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特開2022-167322ニューマチックアンローダの吸引装置
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  • 特開-ニューマチックアンローダの吸引装置 図1
  • 特開-ニューマチックアンローダの吸引装置 図2
  • 特開-ニューマチックアンローダの吸引装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167322
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ニューマチックアンローダの吸引装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20221027BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B65G67/60 B
B63B25/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073051
(22)【出願日】2021-04-23
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓弥
【テーマコード(参考)】
3F077
【Fターム(参考)】
3F077AA04
3F077BA02
3F077DB09
(57)【要約】
【課題】騒音を抑制し得るニューマチックアンローダの吸引装置を提供する。
【解決手段】船舶に貯留されたバラ物を吸い上げて払い出すレシーバタンクを備えたニューマチックアンローダの吸引装置において、レシーバタンクに接続された空気吸引管300と、空気吸引管300に接続された真空ポンプ320と、真空ポンプ320に接続された空気吐出管330と、空気吐出管330から分岐して空気吸引管に接続されたアイドリング管360と、アイドリング管360に設けられたアイドリング弁361とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に貯留されたバラ物を吸い上げて払い出すレシーバタンクを備えたニューマチックアンローダの吸引装置において、
前記レシーバタンクに接続された空気吸引管と、
該空気吸引管に接続された真空ポンプと、
該真空ポンプに接続された空気吐出管と、
該空気吐出管から分岐して前記空気吸引管に接続されたアイドリング管と、
該アイドリング管に設けられたアイドリング弁と
を備えたニューマチックアンローダの吸引装置。
【請求項2】
前記アイドリング管は防音材で覆われている請求項1記載のニューマチックアンローダの吸引装置。
【請求項3】
前記空気吐出管から分岐して前記空気吸引管に接続された能力調整管と、
該能力調整管に設けられた能力調整弁と
を備えた請求項1又は2記載のニューマチックアンローダの吸引装置。
【請求項4】
前記能力調整管は防音材で覆われている請求項3記載のニューマチックアンローダの吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューマチックアンローダの吸引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図3に示される如く、穀物等の各種のバラ物Bを積載した船舶Sが出入する港湾Hの岸壁Wには、該船舶Sの貯槽S1の内部に貯留されたバラ物Bを吸い上げて払い出すためのニューマチックアンローダ100が配備されている。
【0003】
前記ニューマチックアンローダ100は、走行機構(図示せず)により船舶Sの長手方向(図3の紙面と直交する方向)へ走行自在で且つ旋回機構(図示せず)により旋回自在に配設されたレシーバタンク200を備えている。
【0004】
前記レシーバタンク200の上部には、空気吸引管300が接続されている。該空気吸引管300は、ケーシング310の内部に設置されたルーツブロワ等の真空ポンプ320の吸引口321に接続され、該真空ポンプ320の吐出口322には、前記ケーシング310の外部へ延びる空気吐出管330が接続されている。前記空気吐出管330には、騒音低減用のサイレンサ340が設けられている。前記ケーシング310の内部に位置する空気吸引管300からは、能力調整管350とアイドリング管360とが分岐接続され、前記能力調整管350には能力調整弁351が設けられ、前記アイドリング管360にはアイドリング弁361が設けられている。尚、前記ケーシング310には、防音材311が取り付けられると共に、空気取入口312が開口されている。
【0005】
前記レシーバタンク200の側部には、横方向へ張り出し且つその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮自在な横管400が、起伏機構(図示せず)により起伏自在となるよう管継手410を介して接続されている。
【0006】
前記横管400の先端側には、その軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮自在な縦管420がベンド管430を介して接続され、前記縦管420の下端には、吸引ノズル440が設けられ、該吸引ノズル440が前記船舶SのハッチS2から挿入されて貯槽S1内部のバラ物Bを吸い上げるようになっている。
【0007】
前記レシーバタンク200の底部には、ロータリーフィーダ500が設けられている。
【0008】
尚、前記レシーバタンク200の内部には、真空ポンプ320側へバラ物Bが吸い込まれることを防止するためのフィルタ210が設けられている。
【0009】
前記港湾Hに停泊した船舶Sの貯槽S1からバラ物Bを払い出す際には、アイドリング弁361を開いた状態で真空ポンプ320が駆動され、先ず、ニューマチックアンローダ100が走行機構(図示せず)により走行すると共に、旋回機構(図示せず)により旋回して所望のハッチS2に対する位置決めが行われる。前記真空ポンプ320が駆動されていても、アイドリング弁361が開かれており、空気吸引管300にはアイドリング管360から大気が導入されるため、レシーバタンク200内部は負圧とならず、吸引ノズル440からの吸引は停止状態に保持されている。
【0010】
続いて、横管400がその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮して長さ調節されつつ起伏機構(図示せず)により起伏する。
【0011】
更に、縦管420がその軸線方向へ伸縮機構(図示せず)により伸縮して長さ調節され、吸引ノズル440が前記ハッチS2から挿入されて貯槽S1内部のバラ物Bの上面付近に配置される。
【0012】
この状態で、前記アイドリング弁361を閉じると、レシーバタンク200内部が負圧となり、バラ物Bが吸引ノズル440から縦管420と横管400とを介して前記レシーバタンク200内部に吸い上げられる。
【0013】
この時、前記バラ物Bの吸引量は、能力調整弁351の開度を調整することによって行われる。
【0014】
前記レシーバタンク200内部に吸い上げられたバラ物Bは、ロータリーフィーダ500の作動によりレシーバタンク200内部の気密性が保持されつつ図示していないコンベヤやホッパ或いは輸送用のトラック等へ搬出される。
【0015】
因みに、複数のハッチS2間での吸引ノズル440の移動時を含む荷役休止時には、前記アイドリング弁361が開かれる。
【0016】
これは、真空ポンプ320の電動機(図示せず)を頻繁にオン・オフすると、該電動機の故障につながるので、荷役中、前記電動機は常時オンのまま保持され、必要に応じて前記アイドリング弁361を開くことにより、前記吸引ノズル440から真空ポンプ320への空気の流れをなくし、前記電動機をオフにしなくても吸引ノズル440での吸引が行われないようにするためである。
【0017】
前記アイドリング弁361を開いた際には、空気取入口312からケーシング310の内部に空気が取り込まれ、ケーシング310の内部が必要以上に負圧となってしまうことが避けられる。
【0018】
尚、図3に示されるような構造のニューマチックアンローダの一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2016-23005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、前述のように、荷役休止時にアイドリング弁361が開かれると、真空ポンプ320から発生する音が空気吸引管300及びアイドリング管360を介してケーシング310の内部に漏れてしまっていた。前記ケーシング310には防音材311が取り付けられているものの、前記ケーシング310の内部に漏れた音は、前記空気取入口312から外部へ漏れ、騒音が大きくなるという課題を有していた。
【0021】
又、前記ケーシング310の外部にアイドリング弁361を設置して、該アイドリング弁361の周りに防音材を取り付けるタイプのニューマチックアンローダ100もあるが、やはり騒音対策としては不充分であり、改善が望まれていた。
【0022】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、騒音を抑制し得るニューマチックアンローダの吸引装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、船舶に貯留されたバラ物を吸い上げて払い出すレシーバタンクを備えたニューマチックアンローダの吸引装置において、
前記レシーバタンクに接続された空気吸引管と、
該空気吸引管に接続された真空ポンプと、
該真空ポンプに接続された空気吐出管と、
該空気吐出管から分岐して前記空気吸引管に接続されたアイドリング管と、
該アイドリング管に設けられたアイドリング弁と
を備えたニューマチックアンローダの吸引装置に係るものである。
【0024】
前記ニューマチックアンローダの吸引装置において、前記アイドリング管は防音材で覆われていることが好ましい。
【0025】
前記ニューマチックアンローダの吸引装置においては、前記空気吐出管から分岐して前記空気吸引管に接続された能力調整管と、
該能力調整管に設けられた能力調整弁と
を備えることができる。
【0026】
前記ニューマチックアンローダの吸引装置において、前記能力調整管は防音材で覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明のニューマチックアンローダの吸引装置によれば、騒音を抑制し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のニューマチックアンローダの吸引装置の第一実施例を示す要部構成図である。
図2】本発明のニューマチックアンローダの吸引装置の第二実施例を示す要部構成図である。
図3】従来のニューマチックアンローダの吸引装置の一例を示す全体概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0030】
図1は本発明のニューマチックアンローダの吸引装置の第一実施例であって、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0031】
第一実施例の特徴とするところは、図1に示す如く、アイドリング弁361が設けられるアイドリング管360を空気吐出管330から分岐させて空気吸引管300に接続した点にある。
【0032】
前記アイドリング管360は防音材362で覆われている。但し、前記アイドリング管360は必ずしも防音材362で覆う必要はない。
【0033】
次に、上記第一実施例の作用を説明する。
【0034】
図1において、真空ポンプ320が駆動されている状態で、アイドリング弁361が閉じていると、空気が空気吸引管300から空気吐出管330を流れ、サイレンサ340で消音されて外部へ排出される。これにより、図3に示されるレシーバタンク200内部が負圧となり、バラ物Bが吸引ノズル440から縦管420と横管400とを介して前記レシーバタンク200内部に吸い上げられ、荷役が行われる。この時、能力調整弁351の開度を絞れば、前記バラ物Bの吸引量は増加し、逆に前記能力調整弁351の開度を大きくすれば、前記バラ物Bの吸引量は減少する。
【0035】
一方、図1において、前記アイドリング弁361が開かれると、空気吐出管330の空気がアイドリング管360から空気吸引管300に流れて循環される形となり、図3に示されるレシーバタンク200内部は負圧とならず、吸引ノズル440から空気は吸引されなくなる。
【0036】
このように、荷役休止時にアイドリング弁361が開かれても、前記空気吐出管330、アイドリング管360及び空気吸引管300という閉じたループの中で空気が循環するため、真空ポンプ320から発生する音が空気吸引管300及びアイドリング管360を介してケーシング310の内部に漏れてしまうことが抑えられ、前記空気取入口312があっても音が外部へ漏れにくくなり、騒音が小さくなる。
【0037】
又、前記ケーシング310の外部にアイドリング弁361を設置して、該アイドリング弁361の周りに防音材を取り付けるタイプのニューマチックアンローダ100と比較しても、騒音対策として優れたものとなる。
【0038】
しかも、前記アイドリング管360は防音材362で覆われているため、真空ポンプ320から発生する音が漏れることを抑える上でより有効となる。尚、前記アイドリング管360が防音材362で覆われていなくても、騒音抑制効果が期待できることは言うまでもない。
【0039】
こうして、騒音を抑制し得る。
【0040】
図2は本発明のニューマチックアンローダの吸引装置の第二実施例であって、図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0041】
第二実施例の特徴とするところは、図1に示す第一実施例と同様に、アイドリング弁361が設けられるアイドリング管360を空気吐出管330から分岐させて前記空気吸引管300に接続すると共に、図2に示す如く、能力調整弁351が設けられる能力調整管350を空気吐出管330から分岐させて前記空気吸引管300に接続した点にある。
【0042】
前記能力調整管350は防音材352で覆われている。但し、前記能力調整管350は必ずしも防音材352で覆う必要はない。
【0043】
次に、上記第二実施例の作用を説明する。
【0044】
図2の第二実施例においても、図1の第一実施例と同様、真空ポンプ320が駆動されている状態で、アイドリング弁361が閉じていると、空気が空気吸引管300から空気吐出管330を流れ、サイレンサ340で消音されて外部へ排出される。これにより、図3に示されるレシーバタンク200内部が負圧となり、バラ物Bが吸引ノズル440から縦管420と横管400とを介して前記レシーバタンク200内部に吸い上げられ、荷役が行われる。
【0045】
第二実施例では、荷役が行われている時、バラ物Bの吸引量を増減させるために、能力調整弁351の開度を絞ったり大きくしたりすると、空気吐出管330の空気が能力調整管350から空気吸引管300に流れて循環される形となる。
【0046】
即ち、荷役時に能力調整弁351が開かれた際、前記空気吐出管330、能力調整管350及び空気吸引管300という閉じたループの中で空気が循環するため、真空ポンプ320から発生する音が空気吸引管300及び能力調整管350を介してケーシング310の内部に漏れてしまうことが抑えられる。
【0047】
又、前記空気吐出管330、アイドリング管360及び空気吸引管300という閉じたループの中で空気を循環させることに加え、前記空気吐出管330、能力調整管350及び空気吸引管300という閉じたループの中で空気を循環させることに伴い、ケーシング310の内部に空気を取り込む必要がなく、図1及び図3に示される空気取入口312は設けなくて済むため、音が外部へ更に漏れにくくなり、騒音が小さくなる。
【0048】
しかも、前記能力調整管350は防音材352で覆われているため、真空ポンプ320から発生する音が漏れることを抑える上でより有効となる。尚、前記能力調整管350が防音材352で覆われていなくても、騒音抑制効果が期待できることは言うまでもない。
【0049】
こうして、第二実施例においては更に騒音を抑制し得る。
【0050】
そして、第一実施例と第二実施例の場合、前記アイドリング管360は防音材362で覆われている。このように構成すると、真空ポンプ320から発生する音がアイドリング管360から漏れることを抑える上でより有効となる。
【0051】
又、第二実施例の場合、前記空気吐出管330から分岐して前記空気吸引管300に接続された能力調整管350と、該能力調整管350に設けられた能力調整弁351とを備えている。このように構成すると、荷役時、バラ物Bの吸引量増減のために、能力調整弁351を開いても、前記空気吐出管330、能力調整管350及び空気吸引管300という閉じたループの中での空気循環となるため、真空ポンプ320から発生する音が空気吸引管300及び能力調整管350を介してケーシング310の内部に漏れにくくなる。又、ケーシング310の内部へ空気を取り込む空気取入口312が不要となるため、外部への音漏れを更に抑えられる。
【0052】
更に又、第二実施例の場合、前記能力調整管350は防音材352で覆われている。このように構成すると、真空ポンプ320から発生する音が能力調整管350から漏れることを抑える上でより有効となる。
【0053】
尚、本発明のニューマチックアンローダの吸引装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
100 ニューマチックアンローダ
200 レシーバタンク
210 フィルタ
300 空気吸引管
310 ケーシング
311 防音材
312 空気取入口
320 真空ポンプ
321 吸引口
322 吐出口
330 空気吐出管
340 サイレンサ
350 能力調整管
351 能力調整弁
352 防音材
360 アイドリング管
361 アイドリング弁
362 防音材
400 横管
410 管継手
420 縦管
430 ベンド管
440 吸引ノズル
500 ロータリーフィーダ
B バラ物
H 港湾
S 船舶
S1 貯槽
S2 ハッチ
W 岸壁
図1
図2
図3