(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167321
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】電子カルテシステム及び電子カルテプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20221027BHJP
【FI】
G16H40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073050
(22)【出願日】2021-04-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 茂
(72)【発明者】
【氏名】杉本 恵洋
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】電子カルテの編集に係る複数のユーザーによる操作の競合が生じにくいか、又は、他のユーザーによる編集状況が分かりやすい、電子カルテシステム及び電子カルテプログラムを提供する。
【解決手段】電子カルテシステム10は、編集処理部112と、表示処理部111と、を備える。前記編集処理部112は、複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する。前記表示処理部111は、前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する編集処理部と、
前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記編集中情報について、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる表示処理部と、を備える、
電子カルテシステム。
【請求項2】
前記編集処理部は、前記編集中情報について前記複数のユーザーのうち前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を制限する、
請求項1に記載の電子カルテシステム。
【請求項3】
前記編集処理部は、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報については、前記複数のユーザーのうち前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を許可する、
請求項1又は2に記載の電子カルテシステム。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記カルテ情報中に前記編集中情報がある場合において、前記編集中情報について、更新条件を満たすまでは前記特定態様での表示を行わず、前記更新条件を満たすと前記特定態様での表示を行う、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子カルテシステム。
【請求項5】
前記複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーによる確定操作に応じて、前記編集中情報の状態を編集中から編集完了へと切り替える確定処理部を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子カルテシステム。
【請求項6】
前記確定操作は、前記カルテ情報の確定単位ごとに行われる、
請求項5に記載の電子カルテシステム。
【請求項7】
前記複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了すると、前記電子カルテを表示中の他のユーザーへ前記編集権限を移行させる権限処理部を更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子カルテシステム。
【請求項8】
前記表示処理部は、前記編集権限が前記他のユーザーに移行されると、前記他のユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面上での前記編集中情報の表示態様を、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と同じ態様に切り替える、
請求項7に記載の電子カルテシステム。
【請求項9】
前記権限処理部は、前記複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了したときに、前記他のユーザーが2以上存在する場合、前記他のユーザーが単一のユーザーに限定されるまでは前記編集権限の移行を行わない、
請求項7又は8に記載の電子カルテシステム。
【請求項10】
前記表示処理部は、前記編集権限を有するユーザーを識別可能な態様で前記編集中情報を表示させる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電子カルテシステム。
【請求項11】
複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する編集処理部と、
前記複数のユーザーのうち、前記カルテ情報の一部である編集中情報を編集中のユーザーとは別のユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記編集中情報について、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる表示処理部と、を備える、
電子カルテシステム。
【請求項12】
複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する編集ステップと、
前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記編集中情報について、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる表示ステップと、
をコンピューターに実行させるための電子カルテプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテを表示させる電子カルテシステム及び電子カルテプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、主訴所見領域及び処置領域を含む電子カルテを、前記主訴所見領域及び前記処置領域への入力権限の異なる複数の端末上に共通に表示する診療情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係るシステムでは、例えば、医師が操作する端末を第1端末とし、医師以外の医療スタッフが操作する端末を第2端末とした場合に、前記第1端末からの前記主訴所見領域及び前記処置領域への入力はともに許可され、前記第2端末からの前記主訴所見領域への入力が禁止される。したがって、前記医師は前記第1端末を通じて前記主訴所見領域及び前記処置領域の入力を自由に行う。一方、前記医療スタッフは前記第2端末を通じて前記主訴所見領域の入力が禁止されるので、前記主訴所見領域への過誤入力の禁止が可能となる。
【0003】
また、前記医療スタッフが操作する前記第2端末からの前記処置領域への入力は許可されるため、前記医師が操作する前記第1端末からの前記主訴所見領域への入力と並行して、前記医療スタッフが操作する前記第2端末からの前記処置領域への入力が行われることにより、患者診療から診療報酬(点数)算出までの時間を短縮することが可能となる。さらに、前記医療スタッフが操作する前記第2端末からの前記処置領域への入力が間違っている場合には、前記医師は前記第1端末からの前記処置領域への入力により修正することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記関連技術に係るシステムでは、同一の電子カルテに対して、例えば前記医療スタッフが前記第2端末を通じて前記処置領域の編集中に、前記医師が前記第1端末を通じて当該処置領域を編集する等、複数のユーザーによる操作の競合が生じることがある。
【0006】
本発明の目的は、電子カルテの編集に係る複数のユーザーによる操作の競合が生じにくいか、又は、他のユーザーによる編集状況が分かりやすい、電子カルテシステム及び電子カルテプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る電子カルテシステムは、編集処理部と、表示処理部と、を備える。前記編集処理部は、複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する。前記表示処理部は、前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる。
【0008】
本発明の他の局面に係る電子カルテシステムは、編集処理部と、表示処理部と、を備える。前記編集処理部は、複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する。前記表示処理部は、前記複数のユーザーのうち、前記カルテ情報の一部である編集中情報を編集中のユーザーとは別のユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記編集中情報について、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる。
【0009】
本発明の他の局面に係る電子カルテプログラムは、編集ステップと、表示ステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムである。前記編集ステップでは、複数のユーザーの各々による操作に応じて、電子カルテのカルテ情報を編集する。前記表示ステップでは、前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの表示画面上で、前記編集中情報について編集中であることを識別可能な特定態様で表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子カルテの編集に係る複数のユーザーによる操作の競合が生じにくいか、又は、他のユーザーによる編集状況が分かりやすい、電子カルテシステム及び電子カルテプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで使用されるアカウント管理マスターに登録されているユーザーデータの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムにおいて、複数のユーザーに向けて表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムにおいて、第1ユーザーに提示される第1表示画面、及び第2ユーザーに提示される第2表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで実行される電子カルテ管理方法の第1具体例を示す概念図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで実行される電子カルテ管理方法の第2具体例を示す概念図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで実行される電子カルテ管理方法の第3具体例を示す概念図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る電子カルテシステムで実行される電子カルテ管理方法の手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、下記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【0013】
[電子カルテシステム10]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電子カルテシステム10は、サーバー1と、一又は複数のクライアント端末2と、プリンター3とを備える。前記サーバー1、前記クライアント端末2、及び前記プリンター3は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、又はイントラネット等の通信網NT1を介して通信可能である。また、前記サーバー1には、前記通信網NT1を介して上位システム5が接続される。前記電子カルテシステム10は、前記サーバー1、前記クライアント端末2、及び前記プリンター3のうちの少なくとも一つについて、複数備えていてもよい。
図1では一例として、前記クライアント端末2は複数(3台)設けられている。
【0014】
前記電子カルテシステム10のユーザーは、例えば病院、又は薬局などの医療機関における医師、医療事務員、医療クラーク、看護士、薬剤師、又は施設管理者などの医療従事者(医療スタッフ)である。本実施形態では一例として、前記電子カルテシステム10は、病院で用いられ、当該病院の医師及び医療事務員が前記電子カルテシステム10のユーザーであることとする。ユーザーは、基本的には前記クライアント端末2を通じて、前記電子カルテシステム10を利用する。つまり、前記サーバー1は、前記クライアント端末2に対するユーザーによる操作入力を受け付け可能であって、かつ前記クライアント端末2に種々の情報を表示させることが可能である。
【0015】
前記電子カルテシステム10は、電子カルテを管理する機能を有している。本開示でいう「電子カルテ」は、患者の疾病情報、診察内容、診断結果、投薬情報、検査結果及び経過等の診療情報を電子的データとして保存した記録(診療記録)を意味する。前記電子カルテは、原則、患者ごとに作成され、複数の患者に対しては前記電子カルテも複数作成される。ここで、前記電子カルテに含まれる患者の種々の診療情報は「カルテ情報」に含まれる。前記カルテ情報は、例えば前記クライアント端末2に対するユーザー(医師及び医療事務員)の操作に応じて、前記サーバー1により前記電子カルテに新規に記録(記載)される。さらに、前記電子カルテに記録されている前記カルテ情報は、例えば前記クライアント端末2に対するユーザーの操作に応じて、前記サーバー1による追記(追加)、削除、変更及び更新等が行われる。前記カルテ情報の新規記録、追記、削除及び更新等、前記電子カルテに含まれる前記カルテ情報に何らかの変更を加えることを、前記カルテ情報の「編集」と呼ぶ。つまり、前記電子カルテシステム10においては、ユーザーの操作に応じて、前記電子カルテの前記カルテ情報を編集することが可能である。
【0016】
また、前記電子カルテシステム10は、前記電子カルテを表示させる機能を有している。本実施形態に係る前記電子カルテシステム10では、前記サーバー1が、ユーザーによる前記クライアント端末2の操作に応じて、前記電子カルテの表示画面P1(
図3参照)を前記クライアント端末2に表示させることが可能である。前記表示画面P1が前記クライアント端末2に表示されることにより、ユーザーに前記電子カルテの前記表示画面P1が提示され、ユーザーにおいては、前記クライアント端末2を通じて前記電子カルテを確認することが可能となる。そして、ユーザーは、前記クライアント端末2に表示される前記電子カルテの前記表示画面P1上で、前記カルテ情報を編集する操作を行うことにより、前記カルテ情報の編集を行うことができる。なお、前記クライアント端末2は、前記サーバー1から送信される表示データに基づいて前記表示画面P1を表示し、又は前記サーバー1に記憶されている各種のデータを参照して前記表示画面P1を表示する。
【0017】
具体的に、本実施形態では、前記サーバー1及び前記クライアント端末2によりサーバークライアントシステムが構成されており、前記サーバー1が前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて表示及び印刷などの各種の処理を実行する場合について説明する。そのため、本実施形態において、以下に説明する「表示」、「操作」、「選択」、及び「入力」等は、前記クライアント端末2を用いて行われるものとして説明する。なお、同様の表示及び操作などが前記サーバー1で行われてもよい。
【0018】
前記上位システム5は、前記電子カルテシステム10とは別の医療関連システムであって、前記電子カルテシステム10と通信により連携可能であればよく、前記電子カルテシステム10に対して「上位」の関係にあることは必須でない。前記上位システム5は、例えば患者データ、薬品の患者への処方又は投与に関する処方データ、及び患者について行われた各種の検査の検査結果に関する検査データなどの入力を受け付け可能である。前記患者データには、例えば患者ID又は患者名(氏名)などのように個々の患者を識別するための患者識別情報、並びに、患者の年齢、性別、既往歴、処方薬履歴、飲酒有無、喫煙有無、家族情報、及び患者の身長、体重、体表面積等の身体情報など、患者に関する種々の情報が含まれる。
【0019】
前記上位システム5は、前記患者データ、前記処方データ及び前記検査データなどを、ユーザー操作に応じて前記サーバー1に入力し、又は予め設定された締め処理時刻などの所定タイミングで自動的に前記サーバー1に入力する。また、前記サーバー1が前記上位システム5から前記患者データ、前記処方データ及び前記検査データなどを能動的に読み出す構成であってもよい。前記上位システム5は複数設けられてもよく、さらに、複数の前記上位システム5は異なる種類のシステムを含んでもよい。なお、前記患者データ、前記処方データ及び前記検査データの少なくとも一つは、前記クライアント端末2又は前記サーバー1に対するユーザーの操作により、前記電子カルテシステム10に直接的に入力されてもよい。
【0020】
ところで、前記電子カルテシステム10においては、例えば複数のユーザーがそれぞれ異なる前記クライアント端末2を用いることで、ある患者についての前記電子カルテの前記表示画面P1を、複数の前記クライアント端末2に表示させることが可能である。そして、前記複数のユーザーがそれぞれ前記クライアント端末2に表示される前記表示画面P1上で、前記カルテ情報を編集する操作を行うことにより、同一患者についての前記電子カルテの前記カルテ情報を前記複数のユーザーにて編集可能となる。一例として、ある患者の前記電子カルテに、医師である第1ユーザーと医療事務員である第2ユーザーとがそれぞれアクセスすることで、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのそれぞれが、当該患者の前記電子カルテの前記カルテ情報を編集可能となる。これにより、例えば前記第1ユーザー(医師)が診察中に前記カルテ情報を大まかに記録し、前記第2ユーザー(医療事務員)が前記カルテ情報を詳細に記録し直すなど、前記複数のユーザーで分担して前記電子カルテの前記カルテ情報を編集することができる。
【0021】
ただし、同一患者の前記電子カルテを前記複数のユーザーが同時に表示させている状況では、前記複数のユーザーが前記電子カルテの同一の項目について前記カルテ情報を編集する操作をすることで、前記電子カルテの編集に係る前記複数のユーザーによる操作の競合が生じ得る。一例として、ある患者の前記電子カルテの前記カルテ情報の同一項目について、前記第1ユーザー(医師)が編集中に、前記第2ユーザー(医療事務員)が編集しようとすることで、当該カルテ情報については編集操作の競合が生じることになる。つまり、同一患者の前記電子カルテに前記複数のユーザーがアクセス可能であることは、前記電子カルテシステム10の利便性向上につながるものの、前記電子カルテの編集に係る操作の競合が生じ得るという問題がある。
【0022】
このような事情に鑑みて、本実施形態に係る前記電子カルテシステム10は、前記電子カルテ(の前記カルテ情報)の編集に係る複数のユーザーによる操作の競合が生じにくい、又は、他のユーザーによる編集状況が分かりやすくするための構成を採用する。具体的には、前記電子カルテシステム10は、複数のユーザーの各々による操作に応じて、前記電子カルテの前記カルテ情報を編集する編集処理部112を備える。さらに、前記電子カルテシステム10は、表示処理部111を備える。前記表示処理部111は、前記複数のユーザーのうち前記カルテ情報の一部である編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面P1上で、前記編集中情報について編集中であることを識別可能な特定態様で表示させる。あるいは、前記表示処理部111は、前記複数のユーザーのうち、前記カルテ情報の一部である編集中情報を編集中のユーザーとは別のユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面P1上で、前記編集中情報について、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な特定態様で表示させる。
前記編集処理部112及び前記表示処理部111の機能の詳細については、「[電子カルテ管理方法]」以降で説明する。
【0023】
ここにおいて、いずれのユーザーに提示される前記表示画面P1かは、例えば当該表示画面P1が表示される前記クライアント端末2を利用しているユーザーのアカウントにて識別される。具体的に、例えば前記サーバー1に対する前記クライアント端末2の接続時に行われるログインで用いられるユーザーID(ログインID)、又は前記クライアント端末2に固有の端末ID等が、ユーザーのアカウントとして用いられる。つまり、前記サーバー1に対する前記クライアント端末2の接続時に、前記第1ユーザーのユーザーIDを用いてログインされた場合には、当該クライアント端末2に表示される前記表示画面P1は、前記第1ユーザーに提示される前記表示画面P1とみなされる。あるいは、前記クライアント端末2の端末IDから当該クライアント端末2が前記第1ユーザーに予め対応付けられたクライアント端末2であることが特定された場合には、当該クライアント端末2に表示される前記表示画面P1は、前記第1ユーザーに提示される前記表示画面P1とみなされる。要するに、前記第1ユーザーに向けて表示される前記電子カルテの前記表示画面P1であれば、実際に前記第1ユーザーが見ているか否かにかかわらず、前記第1ユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面P1とみなすこととする。
【0024】
また、本開示でいう「識別可能」とは、事物の種類、性質などを見分けることができる状態を意味する。そのため、前記特定態様は、前記編集中情報について、編集中であることを見分けることができる表示態様であればよい。具体的に、前記編集中情報の前記編集権限を有さないユーザーに提示される前記表示画面P1においては、前記編集中情報は、前記カルテ情報のうち前記編集中情報以外の情報(つまり編集中でない情報)とは区別可能な態様で表示される。つまり、前記特定態様は、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能な態様と言える。一方、前記編集中情報の前記編集権限を有するユーザーに提示される前記表示画面P1においては、前記編集中情報は、前記特定態様ではなく、前記カルテ情報のうち前記編集中情報以外の情報と同じ表示態様にて表示される。よって、前記編集中情報の前記編集権限を有さないユーザーに提示される前記表示画面P1と、当該編集権限を有するユーザーに提示される前記表示画面P1とでは、前記編集中情報の表示態様は異なることになる。
【0025】
[クライアント端末2]
前記クライアント端末2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示部24、操作部25、及びドライブ装置26などを備えるパーソナルコンピュータである。前記クライアント端末2各々は、前記電子カルテシステム10が使用される医療機関(本実施形態では病院)に配置され、ユーザーによって操作される操作端末である。例えば、前記クライアント端末2は、前記医療機関の医師又は医療事務員などによって使用される。なお、前記クライアント端末2は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、又はラップトップコンピュータなどの携帯(可搬)型の情報処理装置であってもよい。
【0026】
前記制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0027】
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶されるプログラム記憶部が含まれる。前記ブラウザソフトは、前記通信網NT1を介して前記サーバー1にアクセスすることにより前記表示部24に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作部25を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記サーバー1に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。例えば、前記制御部21は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記サーバー1に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記サーバー1にアクセスする。
【0028】
前記通信I/F23は、前記通信網NT1を介して前記サーバー1、及び前記プリンター3などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0029】
前記表示部24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの装置である。例えば、前記制御部21は、前記ブラウザソフトに従って各種の処理を実行することにより、前記サーバー1から受信する表示用データに基づいて、当該表示用データに基づく各種の情報を前記表示部24に表示させる。
【0030】
前記操作部25は、前記クライアント端末2に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される装置である。具体的に、前記操作部25は、前記表示部24に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びポインティングデバイス(マウス等)を含む。また、前記操作部25は、前記表示部24に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含んでもよい。そして、前記制御部21は、前記ブラウザソフトに従って各種の処理を実行することにより、前記操作部25に対するユーザー操作を受け付け、当該ユーザー操作の内容を前記サーバー1に入力する。
【0031】
前記ドライブ装置26は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが非一時的に記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体261から前記OS又は前記ブラウザソフトなどを読み取る装置である。前記ドライブ装置26は、前記クライアント端末2に一体化されていてもよいし、前記クライアント端末2に対して取り外し可能に接続されることで前記クライアント端末2に外付けされてもよい。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリーなどであり、前記ドライブ装置26は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記記憶部22の前記プログラム記憶部にインストールされる。
【0032】
具体的に、前記サーバー1は、例えば、HTML(Hyper Text Markup Language)などのWebページ記述言語によって記述されたデータを前記クライアント端末2に送信することにより、前記クライアント端末2の前記表示部24に各種の画面を表示させる。また、前記クライアント端末2の前記制御部21は、前記操作部25に対する操作入力に応じて前記サーバー1に操作信号を送信する。
【0033】
[プリンター3]
前記プリンター3は、前記サーバー1又は前記クライアント端末2から前記通信網NT1を介して入力される印刷データに含まれる情報を紙などのシートに記録する印刷処理を実行可能なカラープリンター又はモノクロプリンターなどの画像形成装置である。前記プリンター3は、少なくとも前記電子カルテシステム10において前記電子カルテの印刷に用いられる。
【0034】
[サーバー1]
前記サーバー1は、
図1に示すように、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示部14、操作部15、及びドライブ装置16などを備えるコンピューターである。なお、前記サーバー1は、前記電子カルテシステム10が使用される病院又は薬局等の医療機関の外部に設けられてもよい。また、前記サーバー1は、スマートフォン、タブレット端末、又はラップトップコンピュータなどの情報処理装置であってもよい。
【0035】
前記制御部11は、前記制御部21と同様の構成であって、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有し、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0036】
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。また、前記記憶部12には、プログラム記憶部121、マスター記憶部122、及び情報記憶部123が含まれる。
【0037】
前記プログラム記憶部121は、後述の電子カルテ管理方法に係る各種処理を前記制御部11に実行させるための電子カルテプログラムなどが記憶される記憶領域である。なお、前記プログラム記憶部121には、オペレーティングシステム(OS)などのプログラムも記憶される。
【0038】
前記マスター記憶部122は、例えば、アカウント管理マスターD1(
図2参照)、病名マスター、患者マスター、及び医薬品マスターなどの各種のマスター情報が記憶される記憶領域である。前記アカウント管理マスターD1は、前記電子カルテシステム10にログインする際のユーザー認証などに用いられる。前記アカウント管理マスターD1は、前記サーバー1の初期設定時又はメンテナンス時などにおいて、前記サーバー1又は前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて適宜編集されて前記マスター記憶部122に記憶される。
【0039】
図2は、前記アカウント管理マスターD1に登録されているユーザーデータの一例である。
図2に示すように、アカウント管理マスターD1には、ユーザーごとに、ユーザーID、ユーザー名、資格、パスワード、管理権限、代行管理権限、及び対象医師などの情報が登録される。
【0040】
前記ユーザーID及び前記ユーザー名は、ユーザーを識別するための識別情報の一例である。前記資格は、そのユーザーが保持している資格(役職を含む)を示している。前記パスワードは、電子カルテシステム10にログインする際のユーザー認証に用いられる。前記管理権限は、そのユーザーが有する、前記電子カルテの前記カルテ情報を入力等(削除、変更及び更新等を含む)するための権限である。例えば
図2に示すように、医師であるユーザー「A」は、前記電子カルテの前記カルテ情報の全ての項目について入力する権限を有するのに対し、医療事務員であるユーザー「B」及び「C」は、前記電子カルテの前記カルテ情報のうち、後述する主観情報(S)及び計画情報(P)の項目についてのみ入力する権限を有する。このように、前記管理権限は基本的には前記資格に対応付けて設定されている。
【0041】
前記代行管理権限は、前記電子カルテにおける前記カルテ情報の入力に係る医師の操作を代行する代行操作の権限である。前記代行管理権限は、通常の管理権限とは異なり、対象医師が前記管理権限の有する患者の前記電子カルテについてのみ入力可能となる権限であって、前記代行管理権限を有するユーザー(医療クラーク)は、前記対象医師が管理権限を有さない患者の前記電子カルテについては管理権限を有さない。
図2の例では、医療クラークであるユーザー「D」に、医師であるユーザー「A」の代行操作を行う代行管理権限が与えられている。これにより、ユーザー「D」は、ユーザー「A」の代行者(医師事務作業補助者)として前記電子カルテに前記カルテ情報を入力することができる。なお、前記電子カルテの前記表示画面P1を表示させることによって前記電子カルテを閲覧(参照)する権限は、全てのユーザーが有している。
【0042】
前記情報記憶部123には、XML情報及びカルテデータベースなどの、前記電子カルテを構成する種々の情報が記憶される。前記XML情報は、前記電子カルテの前記カルテ情報をXML(Extensible Markup Language)を用いて記述したデータである。前記XML情報は、例えば前記クライアント端末2を用いた医師等のユーザーの操作に応じて作成され、随時更新される。前記カルテデータベースは、前記電子カルテの前記カルテ情報を蓄積して長期的に保存するためのデータベースである。例えば、診察の終了時などにおいて前記クライアント端末2を用いた医師等のユーザーによりカルテ情報の保存操作が行われると、前記XML情報に含まれる前記カルテ情報が前記カルテデータベースに保存される。
【0043】
なお、前記アカウント管理マスター、前記XML情報、及び前記カルテデータベースの少なくとも一つは、前記サーバー1とは別の記憶装置に記憶されてもよい。例えば、前記アカウント管理マスター、前記XML情報、及び前記カルテデータベースの少なくとも一つは、前記電子カルテシステム10外の外部サーバー(又はクラウドコンピューティング)等に記憶されてもよい。そして、前記制御部11がインターネット等を介して前記外部サーバー等にアクセス可能であってもよい。
【0044】
前記通信I/F13は、前記通信I/F23と同様の構成であって、前記通信網NT1を介して前記クライアント端末2、及び前記プリンター3などの外部機器との間でデータ通信を実行する。前記通信I/F13は、前記上位システム5との間でもデータ通信を行う。
【0045】
前記表示部14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの装置である。前記操作部15は、前記操作部25と同様の構成であって、前記サーバー1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される装置である。そして、前記制御部11は、前記操作部15に対するユーザー操作を受け付け、当該ユーザー操作の内容に応じて処理を実行する。
【0046】
前記ドライブ装置16は、前記ドライブ装置26と同様の構成であって、前記電子カルテプログラムが非一時的に記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体161から前記電子カルテプログラムを読み取る装置である。そして、前記サーバー1では、前記制御部11により、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から読み取られた前記電子カルテプログラムが前記記憶部12の前記プログラム記憶部121にインストールされる。なお、前記電子カルテプログラムは、前記記憶部12に予め記憶されていてもよいし、前記サーバー1が前記通信網NT1を介して外部装置から受信してもよい。
【0047】
ところで、前記サーバー1の前記制御部11は、
図1に示すように、表示処理部111、編集処理部112、確定処理部113、権限処理部114、及び出力処理部115を含む。具体的に、前記制御部11は、前記電子カルテプログラムに従って後述の電子カルテ管理方法に係る各種の処理を実行することにより、前記表示処理部111、前記編集処理部112、前記確定処理部113、前記権限処理部114、及び前記出力処理部115などの各種の処理部として機能する。すなわち、本実施形態では、前記サーバー1が前記電子カルテシステム10の主要機能を具現化する。言い換えれば、本実施形態に係る前記電子カルテシステム10は、前記サーバー1さえ備えていればよく、前記クライアント端末2、及び前記プリンター3などは、構成要素に含まなくてもよい。なお、前記制御部11は、複数のプロセッサーを備え、当該複数のプロセッサーのいずれかが前記各種の処理部として機能してもよい。また、前記各種の処理部の一部又は全部が電子回路で構成されていてもよい。
【0048】
また、前記サーバー1の機能の一部又は全部が前記クライアント端末2に設けられることも他の実施形態として考えられる。例えば、前記クライアント端末2に、前記電子カルテプログラムの一部又は全部がインストールされており、前記クライアント端末2の前記制御部21が、前記サーバー1から必要な情報を適宜取得して、後述の電子カルテ管理方法に係る各種の処理を実行することも考えられる。この場合、前記クライアント端末2が前記電子カルテシステム10の主要機能を具現化する。さらに、前記電子カルテシステム10において、前記サーバー1及び前記クライアント端末2が協働して後述の電子カルテ管理方法に係る各種の処理を実行することも考えられる。
【0049】
前記表示処理部111は、前記電子カルテの前記表示画面P1を表示させる表示処理(表示ステップ)を行う。本実施形態では、前記表示画面P1は前記クライアント端末2の前記表示部24に表示されるので、前記表示処理部111は、前記クライアント端末2にデータを送信することで前記表示画面P1を表示させる。具体的に、前記表示処理部111は、例えば前記記憶部12に記憶されている前記電子カルテに基づいて、前記電子カルテを表す前記表示画面P1を生成し、当該表示画面P1を前記クライアント端末2に出力することにより、前記表示画面P1を表示させる。
【0050】
さらに、本実施形態では、例えば複数のユーザーがそれぞれ異なる前記クライアント端末2を用いることで、前記表示処理部111は、同一の前記電子カルテ(つまり同一の患者の同一の日付の電子カルテ)の前記表示画面P1を、複数の前記クライアント端末2に表示させることが可能である。つまり、複数のユーザーにおいては、同一の前記電子カルテの前記表示画面P1を、同時に閲覧することが可能である。この場合において、前記表示処理部111は、ユーザーごとに前記表示画面P1の画面構成を変えてもよいし、複数のユーザーに向けて同一の画面構成の前記表示画面P1を表示させてもよい。
【0051】
前記編集処理部112は、医師等のユーザーの操作に応じて、前記電子カルテの前記カルテ情報を編集する編集処理(編集ステップ)を行う。前記編集処理部112が行う前記カルテ情報の編集には、前記カルテ情報の新規記録、追記、削除及び更新等、前記電子カルテに含まれる前記カルテ情報に変更を加える種々の処理が含まれる。本実施形態では、前記カルテ情報の編集のためのユーザー操作は、前記表示画面P1上で行われる。具体的に、前記表示処理部111が前記クライアント端末2に前記電子カルテの前記表示画面P1を表示させた状態で、前記クライアント端末2に対してユーザーが行う操作に応じて、前記編集処理部112が前記カルテ情報の編集を行う。ただし、前記カルテ情報の編集のための操作を行うユーザーは、前記管理権限又は前記代行管理権限を有するユーザーに限られている。そのため、前記電子カルテについて前記管理権限及び前記代行管理権限を有さないユーザーが操作を行ったところで、前記編集処理部112は、当該電子カルテの前記カルテ情報の編集を行わない。
【0052】
本実施形態では、前記電子カルテの前記カルテ情報を編集する方法として、複数の方法が用意されている。例えば、前記表示画面P1の所望領域をマウス又はタッチパネル等で選択後、キーボードから文字列を入力することによって、前記カルテ情報を記載(新規記録又は追記)することができる。また、前記表示画面P1に表示されているキーパッドをマウス、テンキー又はタッチパネル等で操作することによって、前記カルテ情報を記載することもできる。また、任意のカルテ情報を予めセット情報として登録しておき、当該セット情報をマウス、テンキー又はタッチパネルで選択することによって、前記カルテ情報を記載することもできる。また、前記セット情報を示すアイコンを前記表示画面P1の所望領域にドラッグアンドドロップ等により移動させることによって、前記カルテ情報を記載することもできる。さらに、前記編集処理部112は、前記上位システム5若しくはその他のシステムなどから取得する情報に基づいて、前記カルテ情報を自動的に編集してもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、前記編集処理部112は、前記電子カルテにおける前記カルテ情報をいつ、誰が編集したのかを特定可能である。具体的に、前記編集処理部112は、前記カルテ情報が編集されるごとに、当該カルテ情報を編集したユーザーを識別するための識別情報(ユーザー識別情報)と、当該カルテ情報の編集日時を示す編集日時情報とを含む付記情報を取得する。前記ユーザー識別情報は、例えばログイン中のユーザーに対応するユーザーID又はユーザー名である。前記編集日時情報としては、例えば前記サーバー1及び前記クライアント端末2との間で同期された時刻を用いることができる。もしくは、インターネット上の任意のタイムサーバーから取得される時刻(タイムスタンプ)を前記編集日時情報として用いてもよい。
【0054】
ここで、前記編集処理部112は、基本的に、前記電子カルテの前記カルテ情報の全体をまとめて編集するのではなく、前記カルテ情報の一部について編集を行う。つまり、前記カルテ情報は複数の情報を含んでおり、これら複数の情報のうちの一部の情報が、編集中情報として、前記編集処理部112での編集の対象となる。本実施形態では、例えばセンテンス(文)、行、文節、単語、段落、項目、又は領域などを編集単位として、当該編集単位について前記編集中情報が設定される。本実施形態では一例として、前記編集単位がセンテンス(文)であることとし、前記カルテ情報のいずれかのセンテンスが前記編集中情報として編集の対象となる。
【0055】
ところで、前記編集中情報を編集中のユーザーには、編集権限が付与される。言い換えれば、前記編集中情報について前記編集権限を有するユーザーが、前記編集中情報の編集を行うことになる。前記カルテ情報は、前記編集単位にて複数の情報に区分されるので、前記編集権限は、前記編集単位ごとに付与される。つまり、前記カルテ情報には前記編集単位で区分される複数の情報が含まれるところ、当該複数の情報の各々について個別に前記編集権限が付与される。そのため、同一の前記電子カルテについて、第1ユーザーが編集中の情報(編集中情報)についての編集権限は前記第1ユーザーに付与され、第2ユーザーが編集中の情報(編集中情報)についての編集権限は前記第2ユーザーに付与される。これにより、同一の前記電子カルテの前記表示画面P1が複数のユーザーに提示されている状況において、これら複数のユーザーがそれぞれ当該電子カルテの別の前記編集単位について、同時に編集を行うことが可能となる。ただし、前記電子カルテの編集を行うには、そもそも前記電子カルテについて前記管理権限又は前記代行管理権限を有するユーザーであることが前提となるので、前記編集中情報の編集は、当該編集中情報の前記編集権限を有し、かつ前記管理権限又は前記代行管理権限を有するユーザーのみ行うことができる。
【0056】
前記確定処理部113は、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーによる確定操作に応じて、前記編集処理部112により編集された前記編集中情報の状態を「編集中」から「編集完了」へと切り替える確定処理を行う。具体的に、前記確定処理部113は、前記編集中情報が編集された後、当該編集中情報を編集したユーザー(前記編集権限を有するユーザー)による前記確定操作に応じて、当該編集中情報を含む前記カルテ情報を前記情報記憶部123に記憶することで当該編集中情報を「編集完了」として、当該編集中情報を確定する。このとき、前記確定処理部113は、前記付記情報(前記ユーザー識別情報及び前記編集日時情報)についても、前記編集中情報と関連付けて前記情報記憶部123に記憶する。
【0057】
前記確定操作としては、例えば前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、改行操作、及び編集個所を選択した状態でのエンター操作などがある。一例として、ユーザーが、前記クライアント端末2に表示される前記表示画面P1上で、キーボードから文字列又は文章を入力することによって前記カルテ情報(前記編集中情報)を編集した上で、前記表示画面P1を閉じる(ウィンドウを閉じる)操作を行うことにより、編集された前記カルテ情報が確定する。さらに、予め設定された時刻が到来した時、予め設定された時間間隔が経過した時にも、前記確定処理部113が確定処理を行ってもよい。本実施形態では、前記確定操作は、前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作であることとする。
【0058】
ここで、前記確定操作は、前記カルテ情報の確定単位ごとに行われる。つまり、前記編集単位と同様に、例えばセンテンス(文)、行、文節、単語、段落、項目、又は領域などを前記確定単位として、当該確定単位について前記確定操作が行われる。一例として、前記確定単位がセンテンス(文)であれば、前記確定操作が行われるセンテンスごとに前記確定処理、つまり編集中から編集完了への切り替えが行われる。また、前記確定単位が一つの前記電子カルテにおける前記カルテ情報の全体であれば、例えば前記表示画面P1を閉じる前記確定操作がなされることで、前記カルテ情報に含まれ、前記確定操作を行ったユーザーが前記編集権限を有する前記編集中情報の全てについて確定処理が行われる。
【0059】
前記権限処理部114は、ユーザーに対して前記編集中情報についての前記編集権限を付与する権限処理を行う。具体的に、前記権限処理部114は、あるユーザーが前記編集中情報の編集を開始した時点で、当該ユーザーに対して前記編集権限を付与する。そして、前記編集中情報の状態が「編集中」から「編集完了」へと切り替わること(つまり前記編集中情報の確定)をもって、前記権限処理部114は、前記ユーザーから前記編集権限を回収(はく奪)する。要するに、前記編集中情報の前記編集権限は、当該編集中情報を編集中のユーザーに自動的に付与され、当該編集中情報の編集が完了すれば、当該ユーザーの当該編集権限は無くなる。本実施形態では、一の前記編集中情報についての前記編集権限は、複数のユーザーに同時に付与されることはなく一のユーザーにのみ付与されるので、当該編集中情報の編集は、当該編集権限を有する一のユーザーのみが可能であって、あるユーザーが編集中の情報については他のユーザーによる編集が制限される「排他制御」が実現される。そのため、前記編集権限は、前記管理権限のように特定のユーザーに固定的に付与されるのではなく、排他制御により、いずれか一のユーザーに一時的に付与される。
【0060】
前記出力処理部115は、前記表示画面P1の表示とは別の態様で前記電子カルテを出力する出力処理を行う。前記出力処理部115は、例えば前記表示画面P1を表示中の前記クライアント端末2がユーザーによる印刷操作を受け付けると、当該表示画面P1に対応する前記電子カルテを前記プリンター3に印刷させる。ここで、印刷される前記電子カルテのフォーマットは、前記表示画面P1に準じていてもよいし、前記表示画面P1とは異なる印刷用のフォーマットであってもよい。また、前記出力処理に係る「出力」の態様は、印刷に限らず、例えば、メモリー(前記記憶部12)への書き込み、音声出力、データ出力、他システム(他装置)への送信、データベースへの書き込み、及び前記記憶部12以外のメモリーへの書き込み等を含んでもよい。
【0061】
[電子カルテ管理方法]
以下、前記サーバー1の前記制御部11によって実行される前記電子カルテ管理方法の一例について説明する。前記制御部11は、前記電子カルテプログラムを実行させるための予め設定された特定の開始操作が前記クライアント端末2に対して行われた場合に、前記電子カルテ管理方法に係る各種の処理を実行する。さらに、前記制御部11は、複数の前記クライアント端末2において前記特定の開始操作が行われた場合には、当該クライアント端末2各々に対応して前記電子カルテ管理方法を並行して実行する。また、前記電子カルテ管理方法は、当該電子カルテ管理方法の実行中であっても前記クライアント端末2に対する特定の終了操作に応じて終了することがある。なお、本発明は、前記サーバー1のようなコンピューターによって前記電子カルテ管理方法の一部又は全部の処理を実行する、方法(電子カルテ管理方法)の発明として捉えてもよい。
【0062】
ここで、前記開始操作は、前記サーバー1に対する前記クライアント端末2の接続(アプリケーションソフトウェアの起動)、並びにユーザーID及びパスワードの入力を伴うログインなどを含む。一方、前記終了操作は、前記表示画面P1を閉じる操作、ログアウト、及び前記サーバー1と前記クライアント端末2との間の接続切断などを含む。
【0063】
また、前記サーバー1の前記制御部11は、基本的に、前記クライアント端末2の前記表示部24に表示される画面(表示画面P1)を用いて、前記電子カルテ管理方法を実行する。本開示でいう「画面」は、前記表示部24(又は前記表示部14)等に表示される映像(画像)を意味し、図像、図形、写真、テキスト、及び動画などを含む。前記表示部24に表示される主な画面としては、
図3に示す前記表示画面P1の他に、ホーム画面などがある。本実施形態では一例として、前記サーバー1の前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記ホーム画面から前記表示画面P1などへ遷移可能に構成される。
【0064】
すなわち、前記開始操作により、まず前記クライアント端末2の前記表示部24には、前記ホーム画面が表示される。そして、前記ホーム画面において、ある患者が指定された状態で特定の操作がされると、前記ホーム画面から当該患者についての前記電子カルテを表す前記表示画面P1に遷移する。前記表示部24に表示される各種の操作画面(前記表示画面P1を含む)では、前記操作部25がユーザーの操作が受け付ける。
【0065】
以下では一例として、前記クライアント端末2は、前記操作部25に含まれるマウス及びキーボードにて、前記表示部24に表示される前記表示画面P1上での入力操作を受け付けることとする。つまり、例えば前記編集処理部112に前記編集処理を実行させる際においても、ユーザーは、前記操作部25に含まれるマウス及びキーボードを操作することで、前記カルテ情報を編集する操作(ユーザー操作)を行う。なお、前記表示画面P1中の各種の操作ボタンは、前記表示画面P1に含まれるオブジェクトであって、当該操作ボタンは、当該操作ボタンを選択するような前記操作部25の操作によって操作される。例えば、ユーザーは、前記操作部25に含まれるマウスを操作し、前記表示画面P1中の任意の前記操作ボタンにカーソルを合わせてクリックするなどの操作を前記操作部25で行うことで、当該操作ボタンを操作できる。
【0066】
[表示画面P1]
ここではまず、前記クライアント端末2の前記表示部24に表示される前記表示画面P1について、
図3を参照して説明する。
【0067】
図3は、前記電子カルテの前記表示画面P1の一例を示す図である。
図3に示すように、前記表示画面P1には、過去カルテ領域R1、現在カルテ領域R2、及び患者情報領域R3などが含まれている。前記過去カルテ領域R1は、過去の投薬情報などの診療情報が表示される領域である。前記現在カルテ領域R2は、現在入力中の投薬情報(今回処方)などの診療情報が表示される領域である。前記患者情報領域R3は、患者の基本情報が表示される領域である。
図3では図示を省略するが、前記カルテ情報の編集操作に用いられるキーパッド及びショートカットキーなども、前記表示画面P1上に表示される。また、
図3などの前記表示部24に表示される画面を示す図面において、領域を表す一点鎖線、引出線及び参照符号は、説明のために付しているに過ぎず、実際に前記表示部24に表示される訳ではない。
【0068】
前記電子カルテにおいては、前記表示画面P1の前記過去カルテ領域R1又は前記現在カルテ領域R2のように、1回の診察に関する前記診療情報として、「S」、「O」、「A」、「P」及び「指導」の各項目に分類されて各種の前記カルテ情報が記録される。「S」は主観情報(Subjective Information)であって、患者が主観的に感じている症状などに関する情報である。「O」は客観情報(Objective Information)であって、医師の診療所見及び検査所見などに関する情報である。「A」は評価情報(Assessment Information)であって、医師の評価及び判断などに関する情報である。「P」は計画情報(Plan Information)であって、投薬及び治療計画などに関する情報である。「指導」は指導情報であって、患者への教育及び指導などに関する情報である。
【0069】
ここで、前記電子カルテは患者ごとに記録されているので、いずれの患者についての前記電子カルテを表示させるかは、前記クライアント端末2に対するユーザーの操作によって指定される。具体的に、前記表示処理部111は、前記クライアント端末2において、患者リストから対象となる患者を選択するための操作が行われると、その選択された患者に対応する前記電子カルテの前記表示画面P1を表示する。当該表示画面P1においては、選択された患者についての過去の診療情報及び今回の診療情報などが、前記過去カルテ領域R1及び前記現在カルテ領域R2に表示される。
【0070】
なお、前記表示画面P1は、例えば、スライドバーを含み、前記スライドバーの操作により、縦方向(上下方向)又は横方向(左右方向)のスクロール表示が可能に構成されていてもよい。これにより、前記電子カルテに含まれる多くの情報(前記カルテ情報)を、前記表示画面P1を通してユーザーに提示することが可能となる。
【0071】
[編集処理及び表示処理]
本実施形態に係る前記電子カルテシステム10は、ユーザーの操作に応じて前記カルテ情報を編集する前記編集処理部112を、前記制御部11に備えている。さらに、前記電子カルテシステム10は、前記電子カルテの前記表示画面P1を表示させる前記表示処理部111を、前記制御部11に備えている。そのため、前記制御部11によって実行される前記電子カルテ管理方法は、前記変更処理及び前記表示処理を含んでいる。以下では、前記変更処理及び前記表示処理の詳細について、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、以下に参照する
図4及び
図5は、前記表示画面P1のうち前記現在カルテ領域R2のみを取り出した図面であって、前記表示画面P1における前記現在カルテ領域R2以外の図示を適宜省略する。
【0072】
ここでは、複数のユーザーが、同一の前記電子カルテ(つまり同一の患者の同一の日付の電子カルテ)の前記表示画面P1を、それぞれ個別の前記クライアント端末2に表示させている状況を想定する。具体的には、
図4に示すように、ある患者の前記電子カルテに、医師である第1ユーザーU1と医療事務員である第2ユーザーU2とがそれぞれアクセスすることで、前記第1ユーザーU1が使用する前記クライアント端末2、及び前記第2ユーザーU2が使用する前記クライアント端末2の各々に、当該電子カルテの前記表示画面P1が表示されている状況を想定する。2台の前記クライアント端末2に表示される前記表示画面P1を区別する場合、前記第1ユーザーU1の前記クライアント端末2に表示される前記表示画面P1を「第1表示画面P11」と呼び、前記第2ユーザーU2の前記クライアント端末2に表示される前記表示画面P1を「第2表示画面P12」と呼ぶ。つまり、前記第1表示画面P11は前記第1ユーザーU1に提示される前記電子カルテの前記表示画面P1であって、前記第2表示画面P12は前記第2ユーザーU2に提示される前記電子カルテの前記表示画面P1である。
【0073】
この状況においては、前記第1ユーザーU1及び前記第2ユーザーU2のそれぞれが、同一の前記電子カルテについて前記カルテ情報を編集可能となる。ただし、前記カルテ情報のうち、前記第1ユーザーU1が編集中の前記編集中情報の前記編集権限は前記第1ユーザーU1に付与され、前記第2ユーザーU2が編集中の前記編集中情報の前記編集権限は前記第2ユーザーU2に付与される。本実施形態では前記編集単位はセンテンス(文)であるので、前記編集権限はセンテンスごとに個別に付与される。そのため、前記第1ユーザーU1及び前記第2ユーザーU2は、各々が前記編集権限を有するセンテンスについてのみ前記編集中情報として編集を行うことができ、同一の前記編集中情報(センテンス)については前記第1ユーザーU1及び前記第2ユーザーU2が同時に編集を行うことはできない。
【0074】
図5は、前記第1ユーザーU1に提示される前記電子カルテの前記表示画面P1(前記第1表示画面P11)、及び前記第2ユーザーU2に提示される前記電子カルテの前記表示画面P1(前記第2表示画面P12)を、左右方向に並べて示す図である。ここでは、前記第1ユーザーU1(医師)が前記カルテ情報のうち主観情報の項目「S」を編集中であって、前記第2ユーザーU2(医療事務員)が前記カルテ情報のうち計画情報の項目「P」を編集中であることと仮定する。より詳細には、前記第1ユーザーU1は、前記電子カルテの項目「S」の欄に「ABCABC」という文字列を追記(入力)しており、前記第2ユーザーU2は、前記電子カルテの項目「P」の欄に「XYZXYZ」という文字列を追記(入力)していることとする。この状態では、前記第1ユーザーU1は、項目「S」の欄における「ABCABC」という文字列からなる前記編集中情報I1についての前記編集権限を有し、前記第2ユーザーU2は、項目「P」の欄における「XYZXYZ」という文字列からなる前記編集中情報I2についての前記編集権限を有する。
【0075】
この場合において、項目「S」の前記編集中情報I1に着目すると、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12にのみ、当該編集中情報I1に対応してマークM1が表示されている。前記編集中情報I1に対応する前記マークM1は、当該編集中情報I1を編集中である前記第1ユーザーU1に提示される前記第1表示画面P11には、表示されない。一方、項目「P」の前記編集中情報I2に着目すると、前記第1ユーザーU1に提示される前記第1表示画面P11にのみ、当該編集中情報I2に対応してマークM2が表示されている。前記編集中情報I2に対応する前記マークM2は、当該編集中情報I2を編集中である前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12には表示されない。
【0076】
すなわち、前記マークM1,M2は、いずれも前記編集中情報について前記編集権限を有さないユーザーに提示される前記表示画面P1にのみ表示されており、前記編集権限を有するユーザーに提示される前記表示画面P1には表示されていない。ここにおいて、前記マークM1,M2は前記特定態様の一例である。つまり、前記編集中情報に前記マークM1,M2が対応付けて表示されることは、当該編集中情報が、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能、言い換えれば編集中であることを識別可能な、前記特定態様で表示されることに相当する。このように、前記表示処理部111は、前記表示処理において、前記複数のユーザーのうち前記編集中情報の編集権限を有さないユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面P1上で、前記編集中情報について編集中であることを識別可能(つまり前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と区別可能)な前記特定態様で表示させる。
【0077】
したがって、本実施形態においては、前記第1ユーザーU1と前記第2ユーザーU2とが同一の前記電子カルテの前記表示画面P1を閲覧している状態で、前記第1ユーザーU1が編集中の前記編集中情報については、前記第2ユーザーU2には、編集中であることが識別可能な前記特定態様で表示される。同様に、前記第2ユーザーU2が編集中の前記編集中情報については、前記第1ユーザーU1には、編集中であることが識別可能な前記特定態様で表示される。結果的に、前記電子カルテシステム10又は前記電子カルテ管理方法によれば、前記電子カルテ(の前記カルテ情報)の編集に係る複数のユーザーによる操作の競合が生じにくいか、又は、他のユーザーによる編集状況が分かりやすい、という利点がある。
【0078】
本実施形態では一例として、前記マークM1,M2は、前記編集中情報I1,I2の文頭(左側)に表示される縦に延びる線状(棒状)のアイコン(図像)であって、対応する前記編集中情報に応じて、表示範囲が決定される。つまり、前記編集中情報I1に関しては、前記第2表示画面P12において、当該編集中情報I1である文字列「ABCABC」に対応して一行分の長さの前記マークM1が表示される。同様に、前記編集中情報I2に関しては、前記第1表示画面P11において、当該編集中情報I2である文字列「XYZXYZ」に対応して一行分の長さの前記マークM2が表示される。前記マークM1,M2は、青色、赤色又は黄色等の目立つ色で表示されてもよいし、点滅表示のように目立つ態様で表示されてもよい。本実施形態では一例として、前記マークM1,M2は、他の文字列と区別しやすく目立つように青色で表示される。
【0079】
前記特定態様は、前記編集中情報が編集中であることを識別可能な表示態様であればよいので、前記マークM1,M2のように縦線状のアイコンが前記編集中情報に対応付けて表示される態様に限らない。例えば、前記特定態様は、前記編集中情報の表示色、下線、文字サイズ、強調表示(太文字表示又は点滅表示等)、マーカー、又はフォントなど、前記編集中情報の表示そのものに係る態様であってもよいし、前記編集中情報を囲む囲み枠等であってもよい。さらに、前記特定態様は、例えば「Aさんが編集中です」のように、前記編集中情報が編集中であることを直接的に表す文字列の表示を含んでもよい。
【0080】
ところで、本実施形態では、前記編集処理部112は、前記編集中情報について複数のユーザーのうち前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を制限する。ここでいう「制限」は、前記編集中情報の編集を完全に禁止することだけでなく、例えば削除のみ禁止する(追記は可能)など、前記編集中情報の編集について何かしら制限することを含む。つまり、
図4及び
図5の例では、前記第1ユーザーU1が編集中の前記編集中情報I1については、前記編集権限を有さない前記第2ユーザーU2の操作に応じた編集が制限される。このように、あるユーザーが編集中の情報については他のユーザーによる編集が制限される「排他制御」が行われるので、前記第2表示画面P2において、前記特定態様で表示されている前記編集中情報I1を前記第2ユーザーU2が誤って編集しようとしても、当該第2ユーザーU2による当該編集中情報I1の編集が制限される。したがって、あるユーザーが編集中の情報(編集中情報)を、他のユーザーが誤って編集することを抑制できる。
【0081】
また、前記編集処理部112は、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報については、複数のユーザーのうち前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を許可する。つまり、
図4及び
図5の例では、前記第1ユーザーU1が前記編集中情報I1を編集中において、当該編集中情報I1について前記編集権限を有さない前記第2ユーザーU2であっても、例えば項目「P」など、当該編集中情報I1以外の情報については編集可能である。したがって、同一の前記電子カルテの前記カルテ情報について、複数のユーザーが同時に編集することができ、編集の効率化を図ることができる。
【0082】
また、前記表示処理部111は、前記カルテ情報中に前記編集中情報がある場合において、前記編集中情報について、更新条件を満たすまでは前記特定態様での表示を行わず、前記更新条件を満たすと前記特定態様での表示を行う。前記更新条件は、あるユーザーが編集中の前記編集中情報を他のユーザーに提示される前記表示画面P1に反映させるための条件であって、例えばユーザーが所定の表示更新操作を行うこと、予め設定された時刻が到来したこと、又は予め設定された時間間隔が経過したこと等を含む。前記表示更新操作を行うユーザーは、前記編集中情報の前記編集権限を有するユーザーのみであってもよいし、前記編集中情報の前記編集権限を有さないユーザーを含んでもよい。
図4及び
図5の例では、前記第1ユーザーU1が前記編集中情報I1を追記した場合において、当該編集中情報I1が前記第2表示画面P12に反映されるのは、前記第1ユーザーU1が前記編集中情報I1を追記したのと同時(リアルタイム)ではなく、前記更新条件を満たしたタイミングとなる。前記編集中情報I1が、追記ではなく情報の削除等である場合も、前記更新条件を満たしたタイミングで、当該編集中情報I1(の削除等)が前記第2表示画面P12に反映される。これにより、リアルタイムで前記編集中情報が反映される場合に比べて、前記電子カルテシステム10(特に前記サーバー1)の処理負荷を低減できる。
【0083】
ただし、前記編集処理部112によって前記編集権限を有さない前記編集中情報についての編集が制限される前記排他制御は、リアルタイムで行われる。すなわち、あるユーザーが前記編集中情報の編集を開始した時点で、当該編集中情報の前記編集権限は当該ユーザーに付与されるので、当該編集権限を有さない他のユーザにとっては即座に当該編集中情報の編集が制限される。したがって、
図4及び
図5の例で、前記第1ユーザーU1が前記編集中情報I1を削除する場合において、当該編集中情報I1の削除が開始してから前記更新条件を満たすまでの間には、前記第2表示画面P12に当該編集中情報I1の削除は反映されておらず、前記特定態様で表示されている訳でもないが、前記第2ユーザーは当該編集中情報I1を編集することができない。この場合、前記第2ユーザーが前記編集中情報I1を編集するための操作を行っても、当該操作は無効化される。
【0084】
また、本実施形態では、前記編集中情報の編集が「削除」のみである場合、前記編集中情報の削除は行われるが、当該編集中情報について前記特定態様での表示は行われない。
図4及び
図5の例において、前記第1ユーザーU1が、予め記載されている前記編集中情報I1を削除するとすれば、前記第2表示画面P12でも当該編集中情報I1は削除されるものの、当該編集中情報I1に対応する前記マークM1は表示されない。ただし、これに限らず、前記編集中情報の編集が「削除」のみである場合にも、当該編集中情報について前記特定態様での表示が行われてもよい。
【0085】
[具体例]
以下に、
図6~
図8を参照しつつ、前記電子カルテ管理方法の具体例(運用例)について説明する。なお、以下に参照する
図6~
図8は、各ユーザーの操作及び各ユーザーに提示される前記表示画面P1を、ユーザーごとに時系列に並べて示す概念図である。例えば、第1ユーザーU1の下方には、第1ユーザーU1が行う操作、及び前記第1ユーザーU1に提示される前記表示画面P1(第1表示画面P11)が順に示されている。また、
図6~
図8では、各ユーザーが使用する前記クライアント端末2に表示される前記電子カルテの前記表示画面P1のうち前記現在カルテ領域R2の一部のみ(例えば項目「S」の欄)を取り出して図示し、前記表示画面P1における当該一部以外の図示を適宜省略する。
【0086】
[第1具体例]
第1具体例では、
図6に示すように、医師である第1ユーザーU1と医療事務員である第2ユーザーU2との2人のユーザーが、同一の前記電子カルテにアクセスする状況を想定する。
【0087】
この場合、まず時点T11において、前記第1ユーザーU1が前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(第1表示画面P11)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T12において、前記第1ユーザーU1に提示される前記第1表示画面P11には、「体調が悪い」と既に記載された前記電子カルテが表示される。前記第1ユーザーU1は、時点T13において前記電子カルテの前記カルテ情報の編集を行う。
図6の例では、前記第1ユーザーU1は「体温38度」という文字列を前記編集中情報として追記(記入)する。
【0088】
次に、時点T14において、前記第2ユーザーU2が前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(第2表示画面P12)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T15において、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12には、「体温38度」という文字列からなる前記編集中情報が、前記マークM1を付した前記特定態様で表示される。このとき、「体調が悪い」との文字列については前記編集中情報ではないため、前記第2表示画面P12において「体調が悪い」との文字列については前記特定態様とは異なる通常態様で表示される。
【0089】
その後、時点T16において、前記第1ユーザーU1が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、つまり前記確定操作を行う。ここで、本実施形態では、前記権限処理部114は、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了すると、前記電子カルテを表示中の他のユーザーへ前記編集権限を移行させる。つまり、前記権限処理部114は、前記編集中情報の確定をもって、無条件にユーザーから前記編集権限を回収(はく奪)するのではなく、当該編集権限を他のユーザーへと移行させる機能を有する。前記第1具体例では、前記確定操作がなされた時点で、当該電子カルテを他のユーザー(前記第2ユーザー)が開いているため、前記編集権限は前記第1ユーザーU1から前記第2ユーザーU2へと移行する。よって、前記第2ユーザーU2は、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報について前記編集権限を有することになり、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報を編集できるようになる。このとき、前記編集中情報の状態としては、「編集完了」とならずに「編集中」のままとなる。
【0090】
そのため、時点T17において、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12では、前記マークM1が消えて、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報は、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示される。要するに、前記表示処理部111は、前記編集権限が前記他のユーザー(ここでは前記第2ユーザーU2)に移行されると、前記他のユーザーに提示される前記電子カルテの前記表示画面P1上での前記編集中情報の表示態様を、前記特定態様からカルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報と同じ態様(前記通常態様)に切り替える。結果的に、前記第2ユーザーU2にとっては、前記編集可能となった前記編集中情報が前記通常態様で表示されるため、当該編集中情報を自らが編集可能になったことを把握しやすい。
【0091】
[第2具体例]
第2具体例では、
図7に示すように、前記第1ユーザーU1及び前記第2ユーザーU2に加えて、医療事務員である第3ユーザーを含む3人のユーザーが、同一の前記電子カルテにアクセスする状況を想定する。
【0092】
この場合、まず時点T21において、前記第1ユーザーU1及び前記第2ユーザーU2が、前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(前記第1表示画面P11及び前記第2表示画面P12)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T22において、前記第1ユーザーU1に提示される前記第1表示画面P11、及び前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12には、それぞれ「体調が悪い」と既に記載された前記電子カルテが表示される。
【0093】
前記第1ユーザーU1は、時点T23において前記電子カルテの前記カルテ情報の編集を行う。
図7の例では、前記第1ユーザーU1は「体温38度」という文字列を前記編集中情報として追記(記入)する。これにより、前記時点T23において、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12には、「体温38度」という文字列からなる前記編集中情報が、前記マークM1を付した前記特定態様で表示される。
【0094】
次に、時点T24において、前記第1ユーザーU1が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、つまり前記確定操作を行う。これにより、「体温38度」という文字列からなる前記編集中情報の前記編集権限は、前記第1ユーザーU1から前記第2ユーザーU2へと移行する。そのため、時点T25において、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12では、前記マークM1が消えて、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報は、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示される。
【0095】
また、前記第2ユーザーU2は、時点T26において前記電子カルテの前記カルテ情報の編集を行う。
図7の例では、前記第2ユーザーU2は「関節痛」という文字列を前記編集中情報として追記(記入)する。次に、時点T27において、前記第3ユーザーU3が前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(第3表示画面P13)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T28において、前記第3ユーザーU3に提示される前記第3表示画面P13には、「体温38度」という文字列からなる前記編集中情報、及び「関節痛」という文字列からなる前記編集中情報の両方が、前記マークM1を付した前記特定態様で表示される。要するに、前記時点T28においては、「体温38度」及び「関節痛」のいずれの前記編集中情報についても前記第2ユーザーU2が前記編集権限を有しているので、これらの前記編集中情報の前記編集権限を有さない前記第3ユーザーU3向けの前記第3表示画面P13では、これらの前記編集中情報は前記特定態様で表示される。このとき、「体調が悪い」との文字列については前記編集中情報ではないため、前記第3表示画面P13において「体調が悪い」との文字列については前記特定態様とは異なる通常態様で表示される。
【0096】
その後、時点T29において、前記第2ユーザーU2が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、つまり前記確定操作を行う。これにより、「体温38度」及び「関節痛」という文字列からなる前記編集中情報の前記編集権限は、前記第2ユーザーU2から前記第3ユーザーU3へと移行する。そのため、時点T30において、前記第3ユーザーU3に提示される前記第3表示画面P13では、前記マークM1が消えて、「体温38度」及び「関節痛」との文字列からなる前記編集中情報は、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示される。
【0097】
また、前記第2具体例の他の例として、前記時点T28において、前記第3表示画面P13では、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報は、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示されてもよい。すなわち、「体温38度」との文字列からなる前記編集中情報については、元々、前記第1ユーザーU1が前記編集権限を有しているので、前記第1ユーザーU1が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じた前記時点T24で、当該編集中情報の状態は「編集完了」から「編集中」に切り替えられてもよい。この場合、前記時点T28においては、前記編集中情報は前記第2ユーザーが前記編集権限を有する「関節痛」との文字列からなる前記編集中情報のみであるので、前記第3表示画面P13では、「関節痛」との文字列のみが前記特定態様で表示される。
【0098】
[第3具体例]
第3具体例では、
図8に示すように、前記第1ユーザーU1、前記第2ユーザーU2及び前記第3ユーザーの3人のユーザーが、同一の前記電子カルテにアクセスする状況を想定する。
【0099】
この場合、まず時点T31において、前記第1ユーザーU1が前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(前記第1表示画面P11)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T32において、前記第1ユーザーU1に提示される前記第1表示画面P11には、特に前記カルテ情報として文字列が記載されていない空白の前記電子カルテが表示される。前記第1ユーザーU1は、時点T33において前記電子カルテの前記カルテ情報の編集を行う。
図8の例では、前記第1ユーザーU1は「体調が悪い」という文字列を前記編集中情報として追記(記入)する。
【0100】
さらに、前記時点T33において、前記第2ユーザーU2及び前記第3ユーザーU3が、前記開始操作を行い前記電子カルテの前記表示画面P1(前記第2表示画面P12及び前記第3表示画面P13)の表示を開始する(電子カルテを開く)。これにより、時点T15において、前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12、及び前記第3ユーザーU3に提示される前記第3表示画面P13には、「体調が悪い」という文字列からなる前記編集中情報が、前記マークM1を付した前記特定態様で表示される。
【0101】
次に、時点T35において、前記第1ユーザーU1が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、つまり前記確定操作を行う。これにより、本来であれば「体調が悪い」という文字列からなる前記編集中情報の前記編集権限は、前記第1ユーザーU1から他のユーザーへと移行するはずである。ただし、本実施形態では、前記権限処理部114は、2以上のユーザーには前記編集権限の移行を行わないように構成されている。
図8の例では、前記第1ユーザーU1が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じた前記時点T35で、当該電子カルテは前記第2ユーザーU2及び前記第3ユーザーU3によって開かれているので、この時点では前記編集権限の移行は行われない。そのため、時点T36においても、前記第2表示画面P12、及び前記第3表示画面P13には、「体調が悪い」という文字列からなる前記編集中情報が、前記マークM1を付した前記特定態様で表示される。
【0102】
要するに、前記権限処理部114は、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了したときに、前記他のユーザーが2以上存在する場合、前記他のユーザーが単一のユーザーに限定されるまでは前記編集権限の移行を行わない。具体的に、前記権限処理部114は、前記時点T35で、前記第1ユーザーU1から前記編集権限を一旦回収し、他のユーザーへの移行については保留とする。そして、前記権限処理部114は、前記電子カルテを開いているユーザーが1人になれば、保留にしていた前記編集権限の移行を行う。これにより、複数のユーザーに前記編集権限が移行されることによる、編集操作の競合を抑制できる。
【0103】
図8の例では、時点T37において、前記第2ユーザーU2が前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じる操作、つまり前記確定操作を行う。これにより、「体調が悪い」という文字列からなる前記編集中情報の前記編集権限は、前記第3ユーザーU3へと移行する。そのため、時点T38において、前記第3ユーザーU3に提示される前記第3表示画面P13では、前記マークM1が消えて、「体調が悪い」との文字列からなる前記編集中情報は、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示される。
【0104】
また、前記編集中情報の前記特定態様で表示するか否かは、前記編集権限の有無だけでなく、前記管理権限(又は前記代行管理権限)が加味されてもよい。例えば、前記第1ユーザーU1が編集した前記編集中情報に係る項目について、前記第2ユーザーU2は前記管理権限を有するものの、前記第3ユーザーU3は前記管理権限を有さないことと仮定する。そうすると、前記第3具体例の他の例として、前記時点T36において、前記編集中情報について前記管理権限を有する前記第2ユーザーU2に提示される前記第2表示画面P12には、前記編集中情報に前記マークM1が付されなくてもよい。つまり、そもそも前記編集中情報について前記管理権限を有さない前記第3ユーザーU3は、前記編集中情報を編集することができないので、前記時点T36において、前記編集中情報を編集できるのは前記第2ユーザーU2のみである。そのため、前記権限処理部114は、前記編集中情報についての前記編集権限を前記第2ユーザーU2に付与することで、前記編集権限を有さない前記第3ユーザーU3の前記第3表示画面P13でのみ、前記編集中情報が前記特定態様で表示される。さらにこの場合、前記時点T38においても、前記第3ユーザーU3に提示される前記第3表示画面P13では、前記編集中情報は前記特定態様で表示されてもよい。
【0105】
[フローチャート]
図9を参照しつつ、前記電子カルテ管理方法のうち特に前記表示処理に係る前記制御部11の処理の手順の一例について説明する。
【0106】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部11は、ユーザーにより前記電子カルテを開くための操作が行われるか否かを判断する。前記制御部11は、前記サーバー1に対する前記クライアント端末2の接続、並びにユーザーID及びパスワードの入力を伴うログインがされた上で、前記クライアント端末2にて、いずれかの患者が選択されることにより、当該患者の前記電子カルテを開くための操作がされたと判断し(S1:Yes)、処理をステップS2に移行する。また、前記ログインに際して、前記制御部11は、前記電子カルテを開く操作を行ったユーザーを、ユーザー識別情報に基づいて識別(特定)する。一方、当該操作がされなければ(S1:No)、前記制御部11は、処理を前記ステップS1に移行する。
【0107】
<ステップS2>
前記ステップS2においては、前記制御部11の前記表示処理部111は、前記電子カルテの前記表示画面P1を表示させる。前記表示処理部111は、前記電子カルテを開く操作が行われた前記クライアント端末2に対して、前記電子カルテの前記表示画面P1の表示を行わせる。
【0108】
<ステップS3>
前記ステップS3においては、前記制御部11の前記表示処理部111は、表示中の前記電子カルテの前記カルテ情報に前記編集中情報があるか否かを判断する。このとき、前記表示処理部111は、いずれのユーザーが編集しているかにはかかわらず、前記カルテ情報に編集中の情報(前記編集中情報)が含まれていれば、前記編集中情報があると判断し(S3:Yes)、処理をステップS4に移行する。具体的に、例えば前記編集中情報に付される「編集中フラグ」の有無に応じて、前記表示処理部111は前記編集中情報の有無を判断する。一方、前記編集中情報がなければ(S3:No)、前記制御部11は、処理をステップS6に移行する。
【0109】
<ステップS4>
前記ステップS4においては、前記制御部11の前記表示処理部111は、前記表示画面P1を表示中のユーザーが、前記編集中情報について前記編集権限を有するか否かを判断する。つまり、前記ステップS2にて前記電子カルテの前記表示画面P1が提示されたユーザーが、前記編集中情報の編集を行っている場合には、当該ユーザーには当該編集中情報の前記編集権限が付与されているので、前記表示処理部111は、前記編集権限があると判断し(S4:Yes)、処理を前記ステップS6に移行する。一方、前記ステップS2にて前記電子カルテの前記表示画面P1が提示されたユーザー以外のユーザーが、前記編集中情報の編集を行っている場合には、前記表示処理部111は、前記編集権限がないと判断し(S4:No)、処理をステップS5に移行する。
【0110】
<ステップS5>
前記ステップS5において、前記制御部11の前記表示処理部111は、前記編集中情報を前記特定態様で表示する。つまり、前記表示処理部111は、前記表示画面P1上において、前記編集中情報に前記マークM1を付与することによって、前記編集中情報を「編集中」であることを識別可能な前記特定態様にて表示する。ただし、前記カルテ情報のうち、前記編集中情報以外の情報については、前記特定態様ではなく前記通常態様で表示される。その後、前記制御部11は、処理をステップS7に移行する。
【0111】
<ステップS6>
前記ステップS6において、前記制御部11の前記表示処理部111は、前記カルテ情報を前記通常態様で表示する。つまり、前記カルテ情報に前記編集中情報が含まれている場合でも、前記表示処理部111は、前記表示画面P1上において、前記カルテ情報に前記マークM1を付与せず、前記カルテ情報を前記通常態様で表示する。その後、前記制御部11は、処理をステップS7に移行する。
【0112】
<ステップS7>
前記ステップS7においては、前記制御部11は、ユーザーにより前記電子カルテの前記表示画面P1を閉じるための操作、つまり前記確定操作が行われるか否かを判断する。前記制御部11は、前記電子カルテを閉じる操作がされると(S7:Yes)、前記表示処理に係る一連の処理を終了する。このとき、当該ユーザーが編集中の前記編集中情報があれば、前記制御部11の前記確定処理部113は、当該編集中情報の状態を「編集中」から「編集完了」へと切り替える確定処理を行う。一方、当該操作がされなければ(S7:No)、前記制御部11は、処理を前記ステップS2に移行し、前記電子カルテの前記表示画面P1の表示を継続する。
【0113】
なお、上記のフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0114】
[他の実施形態]
他の実施形態として、前記表示処理部111は、前記編集権限を有するユーザーを識別可能な態様で前記編集中情報を表示させるように構成されてもよい。つまり、前記編集中情報については、前記編集権限を有さないユーザーに提示される前記表示画面P1上で、前記特定態様で表示されるが、これに加えて、前記編集権限を有するユーザーを識別可能に表示される。例えば第1ユーザー、第2ユーザー及び第3ユーザーの3人のユーザーが存在する場合に、前記第3ユーザーが前記編集中情報を編集中であると仮定すると、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーにそれぞれ提示される前記表示画面P1上で、前記編集中情報の前記編集権限を有するユーザーが前記第3ユーザーであることが識別可能となる。具体的に、前記編集中情報に付される前記マークM1の表示態様(色、又はアイコン形状等)によって、前記編集権限を有するユーザーを識別可能に表示してもよいし、前記編集権限を有するユーザーを特定可能な文字列等を直接的に表示してもよい。この構成によれば、前記編集権限を有さないユーザーにとって、前記編集中情報を編集中のユーザーを特定可能となるので、利便性が向上する。
【0115】
[変形例]
前記電子カルテシステム10に含まれる複数の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、上記実施形態において、複数の筐体に分散している複数の構成要素(前記制御部11及び前記表示部24など)が、1つの筐体に集約して設けられていてもよい。
【0116】
また、前記表示画面P1が前記クライアント端末2の前記表示部24に表示されることは必須ではなく、例えば前記サーバー1の前記表示部14に前記表示画面P1が表示されてもよい。さらに、前記表示画面P1は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの前記表示部24に限らず、例えばプロジェクターなどの表示装置によって投影表示されてもよい。
【0117】
また、前記確定操作が前記カルテ情報の確定単位ごとに行われることは必須ではなく、前記確定操作は任意の範囲について行われてもよい。さらに、前記確定処理部113が、前記編集権限を有するユーザーによる前記確定操作に応じて前記確定処理を行うことも必須ではなく、例えば前記編集権限を有さないユーザの操作に応じて前記確定処理を行ってもよい。
【0118】
また、前記編集処理部112が、前記編集中情報について複数のユーザーのうち前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を制限することは必須ではなく、例えば前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を許可してもよい。反対に、前記編集処理部112が、前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報について、前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を許可することも必須ではなく、例えば前記カルテ情報のうちの前記編集中情報以外の情報についても、前記編集権限を有さないユーザーの操作に応じた編集を制限してもよい。
【0119】
また、前記表示処理部111が、前記編集中情報について、前記更新条件を満たすまでは前記特定態様での表示を行わないことは必須ではなく、例えば前記編集権限を有するユーザーが前記編集中情報を編集したのと同時(リアルタイム)に、当該編集中情報を前記特定態様で表示してもよい。
【0120】
また、前記権限処理部114が、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了すると、前記電子カルテを表示中の他のユーザーへ前記編集権限を移行させることは必須ではない。例えば、前記権限処理部114は、前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了すると、当該編集権限をいずれのユーザーにも移行させず消滅させてもよい。さらに、前記編集権限が他のユーザーに移行されたときに、前記表示処理部111が、当該他のユーザーに提示される前記表示画面P1上での前記編集中情報の表示態様を、前記特定態様から前記通常態様に切り替えることも必須ではない。例えば、前記編集権限が当該他のユーザーに移行された後も、当該他のユーザーに提示される前記表示画面P1上での前記編集中情報は、前記特定態様のままであってもよい。
【0121】
また、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了したときに、前記他のユーザーが2以上存在する場合、前記権限処理部114が、前記他のユーザーが単一のユーザーに限定されるまでは前記編集権限の移行を行わないことは必須ではない。例えば、複数のユーザーのうち前記編集権限を有するユーザーへの前記電子カルテの表示が終了したときに、前記他のユーザーが2以上存在する場合、前記権限処理部114は、これら複数の前記他のユーザー、又はそのうちの任意の1人のユーザーに対して前記編集権限を移行してもよい。
【0122】
また、一の前記編集中情報の前記編集権限が、2以上のユーザーに対して同時に付与されてもよい。前記表示処理部111は、前記編集中情報の前記編集権限を有さないユーザーに提示される前記表示画面P1上で、当該編集中情報を前記特定態様で表示させるので、前記編集中情報の前記編集権限を有する2以上のユーザーに対しては、当該編集中情報は前記特定態様でなく前記通常態様で表示されることになる。あるいは、前記表示処理部111が、前記編集中情報を編集中のユーザーとは別のユーザーに提示される前記表示画面P1上で、当該編集中情報を前記特定態様で表示させるのであれば、前記編集権限を有するか否かに関係なく、前記編集中情報を現に編集中のユーザーに対してのみ、当該編集中情報は前記特定態様でなく前記通常態様で表示されることになる。