプリングの反力によりロックブロックを解錠方向へ移動させることを特徴とする電気式ダイヤルキーボックスによって、解決される。
【0008】
更に、この発明の電気式ダイヤルキーボックスでは、キーボックスの蓋を閉じて、蓋にBLE通信基盤を内蔵したBLE受信部へBLE通信により施錠信号を送信して、モータを逆転させて施錠させることもでき、また、解除レバーはスプリングにより常に左回りの回転力がかかっていて、ダイヤルを非照合状態にすると、ロックプレートが動き、蓋とロックプレートの間に隙間ができる為、入り込む構造になっていて、自動的にロックするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、ロックブロックを動かす構造は、作動ワイヤー、モータ、ウオームギアとウオームホイールのみであり、省スペースで部品点数も非常に少なくて済む。
【0010】
この発明によると、歯車が規定量回転すると空回りするよう、歯の無い部分を設けた構造にしてあり、モータのロックによる過大負荷(オーバーロード)を防ぎ、消費電力を抑えた。
【0011】
この発明によると、作動ワイヤーの機構により、ダイヤル式キーボックスでありながら、モータ駆動によるロック解除を可能にした。
【0012】
この発明によると、4桁ダイヤルでの開錠の場合、ダイヤルの合わせを1万回行えば解錠できてしまうため、解除レバーを設け、例え整合しても解除レバーを押さないと、ロックプレートがロックブロックを、解錠方向に移動させない解除レバーの設定による不正解錠の防止を図った。
【0013】
この発明によると、解除レバーはロックプレートの動きを阻止しているため、ダイヤルの照合の際、ロックプレートのダイヤルへの接触力が無いため、解読し難く2重の不正解錠防止となっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ダイヤル式キーボックスの外観図と裏面透視図並びにB-B断面を示す。
【
図2】ラッチプッシュボタンを押す矢印方向を示すキーボックス蓋裏面透視図とその断面図を示す。
【
図3】ラッチプッシュボタンを押し込んだキーボックス蓋裏面透視図とその断面図を示す。
【
図4】本発明のBLE受信部を設けたキーボックス蓋の斜視図を示す。
【
図5】本発明のスマートフォンによりBLE通信基盤を内蔵したキーボックス蓋を開ける斜視図を示す。
【
図6】本発明のモータ駆動によるロック解除の動きを開示するキーボックスの正面透視図及び断面側面図を示す。
【
図7】本発明のモータ駆動によるロック状態に戻す態様を開示するキーボックスの断面側面図を示す。
【
図8】本発明の
図6のロック状態に相当するギアボックスの構造の正面図と上面図を示す。
【
図9】本発明の
図7のロック解除状態に相当するギアボックス構造の正面図と上面図を示す。
【
図10】解除レバーによりダイヤル照合してもロックプレートが動かない状態を示す本発明のキーボックスの正面図と断面側面図を示す。
【
図11】解除レバーがロックプレートから外れ、ロックプレートがロックブロックを解除方向に移動した状態を示す本発明のキーボックスの正面図と断面側面図を示す。
【
図12】本発明のギアボックスの斜視図とギアケースBを外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ダイヤル式キーボックス(鍵番人Neo)をベースとしてブルーツース(BLE通信)を使用し、スマートフォンで解錠して鍵を取り出せる電気式キーボックスを提供する。また、何らかの原因で電気的解錠が出来なくても、ダイヤルを備えているため、暗証番号での解錠もできる特徴を備えている。
【0016】
図4は、BLE通信基盤を内蔵したイメージと外観を現し、
図5は、スマートフォン等による通信により解錠し、蓋1を開いた図である。
【0017】
次に、電気式キーボックスの解錠方法としてモータ駆動によるロック解除構造を説明する。
【0018】
図6は、ロック解除の動き(ダイヤルのロック状態でも解除する)を開示し、モータ10、ウオームギア11、ウオームホイール14と作動ワイヤー12が、ギアケースA15とギアケースB16により、収納されたギアボックス13(後述並びに
図12)において、作動ワイヤー12が矢印a方向に動くことにより、ロックブロック3を矢印C方向にスライドさせ、ラッチ2が矢印D方向に降下できる態勢(
図7)となる。その後は、従来構造と同様にラッチプッシュボタン6を押すことで、ラッチ2を下げて、蓋1を開けることができる。
【0019】
図7は、ロックさせる動き(ダイヤルロック状態にする)を開示し、ギアボックス13内のモータ10が逆回転することにより、作動ワイヤー12が
図6の矢印a方向と逆方向の矢印d方向に動き、ロックブロック3を矢印E方向へスライドさせ、ラッチ2の降下を阻止することでロック状態(
図6)へ戻す。
【0020】
図8は、ラッチ2のロックを解除させる動きを開示し、
図6のロック状態から、モータ10のウオームギア11がウオームホイール14を反時計廻り(
図8の矢印f)に回転させることにより、作動ワイヤー12の左先端Gがオウームホイール14の側面溝(螺旋状になっている)に沿って矢印H方向へ移動する。作動ワイヤー12はギアケースA15の支点Iで軸支されているので、作動ワイヤー12の先端Jが矢印K方向へ移動する(
図8から
図9になる)。その後は、ロックブロック3がラッチ2のロックを解除させる動きで、ラッチ2のロックが解除される。
【0021】
図9は、
図7のロック解除の状態にあり、この状態からモータ10が逆にオウームホイール14を時計廻り(
図9の矢印m)に回転させることにより、作動ワイヤー12の左先端Lがウオームホイール14の側面溝(螺旋状になっている)に沿って矢印M方向へ移動する。作動ワイヤー12はギアケースA15の支点Iで軸支されているので、作動ワイヤー12の先端Pが矢印N方向へ移動する(
図9から
図8になる)。その後は、ロックブロック3がラッチ2をロックさせる動きで、ラッチ2がロック状態になる。
【0022】
この発明は、解除レバー18の設定により不正解除の防止を図るものであり、4桁ダイヤルでの開錠の場合、ダイヤル5の合わせを1万回行えば、解錠できてしまうため、解除レバー18を設け、例え整合しても、解除レバー18を押さないと、ロックプレート4がロックブロック3を解錠方向に移動させない構造とした。また、解除レバー18はロックプレート4の動きを阻止しているため、ダイヤル5の照合の際に、ロックプレート4のダイヤル5への接触力が無いため、解読し難く、二重の不正解錠防止となっている。
【0023】
図10では、解除前の解除レバー18の先端Sが、蓋1とロックプレート4の間に入り込むように設置してあり、ダイヤル5の溝がロックプレート4と照合しても、ロックプレート4は動かないようになっている。
【0024】
図11では、解除レバー18の解除は、反対側(下方)先端Qを解除ピン19で押すことにより、解除レバー18が矢印R方向(右回り)へUを支点とし回転し、上方先端Sが蓋1とロックプレート4の間から外れ、ロックプレートリターンスプリング9の反力により、ロックプレート4がロックブロック3を解錠方向へ移動させる。その後は、従来構造と同じ開錠動作となる。
解除レバー18は、スプリングによって、常時、矢印Tの回転方向(左回り)にUを支点とし回転力がかかっており、施錠時にダイヤル5によってロックプレート4が押され、蓋1とロックプレート4の間に隙間ができると、入り込む構造になっており、施錠時には自動的にロックする。
【0025】
図12は、ギアボックス13の斜視図を開示し、上方にはギアボックス13の外観構造を図示し、下方にはギアケースB16を外した状態を図示する。
【符号の説明】
【0026】
1…蓋
2…ラッチ
3 ロックブロック
4 ロックプレート
5 ダイヤル
6 ラッチプッシュボタン
7 ラッチ作動レバー
8 ラッチスプリング
9 ロックプレートリターンスプリング
10 モータ
11 ウオームギア
12 作動ワイヤー
13 ギアボックス
14 ウオームホイール
15 ギアケースA
16 ギアケースB
17 リターンバー
18 解除レバー
19 解除ピン
20 モータ電源ハーネス
21 BLE受信部
22 スマートフォン
23 ケース本体
24 ダイヤル保護カバー
25 ウオームホイールの側面溝